2022年1月16日 (日曜日)

スティーヴ・カーンのアコギ。

Steve Khan(スティーヴ・カーン)のギターは、心地良くスッと伸びたサスティーン、キャッチャーなフレーズ、癖の無いナチュラルな音が個性。エレギばかりがクローズアップされてきたが、本来のギタリストとしてのテクニックはどのレベルなのか。そういう場合、アコギの演奏も聴きたくなるのだが、そんな声に応えてくれたのがこの盤。

Steve Khan『Evidence』(写真)。1980年7月の録音。東海岸フュージョン最高のギタリストと誉れ高い、スティーヴ・カーンによるソロ・ギター盤(曲によって多重録音)。カーンがアコギを弾きまくる。タップリとかかるエコー、硬質でクリスタルなアコギの響き。耽美的でロマンティシズム溢れるフレーズの連続。

ただのソロ・ギター盤では無い。演奏する楽曲が、ウェイン・ショーター、ジョー・ザヴィヌル、リー・モーガン、ランディ・ブレッカー、ホレス・シルバー、そして、セロニアス・モンク。一癖も二癖もある「ミュージシャンズ・チューンズ」のてんこ盛り。モンクの楽曲については、当時LPのB面全部を占める「Thelonious Monk Medley」として、連続して演奏される。
 

Evidence_steve-khan

 
LPのA面の「ミュージシャンズ・チューン」集のアレンジが見事。ショーター、ザヴィヌルの楽曲については、かなり癖のある、ニュー・ジャズっぽい難曲なんだが、耽美的でロマンティシズム溢れるアレンジを施していて、このショーター&ザヴィヌルの難曲に新しい魅力を加えている。加えて、カーンのアコギの魅力がダイレクトに伝わってくる。

LPのB面の「セロニアス・モンク・メロディー」についても、やはりアレンジが見事。思いっ切り癖のあるモンクの楽曲を、モンクの癖のあるフレーズを残しつつ、基本はバップの楽曲を、これまた、耽美的でロマンティシズム溢れる楽曲に変身させている。これ、結構、聴き応えがある。モンクの楽曲にこういうアレンジで、こういうアコギで攻めるんだ、と感心する。

聴いていると、どこか、ECMレーベルのニュー・ジャズ系のアコギ盤を聴いている様な気分になる。決して、フュージョンっぽく無い、メインストリーム系の硬派な純ジャズ・アコギの調べに思わず聴き込んでしまう。やっぱ、このギタリスト、ただ者では無いなあ、と改めて思う。
 
 
 
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2022年1月11日 (火曜日)

カーンのフュージョン・ファンク

Steve Khan(スティーヴ・カーン)のエレギが「お気に入り」。初めて聴いてから、かれこれ40余年、カーンのギターをずっと聴いてきた気がする。1947年4月生まれだから、聴き始めた時で、カーンは30歳過ぎ。今ではカーンは74歳。大ベテランの域を超えて、もはや、フュージョン・ギターのレジェンド級ギタリストである。]

カーンについては、不思議と我が国ではメジャーな存在では無い。知る人ぞ知る、フュージョン・ジャズにおいては、隠れ「エレギの名手」の様な扱い。知っている人はカーンに「ぞっこん」の場合が多く、知らない人はその名前すら聞いたことが無い、と言い放つ(当たり前かw)。

いわゆる「玄人好み」のギタリスト。米国では「グラミー賞」に時々ノミネートされるくらいメジャーな存在なのに不思議なことである。

Steve Khan『Arrows』(写真)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、Steve Khan (g), Randy Brecker (tp), David Sanborn (as), Michael Brecker (ts), Will Lee (b), Steve Gadd, Rick Marotta (ds), -Jeff Mironov (g), Don Grolnick, Rob Mounsey (key), Errol "Crusher" Bennett (per)。フュージョン畑の錚々たるメンバーが名を連ねる。
 

Arrows

 
スティーヴ・カーンの単独名義リーダー作の第3作目。パーソネルは見わたせば、フュージョン畑の豪華すぎる面子に驚く。フロント管にブレッカー兄弟、ディヴィット・サンボーン。ドラムにスティーヴ・ガッド、ベースにウィル・リー、と、フュージョン・ジャズの中でも、R&B志向な、フュージョン・ファンクの音の要素が、そこはかとなく漂うところが「ミソ」。

カーンのギターは、心地良くスッと伸びたサスティーン、キャッチャーなフレーズ、癖の無いナチュラルな音、が個性なのだが、バックの音にファンクネスがしっかり漂っていて、アルバム全体の雰囲気は「ライトなフュージョン・ファンク」な感じに仕上がっている。この辺りが、米国でウケて、我が国ではウケない理由なのかもしれない。

でも、僕はこの「ライトなフュージョン・ファンク」な雰囲気がお気に入りで、この乾いたライトなファンクネスは、どちらかと言えば「日本人ジャズな志向」だと思うのだが、如何だろう。

演奏メンバーがメンバーだけに、かっちりとキメた、ハイ・テクニックで流麗な、極上なフュージョン・ジャズが展開されている。フュージョン・ジャズ盤として優秀な内容である。
 
 
 

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2019年11月10日 (日曜日)

カーンの新作に心地良い爽快感

我が国では人気がイマイチだったが、僕はスティーヴ・カーンのギターがお気に入り。超絶技巧に弾きまくる訳では無いが、実はテクニック優秀。印象的にフレーズを弾き回すので明快で判り易い。ギターの音色とフレーズがロック・テイストなのが良い。Steve Khan(スティーヴ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、ずっとお気に入り。

Steve Khan『Patchwork』(写真)。今年の8月、そんなステーィヴ・カーンが新しいリーダー作をリリースした。2019年3月17 and 18日の録音。ちなみにパーソネルは、 Steve Khan (g), Ruben Rodoriguez (b), Dennis Chambers (ds), Marc Quinones (per), Bobby Allends (conga), Rob Mounsey (key), Randy Brecker (flh), Bob Mintzer (ts), Tatiana Parra (vo), Jorge Estrada (key)。

収録曲を見渡すと、1曲目の「Epistrophy」はセロニアス・モンク作。2曲目「C.&D.」と7曲目「T.&T.」がオーネット・コールマン作。3曲目「Bouquet」はボビー・ハッチャーソン作。5曲目「A Shade Of Jade」はジョー・ヘンダーソン作。8曲目「The Journey Home」はキース・ジャレット作。9曲目の「Huracan Clare」のみが、スティーヴ・カーン作。
 
 
Patchwork-steve-khan
 
 
冒頭のセロニアス・モンクの「Epistrophy」、モンクの「癖のある」曲。大体、凡百なジャズメンだとモンク色に染まって、自らの個性を明け渡してしまうところだが、スティーヴ・カーンのギターはそうはならない。曲のコンセプトは踏襲しつつ、演奏の雰囲気は明らかにスティーヴ・カーンの個性に染まっている。冒頭のモンクの曲はそういう雰囲気なので、他の「癖のある」曲もしっかりとスティーヴ・カーンの個性に染まっている。

端正でロック・テイストでちょっと浮遊感のあるスティーヴ・カーンのエレギのフレーズ。ちょっとクロスオーバー・ジャズ寄りの硬派なギター・フュージョン。そんなクールでアグレッシヴなティーヴ・カーンのギターの個性が映える。アレンジも優秀。スティーヴ・カーンのギターが映える様、「癖のある」曲たちに絶妙なアレンジを施している。

完全復調したデニス・チェンバースが久しぶりに参加。リズム&ビートに変化と彩りが加わって、良い効果を生んでいる。ルーベン・ロドリゲスのベースもカーンとの相性は抜群。ロブ・マウンジーのシンセがなかなか良い味出している。こういったバックにも恵まれて、今回のカーンの新作はなかなかの内容に仕上がっている。聴き終わった後、心地良い爽快感が残る。好盤である。
 
 
 
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2019年10月24日 (木曜日)

端正でロック・テイストで浮遊感

ジャズ・ギターが苦手な私ではあるが、フュージョン・ジャズのギタリストは、まずまず聴きこんできたと思っている。とにかく、純ジャズのギタリストがどうにも苦手で、ケニー・バレルやウエス・モンゴメリー、ジム・ホールがお気に入りになったのは、ジャズを聴き始めてから、20年位経ってからである。

しかし、フュージョン・ジャズ畑のギタリストについては、まずまず聴き込んだかな、と思っている。テイストがロックに通じるものがあるところが馴染めたところなんだろう。リー・リトナーから入って、ラリー・カールトン、パット・メセニー、そして、スティーヴ・カーン。

Steve Khan(スティーヴ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、ずっとお気に入り。カーンのギターはデビュー当時から、ずっとフュージョン・ジャズ系のエレギの音であり、それまでの純ジャズ系のギタリストのスタイルとはちょっと異なる音色とアプローチが個性。
 
 
The-blue-man-steve-khan  
 
 
Steve Khan『The Blue Man』(写真)。スティーヴ・カーンのソロ第2弾。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Steve Khan (g), David Sanborn (as), Michael Brecker (ts), Steve Gadd (ds), Will Lee (b), Michael Mainieri (Marimba), Ralph MacDonald (per), Don Grolnick (p), Bob James (syn), Randy Brecker (tp) etc。

パーソネルを見れば、錚々たるメンバーではないか。当然、出てくる音は一級品。それぞれのメンバーの個性が見え隠れするバッキング、そこに、端正でロック・テイストでちょっと浮遊感のあるスティーヴ・カーンのエレギのフレーズ。ちょっとクロスオーバー・ジャズ寄りの硬派なギター・フュージョン。

良い感じのギター・フュージョン。当時、この内容にして、我が国では人気がイマイチだったが、僕はこのカーンのギターがお気に入り。弾きまくる訳では無いが、テクニック優秀。明快で判り易い。ロック・テイストなのが、我が国でウケない理由なのかなあ。でも、僕は今でもカーンのギターが好きです。
 
 
 
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2019年3月 6日 (水曜日)

お気に入りフュージョン・エレギ

僕はこの人のギターがずっと好きである。Steve Khan(スティーブ・カーン)。1947年4月、LA生まれ。今年で72歳になる。もはやレジェンドの域に達したカーンであるが、この人のフュージョン・ギターは、1981年の『Eyewitness』を聴いて以来、ずっとお気に入り。カーンのギターはデビュー当時から、ずっとフュージョン・ジャズ系のエレギの音であり、それまでの純ジャズ系のギタリストのスタイルとはちょっと異なる音色とアプローチが個性。

我が国では、フュージョン・ジャズ系のエレギといえば、まずは「リー・リトナー」、次に「ラリー・カールトン」と「ジョージ・ベンソン」。このビッグ・スリーが人気で、それ以外のギタリストについては「知る人ぞ知る」存在であった。僕もその例外に漏れず、スティーブ・カーンと出会えたのは、大学時代に密かに通った「秘密の喫茶店」のママさんからの紹介のお陰であった。

Steve Khan『Tightrope』(写真左)。1979年の録音。そんなスティーブ・カーンのデビュー盤である。聴けば判るが、アレンジについて、どこか聴いた響きが気になる。誰のアレンジか、誰のプロデュースか。なんと「ボブ・ジェームス」である。と言う訳で、ボブ・ジェームスのアレンジも僕の代のお気に入りなので、この盤のカーンのちょっとくすんだような心地良くノイジーな音と品の良いサスティーンとボブ・ジェームスのアレンジがピッタリとフィットしていて、聴いていて、とても心地良い。
 

Tightrope_steve_khan  

 
このデビュー盤、バック・メンバーが実に豪華。主だったところを挙げれば、Jeff Mironov (g), Don Grolnick (key), Will Lee (b), Steve Gadd (ds), Eroll "Crucher" Bennett (per), David Sanborn (as), Randy Brecker (tp), Michael Brecker (ts, ss), Rob Mounsey (synth), Rick Marotta (ds)。ボブ・ジェームスの人脈をフル活用し、カーンが在籍していたバンドからの友情参加と言ったところかな。デビュー盤にしては、よくこれだけの「フュージョン・ジャズのキーマン」達を集めたなあ、と感心する。

当然、出てくる音は典型的なフュージョン・ジャズ。ただしソフト&メロウな音世界では無い。どちらかと言えば、クロスオーバー・ジャズ寄りの結構硬派で爽快感を追求したインプロビゼーションの展開に仕上がっている。派手に立ち回るエレギでは無く、味わいのある響きと小粋なアドリブ展開が個性です。これが僕には堪らない。といって、職人芸の様に小難しいところは全く無くて、シンプルで判り易く聴き易いところが実にグッド。

そして「ちょっとくすんだような心地良くノイジーな音」が他のギタリストと一線を画するところで、これが決め手ですね。テクニックも確かで、速い曲のアドリブ・フレーズも安心して聴くことが出来るし、捻れの無い分、ながら聴きもOK。耳触りで無い、落ち着いた品の良い音色はグッド。ジャケットのイラストも個性的でグッド。フュージョン・ギタリストとして、なかなかの力量は次作への期待感を増幅させます。

 
 
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2015年6月18日 (木曜日)

浮遊感のある硬派な音世界です

ジャズ者初心者の頃、どうにもコッテコテにファンキーでジャジーな純ジャズ・ギターが苦手だった。何だか古めかしく聴こえて、どうにもいけない。純ジャズな正統派ジャズ・ギターを愛でるなんて、懐古趣味のお爺さんの様な感じがして、しばらくの間、敬遠していた。

もともと高校時代は「ロック・キッズ」。プログレと米国ルーツ・ロック(サザンロックやスワンプ等)が大好きだったこともあって、ファンクネスが希薄で、ジャジーな要素を極力除いた、米国ルーツ・ミュージックを基調としたフォーキーで牧歌的な、ネーチャーな響きのするギターが好きだった。という切り口から、まず「パット・メセニー」に手を染めていた。

そういう偏った話を、例の「秘密の喫茶店」のママさんはニコニコ笑って聞いていた。そして、このアルバムを持ってきた。Steve Khan『Eyewitness』(写真左)。1981年のリリース。僕は大学4回生。ちなみにパーソネルは、Steve Khan (g), Anthony Jackson (b), Steve Jordan (ds), Manolo Badrena (per)。元々は日本制作のアルバムであった。

邦題『目撃者』。うん、この邦題を見れば、当時のことをありありと思い出す。スティーブ・カーンのギターが実に良かった。僕の好みにぴったりフィット。さすがは「秘密の喫茶店」のママである(そう言えば、最近、思い出したのだが、ママは吉田羊に似ている)。
 

Steve_khan_eyewitness

 
音の雰囲気はフュージョン・ジャズなんだが、聴き進めると意外と硬派な内容にグイグイ惹き込まれる。切れ味良く、爽快感抜群。変に捻れること無く、ストレートなエレギの響きは清々しい。スティーブ・カーンの浮遊感のある硬派な音世界が実に個性的。浮遊感満載なんだが、地に足着いた硬派なフレーズが格好良い。

加えて、ベースのアンソニー・ジャクソンが激しく良い。躍動感溢れるジャクソンのエレベ。ジャコ・パストリアスと双璧をなす、ジャズ・エレベの重鎮。エレベの果たすべき役割、楽器に秘めた可能性、骨太な歌心。こういうエレベがバックで支えるからこそ、フロントのカーンのエレギが冴えに冴えるのだ。

このアルバムの音世界は、一度「はまる」と癖になる。流麗で清々しい浮遊感溢れる切れ味の良いエレギは僕の好みにピッタリでした。今でもちょくちょく聴きます。しかし、このアルバム、結構、長い間廃盤状態だったんですよね。勿体ないことでした。最近ではダウンロード・サイトで入手出来るみたいで、喜ばしいことです。

 
 

震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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