2021年1月24日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・136

このところ、ちょくちょくと、魅力的なリイシューが続いている。廃盤になって久しい好盤が、ネット時代の効果かもしれないが、全く知らないレーベルからリイシューされるのだ。それもCDショップなどを経由せず、ダイレクトにネット経由で入手出来る。21世紀に入った頃、ジャズの世界にもこんな「ネット時代」が来るなんて思いもしなかった。

Neil Swainson Quintet『49th Parallel』(写真左)。1988年の作品。ちなみにパーソネルは、Neil Swainson (b), Gary Williamson (p), Jerry Fuller (ds), Woody Shaw (tp), Joe Henderson (ts)。

実力派ベーシスト、ニール・スウェインソンの初リーダー作。ウッディ・ショウのトランペット、ジョー・ヘンダーソンのテナーのフロント2管のクインテット構成。1988年の作品だから、純ジャズ復古後の録音になる。

リーダーの「ニール・スウェインソン」は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州生まれ。70年代終わりにトロントに移住し、ョージ・シアリングのバッキング・ベーシストとして名をあげ、数々のレジェンドと共演、ダイアナ・クラール、ナンシー・ウィルソン、メル・トーメといったシンガーのバックも務めた実力派ベーシストだそう。僕は知らなかった。1955年生まれなので、現在65歳の大ベテラン。
 
 
49th-parallel  
 
 
この盤、もともとは1988年にConcordからリリースされたものの廃盤になって久しく、「幻の名盤」化していた音源とのこと。この盤を聴き通して感じるのだが、さすが、ウッディ・ショウのトランペット、ジョー・ヘンダーソンのテナーのフロント2管のパフォーマンスが群を抜いている。「幻の名盤」化していた音源、というのも納得の一枚である。

ウッディ・ショウにとって、スタジオ録音のパフォーマンスとしては最後期に位置づけられるもので、これがなかなか素晴らしい。この盤でのウッディ・ショウの演奏はとりわけブリリアントで、鋭いハイノートも難なく吹きこなしている。特にモーダルなフレーズは、ジョーヘンと共に、硬軟自在、緩急自在な骨太でダイナミックな展開が見事。

バックのリズム・セクションは、リーダーのスウェインソンのベースを含め、カナダ人の面々であるが,演奏自体は堅実。しっかりと「重量級の」フロント2人をサポートしている。

この盤、1988年にConcordからリリースされた時(写真右)も、今回のリリース時(写真左)もジャケット・デザインがイマイチなので、パッと見、この盤、内容的に大丈夫なのか、と思うのだが「大丈夫です」。
 
 
 

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2020年9月18日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・188

長年ジャズを聴いてきて、掴みどころの無い、ちょっと苦手なジャズマンが何人かいる。基本的にジャズマンに対しては「好き嫌い」は無い。この音はどうしても生理的に受け付けない、とか、とにかく嫌い、というところは無い。ただ、聴いてみて、取っ付き易いジャズマンと取っ付き難いジャズマンがいる。その取っ付き難いテナーマンの代表格が「Joe Henderson」。

Joe Henderson(ジョー・ヘンダーソン、以下「ジョーヘン」と呼ぶ)。1937年4月生まれ。残念ながら、2001年6月に鬼籍に入っている。彼のテナーは、ハードバップからR&B、ラテンやフリージャズ(アヴァンギャルド)まで、幅広いスタイルが特徴。この幅広いスタイルが曲者で、彼の代表的なスタイル以外の盤を先に聴いてしまうと、ちょっと面食らってしまうところがある。

ジョーヘンの代表的な演奏スタイルは一言で言うと「旋律を持った、節度あるシーツ・オブ・サウンド」、若しくは「新仮名使いで口語調な、判り易いコルトレーン」。ヘンダーソンのテナーのスタイルは、明らかにコルトレーンに影響を受けているが、フリージャズな演奏に傾いても、そのフレーズは旋律を宿し、そのフレーズは判り易く聴き易い。ジョーヘンって「こってこてモードな」テナーマンなのだ。
 
 
Lush-life-joe-henderson  
 
 
Joe Henderson『Lush Life : The Music of Billy Strayhorn』(写真左)。1991年9月、NYの Van Gelder Studio での録音。 Verveレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Wynton Marsalis (tp), Stephen Scott (p), Christian McBride (b), Gregory Hutchinson (ds)。ジョーヘンのテナーとウィントンのペット、フロント2管のクインテット構成。

ジョーヘン以外は、新伝承派、ネオ・ハードバップを担う「当時の若手ジャズマン」ばかり。一番年齢の高いウィントンだって1961年生まれなので、ジョーヘンと二回り違う。そんな中、ジョーヘンの「こってこてモードな」テナーだけが突出して響く。ジョーヘンが、彼の代表的な演奏スタイルで吹くと、意外と難解なモーダルなフレーズが判り易く聴こえる。これが「ジョーヘンのテナー」なのだ。

新伝承派、ネオ・ハードバップを担う「当時の若手ジャズマン」を向こうに回して、ジョーヘンは本気になって「新仮名使いで口語調なモード・ジャズ」を吹き上げる。ジャズは聴く立場に立った時、難解なものであってはならない。そういう面で、この盤のジョーヘンは、モード奏法を判り易く展開していて、とても聴いていて心地良い純ジャズを提供している。この「判り易い」面がジャズにとって大切な要素の1つでは無いか、と改めて再認識させられた。
 
 
 

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2018年9月14日 (金曜日)

「新主流派」な演奏がギッシリ

ジョーヘン(ジョー・ヘンダーソン/Joe Henderson)のブルーノート以降のリーダー作を聴き直している。聴き直すというのも、昔、一度は聴いているはずなんだが、当時、ジョーヘンについては苦手意識があって、あんまり気合いを入れずに聴き流していたようである。反省することしきり、である。そこで、今回は気合いを入れて聴いている。

Joe Henderson『Power to the People』(写真左)。1969年5月の録音。Milestoneレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Mike Lawrence (tp), Herbie Hancock (ac-p, el-p), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds)。このパーソネルを見れば、当時の最先端をいく新主流派の音が聴こえてくる。

そう、この盤は当時の最先端をいく「新主流派」な演奏がギッシリ詰まった好盤である。主役のジョー・ヘンダーソンは、ヘンにフニャフニャうねうねなテナーを封印し、圧倒的にモーダルでクールなテナーを吹き回している。決して熱くブロウすることは無い。あくまでクールに、あくまで冷静にモーダルで限りなくフリーなフレーズを吹き回していく。
 

Power_to_the_people  

 
ハービーも圧倒的に新主流派な響きのアコピ、エレピを弾き分けている。モーダルな展開に切れ味がある、と言う感じで、アドリブ・プレイは鬼気迫るものがある。当時のハービーのベスト・プレイの1つでではないか。しかし、良く聴くとこの頃のハービーって、アコピもエレピも同じ弾き方をしているみたい。それでも、フレーズは実に先進的で美しいので、アコピとエレピと同じ弾き方というのは「ご愛嬌」。

加えて、ドラムのデジョネットのポリリズミックなドラミングが凄い。このドラミングは当時最先端だろう。今の耳にも新しく響くリズム&ビートは凄い。思わず聞き耳を立てる。そして、この盤で一番感心したのがロンのベース。まず「ピッチが合っている」。そして、ベースの音が引き締まって、鋼の様に固くて「しなやか」。こんなに整ってダイナミックなロンのベースはなかなか聴くことが出来ない。

この盤は、ジョーヘンを愛でるというよりは、この盤にギッシリ詰まっている、当時最先端の新主流派な音の響きを心ゆくまで愛でる盤ことが出来る好盤。ジョーヘンのテナーもニャフニャうねうねすること無く、シンプルで判り易い、クールなテナーに仕上がっている。この盤にして、ジョーヘンのフレーズはもはや「コルトレーンの再来」とは形容されない。ジョーヘンはジョーヘン。この盤では、ジョーヘンの個性の最終形が記録されている。

 
 

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2018年9月 5日 (水曜日)

この盤でやっとジョーヘンを理解

40年以上、ジャズを聴き続けてきて、それでも疎遠なジャズメンというのが幾人かいる。そもそも、聴く機会が無かった、つまり縁が無かった、というジャズメンもいれば、若い頃、聴いてはみたんだが、どうにもこうにも耳にフィットせずに、そのまま疎遠になってしまったジャズメンもいる。

ジョー・ヘンダーソン(Joe Henderson・略して「ジョーヘン」)というテナーマンがいる。このテナーマンは、さきほどの疎遠なジャズメンの一人で、その疎遠になった動機は後者。ジャズ者初心者の頃、ブルーノートの諸作をジャズ喫茶で聴かせてもらったのだが、これがどうにもこうにも耳にフィットしない。フニャフニャうねうね、という感じに聴こえて、何が良いのか判らなかったのだ。

それから38年。それまで時々、ブルーノートのジョーヘンについては聴いてはみたが、やはり、どうもピンとこない。それでも、ジャズ盤紹介本でも、ジャズ雑誌でも、ネットのブログでも、ジョーヘンは良い、という表現をよく見る。う〜ん、そうかなあ、と悩んでいたら、そうか、ブルーノート以外のジョーヘンを聴いてみよう、と思い立って、ブルーノート以降のジョーヘンを聴くことにした。
 

Joe_henderson_tetragon  

 
Joe Henderson『Tetragon』(写真左)。1967年9月(#4, 6-7)と1968年5月(#1-3, 5)の2回の録音に分かれる。ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Ron Carter (b) は全曲共通、ピアノとドラムは録音日によって分かれていて、(#1-3, 5)では、Don Friedman (p), Jack DeJohnette (ds)、(#4, 6-7)は、Kenny Barron (p), Louis Hayes (ds)。マイルストーン・レーベルからのリリース。

聴いての第一声は「ブルーノートの諸作に比べて、かなり聴き易くて判り易い」。それまでの「フニャフニャうねうね」なテナーを吹いていない。カッチリとした堅実で判り易いアドリブ・ソロを吹いている。シュッとして聴き易く判り易いコルトレーン、といった風情のテナーに思わず「おおっ」と思う。ブルーノート時代のアドリブ・ソロに芯がグッと入ったような感じで、とにかくこの盤のジョーヘンは「よく判る」。

1968年のリリースだからなのか、ジャケットのデザインが奇抜で、これはこれで「ひく」のだが「ひいてはならない」(笑)。他のジャズ者の方々の評判を確認させてもらって、やはり、この盤、ジョーヘンのリーダー作の中でも判り易い盤とのこと。なるほどねえ。この盤のジョーヘンは良く判る。シュッとして聴き易く判り易いコルトレーン+芯がグッと入ったような「フニャフニャうねうね」ソロ。彼の個性はこれだ。ということで、この盤から以降のリーダー作を聴き進めることにする。

 
 

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2018年1月11日 (木曜日)

ジョーヘンのリーダー作第2弾

初リーダー作『Page One』でのジョーヘンは固かった。吹いている様は「コルトレーン」に似ていた。ジョーヘンの特性である「ちょっと捻れた、素朴でジャジーな」テナーがあまり現れなかった。ピアノのタイナーとの相性が悪かったのだろうか。タイナーがバックでピアノを弾くと、フロントのテナーは「コルトレーン」になってしまうのか。

こぢんまりした素朴でジャジーな「コルトレーン」。これではジョーヘンが、ちょっと可哀相である。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンは「これではいけない」と考えたのかどうか、間髪を入れず、ジョーヘンのリーダー作第2弾を録音する。Joe Henderson『Our Thing』(写真左)。1963年9月の録音。ブルーノートの4152番。

ちなみにパーソネルは、Joe Henderson (ts), Kenny Dorham (tp), Andrew Hill (p), Eddie Khan (b), Pete La Roca (ds)。初リーダー作『Page One』の録音が1963年6月。それから僅か3ヶ月後の録音である。ピアノは、若き鬼才アンドリュー・ヒルに交代。ドラムは、初リーダー作で相性の良かったドラムのラロカとフロントのパートナー、トランペットのドーハムは留任。
 

Our_thing

 
冒頭の「Teeter Totter」を聴けば、リラックスしたジョーヘンのブロウを感じることが出来る。初リーダー作『Page One』とは全く別人の、自然体のジョーヘンが、肩の力の抜けた、素朴でジャジーな個性的テナーを吹き上げていく。まだ、後の個性である「ちょっと捻れた」ところはまだまだ遠慮がちだが、ところどころ変則でモーダルなアドリブ・フレーズは独特の個性である。

そして、へぇ〜っと感心するのが、ケニー・ドーハムのトランペット。溌剌としていて淀みが無い。拠れるところも無く、端正にブリリアントに吹き切る。素朴で力の抜けたジョーヘンのテナーとは対照的な音の力強さで、逆にジョーヘンのテナーを支え、惹き立たせていく。このフロント二人の相性は抜群。ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンの慧眼恐るべしである。

ジャズ盤の紹介本では、マイナー調の佳曲「Blue Bossa」の存在ゆえ、初リーダー作『Page One』が優先されることがほとんど。リーダー作第2弾の『Our Thing』が採り上げられることは、あまり無いのだが、ジョーヘンの初期の個性を確認するのなら、この『Our Thing』の方が適している。

 
 

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2018年1月 4日 (木曜日)

ジョーヘンの初リーダー盤

ジャズのアルバムの中で、まだまだ聴き込んでいないジャズメンが何人かいるのに気がつきました。例えば、ボビー・ハッチャーソンやホレス・パーラン、アンドリュー・ヒル、ジョー・ヘンダーソンなど、聴いてはいますが、今一度、聴き直す機会の少なかったジャズメン達です。そんな中から、新春のトップバッターは「ジョー・ヘンダーソン」。

Joe Henderson、略して「ジョーヘン」。若い頃から今に至るまで「ジョーヘン」で通してます(笑)。1937年4月生まれ。2001年6月に惜しくも鬼籍に入りました。64歳。早過ぎる逝去でした。初リーダー作が1963年、26歳の時でしたから、ちょっと遅咲きでしょうか。ハードバップ後期から頭角を現し、1960年代前半での初リーダー作ですから、新主流派の範疇のテナーマンです。

その初リーダー作が、Joe Henderson『Page One』(写真左)。1963年6月の録音。ブルーノートの4140番。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Joe Henderson (ts), McCoy Tyner (p), Butch Warren (b), Pete La Roca (ds)。トランペットのケニー・ドーハムだけがビ・バップ時代からのベテラン。他の4人は新主流派の若手。

この盤、冒頭の「Blue Bossa」の存在が何かとクローズアップされることがほとんど。このマイナー調のボサノバ曲が、1960年代のジャズ者の心を揺さぶったのか、当時から、この曲が良い、この曲が良いという評論ばかり。ケニー・ドーハムが、ハード・バップとボサノヴァのミックスで作曲したものとされている。でも、そんなに良い曲かしらん。
 

Page_one  

 
親しみ易いマイナー調の旋律は聴きやすいが、1970年代以降、リアルでジャズを聴いてきた僕達の世代からすると、以前の日本の演歌を聴くような感じがする。聴き易く親しみ易いマイナー調の旋律なんやけど、ちょっと古くて野暮ったいなあ、という感じなのだ。この「Blue Bossa」の存在よりも、演奏全体の新主流派一歩手前の趣味の良いハードバップな雰囲気が魅力。

主役のジョーヘンのテナーは「す〜っ」と伸びる、ビブラート無しのストレートなブロウが特徴で、ちょっと聴いてだけでは「コルトレーンか」と思う。しかし、ブロウの勢いが弱いというか「優しい」。優しく「す〜っ」と伸びる、ビブラート無しのストレートなブロウなのだ。決して、コルトレーンの様にダイナミックに雄々しくテナーを吹き上げない。ジョーヘンは、優しくジェントルにテナーを吹く。

モーダルなタイナーのピアノ、太く堅実なウォーレンのベース、堅実でポリリズミックなラロカのドラムは、いかにも新主流派のリズム・セクション。タイナーのピアノがあまりに個性的で、特にバラード曲では「これって、コルトレーンの伝説のカルテットの音か」と錯覚してしまうほど。それでいて、ジョーヘンのブローはまだ「捻れて」はいない。ハードバップゆずりのストレートなブロウに終始している。

まだまだ、ジョーヘンのテナーは固い。それでも、後に繋がる「優しく、す〜っと伸びる、ビブラート無しのストレートなブロウ」は、この初リーダー盤でしっかりと確認できる。ドーハムのトランペットだけが、旧来のハードバップの雰囲気を引き摺っていて、これはこれで個性的。ドーハムの存在が、他の4人の若手新主流派の音をグイグイ惹き立てるのだから、組合せの妙って面白い。

 
 

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