2020年12月 3日 (木曜日)

「メローなロンドンの週末」

もともとはマイルス・バンドに呼ばれる位に、先進的でロック寄りのジャズ・エレギを弾く新進気鋭のギタリストだった。そして、1970年代に入って、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズの大ブームの中で、ソフト&メロウを「ウリ」にしたギタリストとして有名になる。そして、遂にはソフト&メロウなフュージョンの中で歌を披露するようになる。

で、この歌が「とても素晴らしい」。ギタリストなのに歌も上手い。唄って弾きまくるギタリストとなり、遂には、上手いギターも弾くボーカリストになった。しかし、この人、ギターを弾かせると超一流な腕前なんだけどなあ。僕は今でも、この人のギターが大好きで、ギター弾きまくりの1970年代のリーダー作を、今でも好んで聴いているくらい。

George Benson『Weekend in London』(写真左)。先月のリリース。ジャズ・ギターのレジェンド、ジョージ・ベンソンが2019年、ロンドンの老舗ジャズ・クラブ、Ronnie Scott'sで行ったライヴを収録。このジャズ・クラブのキャパは250人。小さなジャズ・クラブでのライブならではの、熱気がダイレクトに伝わる、デッドな音空間が素敵なライヴ盤である。
 
 
Weekend-in-london
 
 
収録曲はベンソンの「ベスト集+カヴァー集」的なもの。まず「Give Me The Night」からスタートするところが良い。1980年に全米TOP5ヒット曲、懐かしい。十八番の代表曲「Love X Love」や「In Your Eyes」の選曲も良い。カヴァー曲は渋い選曲で、ダニー・ハサウェイの「The Ghetto」なぞ、思わず感嘆の声を上げてしまう。

このライヴ盤のベンソンの基本的スタンスは「上手いギターも弾くボーカリスト」。冒頭から唄いまくっている。時々、間奏のレベルでギターを弾くが、これが流石に「上手い」のだが、物足りない。しかし、ラストの「Cruise Control」ではスキャットは入るが、久し振りにセミアコを弾きまくっている。これが圧巻。やっぱり、ベンソンには「ギター弾きまくり」だけのアルバムを出して欲しいなあ。

ベンソンは1943年生まれなので、今年で77歳。もう大御所も大御所、レジェンドもレジェンド過ぎる年齢ではあるが、このライヴ盤での歌声は「まだまだ現役バリバリ」。衰えは全く感じ無い。ギターについても堂々とした弾きっぷりで、指が縺れることは全く無い。いやはや、凄いジャズ・ギター&ボーカルのレジェンドである。
 
 
 

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  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

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2020年6月 3日 (水曜日)

故きを温ねて新しきを知る。

思いっきし蒸し暑い千葉県北西部地方。日が射したらモワッと体感気温30度越え。日が陰っても、涼しい風は湿気を帯びて、汗をかいた皮膚にまとわり付く。今日はどうしても外出しなければならない所用があり、となり駅までウォーキングがてら歩いたのだが、10分も歩くとジワッと汗ばんでくる。さすが6月。もう感じる季節は「夏」である。

これだけ蒸し暑くなってくると、聴きたくなるジャズは「爽やかな」「涼感感じる」ジャズになる。例えば「ボサノバ・ジャズ」。例えば「スムース・ジャズ」。ボサノバ・ジャズやスムース・ジャズを馬鹿にしてはいけない。確かに中には「これは一体なんなんだ」な内容の駄盤もある。しかし、これは純ジャズでも同じこと。ボサノバ・ジャズやスムース・ジャズにも、テクニック優秀、内容もある、純ジャズの好盤に相当するものも多々ある。

George Benson『That's Right』(写真左)。1995年、ミネアポリス、ニューヨーク、ロンドンにて録音。メインのプロデューサーは「売れる盤請負人」Tommy LiPuma。パーソネルについては、ザーッと見渡しても、知らない名前ばかり。つまりは旧来のモダン・ジャズ畑、フュージョン・ジャズ畑のメンバーは全く見当たらない。純粋に、スムース・ジャズ畑のメンバーばかりで固めている。ワーナーブラザーズを離れたベンソンのGRPレコード第一弾。
 
 
Thats-right  
 
 
もともとは「格好良く弾きまくって、ちょっと歌う」ギタリスト(これが凄く良かった)だったのだが、1980年代から1990年代前半の間、「歌う」ギタリストというか、ほぼボーカリストになってしまったベンソン。まあ、歌が上手すぎるから仕方の無いことだが、これではジャズ・ミュージシャンとは言い難い。しかし、この盤については「格好良く弾きまくって、ちょっと歌う」ギタリストが還って来た。久し振りだ、弾きまくるベンソン。さすがに上手い、ファンキー、グルーヴィーである。

打ち込みビートもあるにはあるが、これだけベンソンがジャジーなギターを弾きまくってくれれば、ギターのグルーヴが優先して、あんまり気にならない。そして、これだけベンソンがギターを弾きまくれば、ベンソンの「ちょっと歌う」ボーカルが逆に引き立つから不思議だ。この辺のプロデュースの妙、さすが、トミー・リピューマである。

当時として最新のスムース・ジャズと懐かしの70年代後期の「格好良く弾きまくって、ちょっと歌う」ベンソンを同居させた快心作だと思う。全体のプロデュースをトミー・リピューマが担い、リッキー・ピーターソン、インコグニートのブルーイのプロデュースで個々の曲作りをする。このプロデューサー陣の会心盤。「故きを温ねて新しきを知る」的なベンソンが格好良い。録音当時、52歳のベンソン。とんでもない中堅ギタリストである。
 
 
 

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