2022年1月 6日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・12

ジャケットを見るだけで、これは名盤だな、と感じるアルバムがある。アルバムの1曲目を聴くだけで、これは名盤だな、と感じるアルバムがある。パーソネルを確認するだけで、これはきっと名演だろうな、と想像出来るアルバムがある。そんなアルバムは「ブルーノート・レーベル」に沢山ある。

Sonny Clark『Cool Struttin'』(写真左)。1958年1月5日の録音。ブルーノートの1588番。ちなみにパーソネルは、Sonny Clark (p), Jackie McLean (as), Art Farmer (tp), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーは、早逝の哀愁ファンキー・ピアノ、ソニー・クラークがリーダー。マクリーンのアルト・サックス、アート・ファーマーのトランペットがフロント2管のクインテット編成。

最初に、この盤は「モダン・ジャズ」を強烈に感じることの出来る名盤である。特にハードバップの良いところが「てんこ盛り」。フロント2管のユニゾン&ハーモニーの重ね方&響き、ソニクラのピアノに、ポルチェンのベース、フィリージョーのドラムが叩き出す、切れ味良い、躍動感溢れる、クールなファンキー・ビート。ソニクラの書く名曲のキャッチャーなマイナー調のメロディー。
 

Cool-sreuttin_1

 
このアルバムに収録されている全ての演奏が「モダン・ジャズ」と言い切って良いかと思う。とにかく、リーダーのソニクラの書く曲が絶品。マイナー基調でファンキーで流麗。印象的なメロディーとキャッチャーなフレーズ。そのソニクラの書く秀曲の間で演奏されるスタンダード曲の選曲も実に良い。アルバム全体を包む「マイナーでファンキーで小粋なハードバップ」な雰囲気が実に芳しい。

演奏上の工夫も、どれもが「モダン・ジャズ」らしい。ユニゾン&ハーモニーとチェイスの合わせ技、切れ味の良いベースとドラムの効果的ソロ、ピアノ伴奏の印象的なコンピング、どれもがハードバップで培われた演奏上のテクニックなんだが、これらが実に良いタイミングで、要所要所に散りばめられていて、聴いていてとても楽しい。聴いていて「ジャズってええなあ」って思う。

最後にジャケットも本当に「秀逸」。この『Cool Struttin'』のジャケについては、語り尽くされた感があるが、とにかく「ジャズ」している。白黒基調の。妙齢の女性のスラッとした足だけのジャケ写、そして、絶妙なバランスで配置されるタイポグラフィー。この盤に詰まっている音が、このジャケットを通して聴こえてくる様だ。大名盤である。
 
 
 
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2021年11月28日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・11

ジャズ・ピアニストの中で、一番ユニークな存在が「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」。ジャズ・ピアノを聴き始めて、ジャズ・ピアノ盤の紹介本を見ながら、名盤を聴き進めて行って、まず、ぶち当たる壁が「セロニアス・モンク」である。クラシックやポップスのピアノをイメージして、モンクのピアノを聴くと、まず訳が判らなくなる。

通常のクラシック・ピアノなどのフレーズの流れが「常識」だとすると、モンクのピアノは「非常識」。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが唯一無二。協調和音中心という次元から、かなり離れたもので、リズム的にも自然発生的な変則拍子が中心という、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極にあるモンクのピアノである。

Thelonious Monk『Thelonious Himself』(写真左)。1957年4月の録音。セロニアス・モンクのソロ・ピアノである。モンクのキャリアの絶頂期でのソロ・ピアノなので、モンクのピアノの真の個性が良く判る。違和感をバリバリに感じる不協和音。決してメロディアスとは言えない、ゴツゴツしたフレーズ。独特のスクエアな、幾何学的なスイング感。外れているようで、しっかりと独特なフレーズが流れている。おおよそ、普通の人達にとっては、今までに聴いたことが無いピアノ。
 

Thelonious-himself_1

 
しかし、僕が思うに、これが「ジャズ」であり、これが「ジャズ・ピアノ」の最右翼なのだ。即興演奏を旨とするジャズ、新しい音を創造するジャズ、そういうジャズが、本来の「ジャズ」とするなら、このモンクのピアノは明らかに「ジャズ」の極みに位置するものだ、と僕は思う。ジャズをとことん好きになるかどうかは、このモンクのピアノを受け入れられるかどうかにある位に思っている。

Original CD reissue (1987) のバージョンがお勧めなのだが、このバージョンのラストに入っている「'Round Midnight (In Progress)」を聴いて欲しい。22分に及ぶ長いトラックの中で、モンクはあれこれ考えながら、何度も慎重に音を選び直しながら、ブツブツと「あーでもないこーでもない」とつぶやきながら、演奏を組み立てていく。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方が、即興演奏を前提として、考え抜かれたもの、選び抜かれたものだということが良く判る。

この究極の即興演奏の様なモンクの音世界は、填まればとことん癖になります。僕がジャズを本格的にジャズを聴き初めて、これはジャズやなあ、と初めて心底感心したのが、このモンクのピアノであり、このモンクのソロ盤『Thelonious Himself』でした。ジャズを聴く、って理屈では無くて、パッと聴いてパッと感じるものだと思いました。その感覚は「ジャズを聴く時の心構え」として、僕の中にあります。いわゆる「モンクのピアノの教え」ですね。
 
 
 
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2021年11月18日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・10

ジャズ名盤とは何か。僕が思うに、その盤を聴くことで、ジャズの歴史を感じることが出来、ジャズの個性を感じることが出来る。そして、そのリーダーの個性が手に取るように理解出来、サイドマンの演奏が優秀。加えて、ジャケット・デザインが秀逸であること。いわゆる「ジャズが音楽の総合芸術であること」を実感できる盤が「ジャズ名盤」だと思うのだ。

Sonny Rollins『Saxophone Colossus』(写真左)。1956年6月22日、Prestigeレーベルからのリリースだが、この盤はブルーノートと同じ「Van Gelder Studio」での録音になる。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Max Roach (ds)。リーダーのソニー・ロリンズのテナー・サックス1管がフロントの「ワン・ホーン・カルテット」編成である。

まず、ジャケットを見て欲しい。青のモノトーンをバックに、テナー・サックスを吹くソニー・ロリンズの上半身のシルエット。そして、ジャケットの下に小粋なタイポグラフィー。ジャズのジャケットやなあ〜、と感心するし、盤の中の音が漏れ聴こえて来る様な秀逸なデザイン。良く見れば、凄くシンプルな、1つ間違えば陳腐に落ちるデザインなんですけどね〜。特にLPサイズは「映える」。やはり、名盤には優秀なジャケットが良く似合う。
 

Saxophone-colossus

 
内容的には申し分無い、非の打ち所の無いハードバップな演奏が詰まっている。出だしが、マックス・ローチのドラムソロ。大先輩にトップバッターをお願いするリーダー・ロリンズの謙譲心。それはともかく、全編に渡って、リーダー・ロリンズのテナーの、イマージネーション溢れるパフォーマンスが群を抜いている。ダンディズム溢れる大らかで創造的なアドリブは聴き応え満点。

サイドマンでは、フラナガンのピアノが素晴らしい。もともとはバップなピアノをバリバリ弾くタイプのピアニストなんだが、ロリンズのテナーの個性を十分に理解して、歌伴の如く、小粋で味のあるバッキングに徹しているところニクい。全編に渡って、ロリンズの「歌伴」に徹したフラナガンのピアノが聴き終えた後、ロリンズのテナーの次に印象にしっかり残っている。

そして、ラストの「Blue 7」に、ジャズのアーティスティックな面を垣間見る。ブルーな雰囲気を持つ、モダンでクールなブルース。ファンクネスは抑制され、観念的、かつ哲学的な響きが不思議な感覚。結構複雑な展開の楽曲だが、それぞれの楽器の即興演奏は見事。即興演奏であるが故、演奏上の小さなハプニングが記録されているが、それまでもがこの演奏の良いスパイスに響くから面白い。このラストの1曲が実にジャズらしいのだ。|
 
 
 
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2021年11月 2日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・9

マイルス・デイヴィスは僕のジャズの「最大のアイドル」である。マイルスの足跡、イコール、ビ・バップ以降のジャズの歴史でもある。ジャズの演奏スタイルについては、揺るぎない「信念」があった。フリー、スピリチュアル、フュージョンには絶対に手を出さない。マイルスはアコースティックであれ、エレクトリックであれ、いつの時代も、メインストリームな純ジャズだけを追求していた。

Miles Davis Quintet『The Legendary Prestige Quintet Sessions』(写真左)。1955年11月16日(The New Miles Davis Quintet)と1956年5月11日、10月26日(マラソン・セッション)の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane(ts), Red Garland (p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) 。

マイルス・デイヴィス・クインテットのマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』と、デビュー盤『The New Miles Davis Quintet』のプレスティッジ・レーベルに残したスタジオ録音の音源を録音順に並べたもの(と思われる)と、NYのBasin Streetでのライヴ音源(1955年10月18日)と フィラデルフィアのライヴ音源(1956年12月8日)を収録。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源が録音順に並んでいる(と思われる)のが、この企画ボックス盤の良いところ。マラソン・セッションの録音の流れとスタジオの雰囲気が追体験出来るようだ。4部作は、プレスティッジお得意の仕業、アルバム毎の収録曲については、曲と演奏の雰囲気だけで、てんでバラバラにLPに詰め込んでいる。アルバムとしては良いのだろうが、録音時期がバラバラなのはちょっと違和感が残る。
 

The-legendary-prestige-quintet-sessions_

 
さて、このマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源は、CBSからリリースされた『'Round About Midnight』と併せて、「マイルスの考えるハードバップ」の完成形である。全てが一発録り、アレンジは既に用意されていたようで、それまでに、ライブ・セッションで演奏し尽くしていた曲ばかりなのだろう。

今の耳で聴いても、相当にレベルの高い演奏である。即興演奏を旨とするジャズとしては、この一発録りが最良。マイルスはそれを十分に理解して、このマラソン・セッションを敢行したと思われる。細かいことは割愛するが、一言で言うと「非の打ち所」の無い、珠玉のハードバップな演奏である。これぞジャズ、という演奏の数々。素晴らしい。

1955年10月から1956年12月に渡って、録音順に並んだ音源集なので、振り返ってみるとたった1年2ヶ月の短期間だが、マイルス・デイヴィス・クインテットのバンドとしての成熟度合いと、コルトレーンの成長度合いが良く判る。

バンド・サウンドとしてはもともとレベルの高いところからスタートしているが、段階的に深化、成熟していくのが良く判る。コルトレーンについては、たった1年2ヶ月であるが、最初と最後では全く別人といって良いほどの「ジャイアント・ステップ」である。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』をアルバム毎に分けて聴くも良し、録音順に追体験風に聴くも良し、これら「マイルスの考えるハードバップ」の完成形は、ジャズとして「欠くべからざる」音源である。ジャズ者としては、絶対に聴いておかなければならない音源である。
 
 
 
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2021年10月22日 (金曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・8

ミンガス・ミュージック。雰囲気的になんだか難解な印象で、しかもバリバリ硬派な純ジャズ。時々、フリー・ジャズ的な雰囲気も時々不意を突くように入る。不協和音前提のユニゾン&ハーモニーは十八番中の十八番。振り返れば、実にジャズらしいジャズのひとつだと思うんだが、ジャズを聴き始めた頃は、このミンガス・ミュージックは実に「敷居が高い」。

Charles Mingus『Pithecanthropus Erectus』(写真左)。邦題『直立猿人』。1956年1月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Jackie McLean (as), J. R. Monterose (ts), Mal Waldron (p), Willie Jones (ds)。マクリーンのアルト・サックスとモンテローズのテナー・サックスが2管フロントのクインテット編成。ミンガス・ミュージックの最初の成果である。

この盤、ジャズ者初心者向けの名盤紹介に必ずと言って良い位、このタイトルが挙がるのだが、内容的には決して易しく無い。基本的に難解。ジャズの基本である即興演奏とジャズ演奏の自由度の高さ、ジャズの表現力の高さ、に着目したミンガス・ミュージックで、ハードバップが基調であるが、ビッグバンド志向の分厚いバンド・サウンドと自由度の高いアドリブ展開が特徴。
 

Pithecanthropus-erectus-mingus

 
アレンジが優れているのだろう、クインテット編成でビッグバンドの様な分厚い音。不安な気持ちを増幅させる様な不協和音の取り扱い。メンバーそれぞれのアドリブ演奏の自由度が高く、演奏スペースが広い。それでいて、テーマ部は整然とした、強烈に統制が取れたユニゾン&ハーモニー。そして、演奏全体の統制は、骨太でソリッドで強靱なミンガスのベースが執り行う。ミンガスのベースがあってこそ成立する「ミンガス・ミュージック」の極意がこの盤に詰まっている。

ジャズの表現力の高さは「A Foggy Day」で確認出来る。この曲はサンフランシスコのフェリー乗り場に向かうまでの霧の深い日の車のクラクション、警報の音、二日酔いの気怠さ等々、自らが感じた霧深き日の雰囲気を演奏で表現している、とミンガスはジャケ裏のライナーノーツで語る。この「表現力の高さ」は、このクインテット編成のメンバーそれぞれの力量に負うところが多い。それぞれが素晴らしいパフォーマンスを発揮している。

ポップな旋律、キャッチャーなメロディーはほぼ皆無。この盤は硬派で取っ付き難くはあるが、内容的には「良質のハードバップ」演奏が詰まっている。ストイックでその高度な内容はアーティスティックですらある。そういう意味でこの盤、初心者は要注意。ジャズを聴き始めて、即興演奏の妙とアドリブの優劣が判ってから、腰を据えて聴くことをお勧めする。
 
 
 

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2021年10月18日 (月曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・7

アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズは、1954年から1990年の36年間、アート・ブレイキーの下、活動し続けた、伝説のジャズ・バンドである。リーダーはブレイキーだが、他のメンバーはそれぞれの時代で入れ替わる。しかも、このジャズ・メッセンジャーズに所属して活躍したジャズマンは、おおよそ、一流のジャズマンとして育っていった。

Art Blakey & The Jazz Messengers『At the Cafe Bohemia, Vol. 1&2』(写真)。1955年11月23日、NYのライヴ・スポット「カフェ・ボヘミア」でのライヴ録音。ブルーノートの1507 & 1508番。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Kenny Dorham (tp). Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Doug Watkins (b)。ブレイキーとシルヴァーが共存した時代のザ・ジャズ・メッセンジャーズの傑作ライヴである。

1955年と言えば、ハードバップ初期から中期への移行期。ハードバップについて、その演奏の方法、雰囲気、音楽理論が体験的に整理され、その方法論が確立された時期。この『カフェ・ボヘミア』は、そんな時期にライヴ録音された、奇跡的なハードバップ演奏の記録である。なんせ、このライヴ盤2枚に録音されている内容については「文句の付けようが無い」。
 

At-the-cafe-bohemia

 
演奏の要は「ブレイキーとシルヴァー」。ブレイキーのドラミングは、ハードバップ期の代表的ドラミングの1つ。演奏のリズム&ビートを牽引し、フロント楽器を鼓舞し、フロント楽器の展開をコントロールする。コードがベースのハードバップにおいて、シルヴァーのピアノの演奏スタイルは、ハードバップ期の流行スタイルの1つ。後のファンキー・ピアノの先駆。ワトキンスのベースは、ブレイキーとシルヴァーとの「ビート」の橋渡し役。このバンド演奏の「ビート」の方向性を示し続けている。

フロント楽器に目を転じると、このライヴ盤でのハンク・モブレーは何時になく絶好調。というか、モブレーのサックス奏者としての生涯最高のブロウかもしれない。それほどまでに内容が素晴らしい。ケニー・ドーハムのトランペットも同様。そのパフォーマンスがバラツキがちなドーハムが、優れたテクニックでバリバリ吹きまくっている。このフロント2管のパフォーマンスは、ハードバップ期を代表するものの1つだろう。

このライヴ盤のハードバピッシュ度は相当に高い。ハードバップ演奏の良好なサンプルであり、ショーケースでもある。ハードバップとは何か、に迷ったら、僕はこの盤を聴く。この盤にある演奏の好要素を記憶に留めて、他のハードバップの演奏を聴く。ハードバップ演奏の基準となる演奏がこのライヴ盤に詰まっている。
 
 
 
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2021年10月 6日 (水曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・6

僕なりのジャズ超名盤研究の6回目。超名盤の類は、僕の場合、基本的にジャズを聴き初めて4〜5年以内に聴いている。ジャズ盤紹介本に絶対にその名が出る、いわゆる「エヴァーグリーン」な盤ばかり。演奏内容、演奏メンバー、そして、ジャケット、どれもが「ジャズ」を強烈に感じさせてくれる優れた盤ばかりである。

Miles Davis『'Round About Midnight』(写真左)。1955年10月26日、1956年9月10日の2セッションの記録。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。マイルス・デイヴィス、1950年代「黄金のクインテット」である。

マイルス・デイヴィスは、ジャズを本格的に聴き始めるまでに、既に大のお気に入り。特に、この盤はジャズを本格的に聴き始めて、2ヶ月目くらいに手に入れた。まず、ジャケットが格好良い。スタイリストなマイルスの面目躍如。いまにも、冒頭の名曲「'Round About Midnight」のイントロ、マイルスのクールでアーバンなミュート・トランペットが聴こえてきそうなジャケット。

内容的には、1955年というハードバップの初期から中期に差し掛かる時期に、既に完成された、当時の最先端を行くハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。クールで限りなくシンプルなハードバップ。それでいて、演奏内容はかなり高度なテクニックと小粋なアドリブが満載。聴き易くクールでダンディズム溢れる、マイルス・ミュージックがこの盤に展開されている。
 

Round-about-midnight

 
マイルスのトランペットは申し分無い。というか、当時のベスト・プレイだろう。マイルスのトランペットはクール、そして色気タップリである。「マイルスは下手だ」なんていう評論家がいたが、とんでもない。即興を旨とするジャズにおけるトランペットとしては「ハイ・テクニシャン」の部類だ。

そもそもクラシックのトランペットと比べること自体がナンセンス。そもそも吹き方、表現方法が全く異なる。ジャズに限定すると、マイルスのトランペットは優秀だ。特にミュート・トランペットは絶品。その絶品もミュート・トランペットが、冒頭の1曲目、タイトル曲の「'Round About Midnight」で堪能出来る。

この時期のコルトレーンは「下手くそ」なんて言われていたが、とんでもない。荒削りではあるが、音の存在感、ストレートな吹き味、オリジナリティー溢れるアドリブ展開は、既に他のサックス奏者と比べて突出している。そして、ガーランド+チェンバース+フィリージョーのリズム隊の安定度の高さと伴奏上手なテクニックは特筆もの。マイルスのトランペットを更に引き立たせる「マスト・アイテム」。

収録された全ての演奏が「超優秀」。この『'Round About Midnight』という盤は、マイルスが「超一流」なトランペッターとして、ジャズのイノベーターとしての第一歩を記した、歴史に永遠に残る超名盤だろう。いわゆるハードバップ・ジャズの「基準」であり「試金石」的なアルバム。聴く度に「脱帽」である。
 
 
 

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2021年8月23日 (月曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・5

僕なりの超名盤研究の5回目。40年以上、ジャズ盤を聴き続けてきて、今でも新盤は極力押さえて聴き続けている場合、こういう超名盤の類については、時間の関係上、なかなか聴き直すチャンスが無い。

この20年辺りはテーマを決めて、そのテーマに合致したジャズ盤を聴き直したり、リイシューされた初聴の盤や月毎にリリースされる新盤を聴いたりしている。超名盤を聴き直すまとまった時間がなかなか取れないのだ。よって、今回の「僕なりのジャズ超名盤研究」のシリーズって、超名盤を聴き直す「またとない機会」で、これはこれで実に楽しい時間を過ごさせて貰っている。

『Helen Merrill』(写真左)。別名『Helen Merrill With Clifford Brown』。1954年12月の録音。ヘレン・メリルの初リーダー盤。ちなみにパーソネルは、Helen Merrill (vo), Clifford Brown (tp), Danny Bank (b-cl, fl, bs), Jimmy Jones (p), Barry Galbraith (g), Milt Hinton, Oscar Pettiford (b), Osie Johnson, Bobby Donaldson (ds), Quincy Jones (arr, con)。

「ニューヨークの溜息」と謳われたヘレン・メリルの代表的名盤である。そして、早逝の天才トランペッター、クリフォード・ブラウンとの優れた共演でも有名。アレンジャーに、若手の優秀なアレンジャーとして活躍していたクインシー・ジョーンズを採用。

ヘレン・メリルは1930年生まれなので、この盤の録音時は24歳。クリフォード・ブラウンの起用も、クインシー・ジョーンズの起用も、ヘレンの意志だったというから凄い。
 

Helen_merrill

 
1950年代前半のジャズ・ヴォーカル盤としては、確かにアレンジが優れていて、とってもモダンなイメージがする。今の耳で聴いてもあまり古さを感じさせないアレンジは、さすが「Q(クインシー)」である。

この優れたモダンなアレンジに乗って、ヘレン・メリルの歌伴を担当するクリフォード・ブラウン(ブラウニー)のトランペットが凄い。ヘレンは肉声で唄い、クリフォードはトランペットで唄う。つとに有名なのは2曲目の「You'd Be So Nice to Come Home To(邦題:帰ってくれたら嬉しいわ)」のブラウニーだが、実は全曲全編に渡って、ブラウニーのトランペットが炸裂しまくっているから、これまた凄い。

しかも、今回、よく聴いてみると、ヘレン・メリルのヴォーカルを引き立て、ヘレン・メリルのヴォーカルに寄り添うべく、トランペットの音色を調節している。前奏・間奏時には、張りのある疾走感溢れるブリリアントな音色。ヘレン・メリルのヴォーカルに寄り添い、ユニゾン&ハーモニーを奏でる時は、柔らかで包み込む様なウォームな音色。ブラウニーのトランペットのテクニック、恐るべしである。

ヘレン・メリルのヴォーカルの素晴らしさは言うまでも無い。ニューヨークの溜息、ヘレンのボーカル全開。聴いていて爽やかで、聴いていてクール。判り易くて、聴き易いボーカル。「ニューヨークの溜息、日本の恋人」と形容されるのが、とても良く理解出来るヘレンのボーカルである。

凄く久し振りにこの超名盤を聴いたのだが、やっぱり「良いものは良い」。ヘレンの歌唱とクリフォードのトランペットとの「奇跡の邂逅」の記録である。
 
 
 
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2021年8月21日 (土曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・4

「僕なりの超名盤研究」の第4回目。この盤については、どのジャズ盤紹介本でも「ジャズの代表的な演奏トレンドであるハードバップの始まりを記録した盤」としている。いわゆる「ハード・バップ誕生の瞬間」を記録した歴史的名盤と評価されている。が、売り文句としては実にキャッチャーな表現だが、この盤が記録したライヴ・パフォーマンスを境目に、ハードバップが一気に展開されていった訳ではない。

Art Blakey『A Night at Birdland Vol.1&2』。1954年2月21日、NYのライブスポット、バードランドでのライヴ録音。邦題『バードランドの夜』。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Clifford Brown (tp), Lou Donaldson (as), Horace Silver (p), Curley Russell (b)。アナウンスは「Pee Wee Marquette」。バードランドの夜は、このピー・ウィー・マーケットの熱気溢れる紹介アナウンスから幕を開ける。臨場感抜群である。

さて、この『バードランドの夜』、この演奏がハードバップの萌芽とされる訳だが、聴いてみてどこがそうなんだか、特に、ジャズを聴き始めた頃、このライヴ盤を聴いても「さっぱり判らん」が正直なところ。

ところで「ハードバップ」とは何か、であるが、Wikipediaを紐解き、要約すると「アメリカ東海岸で、1950年代に始まり1960年代まで続いた演奏スタイル。一般的なジャズサウンドのイメージはこのスタイルと言える。アレンジなどにも工夫を凝らし、メロディアスで聴きやすいと同時に、演奏者の個性や情熱を表現することができ、大衆性と芸術性の共存を可能とした演奏スタイル」とのこと。

これでもまだ「良く判らん」なので、他の演奏スタイルと比較してみる必要がある。ハードバップに至るまでのジャズの演奏形式の変化である。これをやらないと、この『バードランドの夜』を聴いても、何が「ハード・バップ誕生の瞬間」を記録した歴史的名盤なのか、さっぱり判らないままである。
 

A-night-at-birdland

 
ハードバップの前の流行の演奏スタイルは「ビ・バップ」。最初に決まったテーマ部分を演奏した後、コード進行に沿いつつ、自由な即興演奏を順番に行う形式。演奏テクニックとアドリブ・フレーズの優秀性に重きが置かれ、スインギーな側面やメロディーを楽しむ側面はそぎ落とされ、アクロバティックな即興演奏だけが着目される演奏形式となった。音楽としての「聴き手」の嗜好を無視した内容に陥り易く、ジャズの大衆性が阻害され易い演奏形式ともいえる。

で、比較である。まず、ビ・バップの演奏の雰囲気は、Dizzy Gillespie『Groovin' High』(2015年7月28日のブログ参照)などで感じることが出来る。次に、ビ・バップからハードバップの過渡期の雰囲気は、Charlie Parker『The Genius Of Charlie Parker, #3 - Now's The Time』(2021年4月8日のブログ参照)、そして、ハードバップ初期の雰囲気はこの『A Night at Birdland Vol.1&2』で感じることが出来る。

特に面白いのは、ビバップからハードバップの過渡期の雰囲気を記録してパーカー盤。ビバップの祖の一人、パーカーがメインとなっているリーダー作だが、内容的には、ハードバップの特色である「アレンジなどにも工夫を凝らし、メロディアスで聴きやすいと同時に、演奏者の個性や情熱を表現する」部分の兆しがこの過渡期の盤に記録されている。確かにこのパーカー盤はビ・バップでは無い。

そして、今回の『バードランドの夜』。確かに、この盤の演奏は明らかに「アレンジなどにも工夫を凝らし、メロディアスで聴きやすいと同時に、演奏者の個性や情熱を表現する」部分が貫かれている。曲のコードをより細かく分けたり、テンポの速くして演奏をより複雑にしたり、演奏のニュアンス、バリエーション豊かにして、演奏の表現力を豊かにした、いわゆる「聴かせること」そして「アーティスティックなこと」を前面に押し出した演奏は聴き応え十分。

このライヴ盤には、ハードバップの要素がぎっしり詰め込まれている。しかも、このアルバムはスタジオ盤では無い、一発録りのライブ録音。つまり、1954年には、皆が皆では無いにしろ、このハードバップ的な演奏がライヴで、一発録りな雰囲気で行われていたのである。当時のジャズの演奏レベルの高さというものを改めて感じる。
 
 
 
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2021年8月17日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・3

「僕なりの超名盤研究」の第3回目。僕はジャズを聴き始めた頃から、アルト・サックスと言えば「アート・ペッパー(Art pepper)」がお気に入り。1925年、米国カリフォルニア出身、破滅型のジャズ・レジェンド。麻薬禍との葛藤の中、刑務所に出たり入ったり。そんな劇的な人生の中で、多くのジャズ名盤を残しつつ、1982年6月、56歳で鬼籍に入っている。

ペッパーのアルト・サックスは「力強くて流麗」。力感溢れる、しっかりとした吹きっぷりだが、出てくるアドリブ・フレーズは「流麗」。アルト・サックスがフルフルで良く鳴っている。ペッパーのアルト・サックスによる「力強くて流麗」なアドリブ・フレーズは、何時聴いても「惚れ惚れ」する。

1960年代後半、薬物中毒者のためのリハビリテーション施設シナノンに収監されるが、その前後で、ペッパーの演奏スタイルは180度変わるとされるが、僕はそうとは思わない。

シナノン収監前は、典型的な米国西海岸ジャズ、西海岸のハードバップなスタイル。シナノン収監後は、コルトレーンのフォロワーとして、フリーキー&スピリチュアルな吹奏が加わるが、どちらの演奏スタイルも根っ子は「力強くて流麗」なアルト・サックス。シナノン収監後は、演奏スタイルの幅が広がったと解釈すべきだろう。
 

Surf_ride

 
そんなペッパーのシナノン収監前の名盤が、Art Pepper『Surf Ride』(写真左)。1952年3月の録音。アート・ペッパーの初リーダー作である。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Hampton Hawes (p), Joe Mondragon (b), Larry Bunker (ds)。アート・ペッパーのアルトのワンホーン作である。

アルバムの内容は聴けば判る、典型的な米国西海岸ジャズ。ほど良いアレンジが施された「聴かせるジャズ」である。ペッパーの「力強くて流麗」なアルト・サックスが、この米国西海岸ジャズの特徴である「聴かせるジャズ」に拍車をかける。収録された全ての曲において、ペッパーのアルト・サックスの「力強くて流麗」な吹きっぷり、「力強くて流麗」なアドリブ・フレーズが印象に強く残る。

加えて、このアルバムの演奏を聴くと、米国西海岸ジャズの特徴と個性がとてもよく判る。良くアレンジされた構成。響きが心地良いユニゾン&ハーモニー。演奏の質は中音域を十分に活かして「軽やか」。アドリブ・フレーズは「小粋で洒脱」。ポップで聴き心地の良いアンサンブル。米国西海岸ジャズの好例としてもお勧め。

『Surf Ride』=「波乗り」=黄色ビキニのお嬢さん、的なイラスト・ジャケット。いや〜、飛び切り「アメリカン」である。初めて目にした時には「ドン引き」したなあ。が、このジャケットに臆すること無く、この盤はジャズ者万民の方々に聴いて欲しい超名盤である。
 
 
 
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