『Basie On The Beatles』です
久しぶりにビートル・ジャズを聴いている。もともと、ジャズって、その時代時代の流行の音楽に敏感で、流行の音楽のエッセンスを取り込んだり、ヒット曲のカヴァーが大得意。例えば、最大の好例が「ボサノバ・ジャズ」。そのほか、サンバ、ラテンはしっかりジャズに融合しているし、ロックが台頭して以降、ジャズとロックの融合でクロスオーヴァー・ジャズが誕生した。
ビートルズについては、米国に上陸後、ジャズを流行ポップスの座から引きずり下ろし、ロックの台頭の引き金になったスーパースター集団。出す曲、出すアルバムは空前の大ヒット。しかし、ジャズ界はこぞってビートルズ曲のカヴァーに取り組んだ。そして、そのトレンドは現在まで続いている。ビートルズ曲って、意外とジャズにアレンジし甲斐のある楽曲が多いみたいなんですよね。
Count Basie & His Orchestra『Basie On The Beatles』(写真左)。1969年12月15日の録音。1970年のリリース。カウント・ベイシー楽団のビートルズ曲のカヴァー集の第二弾。この盤については、ビートルズ後期の名曲をメインに選曲されている。第一弾『Basie's Beatle Bag』(2016年11月27日のブログ参照)は、ビートルズ前期の名曲をメインの選曲だったから、第二弾の選曲はなかなか考えた選曲。
今回もアレンジの妙が光る。というか、どこから聴いても、カウント・ベイシー楽団の音を前提としたアレンジで、演奏の雰囲気は、どこから聴いても、カウント・ベイシー楽団の演奏になっているから不思議といえば不思議。ビッグバンドの音の重なり、音の響き、アドリブ展開のフレーズ。どれをとっても「カウント・ベイシー楽団の色」が濃厚。これがなかなかに「聴きもの」なのだ。
基本はロックのビート。ハロルド・ジョーンズの軽快にスイングするドラミングが肝。ビッグバンドのビートルズ曲のカヴァーなので、スイング、そして、縦ノリ、疾走感が前提のアレンジになるので、ラストの「Yesterday」など、カウント・ベイシー楽団ならではの、パンチの効いた、スピード感溢れる縦ノリ、スインギーな演奏は「いかにも」という感じ。その他、ビートルズ後期のジャズのカヴァーの定番曲の演奏がズラリと並ぶ。
1969年のカウント・ベイシー楽団の音ゆえ、今の耳には古く聴こえるか、と思ったが、聴いてみて意外と古さは感じない。普遍的なカウント・ベイシー楽団の音が濃厚がゆえ、だろう。カウント・ベイシー楽団らしい「ビートルズ曲のカヴァー集」。ビッグバンドにおける優れた「ビートルズ曲のカヴァー集」の一枚と評価しても良い内容である。
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