2019年3月 1日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・110

先週、ハンク・ジョーンズの『The Talented Touch』という素敵なトリオ盤をご紹介した。ハンクのピアノは端正でタッチが明確で流麗。テクニックは確かで、仄かにファンクネスが漂うフレーズ。1970年代後半、若きトニー&ロンと組んだGJTでの「マッチョ」でダイナミックなハンクも良いが、典雅で小粋なハンクは更に良い。

Hank Jones『The Trio』(写真左)。1955年8月4日の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Kenny Clarke (ds)。録音はニュージャージーはハッケンサックの    Van Gelder Studio。玄人好みのレーベル、サヴォイからのリリース。どうりで音が良い訳だ。LPの初盤で聴いてみたかったなあ。

ハンクは1918年生まれ。このトリオ盤を録音した時点で37歳。それにしては「枯れた味わい」が素敵なピアノである。派手な立ち回りとは全く無縁。しっとり落ち着いた大人の雰囲気。しかし、タッチはしっかり明確。フレーズは流麗。バラードは典雅。これが37歳の、まだまだ若いピアニストが奏でる音なのか、と感心する。1970年代後半、GJTでの60歳を迎えたハンクのほうが、明らかに「やんちゃ」である。
 

Hank_jones_the_trio

 
この「若年寄」の如き、流麗で典雅なピアノをしっかり支えるバックが、これまた「玄人好み」。骨太なウォーキング・ベースが好印象のウェンデル・マーシャル。ブンブン胴鳴りするアコベは魅力満載。シンプルにビートを刻むが、フロントのピアノに合わせて陰影をつける粋なドラミングはケニー・クラーク。この二人のリズム隊はハンクのピアノにピッタリ。

そして、この盤の面白味は、スタンダード曲を弾かせたら天下一品のハンクが、自作曲をこれまた典雅に流麗に弾き回していること。1曲目の「We're All Together」続く「Odd Number」など良い出来です。スタンダード曲は相変わらず良い出来。「There's a Small Hotel」や、おなじみの「"My Funny Valentine」は絶品です。

実はこのトリオ盤、つい最近まで知りませんでした。とあるジャズ盤紹介本で知った次第。サヴォイ・レーベルからのリリースで、サヴォイらしくなくジャケットが地味なんで、紹介本で知識を付けていなかったら、店頭に並んでいても手に取らなかったでしょうね。今回はジャズ盤紹介本に感謝です。

 
 
東日本大震災から7年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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2019年2月22日 (金曜日)

ハンクのピアノの個性を知る

ハンク・ジョーンズが亡くなってもう8年が経つ。端正でタッチが明確で流麗。仄かにファンクネス漂う、テクニック確かな右手としっかりと音のボトムを支える左手のブロック・コード。ソロ・パフォーマンスも優れているが、歌伴も素晴らしい。僕はジャズを聴き始めた頃の「グレート・ジャズ・トリオ」のハンクのピアノが大好きだ。

Hank Jones『The Talented Touch』(写真左)。1958年の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Barry Galbraith (g), Milt Hinton (b), Osie Johnson (ds)。ギター入りピアノ・トリオといった感じの編成。演奏されている全12曲中、ハンク自作の「Let Me Know」以外、ジャズ・スタンダード曲か、ミュージシャンズ・チューン。これが良い。ハンクのピアノの個性と特性が良く判る。

とにかくハンク・ジョーンズのピアノが素晴らしい。まずテクニックが確か。そして、タッチが明確で端正。強すぎず弱すぎず、聴いていて耳に優しく、しっかりと印象に残る「良い塩梅」のタッチ。アドリブ・フレーズはファンクネス漂いつつ流麗。とても判り易いピアノで、聴いていて「上手いな〜、粋やな〜、ええ雰囲気やな〜」と直ぐに思う。
 

The_talented_touch

 
1918年生まれなので、このアルバムを録音した1958年の時点で、ハンクは40歳。中堅どころとして心身共に充実している頃。確かに、この盤でのハンクのタッチはファンキーであるが、キラキラしていて若々しい。バラードを弾かせたら天下一品。このアルバムでもハンクのバラード演奏は典雅で印象的。甘きに流れず、それでいてロマンチシズム漂う端正な展開は思わず聴き惚れてしまう。

ハンクのテクニックが確かなのは「Don't Ever Leave Me」や「Let Me Know」のミッドテンポな演奏で良く判る。指がよく回るし、タッチがしっかりしていて、音のひとつひとつが明確。躍動感はあるし、響きはポジティヴ。ハンク・ジョーンズのピアノの素性、個性、特徴が本当に良く判る。この『The Talented Touch』、ハンク・ジョーンズのピアノを知るには、避けて通れない隠れ好盤である。

ちなみにこのハンク・ジョーンズ、バリー・ガルブレイズ、ミルト・ヒントン、オシー・ジョンソンの四人は「ザ・ニョーヨーク・リズム・セクション」と呼ばれ、1950年代、数多くのアルバムのバックでリズム&ビートを支えたリズム隊。そんなリズム隊だけで録音したアルバムがこの『The Talented Touch』。タイトルの「The Talented Touch」とは「才能のあるタッチ」の意。納得感のあるタイトルである。

 
 
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