2019年8月22日 (木曜日)

4300番台の発掘リリース盤・2

ブルーノートの4300番台は、ブルーノートの創始者アルフレッド・ライオンが、ブルーノート・レーベルを大手レコード会社リバティーに売却した後、スタートしたシリーズ。大手レコード会社の配下なので、とにかく売上第一。そんな環境の中で、旧来のハードバップやモード・ジャズが発掘リリースされているのだ。これが僕には良く判らない。

Lee Morgan『The Sixth Sense』(写真左)。1967年11月と1968年9月の録音。BNの4335番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Frank Mitchell (ts), Billy Higgins (ds)は、2回に分かれた録音の両方に参加。1967年の録音については、Jackie McLean (as), Cedar Walton (p), Victor Sproles (b) が、1968年の録音には、Harold Mabern (p), Mickey Bass (b)が参加している。
 
1967年の録音はリーダーのモーガンとミッチェル、マクリーンの3管フロントのセクステット編成、1968年の録音はピアノとベースが替わり、フロントはリーダーのモーガンとミッチェルの2管のフロントのクインテット構成。2回に分かれた演奏は共に及第点の内容。特にピアノの演奏が個性的で、アルバム前半のウォルトンは堅実で典雅。アルバム後半のメイバーンは新主流派の響きを湛えた柔軟で硬派なバップなピアノ。
 
The-six-sense

 
一言で言えば、この盤は、リーダーのリー・モーガンのトランペットを心ゆくまで聴き込むことの出来る盤である。テナー・サックスのフランク・ミッチェルもフロントで健闘しているが、基本的にそのブロウは「普通」。それは、フロントに当時のベテラン、ジャキー・マクリーンのアルト・サックスが加わっても、さほど演奏のレベルと印象は変わらない。
 
逆に、モーガンのトランペットが意外にも元気だ。特にこの盤では、趣味良く展開されている。モーガンのトランペットについては、テクニックにもフレーズの展開にもブレが無い。モーガンがしっかりと吹いている。この盤、1970年にリリースされているので、約2年〜3年、お蔵入りになっていたことになる。録音当時、お蔵入りになった理由がどうにもこうにも判らない。

ハードバップ〜モード・ジャズについてはもう古い、という理由でずっとお蔵入りになっていたのなら理解出来るんだが。それでもリリースされて良かった。リーダーのモーガンのトランペットの素晴らしさがビンビンに伝わってくる。タイトルが「第六感」。ジャケットは意味不明な、モーガンの上半身の写真。それでも中身は上質のハードバップ〜モード・ジャズ。タイトルとジャケットに怯まず、一度は聴いて欲しい、モーガンの佳作です。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年8月 1日 (木曜日)

4300番台のリー・モーガンです

ブルーノート・レーベルの4300番台は「ブルーノート・レーベルらしい」ところと「ブルーノート・レーベルらしくない」ところ、とが混在している。そこが面白いと言えば面白いし、そこが問題と言えば問題。ここでは面白いところだけに着目して、この混沌とした4300番台を楽しみたい。

今日はリー・モーガンを聴く。Lee Morgan『Charisma』(写真)。ブルーノートの4312番。1966年9月29日の録音で発売は1969年。当時の「お蔵入り発掘盤」の一枚である。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Jackie McLean (as), Hank Mobley (ts), Cedar Walton (p), Paul Chambers (b), Billy Higgins (ds)。モーガンのトランペット、マクリーンのアルト、モブレーのテナーの3管フロント。

この3管フロントのユニゾン&ハーモニーをベースとしたジャズ・ロック、そしてソウル・ジャズ。レトロな8ビートに乗って、モーガンが鯔背に粋に吹きまくる。マクリーンもここではファンクネスを撒き散らして、ちょっとピッチの外れたアルトを吹きまくる。そして、この盤ではモブレーのテナーが元気だ。フロント3管がこれだけ元気だということは、この盤は内容的に期待出来るということ。
 
  
Charisma
 
 
全編に渡ってピリピリしたところが無い。ゆったりリラックス・ムード満載なところが良い。フロント3管、バックのリズム・セクション、皆、リラックス・ムード満点に演奏しまくっている。ということで、この盤の演奏はどれも、悠然としたノリがとても心地良い。角が程良く丸まって、音の芯がグッと耳に迫ってくる、ポジティブでファンキーなジャズ・ロック。曲良し、アレンジ良し、演奏良し、揃いも揃った3拍子。

このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている様に感じる。これ、ちょっと趣味が悪い。ブルーノート・レーベルらしくないところだが、これには目をつぶって、この盤に耳を傾けて欲しい。冒頭の「Hey Chico」はラテン風ジャズロック。いかにもモーガンらしいフレーズが満載。この1曲だけでこの盤は「イケる」と感じる。

2曲目「Somethin' Cute」、そしてラストの「The Double Up」もモーガンの作曲で、これもいかにもモーガンらしい曲。モーガン節炸裂で、モーガン者には堪らない。気軽に聴ける「ジャズ・ロックの好盤」。時は1966年、イージーリスニングやポップスに迎合しない、良質のジャズ・ロックがここにある。ジャケットに惑わされず、意外と好盤です。
 
 
 
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2019年5月22日 (水曜日)

ライトでポップなハードバップ盤

ブルーノート・レーベルの4300番台には、アルフレッド・ライオンがお蔵入りにした音源をアルバム化したものが幾枚かある。先にご紹介した、84310番のGrant Green『Goin' West』、4311番のDon Cherry『Where Is Brooklyn?』がそうだった。そして、この盤もそんな「お蔵入り発掘盤」の一枚である。
 
Lee Morgan『Charisma』(写真左)。ブルーノート・レーベルの4312番。1966年9月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Jackie McLean (as), Hank Mobley (ts), Cedar Walton (p), Paul Chambers (b), Billy Higgins (ds)。ちなみに録音時のプロデューサーは「フランシス・ウルフ」。

モーガン、マクリーン、モブレーのトランペット+アルト・サックス+テナー・サックスの3管フロント。リズム・セクションは、ウォルトンのピアノに、チェンバースのベース、そして、ヒギンスのドラム。粋で洒落たリズム・セクション。出てくる音は成熟したハードバップそのものである。いわゆる「corney(コーニー)」な出来の曲が多く、ライトでポップなジャズがお気に入りの向きにはなかなかの内容ではないだろうか。
 
 
Charisma-lee-morgan
 
 
録音年の1966年からして、この盤の演奏内容そのものは「流行遅れ」である。ただ、この3管フロントがジャズをやると、やっぱり自然と「1950年代のハードバップ」になってしまうのだろう。メンバー全員、とても自由にとても楽しそうにハードバップをやっている。発売当時からすると「懐かしいハードバップ」で、今の耳からすると「上質のハードバップ」である。
 
ファンキー・ジャズと呼ぶには、演奏の底に漂うファンクネスは「軽く」、アドリブ・フレーズも平易で聴き易い。ウォルトンのピアノも流麗で美しい。1曲目の「Hey Chico」の様にラテン風ジャズロックあり、モーガンのリーダー作の中では、一番ポップな雰囲気に仕上がっている。恐らく、演奏内容そのものが「流行遅れ」で、過度な「ライトでポップな雰囲気」がお蔵入りになった理由だろうと思料。
 
それでも、時代を越えて聴き直すと、上質のハードバップであり、モーガンのリーダー作としても出来は上位にランクされるのではないか、と思われる。ジャケットが古いイラスト調で、従来のブルーノート・レーベルらしからぬところが「玉に瑕」。それでも、モーガンのリーダー作として十分に楽しめる内容になっている。
 
 
 
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2018年12月14日 (金曜日)

BNLTシリーズのモーガンは無敵

1970年代中盤から1980年代にかけて、マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズが「Blue Note Classic LT series」。略称は「BNLT」。ジャケットは、統一感のある当時のUSA盤LPが基本(写真右)。どうしてお蔵入りになったのか不思議なくらいな良質セッションがズラリと並ぶ。

Lee Morgan『Sonic Boom』(写真)。LT-987番。1967年4月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), David Newman (ts), Cedar Walton (p), Ron Carter (b), Billy Higgins (ds)。当時はお蔵入り。ノリノリでソウルフルでハードにバリバリ吹きまくるモーガン。どこがお蔵入りなのかが判らない。天才モーガン、ここにあり。

1967年4月の録音だから、その3ヶ月後、ジャズ界ではジョン・コルトレーンが逝去。ジャズ界はポップなソウル・ジャズや相対するフリー・ジャズが「ない交ぜ」になって混沌とした時代。そんな時代に、こんなコッテコテのモーダルなハードバップな演奏があったとは。ハードバップ初期から大活躍してきたリー・モーガンが新主流派の音にしっかりと馴染んでいる。
 

Sonic_boom_lt987

 
1967年のリー・モーガンのリーダー作と言えば『The Sixth Sense』(BN4335番)が正式にリリースされただけ。他の録音は全てお蔵入り。そのお蔵入り音源の1つがこの『Sonic Boom』。この『Sonic Boom』の出来を聴けば、他の録音の内容も推して知るべし。なぜこれだけ優れた内容の「ファンキー+モード・ジャズ」が軒並みお蔵入りになったのか。謎は深まるばかりです。

モーガンにとって、テナーのデヴィッド・ニューマンの参加が良い刺激となっているようだ。ニューマンのテナーは典型的な「テキサス・テナー」。骨太でスピード感豊かに大らかにスケールの大きいテナーを吹き上げる。ノリノリ元気印のヒギンスのドラミングはフロント楽器を思いっきり鼓舞する。

そこにバイタルでソウルフルでハードなモーガンのトランペットが思いっきり絡んでくる。もうノリノリのモーガン。この盤でのモーガンは無敵である。ファンキーでソウルフルなトランペットがモーダルに舞い、モーダルに飛翔する。BNLTシリーズのモーガンは捨て曲無し。しかし・・・。当時、何故お蔵入りになったのか。やはり「謎」である。

 
 
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2018年9月 8日 (土曜日)

トランペットの教科書的好演です

リー・モーガン(Lee Morgan)のリーダー作を聴き直している。リー・モーガンのトランペットは、テクニックに優れ、ちょっと捻れたフレーズが鯔背で、ポジティヴでブリリアントな音色が個性。ジャズ・トランペットって、こうやって鳴らすのが理想的なんだ、という感じの、実に「模範的な」トランペット。芯がシッカリ入った、聴き心地がとても良いトランペットである。

Lee Morgan『Here's Lee Morgan』。1960年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Clifford Jordan (ts), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Art Blakey (ds)。メンバーを見渡すと、この盤、絶対ええ音だしてるに決まってる、と確信する。ジャケットはちょっとレトロっぽくて平凡、これでちょっと損をしているが、内容は折り紙付き。

一言で言うと、モーガンのリーダー作はかなりの枚数が残されているが、この盤はモーガンのトランペットの魅力が最大限に発揮された傑作の一枚である。リーダーのモーガン、そしてサイドメン、それぞれのコンディションが良く、相性が良かったのだろう。とりわけ、モーガンのトランペットは絶好調。オープンにミュートにその妙技を存分に発揮している。
 

Heres_lee_morgan  

 
モーガンのミュート・トランペットを愛でることの出来る盤って、意外と少ないのだが、この盤ではモーガンのミュート・プレイをしっかりと確認出来る。バラードの「I'm A Fool To Want You」でのミュート・プレイは絶品。マイルスのミュート・プレイとは全く異なるイメージの、ブリリアントで切れ込む様な、明るくバイタルなミュートが聴ける。

バックのサイドメンの演奏も見事である。ケリーのピアノはクールに、ブレイキーのドラムは熱く、特に、モーガンとケリーとの絡みは相性抜群。この盤の他に共演盤が少ないのが残念。ブレイキーの煽りもモーガンには心地良いと感じる様だ。ブレイキーが煽れば煽るだけ、モーガンは素敵なトランペットを吹き上げていく。そして、ベースのチェンバースは何時になく熱気溢れるベースラインを聴かせてくれる。

ほんと、この盤ではモーガンのトランペットが良い音を出している。これだけ良い音を出していたら、どんな曲を演奏したって、それは好演になる。この盤と「Expoobident」「The Young Lions」を僕は勝手にVee-Jay三部作と読んでいるが、いずれの盤でも、モーガンのトランペットは絶好調。最初に効くにはこの『Here's Lee Morgan』が良い。ジャズ・トランペットの教科書的好演がギッシリ詰まった好盤である。

 
 

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2018年6月 2日 (土曜日)

「クリフォードの思い出」の名演

リー・モーガンは天才トランペッターであった。初リーダー作は18歳での作品。テクニックは優秀、演奏スタイルは既に確立されていた。途方も無く巧いトランペッター。しかも、そのテクニックをひけらかすこと無く、良い方向に活かして、スタンダード曲、自作曲を様々な表現を用いて、歌心豊かに聴かせてくれる。

1956年が初リーダー作リリースの年。ハードバップのスタイルがほぼ確立されていた頃。いわゆる「安定の時期」にモーガンは表舞台に立った訳で、モーガンはただただ、ハードバップのスタイルに身を委ねて、テクニックを駆使して、歌心豊かなトランペットを吹くだけで良かった。よって、この時代、モーガンは、ジャズの歴史に影響を与える様な「変革」を旨としたアルバムとは全く無縁であった。

ということで、この時代、モーガンの初期のリーダー作を聴く楽しみは、アルバム収録曲の中で「これ一曲」という秀でた名演を目当てに聴き進める、この一点に尽きると僕は思う。そういう意味で、リーダー作第2弾の『Lee Morgan Sextet, Vol. 2』の「ウィスパー・ノット」がそんな位置づけの秀でた名演の1曲であった。
 

Lee_morgan_vol3  

 
『Lee Morgan Vol. 3』(写真左)。1957年3月24日の録音。BNの1557番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Benny Golson (ts), Gigi Gryce (as, fl), Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Charlie Persip (ds)。モーガンのトランペット、ゴルソンのテナー、グライスのアルトの3管フロントにピアノ・トリオ。セクステット構成である。収録曲は全て、ゴルソンの手になるもの。さしずめ「ゴルソン・トリビュート」盤である。

そんな収録曲で、曲の出来、演奏の出来が白眉なものが、3曲目の「I Remember Clifford」。邦題「クリフォードの思い出」。1956年、交通事故で非業の死を遂げたクリフォード・ブラウン追悼の名曲である。これがまあ、溜息をつきたくなる様な名演なのだ。「ゴルソン・ハーモニー」のアレンジをバックに、モーガンはブリリアントで優しく豊かなトランペットで、情感を込めつつ吹き上げていく。美しい。こんな美しいトランペットの音色はなかなか無い。

決して大向こうを張る様なテクニックをひけらかしている訳では無い。それでもこの名演でのモーガンのトランペットは、とびきりテクニックが豊かで歌心が溢れていることが直ぐ判る。ゴルソンのアレンジ、それを演奏するメンバー、いずれも素晴らしいが、飛び抜けて素晴らしいのが、モーガンのトランペット。モーガン初期の名演と言い切らせていただきたい。

 
 

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2018年5月29日 (火曜日)

「ウィスパー・ノット」の名演

リー・モーガンの初リーダー作は衝撃だった。弱冠18歳のトランペットとは思えない。凄まじいばかりのテクニック、そのテクニックを良い方向に使って、硬軟自在、緩急自在、自由自在、縦横無尽に、様々な表現を聴かせてくれる。このプレイを聴くだけだと、若さ溢れ溌剌とはしているが、良い意味で老成したプレイである。

『Lee Morgan Sextet, Vol. 2』(写真左)。December 2, 1956年12月2日の録音。BNの1541番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Kenny Rodgers (as), Horace Silver (p), Paul Chambers (b), Charlie Persip (ds)。ファースト・アルバムのわずか1ヵ月後に録音されたリーダー第2作。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの強烈なプッシュが感じられる。

アルトがケニー・ロジャースに代わり、テナーのハンク・モブレーが新たに参加している。ベースはポール・チェンバースに、ドラムはチャーリー・パーシップに代わっている。サックス系が2本になったお陰で、やっとリー・モーガンのトランペットとのバランスがとれた様な気がする。モーガンの迫力満点のトランペットには、アルト1本では明らかに弱い。
 

Lee_morgan_sextet_vol2

 
このセクステットの演奏を聴いて、ハンク・モブレーのテナーって、リー・モーガンのトランペットと相性が良いなあ、とふと思う。人見知りのモブレーは、参加メンバーによっては、必要以上に萎縮したり、緊張したりするのだが、この盤では意外と伸び伸びと吹いている。モーガンの迫力あるトランペットとほぼ互角に渡り合い、魅力的なユニゾン&ハーモニーを聴かせてくれる。

ベニー・ゴルソン作の名曲「ウィスパー・ノット」がその好例。ゴルソン・ハーモニーをモーガン、モブレー、ロジャースの3管で魅力的に聴かせてくれる。この冒頭の「ウィスパー・ノット」の出来が突出している。そして、モーガンのミュート・トランペットが実に良い。上手い。やはり、モーガンには天賦の才がある。このミュートの繊細さと表現力は特筆すべきものだ。

冒頭の「ウィスパー・ノット」の出来が突出しているので、2曲目以降の曲が完全に割を食っているんだが、ハードバップらしい、フロント3管による洒落たアンサンブルが魅力だ。やはり、ゴルソンの手になる曲が「ウィスパー・ノット」以外に3曲あって、これらのゴルソン・ハーモニーが実に効果的である。そういう意味で、この盤も典型的なハードバップの好盤だと言える。

 
 

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2018年5月28日 (月曜日)

途方も無いトランペッターがいた

リー・モーガンのトランペットは我が国では、地味な存在に甘んじているように思う。どうも、トランペットと言えば「マイルス・デイヴィス」で決まり、という風潮があり、譲って、クリフォード・ブラウン。どうも、トランペットって、日本人ジャズ者の方々って、サックスと比べて、あまり好きなんじゃないかしら、とも思える、裾野の狭さである。

Lee Morgan『Lee Morgan Indeed!』(写真左)。1956年11月4日の録音。BNの1538番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Horace Silver (p), Clarence Sharpe (as), Wilbur Ware (b), Philly Joe Jones (ds)。鯔背で小粋でファンキーなモーガンのトランペットを支えるべく集められた、ベテラン・ジャズメンの面々。天才モーガン、弱冠18歳の初リーダー作。

テクニック的にもほぼ完成されていて、後は熟成からくる余裕だけか。素晴らしいトランペット。どう聴いても、18歳の「ガキ」のプレイではない。テクニック的には全く申し分無い。また、それを前面にひけらかす「若さ」も無い。とにかく吹きまくる。ビ・バップなトランペットを基本としつつ、当時、最先端のハードバップ風のロングソロをいとも問題なさげに吹ききっていく。
 

Indeed  

 
とにかく、当時のトラペッターのリーダー作としては、マイルス・デイヴィスを除いてであるが、出色の出来である。天性のテクニックの素晴らしさ、これに尽きる。この素晴らしいテクニックを駆使して、それをひけらかすことなく、テクニックを良い方向に駆使して、硬軟自在、緩急自在、自由自在、縦横無尽に、様々な表現を聴かせてくれる。なんと老成したプレイであることか。

クリフォード・ブラウンのトランペットは、堅実であり優等生であり模範であった。そういう面では、モーガンのトランペットは、鯔背であり、小粋であり、ちょっと不良っぽかった。ソロのブロウの最後の音を「キュウッ」と捻りを入れるところなんぞ、鯔背の最たるところ。どっぷりファンキーなフレーズをバリバリ鯔背に吹くところなんざあ、ちょっと不良っぽくて格好良い。

1956年の録音。演奏の雰囲気としては、まだ「ビ・バップ」の延長線上にあるアドリブ・ソロではあるが、やはり、モーガンのトランペットが突出している。音が多すぎるという指摘もあるが、若さ故、それは仕方の無いことだろう。しかし、モーガンは品が良い。この途方も無いテクニックをひけらかしにかかってはこない。僕はモーガンの「ここ」に惚れる。
 
 
 

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2018年3月 4日 (日曜日)

粋なモーガンのジャズ・ロック

ジャズ・レーベルの正統派、ジャズ・レーベルの老舗「ブルーノート・レーベル」。ジャズのその時代時代のトレンドをいち早く察知し録音し、後のジャズ・ジャイアンツ達の若かりし頃、その才能をいち早く発掘し録音する。今、残されている音源はジャズの歴史そのものである。

そんなジャズのメインストリーム、老舗レーベルのブルーノートであるが、ファンキー・ジャズやジャズ・ロック、そして、ジャズ・ファンクの宝庫でもあるのだ。ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンからすると「コーニー(corny)だ」とする、いわゆる「俗っぽい」ジャズについてもなかなかに造詣が深いレーベルなのだ。

Lee Morgan『The Gigolo』(写真左)。1965年6月25日、7月1日の録音。ブルーノートの4212番。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Wayne Shorter (ts), Harold Mabern (p), Bob Cranshaw (b), Billy Higgins (ds)。1963年録音の『The Sidewinder』からのジャズ・ロックな雰囲気を引き継いだ、とてもグルーヴィーでファンキーな内容が特徴。
 

The_gigolo

 
まず、リーダーのリー・モーガンのトランペットが絶好調。音に覇気が漲り、スーッと良く伸びたトーン。音はキラキラ、ブリリアントに輝き、速いフレーズは切れ味抜群。この頃のモーガンは絶好調。というか、モーガンのトランペットはジャズ・ロックにピッタリと合うのだ。音の溜めとフレーズが基本的に鯔背にオフビートで、人より速いアドリブ展開が8ビートにシックリ合う。

バックのリズム・セクションは、当時の新鋭ジャズメンがメイン。基本的には、硬派なハードバップやモーダルな演奏が出来るテクニックを持ったリズム・セクションが8ビートなジャズ・ロックのリズム&ビートを供給する。ドッシリとした重心の低い、安定感溢れるジャズ・ロックなリズム&ビートがこの盤の特徴。

弱冠18歳でリーダー作を発表した若き天才トランペッター。若さに似合わぬ、鯔背で粋なトランペットが素敵なリー・モーガン。そんなモーガンのトランペットが一番輝くのが「ジャズ・ロック」。この『The Gigolo』は、モーガンのジャズ・ロック盤のイチ押し。タイトルの「ジゴロ」も言い得て妙。「モテ男」モーガンの面目躍如な盤である。

 
 

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2017年4月 8日 (土曜日)

典型的なハードバップな演奏

風邪をひいた。喉が腫れて咳が酷い。今日は一日「風邪の週末」。朝は内科へ整骨院へ。午後からはとにかく寝る。こうなってくると、なかなか薬も効かず、憂鬱な時間を過ごすことになる。

床に伏せりながらも、無音の状態は気分が塞ぐので、ジャズをBGMっぽく流しながらの寝床になる。こういう時は難しいジャズはいけない。判り易く聴き易い、典型的なハードバップな盤が良い。典型的なハードバップを耳に刺激を与えぬよう、心地良い音量で流すのだ。

今日の選盤は『Dizzy Atmosphere』(写真)。1957年2月の録音。パーソネルを見渡せば、このメンバー、親分のディジー・ガレスピー抜きの当時のガレスピー楽団。有名どころでは、Wynton Kelly (p), Lee Morgan (tp) らが参加している。演奏を聴けば判るが、ビッグバンドのアレンジを施した典型的なハードバップな演奏。
 

Dizzy_atmosphere_1

 
とりわけピアノのウィントン・ケリーが元気だ。コロコロと転がる様なフレーズを繰り出すハッピー・スインガーなんだが、そこはかとなく漂う哀愁感がたまらない、そんなケリーのピアノがこの盤には溢れている。

この盤ではホーン・セクションは皆元気である。そんな元気なホーン・セクションの中でも、とりわけリー・モーガンのトランペットが絶好調。バリバリに吹きまくる「鯔背なトランペッター」モーガン。ウィントン・ケリーの哀愁感漂うバッキングを受けて、とりわけブルージーに吹き上げるモーガンのトランペットは絶品。

この盤、僕がジャズを聴き始めた頃、LPで入手して、以来40年、聴き続けている好盤です。ビッグバンドのアレンジがメインの演奏なので、ハードバップでありながら、そこはかとなくスインギーな雰囲気や、ガレスピーが活躍したビ・バップなアドリブ展開があったりして、正統派なジャズの香りが漂う、それが魅力のエバーグリーンな好盤です。

 
 

災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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