2022年2月24日 (木曜日)

スリー・サウンズのアレンジの妙

僕がジャズを聴き始めた頃、今を去ること40数年前になるのだが、その頃から、ブルーノートの企画型ピアノ・トリオ「The Three Sounds(スリー・サウンド)」の人気はイマイチだった。理由はいろいろあったらしいが、僕が記憶しているのは、レーベルが作った企画型のトリオだから、ブルーノートのドル箱トリオで商業主義のコマーシャルなトリオだから、スタンダード曲ばかり演奏していてオリジナリティーが無い、とかで、とにかく、ケチョンケチョンだった記憶がある。

ブルーノート・レーベルのドル箱トリオだったことは事実みたいで、オルガンのジミー・スミスの双璧の「ドル箱」トリオだったそうだ。とにかく判り易い内容、聴き心地の良いスタンダード曲をメインに演奏し、ラウンジ・ミュージックとしても、イージー・リスニングとしても聴くことの出来る「イージーさ」が米国ではウケて、我が国ではウケない理由なのかもしれない。

The Three Sounds『Hey There』(写真左)。ブルーノートの4102番。1961年8月13日の録音。改めて、ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ジャズの「多様化」の時代に差し掛かった、ブルーノートの企画型ピアノ・トリオの優秀盤である。
 

Hey-there

 
ラウンジ・ミュージックとしても、イージー・リスニングとしても聴くことの出来る「イージーさ」というが、このトリオの一番優れている点は「アレンジの妙」である。この盤も収録曲は全てスタンダード曲。しかも、俗っぽい「You Are My Sunshine」や「Stompin' at the Savoy」が入っていて、曲名だけみれば、これはもうイージー・リスニングなトリオ演奏なのか、と思うのだが、スリー・サウンズはそうはならない。

とにかく、アレンジが優れている。俗っぽい曲もしっかりしたアレンジで、硬派なファンキー・ジャズに仕立て上げられている。そう、この盤、優れたアレンジで、ちょっとマニアックなものから俗っぽいものまで、スタンダード曲を硬派なファンキー・チューンに変身させている。ネットリとソウルフルに陥ること無く、切れ味の良い、明快なファンキー・ジャズに留めているところが「良い」。

スリー・サウンズって、我が国の人気の無い理由は全く当たらないと思う。スタンダード曲ばかり演奏していてオリジナリティーが無いなんて言うが、このアレンジの優秀性は、自作曲を演奏するオリジナリティーに匹敵するレベルだと思う。そう、スリー・サウンズの最大の個性であり、最大の武器が、この「優れたアレンジ能力」なのだ。
 
 
 
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2021年12月27日 (月曜日)

どスタンダード曲の 3 Sounds

ブルーノート・レーベルには、意外とピアノ・トリオ盤が少ない。もともと、米国人はフロント管が入ったジャズ盤を好む傾向があったらしく、ピアノ・トリオが地味という理由で、あまりウケが良く無かったそうだ。逆に我が国では、結構、ピアノ・トリオは好まれる。ブルーノート・レーベルはイマイチだ、と評するジャズ者の方々は、意外とこの「ピアノ・トリオの少なさ」を指摘する。

が、そこはさすがに、ブルーノートの総帥プロデューサーのアルフレッド・ライオン。これはというピアニストには、ピアニストの個性が良く判る、優れた内容の「トリオ盤」を制作している。そして、レーベルとしての企画型のピアノ・トリオ「スリー・サウンズ」をプロデュースしている。

The 3 Sounds『Here We Come』(写真左)。1960年12月13–14日の録音。ブルーノートの4088番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルのプロデュース、唯一のお抱えピアノ・トリオ「The 3 Sounds(スリー・サウンズ)」である。
 

Here-we-come

 
収録曲を見ると「どスタンダード曲」のオンパレードなので、ちょっと引く。この盤こそ、売らんが為のポップなイージーリスニング風のトリオ盤なのでは、と危惧する。が、そこはレーベルとしての企画型のピアノ・トリオ「スリー・サウンズ」。決して、イージーリスニング風のトリオ演奏には陥らない。

まず、それぞれの「どスタンダード曲」に施されるアレンジが意外と「プログレッシヴ」。これだけ「ドスタンダード」だと、ちょっとポップで甘めの聴き易いアレンジをしがちだが、スリー・サウンズは違う。結構、新しい響きで、聴き応えのある、切れ味の良いアレンジを施している。これはいつ聴いても流石だなあ、と思う。

レーベルが企画したピアノ・トリオだからといって、売らんが為のポップなイージーリスニング風のトリオと誤解しては損をする。そこはさすがブルーノート、唯一の企画型ピアノ・トリオ、普通のアプローチで来るわけが無い。確かに、このピアノ・トリオは意外と「プログレッシヴ」。そういうところにも、ブルーノート・レーベルの矜持を感じる。
 
 
 

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2021年9月27日 (月曜日)

硬派で先進的なスリー・サウンズ

The 3 Sounds(スリー・サウンズ)。1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代に、唯一レーベルで企画されたピアノ・トリオ。人気ピアノ・トリオとなり、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」となった訳だが、我が国では何故か人気がイマイチ。

この「企画された」ところが作為的と捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。あろうことか、このピアノ・トリオの持つ個性と先取性を全く確認せずに「聴く価値無し」のレッテルを貼るのにはビックリした。

The 3 Sounds『Feelin' Good』(写真左)。1960年6月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。鉄壁のピアノ・トリオ。収録曲全8曲中、2曲が有名スタンダード曲、1曲がスリー・サウンドのリーダー、ジーン・ハリス作。他の5曲が「ミュージシャンズ・チューン」。
 

Feelin-good

 
この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏が、この盤のハイライト。ジャズマンが作った、ジャズマンが好んで演奏した曲で、映画音楽曲などをスタンダード化した曲よりも、ジャズを知っているジャズマンが書いた曲の方がジャズとして演奏するのに向いている。コードの扱いとか、リズム&ビートの扱いが、ジャズ演奏を前提として書かれているからであろう。

スリー・サウンズによる、この5曲の「ミュージシャンズ・チューン」の演奏は、当時のジャズの演奏スタイル&内容の先端を行くもので、とても聴き応えがある。スタンダード曲中心のコマーシャルな演奏をイメージして聴くと「火傷する」。筋金入りの硬派なハードバップ演奏あり、モーダルな自由度の高い演奏あり。この盤でのスリー・サウンズは、アーティスティックであり、先進的であり、ストイックである。

演奏全体に適度なテンションが漲り、テクニックは高レベル、切れ味の良い端正な、当時の最先端のハードバップ演奏が繰り広げられる。スリー・サウンズに張られた「コマーシャルで判り易い素人向けのピアノ・トリオ」というレッテルを、全面的に払拭する快作である。以前は入手し難い盤だったが、今では、音楽のサブスク・サイトに音源がアップされている。お勧めのピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年6月21日 (月曜日)

スリー・サウンズの好盤の一枚

1950年代から1960年代のブルーノート・レーベルの最初の黄金時代、唯一のピアノ・トリオを企画し、ブルーノートの人気ピアノ・トリオに押し上げ、ブルーノートの「ドル箱」となったのが「the 3 sounds(スリー・サウンズ)」。我が国ではこの「企画された」ところが作為的に捉えられたのか、スタンダード曲中心の判り易い演奏が「俗っぽい」捉えられたのか、何故か人気、評価共にあまり高く無い。

the 3 sounds『Moods』(写真左)。1960年6月28日の録音。ブルーノートの4044番。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルの「お抱え」ピアノ・トリオ、スリー・サウンズのスタンダード集である。ちなみに、艶めかしいジャケットの女性は、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの細君であるルース夫人。

このアルバムだけは、スリー・サウンズのアルバムの中で、我が国のジャズ盤紹介本やジャズ雑誌のピアノ・トリオの特集によく挙がるアルバムである。選曲もスタンダード曲がメイン。とりたてて、スリー・サウンズが他のアルバムと比べて、レベルの高い演奏を繰り広げている訳でも無い。アルバム・ジャケットも女性の横顔だけという平凡なもの。なのに我が国ではスリー・サウンズの代表盤の様に扱われている。
 

Moods-the-3-sounds

 
改めて、この盤のスリー・サウンズの演奏は、他のアルバムと比べても、その演奏レベルは同等。判り易くシンプルな展開、それでいて、演奏テクニックは高く、やっていることは意外と難度が高い。ただ、演奏の雰囲気がとても判り易くシンプルなので、カクテル・ピアノっぽいトリオ演奏と誤解されやすい。それでもこの盤は「スリー・サウンズの代表盤」として、もてはやされる。

恐らく、選曲が「どスタンダード曲」が目立つので、例えば「Love for Sale」「On Green Dolphin Street」「Li'l Darlin'」「Things Ain't What They Used to Be」などだが、ジャズ者初心者向けにピッタリだと、昔の評論家の方々が考えたのかも。

でも、ソニー・スティットの「Loose Walk」や、クリフォード・ブラウンの「Sandu」など、渋い内容のミュージシャンズ・チューンが選曲されていたりで、この辺りはジャズ者初心者向けとは思えないんですけどねえ。

この盤、スリー・サウンズの代表盤という位置づけでは無く、他のスリー・サウンズと同様の、判り易くシンプルな展開の「極上のピアノ・トリオ演奏」がギッシリ詰まっています。この盤も「スリー・サウンズの好盤の一枚」という位置づけでしょうか。
 
 
 

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2021年5月23日 (日曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・91

最近、好んで聴き直しているピアノ・トリオがある。「The 3 Sounds」である。アルフレッド・ライオン率いるブルーノート・レーベルの企画型のピアノ・トリオ。ブルーノート・レーベルは意外とピアノ・トリオ盤が少ない。そんな中で、この「The 3 Sounds」は、トリオ名義のアルバムが20枚程度、リリースされている。如何に破格の扱いの売れっ子ピアノ・トリオであったことが窺い知れる。

ただ、我が国では何故か人気が低い。ピアノ好き、ピアノ・トリオ好きの日本人ジャズ者の方々の中でも、何故か人気が薄い。スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」と感じているのか、軽妙で聴いて楽しい「判り易さ」がいけないのか、どうにも我が国のジャズ者の方々からは人気が無い。しかし、最近やっと、ネット上で再評価される兆しが見えてきた。

The 3 Sounds『Good Deal』(写真左)。1959年5月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。ブルーノート・レーベルから4枚目のトリオ盤になる。トリオの3人が腕を組んで街を歩く写真をあしらったジャケット。メンバーの表情が生き生きとしていて、充実した内容が想像出来る良いジャケットである。
 

Good-deal
 

一言で言うと、The 3 Soundsの実力が遺憾なく発揮された、素晴らしい内容のトリオ盤である。収録曲全8曲中、6曲がスタンダード曲。しかも、聴いて楽しい、シンプルな曲が多く収録されていて、収録曲を見ただけでは、このトリオ盤、イージーリスニング風のライトでカクテルなトリオ盤に思えて、なかなか触手が伸びないのは理解出来る。

しかし、聴けばその印象は「吹っ飛ぶ」。活きの良いスイング感が程好い、ブルース・テイスト芳しいトリオ演奏がてんこ盛り。しかも、トリオのメンバー、三人三様、そのテクニックの限りを尽くして、ドライブ感溢れる、端正で軽妙でファンキーなアドリブ展開を披露する。それにしても実に「上手い」。上質のトリオ演奏であり、ハードバップな逸品である。

ジャズ盤紹介本などでは、まず紹介されることが無い盤であるが、どうして、その内容は「超一級品」。僕は「The 3 Sounds」の代表作の一枚と評価している。録音のバランスも良く、ブルーノート・サウンドの見本の様な音世界がこの盤にギッシリ詰まっている。今までの評価の低さは忘れて、是非聴いていただきたい逸品である。
 
 
 

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2021年5月18日 (火曜日)

軽妙で聴いて楽しいトリオ

ブルーノート・レーベルが企画したピアノ・トリオ「The 3 Sounds(スリー・サウンズ)」。職人肌のメンバーが集結したピアノ・トリオであるが、ピアノ好きの我が国では何故か人気が低い。ジャズの老舗レーベルが「企画した」のが気に入らないのか、スタンダード曲中心で「商業臭さ満載」なのが気に入らないのか、良く判らないが、確かに「人気が低い」。

確かにジャズ・ピアノ入門本などでも、スリー・サウンズのアルバムは1枚程度しか紹介されない。ブルーノートの1500番台〜4300番台の間には 20枚程度のアルバムをリリースしていて、どのアルバムも僕の耳には「水準以上」のレベルのピアノ・トリオの演奏だと思うんですけど。こういうところが、我が国のジャズ盤評論の不思議なところ、である。

The 3 Sounds『Bottoms Up!』(写真左)。ブルーノートの4014番。1958年9月と1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (p, celeste), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。収録曲全8曲中、6曲目の「Jinne Lou」のみ、ジーン・ハリスの自作、以外の7曲はスタンダード曲で占められている。
 
 
Bottoms-up  
 
 
このスタンダード曲の演奏、アレンジが秀逸なのが、この盤の特徴。冒頭の「Bésame Mucho」を聴けばそれが良く判るが、アレンジと演奏力次第では「チープ」な演奏に陥り易いラテン調のスタンダード曲が、お洒落で粋なアレンジと燻し銀的な渋くて流麗なテクニックで、なかなかシュッとして軽妙な演奏に仕上げている。

7曲目の「Nothing Ever Changes My Love for You」など、ちょっとカリプソ調のアレンジに乗って、スリー・サウンズの個性である「軽妙」なパフォーマンスを展開、この「軽さ」が絶妙で、ピアノ・トリオの演奏が「重く」ならずに、シンプルで軽妙に仕上がっているところが、この「スリー・サウンズ」の良いところ。

軽妙でハイ・テックニックなピアノ・トリオである「スリー・サウンズ」。そんなトリオの個性が手に取るように判るアルバムがこの『Bottoms Up!』。聴いて楽しい、シンプルで判り易い「スリー・サウンズ」の面目躍如。ジャケット・デザインも洒脱で、僕にとってこの「スリー・サウンズ」、大好きなピアノ・トリオの1つです。
 
 
 

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