2021年9月18日 (土曜日)

ケイブルスの最新トリオ盤です

ジョージ・ケイブルス(George Cables)は、Art Pepper And George Cables 『Goin' Home』で、初めて知った。1982年のリリースなので、リアルタイムで体験している。ファンキーで多弁で切れ味の良いケイブルスのピアノは、しっかりと印象に残った。以来、ケイブルスのピアノは「お気に入り」である。

George Cables『Too Close for Comfort』(写真左)。2020年9月9日、NYの「Sear Sound」の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Essiet Essiet (b), Victor Lewis (ds)。NYブルックリン出身の大ベテラン・ジャズ・ピアニスト、ジョージ・ケイブルスが、長年活動を共にしているエシェット・エシェット、ビクター・ルイスと組んだピアノ・トリオ作。

ケイブルスのピアノはファンキーで多弁。シーツ・オブ・サウンドの様な多弁さでは無い、アドリブ・フレーズが高速でよ唄う、そんな多弁さである。そんな多弁なフレーズに、ドップリとファンクネスを漂わせて、バリバリ弾きまくる。ケイブルスのピアノは、デビュー当時から現在まで、ずっとブレる事無く、一貫している。弾きっぷりは切れ味良く、多弁なフレーズを弾ききった後の爽快感は抜群。
 

Too-close-for-comfort-george-cables

 
収録曲を見渡すと、全10曲中、ケイブルスのオリジナル曲が4曲、ジャズマンズ・チューン、スタンダード曲のほか、NYで活躍中の日本人ピアニスト、海野雅威の作品も収録されている。ケイブルスは自作曲であれ、スタンダーズ曲であれ、一貫して「多弁でファンキーで切れ味の良い」ピアノで弾きまくる。そう、ケイブルスのピアノは「弾きまくる」のだ。これが意外に耳につかない。優れたテクニックとポジティヴな歌心が成せる技である。

ケイブルスのピアノの弾きっぷりは、この盤の録音時76歳なのだが、円熟の極みというよりは、どこか年齢に似合わず「若く明るい」弾きっぷりなのだ。ただ、じっくり聴いていると、多弁な弾きっぷりではあるが、節回しやチェンジ・オブ・ペースに、どっしりとした「余裕」を感じる。これが、ケイブルスのピアノの良いところ。この「余裕」が、小粋な「タメ」に通じて、多弁なフレーズが「明るくジャジー」に響く。聴き心地がとても良い。

長年活動を共にしてきたエシェットのベース、ルイスのドラムも好調で、ガッチリとケイブルスのピアノをサポートし、引き立たせているのは立派。変に捻ったり、変に革新的に走らない、大ベテランならではの、シンプルで躍動感のあるピアノは安定感と安心感が抜群。最近リリースされたピアノ・トリオ盤の中でも、かなり優秀な内容の「隠れ好盤」です。
 
 
 

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2021年5月29日 (土曜日)

ケイブルスのソロ・ピアノ盤

この人もジャズ・ピアノ好きの我が国で人気が低い、というか、存在感が薄いピアニストである。George Cables(ジョージ・ケイブルス)。1944年生まれなので、確かにハードバップが衰退し、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズが全盛の1975年が初リーダー作なので、恐らく、初リーダー作をリリースしたことは、我が国では気に止められることは無かったと思われる。

それでも、米国では人気が高く、リーダー作は40枚を超える。伴奏上手でもあるため、サイドマンとしての他のリーダー作への参加も多く、アート・ペッパー、ボビー・ハッチャーソン、フランク・モーガン、バド・シャンクなど、1970年代にも生き残ったメインストリーム系の純ジャズの担い手との共演がメイン。ジャズマンからしても、サイドマンに誘いたくなるような「一流ジャズ・ピアニスト」だったみたい。

George Cables『Person to Person』(写真左)。1995年4月5日、デンマークのジーランにある「SteepleChase Digital Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p)。ケイブルスのソロ・ピアノ盤になる。ソロ・ピアノという演奏フォーマットは、そのピアニストの個性と資質が明快に判る演奏フォーマットで、この盤を聴けば、ケイブルスのピアノの個性と資質をしっかりと確認することが出来る。
 

Person-to-person-georgecables
 

ケイブルスのピアノは、適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが個性。適度に硬質ではあるが、マッコイ・タイナーの様にガーンゴーンと叩く様な硬質さでは無い。「しなやかな硬質さ」と表現したら良いだろうか。そして、シーツ・オブ・サウンドほど多弁では無いが、モーダル・ジャズほど間を活かすことは無い。

そんなケイブルスのピアノがこのソロ盤に詰まっている。全12曲中、8曲がスタンダード曲なので、特に、このスタンダード曲において、それぞれのスタンダード曲のケイブルスなりの解釈が明快になって、ケイブルスの個性が前面に押し出ている。冒頭の「My Funny Valentine」を聴くとその個性が良く判る。適度に多弁で、適度にしなやかなで硬質なタッチで弾き回す「バレンタイン」は何故か、新しい音の響きがあって面白い。

このソロ・ピアノ盤を聴いて、やはり、何故、我が国で、ケイブルスのピアノは人気が薄いのか、またまた良く判らないなった。若干「黒い」適度に硬質のタッチで、適度に多弁なインプロビゼーションが魅力。ケイブルスは1944年生まれなので、今年で77歳。この盤の録音時が51歳。レジェントなジャズマンとして、良質のジャズ・ピアノとして再評価が待たれるピアニストの1人である。
 
 
 
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