2022年3月27日 (日曜日)

グリーンが奏でるラテン・ジャズ

ジャズ・ギタリストの中で、グラント・グリーンは「知る人ぞ知る」、マニアックな存在のギタリストである。パッキパキなシングル・トーンで、ファンキーなギター。シングル・トーンがメインなので、ちょっとだけ聴くと「なんか下手くそ」な感じがするんだが、どうして、テクニックは一流。

どっぷりファンキーなフレーズは、グリーン独特のトーン。僕にとって、グラント・グリーンは「フェイバリット・ギタリスト」の1人である。だが、我が国では、何故だか判らないが、意外とグラント・グリーンが「好きなギタリスト」として名前が挙がることが少なかった。1990年代のブルーノートの全面再発で、やっとその名前が再認識され始めたみたいだ。

Grant Green『The Latin Bit』(写真左)。1962年4月と9月の録音。ブルーノートの4111番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), John Adriano Acea (p), Wendell Marshall (b), Willie Bobo (ds), Carlos "Patato" Valdes (conga), Garvin Masseaux (chekere)。CDのボートラのみ、Ike Quebec (ts), Sonny Clark (p)。
 

The-latin-bit

 
ファンクネスだだ漏れのギタリスト、グラント・グリーンが「ラテン・ジャズ」にアプローチした企画盤である。パーソネルを見渡すと、パーカッション中心に「ラテン・ジャズ」系のメンバーが参加している。ドラムのウイリー・ボボと、コンガのパタート・バルデスが叩き出すリズム&ビートが、完全に「ラテン・ジャズ」している中で、グリーンは楽しそうに、唄うが如く、ラテン・ジャズなフレーズを弾きまくる。

聴いていて面白いのは、ラテン・ジャズ志向なジャズをやっている中で、グラント・グリーンのギターは、意外と相変わらず、パッキパキなシングル・トーンで、ファンキーなギターのままであること。ラテン・フレーズの中に、しっかりとブルージー&スウィンギーな要素を織り込んでいるところが、いかにも「ブレないグラント・グリーン」らしいです。

アフロ・キューバン・ジャズの名曲「Mambo Inn」のリラックスしたギターや、メキシコ発のラテンな名曲「Besame Mucho」やブラジル名曲「Aquarela Do Brasil」のカヴァーなど、楽しく寛いでスインギーなグリーンのギターがとても魅力的です。ラテンな衣装に身を包んでギターを抱えてポーズする楽しそうなグリーンのジャケットもなかなか良好。聴き心地の良い「ラテン・ジャズ」盤です。
 
 

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2022年2月13日 (日曜日)

硬派グリーンのポップな異色盤

グラント・グリーン(Grant Green)は、パッキパキな一本弾きファンキー・ギタリスト。そのブルージーかつジャジーなファンキー・ギターは唯一無二なもので、振り返って聴くにつけ、実にジャズらしいギターだなあ、と感心する。しかし、グリーンの現役当時は、あまりウケなかったみたいで、ブルーノートの売り上げに貢献した、という話は聞いたことが無い。

Grant Green 『Sunday Mornin'』(写真左)。1961年7月4日の録音。ブルーノートの4099番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Kenny Drew (p), Ben Tucker (b), Ben Dixon (ds)。

パッキパキなファンキー・ギタリスト、グラント・グリーンが単独フロントのカルテット編成。漆黒ブルージーなバップ・ピアニスト、ケニー・ドリューがピアノを担当しているのが珍しい組合せ。

1961年といえば、ハードバップなジャズが技術的にピークを迎え、それぞれの特質を活かした「多様化」に踏み出した頃。ファンキー・ジャズ、ソウル・ジャズ、フリー・ジャズ、モード・ジャズなど、ジャズのポップ化、イージーリスニング化、逆に、アート志向、精神性志向など、ジャズを音楽芸術のひとつとして捉える向きなど、様々な志向のジャズが現れ出でていた。
 

Sunday-mornin

 
このグリーンの『Sunday Mornin'』は、パッキパキな一本弾きファンキー・ギターの「大衆化」盤である。一本弾きが基本なので、メロディーをクッキリ表現し易い。そこに目を付けたのか、アルバム全体の雰囲気としては、グリーンのギターの個性を活かした「イージーリスニング志向」の演奏、という感が強い。

選曲をみるとそれが良く判る。当時の映画音楽「Exodus(栄光への脱出)」とか、聴き心地の良いスタンダード曲「God Bless the Child」、そして、マイルスの「So What」のポップ化には思わず苦笑い。グリーンの自作曲も主メロディーがキャッチャーで耳当たりの良いものばかりで、グリーンのギターの個性である「一本弾き」が活きて、聴き心地が良い。

ただし、パッキパキでファンキーなところは全く変わっていないので、「イージーリスニング志向」の演奏はしていても、どっぷりジャジーでブルージー、硬派でメインストリーム志向な雰囲気は相変わらずで、ポップでムーディーな雰囲気を得るには至っていない。逆に、パッキパキなファンキー・ギタリスト、グラント・グリーンが「ポップな弾き回しをした」企画盤として捉えると、グラント・グリーンのディスコグラフィーの中での「異色盤」と評価出来て座りが良い。

とにかく、ブルーノート・レーベルには、総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンには、ジャズのポップ化、大衆化は似合わない、ということが、このグラント・グリーンの「ポップな弾き回しをした」異色盤を聴いても良く判る。
 
 
 
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2022年2月10日 (木曜日)

ケベックの渋い渋いテナーに浸る

ブルーノート・レーベルはジャズの老舗レーベル。モダン・ジャズの歴史と共に運用してきたレーベルで、ブルーノートのアルバムを押さえるだけでジャズの歴史が判る、と言われるくらいの「ジャズのショーケース」の様なアルバムの品揃えである。そんなレーベルである、様々な「逸話」にはことかかない。

アイク・ケベック(Ike Quebec)は、とっても渋いテナーマン。スウィング時代にサックス奏者として活動を始め、テナーのスタイルは「中間派」と思われる。スイングの雰囲気が強いテナーにモダンな感覚も併せ持っている。この人はブルーノートに欠かせない存在で、一時期はミュージシャンとしての活動を停止、その後、ブルーノートの運転手として(ライオンの専属運転手)兼タレント・スカウターとして活躍している。

ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンに、2人の天才バップ・ピアニスト、セロニアス・モンクとバド・パウエルを紹介したのはこのケベック。そんなケベックにライオンが再び、リーダー作の録音チャンスを与えたのは1959年のこと。1961年に『Heavy Soul』、1962年に『Easy Living』、そして、今回ご紹介する盤の3枚のリーダー作をリリースしている。
 

Blue-sentimental

 
Ike Quebec『Blue & Sentimental』(写真左)。1961年12月の録音。ブルーノートの4098番。ちなみにパーソネルは、Ike Quebec (ts, p tracks 2, 4, 7), Grant Green (g), Paul Chambers (b, tracks 1-7), Sam Jones (b, track 8) - bass
Philly Joe Jones (ds, tracks 1-7), Louis Hayes (ds, track 8), Sonny Clark (p, track 8)。なんだか、ラスト(track 8)の「Count Every Star」だけが蛇足の様なパーソネル(録音も別日)である。

相変わらず、ケベックのテナーは渋い。とても渋い。スイングのマナーで吹き上げるケベックのテナーに、パッキパキでこってこてファンキーなグラント・グリーンのギターが実に合う。スイングとファンキーなので、全く響きが異なるんだが、相性は抜群。双方の演奏の底に流れる「ブルージーでジャジーな雰囲気」が同じなのだろう。リズム隊もポルチェンのベースとフィリージョーのドラムで、玄人好みの渋いリズム&ビートを聴かせてくれる。

とにかく、ケベックの渋い渋いテナーに尽きる。特にバラード演奏がジャジーでブルージーで堪らない。演奏スタイルとしては「中間派」に属するので、キレッキレのモーダル・ジャズやファンキー・ジャズでは無いので、若い頃はちょっと物足りなさを感じたものだが、今ではそんなことは全く無い。この渋さが良いのだ。どっぷりと「ブルージーでジャジーな雰囲気」に浸りきるのだ。
 
 
 
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2021年11月15日 (月曜日)

グリーンのギターに惚れ惚れ

Grant Green(グラント・グリーン)。この人のギターは癖になる。ファンキーなジャズ好きなら絶対に填まる。パッキパキ硬質なピッキング。訥々と流麗なフレーズから溢れ出る「こってこてなファンクネス」。ファンキーでありながら、俗っぽさとは全く無縁のストイックな響き。シンプルな一本弾きでグイグイ出てくる「ノリの良さ」。

ブルージーでアーバンでムーディーな音が主流のジャズ・ギターの中で、グラント・グリーンのギターは個性が際立っている。従来のジャズ・ギターとは明らかに一線を画する、ファンキーでソウルフルなギター。後のクロスオーバー&フュージョン・ジャズのエレギに通じる様な、ポジティヴでアグレッシヴな弾きっぷり。唯一無二の個性派ギタリストである。

Grant Green『Grantstand』(写真左)。1961年8月1日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Yusef Lateef (ts, fl), Brother Jack McDuff (org), Al Harewood (ds), Ben Tucker (b)。ギターのグラント・グリーンをリーダーに、ユセフ・ラティーフのテナーがフロント1管の、ピアノの代わりにオルガンが入ったクインテット編成。
 

Grantdtand-grant-green

 
ファンキーなギターにはオルガンの音が良く似合う。この盤を聴く度にそう思う。グラント・グリーンのギターはシングルトーンで、ややもすれば、旋律弾きの線が細くなる傾向にあるところを、今回はテナー・サックスを旋律楽器のお供に採用して、きっちりカヴァーしている。が、グラント・グリーンは、そんなテナーの存在など関係無しに、自分の個性的なギターをパッキパキと弾き上げている。グラント・グリーンのギターは、良い意味で「唯我独尊」である。

ただこの盤でのテナーが、当時、新進気鋭のラティーフで、ラティーフ独特の個性的な「こじらせテナー」を吹いているので、グラント・グリーンのギターの個性にフィットしていたかどうかは、ちょっと疑問ではある。ラティーフのテナーが、伝統のジャズからちょっとはみ出した、独特な個性的テナーであるが故、ラティーフのテナーの存在が演奏全体の中で浮き気味なのが惜しい。

「シンプル・イズ・ベスト」という形容がピッタリのグリーンのパフォーマンス。変に装飾を加えず、フレーズの引用も控えて、独特のシングルトーンで、パッキパキ硬派で、こってこてファンキーなギターだけを弾きまくる。グリーンとマクダフが、どこか和みながら、楽器を通じて語り合うようなフレーズの交歓を聴いていると、思わず「ジャズってええなあ」と思ってしまう。
 
 
 

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2021年9月11日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・218

純ジャズ系のジャズ・ギタリストについては、意外と数が少ないと思っている。それも、自己のスタイルを確立して、優れたリーダー作を残した一流のジャズ・ギタリストは数十人のレベルだろう。例えば、ブルーノート・レーベルについては、お抱えのジャズ・ギタリストとして、ケニー・バレル、グラント・グリーンの2人だけが、一流ギタリストとして名を残しているのみ。

Grant Green『Green Street』(写真左)。1961年4月1日の録音。ブルーノートの4071番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds)。ブルーノートのお抱えギタリスト、グラント・グリーンのリーダー作第2弾である。ブルーノートには珍しく、グラント・グリーンのギターをメインとした、シンプルなトリオ編成である。

このシンプルなトリオ編成について、グラント・グリーンのギターの様子がとても良く判る。まず、リズム隊を務めるベン・タッカーのベースとディヴ・ベイリーのドラムとの相性が抜群に良い。グラント・グリーンのギターの最大の個性である「シングル・トーン」。そのシングル・トーンを弾き進める時、タッカーのベースが演奏のベースラインをしっかり押さえ、ベイリーのドラムがリズム&ビートをしっかりキープする。
 

Green-street

 
この盤、もともと音の良いブルーノート・レーベルの盤の中でも特別に音が良い。グラント・グリーンの「パッキパキのシングルトーンが個性のブルージーでファンキーなギター」が手に取るように判る。グリーンはシングルトーンの旋律をとても気持ちよさそうに弾き進めている。流麗と言うよりは無骨でスクエア。切れ味はほどほどに、意外と音のエッジは丸い。これが耳にとても心地良い。

演奏については、やはりグリーンの自作曲が好調。5曲中3曲がグリーン作。グリーンは作曲の能力についても長けていたとみえる。そして、面白いのはスタンダード曲の解釈と弾きっぷり。モンク作の「'Round Midnight」は、そもそもユニークな旋律の嵐なのだが、グリーンはパッキパキなシングル・トーンで、モンク独特の旋律を解釈し、自家薬籠中のものとし、ブルージーにファンキーに弾き進める。

このブルージーな弾きっぷりの中に「濃厚なファンクネスを漂わせているところ」がグリーンのギターの特徴。このトリオ盤では、その個性が存分に楽しめる。グリーンの上半身アップの写真をあしらったジャケットも良好。僕にとってこの『Green Street』、グラント・グリーンの愛聴盤の中でもイチ推しの名盤である。
 
 
 
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2021年8月30日 (月曜日)

ルーさんの初オルガン・ジャズ

我が国では、僕がジャズを本格的に聴き始めた1970年代後半、オルガン入りのジャズについては、あまり評判は良くなかった。ファンクネス濃厚で、ソウルフルでポップなジャズ、というイメージから「俗っぽい」ジャズである、というレッテルを貼られて、硬派なジャズ者の方々のみならず、評論家の方々を含めて、評価は芳しく無かったと記憶している。

オルガン・ジャズが復権してきたのは、1980年代後半、レア・グルーヴのムーヴメントがジャズに押し寄せ、ソウルフルでポップなジャズ、踊れるジャズとして再評価されて以降である。また、純ジャズ復古後、新伝承派を中心とした、純ジャズ偏重、ハードバップ偏重に対する反動から、ソウルフルでポップなオルガン・ジャズが再評価された経緯もある。

Lou Donaldson『Here 'Tis』(写真左)。1961年1月23日の録音。ブルーノートの4066番。ちなみにパーソネルは、Lou Donaldson (as), Baby Face Willette (org), Grant Green (g), Dave Bailey (ds)。ビ・バップ以降、ブルーノートの看板アルト・サックス奏者として活躍してきたルー・ドナルドソン(ルーさん)の初のオルガン・ジャズである。
 

Here-tis

 
バックを固めるメンバーが良い。ファンクネス濃厚、硬派でプログレッシブなオルガンが個性のベビー・フェイス・ウィレット、パッキパキなシングルトーンが個性、ファンクネスだだ漏れギターのグラント・グリーン。地味だがスインギーでファンキーなドラマー、ディヴ・ベイリー。ここに、ルーさんの切れ味の良いファンキーで陽気なアルト・サックスがフロントを仕切る。

とってもソウルフルでポップでファンキーなオルガン・ジャズである。バックのリズム隊がむっちゃファンキーでグルーヴィーでソウルフルなので、ルーさんのアルト・サックスの本質である、とてもハッピーな吹きっぷりで、翳りや哀愁、モーダルで理知的な響きとは全く無縁な「明るくビ・バップ風のブリリアントで高速な吹き回し」がとっても引き立つのだ。

オルガン・ジャズ、ここに極まれり、という感じの優秀盤。前述の様に、我が国では以前はオルガン・ジャズは異端であり、敬遠されていたのだが、どうして、このオルガン・ジャズ盤を聴いて思うのだが、これって「ご機嫌なジャズ」ではないか。ファンキー、ポップ、そしてソウルフル。ジャズを楽しむオルガン・ジャズ。僕は好きですね〜。
 
 
 
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2021年8月25日 (水曜日)

グラント・グリーンの初リーダー作

グラント・グリーン(Grant Green)。基本的にブルーノートお抱えのギタリストで、1970年代から80年代にかけて、彼のリーダー作が入手し難かったこともあって、我が国ではマイナーな存在であった。1970年代後半、僕がジャズを本格的に聴き始めた頃、レコード屋やFM放送で、グラント・グリーンの名に触れることは全く無かった。その名を初めて知ったのは、ジャズ盤の紹介本を読んだ時だったなあ。それでも現物のLPを見ることは無かった。

でも、このギタリストの音と雰囲気が大好きなんだなあ。パッキパキ硬質なシングル・ノート奏法。シングル・ノートから滲み出るファンクネス。これが何とも、自分の心に吟線に触れるのだ。アドリブ・フレーズの弾き回しは「流麗で骨太でファンキー」。オルガンが入ると、そのブルージーさファンキーさが増幅される、ある種、不思議なシングル・ノートである。

Grant Green『Grant's First Stand』(写真左)。1961年1月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Baby Face Willette (org), Ben Dixon (ds)。グラント・グリーンの初リーダー作になる。初セッションは1960年11月であったがお蔵入りになっている(2001年に突如『First Session』としてリリースされた)。こちらはピアノ・トリオをバックにしたもの。当盤はオルガン+ドラムをバックにしたもの。
 

Grants-first-stand

 
グラント・グリーンのギターが持つ圧倒的な個性「こってこてなファンクネス」を引き立てるには、当盤の様なオルガン・トリオが正解だろう。ピアノ・トリオがバックでは上品過ぎる。そういう面では『First Session』をお蔵入りにしたのは正解と言えば正解。ブルノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオンの慧眼、恐るべしである。

この初リーダー作において、パッキパキ硬質なグリーンのシングル・ノート奏法は既に確立されている。ブルージーでファンキー漂う、シングル・トーンが基本のギター・フレーズはとても個性的。一聴すれば直ぐに「グラント・グリーン」と判るほどの判り易さ。グリーンのギターの持つ「こってこてなファンクネス」が、ファンキーなオルガンの伴奏で増幅されている。

初リーダー作なので、グラント・グリーンのギターがちょっと「神妙」になっているところが微笑ましい。グリーンのギターって意外とアグレッシヴ。しかし、負けずにウィレットのオルガンがアグレッシヴかつプログレッシヴで、全編に渡ってかなり硬派でアグレッシヴな、加えて、無骨で先進的な響きを宿しているところがこの盤の特徴。ソフト&メロウな俗っぽいファンキー・ジャズでは決して無い。
 
 
 
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2019年8月31日 (土曜日)

おどろおどろしいジャケ・3

 

しかし、ブルーノート・レーベルのジャケット・デザインって、4300番台に入って一気に崩れるんですよね。4200番台まではそんなに変なジャケット・デザインは無かった。しかし、4300番台に入って、いきなり崩れた。恐らく、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの引退とリバティへの売却が原因なんだろう。アルバム制作の精神的支柱を失って、ジャケット・デザインが総崩れ、といったところと想像している。
 
今日も、合成写真を使った「おどろおどろしい」ジャケット・デザインの盤をチョイス。まあ、これは「おどろおどろしい」ジャケット・デザインという程ではないが、どう頑張ったって、アルバムの内容に合致した、アルバムの内容を彷彿とさせるジャケット・デザインでは全く無い。このアルバムの内容を聴いて、どう考えたら、こういうジャケット・デザインを採用できるのか、当時の担当者にとくと訊いてみたい気持ちで一杯だ。

Grant Green『Carryin' On』(写真)。ブルーノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パーソネルを見渡せば、リーダーのぐりーんとドラムのムハンマド以外、全く知らない顔ばかり。ここまでくると、昔のブルーノートの録音パーソネルの充実は今何処、と溜息がでる。
 
 
Carryin-on_20190831185801

 
この盤は、ズバリ、リーダーのグラント・グリーンのギターを心ゆくまで堪能出来る盤である。意外と話題に上がることが少ないのだが、この盤のグリーンのギターって、こってこてのファンクネス、パッキパキのシングル・トーン、鼻歌を唄うような自然な雰囲気のフレーズの流れ、いわゆる「グラント・グリーンのギターの個性」をしっかりと聴き込める内容になっている。グラント・グリーン後期の好盤として再評価して欲しいですね。

ソウル・ジャズの雰囲気を基調としているが、ポップに過ぎず、メインストリームにして適度にリラックス。時代的に明らかにメインストリーム・ジャズ、いわゆるハードバップな内容では決して無い。といって過度にポップに偏らず、適度にポップな弾きっぷり。シングル・トーンでありながら、メロディーに流されず、しっかりと印象に残るアドリブ・フレーズ。ギターの底に流れるファンクネスによって、ソウル・ジャズな雰囲気が濃厚。
 
1950年代から活躍してきた、いわゆるハードバップな演奏をメインにしてきた、グリーンにとっては、この盤を録音した1960年代末は、ジャズマンとしてかなり厳しい環境ではなかったか、と思う。それでも、グリーンの素晴らしいところは、ポップに走らず、ソウルに迎合せず、あくまでメインストリーム・ジャズに軸足を残していたところ。今の耳に、しっかりと当時の「コンテンポラリーな純ジャズ」として鑑賞に耐える。なかなかの好盤である。ジャケット・デザインに惑わされるなかれ、である。 
 
 
 
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2019年8月 8日 (木曜日)

ジャケットの印象にビビらずに

ブルーノート・レコードの4300番台の聴き直しが順調に進んでいる。4300番台がリリースされる頃には、総帥アルフレッド・ライオンは引退し、ブルーノートを米リバティー社に売却している。売らんが為のアルバム制作にプロデュースが傾き、俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバムも散見される。硬派なブルーノート・ファンからすると「許せん」というアルバムも確かにある。

しかし、逆に従来のブルーノートらしさを継承しているアルバムも沢山ある。この玉石混交としているところがスリリングでもあるのだ。売らんが為の「俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバム」については、当時、ポップスやロックの台頭による圧力が半端ない時代であり、ジャズ全体がその将来について不安視し始めた時代でもあるので仕方の無いことでもある。

Grant Green『Carryin' On』(写真左)。ブルノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パッキパキの一本弾きギター、グラント・グリーンのソウル・ジャズである。
 
Carryin-on  
 
こってこてファンキーな、それでいてダンサフルでポップな演奏が心地良い。オフなリズム&ビートがしっかりと効いているので、ポップな味付けがされていても、イージーリスニングには傾かない。それどころか、それぞれの楽器の演奏には、しっかりと芯があって、明らかにジャズ畑出身の筋金入りのジャジーな演奏なのが良く判る。

グルーヴィー。そして、軽やかでポップ。そして、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。グラント・グリーンの唄うようなアドリブも実にソウルフルで、グリーンの個性である「こってこてのファンクネス」が良い方向に作用する。思わず腰が動き、足でリズムを取り始める。

ジャケットだけがねえ。このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている。このジャケットから、従来のブルーノートらしさを底に秘めた、硬派でしっかりと芯のあるソウル・ジャズがこの盤に溢れている、なんて想像出来ない(笑)。ジャケットの印象にビビらずに、一度は聴いて頂きたい、4300番台らしい好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年5月28日 (火曜日)

ライトで緩やかジャズ・ファンク

先週の金曜日、24日から故あって、故郷に帰っていました。帰阪した途端に真夏日に突入。とにかく暑い。もともと暑い土地柄なんだけど、やっぱり日差しの強さも含めて、とにかく暑い。まだ湿度が真夏に比べて低かったので、何とかやり過ごしましたが、いや〜暑かったですね。ホテルでも今年初めての冷房をかけて寝ました。そして、昨日、こちら千葉県北西部地方に帰り着いた次第でございます。
 
これだけ暑くなると、いわゆる「日中」は、純ジャズというよりは、聴いた時の爽快感が抜群のジャズを聴きたくなる。逆に、難しいジャズや感情の赴くままに吹きまくるフリー・ジャズは絶対に敬遠である。聴いていて苦にならない、爽快感溢れるクロスオーバー・ジャズやフュージョン・ジャズが良い。夕方から夜になって気温が下がったら「純ジャズ」の出番。

Reuben Wilson『Love Bug』(写真左)。ブルーノートの4317番。1969年3月21日の録音。ちなみにパーソネルは、Reuben Wilson (org), Lee Morgan (tp), George Coleman (ts), Grant Green (g), Leo Morris (ds)。緩くファンキーなジャズ・オルガン奏者、リューベン・ウィルソンのリーダー作。アルバムの内容を一言で言うと、緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク。
 
 
Love-bug-ruben-willson
 
 
爽快感豊かな、適度に緩やかで、適度にスッカスでソウルフルなジャズ・ファンク。ケバケバしくなく、サイケデリックに傾くことなく、適度にユルユルだけど、しっかり適度なテンション張って、適度にソウルフルなジャズ・ファンク。ライトで端正なグルーヴ感が個性的。気がつけば不思議としっかり耳を傾け、ウィルソンのオルガンを追っている。
 
グラント・グリーンのギターが決まっている。このグリーンのギターが「ライトで端正なグルーヴ感」を増幅。ウィルソンのオルガンとの相性抜群である。新主流派の中堅テナー奏者、ジョージ・コールマンが参加しているが、そのテナーの音は、しっかりとリーダーのウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、できる限り早く、適度にソウルフルでライトで端正なグルーヴ感に馴染んでいる。これにはちょっとビックリした。
 
リー・モーガンのトランペットも同じく、ウィルソンの標榜する音世界を理解し、早速、ライトでソウルフルな、ジャズ・ファンク風トランペットを吹いているのは凄い。サイドメンは皆、ウィルソンを惹き立ててはいるものの、決して前へ出て目立とうとせず、しっかりと「適度にスッカスで緩やかでソウルフルなジャズ・ファンク」を一丸となって演奏している様子には少なからず感心した。
 
 
 
日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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