2024年2月26日 (月曜日)

「ファーマーの音色」だけを聴く盤

ジャズの演奏の世界って、アレンジが重要なんだなあ、と思う時がある。アレンジの良し悪しで、リーダーの担当する楽器や、フロント管の旋律やアドリブがくっきり前面に明確に聴こえたり、聴こえなかったり。聴いていて、演奏全体が聴き心地良かったり、悪かったり。アルバム全体を聴き通していて、集中して最後まで聴けたり、途中で飽きがきたり。意外とジャズには「アレンジの重要性」が必須要素としてある、と僕は睨んでいる。

Art Farmer with The Quincy Jones Orchestra 『Last Night When We Were Young』(写真左)。1957年3月28日、4月24 & 29日の録音。ちなみにパーソネルは、メインセットに、Art Farmer (tp), Hank Jones (p), Tommy Kay (g, on March 28, tracks 2, 4, 8), Barry Galbraith (g, on April 24 & 29), Addison Farmer (b), Osie Johnson (ds, on March 28, tracks 2, 4, 8), Sol Gubin (ds, on April 24 & 29), Quincy Jones (arr, cond)。ここに、それぞれの録音日で、それぞれのオーケストラ・メンバーが加わる。

当時の人気アレンジャー、クインシー・ジョーンズ(以降、愛称「Q」)のジャズオケ・アレンジに乗って、アート・ファーマーが心ゆくまでトランペットを吹き上げる、イージーリスニング志向のビッグバンド・ジャズの企画盤。ABC-Paramountレコードからのリリース。さすがに大手レコード会社、ジャズ・ファンのみならず、一般の音楽ファンにも訴求する、聴き心地の良い、それでいて、内容的にしっかりしたイージーリスニング志向のジャズに仕上がっている。
 

Art-farmer-with-the-quincy-jones-orchest

 
冒頭の「Two Sleepy People」の演奏内容が、この企画盤の雰囲気を決定づけている。Qのムーディーで新鮮な響きでアレンジされたジャズオケの伴奏に乗って、ファーマーのトランペットが唄うように囁くように流れてくる。かなりムーディーな雰囲気だが、決して俗っぽくない。さすが、Qのアレンジである。特に尖ったところがない、流麗でムーディーなアレンジだが、底にしっかりジャズがある。

優れたアレンジの下で、ファーマーのトランペットが映えに映える。「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットの音色が映えに映える。ファーマーのトランペットの個性が、とても良い響きで、いい感じ流れて来る。これが全編に渡って展開される。これが実に良い。

この企画盤は、Qのアレンジの優秀性と、この優れたQのアレンジに乗った、ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットの音色だけを愛でる盤。バリバリ尖ったアドリブよろしくインタープレイを展開するハードバップも良いが、こういう内容の伴った、聴き心地の良いイージーリスニング志向のジャズも良い。特に、ながら聴きのジャズに最適。これも「良い音楽」、これも「良きジャズ」である。
 
 

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2024年2月25日 (日曜日)

Art Farmer『The Aztec Suite』

邦題『アズテック組曲』。キューバの作曲&編曲家、指揮者のチコ・オファリル(Chico O'Farrill)のアレンジによるアフロ・キューバン・ジャズ。トランペットのアート・ファーマーがリーダーの12人編成のスモール・ビッグ・バンドのたエキゾチックな雰囲気が芳しい企画盤。アル・コーンが音楽監督を務めている。

Art Farmer『The Aztec Suite』(写真)。 1959年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer, Bernie Glow, Nick Travis (tp), Jimmy Cleveland, Frank Rehak (tb), Jim Buffington (French horn), Zoot Sims, Seldon Powell (ts), Hank Jones (p), Addison Farmer (b), Charlie Persip (ds), José Mangual (perc), Chico O'Farrill (arr)。

3トランペット、2トロンボーン、2テナーにフレンチホルンを加えた8管フロントに、パーカッションを加えたリズム・セクションをバックに、エキゾチックでミステリアスな響きのする、ブラスのパンチが効いたアフロ・キューバン・ジャズの演奏で全編、埋め尽くされている。8管フロントのアンサンブルが迫力満点で、しばしば圧倒される。
 

Art-farmerthe-aztec-suite

 
さすが、キューバ出身のチコ・オファリルのアレンジが優秀で、アレンジの問題で、ややもすれば俗っぽく安っぽくなるリスクのあるアフロ・キューバン・ジャズを、鑑賞に耐える、聴き応えのあるものに仕立て上げているのは見事。東海岸ジャズの中、優れたアレンジで、西海岸ジャズを意識した様な「聴く為のジャズ」を実現している。

「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」ファーマーのトランペットが、アフロ・キューバンなグルーヴの中でブリリアントに響き、アフロ・キューバンな熱いアンサンブルの中で「流麗でウォーム」なフレーズがくっきりと浮き出てくる。

アフロ・キューバンにファーマーのトランペット。水に油かと思ったら、意外と相性バッチリなのにちょっビックリする。流麗バップなハンク・ジョーンズのピアノも、しっかりアフロ・キューバンして、いつになく熱いフレーズを叩き出している。アレンジ上々、整って聴き応えのあるアフロ・キューバン・ジャズの佳作です。
 
 

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2024年2月20日 (火曜日)

『The Art Farmer Septet』

何故か、我が国では実力に見合った人気が伴わないジャズマンは多々いる。が、21世紀に入って、過去のジャズ盤の音源の入手が飛躍的に楽になったので、過去のリーダー作が聴き直しし易くなった。聴き直してみると「イケる」。どうして、我が国では人気が伴わないのか、訝しく思う。そんなジャズマンが結構いるから面白い。

『The Art Farmer Septet』(写真左)。1953年7月2日と1954年6月7日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。1953年7月2日のセッションのアレンジが「Quincy Jones」。1954年6月7日のセッションのアレンジが「Gigi Gryce」。

どちらのセッションも同じ楽器編成でのセプテット。異なる日のセッションで、同一楽器編成で、優れたアレンジャーをチョイスしている。やっつけ構成盤が大好きなプレスティッジらしからぬアルバムである。

ちなみにパーソネルは、1953年7月2日の録音(tracks 1–4)が、Art Farmer (tp), Jimmy Cleveland (tb), Clifford Solomon (ts), Oscar Estell (bs), Quincy Jones (p, perc track-1 only), Monk Montgomery (el-b), Sonny Johnson (ds)。

1954年6月7日の録音(tracks 5–8)が、Art Farmer (tp), Jimmy Cleveland (tb), Charlie Rouse (ts), Danny Bank (bs), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Art Taylor (ds)。2つのセッションで、共通のメンバーは、Art Farmer (tp), Jimmy Cleveland (tb) の二人のみ。
 

The-art-farmer-septet

 
このアルバムは、アート・ファーマーの初リーダー作になる。1953年7月2日の録音(tracks 1–4)は、10インチLP時代に『Work of Art』としてリリースされている。

セプテット編成の演奏の中でのアート・ファーマーのトランペットである。初リーダー作にしては、派手に目立ってはいないが、アドリブ・ソロを取る時のファーマーはなかなかのトランペットを聴かせているから立派。良く鳴るオープンとリリカルなミュートの両方が楽しめる一枚でもある。

1953年7月2日と1954年6月7日のどちらのセッションも、優れたアレンジャーがそれぞれアレンジを担当していて、それぞれの演奏の内容が整っていて聴いていて楽しい。クインシー・ジョーンズのアレンジも、ジジ・グライスのアレンジも、どちらも優秀。

ストレートなハードバップなアレンジと重厚なアンサンブルをベースに、趣味の良いラテン・フレーバーや盛り上がるラテンのリズム&ビート、哀愁感漂うジャジーなフレーズなど、当時としてはかなりレベルの高いアレンジである。そんな優秀なアレンジとバック・メンバーに支えられて、ファーマーはブリリアントで朗々と鳴るトランペットを吹き上げる。

アート・ファーマーの初リーダー作として、というか、ハードバップ初期の佳作として評価出来るアルバムだと思います。

ちなみにこの『The Art Farmer Septet』は、1960年代に入ると『Work Of Art』<New Jazz NJLP-8278>(写真右)として、アルバム・タイトルを当初の10インチLPのものに戻し、加えて、ジャケットを変更した上で、内容はそのままに、しれっと再発している。プレスティッジらしい、ボブ・ウェインストックらしい仕業である。
 
 

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2024年1月12日 (金曜日)

ファーマーの好盤『Perception』

アート・ファーマーの好盤を聴き進めている。ジャズを本格的に聴き始めた頃から、ずっと聴いてきた、お気に入りのトランペッターなのだが、意外と当ブログの記事になっていない好盤がまだまだ沢山ある。ファーマーについては、ジャズ盤紹介本に載らないリーダー作にも優れたものが多い。

Art Farmer『Perception』(写真左)。1961年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Harold Mabern (p), Tommy Williams (b), Roy McCurdy (ds)。ファーマーはフリューゲルホーンを持って「ワン・ホーン」のカルテット編成。トランペットのワン・ホーン・カルテットは多くは無いのだが、ファーマーは一人でフロント・フレーズを吹きまくっている。

アート・ファーマーのトランペットは「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良い」もの。そんなファーマーの「流麗でウォーム」の部分が突出した、ファーマーの紡ぎ出す流麗なフレーズがとことん愛でることの出来る盤である。
 

Art-farmerperception

 
フリューゲルホーンで吹いているので、出てくるフレーズが、トランペットの時よりもエッジがラウンドして、耳当たりが優しく、聴き心地が増す。全編、落ち着いた、温かみを感じる「クール」なフリューゲルホーンがとても良い。スタンダード曲もファーマーの自作曲も、同じトーンで統一される。それぞれの曲の持つ流麗なメロディーだけが浮かび出る。

メイバーンの小粋でメリハリの聴いた流麗なピアノをメインにした、ウイリアムス、マカーディのリズム・セクションが、ファーマーの落ち着いた、温かみを感じる「クール」なフリューゲルホーンをしっかりとサポートする。ファーマーのフリューゲルホーンが引き立つリズム&ビート。このリズム・セクションの貢献度は高い。

レナード・フェザーがライナー・ノーツを担当しているのだが、最後をこう締め括っている。「As long as there is room for beauty and lylicism in jazz,such voices as Farmer's will never be silenced.」(ジャズに美しさと叙情性の余地がある限り、ファーマーのような声が沈黙することは決してありません)。良いこと言うなあ、と思う。このリーダー作にぴったりの表現だと感じます。
 
 

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2024年1月11日 (木曜日)

隠れ名盤 Live at the Half-Note

アート・ファーマーは、ジャズ・トランペッターとしてお気に入りの一人。ジャズを聴き始めた頃から、ずっとファーマーのトランペット&フリューゲルホーンを聴いてきた。アート・ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良いトランペット」がずっとお気に入り。

Art farmer Quartet featuring Jim Hall『Live at the Half-Note』(写真左)。1963年12月、NYの「ハーフノート」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (flh), Jim Hall (g), Steve Swallow (b), Walter Perkins (ds)。このライヴでは、ファーマーはフリューゲルホーンを吹いている。フロントの相棒にジム・ホールのギター、ピアノレスの変則カルテット編成。

録音時は1963年。ハードバップをベースに、ジャズは多様化の時代に突入。純ジャズ志向としては、モード・ジャズが主流になり、エンタテインメント志向としては、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズなど、聴いて楽しいジャズが主流に、そして、新しいジャズとしては、フリー&スピリチュアル・ジャズが出現していた。

しかし、ここでのアート・ファーマーは、ハードバップを極める「志向」でパフォーマンスしている。演奏志向はあくまでハードバップ。しかし、従来のハードバップのフレーズとは違う、従来のコード進行とは違う、クールで静的な響きを持ったフレーズ展開で、当時として新しい響きのハードバップな演奏を繰り広げる。
 

Art-farmer-quartet-featuring-jim-hallliv

 
いわゆる「ジャズのライヴ演奏」と聞いて、熱いバトルチックな演奏を想起するが、このファーマー・カルテットの演奏はクールで静的。ファーマーはフリューゲルホーンを使って、流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良いフレーズを吹き上げる。しかし、そのフレーズの響きは、1950年台のハードバップのそれでは無い。それまで聴いたことのないフレーズで攻める。

おそらく、ジム・ホールの、それまでに無い新しい響きのコード進行と間を活かしたインプロに触発されたのではないか。ジム・ホールのギターは、意外と「プログレッシヴ」。従来のブルージーでジャジーな定型的な響きではない、そこはかとなく捻れて少し破調なフレーズは、今の耳にも新しい。このホールのプログレッシヴなギターがファーマーのフリューゲルホーンのフレーズを刺激する。

そして、そんなプログレッシヴな響きと間を活かしたフレーズの「底」を支えるのが、スティーヴ・スワローのベース。スワローのベースもプログレッシヴ。まるでモーダルなベースラインを弾くように、それまでに無い、新しいベースラインで、ファーマーとホールをガッチリ支える。

クールで静的な響きがメインのライヴ盤なので、一聴すると地味な印象を感じるが、じっくり繰り返し聴くうちに、それぞれの演奏の「プログレッシヴ」さを感じて、何の変哲もない、手垢の付いたハードバップ演奏なのに、滲み出てくる「新しさ」に引き付けられる。

そして、このハードバップな演奏は「只者では無い」ことに気が付く。気がついて、このライヴ盤は隅に置けない、と思う。そんな「隠れ名盤」がこの『"Live" At the Half-Note』である。
 
 

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2024年1月 8日 (月曜日)

ブラス輝く『ブラス・シャウト』

10歳代後半以降、マイルス・ディヴィスが大のお気に入りゆえ、ジャズ・トランペットについては、かなり昔から聴き親しんでいる。

トランペットという楽器の性格上、サックスの様に激情にまかせて、長々とフリーキーに吹き続けることが不得手。肉声よりもキーが高音なので、大きな音はかなり耳障りにもなる。

よって、ジャズ・トランペッターは正統派、純ジャズ志向が大多数。それでいて、音色や吹き方、表現がそれぞれ個性があって、様々なジャズ・トランペットが楽しめる。

Art Farmer『Brass Shout』(写真左)。1959年5月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer, Lee Morgan, Ernie Royal (tp), Julius Watkins (French horn), Jimmy Cleveland, Curtis Fuller (tb), James Haughton (b-horn), Don Butterfield (tuba), Percy Heath (b), Philly Joe Jones (ds), Benny Golson (arr, cond)。

ウォームで端正、唄うがごとく流麗なフレーズが個性のトランペッター、アート・ファーマーのリーダー作。ファーマーを含めトランペットが3本、フレンチ・ホルンが1本、バリトン・ホルンが1本、トロンボーンが2本、チューバが1本の計8本のブラスに、ピアノレス、ベースとドラムが加わった11人編成。アレンジ&指揮は、テナー奏者のベニー・ゴルソン。
 

Art-farmerbrass-shout

 
サックスとピアノがいない、ブラスがメインのフロント、リズム隊はベースとドラムのみ。なかなか面白い編成だが、アレンジャーが「ゴルソン・ハーモニー」の主、ベニー・ゴルソンが担当している。なるほど、ゴルソン・ハーモニーはブラス・セクションのユニゾン&ハーモニーが一番映えるので、この変則編成には合点がいく。

しかも有名ジャズマンがずらり顔を揃えて、この11人編成のアンサンブルに不足は無い。そんな豪華なバックを従えて、ファーマーだけが、ウォームで端正、唄うがごとく流麗なトランペット・ソロを吹き上げる。

ゴルソン・ハーモニーは、分かり易い、シンプルな、美しいフレーズに一番映える。そういうこともあるのだろう、収録された曲は、有名スタンダード曲ばかり。「Nica's Dream」「Autumn Leaves」「Moanin'」「April In Paris」「Five Spot After Dark」「Stella By Starlight」「Minor Vamp」の6曲。

聴き心地に重点を置いているのか、どの曲もちょっと軽めのアレンジが施されていて、軽快で明るい雰囲気で統一されている。そこに、ゴルソン・ハーモニーでメイン・テーマを印象的に浮き出していてメリハリが効いている。そして、アドリブ・フレーズをウォームで端正、唄うがごとく流麗なトランペットで吹きまくる。

なんだか訳の判らない女性の横顔のオブジェのジャケには「?」ですが、ゴルソンの良く考えた小粋なアレンジと、ファーマーのウォームで端正、唄うがごとく流麗なトランペットの相乗効果がとことん楽しめるスタンダード曲集です。ながら聴きにもいい感じの聴き心地の良い好盤。
 
 

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2022年12月 1日 (木曜日)

ジョーダンとファーマーの共演盤

デューク・ジョーダン(Duke Jordan)。欧州に渡った後、1970年代に、スティープルチェイス・レーベルに残したリーダー作は良好盤ばかりで駄盤が無い。スティープル・チェイスの総帥ディレクター、ニルス・ウィンターがデューク・ジョーダンの才能を高く評価していたこと、そして、なにより、双方の相性が相当良かったのだろう。

Duke Jordan『Duke's Artistry』(写真)。1978年6月30日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Art Farmer (flh), David Friesen (b), Philly Joe Jones (ds)。フロント管にアート・ファーマーのフリューゲルホーン1管のカルテット編成。ファーマーのフリューゲルホーンが優しく唄い上げ、ジョーダンのピアノのバッキングの巧みさ、そして、ジョーダンの書く曲の良さが、とても良く判る盤である。

全曲デュークによりオリジナル曲で占められており、これがまた、どの曲も出来が良い。作曲家としてのデューク・ジョーダンの才能を改めて認識出来る内容。この良き曲に恵まれて、ファーマーの暖かくて丸みのある、それでいて、相当にテクニカルで力感溢れるフリューゲルホーンが映えに映える。
 

Duke-jordandukes-artistry

 
デューク・ジョーダンのピアノ、デイヴィット・フリーゼンのベース、フィリー・ジョーのドラムによるトリオのバッキングがこれまた見事。特に、ジョーダンの伴奏上手なピアノには感心する。フリーゼンのベースは厚みのある骨太な音で堅実、そして、フィリージョーは意外と整ったバップ・ドラミングで、リズム&ビートを供給する。

ジョーダンの曲はどれもが「ユッタリ&シットリ」していて、どの曲も良好。5曲目の「Lady Dingbat」はバラード曲。ジョーダンのバラード曲は絶品。ジョーダンのピアノがイントロから映えに映える。ファーマーの丸いフリューゲルホーンによるアドリブ展開も優しくて良し。そうそう、ブルース曲も良いですね。ラストの「Dodge City Roots」など、小粋で格好良くて、気品溢れる展開が聴き応え十分。

この盤、裏面の解説を紐解くと、ファーマーが当日夕刻のフライトで移動するという、相当タイトなスケジュールの中の録音だった様です。そんな中、リーダーのデューク・ジョーダンの周到な準備によって、メンバー集まり次第、即、録音に臨むことが出来、1曲当たり多くても2テイク、トータルで2時間で録音を完了したとのこと。そんなタイトな録音環境を全く感じさせ無い、とても充実した内容のアルバムです。
 
 

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2022年8月 4日 (木曜日)

ジャズテットの魅力を再認識する

僕にとって、ベスト3に入るトランペッター、アート・ファーマー。意外と、当ブログで記事にしたリーダー作が残っている。主要なリーダー作だけで十分満足出来るトランペッターで、なかなか、ディスコグラフィーに上がっている「小粋なリーダー作」や「隠れ名盤」の類に手が回っていない状況。これは「イカン」ということで、しっかり、ファーマーのリーダー作の「落ち穂拾い」をやっている。

Art Farmer & Benny Golson『The Jazztet : Big City Sounds』(写真左)。1960年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Benny Golson (ts). Tom McIntosh (tb), Cedar Walton (p), Tommy Williams (b), Albert Heath (ds)。いわゆるファーマーとゴルソンの双頭リーダーのバンド、「ジャステット」ものである。メンバーは粒ぞろい。趣味の良いファンキー・ジャズが展開されている。

全9曲中、ゴルソン作が5曲、スタンダード曲が4曲。どの曲にも「ジャズテット」ならではの、ベニー・ゴルソンの手になる、ゴルソン・ハーモニーをメインとした、ファンキーでキャッチャーなアレンジが施されている。これが聴いていてとても心地良い。かつ、アレンジのレベルが均一なので、アルバム全体に統一感があって、聴いていてとても楽しい。前作のバンドとしてのデビュー作『Meet the Jazztet』よりも、バンドの演奏の一体感が更に高まっている。
 

Art-farmer-benny-golsonthe-jazztet-big-c

 
タイトル通り、都会的でジャジーな演奏がてんこ盛り。ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、ブリリアントで聴き心地の良いトランペット」は絶好調。ゴルソンのテナーも絶好調。骨太で大らかな力感溢れるブロウで、ファーマーとの2管フロントを取り仕切る。こうやって聴いていると、ファーマーのトランペットとゴルソンのテナーって相性抜群なんですね〜。まあ、双頭リーダーでバンドを組むくらいだから当然と言えば当然か。

前任者カーティス・フラーに代わって入った、新メンバーのトム・マッキントッシュが結構健闘している。堅実で切れ味の良いトロンボーンを聴かせてくれる。同じく、前任者マッコイ・タイナーの後に加入したシダー・ウォルトンが、自由度の高い、モード風のインテリジェンス溢れるプレイで、ジャズテットに新しい音の響きを付加している。

長年、CDで入手するのに苦労する環境が続いたのですが、最近では、サブスク・サイトにも音源がアップされているようで、気軽に聴ける環境になったことは実に喜ばしい。我が国では意外と人気の薄い「ジャズテット」ですが、バンドとしてのデビュー作『Meet the Jazztet』と併せて、当アルバムを聴けば、「ジャズテット」の魅力的なファンキー・ジャズの世界を再認識すること請け合いです。
 
 

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2022年8月 2日 (火曜日)

ファーマーのハードバップの成熟

ジャズ・トランペッターについては、一に「マイルス・デイヴィス(Miles Davis)」、二に「アート・ファーマー(Art Farmer)」、三に「リー・モーガン(Lee Morgan)」。マイルスは別格として、アート・ファーマーが、ジャズ・トランペッターの「お気に入りの上位」である。

ジャズを聴き始めた頃、『Modern Art』に出会って、アート・ファーマーの「力感溢れ端正でブレが無く流麗でウォーム、エッジがラウンドしていて聴き心地の良いトランペット」が好きになった。歌心も十分、そこはかとなくファンクネス香る、知的なトランペットに「填まった」。以来、今までずっと、40年以上、ファーマーのトランペットを聴き続けている。

Art Farmer『Farmer's Market』(社員左)。1956年11月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Hank Mobley (ts), Kenny Drew (p), Addison Farmer (b), Elvin Jones (ds)。アート・ファーマーの初期、6枚目のリーダー作になる。ベース担当の「アディソン・ファーマー」は、アート・ファーマーの双子の兄弟。

メンバー個々のそれぞれの楽器演奏や斬新なアドリブ展開を楽しむ、というよりは、盤全体のハードバップな雰囲気をまるごと楽しむ盤である。
 

Art-farmerfarmers-market

 
メンバーはそれぞれ、ハードバップ時代の名手ばかりなので、ユニゾン&ハーモニー、インタープレイ、アドリブ展開、どれをとっても、お手本の様な「ハードバップな演奏」がギッシリ詰まっている。そこかしこに「手慣れた感」が漂うのは、この時期、ハードバップ・ジャズが成熟していた証であろう。

リーダーのアート・ファーマーのトランペットが絶好調。端正でブレの無い、ブリリアントで流麗でウォームなトランペットが疾走する。そして、ピアノのケニー・ドリューがとっても良い。切れ味の良い、端正なファンキー・ピアノを弾きまくっている。

テナーのモブレーは、ちょっと迷いやミスが見え隠れするが、何とか他のメンバーのレベルに合わせていくところは、さすがである。双子の兄弟、アディソン・ファーマーのベースとエルヴィンのドラムが、がっちりとリズム&ビートを支え、フロント2管をピアノ・ソロを鼓舞する。

ルディ・ヴァン・ゲルダーの手になる、鮮度と切れ味の良い録音で、アート・ファーマーの「ハードバップの成熟」を記録している。音も良く、個々の演奏も良く、グループ・サウンズとしての完成度も高く、とても良く出来た「ハードバップ盤」である。意外と我が国では人気が無いのが不思議でならない。もう一度言うが「ハードバップの優秀盤」です。
 
 

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2022年3月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・231

今からかれこれ、もう15年も前になるのか。2007年当時、ITunesストアでジャズ盤が販売され、ネット経由で手軽にジャズ盤の音源データがダウンロード出来る様になっていた。それも、CDショップで見ることの無いアルバムがアップされていて、その盤の素姓を調べるのが大変だった。

ジャケットは違うがオリジナルの音源と内容は同じものとか、市場に恒常的に出回っているブート盤とか、見たことの無いジャケットだからといって、今まで聴いたことの無い盤と判断するのには問題が多かった。この盤もジャケットを見ただけでは、どこかブート盤っぽい感じが怪しくて、素姓が明確になるまで、手に取ることが出来なかった盤である。

『What Happens?... - Art Farmer - Phil Woods Together』(写真左)。1968年10月12日、ローマでの録音。リリースは1977年。ちなみにパーソネルは、Art Farmer (tp), Phil Woods (as), Martial Solal (p), Henry Textier (b), Daniel Humair (ds)。アート・ファーマーのトラペット、フィル・ウッズのアルト・サックスがフロント2管のクインテット編成。

アルバムの素姓は判ったので、入手と相成ったが、その主な動機は「安い」。確か500円程度でダウンロード出来たのではないか。輸入盤CDと比べても半額程度の安さだったので、内容が悪くても仕方が無い、と割り切って購入した思い出がある(笑)。しかし、聴いてみたら「あらら」。なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップで、聴き応え満載。

そもそも、ウッズとファーマーがフロントで共演するのも珍しいし、ベースとドラムは、フィル・ウッズ主宰の「ヨーロピアン・リズムマシーン」在籍。加えて、ピアノがマーシャル・ソラール。ピアノが、ジョルジュ・グルンツだったら「ヨーロピアン・リズムマシーン」with アート・ファーマーだったな(笑)。しかし、このピアノのソラールがむっちゃ良かったりするのだ。
 

What-happens

 
録音はイタリアのローマだったらしいので、この盤は欧州ジャズの範疇で語られるべき好盤であろう。リリース当時、1977年はフュージョン・ジャズの大ブーム真っ只中。この盤の様な上質のハードバップは欧州のマーケットに限られていたように思う。逆にさすがイタリアである。良く、この面子でハードバップな演奏をやらせたなあ、と感心することしきり、である。

冒頭のタイトル曲、ミシェル・ルグラン作曲の「What Happens?」を聴けば、この盤の良さが判る。ウッズのアルトが良く鳴っている。そして、ファーマーのフリューゲルホーンが気合い十分で熱いブロウ。バックのソラールのピアノが率いるリズム・セクションが、素晴らしいバッキングで応酬する。3曲目のドーハム作曲の「Blue Bossa」でも、ウッズのアルトは充実、ファーマーのトランペットは何時になく熱い。

2曲目のストレイホーン作の「Chelsea Bridge」は、ウッズのアルトのワンホーン。5曲目の「The Day After」は、ファーマーのトランペットのワンホーン。どちらも、ワンホーンでも素晴らしいパフォーマンスを披露する。特に、ファーマーのバラード演奏、かなり熱が入っていて聴き応えがある。

この盤の聴きどころは、ウッズのアルトの充実、ファーマーの熱い、気合いの入ったトランペット。そして、ウッズの「充実」とファーマーの「熱さ」を引き出したのが、マーシャル・ソラールのピアノが率いるリズム・セクション。特に、ダニエル・ユメールのドラミングが、ウッズとファーマーを熱く効果的に鼓舞している。

「幻の名盤」とは言い過ぎですが、なかなかにエッジの立った、疾走感溢れる、エネルギッシュなハード・バップが楽しめる「ウラ名盤」だと思います。久し振りに聴きましたが、しばらく「息の長いヘビロテ盤」になりそうです。
 
 

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