今も新鮮なジャズ・オルガンの音
Baby Face Willette(ベイビー・フェイス・ウィレット、以降「ベイビー・フェイス」と略す)というオルガン奏者の存在を知ったのは、ブルーノート・レーベルのRVGリマスターの紙ジャケ・リイシューの時である。それまで、全く知らなかった。初めて知った時は「ふざけた名前やなあ」なんて思ってスルーしていた。
が、オルガン・ジャズの特集本を入手し、オルガン・ジャズを真剣に聴くようになってからは、ベイビー・フェイスの名前は、僕のお気に入りのオルガン奏者になった。ベイビー・フェイスのオルガンは「プログレッシヴでストイック」。オルガン・ジャズと言えば、こってこてのファンクネスを滴らせながら、ソウルフルな黒い音を想起するのだが、ベイビー・フェイスはそうでは無い。
Baby Face Willette『Stop and Listen』(写真左)。1961年5月22日の録音。ちなみにパーソネルは、Baby Face Willette (org), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。ベイビー・フェイスのオルガン(ベースも兼ねる)をメインに、パッキパキなファンキー・ギタリストのグラント・グリーンと、ベイビー・フェイスと「馬が合う」ドラマー、ベン・ディクソンとのトリオ編成。
収録曲に、ブルージーでマイナー調な有名スタンダード曲「Willow Weep for Me」と、ファンキーでゴスペルチックな、人気のミュージシャンズ・チューンである「Work Song」が入っているのだが、この2曲を聴けば、ベイビー・フェイスのオルガンが、いかに「プログレッシヴでストイック」であるかが判ると思う。
ベイビー・フェイスのオルガンの音は「シンプルでストレート」。レスリー・スピーカーなどで音を拡げたり、ノイジーにしてファンクネス度を高めることは全く無い。ベイビー・フェイスのオルガンのファンクネスは「フレーズ展開の中」でのファンクネス。ファンクネスを増幅することは無いので、オルガンの音は意外とあっさりしている。そして、アドリブ・フレーズは意外と攻撃的。改めて、クールで先進的なオルガンだったと思い知る。
21世紀に入ってからのジャズ・オルガンは「ストイックでシンプルな」オルガンがトレンドになっている。それら21世紀のジャズ・オルガンの音を聴く度に、ベイビー・フェイスを思い出す。ジャズ・オルガンの神様「ジミー・スミス」をフォローすることの無い、唯一無二なベイビー・フェイスのジャズ・オルガン。その先進性とストイック度は癖になる。今の耳で聴いても「新鮮なジャズ・オルガンの音」である。
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