2023年10月24日 (火曜日)

ゴーゴー・ペンギンの進化の途中

「踊れるジャズ」として、従来のピアノ・トリオの特徴であった「三者三様の自由度のあるインタープレイ」は排除。クラシック的な印象的なピアノにアグレッシブなベースとドラム。

演奏の中に感じ取れる「音的要素」は、クラシック、エレクトロニカ、ロック、ジャズと幅広。マイルスの開拓した「エレ・ジャズ」に、エレクトロニカを融合し、ファンクネスを引いた様な音。疾走感、爽快感は抜群。聴いていて「スカッ」とする。

英国マンチェスター出身のアコースティック・エレクトロニカ・トリオである「GoGo Penguin(ゴーゴー・ペンギン)」の音世界。オリジナル・メンバーは、ピアノのクリス・アイリングワースとドラムスのロブ・ターナー。2013年初旬にベーシスト、ニック・ブラッカが加わる。そして、ドラムがジョン・スコットに交代。所属レーベルも移籍し、心機一転、久々にフル・アルバムをリリースした。

GoGo Penguin『Everything Is Going To Be Ok』(写真左)。2022年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Chris Illingworth (p), Nick Blackas (b) Jon Scott (ds)。アコースティック・ピアノにベース、ドラムの伝統的なピアノ・トリオ編成と思いきや、音の志向としては「エレクトリック・ジャズ」。英国出身のバンドゆえ、音の響きは「欧州的」。
 

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いかにも欧州的な、いかにも英国的な、洗練されたエレ・ジャズである。欧州的な響きとしては、どこか北欧ジャズの響きを宿していて、クラシック的な響きのする、印象的にエコーのかかったアコピとシンセ。ファンクネスは皆無。軽くエコーのかかった粘りのあるビート。どこか黄昏時の黄金色の輝きを見るような寂寞感漂うフレーズ。ゴーゴー・ペンギンの音はどこまでも「欧州的」であり「英国的」。

これまでのゴーゴー・ペンギンのアルバムよりも、ジャケットのイメージ通り、スカッと抜けた爽快感がより強くなり、音の質感がどこか「明るく抜けている」質感がメインになっている。温かみと明るさが増して、躍動感と疾走感が全面に押し出されている。

初期の頃のゴーゴー・ペンギンの音世界は着実に、ポジティヴな方向に変化している。そして、テクニック最優先の演奏構成から、バンド全体のグルーヴとビートを重視する演奏構成に変化しており、その分、シンプル感がアルバム全体を覆う。

スインギーな純ジャズ・トリオとは全く異なる、現代の「ダンス・ミュージック」的な、新しいイメージの「ピアノ・トリオ」。しんせを追加して正解。シンセのようなディストーションのかかったニックのベースと相まって、エレ・ジャズ感は増幅している。そこに「人力」の切れ味の良い、ウォームなビートを供給するスコットのドラムが絡む。

他のピアノ・トリオには無い響き。フュージョンでもなく、スムースでも無い。少なくとも、現代の踊れるエレ・ジャズ。この盤は、そんな「現代の踊れるエレ・ジャズ」の進化の途中を捉えた、ドキュメンタリーの様なアルバムである。次作がとても楽しみだ。
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年4月15日 (土曜日)

キット・ダウンズと再び出会う

21世紀のECMレーベルに録音するミュージシャンは「多国籍」。以前は北欧、ドイツ、イタリアがメインだった様に記憶するが、21世紀に入ってからは、範囲を拡げて、イギリス、東欧、中近東、そして、ジャズの本家、米国出身の若手〜中堅ミュージシャンの録音を積極的に推し進める様になった。

Kit Downes『Dreamlife of Debris』(写真左)。2018年11月、英ウェストヨークシャーのハダースフィールド大学「St. Paul's Hall」でのライヴ録音。ECMの2632番。

ちなみにパーソネルは、Kit Downes (p, org), Tom Challenger (ts), Stian Westerhus (g), Lucy Railton (cello), Sebastian Rochford (ds)。ピアノ&オルガンのキット・ダウンズがリーダーの、チェロ、ギター入り、ドラムのみ、ベースレスの変則クインテット編成。

Kit Downes(キット・ダウンズ)は、英国のジャズおよびクラシックの作曲家、ピアニスト&オルガニスト。 1986年5月生まれなので、今年で37歳になる中堅ジャズマン。英国では、ピアニストのジョン・テイラーが、1970年代以降、ポスト・バップなニュー・ジャズ志向のモーダルなピアノを展開したが、ダウンズはこの「ポスト・バップなニュー・ジャズ志向」のピアニストの1人になる。

英国のジャズと言えば、メインストリーム志向の純ジャズについては、ビ・バップ至上主義が長く続いて、どちらかと言えば、旧来のジャズの枠に留まった中間派ジャズを中心に発展した様に思う。しかし、21世紀に入って、急速にポスト・バップ志向、ニュー・ジャズ志向の展開が出てきて、ダウンズの様に、英国ジャズの枠を越えて、グローバル化に走るジャズマンも出てきた。
 

Kit-downesdreamlife-of-debris

 
さて、この『Dreamlife of Debris』であるが、出てくる音は、従来の「英国ジャズ」の雰囲気は皆無。ECMジャズ志向の耽美的でリリカル、透明度が高く、音の拡がりと間を活かしたニュー・ジャズな音志向が強く出ている。

ピアノはリリカル、ファンクネスは皆無、音の透明度が高い欧州ジャズ志向の純ジャズ・ピアノが、変幻自在、硬軟自在に、音のエコーと拡がりと間を活かして、時に耽美的に、時にスピリチュアルに変化していく様には、思わず真剣に聴き耳を立てたりする。

このクインテット演奏でユニークなのは、ダウンズ自身が弾くオルガンの音とルーシー・レイルトンの奏でるチェロの音。このオルガンとチェロの音自体が、ECMジャズのニュー・ジャズ志向を増幅し、このオルガンとチェロの音の拡がりが、ECMジャズ志向の音世界に不思議な変化を醸し出す。

特にオルガンの音は、ECMジャズにとっては「不意打ち」に近いイメージなんだが、これはこれで良い感じ。ECMジャズにオルガン、これ「目から鱗」です。

どこか「アンビエント・ミュージック」を彷彿とするフレーズも満載で、ECMジャズの美意識そのものの音世界は結構、癖になる。当然、即興演奏がメインとなった展開で、クールで静的な展開ではあるが、時にフリーに展開する部分もあり、丁々発止とインタープレイを展開する部分もあり、欧州ジャズの秀作として、しっかりと楽しめる内容になっている。

これも「ジャズ」である。21世紀に入って、ジャズの裾野はどんどん広がっていく。
 
 

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2022年5月16日 (月曜日)

Simon Phillips『Protocol V』

ホールズワースの初リーダー作や、マクラフリンのライブ盤を聴いていて、ふと、ギタリストがリーダーでは無いが、ホールズワースやマクラフリンの様な「ハードなクロスオーバー&ジャズロック」なバンドの存在を思い出した。ドラムのレジェンド、サイモン・フィリップスのソロ・プロジェクト 「プロトコル」である。

この「プロトコル」は、1988年から続いているのだが、これまでに4枚のアルバムをリリースしている。どれもが「ハードなクロスオーバー&ジャズロック」で、聴いていて、ホールズワースやマクラフリンの音世界を彷彿とさせる。そんなサイモン・フィリップスのソロ・プロジェクトが、今年の3月、前触れなく、5枚目のアルバムをリリースしたのだから、思わずビックリした。

Simon Phillips『Protocol V』(写真左)。2022年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Simon Phillips (ds), Otmaro Ruiz (key), Jacob Scesney (sax), Alex Sill (g), Ernest Tibbs (b)。

2017年の『プロトコルIV』以来、約5年振りとなる新盤。ドラマーのサイモン・フィリップスがリーダーのアルバムながら、内容は、エレギとサックスとキーボードがメインの「ハードなクロスオーバー&ジャズロック」である。

もともとはロック畑のドラマーで、マイケル・シェンカー・グループ、ホワイトスネイクやザ・フーといった錚々たるグループで活躍してきたサイモン・フィリップス。ベースのアーネスト・ティブスは、前作にも参加した、サイモン・フィリップスの良き相棒。
 

Simon-phillipsprotocol-v

 
キーボードのオトマロ・ルイーズは、元ジョン・マクラフリン・バンドのメンバー。サックスのジェイコブ・セスニーは、ロベン・フォードやクリスチャン・スコットと共演し、ポストモダン・ジュークボックスにも参加している逸材。ギターのアレックス・シルは期待の若手。

サイモン・フィリップスは、今年で65歳。もうレジェンド級のドラマーなのだが、この新盤の音世界はとことん「尖っている」。まず、ギターのアレックス・シルの、とにかくプログレッシヴ・ロックっぽく、ハードでほどよく捻れたクロスオーバー風のエレギが「尖っている」。

同じフロントを担う、ジェイコブ・セスニーのサックスも、プログレッシヴ・ロックっぽく、ハードで捻れたクロスオーバー風のサックスが「尖っている」。ルイーズのキーボードは、しっかりと「クロスオーバー・ジャズ」に軸足をしっかり置いた、ジャジーなもの。決して、プログレッシヴ・ロック志向では無い。

そんなエレギとサックス、キーボードをサイモン・フィリップスのドラムが鼓舞し、リードする。サイモン・フィリップスのドラムはジャズロック。ジャジーでロックっぽい。フィリップスのドラムがジャジーになると、演奏全体はクロスオーバー志向となり、フィリップスのドラムがロックになると、演奏全体はロック志向になる。演奏全体をフィリップスのドラムがコントロールしているのが良く判る。

さすが、サイモン・フィリップスは、英国ロンドン出身のドラマー。この『Protocol V』の音は、プログレッシヴ・ロックとクロスオーバー・ジャズとの境界が曖昧な英国ジャズロックの音世界そのものであり、それがこの「プロトコル」の最大の個性。僕はこの音世界が意外と気に入っていて、意外とこの『Protocol V』、緩やかなヘビロテ盤になっている。
 
 

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2022年4月 3日 (日曜日)

最近出会った小粋なジャズ盤・2

Ben Webster(ベン・ウェブスター)は、スイング時代からハードバップ時代を経て、1960年代のジャズ多様化の時代まで、長く活躍したテナー・サックス奏者であった。彼のテナーのスタイルは、ジョニー・ホッジスに影響を受けた、しっかりヴィブラートを効かせた完璧な「オールド・スタイル」。生涯、彼はこのテナーのスタイルを変えることは無かった。

ジャズ界は、サックスのスタイルについては、1950年代には「チャーリー・パーカー」、1960年代には「ジョン・コルトレーン」といった強烈なスタイリストが出現したが、スイング時代からの「オールド・スタイル」を貫いたが故、1950年代のハードバップ時代にも、1960年代のジャズ多様化の時代にも、ウェブスターは独特なポジションを確保し続けた。

Ben Webster『In A Mellow Tone』(写真左)。1965年5月14日, 15日、英国はロンドンの「Ronnie Scott's Club」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Alan Branscombe (p), Lennie Bush (b), Jackie Dougan (ds)。ベン・ウェブスターのテナーがフロント1管の「ワン・ホーン・カルテット」。サイドメンは、皆、クラブの地元の英国のジャズ・ミュージシャン達である。
 

In-a-mellow-tone_ben-webster

 
ウェブスターのテナーは「オールド・スタイル」。とにかく「渋くてクール」。若い時にはピンと来なかった「渋さ」が実に心地良い。「I Got Rhythm」で好調に飛ばすウェブスターも、「Old Folks」のユッタリとした、情感豊かなウェブスターも基本的に「渋くてクール」。タイトル曲「In a Mellow Tone」のスイング感も抜群に心地良い。モダン・ジャズの「心地良い」部分が、このライヴ盤に散りばめられている。

地元英国のリズム・セクションも好演している。ブランズコムのピアノがとてもモダンで良い。タッチも明確、フレーズは淀みなく、正統派なもの。ブッシュのベースも素姓は確か。ピッチが合った流麗なロング・ソロは印象的。ドゥーガンのドラムは、このライヴ・パフォーマンスの「肝」。ウェブスターのサックスを支え、鼓舞し、リズム隊の要として、ジャジーでブルージーな「リズム&ビート」を叩き出している。

録音当時56歳。脂の乗りきったベテラン・ジャズマン、ウェブスターの好演。モダンでジャジーでブルージーなウェブスターのテナーが心ゆくまで楽しめる好ライヴ盤。英国のリズム隊も好演で、実に聴き応えがある。聴いていて「ああ、ジャズってええなあ」とつくづく思ってしまう。こういう盤を「小粋なジャズ」盤と言うのだろう。
 
 

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2021年12月14日 (火曜日)

ユニークな英国のジャズロック

欧州ジャズと一派一絡げに言うが、欧州大陸とグレートブリテン島(英国)では、ジャズに対する考え方が違う。特に英国は独特である。ジャズと言えば「ビ・バップ」か「ハードバップ」。ハードバップから派生した、大衆ウケを狙ったファンキー・ジャズや、音楽として捉えるのに無理が伴うフリー・ジャズ、電気楽器を駆使したエレ・ジャズなどは、ジャズでは無い、と言い切る。

それでも英国にはジャズロックの痕跡は残っている。ロック畑のミュージシャンがジャズをやる、というアプローチ。高いテクニックが伴うので、そうそう現れ出でることは無かったが、プログレッシヴ・ロックのミュージシャンを中心に、ジャズロックへのアプローチが見られる。バンドとしては、Brand X, Soft Machine, Bill Bruford's Earthworks の3つが代表格。というか、この3つしかない(と思われる)。

Brand X『Morroccan Roll』(写真左)。1977年の作品。ちなみにパーソネルは、John Goodsall (g), Robin Lumley (key), Percy Jones (b), Phil Collins (ds), Morris Pert (perc)。英国の数少ないジャズロック・バンド、ブランドXのセカンド盤。ドラムには、プログレバンド、ジェネシスのドラマー、フィル・コリンズが担当している。
 

Morroccan-roll

 
演奏を聴いてみて思うのは、これは「プログレッシヴ・ロック」では無い。リズム&ビートからジャズロックである。が、英国出身ということもあってか、ファンクネスは皆無。ジャジーな雰囲気もほとんど無く、インスト・メインの音作りからすると「プログレ」と判断されても仕方が無い。しかし、これは「クロスオーバーなジャズロック」である。

バカテクで疾走感溢れるインストはファースト盤『Unorthodox Behaviour』と変わらないが、このセカンド盤の方が、演奏自体が少しユッタリしていて、アドリブ展開にも余裕が感じられる。音的にも、タイトルからも想像出来る様に「エスニック」もしくは「アラビアン」な音の要素が散りばめられていて、音的にクロスオーバーな展開がこのセカンド盤の特徴。

まず、欧州大陸にはまず無い「ジャズロック」が、グレートブリテン島にはあった。英国にて突然変異的に現れたプログレが引き金だとは思うが、英国の「ジャズロック」はユニークだ。特にこのブランドXはロック色が強い。しかし、リズム&ビートは「ジャズロック」。何とも音志向の判断に戸惑う、英国の「ジャズロック」である。
 
 
 
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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

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2021年10月27日 (水曜日)

ステイシー・ケントのデュオ新盤

最近、ジャズ・ボーカルの新盤がなかなか内容があって好調である。男女ともに充実した内容の新盤が相次いでリリースされていて、なかなかに楽しい今日この頃である。特に、内容的には、コンテンポラリーな純ジャズ的雰囲気で、旧来のボーカル盤には無い、現代のアレンジ、現代の唄いっぷりで、新鮮で小粋な出来になっている。

Stacey Kent『Songs From Other Places』(写真左)。2021年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Stacey Kent (vo), Art Hirahara (p)。1997年のレコード・デビュー以来、日本でも高い人気を誇る女性ヴォーカリスト、ステイシー・ケントの新盤になる。

ステイシー・ケント。米ニュージャージー州出身、英ロンドンを拠点に活躍しながら、2007年ブルーノート・レコードと契約、国際レベルで活躍している。そんなステイシー・ケントの新盤は、父親が日系2世、母親が日本人というサンフランシスコ出身の実力派、アート・ヒラハラのピアノ伴奏だけをバックに綴られたデュオ盤になる。
 

Songs-from-other-places_1

 
ピアノとボーカルのみというシンプルな編成だが、実に味わい深いボーカル盤に仕上がっている。ステイシー・ケントの個性である「独特の可憐な歌声とナチュラルな歌心」が、ピアノのみの伴奏という環境から、前面に押し出されている。とにかくキュートでナチュラルでシンプルな歌唱は聴いていて、心に沁みて、しみじみと耳を傾けてしまう。

選曲も良い。とりわけ、Fleetwood Mac『Landslide』、Paul Simon『American Tune』、The Beatles『Blackbird』など、ロック&ポップスの名曲のカヴァーが実に良い。ステイシー・ケントの唄いっぷりがバッチリ決まって、聴いていて心地良いことこの上無し、です。特に『American Tune』には、しみじみしてしまう。

ライヴで伴奏を担当する夫であるジム・トムリンソンは、今回、プロデュースに専念しているが、このプロデュースがバッチリ填まっている。コロナ禍という環境の中、自宅でのレコーディングが主とのこと。ピアノの音も人工っぽいのだけれど、これは録音環境の問題で仕方が無い。が、この盤、そんな音質云々は関係無く、聴き応えのあるコンテンポラリーな純ジャズ・ボーカル盤として仕上がっていて立派だ。
 
 
 
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2021年6月17日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・208

一日の終わり、寝る前に聴くジャズ盤を「今日のラスト」と称して、ほぼ毎日、Twitterで呟いている。最近のテーマは「初心にかえってブルーノート4000番台の聴き直し」。

ブルーノートの4000番台のアルバムをカタログ番号順に聴き直しているのだが、ブルーノート・レーベルには、このレーベルに録音を残していなければ、恐らく、ジャズの歴史の中に埋没して、忘れ去られただろうと思われる、玄人好みの「渋いジャズマン」が幾人かいる。

ディジー・リース(Dizzy Reece)も、そんなジャズマンの1人だろう。もともとはジャマイカ出身の英国のジャズマン。リースのマネージャーがマイルスにアルバムを送ったところ、マイルスが感激し一言「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」。それがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの耳に入り、録音に至ったとのこと。初リーダー作は、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーが海を渡っての録音。かなりの力の入れようだったようだ。

Dizzy Reece『Soundin' Off』(写真左)。1960年5月12日、NYの「Van Gelder Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Walter Bishop Jr. (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。当時、ブルーノートで売り出し中だったピアノのビショップ、早逝の職人ベーシストのワトキンス、当時のファースト・コール・ドラマーのテイラーの「ブルーノート」らしいリズム隊をバックに、リースのトランペットがワンホーンのカルテット編成。
 

Soundin-off

 
この盤が一番、リースの個性を掴みやすい。テクニックはまずまず、当時、最先端のモード奏法をやる訳でも無く、いわんやフリーなんてとんでもない。僕は何故、マイルスが「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」と評価したのか、よく判らないでいたのだが、この盤で合点がいった。

リースのトランペットの音がとても心地良いのだ。リースのアドリブ・フレーズが流麗なのだ。つまりマイルスのいう「クール」なトランペットであり、女性を口説けるトランペットなのだ。テクニックの凄さやジャズの進化の音には全く意に介さず、「音楽」としての、「音を楽しむもの」としての「ジャズ」がこの盤に記録されている。

リースのトランペットで奏でられるスタンダード曲がとても心地良い。バックのリズム隊、ビショップJr.の明るくスインギーなピアノ、ワトキンスの骨太ウォーキング・ベース、そして、テイラーの職人芸ドラミングも実に聴いて心地良いバッキング。この盤には、聴いて心地良い「ハードバップ」な音が充満している。

ジャケットがブルーノートらしくないところが面白い。ブルーノートの「メインのジャズ」とはちょっと雰囲気が違う、そんな差別化をジャケットでも表現したかったのかもしれない。
 
 
 

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  ・Santana『Inner Secrets』1978

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  ・イエスの原点となるアルバム

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  ・この熱い魂を伝えたいんや

 
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2021年4月23日 (金曜日)

英国ジャズマンのブルーノート盤

我が、ヴァーチャル音楽喫茶『松和』の活動の一環として、Twitterに「今日のラスト」として、その当日の最後に聴くジャズ盤についてのツイートをほぼ毎日している。現在のメインテーマは「初心にかえってブルーノート4000番台の聴き直し」なんだが、ブルーノートの4000番台って、意外と当ブログで記事になっていない盤が多々あるのだ。

Dizzy Reece『Blues In Trinity』(写真左)。ブルーノートの4006番。1958年8月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Reece (tp), Donald Byrd (tp), Tubby Hayes (ts), Terry Shannon (p), Lloyd Thompson (b), Art Taylor (ds)。ジャマイカ出身の英国のトランペッター、ディジー・リースのブルーノート・デビュー盤である。

英国のトランペッターがどうして、米国東海岸の代表的ジャズ・レーベル、ブルーノートからアルバムをリリース出来たのか。それは、どうもマイルスが関与しているらしい。

リースのマネージャーがマイルスにアルバムを送ったところ、マイルスが感激し一言「英国には俺と同じくらい上手いトランペッターがいる」。それがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの耳に入り、録音に至ったとのこと。しかも、録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーが海を渡っての録音。かなりの力の入れようだったようだ。
 

Blues-in-trinity

 
確かに、ディジー・リースのトランペットは凄く良い音を出している。リースのトランペットは、米国のトランペッターと比べると、音がシュッとしていて、若干細め。それでいて、音のブリリアント度が高く、仄かに粘りがあるが端正な面持ち。アドリブ・フレーズも自由度が高く、聴いていてなかなか興味深い。いかにも、ハードバップらしいトランペットである。

そして、この盤を聴いていて面白いのは、サイドマンの好演。ピアノのテリー・シャノンがまるでモンク風。思わず、パーソネルを確認したくなるほどにユニーク。そして、テナー・サックスのタビー・ヘイズの好演が光る。程良く抑制され、シットリ、ゆったりとバラード演奏する様はなかなかのもの。

この盤は「英国にも優れたジャズマンがいる」ということを教えてくれる。主役のディジー・リースのトランペットもさることながら、ピアノのテリー・シャノン、テナー・サックスのタビー・ヘイズの好演も光る。この3人の英国ジャズマンによるパフォーマンスは、米国にも欧州大陸にも負けずとも劣らない。

アルバム・ジャケットもスッキリしたデザインで好感が持てます。こういう英国のジャズマンにまで焦点を当てるブルーノート・レーベル。ジャズの老舗かつ代表的レーベルの面目躍如。総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼恐るべし、である。
 
 
 

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  ・Journey『Infinity』1978

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  ・Yes Songs Side C & Side D
      ・Yes Songs Side E & Side F

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2021.03.06 更新。

  ・浪花ロック『ぼちぼちいこか』
 
 
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2021年3月12日 (金曜日)

バーツとメイシャとの化学反応

エレクトリック・マイルスは衝撃的だった。それまでジャズはアコースティックなもの。しかし、1960年代、ロックの台頭により、電気楽器が使われるようになる。音が大きい、電気的にエフェクトをかませる、そして、電気楽器ならではの奏法というものが現れ出でた。

そこにジャズの世界の中でいち早く着目したのが「マイルス・デイヴィス」。ハービーにローズを弾かせ、ロンにエレベを持たせた。バンドの中にエレキキターを導入し、「ジミヘンの様に弾け」と命令した。そして、マイルス・バンドは、アコースティックの時代とは全く違う、エレクトリックならではのメンバー構成になった。

Gary Bartz & Maisha『Night Dreamer Direct-To-Disc Sessions』(写真左)。2019年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Bartz (ss,as), Jake Long (ds), Shirley Tetteh (g), Al MacSween (key), Twm Dylan (b), Axel Kaner-Lidstrom (tp), Tim Doyle (per)。ゲーリー・バーツと英国のスピリチュアル・ジャズ・アンサンブル、メイシャとのセッション。優れた新旧アーティストの共演である。


Night-dreamer-directtodisc-sessions-1

 
ゲイリー・バーツは特に1970年代以降、ちょっとアウトローな存在。エレ・マイルスとは半分だけ方向性が合致した様な、バーツならではのエレクトリック&ジャズ・ファンク。マイルスとはビート感が異なり、バーツの方がファンクネスが「ディープ」。ちょっと危ない暗さを伴うファンクネス漂うエレ&ジャズ・ファンク。この盤でもその個性は溢れんばかり。

かたや、UKジャズ注目のグループの一つ、ドラマーでリーダーのジェイク・ロング、女性版カマシ・ワシントンとして新世代ジャズ・シーンをリードするサックス奏者、ヌビア・ガルシアを中心に率いる「メイシャ」は、アフロビートやブロークンビートからペルシャ音楽までを融合したスピリチュアルな音が個性。バーツのエレ&ジャズ・ファンクにピッタリと合うのだから、音楽って面白い。

現代のエレクトリック・ジャズがこの盤に詰まっている。バーツをメインとする「温故知新」的なエレ&ジャズ・ファンクと現代最先端の多国籍なワールド・ミュージック的なスピリチュアル・ジャズとの邂逅。バーツとメイシャとの素晴らしい邂逅が、こんなに「こってこて」な現代最先端のスピリチュアル・ジャズを生み出したと言える。現代のスピリチュアル・ジャズの好盤です。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
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2020年9月 2日 (水曜日)

GoGo Penguinの2年ぶり新盤

21世紀に入っても、ジャズの多様化、深化は進んでいる。ボーダーレスにジャンルを超えたリズム&ビートを採用したジャズや、クールで静的、耽美的な、今までに無いスピリチュアルなジャズや、インタープレイを排除し、流麗なアンサンブルとアドリブを採用したインスト・ジャズなど、新しいビートや展開を採用した、新しいイメージのジャズが出現している。

GoGo Penguin(ゴーゴー・ペンギン)。 2009年、英国のマンチェスターで結成された新世代ピアノ・トリオ。「踊れるジャズ」をアコースティック楽器でプレイするバンド・スタイルは「アコースティック・エレクトロニカ・トリオ」と評価されている。「新しいジャズのアンサンブル」を標榜しつつ、アコースティック楽器でのエレクトロニック・ミュージックを再現する、という実に面白いアプローチを採用している。

『GoGo Penguin』(写真左)。今年5月のリリース。ゴーゴー・ペンギンの新作。ちなみにパーソネルは、Chris Illingworth (p), Nick Blacka (b), Rob Turner (ds)。基本はピアノ・トリオである。ブルーノート3作目にして2年ぶり。セルフ・タイトルド・アルバムは自信の現れ、とのこと。現代の最新エレクトロニクスを使用した、アコースティック楽器での演奏スタイルは、より磨きのかかった印象。
 
 
Gogo-penguin  
 
 
「踊れるジャズ」として、従来のピアノ・トリオの特徴であった「三者三様の自由度のあるインタープレイ」は排除。クラシック的な印象的なピアノにアグレッシブなベースとドラム。演奏の中に感じ取れる「音的要素」は、クラシック、エレクトロニカ、ロック、ジャズと幅広。マイルスの開拓した「エレ・ジャズ」に、エレクトロニカを融合し、ファンクネスを引いた様な音。疾走感、爽快感は抜群。聴いていて「スカッ」とする。

シンセのようなディストーションのかかったニックのベースと、ロブが人力で叩くハウス・ビート、このリズム隊が、ゴーゴー・ペンギンの「肝」。このリズム隊の叩き出すリズム&ビートが曲者で、躍動感溢れ、実にダンサフル。従来のジャズ・ピアノ・トリオの枠に囚われず、従来のピアノ・トリオを感じさせない音作りは、実にユニーク。そして、違和感が全く無い。

現代の「ダンス・ミュージック」。新しいイメージの「ピアノ・トリオ」。演奏テクニックが確かなこともあって、鑑賞音楽としても十分に通用する。ヒーリング・ミュージックな要素も見え隠れし、ゴーゴー・ペンギンらしい、統制されたインタープレイが耳新しく響く。そして、空間のリヴァーブの処理の仕方が新しい。この「現在の新しいリヴァーブ感」も、ゴーゴー・ペンギン独特の個性だろう。実に癖になる音作りである。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

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  ・『Restless Nights』 1979

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