2022年8月28日 (日曜日)

土曜日の「Super Guitar Trio」

1981年のリリースで、アル・ディ・メオラ、ジョン・マクラフリン、パコ・デ・ルシアという3人のギタリストによる、アコースティック・ギター3本だけの演奏を収録したライヴ盤があった。

超絶技巧なフュージョン系ギタリスト二人と、超絶技巧なフラメンコ・ギターの雄、3人でのライヴ・パフォーマンス。この3人の名前を見ただけでも「フュージョン(融合)」な取り合わせを感じて、今の耳で聴いても、素晴らしいライヴ・パフォーマンスの記録である。

そのライヴの記録とは『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』(写真右)。 超絶技巧の限りを尽くした、目眩くアコギの弾きまくり。それが1人では無く、3人がかりでやるのだから、そのパフォーマンスたるや、それはそれは、ど迫力で呆れるばかりのハイテクニックの嵐。

1981年と言えば「フュージョン・ジャズ」の全盛期のピーク。もともと、フュージョン・ジャズはギターが人気で、そのギターは超絶技巧、目眩く速弾きフレーズの弾きまくりが「目玉」。そんなフュージョン・ギターの最高峰の演奏が、この『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』であり、そんなライヴ盤が、フュージョン・ジャズの全盛期のピークにリリースされ、人気を博した。ジャズの歴史の中で、象徴的なライヴ盤だった様な気がする。

Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia『Saturday Night in San Francisco』(写真左)。1980年12月6日、米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Al Di Meola, John McLaughlin, Paco De Lucia (g)。超絶技巧ギタリスト3人のライヴ・パフォーマンスの記録になる。
 

Saturday-night-in-san-francisco_1

 
先にご紹介した『Friday Night In San Francisco(邦題:スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !)』は、このライヴ盤が録音された前日のライヴ音源。録音場所は同じ「米国サンフランシスコのウォーフィールド劇場」。今回リリースされたライヴ音源は、既出の『スーパー・ギター・トリオ・ライヴ !』の収録日の翌日、全く同じメンバー・会場でのライヴ録音の音源になる。

しかし、こんな音源が21世紀になって発掘されるとは驚きである。この6日の公演はこれまで録音されていないと思われていたのだが、アル・ディ・メオラ所有の16トラックのテープを見直し、12月6日の公演から未発表の8曲を見つけ出した、のこと。なんせ、12月5日の公演で演奏した当の本人達も、第二夜を演奏したことを覚えてなかったらしい。よく発掘したもんだ。

さて、内容的にはどうか、と聴けば、12月5日の『Friday Night In San Francisco』の伝説的パフォーマンスと勝るとも劣らない、素晴らしいパフォーマンスが展開されてるから、二度驚き、である。

曲のレベルも遜色無い。例えば、「金曜日版」の出だしが「Mediterranean Sundance」に対して、この「土曜日版」の出だしが「Splendido Sundance」と、全曲、同じハイレベルの楽曲が並んでいる。

特に、この「土曜日バージョン」は、3人それぞれのソロ・パフォーマンス、無伴奏のソロ曲が3曲、記録されている。しかし、3人のギター・テクニックの凄まじさたるや、感動を通り超して、呆れるほどの超絶技巧さ。しかも、歌心が溢れ、即興性の高いインタープレイは見事という他は無い。
 
 

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2022年5月10日 (火曜日)

モントルーのマクラフリン集です

昨日、ジョン・マクラフリンのアルバムについて語った訳だが、ちょうど、もう一枚、マクラフリン関連のライヴ盤があることに気がついた。しかし、マクラフリンは、1942年生まれなので、今年で80歳の大台に乗る。21世紀に入ってからも、過激でダイナミックで尖ったエレギの「トップ集団」をキープしているのは凄い。

John McLaughlin & The Mahavishnu Orchestra『John McLaughlin: The Montreux Years』(写真左)。1984~2016年 歴代モントルー・ジャズ・フェスティヴァル出演時のライヴ音源を収録したベスト盤的内容。1984年のマハヴィシュヌ・オーケストラを率いての演奏から、1987年のパコ・デ・ルシアとのライヴ、そして新しい所では 2016年のフォース・ディメンションを率いてのライヴまでが収録されている。

マクラフリン自らが、膨大なライヴ音源の中から、選曲と編集を手掛けているらしく、演奏内容はどの曲もピカイチ。マクラフリン本人のエレギ・アコギはもとより、共演者のパフォーマンスもピカイチ。どの演奏も「どれだけ凄い人選をしてるん」と呆れるほどの、エモーショナルでダイナミックで尖り具合である。いかに、モントルー・ジャズ・フェスでの演奏は内容が濃かったか、である。
 

John-mclaughlin_the-montreux-years

 
マハヴィシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオ、ファイヴ・ピース・バンドなどの、その時代毎の先端を行くグループやユニットで活躍してきたマクラフリンだが、このモントルー・ライヴを聴いていると、これだけ個性の強いギターでありながら、バンドや共演者が異なれば、個性のベースはそのままに、しっかりとそのバンドの目指す音世界や共演者と目指す音世界に合わせて「音や弾き方」を微妙に変えているのには感心する。

特に「マハヴィシュヌ・オーケストラ」名義の演奏は、1970年代、一世を風靡したマハヴィシュヌでのエレギの音を忠実に再現している、というか、テクニック的に深化しているのが凄い。パコ・デ・ルシアとの共演では、あの「スーパー・ギター・トリオ」の時と同じ、アコギの音がブワーッと広がって、「ああ、これこれ、この音」と懐かしく思い出される。エレギ、アコギの音を聴いて、その時のバンドや共演者がすぐに浮かぶって、やっぱり凄い。

マクラフリンのギターの歴史を、モントルーのライヴ音源で振り返るって、やっぱり良い企画ですね。音もかなり良いし、演奏内容は充実してる、で聴き応え十分。やっぱり、マクラフリンって凄いな、って改めて思いました。脱帽です。
 
 

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2022年5月 9日 (月曜日)

未だ過激で捻れるマクラフリン

アラン・ホールズワースの初リーダー作を聴いていて、やっぱり、クロスオーバー系のジャズ・エレギって、ロックよりもバカテクで、ロックよりも尖っていて捻れていないとな、と思った次第。と同時に、やわなロック・ファンはついてこられない、過激でダイナミックで尖ったエレギの始祖「ジョン・マクラフリン」の名前が浮かんだ。で、ライブラリーを漁っていたら、好適な盤に出くわした。

John McLaughlin & The 4th Dimension『The Boston Record』(写真左)。2013年6月22日、米国ボストンの「Berklee Performance Center」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Gary Husband (key), Etienne M'Bappe (b), Gary Husband, Ranjit Barot (ds), Ranjit Barot (voice)。

2013年に行われノースカロライナ、ニューヨーク、トロントなど8カ所を廻ったツアーのボストン公演の演奏を収めたライブ盤になる。ギター、キーボードに、ベース、そして、部分的にダブル・ドラムの厚みのある編成。マクラフリンは1942年生まれなので、録音当時71歳(!)。往年のハードで捻れたエレギに磨きがかかって、大迫力のパフォーマンスである。とても70歳を過ぎた翁とは思えない。
 

John-mclaughlin-the-4th-dimensionthe-bos

 
キーボードのゲイリー・ハズバンドは「Allan Holdsworth Group」などで活躍、ベースのエティエンヌ・ムバッペは「The Zawinul Syndicate」などで活躍、そして、ドラムのランジット・バロットはジョン・マクラフリンから「ドラムの最先端の1つ」と評価されるインド人打楽器奏者。現代の最先端のエレクトリック・ジャズをやる上で、申し分の無いラインナップである。

マクラフリンは、若かりし頃、1960年代後半から1970年代の尖りまくった、他の追従を許さないハードなエレギに、約半世紀の年を経て、成熟と余裕、そして更なるバカテクをかまして、このライブで弾きまくっているから凄い。アドリブ・フレーズは大らかに尖って展開し、他の楽器とのインタープレイは更に過激に立ち回る。それでいて、聴き心地は良好で、決して耳に五月蠅くない。成熟と安定のエレ・ジャズである。

ホールズワースが鬼籍に入り、ジョンスコとパットがやや大人しくなって、過激でダイナミックで尖ったエレギ・ギターの担い手もマイナーな存在になりつつある昨今、この大御所マクラフリンが「この過激さ、この捻れ具合」は脱帽もの。スピリチュアルな側面も充実していて、まだまだ現役。逆に、若手ギタリストの奮起を促す様な、素晴らしいパフォーマンスの記録である。
 
 

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2021年9月19日 (日曜日)

マクラフリン、5年振りの新作

1975年1月、マイルス・デイヴィスが来日、途方も無いエレクトリック・ジャズを展開。FMでその実況録音を聴いて以来、エレクトリック・ジャズが大のお気に入りである。クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックでのエレクトリック・ジャズが大好物。更に、エレクトリックな純ジャズにおいては、もう諸手を挙げて大のお気に入りである。

John McLaughlin『Liberation Time』(写真左)。2021年7月のリリース。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g, p), Sam Burgess, Etienne Mbappe, Jerome Regard (b), Vinnie Colaiuta,Nicolas Viccaro (ds), Jean-Michel Aublette (b, ds), Gary Husband (key), Roger Rossignol,Oz Ezzeldin (p), Ranjit Barot (ds, vo), Julian Siegel (ts)。

クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックにおけるエレギのレジェンド、ジョン・マクラフリンの5年振りのスタジオ・アルバムになる。ジョン・マクラフリンは、1942年生まれなので、今年で79歳。もう大ベテランの域を過ぎて、レジェンドの域に達している。僕が、ジョン・マクラフリンのエレギに出会ったのは、マイルスの『Bitches Brew』。クロスオーバーでプログレッシヴ、切れ味抜群でパワフルなエレギは聴いて直ぐにお気に入りになった。
 

Liberation-time-ohn-mclaughlin

 
今回の新作も、パワフルなグルーヴ、超絶技巧な弾き回し、適度に捻れて適度にプログレッシヴなマクラフリンのエレギは健在。1曲目の「As the Spirit Sings」から無茶苦茶に格好良いエレギを披露してくれる。うむむ、何時も何時の時代もマクラフリンのエレギは裏切らない。全編に渡って、往年のマクラフリンのエレギが疾走する。これで、今年79歳か。素晴らしいの一言。

今回の新作には、アコースティックなジャズの雰囲気も入っていて「粋」。マクラフリンはピアノを弾いていて、マクラフリンのピアノ・ソロの短曲2曲、4曲目の「Mila Repa」と、6曲目の「Shade of Blue」は、とても余芸とは思えない位に美しい響き。パワフルでグルーヴィー、超絶技巧な弾き回しの曲の合間の「一服の清涼剤」である。

マハヴィシュヌ・オーケストラ、シャクティ、スーパー・ギター・トリオ、ファイヴ・ピース・バンド等々、数々の伝説的グループを生み出してきた、クロスオーバー&フュージョン、そして、ジャズ・ロックにおけるエレギのレジェンド、ジョン・マクラフリン。今回は、ザ・フォース・ディメンションを率いての5年振りのスタジオ盤。傑作である。
 
 
 
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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

 
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2021年7月 2日 (金曜日)

第2期マハヴィシュヌ・オケの傑作

マクラフリン率いる「マハヴィシュヌ・オーケストラ」。今の耳で聴けば、これはジャズロックの体をした「プログレッシヴ・ロック(略して「プログレ」)」である。マハヴィシュヌ・オーケストラのメンバー自体、ジャズ畑からの参入なので、クロスオーバー・ジャズのジャンルに留め置いたが、どうも最近の「今の耳」で聴き直すと、どうもこれは「プログレ」ではないかと(笑)。

John McLaughlin with Mahavishnu Orchestra『Apocalypse』(写真)。邦題『黙示録』。1974年3月の録音。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Gayle Moran (key, vo), Jean-Luc Ponty (el-vln), Ralphe Armstrong (b, vo), Narada Michael Walden (ds, perc, vo)。

ギターのジョン・マクラフリンを除くメンバーががらりと変わった、マハヴィシュヌ・オーケストラの第2期の作品になる。プロデューサーが「ジョージ・マーティン (George Martin)」。これが大正解だった。エレ・ジャズとプログレとクラシックの「融合音楽」をものの見事にプロデュースしている。

ロンドン・シンフォニー・オーケストラとの共演が興味深い。ジャズのバンドや演奏者がムーディーな雰囲気を増幅するのに、オーケストラとの共演をするのはたまにある。が、ジャズロック、クロスオーバー・ジャズがオーケストラと共演するのは、ロックバンドがオーケストラと共演する様なもので、あまり例が無く、成功例は少ない。
 

Apocalypse

 
しかし、このマハヴィシュヌ・オーケストラとオーケストラの共演、よく練られていて、ジャズとロックとオーケストラの融合。つまり、クロスオーバー・ジャズの真骨頂とでも言いたくなる、素晴らしい「融合」音楽が成立している。

電気楽器の音がジャジーな分、オーケストラの音と良く馴染む。マクラフリンのクロスオーバーなエレ・ギターと、ジャズロック側のジャン=リュックポンティの電気バイオリンとが、オーケストラの弦との間の「橋渡しの役割」を担って、違和感無く融合していて違和感が無い。オーケストラの音が、静的なスピリチュアル・ジャズに通じる響きを供給していて、マハヴィシュヌ・オーケストラの「プログレ」な音を増幅している。

ゲイル・モランのボーカルも幻想的でスピリチュアル、ドラムはなんと、ジェフ・ベック「WIRED」でのドラマー、マイケル・ウォールデンで、乾いたファンクネスが漂うロックビートなドラミングがユニーク。

音的には、第1期マハヴィシュヌ・オーケストラの様な、切れ味良くテンション溢れ、畳みかけるような展開は影を潜め、代わって、叙情的でシンフォニックな展開がメインになっている。エレ・ジャズとプログレとクラシックの「クロスオーバー・ミュージック」。そんな魅力的な音世界がこのアルバムに詰まっている。
 
 
 

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  ・Santana『Inner Secrets』1978

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2021年7月 1日 (木曜日)

マハヴィシュヌ・オケのライブ盤

もともと自分は「ロック・キッズ」出身。中学時代には、深夜放送を中心に「ロック&ポップス」のシングル曲をせっせと聴いていた。高校時代に入って、本格的に「ロック・キッズ」の仲間入り。高校一年生の頃、プログレッシヴ・ロック(略して「プログレ」)にドップリ填まった。いわゆる「プログレ小僧」化し、あれから50年経った今でも「プログレ盤」は大好きで、ジャズの合間の耳休めにちょくちょく聴いている。

このプログレであるが、英国においてはロックとジャズの境界線が曖昧。クロスオーバー・ジャズの中で、ロックからジャズへ、ジャズからロックへ、双方向からのアプローチがあって混沌としている。判別のポイントは、ロックからジャズへのアプローチは「シンプルでポップで判り易い」、言い換えれば「単純」。ジャズからロックへのアプローチは「テクニカルで複雑」、言い換えれば「判り難い」。

ロックからジャズへのアプローチの代表例が「プログレ」で、ロックにジャズの要素を混ぜ込むことで、ちょっとアカデミックな雰囲気が漂い、その辺のやんちゃなロックとは一線を画すことが出来る。「プログレ」は演奏テクニックが優秀で、ジャズの要素を取り込み事が出来たのだ。

逆に、ジャズにロックの要素を混ぜ込むことで、アコースティック一辺倒だったジャズの「音の表現」に、電気楽器の新たな「音の表現」が加わり、新しいジャズの響きが生まれる。特に「エレ楽器や8ビート」の導入は、それまでに無い、全く新しいジャズの表現方法を生み出した。
 

Between-nothingness-eternity

 
John McLaughlin with Mahavishnu Orchestra『Between Nothingness & Eternity』(写真左)。1973年8月18日、NYのセントラルパークで行われた「Schaefer Music Festival」でのライブ録音。リリース当時の邦題は「虚無からの飛翔」。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Jan Hammer (key), Jerry Goodman (vln), Rick Laird (b), Billy Cobham (ds, perc)。

クロスオーバー・ジャズの代表格、ジャズ畑のエレ・ギターの雄、ジョン・マクラフリンがリーダーのマハヴィシュヌ・オーケストラのライヴ盤。聴けば良く判るが、演奏のベースはジャズである。そこにロックの要素(エレ楽器や8ビート)をタップリ注入し、ジャズの即興演奏の要素を前面に押し出す。

しかしながら、エレ・マイルスとは異なり、このマハヴィシュヌ・オケの音に「ファンクネス」は希薄。ファンクネスを極力抑えることによって、ロックとの融合の印象をより強くする作戦。ライヴ音源だとそれが良く判るし、その作戦は成功している。マハヴィシュヌ・オケの音は、驚異的なハイ・テクニックの下、リズム&ビート、およびアドリブ・フレーズは「捻れていて複雑」かつ「ストイックでアーティスティック」。

恐らく、マハヴィシュヌ・オケは英国をはじめ欧州でウケたのではないか。演奏内容が「テクニカルで複雑」なので米国では、欧州ほどにはウケなかったと思われる。我が国では、当時、エレ・ジャズは異端とされていたので論外(笑)。元「プログレ小僧」だったジャズ者の方々に是非お勧めの「マハヴィシュヌ・オケ」である。
 
 
 

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2015年9月 9日 (水曜日)

雨の日には爽快な純ジャズを

鬱陶しい雨の日がかなり長く続きます。今日などは台風の影響で、関東地方各地で大雨警報や避難勧告が出まくっていて、会社も電車も混乱しています。いやはや、もう2週間近く、雨や曇りの毎日で、もう身体も心もカビだらけ、です(笑)。

これだけ鬱陶しい日が続くと、気持ちも沈鬱になってきます。こういう時は、スカッと爽快なジャズが聴きたくなります。硬派で切れ味良くて、小気味良くて、脳髄にガツンと来るヤツ。

こういう時はかなりの頻度でこのアルバムを選ぶ傾向にあるようです。そのアルバムとは、John McLaughlin『After the Rain』(写真左)。1994年の作品。ちなみにパーソネルは、John McLaughlin (g), Joey DeFrancesco (org), Elvin Jones (ds)。硬派なジャズメンのトリオ構成。

マクラフリンはあのマイルスも認めるジャズ・エレギのバーチュオーゾ。テクニック抜群、とにかく尖った切れ味抜群の力感溢れるエレギのフレーズはマクラフリン独特のもの。そして、オルガンのデフランセスコは、躍動感溢れる、切れ味の良いプログレッシブなオルガンが持ち味。この二人のモーダルな鋭角フレーズが実に攻撃的。

そして、バックに控えるのがドラムのエルヴィン・ジョーンズ。あのコルトレーンの伝説のカルテットのドラマー。豪快なポリリズムを叩き出す、重戦車の様なドラミング。フロントの二人の鼓舞しまくって、バシンバシンと叩きまくる。
 

After_the_rain

 
この硬派な3人が、これまた硬派な楽曲を弾きまくり、叩きまくる。冒頭の「Take the Coltrane」の、その疾走感と力感溢れるアドリブ・フレーズに「おおっ」と身を乗り出す。バックでエルビンがバッシバッシとスネアをしばく。

2曲目「My Favorite Things」は、コルトレーンの十八番だった曲。この曲では、オルガンのデフランセスコのアグレッシブで流麗なアドリブ・フレーズが爽快感抜群。滑らかであるが切れ味抜群、スピード感抜群で聴き応え抜群。そして、バックでエルビンがバシャバシャとシンバルをしばきまくる。

以降、目眩く、テクニック抜群、尖った切れ味抜群の力感溢れる演奏が続きます。そして、意外とマクラフリンが純ジャズしていて、正統派フレーズを繰り出しています。捻りの少ない素直なエレギのマクラフリン。その素性の素晴らしさを再認識します。

加えて、エルビンの、叩きまくってはいるが、実に趣味の良い、典雅なドラミングは特筆すべき素晴らしさ。叩きまくっているのに、決して耳につかない、フロントのギターとオルガンを損なうこと無く、優雅に鼓舞する余裕のドラミング。さすが、レジェンドが故の余裕綽々の攻撃的ドラミング。硬派です。

最近続く雨降りの鬱陶しい日々の中、聴く毎にスカッと爽快感が残る、硬派な純ジャズです。余裕溢れる、和やかなトリオ演奏ですが、その攻撃性、プログレッシブ性が見え隠れして、「おおっ」と身を乗り出す自分に気が付いて、なんとも思わず「苦笑い」。力感溢れる硬派なアルバムです。

 
 

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2014年12月11日 (木曜日)

1970年代マクラフリンの総決算

エレ・マイルスから現れ出でた、自由度の高い、ハイテクニックでジャズ・ロックなエレギ。ジョン・マクラフリンである。この人のエレギは凄い。とにかくテクニックがもの凄い。そして、音色のバリエーションが凄い。そして、出てくるフレーズの自由度が相当に高い。アル・ディ・メオラと並んで、ジャズ・ロックなエレギの最高峰。

そんなマクラフリンの1970年代の演奏活動の総決算的なアルバムがある。John Mclaughlin『Electric Guitarist』(写真)である。1978年のリリース。前半3曲はマクラフリンともう一人のソロイストを中心としたセッション。後半4曲はクァルテット、トリオ、デュオと1曲ごとにメンバーが減っていき、最後にマクラフリンのソロで締めるという構成。

この構成を見ても、このアルバムは、1970年代のマクラフリンの総決算的な位置づけのアルバムということが言える。様々な表現を駆使するマクラフリンを聴くことが出来て、とにかく、マクラフリンの凄さが思いっきり体感できる。

参加ミュージシャンが凄い。冒頭の「New York On My Mind」は、マクラフリン的にハードで捻くれてはいるが、意外とソフト&メロウなフュージョン・テイストのミディアム・テンポが心地良い演奏。Stu Goldbergのキーボード、Billy Cobhamのドラム、Fernando Saundersのベースが効いている。新旧マハビシュヌ・オーケストラが合体したような布陣が凄い。

2曲目は「Friendship」は、サンタナ・バンドと後期マハビシュヌ・オーケストラが合体した様な演奏が凄い。サンタナ・バンドのTom Costerのオルガンが鍵。サンタナのロックなエレギとマクラフリンのジャズ・ロックなエレギは相性が良い。
 

Electric_guitalist

 
3曲目は「Every Tear From Every Eye」。これはズバリ、フュージョンな演奏。アルトのDavid Sanbornの参加が効いている。フュージョンの雄、サンボーンに触発されたマクラフリンのフュージョン。この音が1980年代のマクラフリンの音のベースになる。

4曲目の「Do You Hear The Voices You Left Behind?」。これが凄い布陣。Chick Coreaのキーボード、Stanley Clarkeのベース、Jack DeJohnetteのドラム。そこにマクラフリンのエレギ。なんじゃ〜、この豪華で一期一会な布陣は。デジョネット、クラークが叩き出すトロピカルなリズムに乗って、マクラフリン全開。後半、コリアが乱入。凄いなあ。

5曲目の「Are You The One? Are You The One?」は、ドラムにTony Williams、ベースにJack Bruce。初期のライフタイムを再現した布陣。エレ・マイルスに参入していた頃の、マクラフリンのアブストラクトなフレーズが懐かしい。 

そして、6曲目の「Phenomenon: Compulsion」が良い。マクラフリンとBilly Cobhamのドラムとのデュオなんだが、これが素晴らしい。このデュオの演奏でのマクラフリンが、このアルバムの中で一番テンションが高い。さすが、マハビシュヌの推進エンジンの二人。凄まじい凄まじい。

そしてそして、ラストのジャズ・スタンダード曲「My Foolish Heart」は、マクラフリンのソロ。これがまあ、やっぱりマクラフリンって、ジャズ・ギタリストなんやなあ、と心から思わせてくれる。マクラフリンの個性を最大限に振りまきながら、唄うようにエレギを弾き上げていく。

当時、マイルスはマクラフリンのプレイを「far in(奥深い)」と表現した。彼のエレギを高く評価していたのだ。そのエピソードが良く理解出来る、1970年代のマクラフリンの総決算的アルバムである。

 
 

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2014年10月 5日 (日曜日)

圧倒的演奏力なジャズロックです

ジャズロック、および、クロスオーバー・ジャズの傑作と言い切って良いだろう。まだ、ロック小僧だった頃、このアルバムを初めて聴いた時、頭の中に衝撃が走った。そして、ジャズ畑のミュージシャンのテクニックの高さに驚いた。

1972年9-10月ニューヨーク及びロンドンで録音。1973年のリリース。The Mahavishnu Orchestra『Birds of Fire(邦題:火の鳥)』(写真)。ジョン・マクラフリン主宰のマハヴィシュヌ・オーケストラの第2作。 ちなみにパーソネルは、Billy Cobham (ds), Rick Laird (b), John McLaughlin (g), Jan Hammer ( el-p,ac-p,syn), Jerry Goodman (vln)。

凄まじいテンションの高さと演奏力の高さ。圧倒的演奏力を持って、複雑な曲をいとも簡単に弾き切ってしまう。それでいて、展開される音について難解さは無い。しかし、この演奏にあるアバンギャルドさは、当時のエレクトリック・ジャズに必須の要素で、これが思いっきりクールに決まっている。

音の響きと雰囲気は、プログレッシブ・ロック。叙情性とトータル・イメージが際立つ。かつパワフル。このアルバムの演奏を聴いて、ジャズ側の圧倒的な演奏力に「やられた」。もはや、ロック側には何も無い、と感じたのは事実。ジャズ者になる前、1976年の秋から冬にかけて、これら、エレクトリック・ジャズの傑作を幾枚か聴いて、僕は当時のロックを見限って、ジャズに乗り換えた。

それだけ説得力のある、圧倒的テクニックを誇るエレクトリック・ジャズな演奏である。エレクトリック・マイルスは、リズム&ビートに、あくまでジャズとファンクをメインに置いたが、このマハヴィシュヌ・オーケストラは、リズム&ビートにロック・ビートを織り交ぜており、このロック・ビートの存在が、クロスオーバー・ジャズの雰囲気を増幅させていて心地良い。
 

Bird_of_fire

 
ギターとヴァイオリンをフィーチュアした、テンションの高いハードで硬派なジャズロック。甘さの微塵も無い。 ギターとヴァイオリンの絡みがエキゾチックな響きを漂わせ、ジャズとロックの融合なんていう「予定調和」な響きはここには全く無い。あるのは、今の耳で聴いても驚きを感じる「ハプニング性」。これは最終的には「聴いて貰うしか無い」。

マハヴィシュヌ・オーケストラのデビュー盤『The Inner Mounting Flame(内に秘めた炎)』とこのセカンド盤を初めて聴いた時、これって「キング・クリムゾンやん」って思った。特に、ギターの弾き方、ヴァイオリンの響き、これって、『太陽と戦慄』から『暗黒の世界』のキング・クリムゾンの音にそっくり。

というか、このマハヴィシュヌ・オーケストラのデビュー盤『The Inner Mounting Flame(内に秘めた炎)』が1971年のリリースですから、キング・クリムゾンのほうが、このマハヴィシュヌ・オーケストラの音を参考にしたんでしょうね。う〜ん、キング・クリムゾンの総帥ロバート・フィリップもなかなか「あざとい」なあ(笑)。

今の耳で聴いても、ジャズ・ロック的な音楽の中に、懐の深く柔軟なジャズらしい、クラシック、インド音楽、カントリーなどを詰め込んだ、説得力のある、圧倒的テクニックを誇るエレクトリック・ジャズ。この様々な音楽要素を突っ込んで、ひとつにまとめてエレクトリック・ジャズに仕立て上げる豪腕、これが本来の「クロスオーバー・ジャズ」の本質なんだろう。

 
 

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2014年8月27日 (水曜日)

直訳は「高まっていく内なる炎」

John Mclaughlin(ジョン・マクラフリン)率いるThe Mahavishnu Orchestra(マハヴィシュヌ・オーケストラ)は、僕のお気に入りのジャズ・ロック〜クロスオーバー・ジャズのバンド。活動期間は、1971年 - 1976年と1984年 - 1987年の2つに分かれるが、主要な活動としては前半の1971年 - 1976年だろう。

ジョン・マクラフリンは英国出身のジャズ・ギタリスト。ジャズ・ロック〜クロスオーバーなエレギを基本とするテクニシャンで、ジャズ・ギタリストの歴史の中でも、重要なポジションを占めるバーチュオーゾである。特に、エレギを駆使してのハードなエレクトリック・ジャズについては第一人者だろう。

このジョン・マクラフリンが率いるエレクトリック・ジャズ・バンドが「マハヴィシュヌ・オーケストラ」。オリジナル・メンバーは、John McLaughlin (g), Rick Laird (b), Billy Cobham (ds, perc), Jan Hammer (key, org), Jerry Goodman (vln)の5人編成。

ちなみにオリジナル・メンバーの出身を見てみると、ジョン・マクラフリンがイングランド、ビリー・コブハムがパナマ、リック・レアードがアイルライド、ヤン・ハマーがチェコ、ジェリー・グッドマンが米国。出身地から見ても音的に見ても、欧州志向でどちらかと言えば、英国志向のジャズ・ロック〜クロスオーバー・ジャズのバンドである。

そんなマハヴィシュヌ・オーケストラのデビュー盤が『The Inner Mounting Flame』(写真)。1971年8月のリリース。邦題は「内に秘めた炎」。しかし、この邦題は直訳とは異なる。直訳は「高まっていく内なる炎」。高まっていくのであって、秘めるのでは無い。確かに、このデビュー盤を聴くと「高まっていく内なる炎」という直訳が納得出来る。

とにかくハードなジャズ・ロックである。1971年の時代的な感覚で言うと、とにかくハードなクロスオーバー・ジャズである。ジャズとロックがクロスオーバーしたジャズ。ロックより遙かに複雑で拡がりがあってエネルギッシュでハード。とにかくギンギンにハードに迫り来る様に弾きまくり、叩きまくる。
 

The_inner_mounting_flame

 
ハードではあるがフリーキーな部分はほとんど無く、しっかりと伝統に根ざしてフレーズを重ねていく、正統なジャズ・ロックである。高テクニックで高テンション、弾きまくりに次ぐ弾きまくり。音的には、英国プログレの統制がとれて、構築美に優れ、ウェット感のある音。曲の展開は「プログレ」そのもの。しかし、楽器を弾くマナーそれぞれは「ジャズ」。

ギターのバイオリンの2本のフロントを張る弦楽器の存在が見事。ここに管楽器が入っていないのは大正解。このフロントの2つの弦楽器が、主な旋律を奏で、豊かなバリエーションのアドリブを展開する。コブハムの千手観音ドラミングが、弦楽器2本が奏でるフレーズの隙間を埋めていく。ハマーのキーボードがリズム&ビートの基本部分を司る。

もともと英国のロックとジャズは境界線が曖昧。このアルバムの音世界は、ほとんど「プログレ」。しかし、これほどまでに高テクニック&高テンションのプログレは無い。テクニカルなギターに絡む艶やかなヴァイオリン、シンセによる「ぶ厚い音」。やはり、この盤はジャズ・ロック。ハードなクロスオーバー・ジャズ。 

このアルバムの音を初めて聴いた時、思わず「これって、キング・クリムゾンやん」と思った。あのクリムゾンの名盤『太陽と戦慄』のパクリかと思った。しかし、冷静に考えみると逆なんですね。キング・クリムゾンがこのマハヴィシュヌ・オーケストラにインスパイアされているんでした。それほどまでに音の作り方は良く似ている。さすが、英国のロックとジャズの境界線は曖昧である。

耳当たりの良いフュージョン・ジャズとは違いますが、この盤の音世界は、エレ・マイルス、エレ・チックに相当するものであり、ネットでピッタリとフィットする評論文があったんだが、「ワイアード」以降のジェフベックと、「太陽と戦慄」〜「レッド」時代のクリムゾンを足して2で割った様な音世界、と表現するのが適当。エレクトロニック・ジャズの世界が好きな「エレジャズ者」には必須の逸品です。

 
 

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