2021年1月30日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・198

このところ、リー・モーガンに凝っている。特に晩年のモーガンについては、今回、聴き直して、その内容を見直したところがある。そして、今一度、リー・モーガンのブルーノート1500番台に立ち戻る。当ブログでまだ記事にしていない好盤の「落ち穂拾い」である。

Lee Morgan『The Cooker』(写真左)。1957年9月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Pepper Adams (bs), Bobby Timmons (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。聴き所は2つ。1つは、ペッパー・アダムスのバリトン・サックス(バリサク)の参加。そして、もうひとつは、ザ・ファンキー・ピアニスト、ボビー・ティモンズの参加。

改めて、リー・モーガンのトランペット、ペッパー・アダムスのバリサクのフロント2管のクインテット構成。このトランペットとバリサクのフロント2管がこの盤の特徴。切れ味良く、ブリリアント、そして力感溢れるモーガンのトランペットだからこそ、存在感抜群のモーガンのトランペットだからこそ、この盤の2管フロントが映えるのだ。

耽美的、リリカル、繊細さが「ウリ」の、ちょっとでも「線が細い」トランペットだと、バリサクのボワッとした、ブリブリした重低音に負けて、音がどこかへ行ってしまう危険性がある。
 
 
The-cooker
 
 
が、このモーガンの存在感溢れる、切れ味の良い中高音だと、バリサクの音色との「好対照」が映える。加えて、モーガンのハイテクニックのトランペットにユニゾン&ハーモニーで追従するアダムスのバリサクの演奏テクニックも特筆に値する。

バックのリズム・セクションも好調。こってこてファンキーなピアニスト、ティモンズが弾きまくる。ブルーノートはリハーサルにもギャラを払うほど、本番の演奏の精度は高い。しっかりと端正で整った演奏の中で、ファンキーに弾きまくるティモンズは「整っている」。

ファンキーだからといって、俗っぽいところは無い。整った躍動感溢れるファンキー・ピアノ。これが、トラペット+バリサクのフロント2管にバッチリ合っている。ポルチェンのベースとフィリージョーのドラムも何時になく「ファンキー」なリズム&ビートを叩き出す。

実は僕、この盤、昔から大好きな一枚なんです。特に、この盤でバリサクの魅力に取り憑かれました。ジャケットのモーガンの横顔のアップも格好良い。ブルーノート・レーベルならではの好盤です。
 
 
 

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  ・僕達は「タツロー」を聴き込んだ
 

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2021年1月19日 (火曜日)

漆黒ソウルフルなタレンタイン

「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が個性のテナー、スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)。タレンタインは「ブルーノート御用達」。ブルーノート・レーベルのハウス・サックス奏者といっても良い。生涯のリーダー作の半数がブルーノート・レーベルからのリリース。

Stanley Turrentine with The Three Sounds『Blue Hour』(写真左)。1960年6月29日と12月16日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Gene Harris (p), Andrew Simpkins (b), Bill Dowdy (ds)。後のブルーノート・レーベルのハウス・サックス奏者とピアノ・トリオの共演。ブルーノートの総帥プロデューサー、アルフレッド・ライオン、なかなか小粋なマッチアップをする。

もともと、スリー・サウンズのリーダー・ピアニスト、ジーン・ハリスのピアノはファンキー&ブルージー、そしてソウルフル。バックを担うリズム隊の2人、シンプキンスのベース、ドゥディのドラムも「こってこてファンキー」。「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が個性のタレンタインのテナーを引き立てるのに恰好のリズム・セクションである。
 
 
Blue-hour  
 
 
冒頭の「I Want a Little Girl」から、こってこてのファンクネス全開。ゆったりと吹き上げるタレンタインのテナーは「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」。やり過ぎじゃないかと思えるくらいのファンクネス。オールド・スタイルとコルトレーン・スタイルの「間(あいだ)」をいくタレンタインのテナー。この「オールド・スタイル」を踏襲する部分がとりわけ「ソウルフル」。

バックのリズム・セクションがスリー・サウンズというのが完璧に効いている。ファンクネス&ソウルフルの相乗効果で、タレンタインのテナーは全編に渡って「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」。ジャケットのようにブルーに染まる、タレンタイン渾身のブロウが映える5曲。コンプリート盤も良いが、この盤は当初のオリジナル盤の5曲を聴いて欲しい。

この盤はタレンタインの「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」の個性が最大に発揮された好盤。逆にこれ以上に「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」に振れることは無い。タレンタインの「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」度合いの最高地点を記録した『Blue Hour』。リラックスして、じっくりと聴き込みたいですね。出来たら、まずまずのレベルのステレオ装置で。
 
 
 

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2021年1月18日 (月曜日)

タレンタインのBN初リーダー作

ちょっと前に、プレスティッジ時代のコルトレーンを聴き直して以来、ジャズ・テナーが気になっている。ロリンズやコルトレーンなど、レジェンド級の有名テナーマンのリーダー作については、このブログで順次取り上げてきたが、レジェンド級ですら、まだまだ残っている。例えば、スタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)などは、ほとんど手付かずだ。

Stanley Turrentine『Look Out!』(写真左)。1960年6月18日の録音。ブルーノートの4039番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Horace Parlan (p), George Tucker (b), Al Harewood (ds)。漆黒ブルージーなテナーマン、スタンリー・タレンタインのブルーノートでの初リーダー作になる。

タレンタインのテナーは「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が特徴。このブルーノート初リーダー作については、溌剌としたタレンタインのテナーが聴ける。恐らく、バックのリズム隊が新進気鋭のモード・ジャズ系ピアノ・トリオなのが影響しているのかもしれない。
 
 
Look-out  
 
 
タレンタインのテナーは、それまでのジャズ・テナーの代表格、ロリンズやコルトレーンのテナーのフォロワーでは無い。ましてや、パーカー直系のバップなサックスでも無い。タレンタインのテナーは、オールド・スタイルとコルトレーン・スタイルの「間(あいだ)」をいくもの。レトロでも無く最先端でも無い。流行のスタイルに対して「我関せず」と言わんばかりのオリジナリティー。

意外と溌剌と健康的に吹いてはいるが、ファンクネスはしっかりと漂い、唄うようなアドリブ・フレーズは既に「適度にソウルフル」である。それでも、ボートラの「Yesterdays」などは、タレンタインのトレードマークである、どっぷり「漆黒の滴り落ちるファンクネス」なテナーが鳴り響いている。逆に、LPリリース当時、お蔵入りになったのが判る。

豪快なテナーの音を繊細に出す。タレンタインのテナーのテクニックは堅実で真摯。そして、出てくる音は、「ど漆黒、どファンキー、どソウルフル」と、「ど」の3連発が付くほどの「滴り落ちるファンクネス」が特徴。そんなタレンタインの「テクニックと音」がこのブルーノート初リーダー作にしっかりと捉えられている。さすがブルーノート、さすがアルフレッド・ライオンである。
 
 
 

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2021年1月17日 (日曜日)

「危険な関係」とは懐かしい。

21世紀に入って20年。今でも時々、その存在をすっかり忘れていた、懐かしいアルバムがリイシューされることがある。この盤もその類なんだが、パーソネルと曲名を見て、最初は未発表音源だと思った。が、資料を見るとそうでは無い。そして、中身を聴くとリイシューなんだが、テイク違いのボートラが何曲か入っている。これは以前からなのか、今回のリイシューからなのか。ボートラの存在って紛らわしい。

Art Blakey & The Jazz Messengers feat. Barney Wilen『Les Liaisons Dangereuses 1960』(写真)。1959年7月28-29日、ニューヨークでの録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Barney Wilen (sax), Lee Morgan (tp), Bobby Timmons (p), Duke Jordan (p, tracks: 3 only), Jimmy Merritt (b), John Rodriguez (Bongos), Tommy Lopez, William Rodriguez (Congas)。

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャースがパリに演奏旅行に行った折の録音かな、と思ったら、なんとNYでの録音でした。バルネ・ウィランは、当時、仏ジャズきってのサックス奏者。この時はNYに呼ばれたのかな。タイトルの「Les Liaisons Dangereuses」は、邦題では「危険な関係」。おお〜懐かしい(笑)。
 
Les-liasons-dangereuses
 
この盤は、ロジェ・ヴァディム監督『危険な関係』(主演:ジェラール・フィリップ、ジャンヌ・モロー/1960年)のサントラ盤。映画本編では、セロニアス・モンク・カルテットと、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの曲が使用されているが、この盤ではジャズ・メッセンジャーズのみの演奏を収録している。

内容的には上質のハードバップ&ファンキー・ジャズ。特にサックスのウィランは、単独では硬質なバップ系サックスなんだが、この盤では、ジャズ・メッセンジャーズのお陰で芳しいファンクネスが添加されて、雰囲気の良いファンキー・サックスに変化している。ここでのウィランのテナーは素晴らしいパフォーマンスで、彼の真価を遺憾なく発揮している。

本当に久し振りにこの盤を聴いたのですが、やっぱり良い雰囲気、良い内容のサントラ盤でした。ハードバップの良いところがアルバム全編に散りばめられていて、安心してその演奏に聴く耳を委ねることが出来る、懐かしい内容です。バルネ・ウィランのサックスの真価を確認出来る好盤としても評価できるかと思います。いや〜懐かしいリイシュー盤に出会いました。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況》
 
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2020年8月 9日 (日曜日)

酷暑の夏に「ライトなジャズ」

遅い梅雨明け以降、かなり暑い日が続いている。朝から陽の当たる場所は既に30度越えの真夏日。湿度も高くて蒸し蒸しして、もう朝9時くらいにはエアコンのお世話になっている。今年は久し振りの冷夏かも、なんて予報もあったがとんでもない。今年の暑さ、去年一昨年より厳しい様な気がする。

これだけ蒸し暑いと、まずエアコンの無い部屋で音楽を聴くなんてとんでもない。聴くとしたって耳当たりの良い、刺激の少ないソフト・ロックやAORがせいぜい。エアコンを入れて、外の喧噪をシャットダウンして、やっとこさ、ジャズを聴こう、と思い立つ。それでも、ハードで硬派な純ジャズは辛い。ましてやフリー・ジャズなど論外。耳当たりの良い、イージーリスニング志向のジャズやボサノバ・ジャズに手が伸びる。

Cal Tjader『Sounds Out Burt Bacharach』(写真左)。1968年の録音。ちなみにパーソネルは、Cal Tjader (vib), Mike Melvoin (org), Marvin Stamm (flh), Garnett Brown (tb), Harvey Newmark (el-b), James Helms (g), Jim Keltner (ds), George Berg, Joseph Grinaldi (Bassoon), Ray Alonge (French Horn), Lew Del Gatto (Oboe), George Marge, Jerome Richardson, Jerry Dodgion, Walter Kane (reeds), Albert Wagner, Henri Aubert (vln)。
 
 
Sounds-out-burt-bacharach  
 
 
ジャズ・オーケストラをバックに従え、キーボードはピアノではなくオルガンを採用、ギターも入れて、ベースはエレベ。パーソネルを見るだけで、これは1960年代後半のイージーリスニング志向のライト・ジャズでは無いかと思う。聴けばズバリ。しかし、演奏されるそれぞれの曲がこれまた良い曲ばかりで、それもそのはず、この盤、タイトルからも判る様に、カル・ジェイダーによるバカラック作品のカヴァー集である。

カル・ジェイダーは、米国西海岸はサンフランシスコ出身の彼は、クール聴かせる西海岸ジャズにラテンのリズムを融合させ、ポップでソウルなジャズを展開、この盤についても、どこかラテン風のフレーズが見え隠れしつつ、そこはかとなくソウルフルでファンキーなライト・ジャズである。プロデューサーはGary McFarland。アレンジはマクファーランド含め3名が分担して担当しているが、どの曲のアレンジも優秀。聴いていて爽やかである。

バカラック作品のカヴァー集なので、楽曲自体がしっかりしている分、優れたアレンジと相まって、クールで上質なイージーリスニング志向のライトなジャズに仕上がっている。とにかく肩肘張らずに心地良く聴きながせるのが良い。この季節にピッタリの企画盤です。
 
 
 

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  ・『Your World and My World』 1981

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.08.04 更新。

  ・『Music From Big Pink』

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  ・太田裕美『Feelin’ Summer』



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2020年8月 8日 (土曜日)

こんなアルバムあったんや・132

ジャズがこの世に現れ出でて100年が経つという。ハードバップが大流行したのが1950年代。もう60年以上も前のことになる。1970年代後半から1990年代辺りは「未発表音源」や「発掘音源」のリリースがちょくちょくあった。21世紀になって、特に2010年代に入って、さすがに下火になった感がある。

磁気テープのマスター音源のデジタル環境への移行(ハードディスクへの移行)がほぼ完了したのだろう。と思っていたら、今でも未だほんのたまに「こんな音源あったんや」と驚くような「発掘音源」がリリースされることがある。この盤もそうで、リリース報を読んだ時は「え〜、まだそんな音源あったんや」とビックリ。

Art Blakey & The Jazz Messengers『Just Coolin'』(写真左)。1959年3月8日の録音。ブルーノートの音源。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Lee Morgan (tp), Hank Mobley (ts), Bobby Timmons (ts), Jymie Merritt (b)。あのfンキー・ジャズの名盤『Moanin'』の約4ヶ月後の録音。テナーがゴルソンからモブレーに代わっている。

ゴルソンがアート・ファーマーとジャズテットを結成するため1959年に入って離脱。ここでゴルソンの代役をつとめたのが「ハンク・モブレー」。後に2代目音楽監督となる ウエイン・ショーターが加入する端境期のラインアップである。このなかなか魅力的なラインアップで『At The Jazz Corner Of The World, Vol. 1ー2』をリリースしている。
 
 
Just-coolin
 
 
この音源は、ディスコグラフィー上にセッションの記載はあったものの、60年以上も一度も世に出ていなかった幻の音源。収録曲を見ると、約1ヶ月後にライヴ録音される『At The Jazz Corner Of The World』のリハーサル的位置づけのスタジオ録音だったのかなあ、と感じている。

迫力満点のファンキー・ジャズを旨とするジャズ・メッセンジャーズの演奏としてはちょっと「こぢんまりとまとまった」感じがする。約1ヶ月後にライヴ録音される『At The Jazz Corner Of The World』と比較すると、モブレーのテナー・サックスが「真面目一本槍」というお行儀の良いブロウに徹していて、やや躍動感に欠けるきらいがある。

この1959年3月8日のセッションから、「Hipsippy Blues」「M And M」「Just Coolin'」という3曲のモブレー作品と、スタンダード区奥「Close Your Eyes」の計4曲が『At The Jazz Corner Of The World』で演奏されている。で、この4曲についても、『At The Jazz Corner Of The World』の方が、躍動感溢れ、演奏の迫力もある。

スタジオ録音の全6曲中、4曲が後発のライヴ盤と収録曲が被って、ライヴ盤の方が躍動感溢れ、演奏の迫力もあるのだから、何も正式盤としてリリースしなくても良い、というのが、ブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンの判断だったのだろうか。

こぢんまりまとまった感のあるスタジオ録音だが、演奏の雰囲気、ハードバップ&ファンキー・ジャズの典型的な演奏がギッシリ詰まっていて、この盤はこの盤なりに聴いていてとても楽しい。まだ、こんな音源が残っているんですねえ。ビックリしました。
 
 
 

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  ・『Your World and My World』 1981

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  ・『Music From Big Pink』

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  ・太田裕美『Feelin’ Summer』



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2020年8月 2日 (日曜日)

ヤング・ホルト・アンリミテッド

ジャズを聴き始める前、高校時代の後半は、米国ルーツ・ミュージックが大好きになり、FMのエアチェックについては、ソウルやR&Bにも手を出すようになっていた。そして、大学に入ってジャズを聴き始めて、ジャズの合間の耳休めには、ソウルやR&Bを聴いたり、クロスオーバー・ファンクのアルバムを紹介して貰ったりして、足で拍子を取りながら、研究論文を読みながら、秘密のジャズ喫茶の昼下がりを過ごしていた記憶がある。

Young-Holt Unlimited『Oh Girl』(写真左)。1972年5月はシカゴ、1972年8月はNYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eldee Young (b), Ralph MacDonald (perc), Isaac "Redd" Holt (ds), Marcus Curry (el-g), Bobby Lyle, Ken Chaney (el-p, ac-p)。内容としては、クロスオーバー・ジャズの範疇、ソウル・ミュージックとエレ・ジャズの融合。こってこてファンクで、むっちゃグルーヴィーな音世界である。

「Young-Holt Unlimited」は、ベースのエディー・ヤングとドラムのレッド・ホルトのリズム隊コンビがメイン。我が国では一般には知られていない。しかし、レア・グルーヴ、サンプリングの世界では有名。とにかくこの盤のファンクネスとグルーヴ感、ブラック・ミュージック好きには堪らない。しかも、この盤、ボーカルが入らない。クロスオーバー・ファンクな演奏だけで、このグルーヴ感を醸し出す。堪らない。
 
 
Oh-girl-youngholt-unlimited
 
 
リズム隊がメインなので、ドラムブレイクやうねるようなファンキー・ビート、粘るベースラインなど、ジャズ・ファンクな要素がギッシリ詰まっていて、聴き始めると、足でリズムを取る、腰が動く、体を揺する。とにかく強烈なグルーヴ感。キーボードもソウルフルで、コロコロとした単音のエレピが心地良さを増幅。時代として、まだまだ電気楽器の性能が低いなか、このうねるようなグルーヴ感は凄まじいものがある。

ポインター・シスターズ名曲のカヴァー「Yes We Can」、デオダートの指揮でチャイ・ライツの名曲をカヴァーした「Oh Girl」など、ファンクネスのうねりが芳しく、レッド・ホルト作の「Rubber Lips」のむっちゃ渋いドラムブレイク、ダンディズム溢れるジャズ・ファンク曲「Bumpin' On Young Street」等、聴きどころ満載。

実はこの盤、ヤング・ホルト・アンリミテッドの最後のアルバムで、1974年にバンドを解散、ヤングとホルトは1980年代にラムゼイ・ルイスのグループに戻っている。そう、このヤング・ホルト・アンリミテッド、やっぱり、1960年代後半のラムゼイ・ルイスが関係しているんですね。こってこてファンクでグルーヴィーでありながら、破綻せず端正でポジティヴなジャズ・ファンクを叩き出す。何となく、ラムゼイ・ルイスを彷彿とさせますね。なんか納得しました
 
 
 

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  ・『Black Rose』 1976

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  ・Led Zeppelinの「西部開拓史」

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  ・太田裕美『十二月の旅人』


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2020年7月27日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・179

キャノンボール・アダレイは強烈なファンクネス漂うアルト・サックスを吹く。ミルト・ジャクソンは流れる様なファンクネス溢れるヴァイブを弾く。このファンクネスの申し子の様な二人。強烈なファンクネスの持ち主同士なので、基本的には共演をすることは無い。ファンクネスが強すぎて、アルバム全体のバランスが崩れるのだ。しかし、一枚だけ共演盤を残している。

Cannonball Adderley with Milt Jackson『Things Are Getting Better』(写真左)。1958年10月28日の録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Milt Jackson (vib), Wynton Kelly (p), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)。リヴァーサイド・レーベルからのリリース。担当プロデューサーはオリン・キープニュース(Orrin Keepnews)。

強烈なファンクネスの持ち主同士の共演。どうまとめるのか、この盤を聴く前まで興味津々だった。が、さすが、プロデューサーを担当したキープニュース。そして、キャノンボールとミルトの二人。キャノンボールのファンクネスを「動」、ミルトのファンクネスを「静」と役割分担して、ファンクネス満点のハードバップ・ジャズを展開している。躍動感溢れるキャノンボールのアルト・サックス、クールでブルージーなミルト・ジャクソンのヴァイブ。
 
 
Things-are-getting-better_20200727204301  
 
 
バックのリズム・セクションも小粋な人選。キープニュースの慧眼には感服する。ウィントン・ケリーは健康優良児的なファンキー・ピアノ、パーシー・ヒースはオールマイティーなベーシスト。ファンキー・ベースもお手のもの。そして、ドラムのアート・ブレイキーはファンキー・ジャズの生みの親の一人。このクールでファンキーなリズム・セクションが、フロントのファンクネス溢れるフロント管とヴァイブを引き立てる。

選曲を見れば判るが、キャノンボールのオリジナルとスタンダード曲のミックス。この盤、あくまでキャノンボールの「動」のファンクネスを前面に押し出したアルバムではあるが、サポート側に回ったミルト・ジャクソンのクールで流麗でアーバンなヴァイブが実に見事。ミルトのヴァイブがキャノンボールのアルト・サックスを強烈に引き立てている。ぴったり填まったキープニュースのプロデュース。この強烈なファンクネスの持ち主同士の共演、見事、成功裡に終わっている。

「動」のキャノンボール、「静」のミルト・ジャクソン、この盤の演奏のダイナミック・レンジは広い。この盤はヘッドフォンやイヤホンで聴くのでは無く、しっかりとしたステレオ・セットでそこそこの音量で聴いて欲しい。躍動感溢れ、クールでアーバンなファンキー・ジャズを、爽やかに浴びるように感じることが出来る。内容十分なファンキー・ジャズ。好盤です。
 
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館》の更新状況
 

 ★ AORの風に吹かれて    【更新しました】 2020.07.19 更新。

  ・『Black Rose』 1976

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  ・Led Zeppelinの「西部開拓史」

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  ・太田裕美『十二月の旅人』


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2020年7月25日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・178

今年の梅雨は強烈である。ここ千葉県北西部地方、7月も25日なのに、未だ梅雨が明けない。どころか昨日から雨、雨、雨。少し青空がのぞいたかな、と思ったら、いきなりザーッと強い雨が来る。これだけ晴れないと気持ちも滅入ってくる。我がバーチャル音楽喫茶『松和』で選盤するジャズ盤も、いきおい「元気の出る」盤を探すことになる。

元気の出るジャズ盤。元気の出るジャズマン。とくれば、僕はいつも「キャノンボール・アダレイ(Cannonball Adderley)」の名前を思い出す。ネアカの健康優良児的な、ポジティブな音色のアルト・サックス。強烈に漂うファンクネス。後年はこのファンクネスが過ぎて「ファンクの商人」などと揶揄されたが、僕はこの人のアルト・サックスが好きだ。

『The Cannonball Adderley Quintet at the Lighthouse』(写真)。1960年10月16日、ロサンゼルスのハモサビーチにあるLighthouse Café でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Cannonball Adderley (as), Nat Adderley (cor), Victor Feldman (p), Sam Jones (b), Louis Hayes (ds)。フロリダ、カルフォルニア、ミシガン出身の東海岸が関わっていない混成チーム。
 
 
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一言で言うと「明るくてファンキーで元気の出る」ライヴ盤である。ネアカの健康優良児的なキャノンボールのアルト・サックスが眩しい。明るくてハッピーな吹き回しだが、単なるハッピー・スインガーでは無い。濃厚なファンクネスの中に、しっかりとジャジーな雰囲気を漂わせ、そこはかとなくブルージーな響きを偲ばせているところが堪らない。
 
バックのリズム・セクションもなかなかに「粋」。西海岸出身のフェルドマンのピアノがシンプルで小粋で良い感じ。兄弟フロントの「こってこてファンキー」を上手く中和し、減衰させる効果がニクい。このフェルドマンのピアノがキャノンボール兄弟の「オーバー・ファンク」のリミッターになっている。このライヴ盤に漂う「メインストリーム・ジャズ」な雰囲気は、このフェルドマンのピアノに負うところが大きい。

相棒の弟、ナットのトランペットも同様。兄弟フロントで「明るくてファンキーで元気の出る」ライヴ・パフォーマンスを繰り広げている。ベースのジョーンズ、ドラムのヘインズのリズム隊も、どこまでもファンキーなリズム&ビートを叩きだす。元気の出るジャズ盤。元気の出るジャズ・パフォーマンス。そんな要求に、キャノンボールはしっかりと応えてくれる。
 
 
 

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2020年7月21日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・131

このピアニスト、ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)は、ジャズ盤紹介本では『The in Crowd』(2011年3月19日のブログ参照)ばかりが紹介されるので、ジャズ・ピアニストの「一発屋」と思われていることがよくある。また、1970年代は、ソウル・ミュージックやR&Bと融合したフュージョン・ジャズに転身したので、硬派なジャズ者の方々からは「ゲテモノ」扱いされている。

確かに1970年代以降は、クロスオーバー〜フュージョン・ジャズで「弾けて」、純ジャズからは遠いところで活躍していた訳だが、1950年代から1960年代前半にかけては、なかなか小粋なファンキー・ジャズをベースとした、なかなか硬派のジャズ・ピアニストであった。『The in Crowd』はポップな要素が強いが、ファンキー・ジャズとして、硬質のタッチと「こってこて」ファンキーな弾き回しが素敵なピアニストでもあったのだ。

『An Hour with the Ramsey Lewis Trio』(写真左)。1959年4月22日、,米国Chicagoは「Ter-Mar Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (p), El Dee Young (b), Issac "Red" Holt (ds)。ラムゼイ・ルイスはシカゴ出身。この盤でのリズム隊、ドラムとベースは地元シカゴのジャズメンを起用している。
 
 
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この盤でのピアノについては、初めて聴いた時は誰だか全く判らなかった。全体的に硬質で力強い、時に「叩き付ける様な」ダイナミックなタッチ、右手のこってこてファンキーなフレーズの弾き回し、ブルージーで黒い左手のブロック・コード。レッド・ガーランドやアーマッド・ジャマルをマッチョにした様なピアノ。マッチョだが歌心は満点。強弱のメリハリが強烈だが耳触りでは無い。

ファンクネスは「こってこて」、ゴスペルの要素もしっかり取り込んで、その部分はファンキー・ジャズの枠を超えて、ソウル・ジャズの先駆け的演奏になっている。長きに渡って、ラムゼイ・ルイスのトリオのリズム&ビートをを支える続けることとなる相棒のベースのエル・ディー・ヤング、ドラムのレッド・ホルト、どちらもパフォーマンスもなかなかイケる。

こういう雰囲気のピアノ・トリオがあるとは思わなかった。こってこてのファンクネス、ゴスペルの要素の取り込み、聴いた後から「ラムゼイ・ルイス」の仕業と知って至極納得。しかし、これだけ力強いタッチなのに、ラムゼイ・ルイスの指って、結構回っている。この盤では「ラムゼイ・ルイスはテクニシャン」だということを再認識させてくれる。僕はこの盤のラムゼイ・ルイス、好きだなあ。
 
 
 

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