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2019年8月12日 (月曜日)

ジミー・スミスの「グルーヴ感」

ヴァーヴ時代のジミー・スミスは、ビッグバンドをバックにした「大仕掛け」な盤が多い。これはこれで、スミスのオルガンの個性が良く判って聴き応えがある。が、ジミー・スミスのオルガンをより中心に聴き込みたい時は、やはり、トリオ編成くらいの盤が良い。

しかも、資金力のあるヴァーヴ・レコードである。しっかりリハを積み、一流どころを調達したトリオ編成盤が何枚かある。Jimmy Smith『Organ Grinder Swing』(写真左)。1965年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell (g), Grady Tate (ds)。漆黒のアーバン・ギターのケニー・バレル、叩いて唄えるソウルフル・ドラマーのグラディ・テイト。

そんなトリオ編成のアルバム。大衆向きな、大衆受けするアルバム作りが得意なヴァーヴにしては硬派なオルガン・ジャズ盤に仕上がっている。ジミー・スミスは目立ちたがり屋で自己中心型だったらしく、オルガン・ジャズの相棒としてポピュラーな「ギター&ドラム」については意外と無関心で、黙ってリズム&ビートを供給して貰えば、と割り切っていた節がある。
 
 
Organ-grinder-swing
 
 
この盤では、ギターもドラムもしっかりとプロデューサーが選定したらしく、スミスのオルガンは当然のこととして、他の楽器、ギター&ドラムもその演奏についてもしっかりとソロ・スペースを与え、しっかりと演奏させていく。所謂「スミスの為のリズム・セクション」では無く、そのレベルは相当に高い。

この盤でのスミスのオルガンは「アグレッシブで激しい」。これはブルーノート時代と変わらないが、スケールが大きくなっている。しかもダンサフルな面がブルーノート時代と比べて前面に押し出されていて、硬派ではあるがポップな味付けがされている。そして、この頃からであるが、グルーヴ感が半端ない。

この『Organ Grinder Swing』では、このグルーヴ感が硬派かつストイックに表現されている。バレルのギターとテイトのドラムが、もともとスミスのオルガンの個性のひとつの「グルーヴ感」を増幅する。そう、この盤は、ジミー・スミスのオルガンの「硬派かつストイックなグルーヴ感」を愛でる為の盤である。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年8月 8日 (木曜日)

ジャケットの印象にビビらずに

ブルーノート・レコードの4300番台の聴き直しが順調に進んでいる。4300番台がリリースされる頃には、総帥アルフレッド・ライオンは引退し、ブルーノートを米リバティー社に売却している。売らんが為のアルバム制作にプロデュースが傾き、俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバムも散見される。硬派なブルーノート・ファンからすると「許せん」というアルバムも確かにある。

しかし、逆に従来のブルーノートらしさを継承しているアルバムも沢山ある。この玉石混交としているところがスリリングでもあるのだ。売らんが為の「俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバム」については、当時、ポップスやロックの台頭による圧力が半端ない時代であり、ジャズ全体がその将来について不安視し始めた時代でもあるので仕方の無いことでもある。

Grant Green『Carryin' On』(写真左)。ブルノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パッキパキの一本弾きギター、グラント・グリーンのソウル・ジャズである。
 
Carryin-on  
 
こってこてファンキーな、それでいてダンサフルでポップな演奏が心地良い。オフなリズム&ビートがしっかりと効いているので、ポップな味付けがされていても、イージーリスニングには傾かない。それどころか、それぞれの楽器の演奏には、しっかりと芯があって、明らかにジャズ畑出身の筋金入りのジャジーな演奏なのが良く判る。

グルーヴィー。そして、軽やかでポップ。そして、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。グラント・グリーンの唄うようなアドリブも実にソウルフルで、グリーンの個性である「こってこてのファンクネス」が良い方向に作用する。思わず腰が動き、足でリズムを取り始める。

ジャケットだけがねえ。このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている。このジャケットから、従来のブルーノートらしさを底に秘めた、硬派でしっかりと芯のあるソウル・ジャズがこの盤に溢れている、なんて想像出来ない(笑)。ジャケットの印象にビビらずに、一度は聴いて頂きたい、4300番台らしい好盤です。
 
 
 
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2019年8月 4日 (日曜日)

軽快でポップなオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルの4300番台は、ブルーノートらしいところと、ブルーノートらしくないところが混在している。良い意味で「ブルーノート・レーベルらしくない」ところは、4300番台のアルバムは全体的に「ポップ」な味付けがされているところ。ポップスやロックの台頭に対して、ジャズについても気軽に聴く、楽しんで聴く、というところに重きを置いていたようだ。

Lonnie Smith『Move Your Hand』(写真)。ブルーノートの4326番。1969年8月9日、ニュージャージー州のAtlantic City、Club Harlem でのライブ録音。プロデューサーは「フランシス・ウルフ」。ちなみにパーソネルは、Lonnie Smith (org, vo), Rudy Jones (ts), Ronnie Cuber (bs), Larry McGee (g), Sylvester Goshay (ds)。

主役のリーダー、オルガンのロニー・スミスとバリトン・サックスのロニー・キューバー以外は知らないジャズマンばかり。でも、なかなかブルージーでファンキーな演奏に仕上がっている。特に、バリトン・サックスが効いている。オルガンがバックに回った時、フロントが2管あると、オルガンの音に負けずにフロントの旋律がクッキリと浮かび上がる。
 
 
Move-your-hand
 
 
ロニー・スミスのオルガンはグルーヴィー。そして、軽やかでポップ。ブルージーさがスッと抜けて、軽やかなグルーヴ感が前面に出てくる。もともとオルガンはアーシー感が増幅される楽器なのだが、キューバーのバリトン・サックスが、そんなオルガンのアーシー感を増幅させる。軽やかでポップでアーシー。僕にとっては実に魅力的なオルガンである。

このライブ盤では、ロニー・スミスはボーカルもとっている。このボーカルのせいかもしれないが、ロニー・スミスのオルガンって、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。それでいて、アドリブ展開ではしっかりとジャズを押さえている。そうか、このオルガン・ジャズのライブって、全体の雰囲気は「ソウル・ジャズ」なんだ。

しかし、ジャケ写がなあ(笑)。ブルーノートの4300番台って、ジャケ写があんまりなものが多いのだが、この盤もその例に漏れず、酷いものですなあ(笑)。しかし、ロニー・スミスがメインのライブ演奏を通じて、この盤に詰まっている、ライヴ盤ならではの臨場感、そして、このクラブの持つ雰囲気。この『Move Your Hand』、良い感じのライブ盤でもあります。
 
 
 
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2019年8月 3日 (土曜日)

ビッグバンド共演盤での一番人気

ヴァーヴ時代のジミー・スミス。ビッグバンドとの共演ものが多い。もともとジミー・スミス本人が派手好きだったそうだし、目立ちたがり屋でもあったそうだから、ビッグバンドとの共演、やってみたかったんでしょうね〜。ブルーノート・レーベル時代は予算がかさむビッグバンドとの共演は出来なかったみたいですから。

ジミー・スミスのオルガンって、ビッグバンドとの共演がバッチリはまる。スミスのオルガン、まず音が大きくて、派手で、アドリブ展開が攻撃的で超絶技巧。大ぶりの展開も相まって、ビッグバンドの迫力ある音に負けないどころか、ビッグバンドをバックに従えて、自らのオルガンの音と演奏を思いっきり目立たせていたりするのだから凄い。

このヴァーヴ時代のジミー・スミスのビッグバンドとの共演もので一番有名なのが『The Cat - The Incredible Jimmy Smith』(写真)。1964年4月の録音。アレンジ&指揮は「ラロ・シフリン(Lalo Schifrin)」。ポップでジャジーなグルーヴ感が身上で、1960年代より映画やテレビの音楽を手がけ、 有名どころでは『スパイ大作戦』のテーマ、ブルース・リー主演の映画『燃えよドラゴン』のテーマなどがある。
 

The-cat

 
このシフリンのアレンジがバッチリ合っていて、ジミー・スミスのブルージーでファンキーなオルガンにベスト・マッチ。あまりに相性が良いので、この盤でのジミー・スミスのオルガンは、リラックス度マックスで、ほど良く抑制されたアドリブ展開が心地良い。余裕度満点で、ゆったりとした、緩やかにうねるようなスミスのオルガンは実にポップで実にジャジー。

なるほど、この余裕溢れるオルガンが故に、この盤、ヴァーヴ時代のジミー・スミスのビッグバンド共演盤の中で、一番人気なんですね。ポップではあるが、しっかりとジャズの雰囲気を残していて、決してイージーリスニングに傾かない。スミスのオルガンのテクニックを様々な角度で感じることが出来、ジャズ・オルガンの入門盤としても十分に通用する内容です。

ジャケットも「真っ赤なバックに、ゆったりと歩く黒猫」の雰囲気が実にジャジー。この盤、ジャケットも良いですね。ジミー・スミスのオルガンの真髄を経験するには、ブルーノート時代の初期の頃の盤が最適ですが、ジミー・スミスのオルガンを気軽に聴くには、この『The Cat』を始めとするヴァーヴ盤が良いようです。
 
 
 
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2019年8月 1日 (木曜日)

4300番台のリー・モーガンです

ブルーノート・レーベルの4300番台は「ブルーノート・レーベルらしい」ところと「ブルーノート・レーベルらしくない」ところ、とが混在している。そこが面白いと言えば面白いし、そこが問題と言えば問題。ここでは面白いところだけに着目して、この混沌とした4300番台を楽しみたい。

今日はリー・モーガンを聴く。Lee Morgan『Charisma』(写真)。ブルーノートの4312番。1966年9月29日の録音で発売は1969年。当時の「お蔵入り発掘盤」の一枚である。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Jackie McLean (as), Hank Mobley (ts), Cedar Walton (p), Paul Chambers (b), Billy Higgins (ds)。モーガンのトランペット、マクリーンのアルト、モブレーのテナーの3管フロント。

この3管フロントのユニゾン&ハーモニーをベースとしたジャズ・ロック、そしてソウル・ジャズ。レトロな8ビートに乗って、モーガンが鯔背に粋に吹きまくる。マクリーンもここではファンクネスを撒き散らして、ちょっとピッチの外れたアルトを吹きまくる。そして、この盤ではモブレーのテナーが元気だ。フロント3管がこれだけ元気だということは、この盤は内容的に期待出来るということ。
 
  
Charisma
 
 
全編に渡ってピリピリしたところが無い。ゆったりリラックス・ムード満載なところが良い。フロント3管、バックのリズム・セクション、皆、リラックス・ムード満点に演奏しまくっている。ということで、この盤の演奏はどれも、悠然としたノリがとても心地良い。角が程良く丸まって、音の芯がグッと耳に迫ってくる、ポジティブでファンキーなジャズ・ロック。曲良し、アレンジ良し、演奏良し、揃いも揃った3拍子。

このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている様に感じる。これ、ちょっと趣味が悪い。ブルーノート・レーベルらしくないところだが、これには目をつぶって、この盤に耳を傾けて欲しい。冒頭の「Hey Chico」はラテン風ジャズロック。いかにもモーガンらしいフレーズが満載。この1曲だけでこの盤は「イケる」と感じる。

2曲目「Somethin' Cute」、そしてラストの「The Double Up」もモーガンの作曲で、これもいかにもモーガンらしい曲。モーガン節炸裂で、モーガン者には堪らない。気軽に聴ける「ジャズ・ロックの好盤」。時は1966年、イージーリスニングやポップスに迎合しない、良質のジャズ・ロックがここにある。ジャケットに惑わされず、意外と好盤です。
 
 
 
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2019年6月27日 (木曜日)

様々なブラック音楽の要素が融合

ジャズは裾野が広い。他の音楽ジャンルとの融合もし易く、逆に他の音楽ジャンルとの境界が曖昧になることも。時には「ジャズ」という音楽ジャンルに分類されていながら、どう聴いても「これってジャズと呼んで良いのか」と思うアルバムの多々存在する。しかし、しっかり聴くと、即興音楽という要素がしっかり備わっていて、つまりは「即興演奏」という要素があれば、それはジャズと呼んでよいのかと。

Archie Shepp『Attica Blues』(写真左)。1972年1月の録音。Impulse! レーベルからのリリース。リーダーのアーチー・シェップはサックス奏者。コルトレーンを敬愛し、コルトレーンを師と仰いだフリー・ジャズの雄である。そんなコッテコテのフリー・ジャズの担い手が、この盤で、コッテコテのジャズ・ファンクをやっている。
 
冒頭のタイトル曲「Attica Blues」を聴けば、それが判る。僕はこの盤を初めて聴いた時、思わず「これってジャズなんか」と仰け反ったことを覚えている。思いっきりファンキーなエレギのうねり。鳴り響くタンバリン。熱くブラックなHenry Hull(ヘンリー・ハル)のヴォーカル。そんなボーカルを煽りに煽るブラスのユニゾン&ハーモニー。うねるような粘るようなコーラスが思いっきりファンキー。
 
 
Attica-blues
 
 
しかし、リーダーのシェップのサックスが出てこない(笑)。しかし、2分割された「Steam」では、ストリングスの入った、フリーを基調としたモーダルなサックスが実に「粋」。いたずらに気持ちの赴くままサックスを吹きまくるのでは無い、抑制されグループサウンズを十分に意識したシェップのサックスは「確信的」ですらある。正統な純ジャズの最新形をここに聴くことが出来る。
 
そして面白いのは4曲目の「Invocation to Mr. Parker」。ラップの元祖といわれるLast Poets(ラスト・ポエッツ)の様でもあり、録音当時としてはかなり新しい感覚。当時はクロスオーバー・ジャズがトレンドであったが、この盤はそれを超越して、ブラック・ミュージックの様々な要素を確信的に取り込んだ、かなり尖った「ジャズ・ファンク」である。
 
ゴスペル風の音の響きあり、ジャズ・ソウルなサックスの咆哮あり、フリー・ジャズ、ファンキー・ジャズの要素はそこかしこに散りばめられ、コッテコテにファンキーなボーカルが唸りを上げる。改めて今の耳で聴き直すと、この盤は後のフュージョン・ジャズの先取り的イメージ。思いっきり尖った、様々なブラック・ミュージックの要素が融合した「フュージョン・ファンク」である。
 
 
 
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2019年6月14日 (金曜日)

ポップだがジャズに踏み留まる

ブルーノート・レーベルの4300番台。純ジャズのポップ化、イージーリスニング化。4300番台がリリースされたのは、1960年代の終わりから1970年代の初めまで。米国は公民権運動の荒波を抜け、ベトナム戦争が泥沼化の様相を呈する中、フラワー・ムーブメントが起こり、ヒッピー文化が花開いた頃。
 
このアルバムのジャケット写真を見ると、そんな時代のファッションが感じて取れる。Stanley Turrentine『Common Touch』(写真左)。1968年8月30日の録音。BNの4315番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott (org), Jimmy Ponder (g), Bob Cranshaw (el-b), Leo Morris (ds, tracks 1-6), Ray Lucas (ds, track 7)。
 
リーダーでテナー担当のスタンリー・タレンタインとオルガン担当のシャーリー・スコットは、録音当時、夫婦の間柄。当時は「おしどり夫婦」で通っており、この盤でも息の合ったユニゾン&ハーモニーを聴かせてくれる。このアルバム、全編に渡って、ポップなオルガン・ジャズが展開されていて、聴き心地良く、それでいて、メインストリームなジャズとしても十分に成立する内容の濃さ。 
  
 
Common-touch-stanley-turrentine
 
  
当時のロックの好曲をカヴァーしているが、時代を反映していて面白い。なんと2曲目には、ボブ・ディランの「Blowin' In The Wind(風に吹かれて)」が、ラストのボーナストラックには、アレサ・フランクリンの「Ain't No Way」がカヴァーされている。この2曲のカヴァーがなかなかの出来だから堪らない。俗っぽさは皆無。ライトで硬派なソウル・ジャズ風の演奏に好感度が高い。
 
熱気を押さえた、ちょっとクールでファンキーなタレンタインのテナーが良い感じ。そこに、ライトでファンクネスを押さえた、シンプルでウォームなスコットのオルガンが絡む。オルガンとテナーの良くある取り合わせの中で、この2人は夫婦だけあって相性が良い。テナーと相性が良いオルガン・ジャズは好盤がほとんど。この盤には、テナーとオルガンの相性の良さが内容の濃さに表れている。
 
イージーリスニング一歩手前で踏みとどまった、ライトでポップなオルガン・ジャズです。ブルーノート・レーベルらしい端正さとお行儀の良さが見え隠れし、最終的に「ジャズ」に踏みとどまっている分、大衆受けはしなかったように思います。しかし、今の耳で振り返ると、そこが良い。「ジャズ」として踏みとどまったところに、この盤の魅力が凝縮されています。
 
 
 
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2019年6月 4日 (火曜日)

ルーさんの考えるフュージョン

何故だか、我が国ではルーさんの人気はイマイチ。ルーさんとは「Lou Donaldson」のこと。伝説のアルト・サックス奏者。1926年生まれ。今年で93歳、未だ現役。ジャズの演奏スタイルとしては、ビ・バップから始まり、ハード・バップ、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、そしてジャズ・ファンク、フュージョンとジャズの主だった演奏スタイルの殆どを経験している。素晴らしいのは、それぞれのリーダー作で相応の成果を出していること。NEAジャズ・マスターを受賞しているのも頷ける。

Lou Donaldson『Sassy Soul Strut』(写真左)。Blue NoteのBN-LAシリーズの「109-F」。1973年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Thad Jones (tp), Garnett Brown (tb), Seldon Powell (ts, fl), Buddy Lucas (harmonica), Paul Griffin (ac-p, el-p, org), Horace Ott (el-p), David Spinozza, John Tropea (el-g), Wilbur Bascomb Jr (el-b), Bernard Purdie (ds), Omar Clay, Jack Jennings (perc)。有名無名入り交じったパーソネルだが、冗長にならず概ね良い音を出している。

ジャズ・ファンク時代のアルバムなんだが、これが何だか、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの先駆けの様な音なのだ。アレンジはポップで流麗。ちょっとだけ聴くと思わず「イージーリスニングかい」と思うんだが、ルーさんのバップでブリリアントなアルト・サックスが入ってくると、思わず音の全てはジャズ色に染まる。この雰囲気が7曲続くのだから「堪らない」。ポップにイージーリスニングにギリギリ染まらない、ルーさんの矜持に思わず感じ入る。
 
 
Sassy-soul-strut-lou-donaldson
 
 
冒頭の、クインシー・ジョーンズがTV番組のために書いた「Sanford And Son Theme」のカヴァーがライトで流麗でファンキーなソウル・ジャズ。ロフトクラシックのWARの人気曲「City, Country, City」のカヴァーが堪らない。エロティックで思いっきりジャズ・ファンクな、Sylvia Robinson「Pillow Talk」のカヴァーも堪らない。それでもコッテコテのジャズ・ファンクにはならない。ソフト&メロウな、後のフュージョン・ジャズの様な流麗でキャッチャーなジャズ・ファンク。
 
いつものルーさんなら、バップでブリリアントなアルト・サックスで、こってこてのジャズ・ファンクをやるんだが、この盤では違う。アレンジもソフト&メロウで優しく流麗で軽い。それでも、ルーさんのアルト・サックスは明るくポジティヴである。このバップでブリリアントなルーさんのアルト・サックスを聴いていて、思わず、渡辺貞夫さんのアルト・サックスを思い出した。
 
渡辺貞夫さんはフュージョン・ジャズの寵児となって売れに売れたんだが、ルーさんはそうでもなかったなあ。電気楽器がメインのフュージョン・ジャズのフォーマットはお気に召さなかったのかなあ。この盤を聴いていて思う。この盤の路線を推し進めて、フュージョン・ジャズのブームに突入していったら売れたんやないかなあ。この盤の内容はそれほどまでに見事な、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの先駆けである。
 
 
 
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2019年5月29日 (水曜日)

ルーさんのジャズ・ファンク

ブルーノート・レーベルの4300番台は、とにかく「ジャズのポップス化」がメイン。様々な中堅ジャズマンが、この「ジャズのポップス化」の洗礼を浴びている。しかし、ブルーノート・レーベルのポップス化されたジャズの音は、意外と「シュッと」していて、切れ味が良く、演奏内容は濃い。ただただ売れんが為のポップス化で無いところが「隅に置けない」。
 
ジャケットだってそうだ。ブルーノート・レーベルといえば、そのジャケットのデザイン・センスは芸術の域。しかし、この4300番台のジャケットは「芸術」な側面はどこへやら。思いっきり俗っぽいデザインばかり。しかし、当時のサイケデリックやフラワー・ムーヴメントを意識したデザインが多くあって、今の目で振り返ると、意外と「イケて」たりするから面白い。

Lou Donaldson『Hot Dog』(写真左)。1969年4月25日の録音。ブルーノートの4318番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Ed Williams (tp), Charles Earland (org), Melvin Sparks (g), Leo Morris (ds)。この時、ルーさんは43歳。ジャズマンとして脂の乗り切った中堅。オルガンのアーランドは28歳。ギターのスパークスは23歳。ドラムのモリスは30歳。
 
 
Hot-dog-lou  
 
 
ルーさんは一回りも年下のメンバーと組んで、真剣に「ジャズのポップス化」に取り組んでいる。決して適当にやっているのではない。ルーさんのアルト・サックスの音は、ハードバップ時代そのままの艶やかでブリリアント。とても魅力的で訴求力抜群。キレ味良く、躍動感に満ちている。ブルーノート・レーベルの音の矜持をしっかりと維持しているところが素晴らしい。
 
バックの若手メンバーも良い演奏をしている。特にアーランドのオルガンが良い雰囲気。いやいや、モリスのドラミングのグルーヴ感も侮れない。スパークスのギターの適度に緩んだキレ味も捨てがたい。ルーさんとの相性はバッチリ。ライトですっきりファンキーなグルーヴ感が良い。爽快すっきりなジャズ・ファンク。
 
しかし、この盤のジャケットの凄いこと(笑)。ホットドックを持って笑う女性。雰囲気はフラワー・ムーヴメント濃厚。このジャケット、以前はとても評判が悪かったんですよね。ついでに演奏内容も硬派なジャズ者の方々からは散々な評価でした。でも、最近ではライトなジャズ・ファンクとしてしっかりと再評価され、このケバいジャケットもフラワー・ムーヴメント時代のアートとして再評価されています。目出度し目出度し。
 
 
 
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2019年5月28日 (火曜日)

ライトで緩やかジャズ・ファンク

先週の金曜日、24日から故あって、故郷に帰っていました。帰阪した途端に真夏日に突入。とにかく暑い。もともと暑い土地柄なんだけど、やっぱり日差しの強さも含めて、とにかく暑い。まだ湿度が真夏に比べて低かったので、何とかやり過ごしましたが、いや〜暑かったですね。ホテルでも今年初めての冷房をかけて寝ました。そして、昨日、こちら千葉県北西部地方に帰り着いた次第でございます。
 
これだけ暑くなると、いわゆる「日中」は、純ジャズというよりは、聴いた時の爽快感が抜群のジャズを聴きたくなる。逆に、難しいジャズや感情の赴くままに吹きまくるフリー・ジャズは絶対に敬遠である。聴いていて苦にならない、爽快感溢れるクロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズが良い。夕方から夜になって気温が下がったら「純ジャズ」の出番。

Reuben Wilson『Love Bug』(写真左)。ブルーノートの4317番。1969年3月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Reuben Wilson (org), Lee Morgan (tp), George Coleman (ts), Grant Green (g), Leo Morris (ds)。緩くファンキーなジャズ・オルガン奏者、リューベン・ウィルソンのリーダー作。アルバムの内容を一言で言うと、緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク。
 
 
Love-bug-ruben-willson
 
 
爽快感豊かな、適度に緩やかで、適度にスッカスでソウルフルなジャズ・ファンク。ケバケバしくなく、サイケデリックに傾くことなく、適度にユルユルだけど、しっかり適度なテンション張って、適度にソウルフルなジャズ・ファンク。ライトで端正なグルーヴ感が個性的。気がつけば不思議としっかり耳を傾け、ウィルソンのオルガンを追っている。
 
グラント・グリーンのギターが決まっている。このグリーンのギターが「ライトで端正なグルーヴ感」を増幅。ウィルソンのオルガンとの相性抜群である。新主流派の中堅テナー奏者、ジョージ・コールマンが参加しているが、そのテナーの音は、しっかりとリーダーのウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、できる限り早く、適度にソウルフルでライトで端正なグルーヴ感に馴染んでいる。これにはちょっとビックリした。
 
リー・モーガンのトランペットも同じく、ウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、ライトでソウルフルな、ジャズ・ファンク風トランペットを吹いているのは凄い。サイドメンは皆、ウィルソンを惹き立ててはいるものの、決して前へ出て目立とうとせず、しっかりと「適度にスッカスで緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク」を一丸となって演奏している様子には少なからず感心した。
 
 
 
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