2020年8月18日 (火曜日)

スピリチュアルなラテン・ジャズ

音楽のサブスク・サイトが充実してきて、ジャズ盤のリイシューについても、CDと同時にサブスク・サイトにアップされる様になった。これはとても喜ばしいことで、お目当てのリイシュー情報が入ってきても、CDショップに走ることもなく、オンラインショップで購入して、宅配便で受け取る手間も無い。お目当てを見つけたら、即ゲットし即聴けるのだから、便利な世の中になったものだ。

Hugo Heredia『Mananita Pampera(マナニタ・パンペラ)』(写真左)。1976年10月、西ドイツはルートヴィヒスブルクでの録音。ちなみにパーソネルは、Hugo Heredia (sax, fl, per, Written-By), Horace Parlan (p), Peter Frei (b), Ivanir Mandrake Do Nascimento (congas, perc), Peter Schmidlin (ds, perc)。

フランスのレーベル「コートダジュール」から1976年にリリースされた、アルゼンチン出身のマルチリード奏者、ヒューゴ・ヘレディアのリーダ作品のリイシューになる。僕はこの盤を知らない。しかし、このジャケットを見れば、これは「ええんちゃうか」と思う(笑)。恐らく瓶ビールであろう、栓を歯で抜こうとしている「こってこてファンキー」なジャケット。このジャケットだけで「グルーヴ感」が伝わってくるようだ。
 
 
Mananita-pampera  
 
 
パーカッション担当が3人もいる、タフで生々しいパーカッシブなリズムが心地良い刺激のラテン・ジャズである。激情溢れるサックスのソロは実に「スピリチュアル」。フュージョン・ジャズの時代に、こってこてファンキーでグルーヴィーな「スピリチュアル・ラテン・ジャズ」の音世界。徹頭徹尾「ノリノリ」である。

癖の強い、ファンキーでアーシー、そして、アフロキューバンなモダン・ピアニスト「ホレス・パーラン」が参加して、こってこてグルーヴ感溢れるピアノ・パフォーマンスを繰り広げる。そして、ブラジルの名パーカッション奏者マンドレイクが、生粋ラテンなリズム&ビートを叩きだしている。そんなリズム隊をバックに、南米出身のヒューゴ・ヘレディアのサックスがフルートが乱舞する。

ラテン・グルーヴの洪水。この「スピリチュアル・ラテン・ジャズ」の音世界、強烈です。思わず腰が動き、思わず足でリズムを取り出す。こんなに強烈なグルーヴ感を湛えたラテン・ジャズ盤を僕は他に知らない。唯一無二の「ワールド・ミュージック系」のフュージョン・ジャズとも解釈できるかと思います。レア・グルーヴの好盤です。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて    【更新しました】 2020.08.04 更新。

  ・『Your World and My World』 1981

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.08.04 更新。

  ・『Music From Big Pink』

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.08.04 更新。

  ・太田裕美『Feelin’ Summer』



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東日本大震災から9年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2020年8月 2日 (日曜日)

ヤング・ホルト・アンリミテッド

ジャズを聴き始める前、高校時代の後半は、米国ルーツ・ミュージックが大好きになり、FMのエアチェックについては、ソウルやR&Bにも手を出すようになっていた。そして、大学に入ってジャズを聴き始めて、ジャズの合間の耳休めには、ソウルやR&Bを聴いたり、クロスオーバー・ファンクのアルバムを紹介して貰ったりして、足で拍子を取りながら、研究論文を読みながら、秘密のジャズ喫茶の昼下がりを過ごしていた記憶がある。

Young-Holt Unlimited『Oh Girl』(写真左)。1972年5月はシカゴ、1972年8月はNYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eldee Young (b), Ralph MacDonald (perc), Isaac "Redd" Holt (ds), Marcus Curry (el-g), Bobby Lyle, Ken Chaney (el-p, ac-p)。内容としては、クロスオーバー・ジャズの範疇、ソウル・ミュージックとエレ・ジャズの融合。こってこてファンクで、むっちゃグルーヴィーな音世界である。

「Young-Holt Unlimited」は、ベースのエディー・ヤングとドラムのレッド・ホルトのリズム隊コンビがメイン。我が国では一般には知られていない。しかし、レア・グルーヴ、サンプリングの世界では有名。とにかくこの盤のファンクネスとグルーヴ感、ブラック・ミュージック好きには堪らない。しかも、この盤、ボーカルが入らない。クロスオーバー・ファンクな演奏だけで、このグルーヴ感を醸し出す。堪らない。
 
 
Oh-girl-youngholt-unlimited
 
 
リズム隊がメインなので、ドラムブレイクやうねるようなファンキー・ビート、粘るベースラインなど、ジャズ・ファンクな要素がギッシリ詰まっていて、聴き始めると、足でリズムを取る、腰が動く、体を揺する。とにかく強烈なグルーヴ感。キーボードもソウルフルで、コロコロとした単音のエレピが心地良さを増幅。時代として、まだまだ電気楽器の性能が低いなか、このうねるようなグルーヴ感は凄まじいものがある。

ポインター・シスターズ名曲のカヴァー「Yes We Can」、デオダートの指揮でチャイ・ライツの名曲をカヴァーした「Oh Girl」など、ファンクネスのうねりが芳しく、レッド・ホルト作の「Rubber Lips」のむっちゃ渋いドラムブレイク、ダンディズム溢れるジャズ・ファンク曲「Bumpin' On Young Street」等、聴きどころ満載。

実はこの盤、ヤング・ホルト・アンリミテッドの最後のアルバムで、1974年にバンドを解散、ヤングとホルトは1980年代にラムゼイ・ルイスのグループに戻っている。そう、このヤング・ホルト・アンリミテッド、やっぱり、1960年代後半のラムゼイ・ルイスが関係しているんですね。こってこてファンクでグルーヴィーでありながら、破綻せず端正でポジティヴなジャズ・ファンクを叩き出す。何となく、ラムゼイ・ルイスを彷彿とさせますね。なんか納得しました
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて    【更新しました】 2020.07.19 更新。

  ・『Black Rose』 1976

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.07.19 更新。

  ・Led Zeppelinの「西部開拓史」

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.07.19 更新。

  ・太田裕美『十二月の旅人』


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2020年6月 1日 (月曜日)

ジャズ・ファンクは永遠に ...

ジャズ・ファンクの担い手達は「遅れてきた世代」。モダン・ジャズ黄金時代に乗り遅れた世代。彼らのデビューは大体1960年代後半。ロック、ソウル・ミュージック、ジャズ・ロック、クロスオーバー・ジャズが最先端とされた時代。もはやハード・バップは時代の遺物とされた時代。そんな彼らは、アップテンポの「ソウル&ファンク・ミュージック寄り」の、いわゆる「ジャズ・ファンク」でその実力を発揮することになる。

Boogaloo Joe Jones『No Way!』(写真左)。1970年11月23日、Van Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Ivan 'Boogaloo' Joe Jones (g), Sonny Phillips (org, el-p), Butch Cornell (org, tracks: B1, B3), Grover Washington, Jr (ts), Jimmy Lewis (b), Bernard Purdie (ds)。いずれも、ハードバップ・ジャズとは一線を画する、ジャズ・ファンクの担い手がズラリ。

この盤はジャズ・ファンクを代表するギタリスト、ブーガルー・ジョー・ジョーンズが名門プレスティッジ・レーベルに残した1971年発表作品である。時代は商業ロック・ポップスが台頭し、ジャズが存続するのに苦しんだ時代。そんな時代に、このブーガルーの『No Way!』の様に、ファンクネス濃厚、グルーヴ感抜群のソウルフルでポップな盤がリリースされているのだがら、意外とジャズ者の裾野は広かったことが判る。
 
 
No-way
  
 
この盤を聴くと感じるのは、ポップなジャズ・ファンクやな〜、ということ。ファンクネスはコッテコテ濃厚なんだが、グルーヴ感は意外とライト。軽快にポップにグルーヴするジャズ・ファンクで、ブーガルー・ジョー・ジョーンズがその雰囲気を牽引している。この盤に濃厚な「ポップなジャズ・ファンク」は、ブーガルーのギター演奏そのものと言って良い。

ダンサフルな曲はノリノリ、しっとりバラードな曲はしみじみ。かかるような、前のめりのカッティングが心地良いのは従来通りなのだが、意外とポップなところがこの盤の個性。それでも、タイトル曲「No Way!」の超絶速弾きのカッコ良さは相変わらずだ。そして、この盤ではオルガンが大活躍している。こってこてソウルフルなオルガンがバッチリ効いた「Sunshine Alley」「I'll be There」が見事。

しかし、ブーガルー・ジョー・ジョーンズの活動期間は1960年後半~1970年代中盤まで。ジャズ・ファンクは、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズに取って代わり、併せて、ジャズ・ファンクを代表するギタリストであったブーガルー・ジョー・ジョーンズは、ジャズの歴史に埋もれていった。しかし、彼が録音した音源が有る限り、ジャズ・ファンクは永遠に不滅である。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて      2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.05.24更新。

  ・Led Zeppelin Ⅱ (1969)

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2020年5月22日 (金曜日)

グルーヴィーなジャズ・ファンク

パーカッション(Percussion)。打楽器のことである。通常はドラム以外の打楽器を指す。例えば、コンガやボンゴ、タブラ、カウベル、タンバリン、ウィンドチャイム、マラカス、トライアングル 等々。ドラムがメインのリズム&ビートを補完するのが主な役割。コンガなどは、ファンキー・ジャズのファンキー度を高める役割を担ったり、ボンゴなどは、ラテン・ジャズのラテン度を高める役割を担っていたりする。

ジャズにおいては必須の楽器では無いのだが、特にフュージョン・ジャズにおいては、リズム&ビートのバリエーションを増やす為に、よくパーカッションを追加する。フュージョン・ジャズの場合、ソフト&メロウを基調としていて、演奏のムードが非常に重要な要素なので、このムードを効果的に演出するのに、パーカッションは欠かせないのだろう。

Ralph MacDonald『Sound Of A Drum』(写真左)。1976年の作品。ちなみにパーソネルは、リーダーの Ralph MacDonald (perc) をはじめとして、主だったメンバーとして、Rick Marotta (ds), Eric Gale (g), Richard Tee (p), Grover Washington, Jr. (ss, ts), Chuck Rainey (b), Jean "Toots" Thielemans (Harmonica), Bob James (syn), David Friedman (vib), Clinton Thobourne (cl) 等々。フュージョン・ジャズを代表する名うての名手達がズラリ。
 
 
Sound-of-a-drum  
 
 
リーダーのラルフ・マクドナルドは、フュージョン・ジャズにおける「ファースト・コール」なパーカッション奏者。打楽器の音が爽快で、トロピカルな雰囲気を醸し出すところが個性。パーカッション奏者なので、リーダー作は少ないが、かなりの数の他のアルバムに参加している。そこにもここにも「ラルフ・マクドナルド」状態なのだ。そんなラルフの初リーダー作がこの『Sound Of A Drum』になる。

これがまあ、グルーヴ感満点の、ウォームなジャズ・ファンクのオンパレード。定番ダンス・クラシックの「Jam On The Groove」、サンプリング対象として有名な「Calypso Breakdown」など、レア・グルーヴ御用達の名曲、名演の数々。フュージョン・ジャズなんだが、中身は「こってこてファンキー」な、爽やかジャズ・ファンク。むっちゃ粋で、むっちゃグルーヴィー。

この盤、フュージョンなジャズ・ファンクとして、聴き応え十分な好盤。ラルフ・マクドナルドのパーカッションがよく効いていて、どの曲にも爽やかな風が吹き抜けるよう。パーカッション=ラテンの図式を打ち破り、パーカッション=ファンク&グルーヴな効果を存分に発揮している。このファンク&グルーヴな雰囲気は、ラルフ・マクドナルドのパーカッション無しにはあり得ない。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ       2020.04.19更新。

  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2020年5月21日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・170

1960年代に入って、ハードバップは様々な個性を持ったジャズに枝分かれしていった。その1つに、1960年代後半から1970年代にかけて、R&B(ソウル・ミュージック)の隆盛と共に、そのエッセンスをジャズに取り込んだ、ファンキー・ジャズの発展形「ソウル・ジャズ」がある。

その特徴は、押し並べて「ブルースのフィーリングをさらに強調し、ゴスペルの要素も加えた、ファンクネス濃厚でダンサフルな」ジャズ。ソウル・ミュージックをジャズにそっくり置き換えた、と解釈しても良い。それだけ、ポップで聴いていてダンサフルなジャズである。

しかしながら、我が国では、あからさまに「こってこてファンキー」で、思わず腰がウネウネ動くような「俗っぽさ」が硬派なジャズ者の方々から敬遠され、ソウル・ジャズは、しばらくの間、封印された状態になっていた。

Gary Chandler『Outlook』(写真)。1972年の作品。ちなみにパーソネルは、Gary Chandler (tp), Harold Ousley (ts), Dick Griffin (tb), Cornell Dupree (g), Ceasar Frazier (org), Gordon Edwards (b: A1, B1, B3), Buddy Caldwell (Congas, Tambourine: A1, B1 ~ B3), Idris Muhammad (ds: A1, B1 ~ B3), Robert Battle (ds: A2)。ルディ・ヴァン・ゲルダーが録音エンジニアを務めており、意外と音が良い。
 
 
Outlook-gary-chandler  
 
 
パーソネルを見渡すと、文字通りソウルフルな、ソウル・ジャズが得意なジャズマンの名前がズラリと並ぶ。リーダーのゲイリー・チャンドラーは、ルー・ドナルドソンのグループでも活躍したファンキーなトランペッター。音が太くてメリハリが効いている。良く唄うトランペットで、ソウル・ミュージック特有のファンキーではあるが、どこか哀愁感溢れるフレーズを印象深く吹き回している。

ソフト&メロウなど全く無縁の「ハードボイルド」なパフォーマンスが、いかにもソウル・ジャズらしい。オルガンが良い音出している。グルーヴ感丸出しで、ファンキーにうねる。これも後のジャズ・ファンクに通じる、ソウル・ジャズ独特のオルガンのパフォーマンス。

リズム隊も負けずにソウルフル。特にコンガの音が効いている。チャカポコ〜チャカチャカと軽快なリズムが疾走し、ダンサフルなビートが途絶えること無く「うねる」。思わず腰が動く、思わず足が動く。

この盤、明らかにソウル・ジャズの好盤である。ソウル・ジャズが我が国で復権してきたのは、21世紀に入ってからである。これもネットのお陰。我が国では全く陽の目を見ることが無かったソウル・ジャズではあるが、やっとこの10年来、再評価されつつある。これからもっと、ソウル・ジャズの好盤を発掘していきたいと思っている。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて     【更新しました】2020.05.11更新。

  ・『Another Page』 1983

 ★ まだまだロックキッズ       2020.04.19更新。

  ・レッド・ツェッペリン Ⅰ

 ★ 松和の「青春のかけら達」   2020.04.22更新。

  ・チューリップ 『TULIP BEST』
  ・チューリップ『Take Off -離陸-』
 
 
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2020年4月18日 (土曜日)

ジャズ・ファンクは格好良い

引きこもりの日常に加えて、今日は朝から大荒れの天気。結構な強い雨が降っていて、一日一回の散歩も出来ず、一日、新しいブログのコーナーを立ち上げていた。まあ、そんな話はともかく、春というのに、これだけ天気が悪いと気持ちも沈みがちになる。毎日の「ジャズ盤の聴き直し」もノリの良い曲が聴きたくなる。

ということで、真っ先に選んだ盤が「ジャズ・ファンク」。「ファンク・ジャズ」と「ジャズ・ファンク」、似たようなジャンル言葉があるが、僕は後ろの単語に重きを置いて解釈している。「ファンク・ジャズ」は、ファンクの要素を取り込んだジャズ、「ジャズ・ファンク」は、ジャズの要素を取り込んだファンク・ミュージック。今回は後者の好盤を選択。

Boogaloo Joe Jones『Right On Brother』(写真左)。1970年2月16日の録音。ちなみにパーソネルは、Boogaloo Joe Jones (g), Rusty Bryant (ts, as), Charles Earland (org), Jimmy Lewis (el-b), Bernard Purdie (ds)。いずれのメンバーも、ファンク・ミュージック畑の名うての名手達。ジャズ者の僕から見ると、名前に馴染みがあるのは、オルガンの「Charles Earland」とドラムの「Bernard Purdie」かな。
 
 
Right-on-brother  
 
 
全編に渡って、ブガルーのファンク・ギターが凄い。ダンサフルな曲はノリノリ、しっとりバラードな曲はしみじみ。かかるような、前のめりのカッティングが心地良い。高速ファンク「Brown Bag」のギター・ソロなんか、惚れ惚れするばかり。シンプルに8分音符で埋め尽くす様な短くリズミカルなフレーズの嵐。軽薄で格好良い、そんな形容がピッタリのファンク・ギター。

アーランドのオルガンは、思いっ切りソウルフル。加えて、ブガルーのファンク・ギターを惹き立てる様な、相性抜群の音が実に良い。ファクネスたっぷりに、高速ファンク曲は疾走感抜群に、バラード曲は情感溢れんばかりに、アーランドのオルガンが響き渡る。ブライアントのテナーもソウルフル。耳に馴染む、緩急自在のファンキー・サックスは抜群のグルーヴ感を醸し出す。

高速ファンク曲の合間合間に挟まっている「Things Ain't What They Used to Be」や「Let It Be Me」などのバラード曲も、ファンクネスだだ漏れの名演に、ただただ聴き惚れるばかり。単純に軽薄で格好良いジャズ・ファンク。メインストリーム・ジャズとは異なる、ポップでダンサフルなジャズ・ファンクは格好良い。思わず足で拍子を取りつつ、思わず腰が動く。気持ちもほっこり温かくなります。
 
 
 

《バーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 
 
 ★ AORの風に吹かれて 【更新しました】2020.04.18

  ・『Down Two Then Left』 1977
  ・『Silk Degrees』 1976

 ★ まだまだロックキッズ  2020.03.29更新。

  ・ELP「恐怖の頭脳改革」である

 ★ 青春のかけら達  2020.04.01更新。

  ・チューリップのセカンド盤の個性



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2019年8月31日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・3

 

しかし、ブルーノート・レーベルのジャケット・デザインって、4300番台に入って一気に崩れるんですよね。4200番台まではそんなに変なジャケット・デザインは無かった。しかし、4300番台に入って、いきなり崩れた。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの引退とリバティへの売却が原因なんだろう。アルバム制作の精神的支柱を失って、ジャケット・デザインが総崩れ、といったところと想像している。
 
今日も、合成写真を使った「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの盤をチョイス。まあ、これは「おどろおどろしい」ジャケット・デザインという程ではないが、どう頑張ったって、アルバムの内容に合致した、アルバムの内容を彷彿とさせるジャケット・デザインでは全く無い。このアルバムの内容を聴いて、どう考えたら、こういうジャケット・デザインを採用できるのか、当時の担当者にとくと訊いてみたい気持ちで一杯だ。

Grant Green『Carryin' On』(写真)。ブルーノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パーソネルを見渡せば、リーダーのぐりーんとドラムのムハンマド以外、全く知らない顔ばかり。ここまでくると、昔のブルーノートの録音パーソネルの充実は今何処、と溜息がでる。
 
 
Carryin-on_20190831185801

 
この盤は、ズバリ、リーダーのグラント・グリーンのギターを心ゆくまで堪能出来る盤である。意外と話題に上がることが少ないのだが、この盤のグリーンのギターって、こってこてのファンクネス、パッキパキのシングル・トーン、鼻歌を唄うような自然な雰囲気のフレーズの流れ、いわゆる「グラント・グリーンのギターの個性」をしっかりと聴き込める内容になっている。グラント・グリーン後期の好盤として再評価して欲しいですね。

ソウル・ジャズの雰囲気を基調としているが、ポップに過ぎず、メインストリームにして適度にリラックス。時代的に明らかにメインストリーム・ジャズ、いわゆるハードバップな内容では決して無い。といって過度にポップに偏らず、適度にポップな弾きっぷり。シングル・トーンでありながら、メロディーに流されず、しっかりと印象に残るアドリブ・フレーズ。ギターの底に流れるファンクネスによって、ソウル・ジャズな雰囲気が濃厚。
 
1950年代から活躍してきた、いわゆるハードバップな演奏をメインにしてきた、グリーンにとっては、この盤を録音した1960年代末は、ジャズマンとしてかなり厳しい環境ではなかったか、と思う。それでも、グリーンの素晴らしいところは、ポップに走らず、ソウルに迎合せず、あくまでメインストリーム・ジャズに軸足を残していたところ。今の耳に、しっかりと当時の「コンテンポラリーな純ジャズ」として鑑賞に耐える。なかなかの好盤である。ジャケット・デザインに惑わされるなかれ、である。 
 
 
 
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2019年6月27日 (木曜日)

様々なブラック音楽の要素が融合

ジャズは裾野が広い。他の音楽ジャンルとの融合もし易く、逆に他の音楽ジャンルとの境界が曖昧になることも。時には「ジャズ」という音楽ジャンルに分類されていながら、どう聴いても「これってジャズと呼んで良いのか」と思うアルバムの多々存在する。しかし、しっかり聴くと、即興音楽という要素がしっかり備わっていて、つまりは「即興演奏」という要素があれば、それはジャズと呼んでよいのかと。

Archie Shepp『Attica Blues』(写真左)。1972年1月の録音。Impulse! レーベルからのリリース。リーダーのアーチー・シェップはサックス奏者。コルトレーンを敬愛し、コルトレーンを師と仰いだフリー・ジャズの雄である。そんなコッテコテのフリー・ジャズの担い手が、この盤で、コッテコテのジャズ・ファンクをやっている。
 
冒頭のタイトル曲「Attica Blues」を聴けば、それが判る。僕はこの盤を初めて聴いた時、思わず「これってジャズなんか」と仰け反ったことを覚えている。思いっきりファンキーなエレギのうねり。鳴り響くタンバリン。熱くブラックなHenry Hull(ヘンリー・ハル)のヴォーカル。そんなボーカルを煽りに煽るブラスのユニゾン&ハーモニー。うねるような粘るようなコーラスが思いっきりファンキー。
 
 
Attica-blues
 
 
しかし、リーダーのシェップのサックスが出てこない(笑)。しかし、2分割された「Steam」では、ストリングスの入った、フリーを基調としたモーダルなサックスが実に「粋」。いたずらに気持ちの赴くままサックスを吹きまくるのでは無い、抑制されグループサウンズを十分に意識したシェップのサックスは「確信的」ですらある。正統な純ジャズの最新形をここに聴くことが出来る。
 
そして面白いのは4曲目の「Invocation to Mr. Parker」。ラップの元祖といわれるLast Poets(ラスト・ポエッツ)の様でもあり、録音当時としてはかなり新しい感覚。当時はクロスオーバー・ジャズがトレンドであったが、この盤はそれを超越して、ブラック・ミュージックの様々な要素を確信的に取り込んだ、かなり尖った「ジャズ・ファンク」である。
 
ゴスペル風の音の響きあり、ジャズ・ソウルなサックスの咆哮あり、フリー・ジャズ、ファンキー・ジャズの要素はそこかしこに散りばめられ、コッテコテにファンキーなボーカルが唸りを上げる。改めて今の耳で聴き直すと、この盤は後のフュージョン・ジャズの先取り的イメージ。思いっきり尖った、様々なブラック・ミュージックの要素が融合した「フュージョン・ファンク」である。
 
 
 
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2019年6月11日 (火曜日)

後のフュージョンの先駆けです。

BN-LAシリーズは、後のフュージョン・ジャズを先取りした様な、ソフト&メロウでライトにファンキーなジャズが多く存在する。恐らく、当時のブルーノート・レーベルはマーケットへの訴求が足らなかったのだろう、上手くやれば結構ヒットしたんでは無いか、と思わせてくれる、ポップで聴き易い内容のアルバムが多く存在する。
 
Lou Donaldson『Sweet Lou』(写真左)。1974年3月の録音。ちなみにパーソネルは総勢20名以上。ボーカル&コーラス入りのエレクトリック・ジャズの編成。名前を見渡して見ても、今の目で振り返っても知っている名前はほとんど無い。エレギのDavid Spinozza, Cornell Dupree くらいかなあ、知っている名前は。恐らく、ルーさんの顔見知りのミュージシャンばかりやないかなあ。
 
冒頭の「You're Welcome, Stop On By」からファンクネス炸裂。女性ボーカルのコーラスがいかにもジャズ・ファンクっぽい。さすがブルーノートで、女性ボーカルのコーラスが入っても「ユルユル」な雰囲気にはならないし、迎合してポップに傾きすぎることも無い。ジャズとしての最低限の矜持を維持しつつ、音の雰囲気は「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズ基調。
 
  
Sweet-lou-1    
  
 
女声コーラスでポップでソウルフルに染まった伴奏の中に、スッとルーさんもアルト・サックスが入ってくる。これがバップ仕込みの芯がシッカリ入ってブリリアントな響き。この冒頭の曲を聴いていて、グローバー・ワシントンJr.の『ワインライト』を思い出した。意外とソフト&メロウではあるが、フロントは硬派なブロウで演奏全体を引き締める。これって、フュージョン・ジャズの「ヒットの極意」のひとつ。
 
もしかして、このルーさんのこの『Sweet Lou』っていうアルバム、効果的なプロモーションをしっかりとやっていたら、意外とヒットしたかも、と思えるくらい、それそれの曲のアレンジも良好、リーダーでありフロントのルーさんのアルト・サックスも好調、バックのエレギの尖った魅力的なフレーズも印象的。要所要所で入る女性ボーカル&コーラスも効果的。フュージョン・ジャズの先駆けとして、もうちょっと評価されても良い盤だと思います。
 
実はこの盤、ルーさんが長年付き合ってきたブルーノート・レーベルでも最終盤になる。ライトなジャズ・ファンクは健在。ルーさんのバップなアルト・サックスも健在。「ソフト&メロウ」なフュージョン・ジャズ基調が心地良い。上手くやればヒットしたんじゃないかなあ、と残念になるほどの良質なフュージョン・ジャズの先駆け。しかし、ジャケットは...。往年のブルーノート・レーベルの優れたデザイン・センスは何処へやら、である(笑)。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年6月 4日 (火曜日)

ルーさんの考えるフュージョン

何故だか、我が国ではルーさんの人気はイマイチ。ルーさんとは「Lou Donaldson」のこと。伝説のアルト・サックス奏者。1926年生まれ。今年で93歳、未だ現役。ジャズの演奏スタイルとしては、ビ・バップから始まり、ハード・バップ、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、そしてジャズ・ファンク、フュージョンとジャズの主だった演奏スタイルの殆どを経験している。素晴らしいのは、それぞれのリーダー作で相応の成果を出していること。NEAジャズ・マスターを受賞しているのも頷ける。

Lou Donaldson『Sassy Soul Strut』(写真左)。Blue NoteのBN-LAシリーズの「109-F」。1973年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Thad Jones (tp), Garnett Brown (tb), Seldon Powell (ts, fl), Buddy Lucas (harmonica), Paul Griffin (ac-p, el-p, org), Horace Ott (el-p), David Spinozza, John Tropea (el-g), Wilbur Bascomb Jr (el-b), Bernard Purdie (ds), Omar Clay, Jack Jennings (perc)。有名無名入り交じったパーソネルだが、冗長にならず概ね良い音を出している。

ジャズ・ファンク時代のアルバムなんだが、これが何だか、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの先駆けの様な音なのだ。アレンジはポップで流麗。ちょっとだけ聴くと思わず「イージーリスニングかい」と思うんだが、ルーさんのバップでブリリアントなアルト・サックスが入ってくると、思わず音の全てはジャズ色に染まる。この雰囲気が7曲続くのだから「堪らない」。ポップにイージーリスニングにギリギリ染まらない、ルーさんの矜持に思わず感じ入る。
 
 
Sassy-soul-strut-lou-donaldson
 
 
冒頭の、クインシー・ジョーンズがTV番組のために書いた「Sanford And Son Theme」のカヴァーがライトで流麗でファンキーなソウル・ジャズ。ロフトクラシックのWARの人気曲「City, Country, City」のカヴァーが堪らない。エロティックで思いっきりジャズ・ファンクな、Sylvia Robinson「Pillow Talk」のカヴァーも堪らない。それでもコッテコテのジャズ・ファンクにはならない。ソフト&メロウな、後のフュージョン・ジャズの様な流麗でキャッチャーなジャズ・ファンク。
 
いつものルーさんなら、バップでブリリアントなアルト・サックスで、こってこてのジャズ・ファンクをやるんだが、この盤では違う。アレンジもソフト&メロウで優しく流麗で軽い。それでも、ルーさんのアルト・サックスは明るくポジティヴである。このバップでブリリアントなルーさんのアルト・サックスを聴いていて、思わず、渡辺貞夫さんのアルト・サックスを思い出した。
 
渡辺貞夫さんはフュージョン・ジャズの寵児となって売れに売れたんだが、ルーさんはそうでもなかったなあ。電気楽器がメインのフュージョン・ジャズのフォーマットはお気に召さなかったのかなあ。この盤を聴いていて思う。この盤の路線を推し進めて、フュージョン・ジャズのブームに突入していったら売れたんやないかなあ。この盤の内容はそれほどまでに見事な、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの先駆けである。
 
 
 
日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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