2019年11月 9日 (土曜日)

リヴァースのモードへの対応力

このアルバムを聴けば、当時、サム・リヴァース(Sam Rivers)のモード・ジャズにおける先進性が良く判る。モード奏法はモードに基づく旋律による進行に変更したもので、演奏の自由度が飛躍的に高い。リヴァースのモーダルなテナーは、クールでメロディアスでバリエーション豊かなもの。特に、この「クールでメロディアス」な部分。リヴァースはこの部分に秀でていた。

アドリブ部に入った途端、このモードに基づく旋律による進行に乗って、アドリブを展開することになる。しかも自由度が飛躍的に高い。演奏する側は自らの閃きを基にアドリブを展開する。閃いたフレーズを一気に吹くので、大体が気合いの入った音になる。逆にそんなにバリエーション豊かに閃きがある訳ではないので、アドリブの手癖・展開がマンネリ化、パターン化する恐れがある。
 
リヴァースは閃いたフレーズをクールに吹き、アドリブの手癖・展開のバリエーションが豊かなのだ。そんなリヴァースが良く判るアルバムが、リーダー作第2弾の Sam Rivers『Contours』(写真左)。1965年5月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts, ss, fl), Freddie Hubbard (tp), Herbie Hancock (p), Ron Carter (b), Joe Chambers (ds)。
 
  
Contours  
 
 
バックのリズム・セクションについては、当時、若手の新主流派の精鋭揃い。バックの不手際に引き摺られて、モードな演奏の精度や内容を損なわれることは無い。逆にフロントのソロイストの「モードに対する対応力」をしっかりと見極めることが出来る。フロントはリーダーのリヴァースのテナーと、ハバードのトランペット。既にハバードはモードへの対応力に定評がある。
 
しかし、リヴァースのテナーが明らかに素晴らしい。クールでメロディアスでバリエーション豊かな「モーダルなソロ」が展開される。逆にハバードは、吹きすぎる、パターン化した、ちょっと平凡な「モーダルなソロ」に終始している。特にリヴァースのソロがクール。そして、モーダルなアドリブのバリエーションが豊か。新主流派の「新しい風」を感じる。
 
サム・リヴァースのモードに対する対応力の高さを再認識できる優れたリーダー作である。ハバードの存在のお陰であるが、逆にリヴァースのワンホーンでも良かったのでは、と思う。それだけ、リヴァースのモーダルな演奏は、それまでのモードを得意とするジャズマンとは一線を画するものだったと思う。しかし、それが即、人気の高さに繋がらないのがジャズの不思議。
 
 
 
東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年11月 1日 (金曜日)

サム・リヴァースの初リーダー作

昨日、デイビット・サンチェスのサックスを聴いていて、突如として「サム・リヴァース(Sam Rivers)」を聴きたくなった。サム・リヴァースのサックスを初めて聴いたのは、マイルスの『ライヴ・イン・トーキョー』。1964年のライブ録音であるが、黄金のクインテットにまだウェイン・ショーターが参加していない時期。そこにサックスとして参加したのが「サム・リヴァース」。

このマイルスの『ライヴ・イン・トーキョー』でのリヴァースのサックスを聴くと、ショーターのサックスよりも、凛としてシュッとしたサックス。ショーターのサックスはちょっとウネウネしているところがある。意外とリヴァースの方がマイルス・クインテットに合ったりして、と思っていたら、どうもマイルスも留まるようオファーしたらしい。それをリヴァースは断った。

Sam Rivers『Fuchsia Swing Song』(写真左)。1964年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Sam Rivers (ts), Jaki Byard (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。先ほどのマイルスの『ライヴ・イン・トーキョー』の5ヶ月後の録音。リズム・セクションのうち、ベースとドラムは、マイルス・クインテットと同じメンバー。ピアノだけはハービー・ハンコックでは無い、当時、新進気鋭のジャキ・バイヤード。
 
 
Fuchsia-swing-song-sam-rivers
 
 
このブルーノート・レーベルの4184番は、サム・リヴァースの初リーダー作。リヴァースのテナーが実に魅力的。端正でスッと伸びのある、切れ味の良いテナー。モーダルなフレーズで、限りなく自由なフレーズを吹き上げていくが、決して絶対にフリーに傾かない。どこか節度のある、どこか理知的な響きの宿ったフレーズ。モードのフレーズなので難解そうだが、意外とシンプル。適度な隙間があって聴き易い。

バックのリズム・セクションでは、ピアノのバイヤードが個性的。ハンコックのモーダルなピアノより、フレーズの輪郭がクッキリしていて、適度にエッジが立っている。速いフレーズではスピード感が豊かで、モーダルなフレーズは幾何学的な展開がユニーク。もちろん、ベースのロン、ドラムのトニーは当然、素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれる。

ブルーノートの「新主流派のモーダルなテナー」のアルバムの中でも屈指の出来だと思います。変に急いでフリーに走らず、限りなく自由度の高いモーダルな吹きっぷりに、リヴァースの「受け狙い」では無い、我が道を往く「矜持」を感じます。本能、直感で勝負しない、理論派テナーマンの面目躍如です。僕はそんなリヴァースのテナーが「隅に置けない」。
 
 
 
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