2020年7月 5日 (日曜日)

サド=メルの「イチ押しの一枚」

ジャズ・ボーカルとビッグバンドについては、自分の今までの「聴き方の遍歴」は普通では無い。王道であるボーカリストや楽団を最初に聴き込んでいない。ビッグバンドについては、最初は当然、デューク・エリントン楽団とカウント・ベイシー楽団から入るのだが、僕は違った。ジャズを聴き始めたのが、フュージョン全盛期の1970年代後半だったこともあるのだろうが、ビッグバンドへの入り方がちょっと通常とは変わっていた。

ビッグバンド・ジャズで最初にお気に入りになったのが「Gil Evans & Monday Night Orchestra」と「Thad Jones = Mel Lewis & The Jazz Orchestra」そして「Toshiko Akiyoshi-Lew Tabackin Big Band」。そして、1980年代に入ってからは、あろうことか「Jaco Pastorius & Word of Mouth Big Band」であった。エリントン楽団もベイシー楽団も聴くには聴いたんだが、どうもピンと来なかった。

Thad Jones = Mel Lewis & The Jazz Orchestra『Central Park North』(写真)。1969年6月17, 18日、NYのA&R Studios での録音。略称「サド=メル楽団」は、もともと一流ジャズメンがプレイを楽しむことを目的に編成されたリハーサル・オーケストラ。メンバーそれぞれのパフォーマンスの自由度が高いのが特徴。加えて、アレンジが多種多様、実にカラフル。
 
 
Central-park-north  
 
 
そんな「サド=メル楽団」の良いところが満載のスタジオ録音盤がこの『Central Park North』になる。アレンジ方針が固定されていないので、アルバム毎にその「音の色合い」は変わる。この盤については、8&16ビートの大々的導入など、ジャズ・ロック色が強いところが魅力。音の迫力、躍動感、グルーヴ感が半端ない。当時としては「新しいビッグバンド」の音の響きだったのだろう。僕もこの盤については、一聴して虜になった。

とにかく格好良いのだ。冒頭の「Tow Away Zone」のビートの効いたファンキーなリズムが単純に「格好良い」。しかも、ロックなビートにも関わらずスインギー。これが堪らない。この1曲だけでも「今までのビッグバンドとは違う音」を感じることが出来る。このジャズ・ロックなグルーヴ感は癖になる。2曲目の「Quietude」は逆に、コッテコテの「ハードバップ」。洒落たアレンジで古さを感じない。

どの曲にも新しいビッグバンドの響きが感じられるのだが、これは、恐らく、ハナのピアノ、ディヴィスのベース、そして、ルイスのドラムの「リズム隊」の成せる技では無いかと思っている。そして、それをしっかりと成立させているのが、サドの担当する「アレンジ」。リズム&ビートとアレンジの斬新さで、サド=メル楽団の魅力全開の一枚である。
 
 
 

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2010年3月21日 (日曜日)

ビッグバンド・ジャズは楽し・7

ビッグバンドについて、ジャズ初心者の頃、「これは凄いぞ」と直感的に感じたのが、Thad Jones(flh), Mel Lewis(ds)の2人が、1965年に結成した、サド&メル・ジャズオーケストラ。

サド&メル・ジャズオーケストラは、FMラジオで初めて聴いた。エリントン楽団やベイシー楽団とは全く違う、新しい音が実に心に響いた。演奏されているビートが新しく、1970年代後半、ジャズ者初心者の僕は、この新しいビッグバンドの音に強く惹かれた。

そんなサド&メルを、初めてアルバムとして聴いたのは『Consummation』(写真左)だったかと思う。このアルバム・ジャケットのイラストが実に印象的だった。Leo Meiersdorffがイラストレーターとして起用されている。身体のしなり、強調された指、原色中心のメリハリのある色使い。このジャケットに惹かれて、例の「秘密のジャズ喫茶」で聴かせて貰った。\

サド&メルのビッグバンドの特徴は、まず、ソロパートに対して、時間が充分に確保されているという点である。ジャズ・コンボの様に、ソロパートにしっかりと時間を与えていて、それぞれのソロイストは活き活きと自由にソロを演奏する。その自由さが気に入った。

それから、適度に隙間のある独特なアンサンブルと疾走感溢れるパンチの効いたユニゾン&ハーモニー。適度に隙間がある中で、音の切れ目でホーン楽器がビシッと決めるので「切れ味抜群」に聴こえる。その「抜群の切れ味」が、独特のドラムブレイクと併せて、疾走感、爽快感を与えてくれる。とにかく、決めるところをキッチリ決めてくれるので、実に格好良いのだ。
  
 
 Thadmel_consummation
 
 
7曲目「Fingers」が凄い。高速演奏、ハイテンポなナンバー。サド&メルのビッグバンドは、高速演奏にも拘わらず、崩れることが無い。メンバー個々の演奏テクニックが実にしっかりしている。「抜群の切れ味」で決めるところをキッチリ決めてくれるので、この高速演奏が「耳につく」ことは無い。

加えて、ビートは8ビートの採用にチャレンジし、電気楽器の導入も全く厭わない。逆に、アレンジの妙で、実に上手くビッグバンド演奏として聴かせてくれる。とにかく、サド&メルはアレンジが格好良い。時代は「1970年」。クロスオーバー・ジャズという流行が始まった頃。新しいジャズの流行をサラリと取り入れているところが、実にお洒落である。

その代表的な演奏が、5曲目の「US」。エレピの演奏が実に小粋で格好良い。誰かしらとパーソネルを見れば、なんとローランド・ハナ。純ジャズのビートをしっかり踏襲しつつ、ジャズから決して離れない「ファンク風」エレベは誰だ、と思ってパーソネルを見れば、なんとリチャード・デイビスではないか。クロスオーバー・ビッグバンド・ジャズと言って良い、実に格好良い演奏だ。

1978年に解散してしまうが、未だに人気の「サド&メル」。今の耳で聴いても、ソロパートに対して、時間が充分に確保されているという点、適度に隙間のある独特なアンサンブルと疾走感溢れるパンチの効いたユニゾン&ハーモニーについては、まだまだ「新しさ」を感じる。サド&メル・ジャズオーケストラについては、歴史的なビッグバンドとして、もっと注目されても良いと改めて感じます。

さて、昨晩夜半過ぎから今朝にかけて凄い風、そして早朝からは大雨が加わった、所謂「春の嵐」の我が千葉県北西部地方。今日は日帰りで墓参り。朝5時起床だったので、外は春の嵐真っ只中。

車で出かけたが、強い風でハンドルは取られるわ、大雨で視界が失われるわ、大変なドライブとなった。しかし、朝9時には雨も上がり、昼には良い天気に。帰りは西日が強くて、車の中は暑いくらい。劇的な天候の変化にビックリである。 
 
春嵐(はるのあらし) 新社会人の 背中押し
 
 
 
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