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2019年6月 3日 (月曜日)

バードが考えるジャズ・ファンク

ブルーノート・レーベルのBN-LAシリーズは、フュージョン者にとっては隅に置けないシリーズ。クロスオーバー・ジャズからジャズ・ファンク、そして、フュージョン・ジャズまでのトレンドを網羅、いわゆる「フュージョンの時代」のトレンドをしっかりと押さえている。特に、ジャズ・ファンクについて好盤が多く、最近は「レア・グルーヴもの」として、サンプリングの対象になるアルバムも多い。

Donald Byrd『Street Lady』(写真左)。1973年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Roger Glenn (fl), Jerry Peters (ac-p, el-p), Fonce Mizell (clavinet, tp, vo), Fred Perren (syn,vo), David T. Walker (g), Chuck Rainey (el-b), Harvey Mason (ds), King Errisson (congas and bongos), Stephanie Spruill (perc), Larry Mizell (vo, arr, cond)。ジャズ・ファンクがメインのジャズ・コンボ。
 
マイゼル兄弟色が濃厚のジャズ・ファンクがてんこ盛り。「スカイハイ」全開。この頃のドナルド・バードのアルバムの共通する音の傾向で、ドナルド・バードの個性はちょっと奥に引っ込んだ感があるんですね。それでも、ドナルド・バードが考えるジャズ・ファンク、いわゆるドナルド・バード印のジャズ・ファンクと捉えると、ドナルド・バードってやっぱり存在感があるんですよね。
 
 
Street-lady-donald-byrd  
 
 
ハードバップから始まって、モードな新主流派ジャズからクロスオーバー・ジャズにいきなり転身してジャズ・ファンクへ。ジャズのその時代その時代のトレンドをいち早く捉えて、ダイナミックに転身して来たドナルド・バード。基本的にクレバーなジャズマンなので、それぞれのトレンドにおける演奏も内容のある、優れたものが多い。
 
この『Street Lady』についても、ジャズ・ファンクのアルバムとして優れた内容。レトロなクロスオーバー・ジャズ風な音作りだが、特にリズム・セクションが強靱で、後のフュージョン・ジャズに繋がるソフト&メロウなファンクネスが唯一無二の個性。ハービー・メイソンのドラムが効いてます。ホーンを重ねた響きは後のディスコ・ミュージックに繋がる先駆的なもの。意外と先進的で、トレンドを先取りしています。
 
硬派なジャズ者の方々からは「軟弱で俗っぽい」と揶揄されそうですが、これもジャズのひとつの重要なトレンドだと思います。このジャズ・ファンクが後のファンク・フュージョンにつながり、ディスコ・ミュージックに進化するのですから、隅に置けません。ジャケット・デザインも当時の流行を反映しているんですが「賛否両論」でしょう(笑)。意外と僕は好きですけど(笑)。
 
 
 
日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2018年8月 2日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・126

ジョージ・ウォーリントン(George Wallington)は、1924年10月27日、シチリア島パレルモ生まれ。1993年に68歳で鬼籍に入っている。1940年代前半から1950年代にかけて、ジャズ・ピアニストとして活躍。1960年に家業を継ぐためジャズ界から引退。1980年半ばに一時期復帰したが、活躍のメインは1950年代。当然リーダ作は少なく十数枚に留まる。サイドマンとしても10枚程度。

しかし、このピアニスト、リーダー作数枚で、ジャズ史に名前を残している。その一枚が、George Wallington『Jazz for the Carriage Trade』(写真左)。1956年1月20日の録音。プレスティッジのPRLP 7032番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Phil Woods (as), George Wallington(p), Teddy Kotick(b), Bill Bradley as Arthur Taylor (ds)。ハードバップ中期、フロント2管のクインテット構成。

この盤が、聴けば判るのだが、プレスティッジ・レーベルでの録音らしからぬ、演奏全体が端正で活力漲り、流麗かつダイナミック。ブルーノート・レーベルの様に、リハーサルにもギャラを払って、幾度もリハーサルを重ねて、この盤の録音本番に至ったのでは、と思う位に、素晴らしい演奏の数々。これだけ楽器がしっかり鳴って、テクニック優秀、歌心満点なアルバムって、プレスティッジ・レーベルにはなかなか無い。
 

Jazz_for_the_carriage_trade_1  

 
冒頭の「Our Delight」を聴けば、フロントの2管、トランペットとアルト・サックスが絶好調なのが判る。これだけ力強く、良く鳴るトランペットって誰なんだ、と思って首を捻りながらパーソネルを見て「えっ、これがドナルド・バードなん」とちょっとビックリ。そして、流麗で唄うが如く、歌心満点なアルト・サックス。これ誰なんや、とパーソネルを見れば「フィル・ウッズかあ」と思わず感嘆の声を上げる。

リーダーのウォーリントンのピアノは知的なバップ・ピアノ。洗練されたフレーズでフロントの2管を温和に支える。決して、大立ち回りはしない。決して前へは出ない。堅実なベースとドラムと相まって、とても趣味の良いバッキングを実現している。これが見事。こんなに知的で粋なリズム・セクションを得て、フロントの2管は唄うが如く語るが如く、雄弁にポジティブに端正で堅実なアドリブ・フレーズを展開する。

ジャケットはちょっとレトロ調だが、これはこれで実に味がある。このジャケット・デザインも、やっつけデザインが得意な(笑)プレスティッジ・レーベルらしからぬ優れたもの。典型的なハードバップのお手本の様な純ジャズが展開されていて、実に聴き応えがある。プレスティッジ・レーベルらしからぬ、端正でまとまった、ダイナミックかつ繊細なハードバップ。全編に渡って聴き所満載です。

 
 

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2018年6月12日 (火曜日)

長く付き合う事が出来る好盤

思い出した様に、ドナルド・バード(Donald Byrd)を聴いている。ドナルド・バードは息の長いトランペッターだった。リーダー作のデビューは1955年。ラストは1991年。約40年余り、ジャズの第一線で活躍していたことになる。ハードバップから始まり、ファンキー・ジャズからソウル・ジャズと、その時期その時期のジャズの流行の演奏スタイルを渡り歩いたことからも、応用力、適応力も抜きんでたものがあった。

今日の選盤は、Donald Byrd『Byrd in Flight』(写真左)。1960年1月と7月の録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Jackie McLean (as), Hank Mobley (ts), Duke Pearson (p), Doug Watkins, Reggie Workman (b), Lex Humphries (ds)。フロントのモブレーのテナーとマクリーンのアルトが被る曲は無い。また、ワトキンスとワークマンのベースも被ることは無い。バードのトランペットにサックス、ピアノ、ベース、ドラムのクインテット編成が基本。

BNの4048番。ブルーノート・レーベルの割にジャケットが地味で、ジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で採り上げられることが非常に少ないアルバムである。このアルバムは、ラテン系あり、バラードあり、正統派のバップあり、と演奏スタイルが多彩で、スタイルが変化する中で、バードのトランペットは端正でブリリアント、シンプルで流麗という、とても判り易いもの。この盤でのドナルド・バードは実に魅力的。
 

Byrd_in_flight  

 
突出した個性を併せ持つ訳では無い。テクニックも優秀だが、ブラウニーの様に天才的なものでは無い。マイルスの様な革新性がある訳でも無い。それでも、中音域を中心にメロディックなフレーズを流麗に紡いでいく、適度な音量で伸びやかに唄うブリリアントなトランペットは、とても聴き易く、ジャズ・トランペットの入門には最適な音である。とにかく、聴いていて心地良く、聴いていて楽しい。

また、テナーのモブレーが意外と溌剌としていて健闘している。そして、アルトのマクリーンが絶好調。硬軟自在、緩急自在、抑揚自在なマクリーンのアルトのパフォーマンスは非常に優れたもの。そして、ピアソンのピアノが粋。シンプルではあるが、そこはかとなくファンキーで、コロコロ転がる様なよく回るが、音をよく選んだピアノは、ついつい耳をそばだてたくなる。

収録された曲と演奏のバランスがとても良く、ドナルド・バードのハードバップなトランペットを気軽に楽しむ、という面ではこの盤が一番良い。フロントのパートナーとリズム・セクションに恵まれ、バードはとても心地よさそうにペットを吹き鳴らす。端正でブリリアント、シンプルで流麗なトランペットは、聴いていて、とても「ハードバップ」を感じる。長く付き合う事が出来る隠れ好盤。

 
 

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2018年6月11日 (月曜日)

バードのブルーノート・デビュー

そう言えば、ドナルド・バード(Donald Byrd)の存在をちょっと忘れていた。今から、40年ほど前、ジャズを聴き始めた頃、ドナルド・バードのアルバム『Fuego』はお気に入りのアルバムだった。特に、ラストの「Amen」は大のお気に入りチューン。このファンキーでゴスペルタッチな名曲&名演は、当時、僕にとっての「ジャズ」だった。

ドナルド・バードはトランペッター。アレンジが巧いとか、作曲が良いとか、トランペッターとは違ったところに評価が集まる、ちょっと気の毒なジャズメンなのだが、実は、トランペッターの実力は超一流なものがある。品良くブリリアントで艶やか、そして堅実。テクニックは優秀、アドリブ・フレーズが小粋で印象的。決して、騒がしくならない。紳士的で真摯なブロウである。

そんなバードのブルノート・レーベルでのデビュー盤が、Donald Byrd『Byrd in Hand』(写真左)。1959年5月31日の録音。BNの4019番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Charlie Rouse (ts), Pepper Adams (bs), Walter Davis, Jr. (p), Sam Jones (b). Art Taylor (ds)。バード、ラウズ、アダムスのフロント3管のセクステット構成。
 

Byrd_in_hand  

 
フロント3管のバード、ラウズ、アダムスの名を確認するだけで、そして、ウォルター・ジュニア、ジョーンズ、テイラーのリズム・セクションのメンバーを見るだけで、この盤はハードバップの好盤では無いのか、という想像を巡らせることが出来る。そして、冒頭の「Witchcraft」を聴くだけで、この盤はハードバップの上質の好盤だと確信する。

バードのトランペットとペッパー・アダムスのバリトン・サックス(略して「バリサク」)とのユニゾン&ハーモニーが良い。これはファンキー・ジャズの典型であり、ハードバップの肝である。アダムスのバリサクは豪快かつ歌心溢れるもので、バードのトランペットと対照的。アダムスのバリサクはバードのトランペットととても相性が良い。

ブルーノート・レーベルは優秀な若手ジャズメンの登竜門。この盤は、バードのブルーノートでのデビュー盤で、僕は最初、初リーダー作と勘違いしていた。しかし、聴けば内容充実、そして上手すぎる。調べれば、バードは、なんとこの盤以前に既に15枚以上のリーダー作をリリースしている、押しも押されぬ中堅ジャズメン。満を持してのブルーノートでのアルバムのリリース。そんな「満を持した」ドナルド・バードの覇気のあるトランペットが実に頼もしい。

 
 

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