2020年8月 8日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・132

ジャズがこの世に現れ出でて100年が経つという。ハードバップが大流行したのが1950年代。もう60年以上も前のことになる。1970年代後半から1990年代辺りは「未発表音源」や「発掘音源」のリリースがちょくちょくあった。21世紀になって、特に2010年代に入って、さすがに下火になった感がある。

磁気テープのマスター音源のデジタル環境への移行(ハードディスクへの移行)がほぼ完了したのだろう。と思っていたら、今でも未だほんのたまに「こんな音源あったんや」と驚くような「発掘音源」がリリースされることがある。この盤もそうで、リリース報を読んだ時は「え〜、まだそんな音源あったんや」とビックリ。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Just Coolin'』(写真左)。1959年3月8日の録音。ブルーノートの音源。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Bobby Timmons (ts), Jymie Merritt (b)。あのfンキー・ジャズの名盤『Moanin'』の約4ヶ月後の録音。テナーがゴルソンからモブレーに代わっている。

ゴルソンがアート・ファーマーとジャズテットを結成するため1959年に入って離脱。ここでゴルソンの代役をつとめたのが「ハンク・モブレー」。後に2代目音楽監督となる ウエイン・ショーターが加入する端境期のラインアップである。このなかなか魅力的なラインアップで『At The Jazz Corner Of The World, Vol. 1ー2』をリリースしている。
 
 
Just-coolin
 
 
この音源は、ディスコグラフィー上にセッションの記載はあったものの、60年以上も一度も世に出ていなかった幻の音源。収録曲を見ると、約1ヶ月後にライヴ録音される『At The Jazz Corner Of The World』のリハーサル的位置づけのスタジオ録音だったのかなあ、と感じている。

迫力満点のファンキー・ジャズを旨とするジャズ・メッセンジャーズの演奏としてはちょっと「こぢんまりとまとまった」感じがする。約1ヶ月後にライヴ録音される『At The Jazz Corner Of The World』と比較すると、モブレーのテナー・サックスが「真面目一本槍」というお行儀の良いブロウに徹していて、やや躍動感に欠けるきらいがある。

この1959年3月8日のセッションから、「Hipsippy Blues」「M And M」「Just Coolin'」という3曲のモブレー作品と、スタンダード区奥「Close Your Eyes」の計4曲が『At The Jazz Corner Of The World』で演奏されている。で、この4曲についても、『At The Jazz Corner Of The World』の方が、躍動感溢れ、演奏の迫力もある。

スタジオ録音の全6曲中、4曲が後発のライヴ盤と収録曲が被って、ライヴ盤の方が躍動感溢れ、演奏の迫力もあるのだから、何も正式盤としてリリースしなくても良い、というのが、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンの判断だったのだろうか。

こぢんまりまとまった感のあるスタジオ録音だが、演奏の雰囲気、ハードバップ&ファンキー・ジャズの典型的な演奏がギッシリ詰まっていて、この盤はこの盤なりに聴いていてとても楽しい。まだ、こんな音源が残っているんですねえ。ビックリしました。
 
 
 

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2020年4月 7日 (火曜日)

ハードバップのメッセンジャーズ

昨日、Art Blakey & Jazz Messengers(アート・ブレイキー & ジャズ・メッセンジャーズ)はライブ盤が良い、と述べた。それに加えて、ジャズ・メッセンジャーズのライブ盤は、そのライブが収録された時期の「バンドの演奏トレンド」と「バンド演奏の成熟度合い」そして「バンドメンバーのバントとの相性」が良く判る内容になっているから面白い。

ジャズ・メッセンジャーズは「バンド演奏のトレンド」そして「バンド演奏の雰囲気」が個性的で濃厚である。スタジオ録音だと、ジャズ・メッセンジャーズともなれば、さすが皆メンバーは一流のジャズメンなので、自分があまり得意で無い演奏トレンドも、そつなくこなしたりする。しかし、ライブでは「地が出る」ので、バンド全体のパフォーマンスの好不調、バンドメンバーのバンドとの相性がとても良く判る。

Art Blakey & Jazz Messengers『At the Jazz Corner of the World』(写真)。April 15, 1959年4月15日、NYのジャズクラブ「バードランド」でのライブ録音。LP時代は2枚のアルバムに分けてリリースされている。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Bobby Timmons (p), Jymie Merritt (b)。第1期黄金時代のメンバーから、テナーだけが、ベニー・ゴルソンからハンク・モブレーに代わっている。
 
 
At-the-jazz-corner-of-the-world
 
 
この盤では、フロント2管が好調。まず、トランペットのリー・モーガンは絶好調。フレーズの作り方、展開は実に巧みで、イマージネーション溢れ、その吹き回しには惚れ惚れするくらいだ。そして、意外と言っては本人に失礼だが、テナーのハンク・モブレーが好調。もともとモブレーは好不調の波が激しく、バンドメンバーとの相性もかなり影響するタイプなんだが、このライブ盤ではモブレーは好調。自信を持って、堂々と吹くモブレーは無敵である。絶好調のモーガンを相手にバリバリ吹きまくっている。

ただ、選曲を見て、ゴルソンがテナーを担当していた時と、選曲の傾向がガラッと変わっている。恐らく、リリーフ起用であったハンク・モブレーに合わせての選曲ではなかったか、と睨んでいる。ゴルソン作の曲については癖が強い。癖が強い曲は自分なりのアドリブ展開がし難い。そうするとモブレーは萎縮するのでは、とのブレイキー御大の慮りがあったのではないか。この選曲でいくと、ブレイキー御大が音楽監督を兼任できるし、バンドメンバーの力量からしても、早期に適用可能ではある。

しかし、演奏される演奏のトレンド、雰囲気はファンキー・ジャズから純粋なハードバップに戻ったイメージもあるし、ジャズ・メッセンジャーズの個性という面からすると、良い意味の「アク」が抜けた様な印象もある。しかしながら、ハードバップとしての演奏レベルは高く、ハードバップの名演の1つと捉えても遜色ない出来である。内容は良い、演奏レベルは高い、しかし、バンド演奏としての個性は少し穏やかになった。そんな評価に苦労するライブ好盤である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》

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2019年11月25日 (月曜日)

モブレーを理解する「第一歩」

40年以上前、ジャズを聴き始めてから、ずっと「ハンク・モブレー(Hank Moblay)」が良く判らなかった。1930年7月生まれ。1986年5月、55歳にて没。活躍したのは、1955年から1970年辺りの約15年余り。ブルーノートでのリーダー作は華々しい限り。1957年には8枚ものリーダー作を録音している。しかし、1972年の『Breakthrough!』以降はリーダー作もサイドマンとしての客演も無く、全く地味な晩年だった。
 
ハンク・モブレーの代表作3部作『Soul Station』『Roll Call』『Workout』は良く聴いたが、他のアルバムについては、モブレーって好不調の波が結構あるので、ある盤では「これは結構凄いなあ」と感じる反面、ある盤では「なんじゃこれ、元気ねえなあ」なんてちょっと首を傾げたくなる盤もあるので、選盤が面倒くさくなる。結局、他のテナーマンのリーダー盤に走ったりして、しばらくモブレーの事は忘れていた。
 
最近、ふと思った。何故、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンはモブレーを重用したのか。マイルスは何故、コルトレーンの後任にモブレーを据えようと考えたのか。どうにも、代表作3部作を聴くだけではよく判らない。ということで、今まで「つまみ食い」的に聴いてきたモブレーのリーダー作をガッツリと全て聴き直すことにした。
 
 
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『Hank Mobley Quartet』(写真左)。1955年3月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Doug Watkins (b), Art Blakey (ds)。リリース当時は10" LP仕様。アルバム全体でも26分という短さ。しかし、アルバムというもの、収録時間の長さが価値では無い。その中に記録されているパフォーマンスの出来である。
 
この盤はモブレーの初リーダー作。録音当時は24歳のモブレーのワンホーン・カルテット。バックを支えるリズム・セクションも当時の精鋭メンバーで充実のサポート。そんな充実のカルテット編成で、モブレーは溌剌とテナーを吹きまくる。しっかりと芯の入った骨太なブロウ。テクニック良く流れる様なアドリブ・フレーズ。この盤のモブレーは、テナーマンとしての類い希な才能と素性の良さを大いに感じさせてくれる。
 
そして、この盤で判るのは、モブレーの「作曲の才」。5曲目の「Love for Sale」以外、他の5曲はモブレーの作曲。どの曲も出来は上々。この作曲の才って、当時、凄いことなのだ。そうそう自作曲を多数、用意できるジャズマンはいない。モブレーの最大の個性は、この「卓越したコンポーザー」としての才能ではなかったか。その才の上に、テナー・インプロバイザーとしての才がある。モブレーを理解する上で、最初に聴くべき好盤である。
 
 
 
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