2023年1月 4日 (水曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・22

ジャズ・ピアノの「最高のスタイリスト」ビル・エヴァンスは、1958年にマイルス・デイヴィスのバンドに短期間加わり、約1年弱、録音とツアーを行っている。その最大の成果が、Miles Davis『Kind of Blue』。マイルスと協働し、ハード・バップ的な頻繁なコード・チェンジではなく、モードを基にしたアドリブ展開を、このアルバムで実現している。

その後、1959年にエヴァンスはドラマーのポール・モチアンとベーシストのスコット・ラファロをメンバーに、自らがリーダーのパーマネントなトリオを初めて結成する。このトリオは、ピアノ・ベース・ドラムスの、各自の創造的な三者三様のインプロを展開する「インタープレイ」を実現した初めてのトリオであり、以降、他のピアノ・トリオ演奏に新しい方向性を与えている。

その最初のスタジオ録音の成果が、Bill Evans『Explorations』であり、Bill Evans『Portrait in Jazz』である。そして、ライヴ録音の成果が以下の2枚である。特に、このライヴ録音の2枚は、このライヴ録音の11日後、ラファロが交通事故で急逝してしまったので、当時から劇的な印象を残している。

Bill Evans『Sunday at the Village Vanguard』(写真左)、Bill Evans『Waltz for Debby』(写真右)の2枚が、そのライヴ録音の成果である。1961年6月25日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Scott LaFaro (b), Paul Motian (ds)。NYの老舗ライヴハウス、ヴィレッジヴァンバードでのライブ録音。

天才ベーシスト、スコット・ラファロが11日後に急逝しているので、ラファロへの感情移入が激しいこの2枚のライヴ盤であるが、冷静になって聴き直してみる。

まず、『Sunday at the Village Vanguard』は、僕は、ピアノ・ベース・ドラムスの、各自の創造的な三者三様のインプロを展開する「インタープレイ」のライヴの記録だと理解している。
 

Sunday-at-the-village-vanguard_waltz-for

 
ラファロのベースばかりがクローズアップされた評価が目に付くが、エヴァンスのピアノも、モチアンのドラムも充実している。これだけ自由度の高いインタープレイは、当時としては唯一無二。適度なテンションの下、三者三様の創造的なインタープレイはそれはそれは見事で、そんな中でもラファロのベースが特に目立つ。

『Waltz for Debby』については、エヴァンスのピアノの「耽美的でリリカルで静的」な面がクローズアップされた、とされるアルバムだが、これについては、僕は、マイルスの下で「ものにした」モード奏法をこの「伝説のトリオ」で実現した唯一のライヴの記録だと理解している。

もともと、エヴァンスは「明確なタッチのバップなピアノ」が持ち味で、「耽美的でリリカルで静的なピアノ」が持ち味では無い。この盤での「耽美的でリリカルで静的」な響きが溢れる演奏でも、エヴァンスのタッチは明確で鋭い。決して、響きを重視した耽美的なタッチでは無い。

この『Waltz for Debby』における「耽美的でリリカルで静的」な雰囲気は、マイルスの『Kind of Blue』のラスト「Blue in Green」に通じる響きだと理解していて、モーダルな演奏の特徴、ビルがマイルスの『Kind of Blue』のライナーノーツで日本古来の水墨画を例に表現した「モード奏法を基にした即興の個の表現」を、この「伝説のトリオ」で表現したものではないか、と思っている。

最後にまとめると、このビルの「伝説のトリオ」のスタジオ録音『Portrait in Jazz』『Explorations』の2枚で表現した、ピアノ・ベース・ドラムスが創造的な三者三様のインプロを展開する「インタープレイ」と、マイルスの下でものにした「モード奏法」をライヴで実現した傑作、と僕は評価している。一期一会の即興演奏であり「ライヴ演奏」であるが故に、この2枚は、後世のピアノ・トリオ演奏に新しい方向性を与えている、と理解している。
 
 

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2022年10月21日 (金曜日)

ミッチェルの成熟ファンキー盤

ジャズの世界では、歴史に名を残すイノベーターばかりで無く、歴史を変えたり、新しい演奏トレンドを生み出すことは無いが、その個性と演奏スタイルから、人気ジャズマンとして名を残しているジャズマンが沢山いる。

トランペッターでは、僕は真っ先に「ブルー・ミッチェル(Blue Mitchell)」の名前が浮かぶ。彼は、ジャズにおいて、イノベーターでも無ければ、キーマンでも無い。ファンキーで円やかで流麗なトランペッターという個性で、ジャズの歴史上に名を残している。

Blue Mitchell『Out of the Blue』(写真左)。1959年1月5日の録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、ちなみにパーソネルは、Blue Mitchell (tp), Benny Golson (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b, tracks 2 & 5,6), Sam Jones (b, tracks 1,3 & 4), Art Blakey (ds)。今回はややこしいので、CDリイシュー時のボートラ(7曲目)はオミットしてコメントしている。
 

Blue-mitchellout-of-the-blue

 
ブルー・ミッチェルの2枚目のリーダー作になる。テナーにベニー・ゴルソンが、ドラムにアート・ブレイキーが、ピアノにウィントン・ケリーがいる。これだけでも、ファンキー・ジャズが基本の演奏になっているのかな、と想像出来る。フロントの相棒とリズム隊がファンキー・ジャズの担い手達なのだから、ミッチェルもさぞ、吹きやすかったと思われる。

ライトで流麗なファンキー・ジャズが全編に流れる。ブリリアントにファンキーに流麗に、ミッチェルのトランペットが映えに映える。フロントのゴルソンのテナーも何時になく好調に飛ばしているし、リズム隊も絶好調。ケリーも健康優良児的なファンキー・ピアノを弾きまくっていて清々しい。

ネジのアップのジャケットは「?」で、僕は最初、この盤は、プレスティッジ・レーベルの盤かと思った(笑)。リヴァーサイド・レーベルのジャケって、まあまあのものが多いのだが、このジャケは「?」。それでも、内容的には優れていて、メンバー全員が好調の「成熟したファンキー・ジャズ」がこの盤に詰まっている。
 
 

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2022年4月11日 (月曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・97

ジャズ・ピアニストの個性には2通りあると思っている。1つは「一聴すれば直ぐに判る個性」。タッチやフレーズに、その人独特の癖や弾き回しや響き、雰囲気があるパターン。

もう1つは「優れた総合力そのもの」を個性とするパターン。前者はジャズ者の初心者でも直ぐにその個性が良く判る。後者はジャズ者初心者には、ちょっと判り難い個性である。

Barry Harris『Chasin' the Bird』(写真)。1962年5月31日、8月23日の録音。ちなみにパーソネルは、Barry Harris (p), Bob Cranshaw (b), Clifford Jarvis (ds)。パウエル派の「優れた総合力そのもの」を個性とするタイプのピアニスト、バリー・ハリスのトリオ盤である。

バリー・ハリスと言えば、スタイルは「バップ・ピアニスト」。ビ・バップの演奏マナーをハードバップに活かした演奏が個性で、テクニック溢れる流麗な指捌きと簡潔なアドリブ・フレーズが個性。バド・パウエルのピアノから、激しさと鬼気迫る超絶技巧を引いて、優雅さと親しみ易さを足した様な、まさに、バド・パウエルのピアノを流麗に聴き易くしたようなピアノである。
 

Chasin-the-bird_barry-harris_1_20220411192201

 
タッチは明確、テクニックは抜群、歌心に優れ、アドリブ展開もオリジナリティー溢れるもの。という「優れた総合力」が魅力で、そんな優れた総合力の中に、優雅さと親しみ易さが滲み出てくるピアノがハリスの個性。ブルージーな感覚やファンキーな要素は控えめで、典雅な弾き回しのスピード感とオフ・ビートが醸し出すグルーヴ感が特徴。間の取り方も趣味が良く、バップなピアノの好例として聴き応えがある。

「優れた総合力そのもの」を個性とするピアニストは、演奏する楽曲の持つ個性・特性をあぶり出すことに長けている。テクニック溢れる流麗な指捌きは、癖や弾き回しに惑わされる事無く、演奏する楽曲の持つ特性を判り易く表現してくれる。

加えて、この盤の録音がとても良くて、ボブ・クランショウのベース、クリフォード・ジャーヴィスのドラムによる好サポートが、手に取るように聴き取れる。特にクランショウのメロディアスな「唄う様に」響くベースラインがとても魅力的。

バリー・ハリス、33歳のパフォーマンス。この盤では「バップなピアノ」での直球勝負。選曲も、ハリスの個性を引き立たせる、典雅でメロディアスなスタンダード曲が中心で、ハリスの弾き回しには惚れ惚れする。謹んで「ピアノ・トリオの代表的名盤」に選定したいと思います。
 
 

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2022年1月19日 (水曜日)

ウィントン・ケリー入門盤です

リヴァーサイド・レコード(Riverside Records)は、1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって設立されたジャズ・レーベル。アルバムをカタログ順に聴き直していて思うのは、意外と硬派なレーベルだということ。ハードバップ全盛期に活発な活動を誇ったレーベルだが、意外と聴衆に迎合した、大衆的なアルバムは少ない。

セロニアス・モンク、ビル・エヴァンス、マックス・ローチ、ランディ・ウエストン等、リヴァーサイドの看板ジャズマンは皆、硬派なハードバップをやる人達。ポップで判り易い大衆的なところは無い。ファンキー・ジャズをやるウィントン・ケリーや、ボビー・ティモンズ、キャノンボール・アダレイだって、意外と硬派でストイックなファンキー・ジャズをやっている。

Wynton Kelly『Kelly Blue』(写真左)。1959年2月19日と3月10日の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Nat Adderley (cor, tracks 1 and 5), Bobby Jaspar (fl, tracks 1 and 5), Benny Golson (ts, tracks 1 and 5), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。セクステット編成が2月19日、ピアノ・トリオ編成が3月10日の録音になる。
 

Kelly-blue

 
1曲目の「Kelly Blue」と5曲目の「Keep It Moving」が、フロント3管のセクステット編成。その他がピアノ・トリオ編成。フロント3管のセクステット編成の演奏が、リヴァーサイドとしては珍しく、典型的なファンキー・ジャズで、ユニゾン&ハーモニーもキャッチャーで、ちょっと気恥ずかしくなるくらいに、演奏全体の雰囲気がポップ。

確かに、セクステット編成の演奏はそうなんだが、ケリーのピアノをメインとするピアノ・トリオ編成の演奏は、意外とストイックで、ケリーのピアノの個性、健康優良児的にハッピーな弾き回しだが、その底にそこはかとなく漂う哀愁とマイナー感が良く判る内容で、ケリーのピアノを理解するに最適な演奏となっている。

この盤、リヴァーサイドの中でも「ポップでキャッチャーな内容のファンキー・ジャズ盤」として、ジャズ者初心者向けのアルバムとして、よくそのタイトル名が上がる盤。しかし、冒頭の「Kelly Blue」だけで、ジャズ者初心者向けのジャズ入門盤とするには、あまりに短絡的すぎる。セクステット編成の演奏の中でも、ケリー節は唸っている。この盤、ウィントン・ケリーのピアノを理解する、「ケリー入門盤」として捉えた方がしっくりくる。
 
 
 
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2021年12月25日 (土曜日)

アビー・リンカーンの代表作

改めて、リヴァーサイド・レーベルのカタログを眺めていると、なかなか他のレーベルでは聴けない、リヴァーサイド・レーベルならでは、のアルバムを結構あることが判る。リヴァーサイドの総帥プロデューサー、オリン・キープニュース、結構、良い仕事してます。

Abbey Lincoln『That's Him!』(写真左)。1957年10月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Abbey Lincoln (vo), Kenny Dorham (tp), Sonny Rollins (ts), Wynton Kelly (p, (except "Don't Explain"), b, ("Don't Explain")), Paul Chambers (b, (except "Don't Explain"), Max Roach (ds)。当時、新進気鋭の女性ヴォーカリスト、アビー・リンカーンの2枚目のリーダー作。

まず、パーソネルが凄い。当時の「ビッグ・ネーム」なジャズマンばかり。よく集めましたねえ。リーダーのアビー・リンカーンが一番マイナーな存在なのが面白い。ちなみにアビー・リンカーンは1930年生まれ。この盤の録音時は27歳。まだまだ若手の駆け出しである。

3大女性ジャズ・ヴォーカリストと称される「サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ビリー・ホリデイ」のネクスト世代。ちょっとこぢんまりした印象は否めない。が、この盤では、堂々とガッツのあるヴォーカルを聴かせてくれる。この盤にも参加しているマックス・ローチのレコーディングに多数参加、ローチの強い政治色の影響を受け、後に結婚している(1970年に離婚)。
 

Thats-him_abbey-lincoln

 
アビー・リンカーンのヴォーカルは、力感溢れる、ストレートで豪快な唄いっぷり。唄いっぷりを聴いていると、ビリー・ホリディの影響を強く受けているのが良く判る。強い政治的思想を持った人で、彼女の歌には、そんな信念と情念を感じる。強い説得力を持ったアビー・リンカーンのボーカルは聴き応え満点。そんな彼女の唄いっぷりは、冒頭の有名曲「Strong Man」で、十分に確認出来る。

バックのスーパーなメンバーも当然、凄い音を連発。特に、ロリンズのテナー・サックスは、充実していて、大きい音で、大らかでダンディズム溢れる、力強いフレーズを連発。後に「夫君」となるマックス・ローチも、何時になく変幻自在なドラミングで、その高いテクニックを惜しみなく披露している。

ただ、この盤を聴いていて「偉いなあ」と思うのは、そんなスーパーなバック・メンバーだが、アビーのヴォーカルの邪魔は絶対にしない。逆にアビーを引き立てる役割を積極的に買って出ているようなのだ。ウィントン・ケリーのピアノも、変幻自在、硬軟自在なバッキングをしていて、こんなに歌伴上手なピアニストだったんだ、と改めて感心した次第。

実はこの盤には面白いエピソードがあって、ラストの「Don't Explain」の録音時、ベーシストのポール・チェンバースが泥酔状態に陥り、演奏不能状態になってしまった。誰がベースをやるのか、と思いきや、ピアノのウィントン・ケリーがベースを代理演奏している(よってバックにピアノはいない)。これが、ちょっと単調だが味のあるベースで、意外と「聴きもの」なのが、これまた面白い。
 
 
 
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2021年12月19日 (日曜日)

ズートにとって「稀少」の名盤

1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって設立された、メインストリーム志向のジャズ・レーベルである,リヴァーサイド・レコード(Riverside Records)。1955年、セロニアス・モンクと契約したのを皮切りに、当時のリアルタイムの「モダン・ジャズ」の新盤の録音をスタートした。

リヴァーサイドには、他のレーベルに録音を残しているのだが、イマイチ決定打に欠ける一流ジャズマンの好盤が結構、ゴロゴロしている。前のブログの記事に書いた「セロニアス・モンク」の諸作がその代表例だが、このサックス奏者についても、それが言える。この盤は確かに、彼の「決定打」だろう。

Zoot Sims『Zoot!』(写真左)。1956年12月13, 18日、NYでの録音。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (as, ts), Nick Travis (tp), George Handy (p), Wilbur Ware (b), Osie Johnson (ds)。リーダーのズート・シムスのサックスとニック・トラヴィスのトランペットの2管フロントのクインテット編成。バックのリズム・セクションはセッション・ミュージシャンに近いメンバーばかり。
 
Zoot

 
バックがほとんど無名のジャズマンばかりだが、この盤でのズート・シムスは絶好調。元来の「骨太で少しウォームな、ダンディズム溢れるサックス」が、バンバン迫ってくる。2管フロントのクインテット編成だが、ほとんど、ズートのワンホーン・カルテットと間違うほど、ズートのサックスが前面に出て、充実している。

スロー・バラードからミディアムテンポの曲でこそ、ズートのサックスの個性を存分に愛でることが出来ると感じているのだが、この盤の収録曲とアレンジが、ズートのサックスの魅力を引き出すような佳曲ばかりなのだ。ピアニストのジョージ・ハンディ作の曲においても、スタンダードにおいても、ズートのサックスは流麗かつ骨太、歌心満点にダンディズム溢れるサックスを吹き上げている。

ズート・シムスの場合、1950年代から1960年代、録音するレーベルについて「固定化」せず、優れたプロデューサーの下で腰を据えて録音する機会に恵まれなかった様で、明らかに「決定打」に欠ける。また、有名な一流ジャズマンとのセッションもあまり無く、他のジャズマンとの交流の中での「化学反応」の機会も少なかった。そういう意味で、このリヴァーサイドの『Zoot!』は、ズートにとって「稀少」の名盤である。
 
 
 
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2021年12月17日 (金曜日)

聴き易い「モンクの強烈な個性」

リヴァーサイド・レコード(Riverside Records)は、1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって設立されたジャズ・レーベルである。グラウアーは財政面を管理、キープニュースはプロデューサー。クラシック・ジャズの復刻専門としてスタートしたが、1955年、セロニアス・モンクと契約したのを機に本格的なレコード制作活動を始めている。

リヴァーサイドの成り立ちを読んでも判る通り、リヴァーサイドは、セロニアス・モンクに対して正統な評価をしていた。モンクのピアノについては、あまりに個性的が故、ブルーノートについても、プレスティッジについても、モンクの好きな様に演奏させ、その記録をそのまま、アルバムにしていた。個性が強すぎて、プロデュースは「必要悪」と判断した結果である。しかし、モンクの気持ちの赴くままにピアノを弾かせても、個性が強すぎて一般受けせず、売れなかった。

モンクのピアノは、バップ・ピアノとして最良のパフォーマンスであり、モンクのピアノは実にモダンである。しかし、その引き方、フレーズの音の飛び方があまりに個性的過ぎて、一般受けしない。しかし、その問題点をキープニュースはプロデューサーとして劇的に改善した。リヴァーサイドのモンクのリーダー作はどれもが「強烈な個性と聴き易さ」のバランスが取れた秀作揃いで、モンクはやっと優れたバップ・ピアニストとして認知された。リヴァーサイドの功績の一つである。
 

Thelonious-monk-plays-duke-ellington

 
『Thelonious Monk Plays Duke Ellington』(写真)。1955年7月の録音。リヴァーサイドからのリリース。盤番号は「RLP-201」。リヴァーサイドの新盤制作の第1号である。ちなみにパーソネルは、Thelonious Monk (p), Oscar Pettiford (b), Kenny Clarke (ds)。ピアニストの個性が良く判る「トリオ」編成。ジャズマンの皆が敬愛する「デューク・エリントン」の作品集である。

デュークの曲は、ほぼスタンダード化していて、多くのジャズマンが演奏している。そんな「スタンダード曲」を、モンクが強烈な個性で弾く。きっと訳が判らない感じにまで、デフォルメされているのだろうなあ、と諦め気味に聴き始めたら、モンクの強烈な個性と、デュークの曲が持つポップス性とが、絶妙にバランスが取れているではないか。モンクの強烈に個性的な弾き方で、デュークの曲の持つポップス性もしっかり出す。絶妙な「モンクの弾くデューク曲」である。

モンクのピアノはリヴァーサイドに移籍することで、個性的なアクロバティックなピアノという印象から、聴かせる的なアーティステックなピアノという印象に変化した。確かに、モンクのリヴァーサイドの諸作はどれもが、聴き易い、それでいて強烈な個性的なピアノはそのまま、という秀作揃い。キープニュースはモンクのピアノを誰よりも理解していたのだろう。キープニュースの慧眼恐るべしである。
 
 
 
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2021年11月28日 (日曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・11

ジャズ・ピアニストの中で、一番ユニークな存在が「セロニアス・モンク(Thelonious Monk)」。ジャズ・ピアノを聴き始めて、ジャズ・ピアノ盤の紹介本を見ながら、名盤を聴き進めて行って、まず、ぶち当たる壁が「セロニアス・モンク」である。クラシックやポップスのピアノをイメージして、モンクのピアノを聴くと、まず訳が判らなくなる。

通常のクラシック・ピアノなどのフレーズの流れが「常識」だとすると、モンクのピアノは「非常識」。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方、どれもが唯一無二。協調和音中心という次元から、かなり離れたもので、リズム的にも自然発生的な変則拍子が中心という、おおよそポップス中心の音楽とは正反対の、クラシック音楽とは対極にあるモンクのピアノである。

Thelonious Monk『Thelonious Himself』(写真左)。1957年4月の録音。セロニアス・モンクのソロ・ピアノである。モンクのキャリアの絶頂期でのソロ・ピアノなので、モンクのピアノの真の個性が良く判る。違和感をバリバリに感じる不協和音。決してメロディアスとは言えない、ゴツゴツしたフレーズ。独特のスクエアな、幾何学的なスイング感。外れているようで、しっかりと独特なフレーズが流れている。おおよそ、普通の人達にとっては、今までに聴いたことが無いピアノ。
 

Thelonious-himself_1

 
しかし、僕が思うに、これが「ジャズ」であり、これが「ジャズ・ピアノ」の最右翼なのだ。即興演奏を旨とするジャズ、新しい音を創造するジャズ、そういうジャズが、本来の「ジャズ」とするなら、このモンクのピアノは明らかに「ジャズ」の極みに位置するものだ、と僕は思う。ジャズをとことん好きになるかどうかは、このモンクのピアノを受け入れられるかどうかにある位に思っている。

Original CD reissue (1987) のバージョンがお勧めなのだが、このバージョンのラストに入っている「'Round Midnight (In Progress)」を聴いて欲しい。22分に及ぶ長いトラックの中で、モンクはあれこれ考えながら、何度も慎重に音を選び直しながら、ブツブツと「あーでもないこーでもない」とつぶやきながら、演奏を組み立てていく。和音の作り、旋律の流れ、間の取り方、アクセントの取り方が、即興演奏を前提として、考え抜かれたもの、選び抜かれたものだということが良く判る。

この究極の即興演奏の様なモンクの音世界は、填まればとことん癖になります。僕がジャズを本格的にジャズを聴き初めて、これはジャズやなあ、と初めて心底感心したのが、このモンクのピアノであり、このモンクのソロ盤『Thelonious Himself』でした。ジャズを聴く、って理屈では無くて、パッと聴いてパッと感じるものだと思いました。その感覚は「ジャズを聴く時の心構え」として、僕の中にあります。いわゆる「モンクのピアノの教え」ですね。
 
 
 
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2021年5月16日 (日曜日)

リヴァーサイドのギタリスト

リバーサイド・レーベル(Riverside Label)には「ならでは」のラインナップがある。モダンジャズ3大レーベルのブルーノート、プレスティッジには無い、ジャズマンのラインナップがある。例えば、今回ご紹介する「Mundell Lowe(マンデル・ロウ)」というギタリストなど、良い例だと言える。

このリヴァーサイド・レーベルのアルバムを、カタログを参考に聴き直しを始めると、ほどなく「マンデル・ロウ」に遭遇する。ブルーノートやプレスティッジでは全く聴いたことが無いギタリストの名前。マンデル・ロウはジャズ・ギタリスト。1922年4月21日ミシシッピ州ローレル生まれ。Wikipediaによると「ラジオ、テレビ、映画で、またセッションミュージシャンとしてもよく働いたアメリカのジャズ・ギタリスト」とある。

ジャズ・ギタリストとして純粋に活動したのは、1950年代がメイン。1955年から57年の間に、リヴァーサイドから4枚のリーダ作をリリースしている。その4枚の中で、今回ご紹介する盤はこれ。
 

Guitar-moods

 
Mundell Lowe『Guitar Moods』(写真左)。1956年2月20日と3月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Mundell Lowe (g). Al Klink (b-cl,fl), Phil Bodner (oboe, English horn), Trigger Alpert (b), Ed Shaughnessy (ds)。マンデル・ロウのギター・トリオに、効果的な伴奏を供給するバスクラとフルート、オーボエとイングリッシュ・ホルンが参加した変則クインテット編成。

心地良くエレガントな音色のマンデル・ロウのギター。スローなナンバーの中、流麗なコードワークでじっくり聴かせる技に、意外に凄みを感じる。収録曲12曲全てがスタンダード曲。スタンダード曲を平均2〜3分の短い演奏で繋いでいく。ムーディーで甘さに流されないか危惧するが、マンデル・ロウの柔らかなギターにはしっかり芯が入っていて、意外と硬派なので、それは杞憂に終わる。

もともとリヴァーサイドのアルバム制作の方針が「聴かせるジャズ、聴いて楽しむジャズ」を標榜している様で、そういう意味では、バスクラとフルート、オーボエとイングリッシュ・ホルンの伴奏が実に効果的で、日本では無名に近いが、充実のイージーリスニング・ジャズに仕上がっていて立派。オリン・キープニュースのプロデュース方針にピッタリと合致したギター盤ですね。
 
 
 

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2021年5月15日 (土曜日)

リヴァーサイドらしいトリオ盤

リバーサイド・レーベル(Riverside Label)は、1953年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによって、NYに設立されたジャズ・レーベル。実質的な活動期間は約10年間だが、ブルーノート、プレスティッジと並んで、モダンジャズ3大レーベルの1つとされるだけあって、ならではのラインナップは魅力満載。

このリヴァーサイド・レーベルのアルバムを、カタログを参考に一気に聴き直しているのだが、まず、目に付いたのが「Randy Weston(ランディ・ウエストン)」。1926年、NY生まれのジャズ・ピアニストである。初リーダー作はリヴァーサイド・レーベルからで、1950年代半ばには、リヴァーサイドにて、3年間に6枚のリーダー作をリリースしている。リヴァーサイドの活動初期のお抱え看板ピアニストだったようである。

『Get Happy with the Randy Weston Trio』。1955年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Randy Weston (p), Sam Gill (b), Wilbert Hogan (ds)。ランディ・ウエストンをリーダーとしたピアノ・トリオ編成。トリオ編成なので、ランディ・ウエストンのピアノの個性が明快に理解出来る、優れもの盤である。
 

Get-happy-with-the-randy-weston-trio

 
改めて、リバーサイド・レーベルの初期、1950年代中期の看板ピアニスト、ランディ・ウエストンのトリオ盤である。ウエストンのピアノは判り易い。パワフルなタッチで、ビ・バップ風に弾きまくる。力強くスイングし、潔い弾きっぷり。色気とか茶目っ気とかには全く無縁。ガンガングイグイ弾くタイプで、力感溢れ、ダンディズムな吹き回しは「ストイック」ですらある。

収録曲は全10曲。1曲が2〜4分台の曲がほどんどで、内容的にはハードバップというよりは、成熟したビ・バップという雰囲気に近い。ただ、ランディ・ウエストンの自作曲が2曲に留まり、他はスタンダード曲中心なので、ランディ・ウエストンのスタンダードの解釈、弾きっぷりの個性が明快。とにかくシンプルに弾き切り、判り易くアレンジ展開する。難解な部分、捻れた部分は全く無い。逆にちょっと単純過ぎる、というか、ちょっと淡泊すぎる点がちょっと気になる。

もともとリヴァーサイドのアルバム制作の方針が「聴かせるジャズ、聴いて楽しむジャズ」を標榜している様で、そういう意味では、ランディ・ウェストンの個性が良い方向に作用し、明快で「聴き易い」ピアノ・トリオ盤に仕上がっていると言える。オリン・キープニュースのプロデュース方針にピッタリと合致した好トリオ盤です。
 
 
 

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