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2018年7月14日 (土曜日)

教科書の様なオルガン・ジャズ

あまりの「半端ない」蒸し暑さにバテバテである。特に歳を取ると暑さが体に精神に堪える。あまりに暑いと音楽を聴きたくなくなってくる。しかし、暑さでバテバテの精神に刺激を与えて「喝」を入れるには、聴き心地の良い、ノリの良いジャズが良い。そういうジャズといえば、僕にとっては「オルガン・ジャズ」である。

オルガンは、その音の特性、そして、昔から教会音楽で活用されていたということもあり、音の印象は「ファンキー」。ゴスペルの雰囲気を底に偲ばせつつ、その音はファンキーでノリが非常に良い。しかも、音が基本的に真っ直ぐに伸びるので、聴き心地が良い。このファンキー度合いが悪乗りレベルになると、ちょっと下品な音世界になるので、日本の硬派なジャズ者の皆さんからは評判は芳しく無い(笑)。

そんなオルガン・ジャズ。入門盤はどの辺りが良いか。Gene Ludwig『Hands On』(写真左)。2004年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Ludwig (org), Ken Karsh (g), Tom Wendt (ds), Eric Defade (sax)。ジーン・ルートヴィヒとは、ピッツバーグ郊外出身のオルガン・プレイヤー。音的には、ジミー・スミス直系の正統なオルガン・ジャズの音をしているが、ハードバップ期のジャズ・オルガンの音と比べると、クールであっさりとしているのが特徴。
 

Hands_on  

 
さて、この『Hands On』である。テナー、ギター、ドラム、オルガンのカルテット構成。オルガンはベースの担当部分を兼任することが出来るので、オルガン・ジャズには、ベースが入っていないことが多い。逆に、オルガンでベース部を兼任するので、いきおい、そのフレーズが単純化されている。複雑なフレーズは相当に難しい。しかし、その単純化されたベース部のフレーズが、独特のファンキーなグルーヴを生み出している。

これがオルガン・ジャズの肝の部分で、このアルバム、このベース部の音がブンブンと鳴っていて、これが心地良いことこの上無し。テナー、ギターもオルガンに負けずファンキーな味わいを増幅させていて、この盤、オルガン・ジャズのサンプル盤の様な内容で、オルガン・ジャズ好きには、堪えられない内容になっている。そして、そこにルートヴィヒの、クールであっさりとした、正統なハモンド・オルガンが鳴り響く。

全編に渡って、クセの無い、教科書の様なオルガン・ジャズが鳴り響く。教科書の様な、というのは悪い意味では無い。オルガン・ジャズの良い部分、特徴となる部分が全て良い感じで入っている、という意味。シャッフル〜ミディアムなナンバー中心で、大向こう張る派手な弾き回しは無いが、堅実にクールにアドリブを弾きまくり、涼しい音でバッキングを決めてくる。そんなルートヴィヒのオルガンが粋な好盤である。

 
 

東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年6月28日 (木曜日)

オルガン・フュージョンの好盤

実はオルガンの音が大好きである。特に、ハモンド・オルガンの音はたまらない。プログレバンドEL&Pの『展覧会の絵』で、キース・エマーソンのハモンド・オルガンの音に魅了されて以来、オルガンの音が好きだ。そして、ファンクネスだだ漏れのオルガン・ジャズがこれまた大好き。ジャズを聴き初めて、ジミー・スミスのオルガンに出会って「何じゃこれ」(笑)。

我が国のジャズ・シーンでは、オルガン・ジャズはちょっと「キワモノ」扱いで、アコースティック・ピアノが絶対、オルガンは軟弱で俗っぽいもの、とされた。でもねえ、このオルガンの「こってこてファンキーな音」がたまらないんですよ。俗っぽかろうが、キワモノであろうが、心地良いものは心地良い。振り返ってみれば、様々なオルガン・ジャズを聴いてきたような気がする。

Johnny "Hammond" Smith『Gears』(写真左)。1975年のリリース。ジョニー・ハモンド・スミス(以降略して「ジョニハモ」)42歳の時の充実のパフォーマンスである。Hip-Hopのアーティストなどがサンプリングする、グルーヴ感抜群のジャズ・ファンク盤。音的には、下世話な俗っぽさを抑えて、洗練されたファンクネスが心地良い「オルガン・ジャズ」ならぬ「オルガン・フュージョン」と呼んでも良い音作りである。
 

Gears

 
一言で言って、ジャズ・ファンクの好盤。浮遊感溢れる、広大で清々しいサウンドが紡ぎだす、こってこてファンキーで魅惑的なグルーヴ感。ジョニハモの泥臭い黒いグルーヴ溢れるオルガンが良い。ハモンドのB3。意外と洗練されたオルガンで、俗っぽさに傾くことは決して無い。趣味の良いファンクネス溢れる演奏に思わず熱くなる。ついつい、オフビートに足踏みを始め、体が踊るように動き出す。

バックを張るメンバーの音も「こってこてファンキー」。存在感溢れるラフなファンク・ビートを叩き出すハービー・メイソンとそんなファンキー・ドラムに絡む、キレッキレのグルーヴ感満載のチャック・レイニーのベース。爽快さと浮遊感を前面に押し出したマイゼル兄弟のキーボード。それぞれ違うスタイル(カッティングとワウ)で乗っかってくるクレイグ・マクマレンとジョン・ローウインのリズム・ギター。

オルガン・フュージョンの初期の成果。ジョニハモはオルガンだけでなくエレピやシンセサイザーも使いこなしていて、マルチ・キーボード奏者としての才能を遺憾なく発揮している。ミゼル兄弟によるスカイ・ハイ・プロダクションによって制作された、このジョニハモの『Gears』は、今日のクラブ・シーンでサンプリングのネタ元として大いに活用されている。

 
 

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2018年4月20日 (金曜日)

思いきりアーシーでファンキー

ラムゼイ・ルイス(Ramsey Lewis)は、ファンキー・ジャズを代表するピアニストの一人。ピアノ・トリオの一番有名な盤として、1965年リリースの『The In Crowd』がある。ファンキー・ジャズの発展形、ソウル・ジャズの好盤と言っても良い内容。メロディーを簡略化し、アフター・ビートを強調したシンプル&ダンサブルな演奏。

では、そんなラムゼイ・ルイス。他にはどんなファンキー・ジャズなピアノ・トリオ盤があるのか。と考えたら、実は良く知らない、ということに突き当たる。そもそも、ジャズ盤紹介本などでは、ファンキー・ジャズの項で、ラムゼイ・ルイス、ピアノ・トリオと来たら『The In Crowd』以上、なのである。『The In Crowd』以外のファンキー・ジャズなトリオ盤を紹介することは殆ど無い。

どうも、ラムゼイ・ルイスは、クロスオーバー〜フュージョンの人という解釈が圧倒的。これはあかんやろ〜、ということで、独自に調べ始める。で、ラムゼイ・ルイスのアルバムをちょいちょい、つまみ食い風に試し聴きする。で、おおっこれは〜、と思ったアルバムがこれ。Ramsey Lewis『Down to Earth (Music from the Soil)』(写真左)。1959年のリリース。ちなみにパーソネルは、Ramsey Lewis (p), El Dee Young (b), Issac "Red" Holt (ds)。
 

Down_to_earth_music_from_the_soil

 
ピアノ・トリオではあるが、ドラムとベースは知らない名前。もともとラムゼイ・ルイスは、メインストリーム・ジャズのジャズメンと組むことがかなり少ない。個人的に良く知ったスタジオ・ミュージシャン系のジャズメンを選ぶようだ。これがたぶん、我が国でメジャーにならない所以だろう。で、この盤であるが、ジャケットに、直訳すると「ラムゼイルイストリオが土から生まれた音楽をプレイする」と書いてある。

収録曲を見渡せば、「黒い瞳」「帰れソレントへ」「グリーンスリーブス」「時には母のない子のように」など、その昔のフォークソングの名曲の名が並ぶ。え〜、これってイージー・リスニングやないの、訝しく思うが、聴いてみて思う。これ、こってこてファンキーなソウル・ジャズやん。思いっきりアーシーでファンキーな演奏に、思わずクラクラする(笑)。

このこってこてファンキーな度合い、思いっきり俗っぽくて、これはやっぱりイージーリスニングなのか、なんて思ったりするが、聴き進めていくと、やっぱり、しっかりしたジャズなのだ。アフタービートを強調してファンキー度合いを増幅して、ゆったりとしたスイング感がソウルフル。ほとんど地味なアルバムではありますが、聴いて見ると、この盤のアーシーさがとても心地良い。意外とお気に入り盤です。

 
 

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2018年3月15日 (木曜日)

これも「逆・ジャケ買い」な盤

ジャズ盤には「これは」と目を見張るほどの格好良いジャケットがある。しかし、逆に「このジャケットはな〜、買えんな〜」という劣悪なジャケットもある。これは得てして、かなりの確率で内容も悪い。しかし、劣悪では無い、デザイン的にも「アリ」なんだが、あまりに奇抜なデザインで、これはな〜、という盤もある。

僕はこういう盤を「逆・ジャケ買い」と呼んでいる。この「逆ジャケ買い」盤については、購入に至るまでに相当の努力を必要とする(笑)。そういう「逆・ジャケ買い」盤を、昨日、Ramsey Lewis『Salongo』をご紹介した。ん?ラムゼイ・ルイス? そう言えば、ラムゼイ・ルイスと言えば、まだあるぞ。あるある。凄いのが・・・(笑)。

これである。Ramsey Lewis『Sun Goddess』(写真)。1974年のリリース。邦題『太陽の女神』。内容は明らかにエレクトリックがメインのジャズ・ファンクである。冒頭のタイトル曲は、Earth, Wind & Fire(いわゆる「アース」)との共演。ラムゼイ・ルイスのアースのリーダー、モーリス・ホワイトとは同じバンドで行動を共にした仲。思い切り、ファンクな内容に思わず、体が動く。
 

Sun_goddess_3

 
この盤でのジャズ・ファンクは、決して、重量級のファンクネスが鳴り響く訳ではない。この盤に響き渡るのは、趣味の良い、ちょっとライトなファンクネス。そして、トコトンまでジャズ・ファンクせずに、アドリブ展開の時のキーボードが、一昔前の「ファンキー・ジャズ」の雰囲気を湛えたフレーズを弾きまくったりするところが、絶妙にマッチする。

バンドの面々の演奏力を凄まじいものがある。ハットが疾走するグルーヴィーなリズム。限りなく爽快感溢れるカッティングギター。浮遊感ハンパない、ファンクネス溢れるシンセ。ファンキーで柔らかいコーラスが絡む、極上のメロウ感溢れるグルーヴ。そう、この盤のリズム&ビートは、明確に「グルーヴィー」。この流麗でライトなグルーヴ感が心地良い。

しかし、この盤のジャケットは凄い。どうやったら、こういうデザインになるのか。少なくともインパクトはでかい。このジャケットでは、内容が「ジャズ・ファンク」だとは思わないだろう。しかし、この盤、当時のビルボードのブラックチャートで1位、ポップチャートでも12位というヒットを記録したのだがら、「逆・ジャケ買い」盤は恐ろしい(笑)。

 
 

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2018年3月14日 (水曜日)

そんな「逆・ジャケ買い」な盤

「ジャケ買い」という言葉がジャズの世界にはある。アルバムのリーダーや評判を知ること無く、ジャケットを見て、その優れたジャケット・デザインにインスピレーションを得て、つい手に入れてしまう行為のこと。「ジャケ買い」は得てして、かなりの確率で、好盤に当たることが多い、とされる。

しかし、逆に「このジャケットはな〜、買えんな〜」という劣悪なジャケットもある。これは得てして、かなりの確率で内容も悪い。しかし、劣悪では無い、デザイン的にも「アリ」なんだが、あまりに奇抜なデザインで、これはな〜、という盤もある。僕はこういう盤を「逆・ジャケ買い」と呼んでいる。購入に至るまでに相当の努力を必要とする(笑)。

そんな「逆・ジャケ買い」な盤が、Ramsey Lewis『Salongo』(写真)。1976年のリリース。ちなみにパーソネルは、Jimmy Bryant (clavinet), Steve Cobb (ds, vo), Byron Gregory (g), Ron Harris (el-b), Ramsey Lewis (ac-p. el-p), Derf Reklaw Raheem (fl, perc, vo), Tang (vo)。う〜ん、リーダーのラムゼイ・ルイス以外、皆、知らん(笑)。1970年代後半のジャズ・ファンクのスタジオ・ミュージシャンは全く判らない(笑)。
 

Salongo

 
冒頭の「Slick」から、趣味の良いジャズ・ファンク全開。全編に渡って言えることだが、ブラスのユニゾン&ハーモニーの響きがとても「ジャズ・ファンク」している。後ろ打ちのオフビートがドカッと効いていて、そのファンクネスを湛えたグルーブ感と言えば、いやはやとても素晴らしい。特に、この盤のグルーブ感は適度に軽妙で小粋なところが魅力的。

リーダーのラムゼイ・ルイスのピアノはアコもエレも「ファンキー・ジャズ」なもの。これが面白い。バックのリズム・セクションは明らかに「エレ・ファンク」なんだが、エレ・ファンクのグルーブに乗っかるピアノのフレーズはファンキー・ジャズ。これが、恐らく、軽妙で小粋に響くところなのだろう。この軽妙さがこの盤では特に填まる。

1970年代後半に差し掛かる頃のジャズ・ファンク盤なんだが、内容的には決して大雑把ではなく、はしたなくもない。逆に、趣味が良く、アレンジが良く、流麗なグルーヴ感が良い。流麗ではあるが、甘きに流れない、しっかりとメリハリの効いたジャズ・ファンクのビートを叩きだして、その上にラムゼイ・ルイスのファンキーなピアノが乱舞する。1970年代ジャズ・ファンクの好盤です。

 
 

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2018年3月 3日 (土曜日)

こってこてのソウル・ジャズ

ソウル・ジャズ。1960年代、ブルースや教会音楽を基本にした曲を元にしたジャズの流行の演奏スタイル。ブルースのフィーリングが強く、ゴスペルの要素を折り込んで、黒人音楽的要素を前面に押しだしたところが特徴。ポップで大衆的な雰囲気で、高揚感が漂い、今の耳で聴くと、スピリチュアルな側面が見え隠れする、ファンキーなジャズという雰囲気。

僕がジャズを聴き始めた1970年代後半では、ソウル・ジャズは異端であり、俗っぽく、本気で聴くジャズでは無い、とされた。僕の印象としては、演奏自体はソウル・ミュージックからR&B基調の音なので、違和感は無い、というか大好きなのだが、ボーカルが入るところがどうにも気恥ずかしくて、ステレオやカセットテレコから音を出しながら聴くということが出来なかった。

全く、許容量の少ないことであった(笑)。でも、である。50歳を過ぎることから、このソウル・ジャズについては、全く拘ること無く聴くことが出来ようになった。恐らく、年齢がそうさせたのだろう。もともと子供のころから、ソウル・ミュージック、特にモータウン系が好きだったので、ソウル・ジャズのボーカルについても実は全く抵抗が無かった。
 

Talk_to_the_people  

 
Les McCann『Talk to the People』(写真左)。ソウル・ジャズの中核的存在、キーボード奏者レス・マッキャンの好盤。1972年3月30日の録音。もう米国の最大のポップ・ミュージック・ジャンルは「ロック」の時代である。そこにこの「こってこてのソウル・ジャズ」。この盤、聴けば判るが、徹頭徹尾、こってこてのソウル・ミュージックである。バックの演奏は確かにファンキー・ジャズではあるが、ボーカルが入ると、これはもう「ソウル」でしょう。

演奏を聴いていると、思わず足でリズムを取り始め、体が動き始め、遂には踊り出してしまう。そして、このソウル・ジャズ盤、聴きどころは、レス・マッキャンのフェンダー・ローズ。ローズ独特の丸く揺れる鋭角な音が実にソウルフル。ゴスペル的な和音を重ねつつ、徐々にクレッシェンドしている様は、まさに「高揚感溢れるスピリチュアル」なもの。リズム&ビートはダンサフル。

若い頃は自らの耳で確かめること無く、つまりはジャズ雑誌の硬派な評論に左右されていたんだなあ、と今になって苦笑している。ということで、この盤である。これが実に良い雰囲気の、ポップでブルージー、ゴスペルチックでスピリチュアル。聴いて楽しいソウル・ジャズ。週末の晴れた朝、ゆったりと気持ちを高めたい朝。このソウル・ジャズは最適のBGMである。

 
 

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2018年3月 1日 (木曜日)

ダウケレン、侮り難しである。

ジャズは「深化」している。「進化」はなかなか難しくなったが、「深化」は確実に進んでいる。今回、このアルバムを聴いて、その感覚を再確認した。Jan Van Duikeren『Jan Van Duikeren's Fingerprint』(写真左)。「ヤン・ヴァン・ダウケレンズ・フィンガープリント」と読む。2011年2月のリリース。

紹介記事を読んでみると、キャンディー・ダルファー、トレインチャ、ザ・ジャズインヴェーダーズ、ニュー・クール・コレクティヴ・ビッグバンド、ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ、それら全てに参加するオランダ・ジャズ・シーンのファースト・コール・トランペッター「ヤン・ヴァン・ダウケレン」初のリーダー作だそうだ。

確かに「良い」。トランペットの音がとてもポジティヴに、躍動感溢れ、響きまくる。素直ではあるが、ちょっとだけ捻れた「鯔背な」トランペット。現代の「鯔背な」トランペットである。なるほど、このヤン・ヴァン・ダウケレンが、和蘭でファースト・コール・トランペッターだと言われるのが、とても良く判る。
 

Jan_van_duikerens_fingerprint

 
こんなポジティヴなトランペット、確かに欲しいし、一緒にやってみたくなるよな〜。アルバム全体の雰囲気は「現代のファンキー・ジャズ」。これまでのファンキー・フュージョンやジャズ・ファンク、ソウル・ジャズの要素を取り込みながら、全体の雰囲気は、コンテンポラリーでクールな「ファンキー・ジャズ」。

ファンキー・ジャズでありながら、ファンクネスはあっさり目。こってこてなファンクネスとは全く無縁。さすがは欧州は和蘭のジャズである。爽快感抜群、ポジティブで鯔背な「ファンキー・ジャズ」。そして、ずっとダウケレンのトランペットを聴いていて、どこか温和な雰囲気が漂っているところがユニーク。ほど良く抑制が効いている、というか、ポジティヴに「温和」なのだ。

ハードバップなジャズに定盤な雰囲気、所謂「熱気溢れ、汗が飛び散る熱いブロウ」というところが無く、力感はしっかりあるが、どこか温和なトランペットの音が実に面白い。他のトランペッターにはちょっと見当たらない「温和で鯔背な」トランペット。これが以外と癖になり、何度も繰り返し聴くハメに陥っている。ダウケレン、侮り難しである。

 
 

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2018年2月 5日 (月曜日)

シルヴァーのファンキーな好盤

今週は「ジャズ・レジェンド」の週間。熟々とジャズ・レジェンドの名前を見ていて、この人のリーダー作、そう言えば最近、聴いて無かったなあ、と思い立った。ホレス・シルヴァー(Horace Silver)である。ファンキー・ジャズの職人。2014年、85歳で鬼籍に入るまで、ずっとファンキー・ジャズ一直線。

ということで、ホレス・シルヴァーのリーダー作を聴き直し始める。まずは、Horace Silver『Blowin' the Blues Away』(写真左)。1959年8月29〜30日と9月13日の録音。ブルーノートの4017番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts), Gene Taylor (b), Louis Hayes (ds)。ブルー・ミッチェルのトランペット、ジュニア・クックのテナーの最強の2管フロント。

冒頭のタイトル曲から、こってこてのファンキー・ジャズ。ミッチェルのトランペットとクックのテナーのユニゾン&ハーモニーがむっちゃ雰囲気である。シルヴァーのピアノはバッキングしている時からファンキーそのもの。ソロに入れば完璧にファンキー。明確なタッチにファンクネス色濃く漂うアドリブ・フレーズ。ミスター・ファンキーなアコピである。
 

Blowin_the_blues_away

 
あまり話題にならないが、ベースのジーン・テイラー、ドラムのルイス・ヘイズのリズム隊もむっちゃファンキーなリズム&ビートを叩きだしている。クインテットが一丸となって、ファンキー・ジャズを演奏しまくっている。オリジナル盤の収録曲は全て、シルヴァーの作。アレンジも優秀で、シルヴァーの総合力が最大限に発揮されている。

そして、極めつけは、LP時代のB面の1曲目、CDでは5曲目の「Sister Sadie(シスター・セイディ)」。これ、ファンキー・ジャズの屈指の名曲。もう前奏の「コール・アンド・レスポンス」風のユニゾン・ハーモニーを聴くだけで、ファンクネスだだ漏れ。ファンキーで楽しい、気持ちが躍動する。確かに、聴いていると自然と体が動き、遂には踊り出している。

そして、ジャケットがまた素晴らしい。このシルヴァーのアコピを弾く後ろ姿の線画がむっちゃ格好良い。右肩にあしらわれたタイプグラフィーがこれまた格好良い。ブルーノートのジャケットは優れたものが多いが、この『Blowin' the Blues Away』のジャケットは飛び切り格好良い。曲良し、アレンジ良し、演奏良し、ジャケット良し。ファンキー・ジャズの屈指の名盤である。

 
 

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2017年12月12日 (火曜日)

軽快でスッキリしたオルガン奏者

ジャズ・オルガンが大好きである。もしかしたら、ピアノより好きかもしれない。ジャズにおいて、オルガンとは「こってこてファンキー・ジャズ」の必需品。特に、オルガンの音を「シュワシュワ」揺らす装置、レスリー・スピーカーなどを使って、ハモンド・オルガンを太い音で「グワ〜ッ」とやると、もうそこは漆黒ファンキーの世界。

もともとハモンド・オルガンの音って、協会のゴスペルの伴奏をする楽器というイメージがあって、その音そのものが「ファンキー」なんですよね。フット・ペダルでベース・ラインを押さえる演奏家も多く、このベース音が、これまた太い低音鳴り響き、ブンブンいう音がやっぱり「ファンキー」なのだ。

しかし、この人のジャズ・オルガンは、ファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」している。ファンクネス度合いもベッタベタなファンクネスというよりは、ライトなファンクネス。オーバー・ファンクな音世界が苦手なジャズ者の方々が一目置く存在。その名は「シャーリー・スコット(Shirley Scott)」。ジャズ界では稀少の女性のオルガン奏者である。

Shirley Scott『On A Clear Day』(写真左)。1966年1月の録音。"Queen of the Organ"と呼ばれたシャーリー・スコットのリーダー盤。ちなみにパーソネルは、Shirley Scott (org), Ron Carter (b), Jimmy Cobb (ds)。シャーリー・スコットは、ベースは本職のベーシストに任せて、オルガンで旋律を弾くタイプ。
 

On_a_clear_day

 
ベースを本職のベーシストに任せているので、ベース・ラインが柔軟でバリエーション豊か。演奏全体に音の陰影と緩急をしっかりと与えている。ベースの生音というのは、結構、切れ味良くスピード感があるので、耳にもたれない。所謂オーバー・ファンクに陥ることは無い。ここがシャーリーのオルガンの「ミソ」で、ベースを本職のベーシストに任せることで、オルガンの演奏自体が、ァンキーなんだけど「軽快でスッキリ」するのだ。

ジミー・コブのドラミングも見事。オルガンのアドリブ・フレーズって、音が伸びるので、ピアノの様に歯切れ良く、間が空くことが少ない。そういう連続した音の羅列を、鼓舞するが如く、刺激するが如く、歯切れの良い硬軟自在なドラミングは、シャーリーのファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」なオルガンに相性抜群である。

選曲もスタンダード中心で、ライトな感覚のシャーリーのオルガンがしっかりと馴染む。シャーリーの軽快なオルガンが、軽快なスイング感を供給してくれる。決して、オーバー・ファンクに偏って耳にもたれることは無い。ファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」したオルガンだからこそ、ボサノバの名曲、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Corcovado」をカバーすることだって出来るのだ。

 
 

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2017年12月 4日 (月曜日)

ライト感覚なファンキー・ジャズ

ファンキー・ジャズは聴いていて心地良い。ハードバップのフォーマットで、ファンキーな要素を前面に押し出して、ポップなアドリブ・フレーズを繰り出して、とにかく聴いて楽しい、聴いて心地良い音世界を展開する。あっけらかんと純ジャズを楽しむのなら、ファンキー・ジャズは最有力の演奏フォーマットだろう。

Blue Mitchell & Junior Cook 『Quintet Sessions "The Cup Bearers" / "Junior's Cookin'" 』(写真)。この盤には、その「ファンキー・ジャズ」の良いところがギッシリと詰まっている。このCDはクック名義の『Junior’s Cookin’』(Jazzland JLP-958) 、ミッチェル名義の『The Cup Bearers』(Riverside RLP 9439) をカップリングしたもの。

パーソネルは、1曲目〜7曲目の『Junior’s Cookin’』は、1961年4月と12月の録音で、Blue Mitchell(tp), Junior Cook(ts), Dolo Coker(p), Gene Taylor(b), Roy Brooks(ds)。8曲目〜14曲目の『The Cup Bearers』は、1962年8月の録音で、Blue Mitchell(tp), Junior Cook(ts), Cedar Walton(p), Gene Taylor(b), Roy Brooks(ds)。ピアノ以外は、当時のホレス・シルヴァー5重奏団のレギュラー・メンバー。
 

Quintet_sessions_the_cup_bearers_ju

 
ホレス・シルヴァー御大のピアノが無い分、ファンキー・ジャズとしての「ファンクネス度合い」は若干軽くなる。逆にライトになった分、ポップで聴き易く判り易い演奏になっているように感じる。また、親分のシルヴァーがいない分、ミッチェルのトランペットやクックのサックスがフィーチャーされているところが面白い。というか、現金やなあ(笑)。

ミッチェルのトランペット、クックのサックスは、決してテクニック的には突出して優れている訳では無い。時に拠れるし、時に詰まったりする。それでも、ミッチェルのトランペット、クックのサックスは、とってもファンキーな音色を醸し出す。そのファンクネス溢れる音色が、ユニゾン&ハーモニーが全くのところ「ファンキー・ジャズ」なのだ。

ピアノのドロ・コーカー、シダー・ウォルトンの存在が「ミソ」で、シルヴァー・クインテットの時よりも、醸し出されるファンクネスがあっさりしていて、演奏全体がスッキリしているところがこのメンバー編成の面白いところでしょう。ファンキー・ジャズのど真ん中からちょっとポップに外れたところにある盤で、そういう意味では「ジャズ者中堅」向けかな。隠れた好盤です。

 
 

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