2023年12月 3日 (日曜日)

マリーン・ウィズ・シーウインド

クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、1970年代から1980年代前半までが流行期。特に1970年代後半から1980年代前半までがピークで、クロスオーバー&フュージョン・ジャズ専門の月刊誌までが発刊されていた。

そんな、クロスオーバー&フュージョン・ジャズについては、現在までに相当数のクロスオーバー&フュージョン盤がリイシューされてきた。しかし、「あれはどこへ行った」と探し回る位の「クロスオーバー&フュージョンの好盤」でも、今までリイシューされないもの多数存在する。まあ、セールスにならないリスクはあるから仕方ないことではあるが...。

Marlene with Seawind『Summer Night』(写真)。1982年の作品。ちなみにパーソネルは、Marlene (vo), Kim Hutchcroft (sax), Lew McCreary (tb, tracks: A3), Flugelhorn – Gary Grant, Jerry Hey (tp, flh), Larry Williams (key), Bud Nuanez (g), Ken Wild (b), Bob Wilson (ds, perc), Ron Kalina (harmonica, tracks: A4)。

ハワイアン・クロスオーバー&フュージョンの大御所バンド・シーウインドをバックに、フィリピン出身の天才歌姫マリーンが唄いまくった、クロスオーバー&フュージョン・ジャズの秀作。 CBS/Sonyレコードからのリリース。和フュージョン・ジャズ盤の名盤の一枚。主な録音はハリウッドで行われている。当時、アルバム制作については、気合が入っていたんやろうなあ。
 

Marlene-with-seawindsummer-night

 
シーウインドの爽やかファンキーで躍動感溢れる、切れ味の良いブリリアントなホーン・セクションに乗って、マリーンが若々しく、パンチのあるボーカルを披露する。バックがシーウインドなんで、クロスオーバー&フュージョンの範疇で語られることが多いが、マリーンのボーカルは素直でポップなもので、ボーカルから聴くと、AORの秀作と評価しても良い内容。

リリースは1982年で、クロスオーバー&フュージョンやAORのブームは下降線に転じた時期で、新作はマンネリ基調の退屈なアルバムがリリースされがちな環境だったが、この盤は違った。まず、バックのシーウインドが素晴らしく内容のある演奏を繰り広げている。これが最大の聴きもので、シーウインドの演奏だけを切り出しても秀作として評価できるパフォーマンスである。

そんなシーウインドをバックに唄うのだ。マリーンは気合が入っているし、実に気持ちよさそうに唄っている様がこの盤から伝わってくる。特に、アップテンポで始まる冒頭のタイトル曲「Summer Night」が秀逸な出来。ブルー・アイド・ソウル系バンド曲のカヴァーだが、これが実に良い。この冒頭の一曲がこの盤全体の雰囲気を代表する名演、名唱。

リリース当時は、貸しレコード屋で借りてカセットにダビングして所有していた盤で、カセット・デッキが壊れた後、長らく聴くことの出来なかったアルバム。最近、サブスク・サイトにアップされているのを見つけて、思わず再聴。良いクロスオーバー&フュージョン盤に再会できました。
 
 

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 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年11月30日 (木曜日)

初シンタックスのホールズワース

超「変態捻れエレギ」の雄、Allan Holdsworth (アラン・ホールズワース) 。4枚目のリーダー作『Metal Fatigue』で、エレギ一本の「変態捻れエレギ」で勝負して、ホールズワースにしか作れない、捻れエレギの傑作を手にした。次はどうするんやろ、と思って聴く5枚目のリーダー作である。

Allan Holdsworth『Atavachron』(写真左)。1986年の作品。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g, SynthAxe), Rowanne Mark (vo, track 7), William Edward Childs (key, tracks 2, 5), Alan Pasqua (key, tracks 3, 4, 6), Gary Husband (ds, tracks 1, 2, 4, 6), Chad Wackerman (ds, tracks 3, 7), Tony Williams (ds, track 5), Jimmy Johnson (b)。クロスオーバー・ジャズ的アプローチに力点が移ったイメージの音作り。

ホールズワースがシンタックスに手を染めた最初のリーダー作になる。シンタックスとは、シンセサイザー+アックス(斧)の合成造語。ギターを斧に見立てて名付けられた「ギター・シンセサイザー」である。

エレギ命の「ホールズワース者」からすると、許しがたい楽器みたいだが、ホールズワースの音作りやフレーズの中に潜む「プログレッシヴ・ロック」な音の要素を全面に押し出すには最適の楽器と僕は評価している。

エレクトリック・ギターとシンタックスが混在して活用されているが違和感がない。それくらい、この盤でのホールズワースはシンタックスに精通している。
 

Allan-holdsworthatavachron

 
英国プログレッシヴ・ロック等で活躍してきたシンセサイザーの基本はキーボード。シンタックスの基本はギター。シンタックスから出てくる音はシンセサイザーの音だが、出てくるフレーズはギターという楽器ならではのフレーズが出てくる。キーボード系のシンセサイザーのフレーズを聴き慣れた耳に新鮮に響く。これが「肝」。

キーボードとギターは運指のアプローチが全く違う。よって、ギターにとっては、キーボード系シンセとのユニゾン&ハーモニーは意外と取りにくいし、フレーズの受け渡しも意外と難しい。シンタックスは基本がギターなので、ギター的アプローチが容易。エレギとのユニゾン&ハーモニーは取り易いし、フレーズの受け渡しもスムーズ。その点に着目して導入に至ったのだろう。

この盤を聴いて思うのだが、ホールズワースはエレギと絡めたシンタックスの使い方が上手い。今までのキーボード系シンセのキーボード的アプローチとは全く異なる響きのギター的響きのシンセの音。これが新しいエレギの音として鳴り響いている。明らかに「エレギの弾き手」の表現の幅が広がっている。

アルバム・タイトルは「Atavachron=アタヴァクロン」。Atavachron (アタヴァクロン) とは、米国のSFテレビドラマ「Star Trek (スター・トレック) 」の中に出てくるタイム・トラベル用の装置の名前だそう。確かに、ジャケのアートワークに描かれたホールズワース本人もスタートレックの衣装を着ている。しかし、その逸話とアルバムの内容との因果関係は、と問われると、「?」と返答するしかないんですけど(笑)。
 
 

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2023年11月29日 (水曜日)

ホールズワースの個性全開

アラン・ホールズワース(Allan Holdsworth)のリーダー作の落穂拾い。というか、当ブログ記事として扱っていなかった、ホールズワースのリーダー作を聴き直している。見直してみたら、ホールズワースのリーダー作の半分以上が、当ブログの記事として扱っていない。思わず、計画立てての聴き直しである。

Allan Holdsworth『Metal Fatigue』(写真左)。1985年の作品。ちなみにパーソネルは、Allan Holdsworth (g), Paul Williams (vo, tracks 1, 4), Paul Korda (vo, track 6), Alan Pasqua (key), Chad Wackerman (ds, tracks 1–4), Gary Husband (ds, track 5), "Mac Hine" (drum machine, track 6), Jimmy Johnson (b, tracks 1–4, 6), Gary Willis (b, track 5)。基本的に知らない名前ばかり(笑)。

ホールズワースの4枚目のリーダー作。まだ、一部では「悪名高い」SynthAxe(シンタックス)には手を染めていない、純粋にエレギ一本で勝負している。しかも、ホールズワースのエレギが「捻れに捻れている」。変態拗れ(ねじれ)エレギと形容されるホールズワースのエレギだが、この盤では、とても気持よく、清々しいばかりに「捻れている」(笑)。
 

Allan-holdsworthmetal-fatigue  

 
ハーモナイザーとディストーションを効かせたヘビーなサウンドがメインで、曲によってはボーカルが入っていて、どこか「英国プログレッシヴ・ロック(プログレ)」風な響きがユニーク。さすが、ジャズとロックの境目が曖昧な英国クロスオーバー+フュージョンである。それでも、ホールズワースの変態捻れギターは、当時の英国プログレには存在しないので、これは「プログレ」ではないな、ということになる。

しかし、ホールズワースのエレギは気持ちよく捻れている。アタッチメントの選び方、使い方が上手くて、ホールズワースにしか出せない音がとんでもなく個性的。収録された曲それぞれがなかなかの出来で、様々な志向&嗜好がてんこ盛りな内容にも関わらず、曲の良さ、という点でアルバム全体に統一感がある不思議なアルバムである。

3つのセッションを合わせて作成したアルバム。色々な音の要素が散りばめられている「万華鏡」の様な内容だが、ホールズワーズの変態捻れエレギの個性は、それぞれの曲の中で一貫していて、どこから聴いても「ホールズワースしか作れない」アルバムに仕上がっているところが、このアルバムの「肝」。ホールズワースの名盤の一枚。
 
 

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2023年7月 1日 (土曜日)

北欧ジャズの「ジャズ・ロック」

欧州のジャズ・レーベルの老舗、ECMレーベル。アルバムのリーダーを張るミュージシャンは、米国ジャズとはかなり異なる。

大きく分けて、北欧、ドイツ、イタリア、東欧、最近ではイスラエル。レーベルの音のカラーとして、耽美的でリリカル、現代音楽的でスピリチュアルな「統一された音志向」があるので、米国ジャズを踏襲した音志向の欧州ミュージシャンが選ばれることは無い。

北欧ジャズは、明らかにECMレーベルの音志向にぴったり合致する音の個性を持っていて、ECMレーベルからかなりの数のリーダー作をリリースしている。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドと偏り無く、リーダー人材を発掘し、ECMらしい音志向のリーダー作をリリースしている。

逆に、8ビートが主体のリズム&ビートの効いたクロスオーバー・ジャズやジャズ・ロックはほとんど無いのが、これまた、北欧ジャズの個性と言えば個性。

Arild Andersen『Clouds in My Head』(写真)。1975年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Arild Andersen (b), Knut Riisnæs (ts, ss, fl), Jon Balke (p), Pål Thowsen (ds)。リーダーは、ノルウェー出身のベーシスト、アリルド・アンデルセン。残りの3人も全員ノルウェー出身。オール・ノルウェーの1管フロントのカルテット編成。

僕は今まで、このアルバムを聴いたことが無かった。今回、ECMのリリースで、北欧ノルウェー出身のカルテットの演奏なので、さぞかし、北欧ジャズっぽい、耽美的で透明感溢れる、リリカルで静的なモード・ジャズが展開されるのだろう、と予想して聴き始めたら、思わず仰け反った。
 

Arild-andersenclouds-in-my-head

 
北欧ジャズっぽさが希薄。といって、ファンクネスは皆無。ビートは8ビートが入っている。これって、クロスオーバー・ジャズ、若しくはジャズ・ロック志向の音作りではないか。

よくよく聴くと、出てくるフレーズは、明るくはあるが耽美的でリリカル、テナーの音などはスッと伸びた透明感溢れる音色で、リーダーのアンデルセンのベースはソリッドで切れ味抜群。

ジョン・バルケのピアノは、躍動感溢れ、ビートが効いてはいるがリリカルで透明度高く硬質なタッチ。ポール・トーセンのドラムは、自由度と柔軟度の高い拡がりのあるリズム&ビートを叩き出す。この4人の出す音って、基本は北欧ジャズであることが判る。

この盤、北欧ジャズを基本としたクロスオーバー・ジャズ、若しくはジャズ・ロックだと感じる。アップテンポの4ビートの演奏などは、米国ジャズの新主流派を彷彿とさせるのだが、ファンクネス皆無、北欧ジャズの個性を宿した楽器の音が、米国ジャズとは絶対的に「一線を画している」ところが興味深い。

ECMには似合わない、タイトなリズム&ビートの効いたクロスオーバー・ジャズ、若しくはジャズ・ロック、そして、米国ジャズの新主流派的な音世界。

しかしながら、この北欧ジャズの個性を宿した楽器の音と演奏の雰囲気が、辛うじてこの盤をECM盤として成立させている。きっと、アイヒヤーはしぶしぶリリースしたんじゃないかな。でも、良い内容、良い雰囲気の好盤だと思います。
 
 

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2023年6月17日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・263

唄って弾きまくるギタリスト、ジョージ・ベンソン(George Benson)。その弾きっぷりは「ウエス・モンゴメリー」のファンキー・ギターの再来。その唄いっぷりはソウルフル&ムーディー。唄って弾きまくるその底には「R&B」の黒さが流れ、ソウル・ミュージックのファンクネスが流れる。今の耳で振り返れば、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックの発祥である。

George Benson『Tell It Like It Is』(写真左)。1969年の4ー5月の録音。 A&M/CTIレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。ドラムとパーカッションはほぼ固定。曲によって、ギターとサックス、ベースを使い分けている。後のフュージョン・ジャズの担い手ジャズマンが集結している。

George Benson (g, vo), Lew Soloff (tp), Jerome Richardson (tracks 1–5, 8, 10 & 11), Arthur Clarke, Sonny Fortune (sax, tracks 1–5), Joe Farrell Joe Henderson (sax, tracks 8, 10 & 11), Bob Porcelli, Hubert Laws (sax, tracks 6, 7 & 9), Rodgers Grant (p, tracks 6, 7 & 9), Richard Tee (p, tracks 1–5, 8, 10 & 11), Bob Bushnell (b, tracks 1–5), Jerry Jemmott (b, tracks 1–7 & 9), Jim Fielder (b, tracks 8, 10 & 11), Leo Morris (ds), Paul Alicea, Angel Allende, Johnny Pacheco (perc)。

ラテンとソウル、R&B、カリビアンとエレ・ジャズを融合させた、クロスオーバー・ジャズな音作り。リーダーのジョージ・ベンソン自体は、易きに流れず、かなり硬派でメインストリーム志向のファンキー・ギターを弾きまくっている。ウエスばりのオクターヴ奏法で弾きまくり、ソウルフルでソフト&メロウなヴォーカルを披露している。
 

George-bensontell-it-like-it-is

 
Booker T & M.G.'sの名曲をカヴァーした、ご機嫌なラテン・ジャズ「Soul Limbo」から始まり、Jerry Butlerのカヴァー、ソウルフルでR&Bな「Are You Happy?」、ベンソンのヴォーカルが心地良い「Tell It Like It Is」、こってこてラテンな「Land Of 1000 Dances」、
Dontcha Hear Me Callin' To Ya」「Water Brother」は小粋なジャズ・ファンク。

グルーヴィーなブラスのユニゾン&ハーモニーも芳しい、ソウルフルなカントリー・ナンバー「My Woman's Good to Me」でのベンソンの歌唱にグッとくる。「Jama Joe」のホットなラテン曲でギターを弾きまくるベンソンは熱い。

ラス前の、スティヴィー・ワンダーの名曲のカヴァー「My Cherie Amour」でのベンソンのオクターヴ奏法に思わず仰け反り、ラストのオールドR&Bチューンのカヴァー「Out in the Cold Again」でのベンソンのソフト&メロウな唄いっぷりに惚れ惚れする。

このベンソンの『Tell It Like It Is』というアルバム、ソフト&メロウなソウル・ジャズから、レアグルーヴなファンキー・ジャズまで、お洒落なアレンジに乗って、マニアックで玄人好みの演奏がてんこ盛り。

米国ルーツ・ミュージックと融合したクロスオーバーなジャズを、熱いギターとソフト&メロウなボーカル、そして、小粋なアレンジで聴かせてくれる。とにかく単純に聴いていて楽しく、思わず足踏みし腰が揺れる。そんなソウルフルな傑作だと思います。
 
 

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2023年6月 1日 (木曜日)

「ジャズ・ロック」なジョンスコ

ジョン・スコフィールド(John Scofield、以降「ジョンスコ」と略)の1970年代〜80年代のリーダー作の落ち穂拾い。初リーダー作の『John Scofield Live』(1977年11月録音, Enja)から『Flat Out』(1988年12月録音, Gramavision)まで、15枚のリーダー作の中で、6枚が当ブログで記事として扱っていない。これを順番に聞き直して、記事をアップしていこうと目論んでいる。

John Scofield『Who's Who?』(写真左)。1979年の作品。ちなみにパーソネルは、John Scofield (el-g), Kenny Kirkland (key), Anthony Jackson (b), Steve Jordan (ds), Sammy Figueroa (perc)。3曲目「The Beatles」と6曲目「How the West Was Won」のみ、Dave Liebman (sax) 加わり、Eddie Gomez(b), Billy Hart (ds) にベースとドラムが代わっている。

ジョンスコのリーダー作の4作目。エレギの、ちょっと変態的な捻れ具合、独特にデコボコ流麗に流れるフレーズ、ジョンスコのエレギの個性はこの盤に満載。ジョンスコのエレギの音色、フレーズ作りの個性は完全に確立されている。冒頭の「Looks Like Meringue」のエレギのフレーズを聴けば、直ぐに「ジョンスコや!」と判るくらいに、ハッキリした個性。
 

John-scofieldwhos-who

 
この『Who's Who?』は、米国西海岸のアリスタ・レコードからのリリース。演奏全体の雰囲気は明らかにフュージョン・ジャズ寄り。と言っても、硬派なメインストリーム系のクロスオーバー・ジャズな雰囲気を色濃く残していて、フレーズがデコボコ流麗、捻れてはいるが、爽快感と疾走感が全面に押し出され、ジャズ・ファンクな味付けも見え隠れし始めて、メインストリーム志向のジャズロックといった雰囲気が意外と好感度大。

バックのリズム隊も良いサポートを醸し出していて、ベースのアンソニー・ジャクソンとドラムのスティーブ・ジョーダンのコンビネーションはとてもカッチリ整っていてきめ細やか、ジョンスコのブルージー&レイジーで豪胆なエレギのフレーズの弾き回しをがっちりサポートしている。タイトル曲の5曲目「Who's Who?」を聴けばそれが良く判る。

1980年代のジャズ・ファンクな音志向は、まだ始まったばっかりの、どちらかと言えば、シュッとしたデコボコ流麗、捻れたフレーズを弾きまくったフュージョン・ギターといった風情だが、メインストリーム志向の硬派な弾き回しは随所に聴くことが出来るところは、さすがジョンスコといったところ。まだ4作目のジョンスコのリーダー作。最終的な音の志向を目指して発展途上な音作りですが、これはこれで魅力的に響いていて良好。好盤です。
 
 

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2023年5月 5日 (金曜日)

懐かしの『Grand Cross』です

最近、Electric Birdレーベルのアルバムを漁っては聴いている。1970年代後半にキングレコードが立ち上げた、純国産のフュージョン専門レーベル。目標は「世界に通用するフュージョン・レーベル」。ちょうど、フュージョン・ブームのピークに近い時期に立ち上げられたレーベルで、リアルタイムで聴いてきたフュージョン者の我々としては、とっても懐かしいレーベルである。

David Matthews『Grand Cross』(写真)。1981年の作品。Electric Birdレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、David Matthews (el-p, arr), Michael Brecker (ts), David Sanborn (as), Randy Brecker (tp, flh), John Tropea, Larry Carlton (el-g), Cliff Carter (el-p. syn), Marcus Miller (b), Steve Gadd (ds), Sammy Figueroa (perc)。プロデューサーも、デイヴィッド・マシューズが担当している。当時のフュージョン畑の一流ミュージシャンが一堂に会したオールスター・セッションの様な内容。

冒頭のタイトル曲「Grand Cross」のイントロから凄い。一糸乱れぬ、スピード感溢れる、高テクニックなユニゾン&ハーモニー。そして、アドリブ展開部に入って、疾走感溢れる切れ味の良い、サンボーンのアルト、マイケル・ブレッカーのテナー、そして、ランディ・ブレッカーのトランペット。ファンクネス度濃厚なジャズ・ファンク。う〜む、これは「ブレッカー・ブラザース」の音。否、ブレッカー・ブラザースより重厚で爽快。

そして、マーカス・ミラーのベース、ガッドのドラムの重量級リズム隊がガンガンに、ファンキーなリズム&ビートを供給する。この冒頭の1曲だけでも、この盤は楽しめる。こんなに濃密な内容のジャズ・ファンクは、そうそう聴くことは出来ない。マシューズのプロデュース、恐るべし、である。マシューズのキーボードもファンク度が高い。
 

David-matthewsgrand-cross

 
この盤、レゲエ〜ラテン〜アフロなフュージョン・サウンドが楽しいのだが、特に、レゲエを基調とした楽曲が3曲ほどあって、これが良いアレンジ、良い演奏で楽しめる。当時、流行のビート「レゲエ」。

2拍子のユッタリしたレゲエのオフビートは、演奏力が低いと冗長、冗漫になって、間延びした聴くに堪えない演奏になったりするのだが、さすがにこの当時のフュージョン畑の一流ミュージシャン面々、絶対にそうはならないところが凄い。特に、リアルタイムでこの盤を聴いていた僕達にとっては、このレゲエ調の楽曲って馴染みが深くて懐かしい。

カールトンとトロペイのエレギが良い音を出している。特に、レゲエ調の曲でのカッティングや、ジャズ・ファンク調の曲でのファンクネス溢れるソロなど、惚れ惚れする。カールトンもトロペイもフレーズを聴けば、すぐにそれと判る個性的な弾きっぷりで勝負しているところが実に高感度アップである。ほんと良い音だすよね。

デヴィッド・マシューズのアレンジ優秀、プロデュース優秀。これだけのメンバーを集めて、単なるオールスター・セッションにならずに、演奏の志向をきっちり共有化して、まるでパーマネント・グループの様なサウンド志向の統一感と演奏の一体感が発揮しているのは、やはりマシューズの統率力の「たまもの」だろう。

和製のフュージョン・ジャズとしての優秀盤、エレクトリック・バードの代表盤として、この盤は外せない。とにかく「痛快」な内容である。
 
 

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2023年5月 1日 (月曜日)

1970年代スタイルのジャマル

逝去したから、という訳では無いのだが、アーマッド・ジャマルのリーダー作の落ち穂拾いをしている。ジャマルについては、意外とこのブログで取りあげることが多いジャズマンの1人。

それには理由があって、ジャマルは「経年変化」が著しいピアニストで、活躍した年代によって異なる顔を持つ、つまり、年代によって、ピアノ演奏のスタイルが変わるピアニストなので、デビューした1950年代から逝去前の2010年代まで、それぞれの年代を横断してリーダー作を聴かないと、ジャマルのピアニストとしての個性が把握できないのだ。

Ahmad Jamal『Outertimeinnerspace』(写真)。1971年6月17日、モントルー・ジャズ・フェスティバルでのライヴ録音。Impulse! レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (ac-p, el-p, fender rhodes), Jamil Sulieman (b), Frank Gant (ds)。ジャマルお得意のトリオ編成でのパフォーマンス。

1960年代終わり以前のジャマルのスタイルは「しっとりシンプルでクールなサウンド」だった。そして、1969年〜1970年辺りで、いきなり「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」に変貌する。
 

Ahmad-jamaloutertimeinnerspace

 
このモントルー・ジャズフェスでのライヴ・パフォーマンスは「アーシーで豪快なメリハリのあるサウンド」。いわゆる「1970年代スタイル」のジャマルである。ライヴということもあるのだろう、長尺の演奏ばかり2曲のみ。エレギが入っていない分、その印象はほどほどなんだが、ジャズに軸足を置きつつ、演奏全体の雰囲気はクロスオーバー・ジャズ志向。

このライヴでは、ジャマルはエレピやローズも弾いていて、これがグルーヴ感濃厚なジャズ・ファンク風になっているから堪らない。1950年代のハードバップ志向のラウンジ風な演奏スタイルも、1960年代のダイナミックでファンキーな演奏スタイルも微塵も無い。ビートの効いた、アーシーで豪快なメリハリ・サウンドだけが、この盤に詰まっている。

ビートは効いているが、ジャズ・ファンクなメリハリの強い演奏になっておらず、サイケデリック&スピリチュアルな雰囲気が漂う、どこか疾走感と浮遊感が入り交じった展開になっているのは、モーダルな演奏をメインとしているからだろう。冒頭の約17分の長尺演奏の「Bogota」は、力業的なモーダルな展開がなかなか格好良い演奏になっている。

ジャケットもどこか、サイケデリック&スピリチュアルなポップ・アートで飾られており、ジャズ盤のジャケットとは思えない風情。それでも、このライヴ盤でのジャマル・トリオ、当時のジャズの最先端の演奏トレンドをしっかりと捉えつつ、オリジナリティー溢れる演奏に仕上げているのはさすがである。意外と癖になる内容です。
 
 

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  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

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2023年3月 1日 (水曜日)

ワシントンJr.の初リーダー作です

Grover Washington, Jr.(グローヴァー・ワシントン・ジュニア)。このサックス奏者は、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズの代名詞『Winelight』が大ヒットしたが故、かなり誤解されているなあ、と感じることが多い。彼のリーダー作の全てを聴き直してみると、やっぱり、彼の評価に偏りがあるなあ、と感じることが多い。

グローヴァー・ワシントン・ジュニアと言うと、ベテランのジャズ者の方々は「ああ、あのソフト&メロウなサックス奏者ね」と冷ややかに反応することが多い。でも、ですね。このサックス奏者、意外と硬派で正統派なサックスを吹くんですよ。『Winelight』は、彼のサックスのテクニックと表現力が高い証明で、あの究極のソフト&メロウなブロウは、彼の表現パターンのひとつに過ぎないのだ。

Grover Washington, Jr.『Inner City Blues』(写真)。1971年9月の録音。 Kudu Recordsからのリリース。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr.(sax), Bob James (el-p, arr, cond), Richard Tee (org), Eric Gale (g), Ron Carter (b), Idris Muhammad (ds), Airto Moreira (perc), Donald Ashworth (bs), Wayne Andre (tb), Thad Jones (tp, French horn), Eugene Young (tp, flh)。プロデューサーは、フュージョンの仕掛け人の1人、クリード・テイラー。

ということで、グローヴァー・ワシントン・ジュニア(以降、ワシントンJr.と略)の初リーダー作を聴いてみる。ジャズマンにおいて、初リーダー作は、そのジャズマンの個性と特徴をしっかり反映しているので、そのジャズマンの素姓を知るには、まず初リーダー作を聴くに限る。
 

Grover-washington-jrinner-city-blues

 
このワシントンJr.の初リーダー作、パーソネルを見渡すと、当時のフュージョン・ジャズの担い手ジャズメンがズラリと顔を揃えている。アレンジはボブ・ジェームス。プロデューサーはクリード・テイラー。1971年の作品だが、後のフュージョン・ジャズを見据えた、コンテンポラリーでクロスオーバーなエレ・ジャズに仕上がっていて、ちょっとビックリする。これ、硬派なフュージョン・ジャズそのもの、と言っても良い位の「内容充実」な盤である。

バックのボブ・ジェームス節をしっかり踏まえた、お洒落でクールで躍動感溢れるアレンジに乗って、硬派で正統派なワシントンJr.のサックスのエモーショナルで力強くて流麗なサックスが乱舞する。明らかにフュージョン志向のアレンジなんだが、ワシントンJr.のサックスは意外とブリリアントで重心が低くてファンキー。説得力があり、訴求力のあるサックスで、ソフト&メロウな軟弱さなんて、どこにも無い。

ワシントンJr.は唄う様にサックスを吹き上げる。力感溢れエモーショナルでハードボイルドな吹きっぷりから、ソフト&メロウに囁くように吹く繊細な吹きっぷりまで、その表現力は高度で多彩。それは決してテクニカルで無く、しっかりと情感がこもっている。後のフュージョン・ジャズのサックスの雰囲気を先取りしたかの様な、このワシントンJr.の表現力豊かなサックスは、当時としてはかなり先進的だったのでは無いか。

このワシントンJr.の初リーダー作は、ワシントンJr.のサックスマンとして、とても優れた資質と個性を持っていることが良く判る。我が国では、何故か「ソフト&メロウなフュージョン・サックス野郎」の位置づけで留まっているが、もっとワシントンJr.のサックスの本質を再評価して欲しいなあ、とこの初リーダー作を久し振りに聴いて、再び思った次第。お気に入りのフュージョン好盤です。
 
 

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2022年11月29日 (火曜日)

エレ・チックの未発表ライブ音源

チックが亡くなって、1年と10ヶ月が過ぎようとしている。チックが亡くなったのって、遠い昔みたいに感じるのだが、チックが亡くなって、まだ2年経っていないんやね。と思っていたら、最近、サブスクサイトに、チックの未発表音源がちょくちょくリリースされているのに気がついた。なんで生前に正式盤としてリリースしなかったのか、と思う、内容の充実した音源ばかりで、さすがはチック、演奏の出来にバラツキが無かったんやなあ、と改めて感心している。

Chick Corea『Live Under The Sky ’79』(写真左)。1979年7月27日、田園コロシアムでのライヴ録音。オフィシャル級のステレオ・サウンドボード録音にて収録らしい。確かに音はまずまず良い。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (key), Tony Williams (ds), Al Di Meola (g), Bunny Brunel (b)。「Live Under The Sky 1979」に向けて、特別に組成したカルテット編成。

チックのアグレッシヴでプログレッシヴなシンセの弾きまくりに、ディメオラが調節技巧エレギで応戦。チックとディメオラのバトルを、これまたアグレッシヴでポリリズミックで叩きまくりのトニーのドラムが煽りに煽る。これだけでも凄い迫力なのだが、ここに、バニー・ブルネルの重量級エレベが参戦、さらにその「ど迫力」に拍車をかけている。
 

Chick-corealive-under-the-sky-79

 
冒頭の「Night Street」、チックのソロ盤『My Spanish Heart』からの選曲なのだが、ディメオラ、トニー、ブルネルが演奏し慣れているが如く、疾走感溢れる弾きまくりである。チックとディメオラのフロントで、ど迫力のユニゾン&ハーモニー。どんだけ音が分厚いのか。そこに、マシンガンの如く、トニーのドラムが「ドドドドド」と迫り来る。そして、ブルネルのエレベがブンブン鳴り響く。

収録曲も魅力的。チックのファンであれば、タイトルだけ見ても「痺れる」曲がズラリと並ぶ。「All Blues」から「Senor Mouse」〜「Spain」には聴き惚れるばかり。そして、ディメオラのソロから、チックが参戦してデュオになり、トニーのドラムとブルネルのベースが入って来たな、と思ったら「Isfahan」に突入する。どの曲の演奏も素晴らしい「ど迫力」。生で聴きたかったなあ。ラストのチックのソロも絶品。チック者には堪らない。

ブートとして一部のマニアだけが聴けるだけなのは惜しい。こんな未発表音源が他にもあるのなら、もっと正式盤でリリースして欲しい。実は、チックのアコピのコンサートには何度か足を運んだが、エレピのチックは生で体験したことが無い。チックのエレピが聴ける、クロスオーバー〜フュージョン志向のエレ・チックのライヴ音源があるのなら、なおさらである。
 
 

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