2020年10月18日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・190

チェコ出身の偉大なジャズ・ベーシストにして、ウェザー・リポートの創設者のひとりであるミロスラフ・ヴィトウス。1947年生まれなので、今年で73歳。まだまだ現役で活躍中。鋼の様にソリッドで粘りのあるピツィカート奏法と自由度の高いモーダルなベースラインが見事な個性。作曲家としてもその才能を遺憾なく発揮してきており、印象的でモーダルな曲を多数、作曲している。

Miroslav Vitous『Universal Syncopations』(写真左)。2002年、イタリアの「Universal Syncopation Studios」と、2003年、ノルウェーはオスロの「Rainbow Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Miroslav Vitouš (b), Jan Garbarek (ss, ts), Chick Corea (p), John McLaughlin (g), Jack DeJohnette (ds)。以降、2〜4曲目のみの参加で、Wayne Bergeron (tp), Valery Ponomarev (tp, flh), Isaac Smith (tb)。

基本編成は、ビトウス、ガルバレク、デジョネット、コリア、マクラフリンのクインテット構成。とりわけ、リーダーのビトウスのベース、コリアのピアノ、デジョネットのドラム、このリズム隊が非常に強力で創造的。このピアノ・トリオの演奏だけでも、十分に鑑賞に耐える。柔軟度と自由度が非常に高いモーダルなリズム&ビート。ファンクネス希薄ながら、うねるような乾いたグルーブ感がいかにもECMジャズらしい。
 
 
Universal-syncopations
 
 
さすがにリーダーのビトウスのアコースティック・ベースが素晴らしい。迫力満点、硬質に胴鳴りのする、ソリッドで切れ味の良い重低音ベースがぐいぐい迫ってくる。以前、若かりし頃は結構、飛んだり跳ねたりしていたのだが(笑)、さすがに、この盤の録音時は56歳。弾きっぷりは落ち着きを増し、紡ぎ出すフレーズも実に滋味溢れる、味わい深いフレーズがてんこ盛り。現代ジャズ・ベースのお手本の1つがこの盤に詰まっている。

そんなリズム隊をバックに、フロントを担当するガルバレクのサックス、そして、マクラフリンのギターが、これまた柔軟度、自由度の高い、創造的なモーダルなパフォーマンスを展開する。淀みの無い、流麗なアドリブ展開は、現代のモード・ジャズの最先端を行く、とても高度でアーティスティックなレベル。非常に迫力のあるパフォーマンス。

「New Series」によりクラシック指向を強めるECMサウンドであるが、この盤では、設立当初から1980年代辺りまでの「ニュー・ジャズ志向」の内容が展開されている。演奏するメンバーがメンバーだけにある意味「懐かしい響き」がする。が、当時の音からは、かなりステップアップしたモード・ジャズが展開されていて、懐古趣味で終わらない、さらに深化した、現代の「ニュー・ジャズ」がこの盤に詰まっている。好盤である。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
 ★ AORの風に吹かれて       
【更新しました】 2020.10.07 更新。
 
  ・『Middle Man』 1980
 
 ★ まだまだロックキッズ    【更新しました】 2020.10.07 更新。
  
  ・The Band の「最高傑作」盤
 
★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。
 
  ・僕達はタツローの源へ遡った


 
Matsuwa_billboard 
 
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4 
 

2020年6月 8日 (月曜日)

もはや無敵のインタープレイ

キース・ジャレットが活動を停止して2年になる。キース・ジャレットが2018年の活動をすべてキャンセルの報が流れたのが、2018年の6月。理由は「健康上の理由」。それ以来、キースに関する情報は何も流れてこない。スタンダーズを解散したのが2014年。その4年後にキース自身が活動停止。キースは1945年生まれ。今年で75歳。奇跡の復活はあるのだろうか。

Keith Jarrett『Always Let Me Go』(写真左)。2001年4月、東京のオーチャード・ホールと東京文化会館でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Gary Peacock (b), Jack DeJohnette (ds)。キースの「スタンダーズ・トリオ」の3人だが、このライヴ盤で演奏されている内容はスタンダード曲では無い。完全なオリジナル、完全即興演奏一色の内容。

もともと、2001年4月23日~30日まで5夜に渡るライブ公演の内容は、全体の5分の3が「スタンダード曲」残りの5分の2が「オリジナルな即興演奏」という構成だったらしいが、本作はその内の5分の2に当たる「オリジナルな即興演奏」部分だけを抽出した内容になっている。キースの「スタンダーズ’トリオ」の3人の名前をジャケットで見ただけで、これは「スタンダード曲集」だな、と思って買うとビックリする位の「オリジナルな即興演奏」がギッシリ詰まっている。
 
 
Always-let-me-go  
 
 
とにかく全編、徹底した即興演奏が繰り広げられている。確かにキースの「スタンダーズ・トリオ」は、たまに「完全即興演奏」のアルバムを突如リリースするのだが、その演奏内容については、リーダーのキースが中心だった。基本的にキースのパフォーマンスが目立つような展開だったのだが、今回のライヴ盤については「3者均等」なのだ。ベースのピーコックも、ドラムのデジョネットも、キースと同じくらいの時間割り当てで、同じくらい目立っている。

キースのピアノについては尖った部分が穏やかになり、悟りを開いたような流麗感がそこかしこn漂う。『慢性疲労症候群』からの復活以降のキースの個性なので、気にはならない。一番目立っているのは、ドラムのデジョネット。あらん限りのテクニックを駆使して、凄まじいばかりの、鬼気迫る様な即興ドラミングを繰り広げている。それに呼応する様にブンブン唸りをあげるピーコックのベースも何時になく目立ちまくっている。

この3者3様のインタープレイを聴くと、やっぱりこの3人の演奏って「抜きん出ている」。他のジャズメンもなかなかやるなあ、なんて思っているのだが、この完全即興演奏をCD2枚分聴かされると、やっぱりこの3人の演奏って素晴らしい。前作『Inside Out』の続編のような内容だが、こちらの盤の方が、デジョネットとピーコック、リズム隊の2人が目立ちに目立っている。3者均等の「スタンダーズ・トリオ」。トリオのインタープレイとしては、もはや「無敵」の内容である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて      2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.05.24更新。

  ・Led Zeppelin Ⅱ (1969)

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
Matsuwa_billboard  

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から9年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 

2020年1月17日 (金曜日)

デジョネットの「音の志向」とは

リーダー作を持つジャズ・ドラマーの数は限られる。しかも、コンスタントにリーダー作をリリースし続け、生涯10枚以上のリーダー作を残すジャズ・ドラマーは10名程度しかいないのではないか。しかし、リーダー作を多数残すジャズ・ドラマーのリーダー作は、グループ・サウンドとして優れたものばかり。ドラマーがリーダーの場合、そのグループ・サウンドの音の志向を示し、その志向をとりまとめる、そんな役割を果たすのだろう。

ジャズ・ドラマーのリーダー作は、ジャズとしての「音の志向」が明確である。しかもその「音の志向」がブレない。例えば、アート・ブレイキーは「ハードバップ」、スティーヴ・ガッドは「コンテンポラリー・ジャズ」、エルヴィン・ジョーンズやトニー・ウィリアムスは「モード・ジャズ」と「音の志向」をバッチリと決めている。

Jack DeJohnette『The Jack DeJohnette Complex』(写真左)。December 26 & 27, 1968年12月26&27日の録音。ちなみにパーソネルは、Jack DeJohnette (ds, melodica), Bennie Maupin (ts, wood-fl, fl), Stanley Cowell (el-p, ac-p), Miroslav Vitous (b), Eddie Gómez (b), Roy Haynes (ds, perc)。モーダルなドラマー、ジャック・ディジョネットのデビュー・アルバムである。
 
 
The-jack-dejohnette-complex-1  
 
 
デジョネットはピアニストでもある。彼の弾くメロディカ(鍵盤ハーモニカ)の旋律が印象的。ドラムについても、モーダルでポリリズミックなドラムをバッシバシと叩いていて迫力満点。出てくるグループ・サウンドは、パーソネルを見渡すと何となく想像できるのだが、モーダルでエレクトリックな、そして時々フリーなコンテンポラリー・ジャズ。1968年という録音ならではの音世界である。

純ジャズでモーダルなアドリブ・フレーズから、時々フリー&スピリチュアルに傾き、あれれと思っていたら、前衛的なファンクに走る、という幅広く多彩な、「音の万華鏡」の様な音世界。ごった煮で散漫になりそうなんだが、これがそうはならずに、しっかりとした統一感が心地良い。デジョネットのドラムがガッチリとその「統一感」を維持している。

しかし、凄いメンバーが集まったものだ。「志」を同じくするものが集まった感じのパーソネル。この盤には「デジョネットの考えるコンテンポラリーな純ジャズ」が詰まっている。メンバー全員、当時の最先端のモード・ジャズに真っ向から取り組んでいて、その多彩な音世界は「Complex」そのもの。エレクトリックも含めたモーダルな音世界。さすがデビュー盤、デジョネットの「音の志向」が良く判る。
 
 
 
東日本大震災から8年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

その他のカテゴリー

AOR CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pops R&B rock SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エディ・ハリス エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディド・レーベル キング・クリムゾン キース・ジャレット ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスマスにピッタリの盤 クリフォード・ブラオン クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サザンロック サド=メル楽団 サム・リヴァース サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・レノン ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・ヘンダーソン スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スピリチュアル・ジャズ セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バリトン・サックス パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビル・エバンス ビル・フリゼール ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルーノート ブルーノート LTシリーズ ブレッカー・ブラザース プレスティッジ・レーベル プログレッシブ・ロックの名盤 ベニー・ゴルソン ベーシストのリーダー作 ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リッチー・バイラーク リトル・フィート リバーサイド・レーベル リンダ・ロンシュタット リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ヴィーナス・レコード 上原ひろみ 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 夜の静寂にクールなジャズ 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 尾崎亜美 山下達郎 山中千尋 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  
2020年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

カテゴリー