2023年8月17日 (木曜日)

力強くも優しいオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。もともと、マイルスの紹介で、オルガンの神様「ジミー・スミス」をデビューさせ、ドル箱人気オルガニストに育て上げた実績があるブルーノートである。オルガン・ジャズには他のどのレーベルよりも造詣が深い。ニッチなジャズ・オルガンではあるが、ブルーノートのカタログには、多くのオルガニストのリーダー作が散見される。

オルガンジャズの神様、ジミー・スミス。デビュー当時は「思いっきり尖ったアグレッシブな、実に攻撃的な」オルガン。半ば辺りで、圧倒的テクニックはそのままに、力強くも優しい印象的なフレーズを弾きまくる「ポップで聴き易い」ジャズ路線に舵を切る。そして、1962年、大手レーベルのヴァーヴ・レコードへ移籍する。

Jimmy Smith『Softly As A Summer Breeze』(写真左)。1958年2月26日の録音。ブルーノートの4200番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell (g, tracks 1–4), Eddie McFadden (g, tracks 5-6), Philly Joe Jones (ds, tracks 1–4), Donald Bailey (ds, tracks 5-6)。基本は、スミスのオルガンに、ギター、ドラムというオルガン・トリオ編成。

オリジナル盤は全6曲。1998年のCDリイシュー時に、1958年10月14日録音の4曲が追加されているが、オルガン・ジャズでありながら、何故か男性ボーカルが入っている、ちょっと違和感のある音源なので、ここでは割愛させていただく。以下、この盤の感想については、オリジナルの6曲で語りたいと思う。
 

Jimmy-smithsoftly-as-a-summer-breeze

 
この盤はブルーノート・レーベルお得意の「理由が良く判らないが、何故かお蔵入り」な盤の1枚。リリースは1965年だが、この盤に収録された音源は、ジミー・スミスのブルーノートに対する「感謝の置き土産」音源では無い。1958年の録音で、『The Sermon』と『Home Cookin'』の間に入る録音になる。ブルージーでアーバンな雰囲気のもと、聴かせるオルガン・ジャズに落ち着いた頃の音源である。

雰囲気的には『Home Cookin'』の流れ。気負いの無い、リラックスしたジミー・スミスのオルガンがとてもジャジー。ファンクネスもコッテリ効いていて、まさに「大人のジャズ」。ミッドナイトでアーバンな雰囲気を増幅するのは、ケニー・バレルとエディ・マクファデンのギター。落ち着いたスミスのオルガンとアーバンなバレルとマクファデンのギターが絡んで、ブルージーな雰囲気が蔓延する。

ドラムがフィリー・ジョーなのが珍しい。フィリー・ジョーのひかえめハードボイルドなバップ・ドラム。ジミー・スミスと言えば、ドラムは「ドナルド・ベイリー」なので、このフィリージョーのドラムは異色。ベイリーとは明らかに違う。それでも、さすがは名手フィリージョー、ブラシによるシンバル・ワークなど、ドラムの達人らしい技を披露しつつ、フロントのスミスのオルガンを引き立てる。

当時、1958年に録音されて8年間眠っていて、1965年になって発表された未発表音源。フィリー・ジョーとの共演が4曲しか無かったので、やむなくお蔵入りになったのかもしれない。力強くも優しい印象的なフレーズを弾きまくる「ポップで聴き易い」内容が素敵なオルガン・ジャズ盤です。
 
 

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2023年6月19日 (月曜日)

ソウル・ジャズなオルガン盤

ジミー・スミス(Jimmy Smith)は、1950年代から1960年代の初めまで、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」ジャズマンだった。ジミー・スミスは、ジャズ・オルガンの祖。ジャズ・オルガンの歴史は、ジミー・スミスの出現から始まったと言って良いかと思う。

ジミー・スミスの伝説は、マイルスがブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンに紹介したところから始まる。ライオンはスミスのオルガンに惚れ込み、1956年から1962年の6年間に、なんと20枚以上のリーダー作をリリースしている。年に3枚以上のペースでのリリースで、これはこれで驚きだが、セールス的にも十分な実績を残したというのだから、これもこれで驚きである。

1962年、スミスは破格の好条件を提示した大手レーベル・ヴァーヴに移籍する。自分が見出し育てたジャズマンが条件の良い大手レーベルに移籍していくのは面白く無いはずだが、なんと、ライオンは一切止めること無く揶揄すること無く、喜んで送り出した。スミスはその恩義を忘れず、かなりの数の優れた内容の録音をストックとして残していった。

Jimmy Smith『Prayer Meetin'』(写真左)。1963年2月8日の録音。ブルーノートの4164番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Stanley Turrentine (ts), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds)。スミスのそんな「鶴の恩返し」的レコーディング・ストックの1枚。相性の良いフロント管、スタンリー・タレンタインのテナー・サックスとの共演盤である。
 

Jimmy-smithprayer-meetin

 
1950年代のデビューから暫くは、硬派でバップな、そして、ハイ・テクニックなオルガンでブイブイ言わせていたのだが、1960年の『Crazy! Baby』あたりから、歌心と味のある「聴かせる」オルガンへシフト。さらに人気が高まり、1961年『Midnight Special』の大ヒットを生む。

そして、この『Prayer Meetin'』は、その『Midnight Special』の雰囲気を踏襲する、「聴かせる」ソウルフルなオルガン・ジャズで統一されている。

もともとテクニック抜群、流麗でバップなフレーズを紡ぎ出すのが得意なオルガニストである。そこに歌心が加われば、無敵である。そんな「じっくり聴かせる」歌心溢れるオルガンがギッシリ詰まっている。

そして、その歌心溢れるスミスのオルガンをがっちりサポートし、がっちりと引き立てているのが、タレンタインのテナー・サックス。スミスがポップなオルガンを弾けば、硬派な男気溢れる漆黒テナーをタレンタインが吹き、スミスが硬派でストイックなフレーズを弾けば、タレンタインはポップで悠然としたフレーズで応える。この2人のアンサンブルとインタープレイが良い感じ。相性が良いんでしょうね。

1960年代前半、ジャズの「多様化」の時代のニーズに合わせた様な、ちょっとポップで歌心溢れる「聴かせる」ソウル・ジャズがこの盤に詰まっています。ジャズの即興の妙など、刺激的な要素は希薄ですが、とにかく聴いていて心地良く、聴いていて楽しい。聴いて楽しい、リラックスして聴き込める、極上のソウル・ジャズなオルガン盤です。
 
 

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2023年5月10日 (水曜日)

最後のブルーノートのスミス盤

ジャズ・オルガンと言えば、まずは「ジミー・スミス(Jimmy Smith)」である。オルガンをジャズのメイン楽器として定着させ、ジャズ・オルガンの音色・奏法・テクニックの基準・標準を確立させたレジェンド・ジャズマン。ジャズ・オルガンの開祖は、このジミー・スミスであり、ジャズ・オルガンの「最初の基準」である。

ジミー・スミスは、マイルスに紹介され、ブルーノートの総帥ディレクター、アルフレッド・ライオンに見出され、ブルーノートからアルバム・デビューしている。1956年の初リーダー作以来、ブルーノート一本槍。

1962年、さらなる好条件を提示した大手レーベル・ヴァーヴに移籍する。自分が育てたジャズマンが条件の良い大手レーベルに移籍していくことを、ライオンは一切止めることは無く、喜んで送り出したくらいだそう。スミスはその恩義を忘れず、かなりの数の優れた内容の録音を残していった。

Jimmy Smith『Rockin' the Boat』(写真左)。1963年2月7日の録音。ブルーノートの4141番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Lou Donaldson (as), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds), "Big" John Patton (tambourine, tracks 2, 3 & 6)。録音日から見て、この盤は、大手レーベル・ヴァーヴに移籍する直前、ブルーノート契約配下での「最後の録音」の1つになる。

 
Jimmy-smithrockin-the-boat

 
寛いだファンキーなオルガン・ジャズ。ギターのクエンティン・ウォーレン、ドラムのドナルド・ベイリーは、昔から馴染みのリズム隊。このトリオ演奏だと「またか」的な、ちょっと飽きだぞ、という印象になるが、この盤はそうはならない。ゲスト参加的位置づけのフロント1管、ルーさんのアルト・サックスが良いアクセントになっている。

ルーさんのアルト・サックスは、ファンキーで「ネアカ」でブリリアントで溌剌とした音色なので、ジミー・スミスのオルガンの音に負けることは無い。ジミー・スミスは、フロント管がいる場合、フロント管を鼓舞しサポートする役回りに積極的に対応するので、フロント管不在の時の弾きすぎる、攻撃的なオルガンは程良く押さえられて、とっても趣味の良い、リラックスして楽しげにオルガンを弾くジミー・スミスが聴ける。

ゴスペル、C&W、R&B、ブルース、ソウル、カリプソの要素を取り込んだ、ファンキーなオルガン・ジャズが聴いていて楽しい。時代は「ジャズ多様化の時代」。ジミー・スミスとアルフレッド・ライオンは、この盤では「娯楽音楽としてのファンキー・ジャズ」を追求し、ものにしている。

どう転んでも「売れる」盤としたかったのではないか、と睨んでいる。この時期、一連のブルーノートでの録音を残して、ジミー・スミスはヴァーヴに移籍する。この盤に収録された音源は、ジミー・スミスのブルーノートに対する「感謝の置き土産」である。 
 
 

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2022年4月10日 (日曜日)

『Midnight Special』との兄弟盤

ジャズ・オルガンのイノベーター、ジミー・スミスは、ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンに見出され、ジャズ・オルガンのスター的存在となった。当然、スミスのオルガン盤はいずれもヒットし、零細企業のブルーノートにとっては「ドル箱」だった。

が、スミスは、さらなる好条件を提示したヴァーヴに移籍する。自分が育てたジャズマンがステップアップしていくことを、アルフレッド・ライオンは一切止めることは無かった。喜んで送り出したくらいだそうだ。スミスはその恩義を忘れず、かなりの数の優れた内容の録音を残していった。

Jimmy Smith『Back at the Chicken Shack』(写真左)。1960年4月25日の録音。1963年のリリース。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Stanley Turrentine (ts), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds)。前作の名盤『Midnight Special』と同一メンバー、同一日のセッション。

「Back at the Chicken Shack」と「Messy Bessie」2曲がギター入りカルテットの演奏、「When I Grow Too Old to Dream」と「Minor Chant」、CDボートラの「On the Sunny Side of the Street」は、オルガン+テナー+ドラムのトリオ演奏。名盤『Midnight Special』と同一セッションである。『Midnight Special』との兄弟盤的位置づけの盤で、演奏内容は「折り紙付き」である。
 

Back-at-the-chicken-shack_jimmy-smith

 
ジミー・スミスは1962年にヴァーヴ・レコードに移籍したので、このブルーノート盤はスミスの移籍後のリリースになる。ジミー・スミスのオルガン盤は、ブルーノート・レーベルでの「ドル箱」、そして、この『Midnight Special』セッションの未発表音源の出来が凄い良い。当然、アルバム化してリリースするよな、というところか。

ジミー・スミスがハード・バップから、ソウル・ジャズに深化した、歴史的セッションの一部である。初期の頃の様に、攻撃的にオルガンを弾きまくること無く、余裕を持った包み込む様なオルガンの音、ファンクネスだだ漏れ、アーバンでジャジーでソウルフルな、ジミー・スミスのソウル・ジャズがこの盤の中に詰まっている。

『Midnight Special』とセットで聴き通したい。スタンリー・タレンタインのテナー・サックスが「ソウル・ジャズ」を具現化、スミスのオルガンと共に、とってもソウルフルな響きが魅力です。長年の相棒、ベイリーのドラム、漆黒アーバンでブルージーなバレルのギターも良し。良いアルバムです。
 
 

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2022年2月17日 (木曜日)

スミスの「ウォーラー愛奏曲集」

ジミー・スミスのオルガンは、初期の頃は「プログレッシヴでアグレッシヴ」。これでもか、と言わんばかりに、鋭角な、攻撃的なフレーズを圧倒的なテクニックをもって弾きまくっていた。しかし、1960年代に入る頃から、弾きっぷりにも余裕が出てきて、歌心を重視した「聴かせる」オルガンがとても素敵だった。

『Jimmy Smith Plays Fats Waller』(写真左)。1962年1月23日の録音。ブルーノートの4100番。 4000番台のラスト盤。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds)。この盤は、ジミー・スミスのオルガンがベースも兼ねた、シンプルなオルガン・トリオ。フロントの管楽器は無い。

フロントの管楽器が無い分、収録曲の旋律を弾く、ジミー・スミスのオルガンのテクニックと歌心が明確に感じられて良い。歌モノの旋律を弾かせた時のジミー・スミスのオルガンは天下一品で、オルガンってこれだけの表現力がある楽器だったんだ、と再認識させられるほどのテクニックと歌心。
 

Jimmy-smith-plays-fats-waller

 
偉大なピアノ、オルガン奏者ファッツ・ウォーラーの楽曲を取り上げたカヴァー集というか、ウォーラーの自作曲を含めた「ウォーラー愛奏曲集」になる。スタンダードの名曲「Squeeze Me」、大ヒット曲「Ain't Misbehavin'(浮気は止めた) 」や「Honeysuckle Rose」を収録。

さすが、オルガン・ジャズの第一人者、聴いたことの無い情感溢れるオルガンの音色で、歌心満点に名曲の数々を弾き進める。冒頭「Everybody Loves My Baby」での ”絞り出すような” エッジの立った、クリアでブルージーな音色、2曲目の「Squeeze Me」での、”転がる様な” 丸みのある、流麗でタッチの立った音色、どちらもジミー・スミスの歌心溢れる奏法。同一人物の演奏とは思えない。

硬軟自在、緩急自在、抑揚を上手く付けた、オルガンにおける多彩な表現には全く脱帽である。ギターのクウェンティン・ウォーレンも、あまり馴染みの無い名前だが、良い味を出している。ドラム担当のベイリーは、長年のジミー・スミスの相棒を務めただけあって、ジミー・スミスのオルガンにしっかり馴染むドラミングは立派。

この盤、聴けば聴くほど、味わいが深まる「隠れた名盤」だと僕は思う。
 
 
 
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2021年11月 6日 (土曜日)

オルガン・ジャズの傑作&名盤

昨日のブログで、スタンリー・タレンタインのテナー・サックスはオルガンと相性が良い、と書いて、そう言えば、このジャズ・オルガンのレジェンドの強烈な音とアドリブ展開に負けずに、対等な立場で「タイマン」を張ったテナー・サックスって、タレンタインだったなあ、ということを思い出した。

Jimmy Smith『Midnight Special』(写真左)。1960年4月25日の録音。ブルーノートの4078番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Stanley Turrentine (ts), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds)。オルガンのレジェンド中のレジェンド、ジミー・スミスの大ヒット盤。テナーにタレンタイン、ギターにバレルという「漆黒ブルージー」な布陣。

この盤のジミー・スミスのオルガンは、限りなくダンディーで優しい。いつもはプログレッシヴでオフェンシヴなオルガンで、前へ前へ、前のめりに、圧倒的テクニックをもって、凄まじい迫力のアドリブ・フレーズを弾きまくるのだが、この盤は違う。圧倒的テクニックはそのままに、力強くも優しい印象的なフレーズを弾きまくる。とても美しく流麗なフレーズ。

ジミー・スミスのオルガンは、プログレッシヴでオフェンシヴであるが故に、ファンクネスは控えめなのだが、そこに、タレンタインの「こってこてファンキー」で「ドップリ漆黒ブルージー」なテナーが溶け込む様に入ってくる。スミスの切れ味良いオルガンが浮き出てきて、タレンタインのテナーのお陰で、バックのトーンは「アーバンな真夜中なファンクネス」一色に染まる。
 

Midnight-special

 
そんなバックのトーンに、これまた「アーバンでジャジー」なバレルのギターが参入する。スミスのオルガンとはまた違った切れ味の、ギター独特のフレーズが「お洒落で小粋なファンクネス」を付加する。このバレルにギターの参入が、今までのスミス盤に無い、特別なファンクネスの要素を供給する。

そして、ドナルド・ベイリーのドラムが、これまた良い仕事をしている。スミスの長年の相棒ドラマーは、スミスのそれぞれの弾き回し毎に、最適なリズム&ビートを供給する。スミスにとって、安心&安定のドラミング。

オルガン・ジャズを代表する名盤である。オルガン・ジャズを聴きたい、と言った向きにには、まずこの盤を聴いて頂きたい。この盤でのジミー・スミスのオルガンが、ジャズ・オルガンの「第一の基準」だろう。

この盤は売れたらしい。零細企業だったブルーノートの懐を潤したと聞く。それも納得の内容。オルガン・ジャズとして充実した内容を誇り、演奏の心地良さ、聴き易さ、歌心も抜群。これは売れるよな。スミスは、この盤の後、4100番の『Plays Fats Waller』にて、ヴァーヴ・レーベルに移籍する。この盤は、ブルーノートへの「売り上げ」の置き土産となったアルバムでもある。
 
 
 
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2021年10月25日 (月曜日)

ジミー・スミスのフュージョン盤

ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミス。そのテクニックは凄まじいものがあり、ダイナミズム、ファンクネス、弾き回し、アドリブ・パフォーマンス、どれもが超一級。未だに、ジミー・スミスの全盛期のジャズ・オルガンを凌駕するオルガニストは現れ出でていない。

ジミー・スミスは、とにかく「目立ちたがり屋」。演奏を始めると、ガンガン前へ出てくる。サイドマンは完全に振り落として、それでも、ダイナミズムに物を言わせて、オルガンのスピーカーのボリューム全開、ぎゅわんぎゅわんと、天才的なアドリブ・フレーズをバンバン弾きまくる。これが「ジミー・スミス」である。逆に、これじゃないと「ジミー・スミス」じゃ無い。

Jimmy Smith『The Cat Strikes Again』(写真左)。1981年の作品。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Ray Brown (ac-b), Chuck Domonico (el-b), Grady Tate (ds), Dennis Budimir, Howard Roberts, Tim May (g), Paulinho Da Costa (perc), Gary Herbig, John Bolivar (sax, fl), Alan Kaplan (tb), Jerry Hey, Oscar Brashear (tp, flh), Ronnie Foster (p), Lalo Schifrin (arr)。

ジャズ・オルガンの神様、ジミー・スミスも、ジャズの斜陽に飲み込まれ、過去の人になりつつあった1970年代。この盤は1981年の作品。フュージョン・ジャズ全盛後期。この盤のタイトルを訳すと「猫の逆襲」。
 

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「猫」といえば「The Cat」。スミスの代表作とされるヴァーヴ盤「The Cat」の逆襲。そう、この盤は、こってこてメインストリームな純ジャズ・オルガンのジミー・スミスが、フュージョン・ジャズに染まって、再起をかけたアルバムである。

フュージョンに染まったとは言え、この盤のアレンジは「ラロ・シフリン」が担当していて、意外と落ち着いた、ファンキーなフュージョン・オルガン盤に仕上がっている。ソフト&メロウな要素もふんだんに詰め込み、オルガン・ジャズの特徴である「こってこてなファンクネス」も趣味良く漂っている。フュージョン盤として評価すれば、違和感の無い好盤である。

ジミー・スミスのオルガンは、全盛期の「目立ちたがり屋」返上、グループ・サウンズにしっかり馴染んで、周りの音を良く聴きながら、なかなかアーバンでファンキーなオルガンを弾き進めている。もともとテクニックは抜群に高いので、その弾きっぷりは前面に出てこなくても、しっかり浮き出ていて印象に残る。

オルガン・ジャズがファンキーだと再評価されたのは1990年代に入ってからのことで、1970年代は、オルガン・ジャズはポップで、そのファンクネスは俗っぽいと散々な扱いだった、と記憶している。そんな中で、この盤のジミー・スミスのオルガンは、ちょっと地味ではあるが、なかなかのもの。さすが、ジャズ・オルガンの神様である。
 
 
 
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2021年7月14日 (水曜日)

聴かせるオルガン・ジャズ盤

ジャズ・オルガンと言えば、まずは「ジミー・スミス(Jimmy Smith)」だろう。1956年、バブス・ゴンザレスに「絶対に見るべきだ」と言われ、老舗ジャズ・クラブ「スモールズ・パラダイス」に赴いた、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンと共同経営者のフランク・ウルフ。

確かなテクニックで、電気ハモンド・オルガンを用いることでアンプを通したパワフルな音楽を展開するジミー・スミス。2人は即座に彼と契約。以降、ジミー・スミスはブルーノート・レーベルでデビュー。以降、1962年初、大手のヴァーヴ・レーベルに移籍するまで、ブルーノート・レーベルの「ドル箱」スターとして、多くの秀作を残した。

Jimmy Smith『Home Cookin'』(写真左)。ブルーノートの4050番。1958年7月15日と1959年5月24日、そして、7月16日の録音の寄せ集め。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell (g), Donald Bailey (ds), Percy France (ts, tracks 1, 4-6)。ベースレス・トリオ(ベースはオルガンが兼ねる)をメインに、全7曲中、4曲にテナー・サックスが加わる(1959年7月16日の録音)。
 

Home-cookin

 
ブルーノートからデビューして2年以上が経過し、当初は電気オルガンをガンガン弾きまくって、とにかく五月蠅い位に前面で出張って目立っていたジミー・スミスが、ブルージーでアーバンな雰囲気のもと、聴かせるオルガン・ジャズに落ち着いた頃の秀作である。しっくり落ち着いていて、大人の渋くて粋なオルガン・ジャズがこの盤に蔓延している。

気負いの無い、リラックスしたジミー・スミスのオルガンがとてもジャジー。ファンクネスもコッテリ効いていて、まさに「大人のジャズ」である。ミッドナイトでアーバンな雰囲気を増幅するのは、ケニー・バレルのギター。落ち着いたスミスのオルガンとアーバンなバレルのギターが絡んで、ブルージーな雰囲気が蔓延する。この盤では、レイ・チャールズ・ナンバー「I Got a Woman」をカヴァーしていて、R&Bなフィーリングがいつも以上に色濃くて、実に素敵だ。

ジミー・スミスのブルーノート盤は、ジャケットがカラー写真なものが殆ど。当時、コストがかかったと思うのだが、それだけ、ブルーノートは、総帥のアルフレッド・ライオンは、ジミー・スミスのオルガン・ジャズを最大限に評価し、その音楽性に惚れていたのだと思う。落ち着いたスミスのアーバンでブルージーなオルガンが詰まったこの盤など、何度、聴き直しても、聴き終えて「あ〜、ジャズっていいなあ」と必ず呟いてしまうのだ。
 
 
 
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2021年5月19日 (水曜日)

この盤のジミー・スミス、大好き

当時、ブルーノートの看板ジャズマンの1人だった「Jimmy Smith(ジミー・スミス)」。デビューした1500番台では、前へ前へ出て、ブイブイとオルガンを弾きまくって、目立ちに目立っていた。

が、4000番台に入ってからは、ちょっと落ち着いて、ブルーノート・オールスターズをバックしたセッションなどでは、リーダーとしてしっかりバックに控えて、セッションをコントロールする立場に変化している。

ブルーノートの4000番台を聴き直していて、ジミー・スミスのリーダー作に出会う度に、大人になったなあ〜ジミー・スミス、と感心する反面、あの「前へ前へ出てブイブイ弾きまくる」姿も彼の個性なので、これはこれで聴きたいよな、なんて思っていたら、このアルバムにぶち当たって、ジミー・スミスのオルガンって、これでなくっちゃ、と思うのだ。

Jimmy Smith『Crazy! Baby』(写真左)。1960年1月4日の録音。ブルーノートの4030番。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Quentin Warren (g), Donald Bailey (ds)。4000番台に入って、ブルーノート・オールスターズとの演奏が主だったのだが、ここでは、1500番台の頃の「ベースレス、ギター入りのトリオ編成」のレギュラー・トリオである。
 

Crazy-baby
 

この盤の最大の魅力は「ゴスペル調のアーシーな演奏を熱く繰り広げている」こと。ジミー・スミスのオルガンは、確かに「黒い」が、ソリッドで切れ味の良い、疾走感溢れる演奏が多かったので、アーシーな雰囲気はあまり感じられなかった。が、この盤では、とても「アーシー」で、どっぷりと「黒い」。

録音時期から見ると、ジミー・スミスならではの「ファンキー・ジャズ」に対する回答なのかもしれない。冒頭の「When Johnny Comes Marching Home(ジョニーが凱旋する時)」などを聴くと、普通にハードバップな演奏をすると、ちょっとチープになりがちな旋律を持った曲だが、ここまでアーシーにゴスペルチックにアレンジすると、なかなか滋味溢れるファンキーなジャズに変化するから面白い。

ジャケットがカラー写真なのも当時としては珍しい。如何にブルーノート・レーベルにとって、ジミー・スミスが「売れっ子」ジャズマンだったのか、アルフレッド・ライオンの秘蔵っ子だったのか、が良く判る。確かにこの盤を聴けば、それが実感出来る。凄まじいスイング感とアーシーなグルーヴ感。この盤のジミー・スミス、大好きだ。
 
 
 

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2021年5月 6日 (木曜日)

セッションを統制するスミス

ジミー・スミスのオルガンって、初期の頃は前へ前へ出る、思いっ切り目立ちたがり屋のパフォーマンスで、時には「五月蠅い」くらいである。加えて、ハイ・テクニックで尖ったフレーズを畳みかけてくるので、かなり「耳にもたれる」部分がある。実は若い頃、僕はジミー・スミスの初期のオルガンが苦手だった。

Jimmy Smith『The Sermon!』(写真左)。ブルーノートの4011番。1957年8月25日(2曲目)と1958年2月25日(1曲目と3曲目)の2セッションの録音。ジャズ・オルガンの祖、ジミー・スミス With ブルーノート・オールスターズの録音になる。なんせ、初期の頃はバックをお気に入りで固めて、ハイ・テクニックで尖ったフレーズを駆使して、思いっ切り目立ちたがり屋のパフォーマンスだったので、初期のジミー・スミスからは珍しいパーソネルになる。

ちなみにパーソネルの詳細は、1曲目の「The Sermon」が、Jimmy Smith (org), Lee Morgan (tp), Lou Donaldson (as), Tina Brooks (ts), Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds)。2曲目の「J.O.S.」が、Jimmy Smith (org), Lee Morgan (tp), George Coleman (as), Eddie McFadden (g), Donald Bailey (ds)。3曲目の「Flamingo」が、Jimmy Smith (org), Lee Morgan (tp), Kenny Burrell (g), Art Blakey (ds)。

前へ出たがりのジミー・スミスから、セッションをコントロールするスミスへ進化しているのが、良く判るジャム・セッションである。
 

The-sermon

 
フロントの管の演奏をしっかり引き立てて、しっかり鼓舞する様がとても良く判る。そして、自らのアドリブ・パートになると、従来の「ハイ・テクニックで尖ったフレーズ」を引っさげて、ガツンと電光石火なソロを披露する。以前より、むっちゃ格好良いジミー・スミスである。

1曲目の「The Sermon」では、ジミー・スミスからすると珍しい、モーガンとドナルドソン、そしてブルックスの3管フロントを従えて、特にモーガンとブルックスのプレイをバックに回って効果的に鼓舞し、ドナルドソンは、バックで支える様にソロを引き立てる。2曲目の「J.O.S.」では、コールマンの新しい響きのアルト・サックスをしっかり活かしたグループ・サウンドを披露する。

ラストの「Flamingo」こそ、オルガン、トランペット、ギター、ドラムのシンプルなカルテット編成だが、ブルーノート・オールスターズの極めつけの演奏を聴かせてくれる。どの楽器の担当もブルーノートの看板ジャズマン。1フレーズ音を出すだけで、ブルーノートの音の雰囲気が充満する。

この『The Sermon!』、先にアルバム化された、4002番の『House Party』と対の正式盤であり、未発表音源集の『Confirmation』と併せて、同一セッションからのアルバム化となっている。セッションの全貌を堪能するなら、この3枚を一気聴きすることをお勧めする。なぜ、『House Party』『The Sermon!』『Confirmation』の順にアルバム化されたのか。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの深慮遠謀を垣間見たような、そんな感覚が面白い。
 
 
 

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