2022年8月 7日 (日曜日)

ミンガス・ミュージックの確立

Charles Mingus(チャールズ・ミンガス)。モダン・ジャズにおける希有のベーシストである以上に、バンド・リーダーとして、アレンジャー&コンポーザーとしての実力が突出していると僕は感じる。何時の時代でも、ミンガス・バンドの構成力、演奏力、展開力は非常似高いレベルを維持しているのは立派だ。

Charles Mingus『The Clown』(写真左)。邦題『道化師』。1957年2月13日と3月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Shafi Hadi (as, ts), Jimmy Knepper (tb), Wade Legge (p), Dannie Richmond (ds), Jean Shepherd (narration, track 4)。

1956年の名盤『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』の次のリーダー作。パーソネルを見渡すと、前作からガラッとメンバーを入れ替えている。前作のパーソネルとの大きな違いは、この「道化師」は、あまり有名で無いメンバーが採用されている、ということ。この盤以降、ミンガス・バンドのリズム&ビートと預かるドラムのリッチモンドと、トロンボーンの盟友ネッパー以外は、有名どころのメンバーは見当たらない。

しかし、そんなちょっと地味なメンバーなので、この盤、前作の『直立猿人』と比べて、内容は劣るのだろうだろうと思いきや、前作の『直立猿人』の内容を上回るレベルの、ミンガス・バンド史上、ベスト5に入る位の内容の充実度を誇るのだから、ミンガスのバンド・リーダーとしてのバンド・サウンド作りの手腕の凄さ、そして、何より、メンバーの演奏力と個性を最大限に発揮させる、アレンジャー&コンポーザー賭しての実力の高さを実感する。
 

Charles-mingusthe-clown

 
この『道化師』というアルバム、ミンガス・ミュージックの個性と特徴の全てが反映されている、といって良い位の内容の充実度高さ。バンド・サウンドのアレンジの基本は「エリントン・ミュージック」ということは判るが、ミンガスのアレンジは、エリントン・ミュージックを更に発展させ、ミンガス独特の音の重ね方と響かせ方、そして、それぞれの楽器のアドリブ展開のスペースの絶妙な配置を施して、独特で唯一無二な「ミンガス・ミュージック」を確立させている。

アンサンブルの「音の塊」が整然と重厚に響き、ドラマチックな展開を増幅させる。整然としたジャジーでブルージーな響きは、否が応でも「ジャズ」を強烈に感じさせる。そして、特徴的なのは、ユニゾン&ハーモニー、アンサンブルが画一化せず、自由度が高く、バリエーションに富んでいるところ。サウンドのパーツそれぞれがカラフルなのは、ユニゾン&ハーモニー、そして、アンサンブルの自由度が高く、バリエーションに富んでいるからだろう。

そんな「確立されたミンガス・ミュージック」がこの『道化師』にギッシリ詰まっている。前作『直立猿人』よりも旋律が美しく、展開がドラマチックで聴き易い。ミンガスのブンブン鳴り響く重低音ベースも心おきなく堪能出来る。

「ミンガス・ミュージック」は何たるか、を感じるには絶好の一枚が、この『道化師』。かなり重厚な内容のモダン・ジャズなので、その迫力に押されるかもしれないが、これが「ジャズ」である。スピーカーの前で、そこそこの音量で、この「ミンガス・ミュージック」を体で受け止めていただきたい。
 
 

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2022年7月31日 (日曜日)

『Cumbia & Jazz Fusion』再び

久々に「チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)」のリーダー作を一気に聴き直したくなった。ミンガスのキャリア初期の名盤『Pithecanthropus Erectus(直立猿人)』 を聴いて、雄大なオーケストラルな音世界、正統なモダン・ジャズのアレンジを踏襲した重厚な音作り、しっかりと統率されたグループ・サウンド、に感じ入って以来、節目節目でミンガス・ジャズを聴いてきた。

僕はミンガス・ジャズには、モダン・ジャズの「基本中の基本」の音作りが宿っていると感じている。エリントン・ジャズを踏襲し、当時のジャズの最新の演奏トレンドを積極的に取り込み、何時の時点でも、その時点での「先端を行くジャズ」を表現している。つまり、モダン・ジャズを常に進化させている訳で、これは音楽を創造していく上での「基本中の基本」で、ミンガス・ジャズはそれをアルバム毎に、メンバー一体となって表現している。

マイルスと同じレベルで、モダン・ジャズを進化させ続けたミンガス・ジャズ。そんなミンガス・ジャズをもう一度、網羅的に体験したいと思い立った。今回は、遺作からキャリア初期に遡って、ミンガスのリーダー作を聴き直していく。逆に、そのアプローチの方が、ミンガス・ジャズの進化を感じ取れ易いと考えた。

Charles Mingus『Cumbia & Jazz Fusion』(写真左)。1976年3月はローマ、1977年3月はNYでの録音。ビッグバンド編成に、バズーンやオーボエ、イングリッシュ・ホルン、バスクラなど、木管楽器や多くのパーカッションを参入させているので、パーカッションの表記はオミットさせていただく。ドラムに永遠の相棒、ミンガスのベースの最高のパートナーであり、最高のリズム隊を構成するドラマー、ダニー・リッチモンドはちゃんといる。

LP時代の正式な収録曲は2曲のみ。A面を占める「Cumbia and Jazz Fusion」とB面を占める「Music for "Todo Modo"」の2曲。CDリイシュー時のボートラである「Wedding March/Slow Waltz」と「Wedding March/Slow Waltz [alternate take]」は蛇足な追加収録として、本来のアルバム作品としては不要なので、常にオミットして聴いている。
 

Charles-minguscumbia-jazz-fusion

 
"Cumbia(クンビア)"とは、カリブ船沿岸の黒人たちが多く住みついた漁村を中心に広がった、南米の北端に位置するコロンビアを代表する音楽のことで、アフリカン・ネイティヴぽく長閑で土着的な響きが特徴。"Jazz Fusion"は、1970年代後半、「融合」のジャズとして一世を風靡した演奏トレンドのことを指すのだろうが、ここでは、ジャズの歴史的な演奏方法、演奏トレンドの全てが詰まっていて、それが違和感なくミックスされ、展開されていくミンガス・ジャズの「融合」を指すのだと思う。

1曲目の「Cumbia & Jazz Fusion」は、収録時間28分強、長尺の力作。その演奏は、クンビアの長閑でホンワカした演奏から、ハードなジャズ・オーケストラまで目眩く「ジャズ絵巻」。全体的にスピード感のある、非常に優れたジャズ・オーケストラ。クンビアの調べの存在が、この演奏には「ジャズのルーツ」を感じさせる、実に印象的な演奏になっている。クンビアとジャズの「融合」。僕はこの演奏が大好きだ。

2曲目の「Music For "Todo Modo"」は、トランペットやサックスのフロント楽器による映画音楽的なロマンティックなテーマ演奏から入ります。それが5分ほど経つと、ちょっと捻りの入ったフリーキーな演奏に早変わり。再び、映画音楽的なロマンティックなテーマ演奏に戻り、次にやって来るのは、正統派ハード・バップな演奏。ミンガスの骨太ベースが響き渡って、この2曲目の演奏は、ジャズの演奏トレンドの「融合」。ミンガス・ジャズの真骨頂である。

途中でダレない構成力と演奏力。この盤に詰まっているメロディーは、意外とキャッチャーであり、ソフト&メロウでもある。時に、フリーキーにアブストラクトにも展開するが、それはジャズが故の、即興演奏を旨とするジャズとしての必然でもある。ミンガスの考える「フュージョン・ジャズ」がこの盤に詰まっている。

ミンガスは、この素晴らしい内容の「融合」ジャズをものにしてリリースした後、翌年早々に鬼籍に入ることになる。潔いと言えば潔い、ミンガスと言えばミンガスらしい、最後のミンガス・ジャズの記録である。
 
 

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2022年6月21日 (火曜日)

ミンガスとホーズの邂逅の記録

昨日、書いたのだが、「長期間、選盤せず全く聴き直すことの無い」盤については、だいたい、新装リイシューされるタイミングで、その存在を思い出し、おもむろに聴き直して、再び感動する。のだが、実はこの盤も、そういった、20年ほど前に聴いたっきり、「長期間、選盤せず全く聴き直すことの無い」盤になっていた類のものである。

Charles Mingus『Mingus Three』(写真左)。1957年7月9日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Hampton Hawes (p), Dannie Richmond (ds, tambourine (overdubbed))。米国西海岸からニューヨークへやってきたホーズが、ミンガスとたまたま出会って、リッチモンドを誘って録音した音源だそうだ。

「怒れるベーシスト」ミンガスは、大型のコンボやビッグバンドで演奏することが多く、ピアノ・トリオで録音するのは珍しい。トリオ演奏でのミンガスといえば、デューク・エリントンとマックス・ローチとの『Money Jungle』くらいしか思い浮かばない。逆にホーズはトリオでの演奏が多く、トリオ演奏でその個性と実力を発揮するタイプである。

全7曲中、2曲がミンガス作、1曲がホーズ作、他はスタンダード曲。ミンガス&ホーズ作の曲も良い感じだが、スタンダード曲のアレンジが、実にミンガスらしいもので感心する。
 

Charles-mingusmingus-three

 
他のスタンダードのアレンジとは、一風趣きが異なって、かなり聴き応えがある。音楽監督な役割が得意なミンガスの面目躍如。かなり「ノって」いたのだろう、ミンガスのベース・ソロも躍動感溢れ、変幻自在な重低音をブンブン響かせて絶好調である。

ホーズが何時になくバリバリ、バップなピアノを弾きまくっている。当時、西海岸では、洒落たアーバンな弾き回しのトリオ盤を出していた頃なので、このバリバリなバップらしい、カッ飛んだ弾きっぷりにはビックリ。しかし、このバリバリなバップ・ピアノがホーズの本質なんだろう。とてものびのびと弾きこなしている。タッチも切れ味が良く、ホーズも絶好調だ。

リッチモンドのドラムも硬軟自在で、ミンガスとホーズに追従する。タンバリンをオーバーダブしたりして、リッチモンドも絶好調。

発売65周年を記念して、貴重な未発表音源を収録したデラックス・エディションで、CDリイシューされて、そのタイミングで20年振りに聴き直した『Mingus Three』。その素晴らしい出来に思わずビックリ。名盤はいつ聴いてもやはり名盤だなあ、と感心することしきり、である。
 
 

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2021年10月22日 (金曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・8

ミンガス・ミュージック。雰囲気的になんだか難解な印象で、しかもバリバリ硬派な純ジャズ。時々、フリー・ジャズ的な雰囲気も時々不意を突くように入る。不協和音前提のユニゾン&ハーモニーは十八番中の十八番。振り返れば、実にジャズらしいジャズのひとつだと思うんだが、ジャズを聴き始めた頃は、このミンガス・ミュージックは実に「敷居が高い」。

Charles Mingus『Pithecanthropus Erectus』(写真左)。邦題『直立猿人』。1956年1月30日の録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Jackie McLean (as), J. R. Monterose (ts), Mal Waldron (p), Willie Jones (ds)。マクリーンのアルト・サックスとモンテローズのテナー・サックスが2管フロントのクインテット編成。ミンガス・ミュージックの最初の成果である。

この盤、ジャズ者初心者向けの名盤紹介に必ずと言って良い位、このタイトルが挙がるのだが、内容的には決して易しく無い。基本的に難解。ジャズの基本である即興演奏とジャズ演奏の自由度の高さ、ジャズの表現力の高さ、に着目したミンガス・ミュージックで、ハードバップが基調であるが、ビッグバンド志向の分厚いバンド・サウンドと自由度の高いアドリブ展開が特徴。
 

Pithecanthropus-erectus-mingus

 
アレンジが優れているのだろう、クインテット編成でビッグバンドの様な分厚い音。不安な気持ちを増幅させる様な不協和音の取り扱い。メンバーそれぞれのアドリブ演奏の自由度が高く、演奏スペースが広い。それでいて、テーマ部は整然とした、強烈に統制が取れたユニゾン&ハーモニー。そして、演奏全体の統制は、骨太でソリッドで強靱なミンガスのベースが執り行う。ミンガスのベースがあってこそ成立する「ミンガス・ミュージック」の極意がこの盤に詰まっている。

ジャズの表現力の高さは「A Foggy Day」で確認出来る。この曲はサンフランシスコのフェリー乗り場に向かうまでの霧の深い日の車のクラクション、警報の音、二日酔いの気怠さ等々、自らが感じた霧深き日の雰囲気を演奏で表現している、とミンガスはジャケ裏のライナーノーツで語る。この「表現力の高さ」は、このクインテット編成のメンバーそれぞれの力量に負うところが多い。それぞれが素晴らしいパフォーマンスを発揮している。

ポップな旋律、キャッチャーなメロディーはほぼ皆無。この盤は硬派で取っ付き難くはあるが、内容的には「良質のハードバップ」演奏が詰まっている。ストイックでその高度な内容はアーティスティックですらある。そういう意味でこの盤、初心者は要注意。ジャズを聴き始めて、即興演奏の妙とアドリブの優劣が判ってから、腰を据えて聴くことをお勧めする。
 
 
 

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  ・The Brothers Johnson『Light Up the Night』&『Winners』

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  ・『ヘンリー8世と6人の妻』を聴く

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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

 
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2021年8月 1日 (日曜日)

ミンガス・バンドを聴き直す。

Charlis Mingus(チャールズ・ミンガス)の創り出す音が好きだ。もともとは骨太でソリッドなレジェンド級のベーシスト。加えて、コンポーザーでもあり、バンドのリーダーでもある。ミンガスの創り出す音は「ミンガス・ミュージック」と名付けられ、ハードバップが基調であるが、ビッグバンド志向の分厚いバンド・サウンドと自由度の高いアドリブ展開が特徴。

特に、ユニゾン&ハーモニーの音の重ね方とベース・ラインに独特のものがあって、どのアルバムもしばらく聴いていると「あ〜、これはミンガスやな」と判るくらいの強烈な個性である。ミンガスのベースの音は、これまた独特の響きがあって、演奏の中のベースの音を聴くだけで、「このベースってミンガスやな」と判るくらいである。

Charlis Mingus『Mingus In Europe, Vol.1』(写真)。1964年4月26日、西ドイツ(当時)でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Charles Mingus (b), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Clifford Jordan (ts), Jaki Byard (p), Dannie Richmond (ds)。エリック・ドルフィーとクリフォード・ジョーダンが2管フロントのクインテット編成。
 

Mingus-in-europe-vol

 
リズム・セクションは、ミンガスのベースに、バイヤードのピアノ、リッチモンドのドラムで、このリズム・セクションをとってみても、強力かつ唯一無二。そこに、フロント2管、アルトの早逝の鬼才、ドルフィーに、骨太なモーダル・テナーのジョーダンが絡む。振り返って見れば、素晴らしくユニークで強力なクインテットだったことが良く判る。

この盤のライヴ演奏については「とにかく聴いて欲しい」の一言。ミンガス率いる強力リズム隊の強烈なリズム&ビートに乗って、鬼才ドルフィーのアルトが嘶き、フルートが空を舞い、バスクラがファンキーでアーバンな妖しい低音を振り撒く。ジョーダンのテナーが疾走し、モーダルなフレーズを叩き出す。とにかく、バンド全体の疾走感と自由度が半端ない。

ミンガス・バンドはどの時代のアルバムを聴いても、ミンガス・ミュージック独特の音が必ず存在し、ミンガス独特のベースラインが存在していて、その唯一無二な個性は填まったら「とことん癖になる」。特に、ミンガス・バンド在籍時のドルフィーはユニークで素晴らしいの一言。久し振りにミンガス・ミュージックの一端に触れた訳だが、久し振りに、とことん、ミンガス・ミュージックを聴き込みたいと思い始めた。
 
 
 
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2021年7月22日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・214

各老舗のジャズ・レーベルには「こんなジャズマンいたんや」と思う、知る人ぞ知る玄人好みのジャズマンがいる。最近、サヴォイ・レーベルについては、カタログを眺めながら、これは、と感じる盤を順番に楽しみながら聴き直しているのだが、サヴォイ・レーベルでの「知る人ぞ知る玄人好みのジャズマン」の1人が「レッド・ノーヴォ」。

改めて、レッド・ノーヴォ(Red Norvo)は、米国イリノイ州の出身、1908年の生まれ。スイング期に活躍、ビ・バップ期には40歳を過ぎて、この時点で中堅のジャズマンということになる。但し、リーダー作はハードバップ期に集中していて、幾つかのレーベルになかなかの秀作を残している。1960年代に入って、リーダー作はほとんど途絶え、1999年4月に鬼籍に入っている。

Red Norvo Trio『Move!』(写真左)。1951年の録音。サヴォイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Red Norvo (via), Tal Farlow (g), Charles Mingus (b)。当時として先進的な、ドラムレス、ピアノレスのトリオ編成。録音担当は(マスタリングのみかも)、ルディ・ヴァン・ゲルダー、プロデューサーはオジー・カディナ。録音も良好、内容的にも、ビ・バップを抜けて、ハードバップ風の演奏になっている。
 

Move

 
まず、リーダーのレッド・ノーヴォの品のある、硬質な音ではあるが流麗なヴァイブの弾き回しに耳を奪われる。ファンクネスをドップリ振り撒くのでは無く、スッキリとしたファンクネスを仄かに漂わせながらの、品のある弾きっぷりは聴き応えがある。さすが、スイング期に活躍しただけはある。アドリブ・フレーズはどれもが「スインギー」。

サイドマンの2人のパフォーマンスも素晴らしい。タル・ファーロウのギターは先鋭的。かなり硬質なピッキングでプレグレッシヴに、アグレッシヴに弾きまくる。旋律の弾き回しも素晴らしいが、ドラムレスな分、リズム楽器としてのファーロウのバッキングも見事。チャールズ・ミンガスのベースも骨太でソリッドで、その存在感は頼もしい限り。

LPサイズ単品でのCDリイシューがしばらく途絶えて、入手が難しい時期が続いたが、最近では、音楽のサブスク・サイトなどで、この『Move!』の音源を含んだ『The Savoy Sessions: The Red Norvo Trio』(写真右)がアップされていて(CDでもリリースされている)、やっと気軽に聴くことが出来る環境になった。
 
 
 
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2021年2月27日 (土曜日)

ブレーメンのミンガス 1975年

ブレーメンのミンガス、昨日の続きである。1964年、主力のエリック・ドルフィーが抜けて以来、しばらくの間、ミンガス・バンドは勢いを徐々に失う。時期的にポップスやロックの時代になったのに合わせて、ジャズがポピュラー音楽の中でマイナーな存在に落ちていった時期でもあったので、ストレート・アヘッドなジャズを旨とするミンガス・バンドとしては辛い時期だったと思う。

しかし、1974年の夏以降、テナー・サックスのジョージ・アダムス(George Adams), ピアノのDon Pullen(ドン・ピューレン)が加入して、ドルフィーを加えていた時代以来、久方ぶりに超強力メンバーをそろえたクインテット編成が成立。ドルフィーとはまた違った、ポジティブでスピリチュアルなアダムスのテナーが強力で、多弁で重量感のあるピューレンのピアノと相まって、極上のミンガス・ミュージックを再現している。

『Charles Mingus @ Bremen 1964 & 1975』(写真左)。チャールズ・ミンガス 1964年と1975年のブレーメン公演のライヴ音源。CD4枚組でのリリース。

CD1とCD2が「1964年4月16日、Sendesaal Radio Bremen’s Studio」での音源。CD3とCD4が「1975年7月9日 Post-Aula Auditorium Recorded by Radio Bremen」の音源。オリジナル・テープからリマスタリングした初の公式リリースである。
 
Charles-mingus-bremen-1975  
 
今日は、CD3とCD4、1975年7月9日の録音分について語りたい。ちなみにパーソネルは、Jack Walrath (tp), George Adams (ts, vo), Don Pullen (p), Charles Mingus (b), Dannie Richmond (ds)。先にご紹介した、テナーにアダムス、ピアノにピューレンを加えたクインテット編成。トランペットのジャック・ウォラスはそこそこリーダー作も出しているベテランだが、我が国ではほとんど無名。しかし、アダムスとの2管フロントは強力。

アダムスのテナーがエネルギッシュで、ストレートで切れ味良く、スピリチュアルなブロウが、ミンガス・ミュージックにピッタリ。ウォラスのトランペットも同傾向で、この2管フロントの迫力は凄まじいばかり。

ミンガスは強力な2管フロントを得て、安心して充実したうねる様な、鋼の様な、重低音ベースを弾き続ける。このミンガスのベースの迫力も凄まじいばかり。ピューレンの多弁で重量感のあるピアノとリッチモンドの覇気溢れるポリリズミックなドラミングが、これまた2管フロントを支え鼓舞していく。

演奏の適度なテンションとグループ・サウンドとしてのまとまりの面を踏まえると、演奏の充実度は1964年に勝るとも劣らない。ミンガスはこの録音の4年後、1979年1月5日に56歳の若さで逝去する。しかし、この1975年のクインテットの輝きは永遠に音源として残っている。
 
 

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【更新しました】 2021.02.09 更新。

  ・『TOTO』(宇宙の騎士) 1977

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  ・そしてタツローはメジャーになる
 
  
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2021年2月26日 (金曜日)

ブレーメンのミンガス 1964年

ハードバップからモード・ジャズ、硬派な純ジャズ路線が魅力の「ミンガス・ミュージック」。ジャズ・ベーシストのレジェンド、チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)率いるバンドが奏でる純ジャズは、どこまでも「ストレート・アヘッド」。1950年代からミンガスが亡くなる1970年代終盤まで、ミンガス・バンドの奏でるジャズは「ストレート・アヘッド」。

『Charles Mingus @ Bremen 1964 & 1975』(写真左)。チャールズ・ミンガス 1964年と1975年のブレーメン公演のライヴ音源。CD4枚組でのリリース。

CD1とCD2が「1964年4月16日、Sendesaal Radio Bremen’s Studio」での音源。CD3とCD4が「1975年7月9日 Post-Aula Auditorium Recorded by Radio Bremen」の音源。オリジナル・テープからリマスタリングした初の公式リリースである。

今日は、CD1とCD2、1964年4月16日の録音分について語りたい。ちなみにパーソネルは、Johnny Coles (tp). Eric Dolphy (as, fl, b-cl), Clifford Jordan (ts), Jaki Byard (p), Charles Mingus (b), Dannie Richmond (ds)。ミンガスとドルフィーとの最後の共演となった1964年の欧州ツアーでの一コマ。このツアーを終えて欧州に留まったドルフィーは、そのわずか 2ヶ月後に糖尿病の悪化で急逝してしまった。
 
 
Charles-mingus-bremen-1964
 
 
この音源は凄い。当時のミンガス・バンドの最高の演奏が詰まっている。特にエリック・ドルフィーが飛び抜けて凄いパフォーマンスを繰り広げている。一聴してすぐに判る、ドルフィー独特の「不思議に捻れた」フレーズ、エモーショナルでスピリチュアルな、それでいて耳につかない情感溢れるブロウ、エネルギッシュで爽快感溢れるアドリブ展開。この盤のドルフィーは絶好調。

もちろんミンガスのうねる様な、鋼の様な、重低音ベースも素晴らしい。取り分け、ソロをとる時の、ダンディズム溢れる、硬派で無頼漢な超弩級の重低音ベースはミンガスならではのもの。これだけ太くて重い重低音ベースはミンガスのものが一番だろう。それでいて、耳につかず、しっかりとフロントのブロウを支え鼓舞するのだから凄い。

ドルフィーの熱演とミンガスの鼓舞に応える様に、コールズのトランペット、ジョーダンのテナーも好演につぐ好演。ドルフィートのフロント3管はど迫力のユニゾン&ハーモニー。そして、リズム隊のバイアードのピアノ、リッチモンドのドラムもミンガス・ミュージックのリズム&ビートを適切に叩き出す。

今の耳で聴いても、この1964年のミンガス・セクステットは凄い。マイルスの1960年代黄金のクインテットに比肩するパフォーマンスだと思う。何故か我が国では人気が低いミンガスだが、そのパフォーマンスに「凡盤・捨て盤」はない。今回の公式リリース盤も素晴らしい内容。4枚組のちょっと重めのボリュームだが、聴き始めたら、あっと言う間の3時間弱、一気に聴き切ってしまう。好盤です。
 
 

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2018年10月 3日 (水曜日)

ミンガスは「ながら」に向かない

昔から「ながら族」であった。中学の頃から、音楽を聴きながら勉強すると能率が上がった。学生の頃は音楽を聴きながら、本や論文を読むと能率が上がった。この「ながら」の音楽については向き不向きがある。基本的にフュージョン・ジャズは向くが純ジャズは向かない。音楽の良し悪しとは比例しない。逆に良い音楽の方が「ながら」に向く。

逆に「ながら」に絶対に向かない音楽もある。ジャズで言えば、チャールズ・ミンガスの諸作は絶対に「ながら」に向かない。しっかりとステレオの前に陣取り、スピーカーに対峙して、しっかり聴き込むことが必要になる。ミンガスの音楽はそういう類のものである。アルバムや演奏には必ずテーマがあり、そのテーマについてジャズの演奏で語るように表現する。それがミンガスの音楽である。

つまり、ミンガスの音楽を楽しむということは、ミンガスによる様々な音の表現を楽しむことであり、ミンガスの作曲能力と演奏におけるリーダーシップを愛でることである。それには「ながら」は向かない。よって、ジャズを聴き始めてミンガスの音楽に出会って以来、ミンガスのリーダー作は「ながら」で聴いたことが無い。
 

The_clown_mingus  

 
Charles Mingus『The Clown』(写真左)。1957年2月と3月の録音。ちなみにパーソネルは、    Charles Mingus (b), Shafi Hadi (as, ts), Jimmy Knepper (tb), Wade Legge (p), Dannie Richmond (ds), Jean Shepherd (narration)。演奏についてはクインテット構成。たった5人でこれだけ分厚くて濃厚な音を出すのだから、ミンガスのアレンジ能力も素晴らしいものがある。

傑作である。全曲、ミンガスの作曲なので統一感が抜群。全編に渡って、ミンガスの重量感溢れるベースが大活躍。ミンガスのベーシストとしての実力と個性を確認するのにも好適なアルバムでもある。冒頭の有名な「ハイチ人の戦闘の歌」を聴けば、このアルバムの音世界の傾向が如実に判る。フロント2管とドラムも攻撃的で重量感抜群。加えて、タイトル曲の「道化師」などはナレーション入りで、現代ジャズのトレンドを50年以上も先取りしている。

ミンガスの音楽は「新しい」。現代ジャズの世界にもダイレクトに通用する、先進的なフレーズや仕掛けが施されていて、聴くとその内容の先進性に驚く。ミンガスのアルバムを聴く度に「ジャズはアートである」という感覚を噛みしめる。1957年時点で既にフリー・ジャズの片鱗も聴かせてくれており、ミンガスの音楽が如何に先取性に溢れていたか、を再認識する。ミンガスの音楽は「ながら」に向かない。しっかりと対峙して聴くべし。

 
 

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2018年7月29日 (日曜日)

「ネオ・スピリチュアル」の先駆

ベーシストがリーダーのアルバムを聴くのが好きだ。ベーシストがリーダーのアルバムは面白い。ベーシストがリーダーのアルバムには2つの傾向がある。ひとつはベースの演奏自体が非常に特徴的な場合で、その特徴的な演奏内容を全面に押し出したスタイル。もうひとつは、ベーシストが卓越した作曲能力、編曲能力を有する場合で、この作曲能力、編曲能力にスポットを当てて、リーダー・アルバムを演出するケースである。

ベーシストがリーダー作で面白いのは後者で、この後者の代表的ベーシストが「チャールズ・ミンガス(Charles Mingus)」。ジャズ・ベーシストの伝説のレジェンドであり、卓越したコンポーザー・バンドリーダーである。この「コンポーザー・バンドリーダー」の部分がミンガスの場合、突出していて、聴きどころのあるリーダー作を多くリリースしている。どれもが独創的で全くマンネリが感じられない。非常に優れた成果ばかりである。

『Mingus Mingus Mingus Mingus Mingus』(写真左)。1963年1月&9月の録音。最近、久し振りに聴き直したミンガスのリーダー作である。ビッグバンド構成&アレンジの楽曲がメインで、心ゆくまで、ミンガス・ミュージックを堪能することが出来る。ミンガスの音楽は重心が低く、4ビートが基調であるが、フリー一歩手前で留まりながらも自由度は限りなく高い。フレーズの展開も多彩で、バリエーション豊か。マンネリズムなど無縁である。
 

Mingus_mingus_mingus

 
収録曲を見渡すと「当時の新曲ばかりやなあ」と思うが、演奏を聴くと「あれっ」と思う。この盤、実はタイトル違いの再演の曲が多く収録されている。アレンジの焼き直し、アドリブ展開の洗い替えがメインなので、オリジナルの演奏に比べて、確実にバージョンアップされており、それが理由でこの盤、聴いていてかなりの充実度を感じる。

例えば、 冒頭の「II B.S.」は『The Clown』収録の「Haitian Fight Song」。5曲目の「Better Get Hit in Yo' Soul」は『Mingus Ah Um』収録の「Better Git It In Your Soul」。6曲目の「Theme for Lester Young」は同じく『Mingus Ah Um』収録の「Goodbye Pork Pie Hat」。7曲目の「Hora Decubitus」が『Blues & Roots』収録の「E's Flat Ah's Flat Too」。いずれもアレンジ、演奏内容共に、オリジナルの演奏を凌駕している。聴き応え満点である。

今の耳で聴くと、ラップの様なボイスの活用あり、ゴスペルを応用したファンクネス溢れるユニゾン&ハーモニーあり、最近流行の「ネオ・スピリチュアル」なジャズの雰囲気が漂っている。この盤の録音は1963年。今を去ること約55年前に、キャッチャーで構築美溢れる「ネオ・スピリチュアル」なジャズの先駆的な音が残されていたとは。ミンガスの先進性に改めて敬意を表した次第。好盤です。

 
 

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