2021年12月11日 (土曜日)

ジャズの音表現のポテンシャル

ジャズは「娯楽の音楽」である。が、アーティスティックな「表現の音楽」でもある。楽しく聴けるジャズも良し。アートとしてジックリと聴き込むジャズも良し。ジャズの音表現のポテンシャルは高い。演奏するスキル&テクニックが優秀である前提はあるが、ジャズの音表現のバリエーションは無限であるように感じる。

Terence Blanchard『Absence』(写真左)。2021年10月、ブルーノート・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Terence Blanchard (tp), Fabian Almazan (p), Charles Altura (g), David Ginyard (b), Oscar Seaton (ds), with The Turtle Island String Quartet。来年、還暦を迎える大ベテラン・トランペッター、テレンス・ブランチャード率いるバンド「E-Collective」に Turtle Island Quartetも加えた3年振りの力作。

ブランチャードが尊敬してやまない、ジャズ・レジェンド、ウェイン・ショーターへのオマージュ作品。収録曲は、ショーターが書いた作品と、ブランチャードと彼のバンドのメンバーによるオリジナルの作曲で構成されているが、楽曲の雰囲気とイメージは明らかに「ウェイン・ショーターの音世界」オンリーである。
 

Absence_1

 
ブランチャードの「E-Collective」のギター入りクインテットに、ジャズ志向の弦楽四重奏が加わった、音の厚みと表現力の幅が素晴らしい演奏ばかりで思わす圧倒される。音の迫力はジャズ・ビッグバンドを聴いているかの様な「分厚い」もの。それでいて、音の切れ味と歌心溢れるフレーズに、思わず耳が釘付けになる。ジャズって、ここまで音による表現の可能性があるんだなあ、と再認識する。

ウェイン・ショーターの楽曲は、コズミック、ネィチャー、そして、呪術的。楽曲の持つフレーズは、一捻りも二捻りもしていて、必要となる演奏力は格段に高い。しかし、ショーターの楽曲の持つ音の「拡がり、深み、自由度、表現力」は圧倒的。そんな難曲をガンガンに、アーティステックに演奏していく。この「E-Collective」+「The Turtle Island String Quartet」の演奏力と表現力は凄まじいものがある。

コマーシャルな要素、ポップな要素とは全く無縁。全編に渡って、硬派でアーティステック、モーダルで、しっかりと統制の取れた厚みのある音が満載。現代ジャズを構成する奏法、演奏トレンドが総動員、現時点での「ジャズの音表現」の全てが詰まっている。ネット上ではあまり話題になっていない盤ではあるが、ジャズ者ベテランであれば一聴の価値あり、と思う。
 
 
 
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2021年12月 5日 (日曜日)

チャーラップの新作に感じ入る。

このピアニストの、このトリオについては、1998年以来、ずっと追いかけている。初めて、このチャーラップのトリオのアルバムを聴いたのは、ヴィーナス・レコードからリリースされた『'S Wonderful』(1998年12月の録音)だったかな。ジャケットは、ヴィーナスらしい「?」なものだったが、中身は一級品。ネオ・ハードバップな香りのする、アーティスティックなトリオ盤で、色んな意味で感じ入った思い出がある。

Bill Charlap Trio『Street of Dreams』(写真左)。2021年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Bill Charlap (p), Peter Washington (b), Kenny Washington (ds)。1997年に結成、チャーラップの長年の「パーマネント・トリオ」による新作盤である。2000年に『Written in the Stars』をリリースして以降、定期的にブルーノートからリリースしているが、今回は、2003年の作品『Live at the Village Vanguard』以来、18年振りの、チャーラップ・トリオのブルーノートへの返り咲きになる。

ビル・チャーラップは、1966年、ニューヨーク生まれ。今や押しも押されぬ、ベテラン・ピアニストの一人。チャーラップのピアノは、一言で形容すると「耽美的でリリカルなバップ・ピアノ」。

総合力で勝負するピアニストっぽいが、ビル・エヴァンスを源とする「耽美的でリリカルなバップ・ピアノ」を踏襲しつつ、エヴァンスには無い「モダニズム」と歯切れの良い、少しエッジの立ったタッチが個性。「ながら」で聴き流すには、このチャーラップの個性が凄く心地良くになって、結局、じっくり聴き入ってしまう。
 

Sweet-of-dreams_1

 
そんなピアノのチャーラップをリーダーとした「パーマネント・トリオ」。このトリオの演奏は、旧来の「ビ・バップ」のフォーマットの上に、最先端のジャズ・ピアノの表現法と、ジャズ・トリオのインタープレイの展開を実践している様な、旧来のフォーマットに則っているようで、実は新しい要素が散りばめている、という、意外と「小粋な展開を旨とする」先進的なピアノ・トリオだと解釈している。

確かに、このチャーラップ・トリオの演奏には、明らかに1940年代後半から50年代中盤にかけての「バップなピアノ・トリオ」のパフォーマンスとは違う、緩急、濃淡、強弱を様々に織り交ぜた、複雑な、色彩豊かな「バップ・ピアノ」が表現されている。

リズム&ビートを支える「ダブル・ワシントン」のリズム隊も基本は「バップなリズム&ビート」。しかし、緩急の付け方、音色の変化、グルーヴ感などは、モード・ジャズやスピリチュアル・ジャズなどの変遷を経験した、新しい感覚に溢れる「バップ」なリズム&ビートであることは確か。

この「パーマネント・トリオ」が結成されて23年。長年の経験を踏まえて「程良く熟成された」新しい感覚の、今の時代の「ネオ・ハードバップな」ピアノ・トリオの、素晴らしいパフォーマンスがこの新作に記録されている。
 
 
 
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2021年12月 1日 (水曜日)

今もブレないロスネスである。

1984年7月、ブルーノート・レーベルが復活。その象徴的な出来事として、1985年2月22日、復活イベント「ワン・ナイト・ウィズ・ブルーノート」が開催される。この時期を境に、純ジャズ復古のムーヴメントが起きる。旧来の一流ジャズマンが、メインストリームな純ジャズに回帰、有望な新人も、メンストリームな純ジャズをメインとして取り組み出した。

このムーヴメント、若手ジャズマンを中心に推し進められ、まず、ウィントン・マルサリスをリーダーとする「新伝承派」なる集団が立ち上がる。従来のハードバップを最良のジャズと位置づけ、ジャズのスタイルを規範とし、それを再現する演奏をするもの。

それに相対するのが「M-BASE派」。変拍子の複雑なリズムを取り入れ、バップやモードというジャズの伝統的な語法を使用しないで演奏形式の革新を目指したもの。この2大勢力が、純ジャズ復古のムーヴメントを推し進めていった。

Renee Rosnes『Kinds of Love』(写真左)。2021年3月31日、4月1日、NYの「Sear Sound Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Renee Rosnes (ac-p,el-p,vo), Chris Potter (ts, ss, fl, b-cl), Christian McBride (b), Carl Allen (ds), Rogério Boccato (perc, vo)。M-BASE派のリニー・ロスネスをリーダーとした、パーカッション入りのクインテット編成。

まず、パーソネルを眺めて、強力なラインナップに期待感が高まる。いわゆる「新伝承派」にしろ、「M-BASE派」にしろ、演奏力の高さがその成果に物を言うので、このパーソネルについては全く申し分無い。
 

Kinds-of-love_1

 
冒頭「Silk」を聴いてみても、その演奏力の高さに思わず感心する。変拍子だろうが、モードだろうが、全く異にすることなく、完璧に演奏する。実にレベルの高い「ネオ・ハードバップ」な演奏である。

収録された曲は全てロスネスの自作曲で、ハードボイルドでストイックな純ジャズ志向の楽曲で占められている。甘さやポップさは皆無。シャープなファンクネスを演奏の底に漂わせながら、疾走感溢れる、切れ味の良いネオ・ハードバップな楽曲が見事である。演奏力の高さから、この難度の高い楽曲についても、どこか安心して聴き通すことが出来る。

演奏の基本は、やはりリーダーのロスネスの志向である「M-BASE派」的なもの。ラップやソウル,ファンク音楽やエスニック音楽など,その時代時代で隆盛を極めた音楽スタイルを取り入れる様な、奇をてらったところは無い。がっつりコンテンポラリーな「創造的な純ジャズ」を志向している。但し、決して難しい演奏では無い。判り易い正統な純ジャズである。

ロスネスの志向がブレていないことに改めて感心した。今年で59歳。還暦一歩手前な年齢にも関わらず、若い頃の様にロスネスの演奏は「尖っている」。年齢を重ねることによる「余裕」は感じられるが、紡ぎ出すフレーズは「尖っている」。それに呼応する様に、サイドマン達も負けずに「尖っている」。良い意味で爽やかな尖ったコンテンポラリーな「創造的な純ジャズ」。聴き終えて、なぜかスカッとした。
 
 
 
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2021年10月20日 (水曜日)

スタンダーズのフォロワーか?

ピアノ・トリオについては、バド・パウエルのフォロワーが先行し、ビル・エヴァンスのフォロワーがその後を継ぎ、しばらく、大きく分けて、パウエル派とエヴァンス派の2つのスタイルが主流だった。が、21世紀に入って、ブラッド・メルドー、チック・コリアのフォロワーが現れ、今では、メルドー派とコリア派が加わって、ジャズ・ピアノについては、その演奏スタイルについては広がりを見せている。

そんな広がりの中、以前、1970年代辺りから、3大ジャズ・ピアニストなるものが我が国で囁かれ始め、キース・ジャレット、ハービー・ハンコック、チック・コリア、この3人が「3大ジャズ・ピアニスト」として、人気ジャズ・ピアニストとして君臨していた思い出がある。しかし、その中でフォロワーを生んだのはチック・コリアだけで、キース・ジャレットとハービー・ハンコックのフォロワーというのは、今までお目にかかったことが無い。

Kevin Hays, Ben Street, Billy Hart『All Things Are』。2021年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Kevin Hays (p), Ben Street (b), Billy Hart (ds)。オーソドックスなピアノ・トリオ編成。演奏曲は、リーダーのケヴィン・ヘイズのオリジナルが6曲とスタンダード曲「For Heaven’s Sake」で全部で7曲。
 

All-things-are-1

 
テーマが良い意味で抽象的な曲が多く、その抽象的なテーマをイマージネーションよろしく膨らませて、ダイナミックかつリリカルな展開に持ち込み、ピアノ、ベース、ドラムの3者平等のインタープレイを展開する。聴いていて、どこか「キース・ジャレットのスタンダーズ」を彷彿とさせる。そう、このトリオ、Keith Jarrett standardsの正統なフォロワーである。

ヘイズのピアノは、リリカルで耽美的でテクニカル。キースのピアノを更に洗練して端正にした様なピアノ。ビリー・ハートのドラムについても、縦横無尽、硬軟自在なポリリズミックなドラミングは、どこかJack Dejohnetteを想起させるから面白い。ベン・ストリートのベースは、ヘイズのピアノの「ベース・ライン」をしっかり支え、ドラムと流麗にうねるようなスインギーなビートを生み出している。

今年リリースのピアノ・トリオ盤だが、なかなかの内容に次作が早くも期待される。明らかに「キース・ジャレットのスタンダーズ」のフォロワー的音作り(キースの様な「粘着性」は希薄で、スタンダーズより端正でシンプルなのだが)なので、次作はどう出るのだろう。
 
 
 
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2021年10月 5日 (火曜日)

バップ・ドラミングの伸びしろ

Joe Farnsworth(ジョー・ファンズワース)。1968年、米国マサチューセッツ州生まれのジャズ・ドラマーである。10歳の頃からドラムを習い始め、大学在学時に出会ったエリック・アレキサンダーとは頻繁に共演している。それから、ベニー・ゴルソン、ファラオ・サンダース、ハロルド・メイバーンのリーダー作に参加しているのを聴いている。

僕は、このアレキサンダーのリーダー作で、ファンズワースの名前を知った。明らかに伝統的なバップ・ドラミングだが、変幻自在、硬軟自在、緩急自在な、新しい響きのするドラミングで、伝統的なバップ・ドラミングの可能性について、認識を改めた思い出がある。

堅実でシンプルなドラミングである。ファンズワースのドラム・セットを写真で見たことがあるが、至ってシンプルな構成。数多くのシンバル類やタムタムを使用するドラマーも多々いて、音の変化やスピード感を、セット数の多さでカヴァーしている。しかし、ファンズワースはこのシンプルなセットで、変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングを披露する。相当高度なテクニックの持ち主である。

Joe Farnsworth『Time to Swing』(写真左)。2019年12月17日の録音。ちなみにパーソネルは、Joe Farnsworth (ds), Kenny Barron (p), Peter Washington (b), Wynton Marsalis (tp)。ファンズワースのトリオに、トランペットの巨匠、ウィントン・マルサリスが冒頭の「The Good Shepherd」から、4曲目の「Down by the Riverside」までの4曲にのみに客演する編成。
 

Time-to-swing-joe-farnsworth

 
ファンズワースのトラミングは伝統的なバップ・ドラミング。伝統的な響きで実に味のあるドラミング。伝統的なドラミングであるが、その変幻自在、硬軟自在、緩急自在なドラミングは見事の一言。こうやってファンズワースのドラミングを聴くと、モダン・ジャズのドラミングは「かくあるべし」という気分になる。このドラミングをバックにすると、フロント楽器もさぞ吹きやすいだろうと強く思うのだ。

そういう観点で聴き耳を立てると、まず、ウィントンのトランペットが実に良い感じで吹きまくっている。もともとサイドマンに回ったウィントンは素晴らしいパフォーマンスを披露する傾向にあるのだが、このファンズワース+バロン+ワシントンのリズム・セクションのバッキングが素晴らしい分、フロント1管のウィントンが実に気持ちよさそうに、トランペットを吹き上げている。この盤でのウィントンは「文句無し」。

で、このバックのリズム・セクションのみとなった5曲以降の演奏を聴くと、これまた、ピアノのバロンとベースのワシントンが気持ちよさそうに弾きまくる。ファンズワースのドラミングがとても伴奏上手であり、「鼓舞」上手なのだ。叩き出すリズム&ビートが、決して他の楽器の邪魔をしない。

このピアノ・トリオの演奏も実に味わい深いものがある。そんな中、やはり、ファンズワースのドラミングに耳がいく。何の変哲も無い「伝統的な」バップ・ドラミングだが、その高い表現力が故、実に新しい響きに感じる。まだまだ可能性のあるバップ・ドラミングの「伸びしろ」。こういう盤の存在、実に頼もしく感じる。
 
 
 
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2021年10月 3日 (日曜日)

将来のピアノ・トリオ名盤候補

これは最近の「ジャケ買い」の一枚。年齢の入った大ベテラン・ジャズマンの風情。それも「まだまだ現役」風に気合いの入った目。タイポグラフィーがシンプル過ぎてイマイチだが、実にインパクトのあるジャケット写真。しかし、これ誰だったけ。ジャケットの表面にはリーダー名が無い。でも、どっかで見た顔なんだよな〜。

Albert "Tootie" Heath Trio『Philadelphia Beat』(写真)。2014年10月5&7日、フィラデルフィアの「Turtle Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Albert "Tootie" Heath(ds), Ethan Iverson(p), Ben Street(b)。ベテラン・レジェンド級のドラマー、アルバート・ヒースがリーダーのピアノ・トリオ盤。ヒースは1935年生まれなので、この盤、79歳でのリーダー作になる。ジャケ写の主はこの「アルバート・ヒース」でした。

冒頭のスタンダード曲「Bag’s Groove」の曲名を見て、いやはや、懐メロ・ハードバップな演奏集か、と思いきや、静かなパーカッションのソロから入って、テーマ部の主旋律をベースに弾かせて、やっとピアノが出てくるという、一癖も二癖もあるアレンジに、この盤は只者では無い雰囲気が色濃く漂う。さすが、ドラマーがリーダーの盤だけあって、随所にドラミングの妙が聴き応え十分。
 

Philadelphia-beat-1

 
で、これまた、音を選び、間を活かした流麗なセロニアス・モンクの様な癖のあるピアノは誰あろう、イーサン・アイバーソンは、バッド・プラスの中心人物。このアイバーソンのピアノが実にユニーク。今までに無い個性のピアノで、どの曲でも、彼のピアノは、聴いていて実にユニーク。いや〜、このピアノ、癖になるなあ。

3曲目の有名ディスコ曲「I Will Survive(恋のサバイバル)」のカヴァーでのアイバーソンのピアノを聴けば、そのユニークさが良く判る。そんなユニークなピアノに、ほど良く絡んで、間を埋めるベン・ストリートのベースも見事。当然、リーダーのレジェンド、ヒースのドラミングは変幻自在、硬軟自在、緩急自在にアイバーソンのピアノを支え、時に、技を繰り出して前面に踊り出る。

結構、有名スタンダード曲を選んでいるのだが、曲毎のアレンジがユニークなのと、アイバーソンのピアノがユニークなのとで、「手垢の付いた」感や「またか」感が全く無い。どころか、あまりのユニークさに、気が付けばスピーカーに対峙して、じっくり聴き入っている自分がいる。ポップ感や懐メロ感も全く無く、内容的には実に新しいネオ・ハードバップな盤である。これって、将来、ピアノ・トリオの名盤扱いになるんじゃなかろうか、と思ってます。
 
 
 
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2021年10月 1日 (金曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・77

エディ・ヘンダーソン(Eddie Henderson)。米国のトランペッター。1970年代初頭、ハービー・ハンコックのワンディシバンドのメンバーとして有名になり、その後、約10年間ほど、ハード・バップ〜クロス・オーバー、ファンクなエレ・ジャズを展開したエディ・ヘンダーソン。そう言えば、僕がジャズを聴き始めた頃、結構、メジャーな存在だった。

エレ・ジャズを展開した後、1990年代までには、メインストリームな純ジャズへ転身。ヘンダーソンのユニークなキャリアは「医学の学位を取得し、精神科医とミュージシャンとして並行してキャリアを積んだ」こと。かなり異色なジャズマンである。そう言えば、ピアニストのデニー・ザイトリンが同じ様なキャリアをしていたなあ。ジャズと精神科医。何か因果関係でもあるのだろうか?

さて、エディ・ヘンダーソンのトランペットは「軽快で流麗」である。音色はアコーステッィクなマイルスに似ている、というか、アコ・マイルスの忠実なフォロワーという印象。テクニック的には、高速フレーズやエモーショナルなハイノートとは全く無縁。ミッドテンポで1音1音をしっかり踏まえて、判り易く聴き取り易いフレーズを吹き上げていく。

Eddie Henderson『Shuffle and Deal』(写真左)。2019年12月5日の録音。ちなみにパーソネルは、Eddie Henderson (tp,flh), Donald Harrison (as), Kenny Barron (p), Gerald Cannon (b), Mike Clark (ds)。リーダーのヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンと、ドナルド・ハリソンのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。
 

Shuffle-and-deal_eddie-henderson

 
ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの個性である「軽快で流麗」が十分に活かされた佳作である。とにかく、ヘンダーソンのトランペット&フリューゲルホーンの音色が心地良く、ミッドテンポでフレーズの1音1音をしっかり聴かせる個性が、特にスタンダード曲で威力を発揮している。スタンダード曲の持つキャッチャーで美しい旋律をしっかりくっきり聴かせてくれる。

ハリソンのアルト・サックスも、ヘンダーソンの「個性」を踏まえて「軽快で流麗」なフレーズで寄り添う。ヘンダーソンとのユニゾン&ハーモニーはとても心地良い響き。活き活きしたハリソンのアルト・サックスは明るくて確実で判り易い。ヘンダーソンとのフロント・コンビ、この盤の聴きどころである。

そして、この「軽快で流麗」なフロント2管を支えているのが、ケニー・バロンのピアノが率いるリズム隊。さすが「伴奏上手」なピアニストのバロンである。小粋に軽快にフロント2管を支える。決してフロントの邪魔をしない。それでいて、しっかりとフロントを鼓舞する。そして、このバロンのピアノに呼応して、「軽快で流麗」なリズム&ビートを供給するキャノンのベース、クラークのドラムも素敵だ。

内容的にはライトでポジティヴ、軽快で流麗。聴き易く、聴き心地の良い、聴き応えのあるメインストリームな純ジャズ。肩肘張らず、リラックスして、それぞれの演奏を楽しみながら聴ける、ネオ・ハードバップな好盤です。ジャズ喫茶の昼下がりに流すと、何だか素敵に響くネオ・ハードバップだと思います。

ちなみに、ジャケットの表紙に写っている真っ赤なフェラーリは、ヘンダーソンが45年間、同じ車種を乗換ながら、所有している車。1968年からスタートしたエディのフェラーリ、このジャケットにあるフェラーリはなんと6台目とのこと。お後がよろしいようで(笑)。
 
 
 
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2021年9月18日 (土曜日)

ケイブルスの最新トリオ盤です

ジョージ・ケイブルス(George Cables)は、Art Pepper And George Cables 『Goin' Home』で、初めて知った。1982年のリリースなので、リアルタイムで体験している。ファンキーで多弁で切れ味の良いケイブルスのピアノは、しっかりと印象に残った。以来、ケイブルスのピアノは「お気に入り」である。

George Cables『Too Close for Comfort』(写真左)。2020年9月9日、NYの「Sear Sound」の録音。ちなみにパーソネルは、George Cables (p), Essiet Essiet (b), Victor Lewis (ds)。NYブルックリン出身の大ベテラン・ジャズ・ピアニスト、ジョージ・ケイブルスが、長年活動を共にしているエシェット・エシェット、ビクター・ルイスと組んだピアノ・トリオ作。

ケイブルスのピアノはファンキーで多弁。シーツ・オブ・サウンドの様な多弁さでは無い、アドリブ・フレーズが高速でよ唄う、そんな多弁さである。そんな多弁なフレーズに、ドップリとファンクネスを漂わせて、バリバリ弾きまくる。ケイブルスのピアノは、デビュー当時から現在まで、ずっとブレる事無く、一貫している。弾きっぷりは切れ味良く、多弁なフレーズを弾ききった後の爽快感は抜群。
 

Too-close-for-comfort-george-cables

 
収録曲を見渡すと、全10曲中、ケイブルスのオリジナル曲が4曲、ジャズマンズ・チューン、スタンダード曲のほか、NYで活躍中の日本人ピアニスト、海野雅威の作品も収録されている。ケイブルスは自作曲であれ、スタンダーズ曲であれ、一貫して「多弁でファンキーで切れ味の良い」ピアノで弾きまくる。そう、ケイブルスのピアノは「弾きまくる」のだ。これが意外に耳につかない。優れたテクニックとポジティヴな歌心が成せる技である。

ケイブルスのピアノの弾きっぷりは、この盤の録音時76歳なのだが、円熟の極みというよりは、どこか年齢に似合わず「若く明るい」弾きっぷりなのだ。ただ、じっくり聴いていると、多弁な弾きっぷりではあるが、節回しやチェンジ・オブ・ペースに、どっしりとした「余裕」を感じる。これが、ケイブルスのピアノの良いところ。この「余裕」が、小粋な「タメ」に通じて、多弁なフレーズが「明るくジャジー」に響く。聴き心地がとても良い。

長年活動を共にしてきたエシェットのベース、ルイスのドラムも好調で、ガッチリとケイブルスのピアノをサポートし、引き立たせているのは立派。変に捻ったり、変に革新的に走らない、大ベテランならではの、シンプルで躍動感のあるピアノは安定感と安心感が抜群。最近リリースされたピアノ・トリオ盤の中でも、かなり優秀な内容の「隠れ好盤」です。
 
 
 

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2021年7月19日 (月曜日)

パウエル派ピアノの現代深化型

長年、ジャズを聴いていて思うのだが、21世紀に入っても、ジャズは深化しているのだと。本場米国のみならず、欧州各国、南半球の国々においても、ジャズ盤は販売され、ジャズは演奏され続けている。新しい有望、有能なジャズマンも一定数、必ず頭角を現し、一流ジャズマンへの成長している。決して、ジャズは死んでいないし、停滞してもいない。

ジャズ盤鑑賞についても、過去の名盤、好盤の類ばかりを聴いていては、そのジャズの「深化」を感じ取る事が出来ない。それこそ、ジャズをクラシック音楽化させ、過去の音楽としてしまうので、新しくリリースされてくる新盤や、新しくデビューしてくる新人についても情報を得て、該当するアルバムを出来るだけ聴くことにしている。

Rob Schneiderman『Edgewise』(写真左)。2000年の録音。パーソネルは、Rob Schneiderman (p) Ray Drummond (b) Winard Harper (ds)。ロブ・シュナイダーマンがリーダーのピアノ・トリオ。ちなみに僕は、この盤をネットの紹介記事で見るまで、ロブ・シュナイダーマンの名前を知らなかった。

ロブ・シュナイダーマンは、米国マサチューセッツ州ボストン出身で、現在は、NY市立大学リーマンカレッジで数学の准教授を務める異色のジャズ・ピアニスト。1957年生まれなので今年64歳。
 

Edgewise

 
キャリアとしては、純ジャズ系のピアニストだった様だが、20歳台の頃はフュージョン・ジャズ全盛期、全く目立たなかったのだと思う。今までに10枚ほどのリーダー作をリリースしているベテラン・ピアニストである。

収録された曲名を見れば感じる、この盤は「バド・パウエル」を扱ったトリビュート盤。パウエルの様に、バリバリ弾きまくる訳ではないが基本的には多弁。スインギーで明確なクッキリとしたタッチ。変にモーダルにクールに展開せず、それでいて古さを感じない弾き回しは、今までにありそうで「無い」。

タッチは明快、ゆったりとしたバップ風に弾き回すピアノは聴き心地がとても良い。パウエル派ピアノの現代版というか、パウエル派ピアノの現代深化型と形容しても良いかと思う。ほんのり、新しい響きが漂うジャズ・ピアノである。

このシュナイダーマンって、日本では知名度が今ひとつ。それは「Reservoir」 という日本のレコード会社と提携関係の無いレーベルのみに吹き込みを行っているのが、主な理由かと。しかし、この盤を聴いて判る様に、実力は相当なものでもっとメジャーになって当然の逸材だと思います。

この『Edgewise』という盤、「小粋なジャズ盤」として、我がヴァーチャル音楽喫茶『松和』でちょくちょくかかる盤でもあります。
 
 
 
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2021年7月11日 (日曜日)

「One For All」というグループ

我が国の場合、日本のレコード会社が提携している海外レーベルのアルバムについては、優秀なもの、売れ筋なものは、日本のレコード会社の販売戦略に乗って、日本の中でも人気盤になったり、話題盤になったりするのだが、全く提携関係の無い海外レーベルのアルバムについては、内容が優秀だろうが、我が国の中ではその情報が流通することが無かった。

しかし、1990年代終わり辺りから、インターネットの普及によって、日本のレコード会社が全く関係しない海外のジャズ・レーベルのアルバムについての情報が、リアルタイムに近い形で入手出来る様になった。そして、音楽音源のサブスク・サイトにその音源がアップされる様になって、海外レーベルの優秀盤を比較的容易に愛でることが出来る様になった。

One For All『What's Going On?』(写真左)。2007年5月29日、NYでの録音。Venus Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Elic Alexander (ts), Jim Rotondi (tp), Steve Davis (tb), David Hazeltine (p), John Webber(b), Joe Farnsworth (ds)。

エリック・アレキサンダーのテナー・サックス、ジム・ロトンダディのトランペット、スティーヴ・デイヴィスのトロンボーンが3管フロントのセクセット編成。録音時点で、メンバーは皆、30歳台の若手バリバリで、ネオ・ハードバップな演奏ながら、演奏の展開としては新しい響きをこれでもか、という感じで繰り出していて爽快感抜群。昔のハードバップの音の響きを懐かしむこと無く、21世紀のハードバップな演奏・解釈は一聴に値する。
 

Whats-going-on-one-for-all

 
One For Allは、1997年にこのパーソネルのメンバーで結成された「ネオ・ハードバップ」専門のグループ。大変優れたメンインストリーム志向の純ジャズ・グループなんだが、我が国ではあまり馴染みが無い。日本のレコード会社の販売戦略に乗らなかったことが主原因なのだが、この大変優れたメンストリーム志向の純ジャズ軍団の音に触れていないのは、ちょっと残念なのことだと僕は思う。

あのヴィーナス・レコードからのリリースとなる『What's Going On?』であるが、従来のヴィーナス・レコードの音傾向を全く無視して、しっかりと One Fot Allの音を前面に押し出している。構成メンバー全員が当時にして「一国一城の主」的存在の若手中堅がメインで、テクニック優秀、ハードバップ的な音を意図的に出しつつ、スマートなオリジナリティーを発揮している様は頼もしい。

アレンジが実に良い。アレンジが良いから、メンバー各々のハイテクニックも活きる。タイトル曲の「What's Going On?」は、ソウル・ミュージックの雄、マーヴィン・ゲイの名曲なのだが、このソウルフルな名曲が、スインギーで4ビートなハードバップな演奏でカヴァーされるなんて思ってもみなかった。思わず「降参」。むっちゃ格好いいアレンジ。

ヴィーナス・レコードの音志向とはちょっと異なるのだが、そんなことお構いなしに、ひたすらネオ・ハードバップな演奏を繰り広げていく。あのヴィーナス・レコードでのアルバムからして、この新しくてコッテコテ「ネオ・ハードバップ」な内容は、メンバー相互の相性の良さと、お互いに切磋琢磨する前向きなスタンス、そして、メンバー全員の自信の賜だろう。
 
 
 
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