2023年2月 6日 (月曜日)

躍動するスナーキー・パピー

基本は、8ビートに乗った、ピアノ&キーボード、時々エレギをフロント・メインとしたインスト。高速8ビートのスムース・ジャズといった雰囲気。「クロスオーバー+ファンク+ダンス+フュージョン」を融合したエレクトリック・ジャズ。ダンサフルな面もあり、プログレッシヴ・ロックの様な側面もあり、ロックとジャズの間を突き抜ける、現代の「ジャズ・ロック」の担い手である。

Snarky Puppy『Empire Central』(写真左)。2022年3月3ー10日、ダラスの「Deep Ellum Art Company」でのライヴ録音。パーソネルを見渡すと、エレクトリックなジャズ・ビッグバンドといった風情。特徴としてはパーカッションが充実していて、リズム&ビートがしっかり効いていて、ダンサフルでもあり、疾走感抜群でもあり。ライトでポジティヴなジャズ・ファンクの響きが個性。

スナーキー・パピーのルーツであるテキサス州ダラスで、50人の観客を前にしたスタジオ・ライヴ録音。リーダー格は、Michael League (el-b, Minimoog Model D bass)。このマイケル・リーグのベースがスナーキー・パピーの個々の音をガッチリとまとめ、統率している。収録曲はボーナス曲を含み17曲。メンバーの19人中12人が作曲に参加するという、気合いの入った内容になっている。
 

Snarky-puppyempire-central

 
バンドのメンバーはそれぞれ、テクニック優秀で、あらゆる展開にしっかりと追従していて、その統一感には舌を巻く。揺るぎやズレの無いユニゾン&ハーモニー、流麗なアドリブ・リレー。純ジャズの様に、フレーズにマイナーな翳りが稀少なので、演奏全体の雰囲気は明るくダンサフル。疾走感溢れる流麗なアンサンブルは、どこか、1970年代のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの響きがしていてグッド。

米国出身のジャズ・ファンクらしく、内容的にはシンプル。欧州ジャズの様な複雑さやカオスは無い。爽快感と流麗さが前面に押し出されているので、気がつき難いが、R&B、ゴスペル、ファンクなど、米国ルーツ・ミュージックのルーツがしっかり組み込まれていて、それが、このスナーキー・パピーの演奏を「ジャズ」のジャンルに踏みとどまらせている。

こういうインスト・バンドって、最近のジャズ・シーンには稀少になってきたので、スナーキー・パピーって貴重な存在。演奏力もアレンジも最高で、バンドのピークを捉えたライヴ盤に仕上がっているのでは無いだろうか。高みに達したスナーキー・パピー。次の展開はどこへ行くのか。少々不安になるくらい、上出来のライヴ盤である。
 
 

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2023年2月 2日 (木曜日)

欧州風味のスムース・ファンク

ブログを再開しました。よろしくお願いします。

さて、Jazz Lifeの「2022年度 Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を読んでいて、キャンディ・ダルファー(Candy Dulfer)のアルバムが紹介されていて、おお、未だ第一線で活躍しているのか、と頼もしく思えた。

意外と、僕はこのブログでキャンディ・ダルファーのアルバムについて語っていない。彼女の音楽性は、基本的に「ジャズ・ファンク」で、オランダはアムステルダムの出身なので、貴重な「欧州のジャズ・ファンク」の担い手なのだ。アルバムは出る度に聴いているんだが、どうもブログの記事にする機会が無かった。

Candy Dulfer『We Never Stop』(写真左)。2022年10月のリリース。パーソネルは曲毎にメンバー編成を変えているので、かなり多数のミュージシャンが参加しているので、詳細は割愛する。

キャンディ・ダルファーはサックス奏者。4歳の時、ジャズのヘビー級サックス奏者、ソニー・ロリンズを見てサックス奏者を志し、父のサックス奏者、ハンスの支援の下、研鑽に励み、12歳の頃には、他に尊敬できる女性サックス奏者が殆どいなかった環境の中で、次の世代のミュージシャンにとって、目標となる女性サックス奏者になりたい、と思っていたそうである。
 

Candy-dulferwe-never-stop

 
さて、このキャンディの新盤であるが、初期の頃のあっけらかんとした「ジャズ・ファンク」に立ち戻って、シンプルに聴いて楽しい「スムース・ファンク」なアルバムに仕上がっていて見事である。

このキャンディの「スムース・ファンク」、1970年代後半から80年代前半にかけても、フュージョン・ブームの中での、ジョージ・デュークやラムゼイ・ルイス等の類なんですが、当時の米国系のフュージョン・ファンクから、濃厚なファンクネスを軽くして、欧州ジャズらしい、音のシャープさと精巧さを加味した、キャンディ独特の「欧州のジャズ・ファンク」を成立させているところが素晴らしいですね。

マーカス・ミラー等、大物アーティスト、シンガーのドゥランド・ベルナール、トランペット奏者フィリップ・ラシータ、若干11歳の若き才能、ベーシストのアロン・ホデック等、バラエティ豊かなゲスト・ミュージシャンを迎えた華やかな内容。それでいて、シンプルに聴いて楽しい「スムース・ファンク」になっている、良い感じのアルバムです。

良い出来の「スムース・ファンク」なアルバムです。他のアルバムも遡って聴き直して、感想を記事にしてアップしたい。そんな気持ちがフツフツと湧き上がってきた。
 
 

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2023年1月25日 (水曜日)

フルート主役のジャズ・ファンク

ジャズ・ファンクにジャズ・フルートをマッチさせた、ジャズ・フルートのレジェンドの一人「Hubert Laws(ヒューバート・ロウズ)」。その最初のアルバムと思われる『Romeo & Juliet』以降、フュージョン・ジャズ全盛期、1970年代後半から1980年代円半、ロウズは「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」志向をメインとする。

Hubert Laws『Family』(写真)。1980年の作品。ちなみにパーソネルは、Hubert Laws (fl, piccolo), Nathan East (b), Leon Ndugu Chancler (ds), Chick Corea, Bobby Lyle (key), Earl Klugh (g), David T. Walker (g) Debra Laws (vo) 等、そこにストリングスがバックに入る。ロウズの「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」の代表盤。

内容的には、ライトでアーバンな雰囲気の「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」。演奏全体に漂うファンクネスとグルーヴ感が半端ない。とにかく聴いていて自然と足が動き、腰が動く(笑)。そんなグルーヴィーなフュージョン・ジャズ満載で、これまでカヴァーからサンプリング・ネタに至るまで幅広い世代に支持され、特に、フリーソウル、ヒップ・ホップ方面から再評価の高い1枚である。

冒頭はクラシック曲のカヴァー「Ravel's Bolero」から始まるので「あれ〜っ」と思うのですが、この「ラベルのボレロ」も意外とファンキーでライトなグルーヴ感が漂う「ジャズ・ファンク仕様」。クラシックにも精通するロウズならではの選曲であり演奏であるかも、と意外と納得して次の曲にいく。
 

Hubert-lawsfamily

 
次曲「What a Night」から「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」に突入。この曲はサンプリング・ソースとしても人気のソフト&メロウなフュージョン・ジャズ。ミディアム・テンポの曲調にロウズのフルートが心地良く吹き進む。続いて「Wildfire」は、ファンキーなブラジリアン・フュージョン。疾走感が半端ない。ネイザン・イーストのベース・ラインが決まっている。

そして、極めつけは、やはり、タイトル曲の「Family」。ロウズの妹、デボラ・ロウズの魅力的なヴォーカルをフューチャーした、アーバンな雰囲気溢れる、ソフト&メロウなディスコ・フュージョン。フリーソウル・クラシックとしても人気の楽曲で、カヴァーやサンプリング・ソースの扱い多数。

あと「Memory of Minnie (Riperton) 」は、ゲスト参加のチック・コリアのピアノ・ソロが秀逸。そして、ラストの「Say You're Mine」は、バラードと思わせておいて、一気にファンキー・モードへ突入する、こってこての「ジャズ・ファンク曲」。

この盤、ジャケットが赤ん坊の写真をあしらったものなので、家庭で流せる優しいイージーリスニング・ジャズな盤なのか、という印象を持つんですが、とんでもない(笑)。中身は、アーバンで、むっちゃファンキーでグルーヴ感溢れる「ソフト&メロウなジャズ・ファンク」が満載。ジャケットに惑わされずに、フルートがメインのジャズ・ファンクを堪能して下さい。
 
 

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2023年1月21日 (土曜日)

ジャズ・ファンクに「フルート」

ジャズ・フルートについては、フルートという楽器が、元来、音が丸くて、線が細い印象があって、ジャズのフロント楽器としてはちょっと弱くて、ジャズでのフルートの活用は、当初は、クラシックのジャズ化やライトなラテン・ジャズなど、イージーリスニング・ジャズ志向がほとんどだった。

Hubert Laws『Romeo & Juliet』(写真左)。1976年の作品。Columbiaレーベルからのリリース。プロデュース&アレンジはボブ・ジェームスが担当している。当時、CTIレーベルの専属アレンジャーだったボブ・ジェームス。よくまあ、Columbiaレコードのこの盤の制作に協力できたもんだ、と感心する。恐らく、この後、ボブ・ジェームスはCBSに移籍するので、CTIとCBSの契約の端境期だったのかもしれない。

ちなみにパーソネルは、主だったジャズマンとして、Hubert Laws (fl), Bob James (key, Fender Rhodes), Mark Gray (key), Eric Gale, Richie Resnicoff, Barry Finnerty, Steve Khan (g), Gary King (b), Andy Newmark, Steve Gadd (ds), Ralph MacDonald (perc), Alan Rubin, Randy Brecker, Jon Faddis, Marvin Stamm, Bernie Glow (tp, flh), Allen Ralph, David Taylor, Wayne Andre (tb)。ここに豪華なストリングスとボーカル・グループが加わる。

いきなり冒頭ストリングスが大々的に入ってくるので、この盤って、ウィズ・ストリングス系のイージーリスニング・ジャズなのか、と思わず身構える。しかし、ボブ・ジェームスがプロデュースを担当している。それも、1970年半ば、ボブ・ジェームスは、フュージョン・ジャズの仕掛け人として、日の出の勢いの時期。で、程なくストリングスが去って、極上のファンク・グルーヴを伴ったタイトなリズム隊が出てきて、力強いロウズのグルーヴィーなフルートが絡んでくる。
 

Hubert-lawsromeo-juliet

 
それまで、クラシックのジャズ化、ファンキーなクロスオーバー・ジャズ、時々、ライトなラテン・ジャズで、どちらかと言えば、イージーリスニング・ジャズ志向の活躍をしてきたロウズが、ジャズ・ファンクにジャズ・フルートをマッチさせた優秀盤である。パーソネルも、ボブ・ジェームスのジャズ・ファンクなフュージョン・ジャズに欠かせない、ボブ・ジェームス御用達のリズム隊が集結している。

冒頭の「Undecided」は、ボブ・ジェームスのアレンジ志向が色濃い、CTIレーベルぽいジャズ・ファンク。メロウで渋いエレピ&ベース・フレーズに乗ったロウズのフルートが素敵な「Tryin To Get The Feeling」。「What Are We Gonna Do」「Guatemala Connection」のソフト&メロウなフュージョン・ファンクは魅力的。

バリー・マニロウ「歌の贈り物」(1975年11月リリースの大ヒット曲)や、クラシックのチャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」をカヴァーしているが、ボブ・ジェームスの手によって、グルーヴィーなアレンジが施され、ファンキーでグルーヴィーなロウズのフルートが素晴らしいインプロビゼーションを披露している。アレンジとしては「ボブ・ジェームス色」濃厚。

この盤、ボブ・ジェームズのアレンジ&キーボードとヒューバート・ロウズのフルートの相性がとても良いことが良く判る。Columbiaレーベルからのリリースだが、音だけ聴くと、この盤は「CTIレーベル」からのリリースと勘違いするくらいだ。但し、このジャケのデザインはイマイチ。CTIレーベルとは似ても似つかない酷いもので、ジャケをみるだけでは、この盤には直ぐには触手は伸びないだろう(笑)。
 
 

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2023年1月18日 (水曜日)

エレ・バードの未発表ライヴ盤

ネットでジャケットを見た時は、最初はCDリイシューかと思った。ドナルド・バードの1973年のモントルー・フェスでのライヴ音源。ジャケットが、以前にブルーノートからリリースされた一連の「ライヴ:クッキン・ウィズ・ブルーノート・アット・モントルー」のシリーズと全く同じデザイン。これじゃあ、CDリイシューだと思いますわね(笑)。

ロニー・フォスター、マリーナ・ショウ、ボビー・ハッチャーソン等の優れた内容の「モントルー・ライヴ盤」があって、なんだドナルド・バードのライヴもあったんか、と思っていたが、薄らとした記憶を辿って、それは違うなあ、とネットでググってみたら、なんと「新たな発掘音源」だった。まだ、こんな優れた内容のライヴ音源が眠っていたのか。

Donald Byrd『Live: Cookin’ With Blue Note At Montreux』(写真左)。1973年7月5日、スイスで行われたモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。

ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp, flh, vo), Fonce Mizell (tp, vo), Allan Barnes (ts, fl), Nathan Davis (ts, ss), Kevin Toney (el-p), Larry Mizell (syn), Barney Perry (el-g), Henry Franklin (el-b), Keith Killgo (ds, vo), Ray Armando (congas, perc)。ライヴ録音されたマスター・テープはブルーノートの保管庫に眠っていたらしい。
 

Donald-byrdlive-cookin-with-blue-note-at

 
マイゼル・ブラザーズやネイサン・デイヴィスなど10人によるエレクトリックなバンド編成。あのバードのエレクトリック・ジャズの名盤『Black Byrd』の録音の翌年のモントルー・ジャズ・フェスでのライヴ音源。さすが、マイゼル・ブラザーズ擁するバードのエレ・バンド。エレクトリックな楽器が乱舞する、熱狂&強烈なジャズ・ファンクが展開されている。

エレ・ジャズ・ファンクの名曲「Black Byrd」は、スタジオ録音よりも熱気溢れる良い内容。未録音のバードのオリジナル曲「The East」「Kwame」「Poco-Mania」の収録は貴重だし、これまた良い内容。そして、最大の聴きものは、スティーヴィー・ワンダーの「You've Got It Bud Girl(悪い娘)」のカヴァー。これがまた素晴らしい出来。ジャズ・ファンクの名カヴァーである。

以前から我が国では人気はイマイチみたいだが、ドナルド・バードのエレ・ファンクは、マイルスのエレ・ファンクを判り易くポップにした様な内容で、ちょっと俗っぽく下世話なところがあるが、これはこれで十分に内容のあるエレ・ファンクだと思っている。

そのライヴ音源が、こうやって50年の時を経て耳にすることが出来た。ライヴ音源を聴いてみて、やっぱりバードのエレ・ファンクは良い、と再評価である。しかし、こんなライヴ音源を眠らせていたなんて。ブルーノート、もっともっと音源発掘に力を入れて欲しいなあ(笑)。
 
 

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2023年1月 5日 (木曜日)

素敵なエレ・ジャズ・ファンク

ジャズといっても、なにも1950年代から60年代にかけての「ハード・バップ」が全てでは無い。ハード・バップは現代モダン・ジャズの源と言っても良いが全てでは無い。ハード・バップから、モード、ファンキー、ソウル、フリー、スピリチュアル、そして、電気楽器を活用したクロスオーバー、フュージョンなど、様々なバリエーションのジャズが派生している。

ジャズの好盤と言っても、なにもジャズ盤紹介本やジャズ雑誌の名盤紹介にタイトルが上がるアルバムだけが好盤では無い。確かに、ジャズ盤紹介本や雑誌の名盤紹介に上がるジャズ盤は基本的に間違いが無い。

しかし、それらが全てでは無い。最近ではネットでのジャズ関連のブログやtwitterのツイートに上がるジャズ盤にも好盤、名盤の類がごまんとある。

ジャズに使用する楽器だって、なにもアコースティックな楽器だけが良い訳では無い。エレクトリックな楽器だって、良好なジャズは演奏出来る。以前は硬派なジャズ者の方々が「アコ楽器が全て、エレ楽器なんて認めない」なんて言いまくるもんだから、素直なジャズ者初心者の方々は、アコ楽器のみのジャズ盤を聴き漁る傾向にあるが、ジャズという音楽ジャンルは、楽器についても懐が深い。ジャズは基本的に楽器を選ばない。
 
Gene Harris『Nexus』(写真左)。1975年5月〜6月の録音。ブルーノート・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Harris (key), Al Aarons (tp), George Bohanon (tb), Mike Altschul, Fred Jackson, Jr. (reeds), Lee Ritenour (g), John Rowin (g, el-b), Chuck Rainey (el-b), Kenneth Rice (ds), Ronaldo N. Jackson, Gerald Steinholtz (perc)。
 

Gene-harrisnexus

 
いわゆる「エレクトリック・ソウル・ジャズ」から「エレクトリック・ジャズ・ファンク」。エレピ、シンセ大活躍。ゴスペルを基本に、ソウル、ソフト&メロウ、コズミックな音要素がごった煮の、こってこてドープなエレ・ジャズ。ファンクネスだだ漏れ、それでいて俗っぽくなく、ちょっと品が良くてスマートでアーバン。

ゴスペルの要素が強く出て、パーカッションがファンクネスを掻き立て、コズミックな音要素が面白い「エレクトリック・ジャズ・ファンク」。R&Bなコーラスが魂を揺さぶり、ソフト&メロウな音世界が心を和ませる「エレクトリック・ソウル・ジャズ」。

1950年代から60年代前半は、ブルーノートのお抱えジャズ・トリオ「スリー・サウンズ」で、正統派ファンキー・ジャズなピアノで有名になったジーン・ハリス。1970年代は、様々なエレクトリック・キーボードを趣味良く駆使し、正統派なモダン・ジャズ・ピアノのリリカルな響きを覗かせつつ、フュージョン・ジャズの音要素と上手く同化しながらの「エレクトリック・ソウル・ジャズ」から「エレクトリック・ジャズ・ファンク」が見事。

確かに、この盤でのジーン・ハリスのキーボードの使い方は趣味が良く、センスがある。当時のキーボード使いの中でもトップレベルの使いこなし。これが我が国では殆ど注目されず、殆どスルーされていた訳だから、当時の我が国の「ハードバップ偏重、アコ楽器偏重」も度が過ぎていたんやなあ、と妙に感心する。

今の耳で聴けば、とても内容の濃い、上質の「エレクトリック・ソウル・ジャズ」から「エレクトリック・ジャズ・ファンク」。これも素敵なジャズである。
 
 

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2022年11月16日 (水曜日)

ジャズ・ファンクなヘインズ盤

ドラマーがリーダーのジャズ盤を聴き直している。最近、ロイ・ヘインズのリーダー作を何作か聴き直した訳だが、なかなかの内容の優秀盤が多い。その時代ごとのジャズの演奏志向、トレンドを捉え、メンバーもなかなか考えた人選で、コンテンポラリーな純ジャズを溌剌とやっている。

ただし、何故か、ロイ・ヘインズは我が国では人気がイマイチ。ロイ・ヘインズのリーダー作については、『We Three』『Out of the Afternoon』ばかりが紹介されて、他のリーダー作については、まともな評論はあまり見たことが無い。ハードバップ初期から、21世紀に入るまで、ずっと第一線を走ってきたのドラマーなのに、この過小評価な扱いは未だに納得しかねる。

Roy Haynes『Hip Ensemble』(写真左)。1971年の録音、作品。ちなみにパーソネルは、Roy Haynes (ds, timpani), George Adams (ts, fl), Marvin Peterson (tp), Mervin Bronson (el-b), Elwood Johnson (bongo, tambourine), Lawrence Killian (conga), Carl Schroeder (p), Teruo Nakamura (b)。

全体の音志向は、当時流行っていた「ジャズ・ファンク+クロスオーバー」なジャズ。純ジャズ畑のロイ・ヘインズが、ジャズ・ファンクに手を染めている訳で、ど〜なるの、と思って聴き進めたら、意外と思いっ切り雰囲気のあるジャズ・ファンクがバッチリ決まっているから面白い。
 

Roy-hayneship-ensemble

 
パーソネルを見渡すと、若き日のハンニバル・マーヴィン・ピーターソンのトランペット、ジョージ・アダムスのテナー・サックスがフロントに控えていて、こりゃ〜、思いっ切りスピリチュアルに傾くのか、と思って聴いていたら、ピーターソンのトランペットは、アグレッシブにハイノートでグイグイ攻め、アタムスのテナーは骨太で豪快。しっかりと従来のジャズの枠に填まって熱演している。
 
グルーヴ感溢れるファンキーなヘインズのドラミングに、ベースはエレベ、ボンゴやコンガのパーカッションが、そのグルーヴ感を増幅して、グルーヴ感濃厚なジャズ・ファンクが展開されている。ヘインズ中心に叩き出すビートが意外にアーバンでクールなので、下世話な「どファンク」になっていないところが、この盤の小粋なところ。

メインストリームな純ジャズからは外れる、ジャズ・ファンクな演奏なんだが、純ジャズ感は濃厚。特に、疾走するハンニバルのトランペットとアダムスのテナーは聴き応え満点。バックのリズム&ビートがジャズ・ファンクなのに、そんなことお構いなしに、ストレート・アヘッドなアドリブを吹きまくる。
 
 

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   ・遠い昔、懐かしの『地底探検』

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2022年11月10日 (木曜日)

ランディの素晴らしいライヴ音源

2022年11月5日のブログ「マイケルの素晴らしいライヴ音源」でご紹介した、弟マイケル・ブレッカーのライヴ音源と同一日、同じジャズフェスでの兄貴のランディ・ブレッカーのライブ音源がある。同一日なので、一日で、ブレッカー兄弟それぞれのバンドのライヴが聴けた訳か。ええなあ。

Randy Brecker『Live at Fabrik Hamburg 1987』(写真)。1987年10月18日、The Jazzfestival Hamburgでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Randy Brecker (tp), Bob Berg (sax), Dieter Ilg (b), David Kikoski (p), Joey Baron (ds)。ハンブルグ・ジャズフェスにて、ランディ・ブレッカーバンドを率いて演奏した折の未発表ライヴ音源。

演奏にクインテットを選んだのは、ホレス・シルヴァーを意識した、とのこと。確かに、ネオ・ファンキー・ジャズと呼んで良い位に、とても洗練された、とてもお洒落でテクニカルなファンキー・ジャズが展開されている。どこか、当時のエレ・マイルスのジャズ・ファンクを判り易い演奏にリコンパイルし、ポップに味付けした様な、エレ・マイルスにインスパイアされた印象を持つのは僕だけかなあ。
 

Randy-breckerlive-at-fabrik-hamburg-1987

 
ただし、ランディはトランペッター。エレ・マイルスの影響をそのまま出したら、マイルスの物真似に聴かれると困る。そこで、一捻りして、ファンクネスの表現の部分はシルヴァーのファンクネス表現をリニューアルし、新しいファンキー・ジャズの雰囲気に乗って、マイルスを口語体に直した様な、判り易いポップなフレーズを吹きまくる。これは良い。これは聴かせるファンキー・ジャズだ。

メンバーも厳選されている。特に、サックスは、エレ・マイルスを経験しているボブ・バーグが担当していて、ストレートでファンキーなサックスを吹きまくっている。キコスキーのピアノはファンキーな弾きこなしで切れ味抜群。ブレイキー、ミンガス、シルバー、モンクら、ジャズのレジェンドへの敬意に満ちた、ストレート・アヘッドな、軽快なファクネス溢れる展開は効き応え抜群。

ランディ・バンド、マイケル・バンド、メンバーも音志向も異なるんですが、演奏の音の「底」はしっかり繋がっているなあ、と改めて感心。特に、ストレート・アヘッドなランディのトランペットが秀逸。確かに、ランディのトランペットは純ジャズの系譜でも一流でした。今回のライヴ盤を聴いて再認識しました。
 
 

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2022年11月 5日 (土曜日)

マイケルの素晴らしいライヴ音源

現代で活躍するジャズマンを見渡して見ると、ピアノ、トランペット、アルト・サックス、ベース、ドラムなどは、現代ジャズにおいて、演奏スタイルやトレンドをリードする「後を継ぐ者」がしっかりと存在している。が、テナー・サックスについては、ちょっと低調な感がある。

そもそも、マイケル・ブレッカーが、2007年早々に57歳で急逝してしまって、21世紀に入って、ブランフォードが活動を徐々にスローダウンさせて、それ以降、何人かの優れたテナーマンは現れ出でてはいるのだが、そんな中で突出した名前が浮かばない。

まあ、テナー・サックスについては、1967年に逝去した「ジョン・コルトレーン」という偉大な存在が未だに君臨していて、テナーマンの新人が出てくる度に、やれコルトレーンそっくり、だの、コルトレーンの方が優れている、だの、何かにつけ、コルトレーンと比較され、コルトレーンの存在は絶対で、常に低評価される傾向にあるので、正統な評価を得ることが出来無いのだろう。

Michael Brecker Band『Live at Fabrik, Hamburg 1987』(写真)。1987年10月18日、The Jazzfestival Hamburgでのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Michael Brecker (sax), Joey Calderazzo (key), Mike Stern (g), Jeff Andrews (b), Adam Nussbaum (ds)。テナー・サックスの雄、マイケル・ブレッカーがリーダーの、ギター入りクインテット編成。ライヴ・アット・ファブリーク・シリーズ第3弾になる。

録音年の1987年は、マイケルにとって、自身単独の初リーダー作がリリースされた記念すべき年。このライヴ盤では、とても充実したマイケルのサックスが堪能出来る。そして、ライヴ盤であるがゆえ、マイケルのサックスの個性がとても良く判る。
 

Michael-brecker-bandlive-at-fabrik-hambu

 
マイケルもデビュー以降、常にコルトレーンと比較され、やれ、コルトレーンの後継だの、やれ、コルトレーン以下だの、マイケルのテナーは、概ねコルトレーンのフォロワーと評価されていたが、このライヴ盤のマイケルのテナーを聴くと「それは違う」ことが良く判る。コルトレーンと似ているのは、ヴィブラートやフェイク無しのストレートな吹奏だけ。

マイケルのバンドの音志向は、どちらかと言えば、当時の「復活後のエレ・マイルス」を志向していたと感じる。とてもヒップで疾走感溢れる「クールなジャズ・ファンク」。

リズム&ビートは切れ味良くコンテンポラリーでファンキー。そんなリズム&ビートをバックに、クールでモーダルなフレーズを吹きまくるマイケル。そのフレーズは、シーツ・オブ・サウンドでもなければ、エモーショナルでスピリチュアルなフリーでも無い。

バックの演奏もそうだ。ジェフ・アンドリュースとアダム・ナスバウムの叩き出す、ポリリズミックでファンキーなリズム&ビートに乗った、キーボードのジョーイ・カルデラッツォとギタリストのマイク・スターンのインプロは凄絶。まるで、1960年代後半のエレ・マイルスのチック・コリアとか、ジョン・マクラフリンとかを彷彿させる、その「ど迫力と自由度」。
 
マイケルのテナーは、当時の「復活後のエレ・マイルス」におけるマイルスのトランペットのフレーズをフォローし、自家薬籠中のものとしたもので、それが唯一無二の個性なのだ。マイケルは、決して、コルトレーンのフォロワーでは無かった。それがとても良く判る未発表ライヴ盤。こんなライヴ音源が残っていたなんて。1987年辺り、タイムリーにリリースして欲しかったなあ。
 
 

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2022年11月 3日 (木曜日)

スナーキー・パピーのライヴ盤

Snarky Puppy(スナーキー・パピー)。は、ベーシストのマイケル・リーグ率いる米国のインスト集団。音の志向は「ジャズ、ロック、ワールド ミュージック、ファンク」の音要素を融合したもの。ファンクネスはライトで薄め、ワールド・ミュージックの要素も変化を付ける為の小道具的扱いで、基本は、8ビートに乗った、ピアノ&キーボード、時々エレギをフロント・メインとしたインスト。高速8ビートのスムース・ジャズといった雰囲気。

Snarky Puppy『Live at GroundUP Music Festival』(写真左)。2022年3月のリリース。マイケル・リーグが主催しているレーベルの〈GroundUP Music〉が毎年マイアミで開催しているフェスでの音源をまとめたライブ盤。スナーキー・パピーとして、2番目の「ライブ&インコンサート」のアルバムになる。スタジオ録音では無い、ライヴ録音というところがこの盤の「キモ」の部分だろう。

とても高度なテクニックに裏打ちされた、揺るぎない、破綻の無い、流れる様な8ビートのインストで、ライトで薄めではあるが、ファンクネス漂い、明快で重量感のあるオフビートの演奏なので、このインスト演奏は「ジャズ、もしくはフュージョン、またはスムース」と解釈される。電気楽器を活用しているが、音質として生楽器に近いテイストをしているので、テクノ・ポップっぽい、無機質な音作りにならないところが良い。
 

Snarky-puppylive-at-groundup-music-festi

 
力感溢れる演奏ではあるが、実に流麗な演奏。ひとつ間違えば、高度なテクニックのエレクトリックなイージーリスニングに陥りそうなんだが、上手くファンクネスをビートに効かせ、時折、ワールド・ミュージックな音の要素を織り込んで、単調さ、マンネリを防止している。バックの低音を強調した8ビートな「リズム&ビート」が強力なので、躍動感が高まり、ダンス・ミュージックな雰囲気も漂うところが面白い。

キーボードがフロント・メインな演奏が多いので、どこかプログレッシヴ・ロックの様な雰囲気も漂うインストは、しっかりオフビートを効かせて、聴き手を「乗せる、煽る、躍らせる」音楽を切れ目無く供給する。お洒落でスムースなダンス・ミュージックと表現しても良いかもしれない。

スナーキー・パピーのインストは「ばらつき」が無い。どの演奏も、その演奏テクニックは高度、「ジャズ、ロック、ワールド ミュージック、ファンク」の要素を融合した音の志向、そして、明快で重量感のあるオフビート、という個性をしっかり守った、流麗でダンサフルなエレ・インストは聴いていて気持ちが良い。
 
 

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