2024年5月15日 (水曜日)

”CTIレコードのロン” の隠れ名盤

ジャズ・ベーシストの「生けるレジェンド」であるロン・カーター。1970年代は、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの老舗レーベルであるCTIレコードに所属して、リーダーにサイドマンに大活躍。1970年代後半、ハービーの「V.S.O,P.」に参加、純ジャズに回帰するが、CTIレコードでの、クロスオーバー&フュージョン・ジャズのロンもなかなか良い。
 
Ron Carter『Blues Farm』(写真)。1973年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b, arr, cond), Billy Cobham (ds), Hubert Laws (fl, tracks 1, 5 & 6), Richard Tee (el-p, ac-p, tracks 1, 4 & 5), Bob James (ac-p, tracks 2, 3 & 6), Gene Bertoncini (g, track 5), Sam Brown (g, track 3), Ralph MacDonald (perc, tracks 1 & 4-6)。

ロン・カーターのCTIレコードでのリーダー作の第一弾である。パーソネルを見渡すと、不思議なことに気が付く。フロント楽器を司るサックス、トラペットが無い。辛うじて、ヒューバート・ロウズのフルートが存在するだけ。ギターについてはリズム楽器に徹している。それでは、このセッションでのフロントは誰が担っているのか。実は、ロンのベースとロウズのフルート、この2人だけでフロント楽器の役割、楽曲の旋律を演奏している。

アレンジと指揮はリーダーのロン自身が担当しているので、このベースとフルートのフロントはロンのアイデアだろう。しかし、これが、冒頭のジャズ・ファンク・チューンであるタイトル曲「Blues Farm」で、その効果を最大限に発揮する。

ロンはアタッチメントをつけて、アコベの音を電気的に増幅して、旋律のソロに対応する。これが意外とファンキーな音色で、ジャズ・ファンクなビートにピッタリ。そして、ロウズのフルートのエモーショナルな吹き上げが、これまた、爽やかなファンクネスを振り撒いている。

バックのリズム・セクションは、コブハムのファンキー・ドラムに、ティーのファンキー・アコピ、マクドナルドのファンキー・パーカッション。この手練れのメンバーがジャズ・ファンクなリズム&ビートを叩き出す。これが実に良い雰囲気で、ブルージー&ファンク。後の伝説のフュージョン・グループのキーボード担当、リチャード・ティーのアコピのファンクネスが半端無い。
 

Ron-carterblues-farm

 
2曲目の「A Small Ballad」は、なんと、ボブ・ジェームスのピアノ(!)と、ロンのベースのデュオ。このデュオ演奏は、クロスオーバー・ジャズでは無い。これは純ジャズである。3曲目の「Django」は、MJQのジョン・ルイスの名曲だが、フロントをロンのベースが取り仕切り、この名曲の旋律をベース一本でやり通す。アコベでありながら、ピッチも合っていて、ロンのベーシストとしてのテクニックがかなりのものだということを再認識する。

そして、僕が愛してやまないのが、4曲目の「A Hymn for Him」。ロンの作曲。極上のファンキー・バラードである。冒頭、ロンがフロントを取り仕切るのは変わらないが、このロンのアタッチメントをつけて、アコベの音を電気的に増幅したアコベの音がなかなかファンキーでいい感じ。ソロでのテクニックの高さと相まって、意外と聴き応えのあるロンのベース。

そして、リチャード・ティーのアコピ(フェンダー・ローズ)の、こってこてファンキーでキャッチーなバッキング。そして、ファンクネス滴る、ソフト&メロウなソロ・パフォーマンス。ティーのベストに近いフェンダー・ローズのパフォーマンス。もう惚れ惚れするばかり。さすがティー、さすがフェンダー・ローズの名手。しみじみと染み入り、思わず、心にグッとくる。

そして、エモーショナルで流麗でファンキー&メロウ、テクニック極上、歌心満点のロウズのフルート・ソロに、これまたグッとくる。極上のフュージョン・ジャズの一曲がここにある。

5曲目の「Two-Beat Johnson」は、ライトでポップでファンキーでご機嫌な小品。ラストの「R2, M1」は、アーシーでビートの効いた、ライトなジャズ・ファンク。ボブ・ジェームスのちょっとアブストラクトなピアノ・ソロが、このジャズ・ファンクな演奏を俗っぽい演奏にしていない。意外と硬派な、クロスオーバー・ジャズ志向のジャズ・ファンク。このリズム&ビートの軽快さが、ロンの考えるジャズ・ファンクの個性だろう。

アタッチメントをつけて、アコベの音を電気的に増幅して、旋律のソロに対応するロンについては、とかく批判的な意見が多いが、この盤のロンのパフォーマンスを聴いて判る様に、アコベのピッチが合っている分には問題無い。どころか、ジャズ・ファンクのリズム&ジャズ・ファンクのビートにピッタリな音色は意外と効果抜群。

自分の耳で聴いてみて初めて判る。このロンのCTIレコードでのリーダー作の第一弾、意外と「隠れ名盤」だと僕は思っている。
 
 

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2024年5月13日 (月曜日)

マンの傑作盤『Glory Of Love』

フュージョン・ジャズの源はどの辺りにあるのだろう。僕は、1960年代後半、A&Mレコードの諸作が、その源の一つだと思っている。

A&Mレコードは、元々は1962年にハーブ・アルパートとジェリー・モスが設立したレコード・レーベル。ジャズのジャンルについては、ファンキー&ソウル・ジャズのエレ化をメインに、当時、ポピュラーな楽曲のカヴァーなど、ポップでジャジーなフュージョン・ジャズの先駆けな音作りで人気を獲得した。

Herbie Mann『Glory Of Love』(写真左)。1967年7, 9, 10月の録音。ちなみにパーソネルは以下の通り。

Herbie Mann (fl), Hubert Laws (fl, piccolo), Ernie Royal, Burt Collins (tp, flh), Benny Powell (tb), Joseph Grimaldi (sax), Leroy Glover (p, org), Paul Griffin (p), Roland Hanna (org), Jay Berliner, Eric Gale (g), Ron Carter (b), Herb Lovelle, Grady Tate (ds), Teddy Sommer (vib, perc), Ray Barretto, Johnny Pacheco (perc), Earl May (b), Roy Ayers (vib)。

手練れの豪華絢爛なパーソネル。予算をしっかり充てた充実の録音セッション。出てくる音は、エレトリック&8ビートなファンキー&ソウル・ジャズ。アニマルズがヒットさせたポップス曲「The House of the Rising Sun」や、レイ・チャールズがヒットさせたソウル曲「Unchain My Heart」など、当時の流行曲を見事なアレンジでカヴァーしている。
 

Herbie-mannglory-of-love

 
ポップス曲のカヴァーと聞くと、イージー・リスニング志向のジャズか、と思うのだが、このマンのA&M盤は、演奏自体が実にしっかりしている。リズム&ビートは、切れ味良く、ジャジーでソウルフルでファンキー。このリズム・セクションのリズム&ビートはとても良く効いている。

そのジャジーでソウルフルでファンキーなリズム&ビートに乗って、ハービー・マンのソウルフルなフルートが、爽やかなファンクネスを湛えて飛翔する。「In and Out」でのヒューバート・ローズとのダイアローグはとても楽しげ。フランシスレイの「Love is stronger far than we」では、ムーディーなマンのフルートが印象的。この盤でのマンのパフォーマンスは素晴らしい。

当時のA&Mレコードのジャズについては「質の高いリラックス出来るBGM」がコンセプト。しかし、このマンのA&M盤はBGMどころか、イージー・リスニング志向のエレ・ジャズでも無い、ソウルフルでファンキーなコンテンポラリー・ジャズとして成立している優れた内容。

アルバム全体を覆う適度なテンション、切れ味の良いジャジーでソウルフルでファンキーなリズム&ビート。マンを始めとするソウルフルなフロント隊の演奏。この盤には、1960年代前半から進化してきた、ファンキー&ソウル・ジャズの成熟形を聴くことが出来る。ハービー・マンの傑作の一枚であり、最高傑作と言っても良いかもしれない。

クリード・テイラーの優れたプロデュースの下、アレンジも良好、録音はルディ・バン・ゲルダー手になる「良好な音」。この盤がほとんど忘れ去られた存在で、廃盤状態が長く続いている。実に遺憾なことであるが、最近、ストリーミングで聴くことが出来るようになったみたいで、これは喜ばしいことである。
 
 

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2024年4月27日 (土曜日)

コブハムが目指す「融合」ジャズ

『A Funky Thide of Sings』(1975)のリリース後、ブレッカー兄弟が抜けて、エレクトリックなジャズ・ファンクの橋頭堡が不在となったビリー・コブハムのバンド。クロスオーバーなエレ・ジャズ・ファンクを捨てて、次作では、いきなりハードで硬派なクロスオーバー・ジャズに転身した。

Billy Cobham『Life & Times』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、Billy Cobham (ds, perc, syn), Dawilli Gonga (key), John Scofield (g), Doug Rauch (b)。コブハムのアトランティック・レコードでの最後のスタジオ盤になる。

パーソネルの中の「Dawilli Gonga」は、George Duke (key) の契約上の理由からの変装名。ギターのジョンスコはそのままに、新たに加わったキーボードのジョージ・デューク、エレベの元サンタナのダグ・ロウチと、リーダーのコブハムのドラムを交えたカルテット編成のクロスオーバー・ジャズである。

前作『A Funky Thide of Sings』までのホーン・セクションを配した、分厚いジャズ・ファンクな演奏をガラッと変えて、リズム&ビートを主体とする、コンパクトなメンバーでの、ジャズとロックの融合がメインのハードなクロスオーバーなエレ・ジャズを展開している。
 

Billy-cobhamlife-times

 
1970年代前半、マイルスが推し進めていたジャズ・ファンクなエレ・ジャズからファンクネスを差し引いて、ポップでキャッチーな音作りを加味したクロスオーバーなエレ・ジャズ。

シンセが唸りを上げ、エレギが捻れ響くインスト中心の演奏。まるで「プログレ」な雰囲気だが、ジャジーなビートと途方も無い演奏テクニックが、この演奏は「ジャズ」に軸足をしっかり置いていることを確信させてくれる。

コブハムのドラムは、徹底して「千手観音ドラミング」で叩きまくり。ジョンスコのギターは、意外とストレートな伸びのロック・ギターの様な迫力と疾走感溢れる骨太なフレーズを聴かせてくれる。

冒頭のタイトル曲「Life & Times」など、やたらハードでアクセル全開なナンバーが印象に残るが、爽やかでクールなファンクネスを忍ばせた4曲目の「East Bay」のヒップで小粋な演奏など、この盤のリリース後、すぐに結成された「The Billy Cobham - George Duke Band」の音世界がこの盤で確立されている。

ちなみに、ジャケの写真はコブハムの幼少期。それを持っている手は、アルバム制作当時のコブハムの手。このジャケが何を意味するのか、コブハムの真意は測りかねるが、時代はソフト&メロウをメインとしたフュージョン・ジャズの入り口の時代。この盤に詰め込まれた演奏は、エレクトリックなクロスオーバー・ジャズの成熟形と捉えることも出来る。
 
 

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2024年4月14日 (日曜日)

クルセイダーズの『旋風に舞う』

クロスオーバー・ファンクに音楽性が変化した「クルセイダーズ」。『サザン・コンフォート』(1974年) から、徐々に米国南部の粘りのあるファンクネスが抜けて、洗練されたアーバンな雰囲気のファンクネスに変化、同時に、当時流行し始めていたフュージョン・ジャズにいち早く、適応していった時期が1970年代半ばの頃。そんな時期に、いよいよ、フュージョン・ファンクな音を整えたクルセイダーズの好盤がリリースされる。

The Crusaders 『Free as the Wind』(写真左)。1977年の作品。邦題『旋風に舞う』。ちなみにパーソネルは、Stix Hooper (ds, perc), Joe Sample (key), Wilton Felder (sax), Robert "Pops" Popwell (b) がメインのメンバー。ゲストに、ギターとして、Arthur Adams (track: B4), Dean Parks, Larry Carlton, Roland Bautista (tracks: B1, B3)、パーカッションとして、Paulinho Da Costa (perc, track: B1), Ralph MacDonald (special perc) が参加している。

オリジナル・メンバーのウェイン・ヘンダーソンが脱退し、グループにとっての「転換期」に制作されたアルバム。クルセイダーズの個性であった「米国南部の粘りのあるファンクネス」の雰囲気のおおよそを担っていた、ヘンダーソンのトロンボーンが抜けたのである。

ヘンダーソンのトロンボーンが抜けて、クルセイダーズ独特のファンクネスが、米国南部の粘りのある、ゴスペルチックな雰囲気を宿したファンクネスから、洗練されたアーバンな雰囲気のファンクネスに、明らかに変化している。
 

The-crusaders-free-as-the-wind

 
『サザン・コンフォート』(1974年) あたりから兆しが見え始めていた、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズへの傾倒。徐々にオリジナル・アルバムを重ねていって、この『旋風に舞う』では、ストリングスを配した洗練されたアレンジなど、当時流行のフュージョン・ジャズへの傾倒が明確になっている。もちろん、クルセイダーズ独特のファンクネスはしっかり保持されてはいるが、『サザン・コンフォート』あたりのファンクネスと比べると、グッと洗練されてアーバンな雰囲気が濃厚になったファンクネスに昇華されている。

同時にリズム&ビートも、ファンキーな雰囲気濃厚なものから、洗練された切れ味の良いファンキーなものに変化している。ファンクネスの雰囲気はあくまでクルセイダーズなんだが、とにかく「粘るファンキーなビート」から「シュッとしたファンキーなビート」に変化している。これは、ヘンダーソンが脱退した後、残ったオリジナル・メンバー3人が合意してのビートの変化だろう。

曲作りもアーバンで軽快、聴きやすくてキャッチなフレーズがメインで、ヘンダーソン脱退前の、米国南部の雰囲気漂う粘りのビート、ファンクネス濃厚でR&B志向のフレーズは跡形も無い。この大胆な音世界の変化は「面食らう」ほど。ヘンダーソン脱退前のクルセイダーズの音のファンは、ついていくのに大変だったろうな、と思う。

それでも、この『旋風に舞う』は、ビルボードのトップ・ソウル・アルバム・チャートで最高位8位を獲得。ヒットアルバムとなった。新しい音世界のクルセイダーズが受け入れられた、エポック・メイキングなアルバムでもあったのだ。
 
 

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2024年4月 6日 (土曜日)

これぞ、クルセイダーズの音世界

クルセイダーズは息の長いバンド。1961年にジャズ・クルセイダーズとしてアルバム『フリーダム・サウンド』でメジャー・デビュー。以降、R&Bやソウル・ミュージックの要素を取り込んだ、粘るビートの効いたファンキー・ジャズをメインとし活動。

そして、1971年にグループ名を「ザ・クルセイダーズ」に改名。エレ楽器メインのクロスオーバー志向のジャズ・ファンクに音楽性を変えながら、1970年代半ばには、フュージョン志向のジャズ・ファンクに到達。当時、フュージョン・ジャズの人気グループにのしあがった。

The Crusaders『Southern Comfort』(写真)。1974年の作品。ちなみにパーソネルは、Wayne Henderson (tb), Wilton Felder (b, sax), Joe Sample (key), Stix Hooper (ds), Larry Carlton (g)。

ラリー・カールトンが正式メンバーとなって初のアルバム。1973年に発表された通算7枚目。あまりの充実ぶりで、LP時代はLP 1枚では収まらず、LP2枚組の大作でリリースされている。

我が国では当時、知名度も人気はまだまだのバンドだったが、ビルボードの「US Top LPs & Tape」で31位、「US Soul LPs」で3位、「US Jazz LPs」でトップを獲得したヒット・アルバム。
 

The-crusaderssouthern-comfort

 
内容的には、R&Bやソウルと融合したファンキー・ジャズから、クロスオーバー志向な切れ味の良いジャズ・ファンク、そして、当時の近未来、ソフト&メロウなフュージョン思考のジャズ・ファンクまでを広範囲にサポートしている。

フェルダーのベースと、フーパーのドラムが醸し出す、クルセイダーズ独特の粘りのある、重量感溢れるファンキーなオフビートが、アルバム全曲の底に流れていて、この盤には、クルセイダーズらしさが満載。

ヘンダーソンとフェルダー2管のユニゾン&ハーモニーも実にファンキーでソウルフル。サンプルのエレピは「こってこて」ファンキーで流麗、そして、今回、正式加入したカールトンのエレギが、小粋でアーバンな雰囲気を濃厚にしている。

LP2枚組の後半の長尺の4曲は、クルセイダーズの音の歴史の中のピークの辺りをさし示してくれる、当時のクルセイダーズの充実度を示す力作揃いで、クロスオーバー志向のジャズ・ファンクの名演、そして、その先のフュージョン志向のジャズ・ファンクな演奏が展開されていて、聴き応え十分。

唯一無二の「アーバンな雰囲気を漂わせた、米国南部の雰囲気満載のジャズ・ファンク」集団、これぞクルセイダーズ、って感じの大作『Southern Comfort』。この盤をスタートラインとして、クルセイダーズは徐々に、ソフト&メロウな要素を取り込みつつ、クルセイダーズ独特のフュージョン色を強めていく。
 
 

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2024年3月15日 (金曜日)

大作名盤 『The 2nd Crusade』

クールでアーバン、ソフトでメロウなフュージョン・ファンク集団「クルセイダーズ」。1971年作品の『Pass the Plate』で、それまでのグループ名だった「ジャズ・クルセイダーズ」からジャズを取って、「クルセイダーズ」というシンプルなグループ名に。それまでのジャズ濃厚ファンクから、ジャズから少し距離を置きつつ、クロスオーバー&フュージョン志向な音作りに変化していった。

The Crusaders 『The 2nd Crusade』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Wilton Felder (ts, b), Joe Sample (key), Wayne Henderson (tb), Stix Hooper (ds)。ゲストが、Larry Carlton (g), Arthur Adams (g), David T. Walker (g) のギタリスト3名。

クルセイダーズと改名して以降、『Pass the Plate』(1971年)), 『Hollywood』(1972年), 『Crusaders 1』( 1972年)とリリースしてきて、この『The 2nd Crusade』は、クルセイダーズ名義で4枚目の作品。『Hollywood』で確立し『Crusaders 1』で成熟させた、そんな米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」を大々的に展開している。
 

The-crusadersthe-2nd-crusade  

 
なんとこのアルバムはLP時代では2枚組の大作。クルセイダーズと改名して以降、ライヴ活動も積極的に行い、メンバー全員、サイドマンとしても活躍、やっと知名度も人気も上がりつつあった頃のアルバムである。とりわけこの盤では、ソフト&メロウな側面を削って、クールでアーバン、シリアスでハードな、クロスオーバー&フュージョン・ファンクを展開している。

フリーやモードの影響が顔を出したり、ゲスト参加のギターも意外とヘビーで、サイケデリックな雰囲気もユニークで、後のクールでアーバン、ソフトでメロウなフュージョン・ファンクがメインのクルセイダーズと同一とは思えない、とにかく演奏内容は意外と「硬派」。ソリッドでソウルフルなリズム&ビートを基本に、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴが実に芳しい。

まだまだソフト&メロウには傾倒しない、真摯で硬派なクルセイダーズがこの盤に溢れている。メンバー各々、担当楽器でクルセイダーズ独特のグルーヴを叩き出していて、バンド全体のうねるようなグルーヴがとにかく心地良い。クルセイダーズ初期の名盤の一枚でしょう。
 
 

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2024年3月12日 (火曜日)

サウンドの確立 『Hollywood』

ジャズ・クルセイダーズから「ジャズ」を外して、クロスオーバー&フュージョン志向へ、バンド・サウンドの方向性の舵を切ったクルセイダーズ。

クルセイダーズとなって初のアルバム『Pass the Plate』では、試行錯誤が見え隠れして、クルセイダーズ・サウンドの確立は今一歩だったが、次作のこの盤では、そんな迷いを断ち切った、クルセイダーズ・サウンドの確立が感じ取れる。

The Crusaders 『Hollywood』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Wilton Felder (ts, el-b), Wayne Henderson (tb), Joe Sample (key), Reggie Johnson (ac-b), "Stix" Hooper (ds) 以上が「クルセイダーズ」。ゲストに、Arthur Adams (g), David T. Walker (g), Chuck Rainey (b), Reggie Johnson (b)。

全編に渡って、クルセイダーズの音世界が溢れている。前作の『Pass the Plate』で見え隠れしていた、ジャズ・ロック志向への試行錯誤はこの盤には無い。

ライトでアーバンで洒落たファンクネス、キャッチャーで心地良いフレーズを吹き上げるブラスのフロント管。ソフト&メロウでグルーヴィーなキーボードがムーディーな雰囲気を醸し出し、リズム隊がクルセイダーズ独特のリズム&ビートを叩き出す。
 

The-crusadershollywood

 
後の人気グループ「クルセイダーズ」の音がこの盤で確立している。ただし、まだ洗練される前、米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴがバンド・サウンドの礎で、この米国南部志向のソウルフルなグルーヴが、この「クルセイダーズ・グルーヴ」が、なんともはや心地良い。

この独特の「クルセイダーズ・グルーヴ」は、キーボードとギターによるもの。この盤は、クルセイダーズが本格的にギターを加えた最初の作品で、このギターの加入が、クルセイダーズの音世界を確立させたと言える。

ギターは、デヴィティーとアダムス。ワウワウを駆使したファンキーに粘るフレーズ、小粋なカッティングによるファンキーな切れ味良いビート、印象的でソウルフルなリフ、これらが、サンプルのソフト&メロウでグルーヴィーなキーボードと絡んで、独特のソウルフルなグルーヴを生み出している。これが「クルセイダーズ・グルーヴ」の礎になっているのだ。

この盤では、ソウル、R&B、ブラス・ロックなどの音要素を融合、クロスオーバー志向のジャズ・ロックをベースとして、米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」が確立している。

この盤以降、しばらくは、この米国南部のゴスペルチックで、こってこてファンキーで泥臭いグルーヴを纏った「クルセイダーズ・サウンド」で数々の好盤を生み出していくことになる。
 
 

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2024年3月11日 (月曜日)

音の確立前夜 『Pass the Plate』

1970年代、フュージョン・ジャズの中で一世を風靡したジャズ・ファンクなバンドが「クルセイダーズ(The Crusaders)」。ポップでファンキーなフュージョン・ジャズが素敵なバンドで、僕の大好きなフュージョン・バンドの一つである。

The Crusaders『Pass the Plate』(写真左)。1971年の作品。ちなみにパーソネルは、Stix Hooper (ds), Arthur Adams (g), Joe Sample (key), Wilton Felder (sax), Wayne Henderson (tb)。ジャズ・クルセイダーズからクルセイダーズ名義に変わった最初の盤。

内容的には、クルセイダーズの音の確立一歩手前という感じ。15分にも及ぶ組曲をやったり、4ビートの曲もあったりで、ところどころ、試行錯誤の部分が見え隠れしている。何となく、初期「シカゴ」のブラス・ロックを意識してるのかな、なんて思ったり。ソウル・ジャズからフュージョン・ファンクへの過渡期で、バンドの音志向を模索している感じ。
 

The-crusaderspass-the-plate  

 
それでも、ブラスのユニゾン&ハーモニーは、こってこてファンキーでソウルフル。音の重ね方などは、既に「クルセイダーズ」節になっていてヒップでクール。LP時代のA面は組曲風の試行錯誤だが、B面は「クルセイダーズの音の確立一歩手前」の素敵なフュージョン・ファンクが展開している。

「Listen And You'll See」は疾走感溢れるフュージョン・ファンク。4ビートと16ビートの使い分けなど、フーパーのドラミング・センスが際立つ。「Greasy Spoon」では、サンプルのエレピのグルーヴが心地良い。サンプルのエレピのグルーヴは、既にクルセイダーズのグルーヴになっている。

演奏スタイルと個人技に走る純ジャズではない、グループ・サウンズの基本とした、ソウルやR&Bの音要素を取り込んだ、「クルセイダーズ」流フュージョン・ファンクのグルーヴがこの盤に溢れている。「クルセイダーズの音の確立一歩手前」の素敵なフュージョン・ファンク。あとは、クルセイダーズならではの「音世界の確立と統一」。それは次作で実現する。
 
 

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2024年2月 2日 (金曜日)

エレ・ハービーの最終成果物 『Future 2 Future』

エレクトリックなハービー・ハンコック(エレ・ハービー)の活動期は、1969年から1984年辺り。以降『Perfect Machine』(1988年録音)、『Dis Is Da Drum』(1993-94年録音) と、4〜5年に1枚のタイミングでアルバムをリリースしている。そして、今回、ご紹介するアルバムで、エレ・ハービーは打ち止めである。

Herbie Hancock『Future 2 Future』(写真左)。2001年の作品。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (key), Wayne Shorter (sax), Charnett Moffett (ac-b), Bill Laswell (el-b, produce), Jack DeJohnette, Tony Williams (ds, 故人), Karsh Kale (ds, program beats)。他、ゲストが多数。

ビル・ラズウェルのプロデュースによる「21世紀のエレ・ハービー」。ビル・ラズウェルが、ハービーのの過去の音源を使用してリミックス盤を作成することを提案したところ、ハービーが、それなら新しいアルバムを作る、と言って実現したアルバムらしい。

エレ・ハービーの総決算的内容。初期の「プログレッシブ・エレ・ファンク」な響き、全盛期の「Q(クインシー・ジョーンズ)流のエレ・ファンク」、そして、1980年代の「スクラッチ」、「アフリカン・ネイティヴなビート」「ヒップホップのビート」、エレ・ハービーの個性の全てが、この『Future 2 Future』に盛り込まれている。

恐らく、過去を振り返って、ハービーが思うところの最高のメンバーを集めて、最高のエレ・ハービーの最終到達点の演奏を残したかったのだろうか。なんだか、ほとんど、マイルス1960年代黄金のカルテット以降の同窓会的メンバーである。
 

Herbie-hancockfuture-2-future 

 
パーソネルを見渡すと、サックスにウェイン・ショーター、ドラムにトニー・ウイリアムス(録音時点では故人。生前の録音音源を編集収録)、そして、初期エレ・マイルスの要、ジャック・デジョネット。

さすがに、ベースにはロン・カーターとはいかなかったらしく(ロンのベースはさすがにヒップホップのビートには向かないなあ)、エレベ感覚でアコベを弾くことができるチャーネット・モフェットと、スクラッチ&エレ・ヒップホップの盟友、ビル・ラズウェルがベースを担当している。

エレ・ハービーの総決算的内容なので、新しい響き、新しいトレンドは見当たらない。過去の成果を熟練・熟成した、ハイ・レベルで、明らかにハービーのエレ・ファンクである。音の響き、フレーズ、リズム&ビート、どこから聴いても「成熟したエレ・ハービー」。

1969年の『Fat Albert Rotunda』から、ずっとエレ・ハービーを聴き親しんできた「ハービー者」には感じる、この盤はエレ・ハービーの「最終成果物」である。

発売当時、『ビルボード』のコンテンポラリー・ジャズ・アルバム・チャートでは2位。我が国でも、4週オリコンチャート入りし、最高45位を記録。エレ・ハービーの人気はまだまだ衰え知らずだったことが窺い知れる。

しかし、以降、現在まで、エレ・ハービーの「次なるアルバム」は発表されていない。
 
 

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2024年2月 1日 (木曜日)

ハービーの謎『Dis Is da Drum』

ハービー・ハンコックのリーダー作の「落穂拾い」。当ブログでの、ハービーのリーダー作の記事のコンプリートを目指しているのだが、1980年代後半から、ポロポロッと何枚か、記事化されていないリーダー作がある。エレ・ハービーについては2枚ほどのリーダー作が未記事化。その中の一枚を今回取り上げた。

ハービー・ハンコックは、1963年、マイルスのバンドに抜擢される。マイルスにはモード・ジャズの薫陶を得て大成長。しかし、エレ・マイルスの時代に入った時点で、エレピをアコピの様にしか弾けず(弾かず?)に、いわゆる「クビ」に。しかし、ハービーはマイルスが大好きで、マイルスの「エレ・ファンク」に追従。しかし、マイルスの真似をしたら、マイルスに怒られるので、ハービーは「Q(クインシー・ジョーンズ)」のエレ・ファンクをお手本に、ハービー流のエレ・ファンクで大活躍。

ハービーは、マイルスがそれぞれの時代の最先端で流行っていたジャズの演奏スタイルや、他の音楽ジャンルで流行っていたリズム&ビートをいち早く、ジャズに取り込んでいたのを踏襲して、先に挙げた「Q流のエレ・ファンク」そして「スクラッチ」のジャズ化にいち早く取り組んで、マイルスに大アピール。きっと、ハービーはもう一度、マイルスとやりたかったんやろなあ。でも、それは叶わなかった。

Herbie Hancock『Dis Is da Drum』(写真左)。1994年の作品。ちなみにパーソネルは、曲ごとにメンバーが色々入れ替わっているので、詳細は割愛するが、それぞれの曲で「鍵を握っている」メンバーは、Bill Summers (perc), Wah Wah Watson (g), Wallace Roney (tp), Bennie Maupin (ts), The Real Richie Rich (DJ and scratcher) 等々。そして、かなりの数のパーカッション、そしてボーカル。

リリース当時「ハービーのアフリカン・ネイティヴなビート、ヒップホップのビートのジャズ化」として、先進的なエレ・ジャズとして、相当にチヤホヤ好意的に受け入れられていた思い出がある。が、自分には、どうにも以前聴いたことのある、既出の「エレ・ファンク」に聴こえて、どうにも困ったことを覚えている。
 

Herbie-hancockdis-is-da-drum

 
既に1970年代から80年代前半で、ハービーのエレ・ファンクは「Q流のエレ・ファンク」なスタイルで確立されている。しかも、以前に「スクラッチ」を取り入れたエレ・ファンクでスベった実績があるので、今回、スクラッチの代わりに「ヒップホップ」を取り入れたのは、ちょっと無理筋だった様な気がしている。

冷静にこの盤に詰まっている「エレ・ファンク」を聴き直してみると悪くはない。水準以上である。しかし、アフリカン・ネイティヴなビートやヒップホップのビートを取り込んだことによる「化学反応」はあまり感じられない。どっちかと言えば、マイルスの「ビッチェズ・ブリュー」のリズム&ビートを洗練しクールにしたイメージで、それぞれのトラックに流れるリズム&ビートは、どちらかと言えば「温故知新」的な感じがする。

その「温故知新」な感じは、「マイルスの再来」と評されたウォレス・ルーニーのトランペットが入ったトラックで強く感じる。ルーニーのトランペットは「マイルスの再来」と言われるだけあって、マイルスの音に似通っているのだが、このルーニーのトランペットが入ると、そのトラックの音世界は、1970年代前後の「エレ・マイルス」を彷彿とさせるものに激変する。ルーニーのトランペットが入ったトラックが特別に映える。

この『Dis Is da Drum』の各トラックを聴いていて、もしかしたら、ハービーって、このトラックをバックにマイルスにトランペット吹いて欲しかったのではないか、と思ってしまう。それほど、この『Dis Is da Drum』の各トラックでマイルスのトランペットが鳴り響いたら、と想像すると、なんだかゾクゾクする。

しかし、このアルバムが制作された当時は、既にマイルスはこの世にいない。故に、この『Dis Is da Drum』の制作理由、存在意義がいまだに理解できずにいる。この盤の「アフリカン・ネイティヴなビート、ヒップホップのビートのジャズ化」は、ハービーならではの「マイルス・トリビュート」だったのかもしれない。謎である。
 
 

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