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2018年9月 2日 (日曜日)

1970年代の先駆け的ギタリスト

昨日から涼しくなった千葉県北西部地方。今日などは半袖でじっとしていると肌寒いくらいだ。台風が西日本に接近しつつあるので、天気は良くないのだが、これだけ涼しくなると、ジャズ盤鑑賞の幅も広がるし、ジャズを聴いていても汗ばむことも無い。今年の夏は酷暑続きだったので、ジャズ鑑賞も辛かったですね。というか、まず体調が思わしく無い日が多かったなあ。

そこで、ジャズ・ギターである。熱く弾きまくるジャズ・ギター、クールに弾き進めるジャズ・ギター。様々なパターンのジャズ・ギターを聴き比べたくなる。ジャズ・ギターは、エレギとそのアタッチメントの進歩によって、表現の幅が広がった。今ではホーン楽器と変わらない、音のバリエーションと強弱を手に入れている。

そんなジャズ・ギター、ギタリストによって個性が明らかに異なるので、聴いていて楽しい。今日は、George Benson『Giblet Gravy』(写真左)を選盤。1968年2月の録音。1968年の録音とは言え、曲毎にミュージシャンを選んで録音する、という、1970年代の録音手法が取られていて、録音時、リーダー以外、パーマネントなメンバーは存在しない。
 

Giblet_gravy

 
それでもパーソネルを見渡すと、Eric Gale (g), Herbie Hancock (p), Ron Carter, Bob Cranshaw (b), Billy Cobham (ds) らの名前が確認出来て、ジャズロック〜クロスオーバーな音が顕著である。フュージョン・ジャズ全盛時にはソフト&メロウなフュージョン・ギターがウリのベンソンではあるが、この盤が録音されたのは1968年。まだまだバリバリに弾きまくっている。

そう、ベンソンは1960年代後半はソウル・ジャズ、ラテン・ジャズに大活躍。かなりハードなエレギに惚れ惚れする。これだけハードだとジャズよりはちょっとロックに寄っている雰囲気。聴き応え抜群である。特に、アドリブ展開におけるグルーヴ感とドライブ感が半端ない。このエレギの音を聴くと、当時、マイルスがセッションに呼んだ理由が理解できるような気がする。

ジャケ写を見れば時代を感じるんだが、若き日のギラギラしたベンソンが実に精悍。この頃のベンソンについては、単にウエス・モンゴメリーの後継者という切り口では無く、ハードバップを越え1970年代への橋渡しとなる、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズなエレギの先駆者という位置づけで、もっと語られるべきギタリストであると僕は思う。

 
 

東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年7月21日 (土曜日)

CTI All-Starsの傑作ライブ盤

1970年代前半のクロスオーバー・ジャズについては、聴き直してみると、とても面白い。ロックの影響からか、電化楽器と8ビートの積極活用がメインなんだが、演奏そのものはハードバップだったり、モード・ジャズだったりで、温故知新というか、旧来の純ジャズの演奏を、電化楽器と8ビートでリニューアルした様な、そんな「新装開店」な雰囲気が実に味わい深い。

電化楽器と8ビートでリニューアルした様な「クロスオーバー・ジャズ」については、CTIレーベルを探ると結構出てくる。さすが、クロスオーバー・ジャズの老舗レーベルである。そんな中で、これはイチ押し、CTIオールスターズの演奏の中で、電化楽器と8ビートの積極活用を心ゆくまで楽しめるライブ盤がある。

CTI All-Stars『CTI Summer Jazz At The Hollywood Bowl』(写真)。1972年7月30日、ハリウッド・ボウルでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Deodato (key), Jonny Hammond (key), Bob James (key), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds), George Benson (g), Airto (Perc), Hank Crawford (sax), Joe Farrell (sax), Stanley Turrentine (sax), Grover Washington, Jr. (sax), Freddie Hubbard (tp), Hubert Laws (fl), Milt Jackson (vib), Ester Phillips (vo)。
 

Cti_summer_jazz_at_the_hollywood_bo  

 
とにかく、CTIレーベルを聴き込んだ耳からすると、懐かしいやら嬉しいやら。まず、確実に耳につくのが、ボブ・ジェームスとデオダートのキーボード演奏。この2人のキーボードの音は個性に溢れ、アドリブ・フレーズを聴くと直ぐに判ります。特にデオダートのキーボードは懐かしい音です。CTIレーベルの諸作を聴き込んだあの頃が脳裏に浮かびます。ベンソンのギターも聴きもの。唄う画如くのフレーズ、メリハリの効いたソロの構成力、ギタリスト=ベンソンの面目躍如です。

ブヨンブヨンのベースは明らかにロンですし、フロントのサックス隊、クロフォード、ファレル、タレンタイン、ワシントン・ジュニアも大活躍。電化楽器と8ビートに良く合った音色とフレーズでガンガンに飛ばします。リズム隊はデジョネットとアイアートの独壇場。音のアクセントに、ハバードのトランペット、ロウズのフルート、ミルトのヴァイブが小粋に響きます。いや〜、今の耳で聴いても、ほんとエキサイティングで格好良い演奏の数々。

CTIがもっとも充実していた時代、CTI All-Starsの1972年のライブ音源。CD2枚組(LP時代は3枚ばら売りだったかと)にコッテコテのCTIサウンドがてんこ盛り。これでもか、と言わんばかりの、CTIレーベルのフル・オール・キャスト、豪華メンバーで繰り広げられるライブ演奏。しかも、時代の勢いがそうさせるのか、いずれのメンバーの演奏するフレーズには、かなり気合いが入っているのが判ります。適当な顔見世興行で無いことが良く判ります。好盤です。

 
 

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2018年7月19日 (木曜日)

アーティスティックな電化ジャズ

1970年代後半から本格的にジャズを聴き始めた僕にとって、CTIレーベルはとっても思い出深いレーベルである。CTIは1967年、プロデューサーのクリード・テイラーによって創設されたジャズ・レーベル。クロスオーバー・ジャズの老舗レーベルで、僕が聴き始めた頃は、1970年代後半、フュージョン・ジャズの大ブームの最中であった。

CTIレーベルの音は厳密に言うと、フュージョン・ジャズでは無い。ほとんどのアルバムの音はクロスオーバー・ジャズで括られると思う。特に、ジャズとロックの融合、ジャズの電化について優れたアルバムが多い。クロスオーバー・ジャズの老舗レーベルでありながら、フレーズや展開は従来のハードバップ、演奏はエレ楽器中心、そんな新旧ハイブリッドな盤に優れたものが多い。

Freddie Hubbard & Stanley Turrentineの『In Concert Volume One』(写真左)と『In Concert Volume Two』(写真右)。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Stanley Turrentine (ts), Herbie Hancock (key), Eric Gale (g), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds)。1973年3月3日、シカゴの Opera Houseと1973年3月4日、デトロイトの Ford Auditorium でのライブ録音になる。
 

In_concert_volume_one_two  

 
この2枚のライブ盤がそんな「新旧ハイブリッドな盤」の好例になる。パーソネルを見れば、このライブ盤は、こってこて正統なハードバップからモード・ジャズをやるんではないか、と思ってしまう位の錚々たるメンバーである。エリック・ゲイルの存在だけが違和感があって、聴く前に「ありゃ〜」となる(笑)。

演奏内容はと言えば、演奏の内容、コンセプトは思いっきりハードバップ〜モード・ジャズである。それを電化された楽器でやる。しかし、楽器が電化されているとはいえ、この今ではそれぞれが、ジャズ・レジェンドと呼ばれるメンバーである、しっかりとメインストリーム・ジャズしている。電化されているからといって、決して、ポップに迎合していないし、決して俗っぽくなっていない。

電化されたジャズとはいえ、結構、アーティスティックなメインストリーム・ジャズである。CTIレーベルにはこれがあるから面白い。アルバムを聴き進めていくと、面白い発見が続々出てくる。このお洒落で硬派な電化されたモード・ジャズは、今の耳で聴くと意外と新鮮に響いて、思わず「おっ」と短い歓声を上げてしまう。やはりこのメンバーは、電化ジャズをやっても隅に置けない。

 
 

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2018年7月 2日 (月曜日)

ブラジリアン・フュージョンです

先週の金曜日、いきなり梅雨が明けてしまった関東地方。翌日から暑い暑い、蒸し暑い。相当な湿度の高さ。暑さだけなら我慢できるが、この湿度の高さは我慢ならない。これだけ暑くなると、熱い演奏、熱い純ジャズは聴くのを憚られる。といって、静的なソロ・ピアノはと言えば、刺激が足らなくて、結局、汗が滲み出てくる。

暑いのは避けられないのであれば、爽快感溢れるフュージョン・ジャズが良い。耳当たりが良く、気持ちが明確になる、ポジティブなフュージョン・ジャズ。そう、空調の効いた涼しい部屋で、真夏日の焼け付くような陽射しを窓の外に見ながら、爽快感溢れるフュージョン・ジャズに耳を傾ける。猛暑の克服法の1つである。

Manfredo Fest『Brazilian Dorian Dream』(写真左)。1976年の作品。マンフレッド・フェストは、1960 年代をサンパウロのボッサ・ジャズ・シーンの中心人物として一時代を築いた後、セルジオ・メンデスの手引きで渡米し、ボッサ・リオを率いて活躍したブラジル出身の盲目のピアニスト。そのマンフレッド・フェストのリーダー作、ブラジリアン・フュージョン・クラシックな好曲「Brazilian Dorian Dream」をタイトルに冠したフュージョン・ジャズな好盤である。
 

Brazilian_dorian_dream_1  

 
聴くと実に面白い音世界である。シンセを使い、オルガンを使い、ピアノを使い、ブラジルというよりは、ラテン・フレーバーな楽曲がメイン。聴いていると、一瞬、チック・コリアかと思う位、ラテン・フレーバーが横溢している。しかし、繰り出されるフレーズは、チックの様にエッジが立った、アーティスティックなものでは無く、ライトで俗っぽい、ポップなもの。

シンセの使い方も、ちょっと俗っぽい使い方もちらつかせながら、ポップで判り易いフレーズを繰り出していく。アコピはところどころハービー・ハンコックな手癖を聴かせるが、基本はチック。極太シンセはともかく、リードを取るシンセとユニゾンで奏でられる女性スキャット、そしてソフト&メロウなフェンダー・ローズの音は、ちょっともったりとしたRTFの演奏を聴いているようで、とても面白い。

とにかくリラックスして聴けるところが良い。ラテン・フレーバーも耳に持たれることなく、爽快感を振り撒きながら、じっくりとフレーズを聴かせるところは只者では無い、と感じる所以。今ではこの盤は「クロスオーヴァー系DJ 達のマスト・アイテム」となっているらしい。ソフト&メロウなボッサ・ジャズ〜ブラジリアン・フュージョンは真夏の季節にピッタリ。

 
 

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2018年6月29日 (金曜日)

この季節にピッタリの爽快感

1970年代後半、ジャズを聴き始めた訳だが、硬派なジャズ者は「純ジャズ」がメイン。当時、キワモノとされたクロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズなど以ての外で、口が滑って「クロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズが好き」などと言おうものなら、硬派なジャズ者の方々からボッコボコに反論された。しかし、である。

Donald Byrd『Places & Spaces』(写真左)。1975年のリリース。ビ・バップ時代から活躍してきたドナルド・バードが、43歳の時にリリースした、クロスオーバー・ジャズなアルバムである。ビ・バップ〜ハード・バップ時代に活躍してきたトランペッターが、ファンクネス豊かなクロスオーバー・ジャズに大変身。当時は、日和ったとか、寝返ったとか、散々、叩かれた様である。

じっくり聴けば、この盤が俗っぽくて聴くに値しない、軟弱なジャズ盤だという評価は当たらない、ということが良く判る。とても爽やかで躍動感のあるアレンジの下で、活き活きとしたバードのトランペットが響き渡る。ビートは8ビート、ラリー・マイゼルの高揚感たっぷりのサウンドがメイン。“Sky High Production”という形容がピッタリの爽やかファンキーなフュージョン盤。
 

Places_and_spaces

 
この盤はブルーノートからのリリース。これまた驚きだった。ブルーノートと言えば、正統な「純ジャズ」がメイン。が、1970年代のブルーノート盤は、後のクラブ・シーンでサンプリングのネタ元として大いに活用される、ファンクネス豊かな、ビートの効いたジャズ・ファンクな内容のものを多くリリースしている。ドナルド・バードはいち早く、このファンクネス豊かな、ビートの効いたジャズ・ファンク〜クロスオーバー・ジャズに鞍替えし、成功を収めている。

日本では「キワモノ」扱いされて、この様なジャズ・ファンクな盤は徹底的に排除されたように記憶している。しかし、聴けば判るのだが、チャック・レイニーとハーヴィー・メイソンのリズム隊がドライブ感抜群にビートを繰り出し、フロントのバードのトランペットが乱舞する。なかなかの内容のクロスオーバー・ファンクなのだ。

聴かず嫌いは良く無い。メロディアスで爽快感抜群、ファンクネス豊かでパンチの効いた8ビート。芳しいメロディと清々しいフレーズ。大人のクロスオーバー・ジャズ。青空に浮かぶ飛行機と雲の動きをコマ落としでとらえたジャケットも爽快で、アルバムの中身の内容を如実に表している。この季節にピッタリの爽快感がとても心地良い。

 
 

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2018年6月27日 (水曜日)

明かにクロスオーバー・ジャズ

1970年代後半から80年代前半、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズについては「キワモノ」扱いであったが故、情報不足からリリースされた重要作を見過ごし、正しく評価出来なかった時代が続いた。というか、レコード会社が売れそうな盤はリリースするが、そうでもなさそうな盤は無視。それも個人的な感覚で「売れる、売れない」を判断していたのだから困る。

Tom Scott & L.A.Express『Tom Cat』(写真左)。1975年のリリース。ちなみにパーソネルは、Tom Scott (sax), Robben Ford (g), Max Bennett (b), John Guerin (ds), Larry Nash (key)。このグループの存在は知っていたが、このアルバムを手にして、音を聴くことが出来たのは、21世紀に入ってからだ。AmazonとかHMVで外盤がネットで容易に入手出来る様になってからである。

トム・スコットのサックスはスムース・ジャズとして聴いたのが始めて。このL.A.Express名義で、クロスオーバー・ジャズど真ん中の、エモーショナルでハイテンションなサックスを吹いていたなんて知らなかった。このL.A.Expressでのトム・スコットのサックスは凄い。テクニック優秀、エモーショナルではあるが破綻することは無い。活き活きとポジティヴに明るいサックスを吹きまくる。
 

Tom_cat  

 
ベースのマックス・ベネットは、ノリノリのファンキー・ジャズ。こってこてファンキーではあるが、決して下品にはならない。典雅に小粋にファンクネスを振り撒きながら、堅実なベースラインを刻んでいく。そこに、疾走感溢れる、端正でノリの良い、ョン・ゲランのドラムがビートの底を支える。鉄壁のクロスオーバーなリズム・セクション。

ラリー・ナッシュのキーボードがお洒落だ。特にアープ・シンセの使い方が小粋で格好良い。純ジャズでは無い、と言ってロックでも無い。ジャジーなノリではあるが、ロックの様に明朗なシンセのフレーズが今の耳にも新しい。そして、ロベン・フォードのギターが明らかに「クロスオーバー」。ノリの良い、ロックの様であるが、フレーズの底は明らかにジャジー。8ビートではあるが、きめ細かくスインギー。

それぞれの楽器が明らかに「クロスオーバー・ジャズ」していて、ノリはジャジー。後のフュージョン・ジャズとはちょっと違う、明かにクロスオーバー・ジャズな演奏に、何度聴いてワクワクする。疾走感溢れる、明朗ファンキーなクロスオーバー・ジャズは他にありそうで無い。さすが米国西海岸。クロスオーバー・ジャズをしても、明らかに「西海岸」の音が眩しい。

 
 

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2018年6月26日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・99

クロスオーバー〜フュージョン・ジャズは意外と奥が深い。当時、正統とされる「純ジャズ」については、ジャズの紹介本や雑誌で、リリースされたアルバムが体系化されて紹介されていたが、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズについては「キワモノ」扱いであったが故、情報不足からリリースされた重要作を見過ごし、正しく評価出来なかった時代が続いた。

21世紀に入って、やっとこさ、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズのアルバムについて、特別にアルバム紹介本が発刊されたり、ジャズ雑誌で特集が組まれることが出てきて、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズを正しく評価する環境が整ってきた。これは、このクロスオーバー〜フュージョン・ジャズをリアルタイムに体験してきた我々にとっては、実に喜ばしいことである。

Afrique『Soul Makossa』(写真)。1973年のリリース。デヴィッド・T.ウォーカー、チャック・レイニーらジャズ・ファンク系のスゴ腕メンバーによるユニットの代表作。まさにレア・グルーヴ、こってこてファンキーな内容。Afrique=アフリーク、と読む。総勢13名によるソウルジャズ・ファンク・ユニット「アフリーク」。1970年代後半、フュージョン・ジャズ全盛の頃、僕はこのアルバムの存在を全く知らなかった。
 

Soul_makossa  

 
今の目で見て、このユニットのメンバーは凄い。デヴィッド・T・ウォーカーのエレギがファンキーにかっ飛び、チャック・レイニーのベースがファンキーに弾け飛び、レイ・パウンズのドラムがファンキーに煽る。ソウル・ミュージックのクロスオーバー・ジャズ風味的な演奏の数々。チャールズ・カイナードのキーボードも、ポール・ジェフリーサックスも、明らかにファンキー。それも、ソウルフルなファンクネス。

とりわけ、このアルバムでは、デヴィッド・T.ウォーカーのエレギが大活躍で、デヴィTのリーダー作と言っても差し支えの無い内容。特に、この頃、ワウワウ・プレイに凝っていたらしく、全編に渡ってエレギをワウワウ・ウネウネと鳴らしまくっていて、他のアルバムよりも、デヴィTのファンキー度は高い。

こんなアルバムがあったんやなあ、と感心することしきり。ソウル・ジャズを「キワモノ」と決めつけていた、当時の日本のジャズ・シーンからすると、こんなに「こってこてファンキー」でソウルフルなクロスオーバー・ジャズは着目に値しなかったのだろう。21世紀になって、CDやダウンロードでのリイシューでやっと日の目を見た訳で、僕達フュージョン者としても、このアルバムの内容にはビックリ。ソウルジャズ・ファンクなクロスオーバー・ジャズは聴いていてとても楽しい。

 
 

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2018年6月 8日 (金曜日)

見事な技、見事な表現力である

パット・メセニーがサイドマンのアルバムを聴いている。パットは伴奏上手。パットのギターは自らがリーダーのアルバムとサイドマンで参加したアルバムとで、雰囲気がガラッと変わる。特にサイドマンの時は、参加したそのセッションのリーダーの楽器を惹き立てるように、また、同じ雰囲気でユニゾン&ハーモニーをかまし、アドリブ・フレーズを紡ぎ上げる。

その好例がこのアルバム。Joni Mitchell『Shadows And Light』(写真)。1979年9月、カルフォルニアはSanta Barbara Bowlでのライブ録音。ジョニ・ミッチェルは米国の女性シンガーソングライターの草分けで、その浮遊感と神秘性のある歌詞と曲が彼女の最大の個性。その音楽性は複雑で高難度。通常のロック畑のスタジオ・ミュージシャンではちょっと不足な面が出てしまう。

そこで、ジョニは思い切って、ジャズ畑の一流ミュージシャンを招聘することを思い立つ。1970年代、1972年リリースの『For the Roses』から、クロスオーバー・ジャズ畑から、ジャズメンを採用し始める。そして、1979年の『Mingus』では、参加ミュージシャンは全てがジャズ畑からの招聘となった。確かに、彼女の複雑で高難度な音楽性を的確に表現出来るのは、ジャズ端のミュージシャンをおいて他に無い、と思う。
 

Shadows_light

 
さて、このジョニのライブ盤『Shadows And Light』の、バックバンドのパーソネルは、Pat Metheny (g), Jaco Pastorius (b), Don Alias (ds, perc), Lyle Mays (el-p, syn), Michael Brecker (sax)。いやはや、錚々たるメンバーでは無いか。録音当時、ジャズ界では、これらのメンバーは、人気&実力、共に既に超一流。そんなメンバーがバックを務めるのだ。悪かろう筈が無い。

そんなサイドメンの中で、特筆すべきは、ギターのパットとエレベのジャコ。この2人のテクニックと表現力は群を抜いている。ジョニの複雑で高難度な音楽性を、高度なテクニックと表現力で、的確に表現していく。特に彼女の楽曲が持つ浮遊感と神秘性をパットはギターシンセで、ジャコはフラットレスのエレベで表現していく。これがこのライブ盤での最大の聴きもの。ジョニの楽曲を惹き立て、ジョニのボーカルを浮き立たせるバッキング。

パットもジャコも自分たちの音を出すより、ジョニの楽曲にあった、ジョニの楽曲が表現する音世界を具現化するような音を選び、フレーズを紡ぎ上げる。見事な技であり、見事な表現力である。さぞかし、フロント・ボーカルを張ったジョニは唄いやすかっただろう。このライブ盤でのパットとジャコのバッキングは何度聴いても飽きないし、聴く度に感動する。

 
 
 

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2018年5月30日 (水曜日)

パット・メセニーの正式初録音盤

パット・メセニー(Pat Metheny)のサイドメン参加のアルバムを聴き進めている。メセニーと言えば、今や、押しも押されぬ現代ジャズ・ギターのレジェンドである。1970年代以降の「ニュー・ジャズ」の範疇でのエレクトリック・ギターは第一人者のポジションを維持している。スインギーな4ビート・ジャズとは全く対極のニュージャズの寵児であるメセニー。

そんなメセニーについては、サイドメン参加に回った時のプレイの方が、メセニーのエレギの特性を強く感じることが出来るのでは無いか、という仮説の下に、パット・メセニーのサイドメン参加のアルバムを聴き始めた。これが、どうも当たりみたいで、サイドメンのプレイの方が、リーダーの音のイメージという「規制」がの下で個性を表出しなければならない、という条件下で、メセニーの個性が強くでるみたいなのだ。

Gary Burton Quintet with Eberhard Weber『Ring』(写真左)。1974年7月の録音。ECMの1051番。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Michael Goodrick (g), Pat Metheny (g, el-12-string g), Steve Swallow (b), Eberhard Weber (b), Bob Moses (ds, perc)。パット・メセニーが、録音アルバムに名を連ねた、最初の正式盤である。
 

Ring

 
メセニーの師匠格であるゲイリー・バートン。バートンの慧眼恐るべしである。1970年代前半、当時、ニュー・ジャズの推進者であたゲイリー・バートン。彼の音楽性に対して、パット・メセニーのエレギはピッタリの存在だったことがこの盤を聴いて良く判る。メロディアスでフォーキーなソロから、怜悧でクールなフリー・インプロビゼーションまで、メセニーの持つ「ギターの個性」が、このバートンのイメージする音世界にピッタリなのだ。

ダブル・ベースにダブル・ギター。編成からして規格外である。この盤でのメセニーのギターについても「規格外」。恐らく、当時、過去を振り返っても、聴いたことの無いエレギの音とインプロビゼーションだったと推察する。バートンのヴァイブのバックで、シャープにウネウネ蠢くエレギの音は明らかにメセニーである。

この頃のバートンの音世界は「クロスオーバー・ジャズの最後期」の音。メセニーはちょっと歪んで捻れたエレギをウネウネ弾きまくる。とは言え、メセニーの後の個性はまだまだ。とにかく、当時のトレンドのエレギを必死で弾いている、という面持ちが微笑ましい。音の個性の確立はもっと後になるが、その萌芽はこの盤でしっかりと感じ取れる。まだ、あまり個性が目立たない、貴重な若き日のメセニーのパフォーマンスである。

 
 

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2018年4月14日 (土曜日)

クロスオーバー者には堪らない

クロスオーバー・ジャズの面白いところは、ジャズとロックの融合をベースとしているところ。ビートは8ビート、アドリブ展開を旨とするインプロビゼーションのテイストはジャズ志向、エレギやシンセなど、当時の最先端をゆく電気楽器の使用方法や音色はロック志向。このジャズとロックの志向を織り交ぜたところに、独特の音のニュアンスが広がる。

これが、我々「クロスオーバー者」には堪らない。この独特のニュアンスが堪らない。フュージョン・ジャズとは一線を画する「クロスオーバー・ジャズ」独特の響き。この独特の響きのクロスオーバー・ジャズは、1960年代の終わりから、1970年代中盤の間に集中している。我々「クロスオーバー者」は、これらを聴くのが至上の喜びである。

George Duke『The Aura Will Prevail』(写真左)。1975年の作品。このアルバムも聴けば明確に「クロスオーバー・ジャズ」。冒頭のシンセサイザーの音色とフレーズが、実にクロスオーバーっぽい。シンセの使い方はロックなんだけど、フレーズはジャズ。そして、出てくる演奏が8ビート。電気楽器中心。うほ〜、コッテコテのクロスオーバー・テイスト。
 

The_aura_will_prevail

 
そう、この盤の1曲目は「Dawn」。懐かしい響き、音が太くてウネウネしたアナログ・シンセの音。この神秘的なアナログ・シンセの響きとうねりまくるエレベの音、スペイシーな雰囲気が心地良い。演奏のメインでは、エレピ、シンセ、エレベの絡みが絶妙で官能的。これぞクロスオーバー・ジャズ、って感じの演奏にご満悦。

思いっきりテンポを落として、タメの聴いたビートがとってもクールな、3曲目の「Foosh」も聴きもの。思いっきりテンポを落としてバラードか、と思いきや、ファンクネス溢れるR&Bな演奏に思わずハッとする。それでも、後のフュージョン・ジャズの様にソフト&メロウに傾かず、しっかりと「エレ・ジャズ」に軸足を残しているところが、クロスオーバー・ジャズたる所以。

そして、最後を飾るのは亜アルフォンス・ジョンソンのベースがうねりまくる、デュークお得意のブラジル・チューン「The Aura」。無茶苦茶、格好良い。ということで、この『The Aura Will Prevail』、魅力的なイラスト・ジャケットも併せて、クロスオーバー・ジャズの好盤である。

 
 

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