2019年8月31日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・3

 

しかし、ブルーノート・レーベルのジャケット・デザインって、4300番台に入って一気に崩れるんですよね。4200番台まではそんなに変なジャケット・デザインは無かった。しかし、4300番台に入って、いきなり崩れた。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの引退とリバティへの売却が原因なんだろう。アルバム制作の精神的支柱を失って、ジャケット・デザインが総崩れ、といったところと想像している。
 
今日も、合成写真を使った「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの盤をチョイス。まあ、これは「おどろおどろしい」ジャケット・デザインという程ではないが、どう頑張ったって、アルバムの内容に合致した、アルバムの内容を彷彿とさせるジャケット・デザインでは全く無い。このアルバムの内容を聴いて、どう考えたら、こういうジャケット・デザインを採用できるのか、当時の担当者にとくと訊いてみたい気持ちで一杯だ。

Grant Green『Carryin' On』(写真)。ブルーノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パーソネルを見渡せば、リーダーのぐりーんとドラムのムハンマド以外、全く知らない顔ばかり。ここまでくると、昔のブルーノートの録音パーソネルの充実は今何処、と溜息がでる。
 
 
Carryin-on_20190831185801

 
この盤は、ズバリ、リーダーのグラント・グリーンのギターを心ゆくまで堪能出来る盤である。意外と話題に上がることが少ないのだが、この盤のグリーンのギターって、こってこてのファンクネス、パッキパキのシングル・トーン、鼻歌を唄うような自然な雰囲気のフレーズの流れ、いわゆる「グラント・グリーンのギターの個性」をしっかりと聴き込める内容になっている。グラント・グリーン後期の好盤として再評価して欲しいですね。

ソウル・ジャズの雰囲気を基調としているが、ポップに過ぎず、メインストリームにして適度にリラックス。時代的に明らかにメインストリーム・ジャズ、いわゆるハードバップな内容では決して無い。といって過度にポップに偏らず、適度にポップな弾きっぷり。シングル・トーンでありながら、メロディーに流されず、しっかりと印象に残るアドリブ・フレーズ。ギターの底に流れるファンクネスによって、ソウル・ジャズな雰囲気が濃厚。
 
1950年代から活躍してきた、いわゆるハードバップな演奏をメインにしてきた、グリーンにとっては、この盤を録音した1960年代末は、ジャズマンとしてかなり厳しい環境ではなかったか、と思う。それでも、グリーンの素晴らしいところは、ポップに走らず、ソウルに迎合せず、あくまでメインストリーム・ジャズに軸足を残していたところ。今の耳に、しっかりと当時の「コンテンポラリーな純ジャズ」として鑑賞に耐える。なかなかの好盤である。ジャケット・デザインに惑わされるなかれ、である。 
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年8月 8日 (木曜日)

ジャケットの印象にビビらずに

ブルーノート・レコードの4300番台の聴き直しが順調に進んでいる。4300番台がリリースされる頃には、総帥アルフレッド・ライオンは引退し、ブルーノートを米リバティー社に売却している。売らんが為のアルバム制作にプロデュースが傾き、俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバムも散見される。硬派なブルーノート・ファンからすると「許せん」というアルバムも確かにある。

しかし、逆に従来のブルーノートらしさを継承しているアルバムも沢山ある。この玉石混交としているところがスリリングでもあるのだ。売らんが為の「俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバム」については、当時、ポップスやロックの台頭による圧力が半端ない時代であり、ジャズ全体がその将来について不安視し始めた時代でもあるので仕方の無いことでもある。

Grant Green『Carryin' On』(写真左)。ブルノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パッキパキの一本弾きギター、グラント・グリーンのソウル・ジャズである。
 
Carryin-on  
 
こってこてファンキーな、それでいてダンサフルでポップな演奏が心地良い。オフなリズム&ビートがしっかりと効いているので、ポップな味付けがされていても、イージーリスニングには傾かない。それどころか、それぞれの楽器の演奏には、しっかりと芯があって、明らかにジャズ畑出身の筋金入りのジャジーな演奏なのが良く判る。

グルーヴィー。そして、軽やかでポップ。そして、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。グラント・グリーンの唄うようなアドリブも実にソウルフルで、グリーンの個性である「こってこてのファンクネス」が良い方向に作用する。思わず腰が動き、足でリズムを取り始める。

ジャケットだけがねえ。このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている。このジャケットから、従来のブルーノートらしさを底に秘めた、硬派でしっかりと芯のあるソウル・ジャズがこの盤に溢れている、なんて想像出来ない(笑)。ジャケットの印象にビビらずに、一度は聴いて頂きたい、4300番台らしい好盤です。
 
 
 
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2019年5月28日 (火曜日)

ライトで緩やかジャズ・ファンク

先週の金曜日、24日から故あって、故郷に帰っていました。帰阪した途端に真夏日に突入。とにかく暑い。もともと暑い土地柄なんだけど、やっぱり日差しの強さも含めて、とにかく暑い。まだ湿度が真夏に比べて低かったので、何とかやり過ごしましたが、いや〜暑かったですね。ホテルでも今年初めての冷房をかけて寝ました。そして、昨日、こちら千葉県北西部地方に帰り着いた次第でございます。
 
これだけ暑くなると、いわゆる「日中」は、純ジャズというよりは、聴いた時の爽快感が抜群のジャズを聴きたくなる。逆に、難しいジャズや感情の赴くままに吹きまくるフリー・ジャズは絶対に敬遠である。聴いていて苦にならない、爽快感溢れるクロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズが良い。夕方から夜になって気温が下がったら「純ジャズ」の出番。

Reuben Wilson『Love Bug』(写真左)。ブルーノートの4317番。1969年3月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Reuben Wilson (org), Lee Morgan (tp), George Coleman (ts), Grant Green (g), Leo Morris (ds)。緩くファンキーなジャズ・オルガン奏者、リューベン・ウィルソンのリーダー作。アルバムの内容を一言で言うと、緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク。
 
 
Love-bug-ruben-willson
 
 
爽快感豊かな、適度に緩やかで、適度にスッカスでソウルフルなジャズ・ファンク。ケバケバしくなく、サイケデリックに傾くことなく、適度にユルユルだけど、しっかり適度なテンション張って、適度にソウルフルなジャズ・ファンク。ライトで端正なグルーヴ感が個性的。気がつけば不思議としっかり耳を傾け、ウィルソンのオルガンを追っている。
 
グラント・グリーンのギターが決まっている。このグリーンのギターが「ライトで端正なグルーヴ感」を増幅。ウィルソンのオルガンとの相性抜群である。新主流派の中堅テナー奏者、ジョージ・コールマンが参加しているが、そのテナーの音は、しっかりとリーダーのウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、できる限り早く、適度にソウルフルでライトで端正なグルーヴ感に馴染んでいる。これにはちょっとビックリした。
 
リー・モーガンのトランペットも同じく、ウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、ライトでソウルフルな、ジャズ・ファンク風トランペットを吹いているのは凄い。サイドメンは皆、ウィルソンを惹き立ててはいるものの、決して前へ出て目立とうとせず、しっかりと「適度にスッカスで緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク」を一丸となって演奏している様子には少なからず感心した。
 
 
 
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2019年5月18日 (土曜日)

グラント・グリーンってブレない

何度も書いて申し訳ないが、ブルーノート・レーベルの4300番台のアルバムは、聴き易さ、ポップさを最優先にしたプロデュースが意識されていたように思う。ジャズらしい尖った要素は基本的に横に置いておいて、とにかく聴き易さ優先。この時代には、アルフレッド・ライオンが積み上げたブルーノート・レーベルとしての硬派な矜持はどこへやら、な状態であった。

Grant Green『Goin' West』(写真左)。1962年11月30日の録音。リリースは1969年。ブルーノートの4310番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Herbie Hancock (p), Reggie Workman (b), Billy Higgins (ds)。 グリーンのギター1本だけがフロントを張り、バックは、ハンコックをピアノに据えた新主流派なリズム・セクション。さぞかしジャズの先端をいく、モーダルな音世界が展開されると思いきや、この盤、タイトルからも判る通り、ブルーノート・レーベルには珍しい「企画盤」。
 
収録曲を見渡しても判る様に「米国西海岸の西部劇の世界」をイメージする曲が選曲されている。つまりは、グラント・グリーンのパッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーなギターでC&W(カントリー&ウエスタン)系の曲をやった訳。「I Can't Stop Loving You(愛さずにはいられない)」「Red River Valley(赤い河の谷間)」、それにロリンズの『Way Out West』での名演で勇名になった「Wagon Wheels(ワゴン・ホィール)」など、耳に馴染みのある曲がズラリと並ぶ。
 
 
Goin-west  
 
 
しかしながら、グラント・グリーンって全くブレない人で、何をやらせても、結局は「パッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーな」演奏に仕上がってしまうのだ。この盤でも、「米国西海岸の西部劇の世界」をイメージする、ポピュラーな曲が選択されているのだから、もっとポップでもっと聴き易くなっても良いのになあ、と思うのだが、これが意外と硬派な純ジャズ風な内容に仕上がっているのだから、聴きながら思わず、苦笑い、である。
 
まあ、こういう完璧職人肌のギタリストに、ポップで聴き易い演奏をやれっていうほうが野暮だ。グラントはアルバムの最初から終わりまで、一貫して、ファンクネスを湛えたパッキパキのブルージーなギターを弾きまくっている。原曲は「米国西海岸の西部劇の世界」をイメージするポップな曲ばかりなのになあ(笑)。「Red River Valley(赤い河の谷間)」なんて違和感の塊である。しかしこの「違和感」が意外と面白い。
 
1967年8月以降、プロデュースをしていないライオンが何故この盤のプロデュースをしているのか。クレジットを見て不思議に思っていたが、録音してからお蔵入りになっていたんですね。この盤のリリースはライオンの意志ではなかったのかな。確かに企画盤としての狙いは外しているが、グラントのブレの無いファンクネスを湛えたパッキパキのブルージーなギターを愛でることが出来るんだから、この盤はこの盤で存在意義があるのでは、と思います。
 
 
 
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2019年4月11日 (木曜日)

クロスオーバー・ジャズの名演

クロスオーバー・ジャズが面白くて、昔からよく聴く。クロスオーバー・ジャズは1960年代の終わりから1970年代前半に流行ったジャズの演奏スタイルで、特に1970年代前半に優れたアルバムが集中している。基本はジャズとロックの融合。ロックから8ビートと電気楽器を拝借して、それまでの純ジャズに応用したスタイル。
 
8ビートは今の耳で聴くと単純な均一ビートがメインなので、ちょっと古さを感じるが、それでも、それまで4ビートがメインだったモダン・ジャズが8ビートに乗せると、新しい響きのジャズが聴こえてくる。ビートが細かい分、4ビートに比べて「おかず」が入れ難い。しかし、均一ビートで攻めてくるので、ダンサフルな印象が強くなって、実にノリの良い演奏に仕上がる。
 
電気楽器はエレギとエレピがメイン。エレギはワウワウやファズなど、今から思うと実に単純なエフェクトをかけただけだが、これはこれでユニーク。エレピは従来のハモンド・オルガンと新しく出てきたフェンダー・ローズが代表的楽器。ピアノに無い響きとエレピならではのエフェクトが個性。ついでにベースもエレベがメイン。重低音感が増幅されて、演奏の重心が更に低くなる。
 
 
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Charles Earland『Leaving This Planet』(写真左)。1973年12月の録音。タイトルを和訳すると「この惑星よ、さらば」となる。ジャズの世界で「惑星」が出てくるとはユニーク。アーランドの宇宙指向が爆発したジャズ・ファンク盤である。疾走感と飛翔感、そしてコズミックな浮遊感。クールでアーバンなグルーヴで始まり、徐々に熱くダイナミックになっていくアーランドのキーボードが素敵。
 
切れ味鋭くハイテクニックなフレディ・ハバードのトランペットとウネウネと幽玄でモーダルで自由度の高いジョー・ヘンダーソンのテナーが効果的。演奏全体にコズミックな雰囲気を増幅させている。そして、この盤の演奏の肝は、ハーヴィー・メイソンのドラム。細分化されたビートとちょっとラフなドラミングが意外とファンキーで、当時として斬新な響きを感じさせてくれる。ベースだけが、しょぼいオルガン・ベースで代用しているところが玉に瑕。
 
CTIでのヒット曲、ハバード作の『Red Clay』が明らかにクロスオーバー・ジャズっぽい。キャッチャーな旋律と疾走感溢れるファンクネスが心地良い。チック・コリアほど尖った切れ味の良さは無く、ハービー・ハンコックほど洗練されたファンクネスでは無く、ちょっと垢抜けない俗っぽさが漂うが、意外とそういう中途半端さがこのアルバムの良さ。音的にはクロスオーバー・ジャズのサンプルの様な音で、8ビートと電気楽器が大活躍のジャズ。良い雰囲気です。
 
 
 
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2018年12月21日 (金曜日)

グリーンの隠れた代表作です。

マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズ「Blue Note Classic LT series」。こんな音源があったんや、とか、こんな演奏が残ってたのか、なんて、聴いてビックリすることもしばしば。どうしてお蔵入りになったのか不思議なくらいな良質セッションがズラリと並ぶ。

Grant Green『Nigeria』(写真)。LT-1032番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Sonny Clark (p), Sam Jones (b), Art Blakey (ds)。いや〜、魅力的なパーソネルですね〜。4人とも、僕の大好きなジャズメンばかり。収録された曲は全て1962年1月13日の録音。つまり、1枚のアルバム全ての音源がお蔵入りになった、ということになる。

しかし、興味深い盤である。1962年という、ハードバップからファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、フリー・ジャズと、ジャズが多様化していった、ジャズがポップス化していった時代に、コッテコテ硬派なハードバップなジャズメンで固めた「スタンダード曲集」。リーダーのギタリスト、グラント・グリーンがピアノのソニー・クラークをフィーチュア、ロリンズの名曲「Airegin」やおなじみのスタンダードを演奏している。
 

Nigeria_grant_green

 
スタンダード曲集なので、イージーリスニング風な演奏内容なのかと思いきや、めっちゃ硬派ですっきりファンキーなハードバップな内容にビックリする。グリーンのパッキパキ硬質なシングルトーンが、なかなか小粋で渋いスタンダード曲の旋律を弾き進めていく。そして、アドリブ部に突入すれば、自由度高く、イマージネーション豊かに展開する。スタンダード曲を硬派にストイックにアレンジして、硬質なシングルトーンで決める。これが格好良い。

意外とストレートアヘッドなジャズが展開されていて、思わず聴き入ってしまう。冒頭の「Airegin」や「It Ain't Necessarily So」が、むっちゃ格好良い。そして、どの曲でもドラムのブレイキーの好演が耳を惹く。グリーンのギターとクラークのピアノが、ブレイキーのドラムに鼓舞された、徐々にノリ良く、白熱している様子が聴いていてよく判ります。

この音源がアルバム一枚分まるごとお蔵入りとはなあ。意味分からん(笑)。スタンダード曲をあまりに硬派にストイックにハードバップし過ぎたのでしょうか。確かに、この盤の演奏の数々、スタンダード曲がメインなんですが意外と骨太な演奏で、ながら聴きには全く向きません。聴き始めると思わず耳を峙たせて、思わず聴き入ってしまいます。グリーンの隠れた代表作と言って良い好盤です。

 
 
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2018年12月15日 (土曜日)

バリバリ新主流派のグリーン

1970年代中盤から80年代にかけて、マイケル・カスクーナによって発掘されたブルーノートの未発表音源シリーズが「Blue Note Classic LT series」(略称:BNLT)。ジャズの常識として、未発表音源と言えば、正式にリリースされた音源に比べると、何かどこかに問題があってお蔵入りになった音源というイメージがある。しかし、このBNLTシリーズは違う。

音源によっては正式にリリースされた音源を内容的に凌駕するものはざらにあるし、そのジャズメンの違った側面が聴かれる興味深い音源もある。未発表音源だからといって、何かどこかに問題があってお蔵入りになったという訳ではないものが殆ど。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンに未発表音源盤を一枚一枚手に取って、お蔵入りになった理由をとくと訊きたいくらいだ。

さて、この未発表音源盤は「そのジャズメンの違った側面が聴かれる興味深い音源」の類である。Grant Green『Solid』(写真)。LT-990番。1964年6月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), James Spaulding (as), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Bob Cranshaw (b), Elvin Jones (ds)。ジャズ者のベテランの方々であれば、このパーソネルを見渡せば、ちょっとした違和感を感じるのではないだろうか。
 

Solid_grant_green_7

 
そう、グラント・グリーンを取り巻くメンバーは、いわゆる「新主流派」の代表ジャズメンばかり。従来のハードバップとは異なる、モーダルな演奏をメインにした先進的な演奏を想像する。聴いてみれば判るのだが、この盤の演奏の雰囲気は明らかに「モード・ジャズ」。グラント・グリーンはファンクネス溢れる、パッキパキなシングルトーンが個性の「ファンキー・ジャズ」なギタリスト。そんなグリーンが新主流派のメンバーに混じって、モード・ジャズをやるのだ。

これがまあ意外にも、内容の濃い硬派でシリアスなモード・ジャズなのだ。リーダーのグラント・グリーンが全く以て「モード・ジャズ」に適応している。特に急速ナンバーでは、コルトレーン・カルテットから招聘したマッコイのピアノ、エルヴィンのドラムを向こうに回して、丁々発止とモード・ジャズを展開する。このモード・ジャズに適応したグラント・グリーンを聴いて、彼のテクニックの高さを痛感した。

決して、お気楽なファンキー・ギタリストでは無かったグラント・グリーン。そんなグリーンの新境地を記録した意欲盤。当時特有の新主流派的な演奏が耳新しく響く。これだけ、グリーンのギターの従来からのイメージを覆しているのだ。当時は評価が定まらなかったのだろう。セールスを重んじるようになった時代、お蔵入りもやむなし、である。しかし、こうやってカスクーナに発掘され、音源化されたことは幸運だった。

 
 
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2018年2月 1日 (木曜日)

安心安定なオルガン・ジャズ

ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。知る人ぞ知る話なんだが、内容的に優れた盤が多く存在する。さすがはブルーノートで、こってこてファンキーなノリノリ・ジャズだけでは終わらない。どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分がある。これによって、アルバム全体が引き締まり、飽きることが無い。これが良い。

そんなブルーノートのオルガン・ジャズの一枚がこれ。 Big John Patton『Let 'Em Roll』(写真左)。1965年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Bobby Hutcherson (vib), Grant Green (g), Otis Finch (ds)。まだまだ、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが関与している。アルバム全体がカッチリまとまっている。

ジョン・パットンのオルガンは「明らかにファンキーなハモンド・オルガン」な音。太くて丸く、くすんで伸びのある音色。ファンキーでソウルフルであるが、どこか抑制されていて、どこか品の良いところがある、整ったフレーズ。とっても適度でファンキーなオルガンである。破綻が無く、荒れたところが無いところが、実にブルーノートらしい。
 

Let_em_roll

 
そんなジョン・パットンのオルガンに、これまた、こってこてジャジーでファンキーなグラント・グリーンのギターが絡む。太いソリッドなシングル・トーンがオルガンのトーンに良く合う。ユニゾン&ハーモニーが実にファンキーで躍動的。太くて躍動感溢れるグラント・グリーンのギターは、オルガン・ジャズに良く似合う。ファンクネスが増幅される。

そして、この盤において「インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分」の担い手は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン。ハッチャーソンのヴァイブは思索的で知的。オルガンやギターのホットな躍動感の中に、スッと切れ込むヴァイブのクールな躍動感が実にアーティスティック。ハッチャーソンのヴァイブが、アルバムに詰まったホットなファンクネスをクールダウンさせ、芳しいインテリジェンスを漂わせる。

徹底したオフビートのフィンチのドラムもこの盤の雰囲気にピッタリ。無理に煽ることなく、堅実に的確にビートを供給する。赤が基調のとってもファンキーなジャケット・デザインもこの盤の「ウリ」。破綻なく、適度なファンネスを漂わせ、どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックなオルガン・ジャズ。安心安定の一枚です。

 
 

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2018年1月 6日 (土曜日)

グリーンのBN初セッション

ジャズの楽器の中で、一番、後回しになったのがギターである。どうもジャズ・ギターって音の線が細い感じがして、また、テクニック優先という感じがして、後でも良いかな〜と思ったのが、35年ほど前。そして、本格的に聴き込み始めたのが、10年ほど前。よって、ジャズ・ギターについてが、一番奥手である。

また、ギタリストの好みも他のジャズ者の方々とちょっと異なるところも多々ある。そんな中、このギタリストがお気に入りの一人。グラント・グリーン(Grant Green)。基本的にブルーノート・レーベルお抱えのギタリストで、1970年代から80年代にかけて、彼のリーダー作が入手し難かったこともあって、我が国ではちょっとマイナーな存在であった。

でも、このギタリストの音と雰囲気が大好きなんだなあ。パッキパキ硬質なシングル・ノート奏法、シングル・ノートから滲み出るファンクネス。これが何とも、自分の心に吟線に触れるのだ。堪らん。アドリブ・フレーズの弾き回しは、流麗で無骨でファンキー。オルガンが入ると、そのブルージーさファンキーさが増幅される、ある種、不思議なシングル・ノートである。
 

Grant_green_first_session

 
Grant Green『First Session』(写真左)。1960年11月 & 1961年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Tracks 1-5 : Wynton Kelly (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。Tracks 6-7 ; Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。

ブルーノートでの初セッションを捉えたアルバム。パッキパキ硬質なグリーンのシングル・ノート奏法は、既に確立されている。良い演奏だ。ブルージーでファンキー漂うギター・フレーズはとても個性的。一聴すれば直ぐに「グラント・グリーン」と判るほどの判り易さ。オルガンが入っていないので、グリーンのギターの個性がはっきりと理解出来る。

これら全7曲は2001年に本盤が発売されるまで未発表だった訳。いや〜、発掘リリースされて良かった、と心から思える演奏の数々。発掘王マイケル・カスクーナに感謝、である。グリーンのシングル・ノート奏法は、このブルーノートでの初セッションで既に明らか。やはり、ジャズメンの個性は初リーダー作を聴き込むに限る。

 
 

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2017年7月12日 (水曜日)

ライトハウスのグリーンです

ジャズはライブが一番と言うけど、日頃、ライブハウスにはなかなか通えません。そういう時、手っ取り早くライブハウスの雰囲気が味わえるのがライブ盤。今日も、ロサンゼルスのハモサビーチにある「ライトハウス」でのライブ録音盤をご紹介したい。

Grant Green『Live at the Lighthouse』(写真左)。1972年4月21日でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ss, ts), Gary Coleman (vib), Shelton Laster (org), Wilton Felder (el-b). Greg Williams (ds), Bobbye Porter Hall (per)。フロント楽器はギター、テナーに加えてヴァイブ。ピアノは無くて代わりにオルガン。ファンクネスの香りがプンプンするパーソネル。

もともと、グリーンは、エフェクターを介さないシンプルなシングル・トーンでグイグイ押してくるんだが、この盤では思い切りグイグイと押しまくってくる。シングルトーンはパッキパキで良く唄う。聴けばすぐ判るグリーンのギターの個性。スラスラと流麗なフレーズが出てくるタイプでは無い。木訥とした、訥々としたフレーズが癖になる。
 

Grant_green_live_at_the_lighthouse

 
しかも、このライブ盤でのグリーンは、ファンクネスだだ漏れ。圧倒的なファンク大会である。しかも「熱い」。パーソネルを見渡せば、ベーシストの名前に目がとまる。あのクルセイダーズのサックス奏者であるウィルトン・フェルダーがお得意のファンク・ベースでブイブイ言わせている。このファンク・エレベも凄い。

グリーンはインタビューで「自分の音楽はブラック・ミュージックだ」と語っているのだが、このライブ盤を聴けば、なるほどなあ、と納得してしまう。木訥に唄う様なアドリブ・フレーズはソウル・ミュージックそのもの。コッテコテのファンクネスはR&B仕込み。 このライブ盤では、ファンクとしてはテンポが速めのチューンが多く、そこがまたおっきな魅力なんですよね。

そうそう、このジャケット・デザインの酷さに「引いてはならない」(笑)。いや〜本当に酷いですね〜。ブルーノート・レーベルのアルバムとは到底思えない。この笑かそうとしているのか怖がらそうとしているのか、デザイナーのきもちがとんと分からない。いやはや、この世のものとは思えないジャケットで大損している秀逸なライブ盤です。

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、 ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で、不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
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