2024年5月26日 (日曜日)

D・バードの活動前期の名盤です

ドナルド・バードは、ジャズ・トランペットのレジェンド。バードのトランペットは、端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か、ジャズ・トランペットの教科書の様なパフォーマンスが個性。

この端正で流麗で「教科書の様なパフォーマンス」が良くないらしく、我が国では、ドナルド・バードの人気はイマイチ。綺麗すぎる、うますぎる、破綻がなくて面白くない、と、何だか、ピアノのピーターソンが、我が国で人気がイマイチな理由と同じ。

しかし、僕は、この偏った評価は以前から「疑問」である。ブラウニーもそうじゃないか、と思うのだが、ブラウニーは早逝した悲劇のトランペッターだから良いのだそうだ。偏った評価も甚だしい(笑)。

Donald Byrd 『Free Form』(写真左)。1961年12月11日の録音。ブルーノートの4118番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペットとウェイン・ショーターのテナーが2管フロントのクインテット編成。バックのリズム隊は、ハービー・ハンコックをピアノに、新主流派志向。

この盤は、ジャズロックなファンキー・チューンから、静的でジャジーなバラードから、バリバリ硬派なハードバップから、新主流派モード・ジャズから、ライトなフリー・ジャズまで、それまでのメインストリームなジャズの演奏スタイルを網羅した、バラエティーに富んだ内容になっている。
 

Donald-byrd-free-form

 
そんなバラエティーに富んだ演奏スタイルを、ドナルド・バードは、いともたやすく、しっかりと吹き分けていく。しかも、どのスタイルでも「端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か、ジャズ・トランペットの教科書の様なパフォーマンス」は変わらない。ドナルド・バードのトランペットの力量とテクニックの高さがよく判る。

バックの新主流派志向のメンバーは、といえば、このドナルド・バードのリーダー作の「それまでのメインストリームなジャズの演奏スタイルを網羅した、バラエティーに富んだ内容」にしっかりと追従している。

感心するのは、新主流派志向のメンバーなので、ジャズロックだろうが、硬派なハードバップだろうが、どの演奏のアドリブ部では、モーダルな演奏に走りそうなものだが、そんな無粋なことは絶対にしない。どの演奏スタイルでも、その演奏スタイルならではのパフォーマンスで、リーダーのドナルド・バードのトランペットに追従している。さすが、若手の中でも一流の「選りすぐり」のメンバーである。

特に、フロント管の相棒、若きウェイン・ショーターのテナーが絶好調。どの演奏スタイルでも吹きこなす適応力はさすが。得手不得手の差は全く感じられない。そして、どの演奏スタイルでも、統一の個性で演奏スタイルを弾き分ける、伴奏ピアノの達人の面目躍如、ハービー・ハンコックのバッキングが素晴らしい。どの演奏スタイルでも、的確で、フロントを引き立てる、絶妙のバッキングを供給している。見事である。

我が国では、謂れのない理由で、人気イマイチのドナルド・バードであるが、この盤を聴けば、ジャズ・トランペッターとして一流であり、一目置かれる存在であることが良く判る。

この盤は、飛び立つ鳩をあしらったジャケがジャズっぽくなくて損をしているけど(笑)、これまでのD・バードの、トランペッターとしてのパフォーマンスの集大成の様な構成で、彼の活動前期の名盤としても良い内容である。
 
 

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2024年5月25日 (土曜日)

ドナルド・バードの初リーダー作

ドナルド・バード(Donald Byrd)は、デトロイト出身のモダン・ジャズ・トランペッターのレジェンド。ハードバップ初期から頭角を表し、1958年には、バリトン・サックス奏者のペッパー・アダムスと共同でレギュラー・グループを持っている。ハードバップから始まり、ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、ジャズ・ファンクと演奏スタイルを変えつつ、ジャズ・シーンの第一線を走り続けた。

バードのトランペットは、端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か、ジャズ・トランペットの教科書の様なパフォーマンスが個性。生涯、この教科書の様なパフォーマンスを貫いた、モダン・ジャズ・トランペッターのレジェンドである。

Donald Byrd 『Byrd Jazz』(写真左)。1955年8月23日、デトロイトの「New World Stage Theatre」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Bernard McKinney (euphonium), Yusef Lateef (ts), Barry Harris (p), Alvin Jackson (b), Frank Gant (ds)。ドナルト・バードの初リーダー作。出身地のデトロイトでのライヴ録音。
 

Donald-byrd-byrd-jazz

 
ジャズにおいては、初リーダー作で、そのリーダーの個性と特徴の全てが判る、というが、このドナルド・バードの初リーダー作もその例に漏れることは無い。バードのトランペットについては、「端正で流麗でブリリアント、ピッチやフレーズにブレは無く、アドリブ・フレーズのイマージネーション豊か」という個性と特徴が、このライヴ音源に詰まっている。

録音がちょっとナローなので、ライヴ音源としては大人し目なのだが、若き日の溌剌としたバードのトランペットはバッチリ捉えられている。フロント管のラティーフのテナーもよく唄い、ジャズには不向きなマッキンニーのユーフォニウムも、なかなか健闘、そんなフロント管パートナー達と、楽しげにハードバップをやるバードのトランペットはブリリアント。

渋いバップ・ピアニスト、バリー・ハリスを中心とするリズム隊も、明確にハードバップなバッキングを供給していて、バードは、どこかクリフォード・ブラウンを想起させる様な、端正で流麗でブリリアントで溌剌としたアドリブ・フレーズを吹きまくる。バードのトランペットの個性と特徴の「源」を確認するには、格好のライヴ盤。以前は「幻の名盤」扱いでしたが、今では、サブスク・サイトでも聴くことができます。有難いことです。
 
 

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2024年2月19日 (月曜日)

Jazz Lab と The Cecil Taylor 4

ドナルド・バードのリーダー作の落穂拾い、当ブログで「未記事化」のアルバムをピックアップしていて、不思議なアルバムに再会した。ハードバップど真ん中とフリー・ジャズの先駆け、2つの全く志向の異なる演奏スタイルのユニットの不思議なカップリング。どういう感覚で、こういうカップリング盤を生み出したのやら。

The Gigi Gryce-Donald Byrd ”Jazz Laboratory” & The Cecil Taylor Quartet『At Newport』(写真)。1957年7月5–6日、ニューポート・ジャズフェスでのライヴ録音。

パーソネルは、以下の通り。1〜3曲目が「The Cecil Taylor Quartet」で、Cecil Taylor (p), Steve Lacy (ss), Buell Neidlinger (b), Denis Charles (ds)。 4〜6曲目が「Jazz Laboratory」で、Donald Byrd (tp), Gigi Gryce (as), Hank Jones (p), Wendell Marshall (b), Osie Johnson (ds)。

このライヴ盤は20年ほど前に初めて聴いたのだが、前半1〜3曲目の「セシル・テイラー・カルテット」のフリー・ジャズの先駆け的な、反ハードバップ的なちょっとフリーな演奏の「毒気」にやられて、後半の「ジャズ・ラボ」の純ハードバップな演奏もそこそこに、このライヴ盤は我が家の「お蔵入り」と相なった。
 

The-gigi-grycedonald-byrd-jazz-laborator

 
が、今の耳で聴き直すと、まずこの「セシル・テイラー・カルテット」が面白い。テイラーのピアノが、硬質でスクエアに高速スイングするセロニアス・モンクっぽくて、意外と聴き易い。レイシーのソプラノ・サックスは、テイラーのピアノのフレーズをモチーフにした、擬似モーダルなフレーズっぽくて、これも意外と聴き易い。反ハードバップな、ちょっとアブストラクトな演奏だが、整っていて、しっかりジャズしている。意外と聴ける。

逆に初めて聴いた時にはしっかり聴かなかったジジ・グライスとドナルド・バードの「ジャズ・ラボ」の演奏だが、これは、このライヴ盤の前、ジャズ・ラボのデビュー盤『Jazz Lab』(2024年2月18日のブログ参照)の内容、ライヴなので、スタジオ録音よりも演奏はアグレッシヴ。演奏レベルと寸分違わない、それまでにない響きとフレーズの「新鮮なハードバップ」が展開されている。

フリーの先駆け的な、反ハードバップで、ちょっとアブストラクトな「The Cecil Taylor 4」。それまでにない響きとフレーズが新鮮なハードバップの「Jazz Lab」。当時はどちらも新しいジャズの響きだったのだろう。

今回、改めて聴いてみると、当時の先進的なハードバップの好例として、この2つのユニットの演奏は違和感無く聴ける。今回も、ジャズ盤って、時を経ての聴き直しって必要やな、と改めて感じた。
 
 

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2024年2月18日 (日曜日)

意外とイケる新鮮な『Jazz Lab』

ジャズ・トランペットのプロフェッサー & レジェンド、ドナルド・バードの落穂拾いをしている。

FMから流れてくるモダン・ジャズ、マイルス・デイヴィスのトランペットに触れて、ジャズを意識して聴き始めて早50年。ドナルド・バードのリーダー作については一通り聴き終えてはいるが、当ブログに記事でアップしていないリーダー作はまだまだある。追々記事にしていっているのだが、その記事にする時、おさらいに対象盤を聴き直している。

Donald Byrd & Gigi Gryce『Jazz Lab』(写真)。1957年2月4–5日と3月13日の録音。アルト・サックスの職人ジジ・グライスとトランペットのドナルド・バードが組んで立ち上げたユニット「Jazz Lab」のデビュー盤。

ちなみにパーソネルは、Gigi Gryce (as), Donald Byrd (tp), Jimmy Cleveland (tb, tracks 5 & 7), Benny Powell (tb, tracks 1 & 3), Julius Watkins (French horn, tracks 1, 3, 5 & 7), Don Butterfield (tuba, tracks 1, 3, 5 & 7), Sahib Shihab -(bs, tracks 1, 3, 5 & 7), Tommy Flanagan (p, tracks 1-3 & 6), Wade Legge (p, tracks 4, 5 & 7), Wendell Marshall (b), Art Taylor (ds)。

ユニット名の「Jazz Lab」。訳すと「ジャズ実験室」。どんな実験をやるんだ、と思って聴き始めると、意外と真っ当なハードバップ。なんだハードバップやん、と思って聴き進めると、アレンジやアドリブの取り方に色々と工夫があって、それまでにない響きとフレーズの「新鮮なハードバップ」になっていて、「手垢が付いた」感が無くて感心する。
 

Donald-byrd-gigi-grycejazz-lab

 
この盤でも、1曲目「Speculation」、3曲目「Nica's Tempo」、5曲目「Little Niles」、7曲目「I Remember Clifford」では、トロンボーン、チューバ、フレンチ・ホルン、バリトン・サックスを入れた、分厚いブラス・セクションを前提とした、捻りの効いたアレンジで、それぞれの曲をまるで新曲の様に聴かせる。「ジャズ実験室」の面目躍如である。

そして、聴き直して、ちょっとビックリしたのが、ジジ・グライスのアルト・サックス。ちょっと小難しい施策的なアルトを吹く人だと思っていたのだが違った。力感溢れるテクニック確かな、正統派アルト・サックス。これが、アレンジやアドリブの取り方に色々と工夫がある楽曲をスイスイ吹き進めるのだからビックリ。

相棒のドナルド・バードのトランペットはやはり「上手い」。テクニックも上々、フレーズは流麗で力感溢れ歌心も抜群。グライスのアルト・サックスとの相性は抜群。さすがパーマネントなユニットを組もうと思ったのも頷ける。このフロント2管の存在感が抜群なのが、この「ジャズ実験室」の最大の「ウリ」。

そうそう、1曲目〜3曲目、そして6曲目にピアノを担当しているトミー・フラナガンも実に良い。力感溢れるテクニック上々で歌心溢れるフロント2管のバックで、これは相手に不足無し、ってな感じで、トミフラ節全開のバップ・ピアノをガンガン弾いている。アドリブ・フレーズもイマージネーション豊かに様々な展開を弾きまくる。

久しぶりのこの盤で、アグレッシヴなジジ・グライスのアルト・サックスを聴いて、グライスのアルト・サックスを見直した。というか、完全に誤解していた。ドナルド・バードとトミー・フラナガンは好調を維持。聴き直してみて、意外と「イケる」ハードバップ盤。ジャズ盤って、時を経ての聴き直しって必要やな、と改めて感じた。
 
 

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2023年9月13日 (水曜日)

機を見るに敏なバードの器用さ 『Free Form』

ドナルド・バードというトランペッターは「機を見るに敏」なトランペッターだった。ジャズのその時代毎の流行、トレンド、志向を機敏に読み取り、リーダー作に反映した。もともと器用なトランペッターが故、採用した流行、トレンド、志向を深く掘り下げて極めるほど、深く追求せず、次から次へ、流行、トレンド、志向を乗り換えていったので、意外と決定打にかけるところが玉に瑕である。

ドナルド・バードのトランペットは素姓が非常に良い。テクニックも上々、拠れたり外したりすることが全く無い。音も大きく伸びが良く、ブリリアントに響く音色は、とにかくとても素姓が良い。どの流行、トレンド、志向の下でも、ドナルド・バードのトランペットは映える。とても、モダン・ジャズらしいトランペットである。

Donald Byrd『Free Form』(写真左)。1961年12月11日の録音。ブルーノートの4118番ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Wayne Shorter (ts), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペットとショーターのテナーの2管フロント。バックのリズム隊は、ハンコック率いる新主流派志向のリズム隊。

前リーダー作『Royal Flush』で、それまで進めていた理知的なファンキー・ジャズのファンキー度を更に上げ、「ファンク度が増した理知的なモード・ジャズ」な演奏志向にチャレンジした。そして、当盤である。
 

Donald-byrdfree-form

 
パーソネルを見渡して、「これは本格的な、新主流派のモード・ジャズを本格追求やな」と思って聴き始めると、冒頭の「Pentecostal Feelin」のジャズロックに思わず仰け反る。しかも、こってこてのジャズロックをショーターが吹いている。あらら、と思う(笑)。

しかし、2曲目のハンコックが書いたバラード「Night Flower」では、ハードバップ時代に戻った様な、リリシズム溢れるブリリアントなバードのトランペットが鳴り響く。あれれ、モードは何処へ行ったと思ったら、3曲目からこってこての「新主流派志向のモード・ジャズ」が展開される。

しかし、バードのモード・ジャズって、ショーターとハンコックに任せっぱなし、な印象。ハンコックとショーターが喜々としてモダールなフレーズを連発する中、バードが器用さにまかせて、癖の無い平易なモーダル・フレーズで、ショーターやハンコックに追従する、って感じの展開で終始している。

内容的には「機を見るに敏」なトランペッターの面目躍如的内容だが、ドナルド・バード流のモード・ジャズ、という切り口が希薄なのが残念。器用に新主流派なモード・ジャズを展開するのは「機敏」だが、借りてきた様な内容に終始するのはどうだろう。

モード・ジャズの好例として、この『Free Form』が話題に上ったことが無いのは、そういうことなんだろう。演奏内容は結構良いのに、「機を見るに敏」なバードの器用さだけが印象に残る残念な盤である。
 
 

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2023年8月12日 (土曜日)

教会音楽志向のソウル・ジャズ 『I'm Tryin' To Get Home』

ブルーノートの4100番台は、ジャズの多様化の時代を反映した、当時のジャズのトレンド、ジャズの奏法のほぼ全てに対応した多様なラインアップが素晴らしかった訳だが、4100番台も終わりの頃になると、ジャズの多様化の度が過ぎて、従来のモダン・ジャズの範疇を逸脱した、不思議な内容のジャズも出現してきた。

Donald Byrd『I'm Tryin' To Get Home』(写真左)。1964年12月の録音。ブルーノートの4188番。ドナルド・バードのビッグバンド編成でパフォーマンスした、こってこての「ソウル・ジャズ」。ジャジーなリズム&ビートが無ければ、ビッグバンド編成で奏でる、スピリチュアル・ジャズの先駆け的響きも見え隠れした、ホーリーでゴスペルチックな「教会音楽」である。

ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp, flh), Stanley Turrentine (ts), Herbie Hancock (p), Freddie Roach (org), Grant Green (g), Bob Cranshaw (b), Grady Tate (ds) のセプテットに、Joe Ferrante, Jimmy Owens, Ernie Royal, Clark Terry, Snooky Young (tp), Jimmy Cleveland, Henry Coker, J.J. Johnson, Benny Powell (tb), Jim Buffington, Bob Northern (french horn), Don Butterfield (tuba) の管セクションが付いたビッグバンド編成。
 

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冒頭の「Brother Isaac」でぶっ飛ぶ。男女コーラスの軽妙な(奇妙な?)スキャットと、ソウルフルな響きが怪しいビッグバンドが高揚しながらスイングする、摩訶不思議なソウル・ジャズ。というか、ゴスペル・コーラスを彷彿とさせる、ジャジーな教会音楽風で、さすがに、この演奏をコンテンポラリーな純ジャズとして聴くには無理がある。僕は、ジャズと教会音楽との融合がメインの、過度にソウルフルなジャズ・ファンクとして捉えている。

しかし、演奏の中核となるのは、リーダーのバード以下のセプテットの面々で、それぞれのソロ演奏は、当時のジャズの最新の演奏志向や奏法を捉えて、意外と尖った演奏をしている。2曲目「Noah」では、バードはファンキーなモーダル・フレーズでソロを展開し、ハンコックはモーダルなハーモニーでバッキングする。ソウル・ジャズな雰囲気の演奏の中で、モーダルな響きが飛び交う様はシュールですらある。この辺りはジャズと教会音楽との融合の中での「実験ジャズ」的な響きである。

サブタイトルが「Brass With Voices」。その通り、ブラスの響きとスキャット&コーラスを効果的にアレンジに反映した、教会音楽志向のソウル・ジャズがこの盤の中に充満している。内容的にあまりに尖っていて一般受けはしないだろう。しかし、内容的には実にアーティステックなチャレンジであり、こういった一般受けしそうもない尖った内容の「融合」ジャズをしっかりとアルバム化してリリースする、当時のブルーノートは、単純に凄いと思う。
 
 

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2023年7月18日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・264

暑い。酷暑である。特に、ここ千葉県北西部地方は、暫く、全くまとまった雨が降っていない。カラカラのはずが湿度が高くて蒸し暑いのなんの。特に昨日、今日と身の危険を感じるほどの酷暑である。千葉県はもう梅雨は明けていると思うのだが、梅雨明け宣言の単位が「関東地方」らしく、北関東は暫く天気が不安定だったので、梅雨明け宣言できないらしい。何とも意味の無い「梅雨明け宣言」である。

これだけの酷暑だと、まず、外を歩くのは危険。よってエアコンをつけて、応接間でジッとしながらジャズを聴く訳だが、こういう酷暑の季節は、いかにエアコンの効いた部屋とは言え、難しいジャズは敬遠したくなる。やはり、聴いて判り易く、聴いて心地良いハードバップ時代の好盤が良い。フリー・ジャズなど以ての外である(笑)。

Donald Byrd『Byrd's Word』(写真)。1955年9月29日の録音。サボイ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Frank Foster (ts), Hank Jones (p), Paul Chambers (b), Kenny Clarke (ds)。バップ〜ジャズファンクなトランペッター、ドナルド・バードのリーダー作。バードのトランペットとフォスターのテナーがフロント2管のクインテット編成。
 

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バードは1932年生まれなので、この盤の録音時は23歳。若き日のプロフェッサー=ドナルド・バードである。全編、バードの溌剌としたブリリアントなトラペットが実に良い音を出している。奏でるフレーズは、そこかしこにビ・バップの面影を残しているが、ロングなアドリブ展開においては、ファンクネス溢れ流麗で知的な響きのする、バードのトランペットの個性が全開である。

フロント管の相棒、フランク・フォスターも元気一杯、バードのトランペットと迫力あるユニゾン&ハーモニーを奏でていて、なかなか良い感じ。ベースのポルチェンは弱冠20歳。若き天才は今までに無い、多彩なベースラインを展開している。ハンク・ジョーンズのピアノは「典雅」。元気一杯のフロント管にリリカルで耽美的な雰囲気を被せて「小粋」。そして、この盤のリズム&ビートを仕切るのがクラークのドラム。典型的なバップなドラミングで、バンド全体のビートをガッチリ引き締める。

単純に「良い雰囲気のハードバップ盤」だと思います。ハードバップ初期の「それまでのビ・バップと新しい響きのバップ」が混在している雰囲気がとてもジャズっぽくて、良い感じ。安心安定のモダン・ジャズ盤です。ちなみにジャケがちょっと「とほほ」な感じですが、このトーンがサボイ・レーベルの特徴なんで、これはこれで味があって良いです。でも、このジャケで損をしているところはあるんだろうな。
 
 

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2023年6月22日 (木曜日)

東海岸の聴かせるハードバップ

先の週末から、梅雨の中休みの良い天気が続いていたのだが、今日から一転、梅雨空が戻って来た。どんより曇り空で精神的に鬱陶しいし、雨が落ちてくれば湿度がグッと上がって不快指数MAX。気候病の一環として片頭痛はするわ、とにかく気分が優れない。こんな時のジャズは古風なハードバップが良い。難しいこと無しにリラックスして聴けるジャズが良い。

Donald Byrd『Byrd's Eye View』(写真左)。1955年12月2日、マサチューセッツのケンブリッジ「Harvard Square」での録音。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Joe Gordon (tp, tracks 1, 2, 4 & 6), Hank Mobley (ts, tracks 1 & 3-5), Horace Silver (p), Doug Watkins (b), Art Blakey (ds)。マイナー・レーベルの「Transition」からのリリース。

リーダーのドナルド・バードのトランペットとジョー・ゴードンとのツー・トランペットに加えて、ハンク・モブレーのテナーの3管フロント。バックのリズム・セクションは、シルヴァーのピアノ、ワトキンスのベース、ブレイキーのドラムという、当時最高レベルのトリオが務めている。ちなみにこの盤、ドナルド・バードの初スタジオ録音のリーダー作になる。

パーソネルを見るだけで、この盤の音は「悪い訳が無い」。録音場所の地元ボストン出身のトランペットのジョー・ゴードン以外は当時のジャズ・メッセンジャーズという布陣が興味深い。プロデューサーと録音技師が異なるが、演奏の雰囲気はブルーノートの1500番台に近い。ファンキー・ジャズの前身、ファンクネス漂う典型的なハードバップという雰囲気がとても良い。
 

Donald-byrdbyrds-eye-view

 
収録曲6曲中(ラストの6曲目「Crazy Rhythm」はCDリイシュー時のボートラ)、スタンダード曲が3曲、名作曲家モブレー作が2曲、ベースのワトキンス作が1曲。いずれもまず「曲が良い」、そして「アレンジが良い」。典型的なハードバップな演奏展開の下、味のある、ファンクネス漂うハードバップな演奏が展開される。

バードのトランペットは快調、ゴードンのトランペットも健闘している。この盤でのモブレーは好調。よほど録音時の雰囲気が良かったのだろう。シルヴァーのピアノは小粋でファンキー、ワトキンスのベースは重厚かつ堅実。

そして、何と言っても、ブレイキーのドラミングがとても良い。この盤のセッション全体のリズム&ビートをしっかりコントロールして、フロント3管が吹きやすいスペースを提供し、フロント3管を引き立てている。

何もバトルを繰り広げるだけが東海岸ジャズでは無い。全体的に落ち着いたハードバップで、「聴かせるファンキー・ジャズ」志向でまとめた佳作である。耳当たりが良い演奏だが、バックのリズム・セクションの充実が、フロント3管に良い影響を与えている様で、バードとゴードンのトランペット、モブレーのテナーが好調で破綻無く流麗。リラックスして安心して聴ける東海岸ハードバップの隠れ好盤です。
 
 

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2023年1月18日 (水曜日)

エレ・バードの未発表ライヴ盤

ネットでジャケットを見た時は、最初はCDリイシューかと思った。ドナルド・バードの1973年のモントルー・フェスでのライヴ音源。ジャケットが、以前にブルーノートからリリースされた一連の「ライヴ:クッキン・ウィズ・ブルーノート・アット・モントルー」のシリーズと全く同じデザイン。これじゃあ、CDリイシューだと思いますわね(笑)。

ロニー・フォスター、マリーナ・ショウ、ボビー・ハッチャーソン等の優れた内容の「モントルー・ライヴ盤」があって、なんだドナルド・バードのライヴもあったんか、と思っていたが、薄らとした記憶を辿って、それは違うなあ、とネットでググってみたら、なんと「新たな発掘音源」だった。まだ、こんな優れた内容のライヴ音源が眠っていたのか。

Donald Byrd『Live: Cookin’ With Blue Note At Montreux』(写真左)。1973年7月5日、スイスで行われたモントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。

ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp, flh, vo), Fonce Mizell (tp, vo), Allan Barnes (ts, fl), Nathan Davis (ts, ss), Kevin Toney (el-p), Larry Mizell (syn), Barney Perry (el-g), Henry Franklin (el-b), Keith Killgo (ds, vo), Ray Armando (congas, perc)。ライヴ録音されたマスター・テープはブルーノートの保管庫に眠っていたらしい。
 

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マイゼル・ブラザーズやネイサン・デイヴィスなど10人によるエレクトリックなバンド編成。あのバードのエレクトリック・ジャズの名盤『Black Byrd』の録音の翌年のモントルー・ジャズ・フェスでのライヴ音源。さすが、マイゼル・ブラザーズ擁するバードのエレ・バンド。エレクトリックな楽器が乱舞する、熱狂&強烈なジャズ・ファンクが展開されている。

エレ・ジャズ・ファンクの名曲「Black Byrd」は、スタジオ録音よりも熱気溢れる良い内容。未録音のバードのオリジナル曲「The East」「Kwame」「Poco-Mania」の収録は貴重だし、これまた良い内容。そして、最大の聴きものは、スティーヴィー・ワンダーの「You've Got It Bud Girl(悪い娘)」のカヴァー。これがまた素晴らしい出来。ジャズ・ファンクの名カヴァーである。

以前から我が国では人気はイマイチみたいだが、ドナルド・バードのエレ・ファンクは、マイルスのエレ・ファンクを判り易くポップにした様な内容で、ちょっと俗っぽく下世話なところがあるが、これはこれで十分に内容のあるエレ・ファンクだと思っている。

そのライヴ音源が、こうやって50年の時を経て耳にすることが出来た。ライヴ音源を聴いてみて、やっぱりバードのエレ・ファンクは良い、と再評価である。しかし、こんなライヴ音源を眠らせていたなんて。ブルーノート、もっともっと音源発掘に力を入れて欲しいなあ(笑)。
 
 

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2022年2月19日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・228 『Royal Flush』

ブルーノートの4100番台は、1961年からスタート。時代は、ハードバップが成熟し、大衆性と芸術性、2つの志向に枝分かれしつつあった時代。大衆性という面では、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、芸術性という面では、モード・ジャズ、フリー・ジャズなどが代表例だろう。いわゆる「ジャズの多様化」が本格化した時期である。

Donald Byrd『Royal Flush』(写真左)。1961年9月21日の録音。ブルーノートの4101番。ブルーノート4100番台の栄えある第1作目。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Pepper Adams (bs), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのバードのトランペットとアダムスのバリサクがフロント2管のクインテット編成。

このパーソネルが、この盤の「肝」の部分。ドナルド・バードと言えば、この盤まで、理知的なファンキー・ジャズを前面に押し出していて、ファンキー・ジャズの先端を走っていた。この盤では、バリトン・サックスのペッパー・アダムスをフロント管のパートナーに引き入れ、それまで進めていた理知的なファンキー・ジャズのファンキー度を更に上げた感じがする。
 

Royal-flush

 
そして、もう1人のキーマン、ピアノのハービー・ハンコックの参加。プロデビューしたばかりのハービーだが、ハービーの参加によって、ドナルド・バードのバンド・サウンドがガラッと変わっている。ファンキーなハードバップから、モーダルな、新主流派の感覚が強く反映されている。

1950年代半ば辺りから、ハードバップの第一線に頭角を現して以来、ハードバップ〜ファンキー・ジャズの先頭を走ってきたドナルド・バード。この盤では、そのファンキー度に拍車をかけつつ、音の志向としてはモーダルな音の雰囲気を積極的に導入して、当時として新しい響きのする「ファンク度が増した理知的なモード・ジャズ」に演奏の志向を変化させようとしているチャレンジ精神は立派。

1961年という時代に、従来の手慣れたファンキー・ジャズにこだわること無く、プロデビューしたばかりのハービーを参加させ、モーダルなジャズの雰囲気を積極的に導入、かつ、自らのオリジナリティーであるファンキー・ジャズに拍車をかけて、他の新主流派の音とはちょっと違う「ファンク度が増した理知的なモード・ジャズ」に仕立て上げているのは見事である。
 
 
 
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