2019年9月15日 (日曜日)

George Dukeのカラフルな個性

マイルス・デイヴィスのバンドには、かなりのジャズメンが参加した。マイルスは優秀な若手のスカウトが上手かった。参加して即クビになった者、そのままバンドに残ってマイルスとレコーディングをして、活動を共にした者、それぞれだったが、マイルスはまた、優秀な若手のメンバーを育てるのも上手かった。マイルスのバンドで、マイルスと演奏を共にしたメンバーは「卒業」後、皆、何らかの形で活躍した。

そんな「マイルス・スクールの門下生」の中には、このジャズマンも門下生だったのか、と意外に思う名前に出くわすことがある。例えば、僕が「へ〜」とちょっとビックリしたのが「ジョージ・デューク(George Duke)」。ポップなジャズ・ファンクの人気キーボード奏者なのだが、その「ポップで、過剰にソウルフル」なフュージョン・ファンクが得意ジャンルが故、マイルス・スクールの門下生というイメージに合わないと感じていたのだ。

George Duke『Faces in Reflection』(写真左)。1974年の作品。MPS-Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、George Duke (key), John Heard (b), Leon Ndugu Chancler (ds)。シンプルなトリオ編成。しかし、出てくる音は結構重厚なクロスオーバー・ジャズな音。のっけからデュークのエレピとシンセが飛び交うハード・クロスオーバーである。
 
 
Face-in-reflection-george-duke  
 
 
アルバム全体を聴き通すと、ジャズ・ファンクから、サイケデリックなジャズ、メロウなクロスオーバーまで、カラフルな音世界。ジャズ・ファンクからサイケデリックなジャズについては、明らかに「マイルス・スクールの門下生」やなあ、という印象を受けるが、メロウな雰囲気のクロスオーバー辺りがジョージ・デュークの「個性」になる。この個性が、1970年代後半の「ポップで、過剰にソウルフル」なフュージョン・ファンクに繋がっていく。

しかし「マイルス・スクールの門下生」とは言え、実際には、1971年「俺のバンドに入れ。また後で電話する」と伝えたまま音沙汰なしの状態が続き、実際には14年後の1985年に再びマイルスはジョージ・デュークに勧誘の電話を再び入れた後、実際にジョージ・デュークはマイルス・バンドに関わっていく。恐らく、マイルスは、この盤で聴かれるジャズ・ファンクから、サイケデリックなジャズを奏でる、ジョージ・デュークの隠れた「個性」の部分に着目したのではないか、僕はと睨んでいる。

ナット・アダレイに提供した「Capricorn」のセルフカバーでのアレンジがニクい。ドラムは当然として、ベースがアコベなところも、クロスオーバー・ジャズとしてはユニーク。当時のクロスオーバー・ジャズの「常識」に囚われない、自らの個性を表現しているところが、ジョージ・デュークの隅に置けないところ。単に「フュージョン・ファンク」なジャズマンで無いところが、この盤を聴くと良く判る。
 
 
 
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年9月14日 (土曜日)

良好なフュージョン・ファンク

しばらく「純ジャズ」の話題が続いた。ここヴァーチャル音楽喫茶『松和』は、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズも得意分野。しばらく、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズの話題を。今日から暫く「マイルス・スクールの門下生」の好盤を聴き直していきたい。

まずは「Lonnie Liston Smith(ロニー・リストン・スミス)」。1940年12月の生まれ。米国ヴァージニア州リッチモンド出身。1970年代、独自のスピリチュアルなフュージョン・ファンクを展開した。1973年から74年にかけて「Miles Davis/マイルス・デイヴィス」のアルバム「On The Corner」「Big Fun」などに参加。しっかり「マイルス・スクール」の門下生である。

Lonnie Liston Smith & The Cosmic Echoes『Expansions』(写真)。1975年の作品。ロニー・リストン・スミス自身のグループ、コズミック・エコーズを従えての3枚目アルバム。お得意のスピリチュアルなフュージョン・ファンク。当時は「コズミック・ファンク」と形容された。浮遊感のあるエレピと随所に挿入されるキラキラした音が、星のまたたく宇宙を想起させるから、とのこと。はぁ?
 
 
Expansions  
 

 当時の「コズミック・ファンク」の形容はともかく、内容的には上質のフュージョン・ファンク。しかも、このフュージョン・ファンク、リストン・スミスのエレピ以外はアコースティックの楽器で構成されていて、後のフュージョン・ジャズに欠けていった「人間味」というか、音の「温かみ」がこの盤には残っている。マイルス仕込みの硬派なブラック・ファンクではあるが、なんとなく心も安らぐ。

リストン・スミスはエレクトリック・キーボードの扱いが上手い。出だしのタイトル曲「Expansions」のアープのストリングシンセに時代を感じるのだが、今の耳で聴いても、なかなか味のあるシンセだ。「Voodoo Woman」のグルーヴ感は半端ない。この盤が「レア・グルーヴ定番アルバム」と評価されているのも頷ける。「Peace」のソウルフルな味付けも隅に置けない。

このリストン・スミスの盤を聴いていると、やっぱり「マイルス・スクール」の門下生の音やなあ、と思う。マイルスのエレクトリック・ジャズ・ファンクに、リストン・スミスの個性を反映させて、自らのアルバムとして成立させている。浮遊感とグツーブ感濃厚なキーボード・ワーク。そして、エレクトリック・キーボードの扱いの上手さ。聴き応えのある好盤である。
  
 
 
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2019年9月 9日 (月曜日)

おどろおどろしいジャケ・6

このジャケットも強烈である。ブルーノート・レーベルお得意の写真をアーティスティックにあしらったジャケットでは無く、なんと「イラスト」である。前知識無くこのジャケットを見れば、絶対にブルーノート・レーベルのアルバムだとは思わないだろう。というか、まず「ジャズ」のアルバムだとは思わない。

Jimmy McGriff『Black Pearl』(写真左)。ブルーノートの4374番。1971年、 New Jerseyの「the Golden Slipper Newark」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy McGriff (org), Ronald White (tp), Joseph Morris (as), Arthur "Fats" Theus (ts), William Thorpe (bs), O'Donel "Butch" Levy (g), Willie "Saint" Jenkins (ds)。リーダーでオルガンのマクグリフ以外、知らない名前ばかりだ。

内容はと言えば、当時流行の「ソウル・ジャズ」。それも、聴かせることメインのイージーリスニングっぽいものでは無く、ちょっと硬派でカッチリとした、ハードバップのイメージが残る「ソウル・ジャズ」である。マクグリフのオルガン自体が硬派でカッチリしている。しかし、ジミー・スミスの様に豪快に弾き回すのでは無く、小粋にソウルフルに弾き回す。これが実に良い雰囲気。
 
 
Black-pearl-jimmy
 
 
オドネル・リーヴィーの思いっ切りグルーヴを感じるギター・ワークも聴き逃せない。マクグリフのオルガンとリーヴィーのギター、この二人が織りなすグルーヴは明らかに「黒い」。黒人でないと出せない、東海岸ジャズだからこそ出せる、こってこてファンキーなグルーヴ感。意外と、音のエッジがソリッドなどで、決して「緩く」ならない。

収録曲はというと、ファンキー・ジャズなチューンとして、タイトル曲の「Black Pearl」や「Ode To Billy Joe」が良い雰囲気。はたまた、渋い渋〜いブルース曲の「Groove Alley」などは聴きもの。エリントンの定番曲「C Jam Blues」のソウル・ジャズ・バージョンは聴いていて、実に楽しい。ライブならではの演奏のノリも心地良く、聴衆の反応も「グッド」。

この「おどろおどろしい」イラストのジャケット・デザインからは想像出来ない、ちょっと硬派でカッチリとした、ハードバップのイメージが残る「ソウル・ジャズ」。マクグリフのオルガンも好調。フロントのホーン隊もグルーヴ感満点。オルガンがメインの「ソウル・ジャズ」の好盤です。ジャケット・デザインには目をつぶって「聴くべし」。
 
 
 
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2019年9月 7日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・4

そのジャケット・デザインのアート性が非常に高く評価されているブルーノート・レーベルではあるが、創始者&総帥のアルフレッド・ライオンがリバティ・レコードにその権利を売却してからの4300番台は、打って変わって「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの宝庫になった。

ブルーノート・レーベルの4300番台は、1968年から1972年に渡ってリリースされたシリーズで、内容的には、当時の流行のソウル・ジャズやジャズ・ファンクの新盤、そして、過去のハードバップ盤の発掘リイシュー。収録されたジャズの種類は大きく分けて、その3つになる。で、どうしたら、そんな「おどろおどろしい」ジャケットがあしらわれるか、その動機がよく判らない。

Brother Jack McDuff『Moon Rappin'』(写真左)。ブルーノートの4334番。1969年12月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Brother Jack McDuff (org), Unknown (tp), Bill Phillips (ts, fl), Unknown (bs, ts), Jerry Byrd (g), Richard Davis (el-b), Joe Dukes (ds)。トランペットとバリトン・サックスの担当の名前が判らない。ブルーノート・レーベルにしては珍しいこと。
 

Moon-rappin

 
この辺りになると、録音スタジオもブルーノート御用達の「Van Gelder Studio」では無くなってくる。この盤はNYの「Soundview Recording Studio」での録音である。確かにちょっと録音の響きというか雰囲気が異なる。中身はライトなオルガンによるソウル・ジャズ。アーシーさと流麗さがほどよくミックスされた、聴き易いオルガン・ジャズである。
 
決して、こってこてファンキーなオルガンを期待してはいけない。時は1960年代終盤。ポップな音で聴き易いアルバムでないと売れない。ファンクネスを迫力を持って聴かせる時代では無く、ライトでアーシーで流麗なオルガン・ジャズをソウルフルに聴かせることがトレンドの時代。そういう意味で、マクダフのオルガンもライトで聴き易い。
 
演奏全体は充実していて、キメるとことはバッチリ「キメて」いて、適度なアクセントとメリハリのある演奏は決して耳触りでは無い。ながら聴きにも十分使える、ライトで聴き易いオルガン・ジャズ。しかし、そんな内容のアルバムなのに、どうしてこんなジャケット・デザインになるのか。初めて、ジャケットを手に取って見た時は、さすがに「引き」ました(笑)。
 
 
 
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2019年8月31日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・3

 

しかし、ブルーノート・レーベルのジャケット・デザインって、4300番台に入って一気に崩れるんですよね。4200番台まではそんなに変なジャケット・デザインは無かった。しかし、4300番台に入って、いきなり崩れた。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの引退とリバティへの売却が原因なんだろう。アルバム制作の精神的支柱を失って、ジャケット・デザインが総崩れ、といったところと想像している。
 
今日も、合成写真を使った「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの盤をチョイス。まあ、これは「おどろおどろしい」ジャケット・デザインという程ではないが、どう頑張ったって、アルバムの内容に合致した、アルバムの内容を彷彿とさせるジャケット・デザインでは全く無い。このアルバムの内容を聴いて、どう考えたら、こういうジャケット・デザインを採用できるのか、当時の担当者にとくと訊いてみたい気持ちで一杯だ。

Grant Green『Carryin' On』(写真)。ブルーノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パーソネルを見渡せば、リーダーのぐりーんとドラムのムハンマド以外、全く知らない顔ばかり。ここまでくると、昔のブルーノートの録音パーソネルの充実は今何処、と溜息がでる。
 
 
Carryin-on_20190831185801

 
この盤は、ズバリ、リーダーのグラント・グリーンのギターを心ゆくまで堪能出来る盤である。意外と話題に上がることが少ないのだが、この盤のグリーンのギターって、こってこてのファンクネス、パッキパキのシングル・トーン、鼻歌を唄うような自然な雰囲気のフレーズの流れ、いわゆる「グラント・グリーンのギターの個性」をしっかりと聴き込める内容になっている。グラント・グリーン後期の好盤として再評価して欲しいですね。

ソウル・ジャズの雰囲気を基調としているが、ポップに過ぎず、メインストリームにして適度にリラックス。時代的に明らかにメインストリーム・ジャズ、いわゆるハードバップな内容では決して無い。といって過度にポップに偏らず、適度にポップな弾きっぷり。シングル・トーンでありながら、メロディーに流されず、しっかりと印象に残るアドリブ・フレーズ。ギターの底に流れるファンクネスによって、ソウル・ジャズな雰囲気が濃厚。
 
1950年代から活躍してきた、いわゆるハードバップな演奏をメインにしてきた、グリーンにとっては、この盤を録音した1960年代末は、ジャズマンとしてかなり厳しい環境ではなかったか、と思う。それでも、グリーンの素晴らしいところは、ポップに走らず、ソウルに迎合せず、あくまでメインストリーム・ジャズに軸足を残していたところ。今の耳に、しっかりと当時の「コンテンポラリーな純ジャズ」として鑑賞に耐える。なかなかの好盤である。ジャケット・デザインに惑わされるなかれ、である。 
 
 
 
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2019年8月29日 (木曜日)

おどろおどろしいジャケ・1

ブルーノート・レーベルと言えば、そのジャケット・デザインのアート性が非常に高く評価されている。しかし、ブルーノート・レーベルの4300番台には、かなり「おどろおどろしい」ジャケットが沢山ある。どうして、そういうデザインを採用したのかはよく判らない。合成写真、イラストと表現手法は違えど、その「絵」の雰囲気は「おどろおどろしい」か「気色悪い」である(笑)。

4300番台がリリースされていた当時は、サイケデリック・アートやヒッピー・ムーヴメントが流行った時代。そういうトレンドに反応して、こういう「おどろおどろしい」ジャケット・デザインを採用したのだろうが、ジャズには全く合わない。しかも、その盤の内容にも、全く合致していないのだから始末が悪い。どうやって考えたら、こうなるのか。当時の担当者にその理由をしっかりと聞いてみたいものだ。

Lou Donaldson『Everything I Play Is Funky』(写真)。ブルーノートの4337番。1969年8月22日と1970年1月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as, vo), Melvin Sparks (g), Idris Muhammad (ds) は録音両日共通。1970年1月9日は、Blue Mitchell (tp),Lonnie Smith (org), Jimmy Lewis (b) が加わる。1969年8月22日は、Eddie Williams (tp), Charles Earland (org) が加わる。2セッションでメンバーの多少の入り繰りはあるが、音の統一感は揺るがない。
 
 
Everything-i-play-is-funky
 
 
さすがに4300番台。ポップで楽しみやすいジャズを追求している。冒頭の「Everything I Do Gon' Be Funky (From Now On)」はアラン・トゥーサンの曲で、もうこれはソウルそのもの。ソウル・ジャズというよりは、モータウンに通じるソウル・ミュージックそのもの。ソウルは声帯で唄うが、ドナルドソンはアルト・サックスで唄う。演奏全体のファンクネスの濃さは半端ない。
 
2曲目「Hamp's Hump」以降、ソウル・ジャズな演奏がズッと続くのだが、5曲目の「West Indian Daddy」はいきなり「カリプソ・ジャズ」が展開される。これが楽しい。ファンクネスを控えめに、ポップ度を増して、ルーさんが楽しく旋律を吹き上げる。この曲が始まると、周りの雰囲気がパッと明るくなる様な気がする。良い曲、良い演奏だ。そして、ラストの「Minor Bash」に至っては、ルーさんが大の得意の「ファンキー・ジャズ」。
 
切れ味良く、適度なテンションを張りながら、アルト・サックスで唄うようにファンキーなフレーズを連発する。これぞルーさん、と思わず声をかけたくなる、ご機嫌な「ファンキー・ジャズ」。おどろおどろしいジャケットだけど、中身は「ルーさん」てんこ盛り。しかし、どうやったら、こんなサイケで、おどろおどろしいジャケットになるのかなあ。ブルーノートの4300番台は不思議なことだらけである。
 
 
 
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2019年8月12日 (月曜日)

ジミー・スミスの「グルーヴ感」

ヴァーヴ時代のジミー・スミスは、ビッグバンドをバックにした「大仕掛け」な盤が多い。これはこれで、スミスのオルガンの個性が良く判って聴き応えがある。が、ジミー・スミスのオルガンをより中心に聴き込みたい時は、やはり、トリオ編成くらいの盤が良い。

しかも、資金力のあるヴァーヴ・レコードである。しっかりリハを積み、一流どころを調達したトリオ編成盤が何枚かある。Jimmy Smith『Organ Grinder Swing』(写真左)。1965年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Jimmy Smith (org), Kenny Burrell (g), Grady Tate (ds)。漆黒のアーバン・ギターのケニー・バレル、叩いて唄えるソウルフル・ドラマーのグラディ・テイト。

そんなトリオ編成のアルバム。大衆向きな、大衆受けするアルバム作りが得意なヴァーヴにしては硬派なオルガン・ジャズ盤に仕上がっている。ジミー・スミスは目立ちたがり屋で自己中心型だったらしく、オルガン・ジャズの相棒としてポピュラーな「ギター&ドラム」については意外と無関心で、黙ってリズム&ビートを供給して貰えば、と割り切っていた節がある。
 
 
Organ-grinder-swing
 
 
この盤では、ギターもドラムもしっかりとプロデューサーが選定したらしく、スミスのオルガンは当然のこととして、他の楽器、ギター&ドラムもその演奏についてもしっかりとソロ・スペースを与え、しっかりと演奏させていく。所謂「スミスの為のリズム・セクション」では無く、そのレベルは相当に高い。

この盤でのスミスのオルガンは「アグレッシブで激しい」。これはブルーノート時代と変わらないが、スケールが大きくなっている。しかもダンサフルな面がブルーノート時代と比べて前面に押し出されていて、硬派ではあるがポップな味付けがされている。そして、この頃からであるが、グルーヴ感が半端ない。

この『Organ Grinder Swing』では、このグルーヴ感が硬派かつストイックに表現されている。バレルのギターとテイトのドラムが、もともとスミスのオルガンの個性のひとつの「グルーヴ感」を増幅する。そう、この盤は、ジミー・スミスのオルガンの「硬派かつストイックなグルーヴ感」を愛でる為の盤である。好盤です。
 
 
 
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2019年8月 8日 (木曜日)

ジャケットの印象にビビらずに

ブルーノート・レコードの4300番台の聴き直しが順調に進んでいる。4300番台がリリースされる頃には、総帥アルフレッド・ライオンは引退し、ブルーノートを米リバティー社に売却している。売らんが為のアルバム制作にプロデュースが傾き、俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバムも散見される。硬派なブルーノート・ファンからすると「許せん」というアルバムも確かにある。

しかし、逆に従来のブルーノートらしさを継承しているアルバムも沢山ある。この玉石混交としているところがスリリングでもあるのだ。売らんが為の「俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバム」については、当時、ポップスやロックの台頭による圧力が半端ない時代であり、ジャズ全体がその将来について不安視し始めた時代でもあるので仕方の無いことでもある。

Grant Green『Carryin' On』(写真左)。ブルノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パッキパキの一本弾きギター、グラント・グリーンのソウル・ジャズである。
 
Carryin-on  
 
こってこてファンキーな、それでいてダンサフルでポップな演奏が心地良い。オフなリズム&ビートがしっかりと効いているので、ポップな味付けがされていても、イージーリスニングには傾かない。それどころか、それぞれの楽器の演奏には、しっかりと芯があって、明らかにジャズ畑出身の筋金入りのジャジーな演奏なのが良く判る。

グルーヴィー。そして、軽やかでポップ。そして、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。グラント・グリーンの唄うようなアドリブも実にソウルフルで、グリーンの個性である「こってこてのファンクネス」が良い方向に作用する。思わず腰が動き、足でリズムを取り始める。

ジャケットだけがねえ。このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている。このジャケットから、従来のブルーノートらしさを底に秘めた、硬派でしっかりと芯のあるソウル・ジャズがこの盤に溢れている、なんて想像出来ない(笑)。ジャケットの印象にビビらずに、一度は聴いて頂きたい、4300番台らしい好盤です。
 
 
 
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2019年8月 4日 (日曜日)

軽快でポップなオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルの4300番台は、ブルーノートらしいところと、ブルーノートらしくないところが混在している。良い意味で「ブルーノート・レーベルらしくない」ところは、4300番台のアルバムは全体的に「ポップ」な味付けがされているところ。ポップスやロックの台頭に対して、ジャズについても気軽に聴く、楽しんで聴く、というところに重きを置いていたようだ。

Lonnie Smith『Move Your Hand』(写真)。ブルーノートの4326番。1969年8月9日、ニュージャージー州のAtlantic City、Club Harlem でのライブ録音。プロデューサーは「フランシス・ウルフ」。ちなみにパーソネルは、Lonnie Smith (org, vo), Rudy Jones (ts), Ronnie Cuber (bs), Larry McGee (g), Sylvester Goshay (ds)。

主役のリーダー、オルガンのロニー・スミスとバリトン・サックスのロニー・キューバー以外は知らないジャズマンばかり。でも、なかなかブルージーでファンキーな演奏に仕上がっている。特に、バリトン・サックスが効いている。オルガンがバックに回った時、フロントが2管あると、オルガンの音に負けずにフロントの旋律がクッキリと浮かび上がる。
 
 
Move-your-hand
 
 
ロニー・スミスのオルガンはグルーヴィー。そして、軽やかでポップ。ブルージーさがスッと抜けて、軽やかなグルーヴ感が前面に出てくる。もともとオルガンはアーシー感が増幅される楽器なのだが、キューバーのバリトン・サックスが、そんなオルガンのアーシー感を増幅させる。軽やかでポップでアーシー。僕にとっては実に魅力的なオルガンである。

このライブ盤では、ロニー・スミスはボーカルもとっている。このボーカルのせいかもしれないが、ロニー・スミスのオルガンって、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。それでいて、アドリブ展開ではしっかりとジャズを押さえている。そうか、このオルガン・ジャズのライブって、全体の雰囲気は「ソウル・ジャズ」なんだ。

しかし、ジャケ写がなあ(笑)。ブルーノートの4300番台って、ジャケ写があんまりなものが多いのだが、この盤もその例に漏れず、酷いものですなあ(笑)。しかし、ロニー・スミスがメインのライブ演奏を通じて、この盤に詰まっている、ライヴ盤ならではの臨場感、そして、このクラブの持つ雰囲気。この『Move Your Hand』、良い感じのライブ盤でもあります。
 
 
 
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2019年8月 3日 (土曜日)

ビッグバンド共演盤での一番人気

ヴァーヴ時代のジミー・スミス。ビッグバンドとの共演ものが多い。もともとジミー・スミス本人が派手好きだったそうだし、目立ちたがり屋でもあったそうだから、ビッグバンドとの共演、やってみたかったんでしょうね〜。ブルーノート・レーベル時代は予算がかさむビッグバンドとの共演は出来なかったみたいですから。

ジミー・スミスのオルガンって、ビッグバンドとの共演がバッチリはまる。スミスのオルガン、まず音が大きくて、派手で、アドリブ展開が攻撃的で超絶技巧。大ぶりの展開も相まって、ビッグバンドの迫力ある音に負けないどころか、ビッグバンドをバックに従えて、自らのオルガンの音と演奏を思いっきり目立たせていたりするのだから凄い。

このヴァーヴ時代のジミー・スミスのビッグバンドとの共演もので一番有名なのが『The Cat - The Incredible Jimmy Smith』(写真)。1964年4月の録音。アレンジ&指揮は「ラロ・シフリン(Lalo Schifrin)」。ポップでジャジーなグルーヴ感が身上で、1960年代より映画やテレビの音楽を手がけ、 有名どころでは『スパイ大作戦』のテーマ、ブルース・リー主演の映画『燃えよドラゴン』のテーマなどがある。
 

The-cat

 
このシフリンのアレンジがバッチリ合っていて、ジミー・スミスのブルージーでファンキーなオルガンにベスト・マッチ。あまりに相性が良いので、この盤でのジミー・スミスのオルガンは、リラックス度マックスで、ほど良く抑制されたアドリブ展開が心地良い。余裕度満点で、ゆったりとした、緩やかにうねるようなスミスのオルガンは実にポップで実にジャジー。

なるほど、この余裕溢れるオルガンが故に、この盤、ヴァーヴ時代のジミー・スミスのビッグバンド共演盤の中で、一番人気なんですね。ポップではあるが、しっかりとジャズの雰囲気を残していて、決してイージーリスニングに傾かない。スミスのオルガンのテクニックを様々な角度で感じることが出来、ジャズ・オルガンの入門盤としても十分に通用する内容です。

ジャケットも「真っ赤なバックに、ゆったりと歩く黒猫」の雰囲気が実にジャジー。この盤、ジャケットも良いですね。ジミー・スミスのオルガンの真髄を経験するには、ブルーノート時代の初期の頃の盤が最適ですが、ジミー・スミスのオルガンを気軽に聴くには、この『The Cat』を始めとするヴァーヴ盤が良いようです。
 
 
 
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