2019年9月11日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・120

Riverside(リヴァーサイド)レーベルは、1952年にオリン・キープニュースとビル・グラウアーによってNYに設立された。実質的な活動期間は約10年間、1950年代から60年代前半で、ハードバップからファンキー・ジャズ、モード・ジャズ辺りをカバーする。日本ではモダン・ジャズ三大レーベルの一つと言われるらしい。
 
このリヴァーサイド・レーベル、意外とマニアックなレーベルで、カタログを紐解くと「こんなアルバムあったんや」とか「何やこのアルバム」な、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で紹介されたことがほとんど無い「好盤」が沢山ある。どうも、リヴァーサイドというと、我が国では、モンク、エヴァンス、キャノンボール、ウェス辺りがもてはやされるばっかりで、他の「隠れ好盤」にはあまり着目することはなかったようだ。

Ben Webster and Joe Zawinul『Soulmates』(写真左)。1963年9月20日と10月14日の2回の録音を集めている。ちなみにパーソネルは、Ben Webster (ts), Joe Zawinul (p), Philly Joe Jones (ds), Thad Jones (cor) 【10月14日】, Richard Davis (b)【9月20日】, Sam Jones (b)【10月14日】。ウエブスターとザヴィヌルとフィリジョーは2つのセッション共通、ベースはリチャードDとサムJを使い分け、10月14日のセッションのみ、サド・ジョーンズのコルネットが入って2管フロントとなっている。
 
 
Soulmates-ben  
 
 
とまあ、編成の異なる2つのセッションを併せた盤ではあるが、この盤は、主役の2人のプレイが際立っている。1963年である。ベン・ウエブスターは既に54歳。それにしては、溌剌とした、いかにもテナーらしい「耳障りではない大きな音」で吹きまくっている。迫力満点である。音はまだまだ若い若い。しかも破綻無く、朗々と吹き続ける。

そして、ピアノのジョー・ザヴィヌルは、あのニュー・ジャズの伝説のバンド「Weather Report」のリーダー。このザヴィヌルのピアノが面白い。オーストリア出身のピアニストなのに、ファンクネス漂う、実に趣味の良い、典雅と形容してもよいほどの、ファンキーなピアノを聴かせてくれる。この典雅なファンキー・ピアノをバックにウェブスターが吹きまくる。この盤の「美味しいところ」である。
 
スイング時代から活躍する大ベテランのウエブスターと当時、新進気鋭なピアニストで新しい感覚のザヴィヌル。ミスマッチの様ですが、これが意外と、ベテランと若手の絶妙のコントラストが良い方向に作用して、なかなか聴き応えのある内容となっています。ウエブスターのテナーの適応力、包容力が素晴らしい、ということでしょう。お勧めの好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年11月14日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・64

ジャズのアルバムって「出会い」だよな、と思うことがある。ジャズを聴き始めた頃は、ジャズ本紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介記事を頼りにアルバムを入手していくのだが、それにも限りが出てくる。今度はジャズ・レーベルのカタログを見渡しながら、そのパーソネルを吟味して「これは」という盤を入手する。これが当たったときは、思いっきり嬉しくなる。

James Clay『A Double Dose of Soul』(写真)。1960年10月11日の録音。リバーサイド・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、James Clay (ts, fl), Nat Adderley (cor), Victor Feldman (vib), Gene Harris (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。パーソネルを見渡して、リバーサイド盤とくれば、これはきっと良いジャズが聴けるのでは、と期待感が膨らむ。

この盤は、ジャズ・レーベルのカタログを見渡しながら、そのパーソネルを吟味して選んだ盤になる。まず、ジャズ本紹介本やジャズ雑誌のジャズ盤紹介記事にこの盤のタイトルが挙がることは無い。それでも、このパーソネル、いわゆる東西混合の名うての名手揃いで、どんな音が出てくるのか、聴く前からワクワクする。
 

A_double_dose_of_soul  

 
こういう盤は1曲目から裏切られることは無い。1曲目の「New Delhi」、渋い渋い演奏。リーダーのクレイのフルートがむっちゃジャジー。ああ、ええ音やなあ、と溜息が出る。1曲目がこれだけジャジーだと残りの曲は決して期待を裏切らない。続く「Remember you」のクレイのスインギーなフルートとフェルドマンのヴァイブとの絡みは絶品。3曲目の「Come Rain or Come Shine」のクレイの黒いテナーもグッド。バックを司る、ハリスのピアノ、ジョーンズのベース、ヘイズのドラム、渋い渋いリズム・セクションも良い音出してます。

ハリスのピアノはソウルフルでリズミック。クレイのテキサス・テナー&フルートとの相性はバッチリ。過度に粘らず、ファンクネスも適度、フロント楽器が結構黒いので、このリズム・セクションの堅実な軽快さは実にバランスが良い。そうそう忘れてはならない、ナットのコルネットも良い味出してます。クレイのテナーとの対比、クレイのフルートとの相性が良い方向に出ていて、コルネットでの参加が正解。

ジェームス・クレイは、1935年ダラスの生まれなので、いわゆる「テキサス・テナー」の遣い手。ハードにブロウするイメージだが、持ち替えたフルートも絶品。この盤を聴くまで、その存在を全く知らなかった。この盤を聴き直して、ジャズのアルバムって「出会い」だよな、とつくづく思います。

 
 

東日本大震災から7年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年7月31日 (火曜日)

ゴルソン・ハーモニーを楽しむ

ジャズにはアレンジも大事な要素である。ジャズメンが一堂に会しての最低限のルールだけでアドリブ演奏をしまくるジャム・セッションも聴いていて面白いが、演奏の出来にバラツキがあるのが難点。それぞれの演奏が同一レベルで、お互いの演奏が上手くかみ合えば良いが、纏まりが悪ければ聴くに堪えないか、聴いていて退屈になる。

逆にアレンジがしっかりしておれば、テーマ部も聴き応えがあり、アドリブ部もバックの伴奏をアレンジすることで、ある程度の統一感が生まれる。優れたアレンジはジャズの演奏の内容を整え、安定させる働きがある。ジャズの世界ではアレンジャーとして優れたジャズメンが結構な人数いる。クインシー・ジョーンズ、ベニー・ゴルソン、ギル・エヴァンス、デヴィッド・マシューズなどなど、通常のジャズメンでもアレンジをやらせたら超一品というのも多数。

僕がこのジャズのアレンジを一番最初の意識したのが「ゴルソン・ハーモニー」。Art Blakey & The Jazz Messengers『Moanin'』を聴いて、テーマ部のユニゾン&ハーモニーの響きが独特で「これは一体なんなんだ」と思った。そして、ライナーノーツを読んで、これが、ベニー・ゴルソンの独特のアレンジの個性で「ゴルソン・ハーモニー」と呼ばれることを知った。
 

The_modern_touch  

 
Benny Golson『The Modern Touch』(写真左)。1957年12月の録音。リバーサイド・レーベル RLP 12-256。成熟したハードバップ盤がメインの「リバーサイド200番台」の真ん中辺り。ハードバップ時代真っ只中の「こってこてのハードバップ」。ちなみにパーソネルは、Benny Golson (ts), Kenny Dorham (tp), J. J. Johnson (tb), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Max Roach (ds)。

フロント3管のセクステット構成。このフロント3管がミソで、ゴルソン・ハーモニーが一番美しく響くフロント構成である。さすがにこの盤は、ベニー・ゴルゾンのリーダー作だけあって、随所に「ゴルソン・ハーモニー」が仕掛けられている。しかも、こってこてではなく、あっさりと仕掛けられている。さすが「ゴルソン・ハーモニー」の本家本元だけあって、「ゴルソン・ハーモニー」が一番アーティスティックに響く術を良く知っている。その「術」がこの盤で心ゆくまで堪能出来る。

この盤、何故かは判らないが、我が国では意外と知られていなくて、ジャズ盤紹介本に載ることはまず無い。ゴルソンのテナーの評判が悪いからかなあ。ユルユルの締まりの無いテナーという形容をした大御所ジャズ評論家の方がいて、ゴルソンのテナーについてはケチョンケチョンだったなあ。でもご心配なく。それは誤解です。ゴルソンのテナーを優秀です。この盤のテナーを聴けば良く判ります。「ゴルソン・ハーモニー」と共に、硬派なゴルソンのテナーもお楽しみ下さい。

 
 

東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

その他のカテゴリー

AOR CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pops R&B rock SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio Yellow Magic Orchestra こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・ブレイキー アート・ペッパー イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディド・レーベル キング・クリムゾン キース・ジャレット ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスマスにピッタリの盤 クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サザンロック サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・レノン ジョージ・ハリソン ジョー・ヘンダーソン スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スピリチュアル・ジャズ セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チック・コリア チャールズ・ミンガス チューリップ テテ・モントリュー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ハンク・ジョーンズ ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バリトン・サックス パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビル・エバンス ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルーノート ブレッカー・ブラザース プレスティッジ・レーベル プログレッシブ・ロックの名盤 ベニー・ゴルソン ベーシストのリーダー作 ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リッチー・バイラーク リトル・フィート リバーサイド・レーベル リンダ・ロンシュタット リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ヴィーナス・レコード 上原ひろみ 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 夜の静寂にクールなジャズ 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 尾崎亜美 山下達郎 山中千尋 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 欧州ジャズ 歌謡ロック 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、 ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 青春のかけら達(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでのジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。         
2019年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

カテゴリー