Date/Time


2024年4月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

2024年2月17日 (土曜日)

北欧らしい Swedish Standards

北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。

Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンのサン・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p), Mattias Svensson (b), Rasmus Kihlberg (ds)。

ピアノのヤン・ラングレンがリーダーのピアノ・トリオ。トリオの3人ともスウェーデン出身。この「純スウェーデン人トリオ」の母国、スウェーデンの古謡を取り上げ、ジャズ化した秀作。

米国にも日本にも馴染みの無い、不思議なメロディとモチーフとしたフォーキーなフレーズがいかにも「スウェーデンの古謡」らしい。そんな「スウェーデンの古謡」を北欧ジャズの雰囲気濃厚なアレンジと録音で「トリオ・ジャズ」化している。独特な雰囲気が魅力のトリオ演奏。

この「スウェーデンの古謡」の北欧ジャズ化を聴くと、北欧ジャズの個性と特徴がとてもよく判る。とてもシンプルで地味目の「古謡フレーズ」なので、ダイナミックでドラスティックな米国ジャズを良しとする向きには「単調で退屈」だろう。
 

Jan-lundgren-trioswedish-standards  

 
しかし、欧州ジャズ者、ECMジャズ者の方々なら、すんなり受け入れて、その優れた内容を理解することができるだろう。欧州ジャズを理解できないと北欧ジャズを理解することは難しい。

古謡をベースにしながら、そのジャズ化に無理が無い。古謡の持つ不思議なメロディとモチーフが、北欧ジャズの個性と特徴に合致するのだろう。

そして、ラングレンの、美しいタッチ、歌心に溢れたフレージング、端正で流麗なリズム感、3拍子揃った、北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノが的確に古謡のフレーズをジャズ化している。

加えて、スヴェンソンの間合いの効いたリリカルなベース、フォーキーにリズム&ビートを刻むシェールベリのドラムが、そんなラングレンの北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノをガッチリ支え鼓舞する。

こういう、その国や地域に密着したジャズはどれもが美しい。米国ジャズだって、和ジャズだって同じ「その国や地域に密着したジャズ」。優劣は無い。

改めて、この『Swedish Standards』は、実に北欧ジャズらしいピアノ・トリオの優れたパフォーマンスである。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年11ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2024年1月30日 (火曜日)

アレッシの『It’s Always Now』

ラルフ・アレッシは、1963年3月5日、米国SFO生まれ。今年で61歳の大ベテラン・トランペッターである。が、これまでかなりマイナーな存在だった。というか、僕はこのアルバムで出会うまで、アレッシの名前に馴染みが無かった。

それもそのはずで、アレッシは基本的に学者であり研究者。カリフォルニア芸術大学で、ジャズ・トランペット演奏で学士号、ジャズ・ベース演奏で修士号を取得している。そして、教育者として、2001年にニューヨークのブルックリンに即興音楽学校を設立している。

初リーダー作は1999年。マイナー・レーベルからのリリース。アレッシのディスコグラフィーを見ていると、初リーダー作から7枚ほどマイナー・レーベルからリーダー作がリリースされていたが、突如、9枚目のリーダー作『Baida』(2013年)が、老舗のメジャー・レーベル、ECMレコードからリリース。

以来、今回の『It's Always Now』まで、4枚のリーダー作がECMからリリースされている。そして、今回、やっと、アレッシのトランペットを聴くことが出来た。まあ、そんな感じのジャズ・フィールドでの活動なので、アレッシの名前に馴染みがなくても仕方がない。

Ralph Alessi Quartet『It's Always Now』(写真左)。2021年6月の録音。ECMレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Ralph Alessi (tp), Florian Weber (p), Bänz Oester (b), Gerry Hemingway (ds)。ECMレコードでの4枚目のリーダー作になる。
 

Ralph-alessi-quartetits-always-now

 
このアルバムを聴き始めて、まず、アレッシのトランペットについては、とても素性が良く、欧州ジャズ的な端正で癖のない、ブリリアントで綺麗に鳴るトランペット。テクニックは上々、今回はアレッシのトランペット1管のワンホーン・カルテットなんだが、アレッシのトランペット一本でフロントをやり切っている。相当にテクニック的に優れていることが良く判る。

始めの頃は、ブリリアントでストレートな良い音のするトランペットで、静的な「ネオ・モーダル」な即興演奏メインの展開の曲を吹き進めていく。音はさすがに「欧州調」なんだが、ECMらしからぬ「ネオ・ハードバップ」な音世界に、ECMも柔軟になったなあ、と思いながら聴き進めると、徐々に静的な音世界が怪しくなってくる。

曲が進むにつれ、徐々に徐々にフリーに傾いていく。しかも演奏の雰囲気は一気にアグレッシヴ。静的な音世界から、音数の多い自由即興な音世界に早変わり。これには、ちょっとビックリ。それでも、フリーと言っても、内容的には、欧州的で整った、節度をわきまえた即興演奏で現代音楽風。

ECMの「サウンド・カラー」からは逸脱していない、ほどよく抑制が効いた素性の良いフリーな展開なので、耳につくことは無い。ギリギリ、限りなく自由度の高いモード・ジャズと解釈することもできるアーティステックなフリー展開。

バックでリズム隊を担う、ピアニストのフロリアン・ウェーバー、ベースのベンズ・オースター、ドラマーのゲリー・ヘミングウェイというトリオも、アレッシのトランペットをしっかりサポートしていて立派。

ラルフ・アレッシのトランペットの優れた個性を確認することが出来る、なかなかの内容のリーダー作。内容的には、米国ジャズの様なファンクネスは皆無で、コマーシャルな要素も皆無だが、欧州の「現代の即興演奏をメインとしたニュー・ジャズ」として、聴き味良好なワンホーン・カルテットの佳作。マンフレート・アイヒャーのプロデュースの賜物でしょう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【New】 2024.01.07 更新

    ・西海岸ロックの雄、イーグルス・メンバーのソロ盤の
   記事をアップ。

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【New】 2024.01.08 更新

  ・チューリップ『ぼくが作った愛のうた』『無限軌道』
   の記事をアップ。

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年12月17日 (日曜日)

ラン・ドーキーの新作ライヴ盤

ジャズのアルバム鑑賞については、ジャズを聴き始めた頃から、ピアノを最初にメインとして、ずっと聴き続けている。かなりのピアニスト、リーダー作を聴いてきたが、まだまだ手薄なピアニストが存在する。その一人が「Niels Lan Doky(ニールス・ラン・ドーキー)」。

ニールス・ラン・ドーキーは、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。デンマーク出身のピアニストなので、基本的には、北欧ジャズの範疇に入るのだが、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。

北欧ジャズ・ピアノ独特の「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」とはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

クラシック風の端正なタッチ、音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。どこか、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを想起する。
 

Niels-lan-dokyyesterdays-future

 
Niels Lan Doky『Yesterday's Future』(写真左)。2022年3月20 & 21日、デンマーク、フムルベックの「Louisiana Museum」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Tobias Dall (b), Nikolaj Dall (ds)。海外ではLPでのみ発売、我が国で世界初CD化。2022年の春、デンマークでのロックダウン終了直後のライヴ・パフォーマンスの記録。

とても良い雰囲気のピアノ・トリオのパフォーマンス。ラン・ドーキー独特の音符を敷き詰めた速い弾き回し、クラシック風の端正なタッチ、北欧ジャズでは無いが、しっかりと欧州ジャズの伝統的な音を踏襲したメインストリーム系の正統なジャズ・ピアノを弾き回す。

ただし、ラン・ドーキーはこの録音時は59歳。ラン・ドーキーのピアノは円熟を加えて、若い日の音符を敷き詰めた速い弾き回しオンリーの「疾走する欧州ピアノ」だけでは無い、余裕ある耽美的でリリカルな弾き回しも兼ね備えて、緩急硬軟を身につけた「新しい北欧ジャズ・ピアノ」に成熟している、と感じる。

このライヴ盤でのラン・ドーキーの成熟を聴いて、ラン・ドーキーというジャズ・ピアニストの存在を再認識した。しばらく聴いて無かったなあ、と思わず反省、である。来年早々には、ラン・ドーキーのリーダー作をしっかりと聴いてみたい。ジャズ・ピアノの世界はまだまだ裾野が広い。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年9ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年12月 1日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・269

Niels Lan Doky(ニルス・ラン・ドーキー、以降「ラン・ドーキー」と略)は、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。ラン・ドーキーは北欧ジャズの範疇に入るのだが、彼のピアノは、北欧ジャズのピアノの雰囲気とはちょっと異なる。

北欧ジャズのピアノは、押し並べて「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」。ファンクネスは皆無、間とフレーズの広がりを活かした透明度の高い音の展開がメイン。しかし、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感が特徴の展開。と言って米国ジャズのピアノでは全く無い。音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。当然、ファンクネスは皆無。オフビートは軽め。クラシック風の端正なタッチが、やはり「欧州的」。何故か、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを「欧州的」にした様な響きがユニーク。

Niels Lan Doky『The Target』(写真左)。1986年11月17, 18日の録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Jack De Johnette (ds)。録音当時、23歳の若き精鋭、ニルス・ラン・ドーキーの2枚目のリーダー・アルバム。ピアノ・トリオ編成。ラン・ドーキーのピアノの個性が良く判る。
 

Niels-lan-dokythe-target

 
どういう経緯でそうなったかは判らないが、ベースに北欧出身のアコベの名手中の名手ペデルセン、ドラムにポリリズミックなドラムの名手デジョネットがバックのリズム隊を担当している。

このリズム隊、全く申し分無いどころか、若き精鋭にとっては最高のリズム隊に恵まれている。特に、ペデルセンの、唄うが如く、ソリッドで力感溢れるベースラインは素晴らしい。デジョネットの緩急自在、硬軟自在、変幻自在なドラミングも見事。

ラン・ドーキーは、彼独特の「音符を敷き詰めた速い弾き回し。エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感。ファンクネスは皆無、オフビートは軽め、欧州ジャズ的なクラシック風の端正なタッチ」が溢れんばかりに表現されている。

北欧出身でありながら、北欧ジャズ・ピアノらしからぬ「欧州的なピアノ」。音符を敷き詰めた速い弾き回しではあるが、決して「シーツ・オブ・サウンド」の焼き直しでは無い、ラン・ドーキー独特の「高速な弾き回し」。クラシックに端を発したか如く、端正で正確なタッチがいかにも「欧州ジャズ」らしい。若き日のラン・ドーキーのピアノ・トリオ盤。今の耳で聴き直して、なかなかの充実した内容だと感じます。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年11月14日 (火曜日)

ラックナーの『Last Decade』

朝の冷え込みがずっと続いている。今日は朝から日差しがあったので、気温はそこそこ上がったが、日差しの無い曇天だと気温が上がらない。一週間ほど前まで、半袖で過ごしていたのになあ。これだけいきなり気温が下がると、体がついていかない。外へ出て、散歩するのもちょっと控えている今日この頃。

こういう気候の時は家にいて、少し暖房をつけた暖かい部屋でジャズを聴くのが良い。部屋の中で熱いコーヒーをすすりながらジャズを聴く。それも静的で耽美的でリリカルなニュー・ジャズだ。それに限る。静的で耽美的でリリカルなニュー・ジャズとくれば「ECMレーベル」のジャズ盤だろう(なんかこればっかりやなあ・笑)。

Benjamin Lackner『Last Decade』(写真左)。2021年9月6〜8日、フランスでの録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Benjamin Lackner (p), Mathias Eick (tp, voice), Jerome Regard (b), Manu Katche (ds)。師匠のブラッド・メルドーも称賛する、作曲とピアノの両方でその才能を発揮しているベンジャミン・ラックナーのリーダー作。

ラックナーのピアノは透明度が高く耽美的でリリカル。エコーが効いた、漂うが如く流れるが如く、秋の黄昏時の穏やかに輝く黄金色の光の様な、ブリリアントで温かみのある音色。決して、弾きまくらない、印象的にフレーズをゆったりと流していく。いかにもECMレーベルらしいピアノの音。
 

Benjamin-lacknerlast-decade

 
そんなラックナーのピアノをバックに、ロマンティシズム溢れる、耽美的でリリカルでブリリアントなマティアス・アイクのトランペットが大活躍。バリエーション豊かで説得力のあるアイクのトランペットはこの盤での「聴きもの」のひとつ。ノルウェー出身のアイクの耽美的でリリカルなトランペットの音色も、いかにもECMレーベルらしい音。

マヌ・カッチェのドラムが変幻自在、硬軟自在、緩急自在。演奏の場面場面で、そこの相応しいリズム&ビートを叩き出す。決して全面には出てこない。それでも、この耽美的でリリカルで、クールな躍動感のあるドラミングは見事。ラックナーのピアノとアイクのトランペットに効果的に絡み、効果的に鼓舞する。

そして、ジェローム・ルガールのベースが、オーソドックスではあるが、堅実で魅了的な、しなり豊かで硬質なベースラインが、的確にリズム&ビートを刻む。ルガールのベースラインがあってこそ、ラックナーもアイクも安心して、モーダルなアドリブ・フレーズを、ゆったりとしたスピリチュアルなフレーズを弾き込み、吹き込むことが出来る。

ドイツ系アメリカ人のラックナーが奏でる、いかにも欧州ジャズらしい、いかにもECMレーベルらしい音世界。従来の欧州ジャズのピアノの音には無かった「ブリリアントで温かみのある」音色が耳に新しく響く。この盤にも、ボーダーレスな欧州ジャズを具現化する「現代のECMレーベルの音」が溢れている。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年8ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年11月10日 (金曜日)

ドミニク・ミラー『Vagabond』

晩秋の雨の一日。午前中からそぼそぼ降り始めて、夕方からは、まとまって降る雨。こういう日は家でじっとしているに限る。外は北風に変わって気温は下がるが、室内はまだ保温が良いのか、23℃と過ごしやすい。窓の外は雨に煙る、晩秋の雨の日の風景。こういう日に聴くジャズは「ECM」が良い。

そぼ降る雨。鉛色の空。こういう天候の日は欧州系のジャズが良い。秋の黄昏時の穏やかに輝く黄金色の光の様な、ブリリアントでリリカルで叙情的な音。どこか翳りがあって、マイナー調のジャジーな響き。水墨画の如く濃淡のある静的な音の広がり。こういう欧州系のジャズについては、欧州ジャズの老舗レーベル「ECM」に求めるのが一番。

Dominic Miller『Vagabond』(写真左)。2021年4月の録音。ECMの2704番。ちなみにパーソネルは、Dominic Miller (g), Jakob Karlzon (p, key), Nicolas Fiszman (b), Ziv Ravitz (ds)。 ドミニク・ミラーのギター一本がフロントのカルテット編成。ドミニク・ミラーにとって、ECMレーベルでの3作目になる。

ドミニク・ミラーはアルゼンチン、ブエノスアイレス出身。1960年3月生まれなので、今年で63歳。この『Vagabond』録音時は61歳。ベテランの域に達した、プログレッシヴなギターが身上のギタリスト。ミラーは15歳の頃にロンドンに移り住んでいる。

ミラーはロック・ギタリストでもある。フィル・コリンズ『バッド・シリアスリー』やジュリア・フォーダム『微笑みにふれて』などに参加。特に有名になったきっかけは、1991年、スティングのアルバム『ソール・ケージ』への参加。その後、現在まで、ミラーはスティングのツアー、レコーディングに不可欠なギタリストであり続けている。
 

Dominic-millervagabond  
 

しかし、このECMレーベルで、ニュー・ジャズなリーダー作もリリースしている。いわゆる「二刀流」である。ただ、ロンドン在住経験のある、いわゆるブリティッシュ・ロックの体現者なので、元々、英国ではジャズとロックの境目が不明瞭。ロック畑のミュージシャンがジャズを違和感なくやったり、ジャズ畑のミュージシャンがロックを平気でやったりする。恐らく、ミラーもそんな「ギタリストの一人」なんだろう。

冒頭、印象的な掛け合いから始まる「All Change」が、この盤の音世界を決定づける。音の雰囲気は、秋の黄昏時の穏やかに輝く黄金色の光の様な寂寞感。これはもう、ECMレーベルお得意のリリカルで叙情的な「ニュー・ジャズ」の世界。欧州ジャズを決定づける哀愁感。

そこにミラーの「くすんだ音色の哀愁感溢れる」印象的なギターがスッと入ってくる。そして、要所要所で、寄り添うようなヤコブ・カールソンのピアノとのインタープレイが繰り広げられる。ホットではない、クールで静的な熱気を孕んだ印象的な音の絡み。

今回は、スウェーデンのピアニスト、ヤコブ・カールソンとイスラエルのドラマー、ジヴ・ラヴィッツが参加。ベーシストは前回参加のベルギーのニコラ・フィズマンが継続。このリズム・セクションが唯一無二。

北欧、イスラエル、そして、欧州ど真ん中のリズム&ビートが効果的に融合した様な、欧州ジャズ風の「多国籍」リズム・セクションが独特な雰囲気を醸し出す。この「多国籍」リズム・セクションが、このミラーのリーダー作独特の音世界の個性を、さらに濃厚なものにしている。

全曲合わせてのアルバム全体の所要時間は32分程度と短いが、それぞれの楽曲の内容が濃いので、その短さは気にならない。従来のECMの音と比べると、やや仄かに明るく、躍動感に溢れている。そんな現代のECMの音が実に印象的。エレクトリックもアコースティックもどちらのギターも優れたパフォーマンスを提供する。現代のECMのギター好盤の一枚だろう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年11月 4日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・267

イタリアン・ジャズの至宝であり重鎮であるピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(以下、エンリコと略)。1949年12月生まれだから、今年で74歳になる。大ベテランの域であり、今までの実績から「生けるレジェンド」的存在。ビル・エヴァンスのバップでリリカルで耽美的なピアノを欧州仕様にした様な、正統派かつ硬派なモダン・ジャズ・ピアニストである。

Enrico Pieranunzi Latin Jazz Quintet『Live At Birdland』(写真左)。2008年11月1日、NYのバードランドでの録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Diego Urcola (tp), Yosvany Terry (as, ss, per), John Patitucci (b, elb), Antonio Sanchez (ds)。録音当時、2008年のエンリコ・ピエラヌンツィのニュー・プロジェクトのライヴ録音。

エンリコがラテン・ジャズに寄り道したかの様なバンド名。しかも、バードランドでのライヴ・パフォーマンスの記録。おおよそ、こってこてなラテン・ジャズが展開される、いわゆる「楽しくコマーシャルで娯楽志向」なライヴ盤だと思って、あまり聴く気が起きなかった。

が、リズム隊を見ると、硬派で正統派な現代の純ジャズ志向のベーシストのジョン・パティトゥッチ。そして、これまた、硬派で正統派な現代の純ジャズ志向のドラマーのアントニオ・サンチェスが名を連ねている。これは意外と、現代の硬派でメインストリーム志向の純ジャズではなかろうか、と思わす拝聴である。

冒頭「Talk Introduction」から「Danza 2」「Choro Del Infinito Hombre」と続く演奏を聴いて、まず「これのどこがラテン・ジャズ」なんや、と首をかしげる。というか、「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」が展開されるのだ。
 

Enrico-pieranunzi-latin-jazz-quintetlive

 
ラテンの雰囲気は、ところどころのキーの進行に見え隠れするが、全く「ラテン・ジャズ」色は前に出てこない。ネオ・ハードバップ〜ネオ・モードなアコースティック・ジャズが展開される。

特に前半は、トランペットのディエゴ・ウルコラ(アルゼンチン出身)と、サックスのヨスヴァニー・テリー(キューバ出身)のパフォーマンスが見事。この二人のフロント2管の大活躍で、前半はエンリコのピアノはあまり目立たない。

ありゃ〜?、と思って聴き進めると、明確にラテン・フレイバーの演奏が出てきたりし出して、エンリコのピアノがグイグイ前面に出てくる様になる。明らかにラテンなフレーズが出てきても「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」な雰囲気は変わらない。ネオ・ハードバップ〜ネオ・モードな展開の中で、乾いた「ラテンなフレーズ」が見え隠れする。

不思議な雰囲気のライヴ盤。ラテン・ジャズ基調でありながら、俗っぽくて判り易い、こってこてなラテン・フレーヴァーは皆無。演奏全体の雰囲気は「非常に正統派で硬派、ストイックで真摯な欧州の純ジャズ」。そんな雰囲気の中で、ストイックなラテン・フレーズが展開される。欧州ジャズが考えるラテン・ジャズ、とでも形容したら良いだろうか。

バンド名に惑わされてはいけない。「ラテン」が付いているからといって、いわゆる「楽しくコマーシャルで娯楽志向」の、こってこてなラテン・ジャズが展開される訳ではない。そんな要素は皆無。現代のネオ・ハードバップ〜ネオ・モードなアコースティック・ジャズの好盤として聴かれるのが良いだろう。充実した内容の好盤である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年10月24日 (火曜日)

ゴーゴー・ペンギンの進化の途中

「踊れるジャズ」として、従来のピアノ・トリオの特徴であった「三者三様の自由度のあるインタープレイ」は排除。クラシック的な印象的なピアノにアグレッシブなベースとドラム。

演奏の中に感じ取れる「音的要素」は、クラシック、エレクトロニカ、ロック、ジャズと幅広。マイルスの開拓した「エレ・ジャズ」に、エレクトロニカを融合し、ファンクネスを引いた様な音。疾走感、爽快感は抜群。聴いていて「スカッ」とする。

英国マンチェスター出身のアコースティック・エレクトロニカ・トリオである「GoGo Penguin(ゴーゴー・ペンギン)」の音世界。オリジナル・メンバーは、ピアノのクリス・アイリングワースとドラムスのロブ・ターナー。2013年初旬にベーシスト、ニック・ブラッカが加わる。そして、ドラムがジョン・スコットに交代。所属レーベルも移籍し、心機一転、久々にフル・アルバムをリリースした。

GoGo Penguin『Everything Is Going To Be Ok』(写真左)。2022年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Chris Illingworth (p), Nick Blackas (b) Jon Scott (ds)。アコースティック・ピアノにベース、ドラムの伝統的なピアノ・トリオ編成と思いきや、音の志向としては「エレクトリック・ジャズ」。英国出身のバンドゆえ、音の響きは「欧州的」。
 

Gogo-penguineverything-is-going-to-be-ok

 
いかにも欧州的な、いかにも英国的な、洗練されたエレ・ジャズである。欧州的な響きとしては、どこか北欧ジャズの響きを宿していて、クラシック的な響きのする、印象的にエコーのかかったアコピとシンセ。ファンクネスは皆無。軽くエコーのかかった粘りのあるビート。どこか黄昏時の黄金色の輝きを見るような寂寞感漂うフレーズ。ゴーゴー・ペンギンの音はどこまでも「欧州的」であり「英国的」。

これまでのゴーゴー・ペンギンのアルバムよりも、ジャケットのイメージ通り、スカッと抜けた爽快感がより強くなり、音の質感がどこか「明るく抜けている」質感がメインになっている。温かみと明るさが増して、躍動感と疾走感が全面に押し出されている。

初期の頃のゴーゴー・ペンギンの音世界は着実に、ポジティヴな方向に変化している。そして、テクニック最優先の演奏構成から、バンド全体のグルーヴとビートを重視する演奏構成に変化しており、その分、シンプル感がアルバム全体を覆う。

スインギーな純ジャズ・トリオとは全く異なる、現代の「ダンス・ミュージック」的な、新しいイメージの「ピアノ・トリオ」。しんせを追加して正解。シンセのようなディストーションのかかったニックのベースと相まって、エレ・ジャズ感は増幅している。そこに「人力」の切れ味の良い、ウォームなビートを供給するスコットのドラムが絡む。

他のピアノ・トリオには無い響き。フュージョンでもなく、スムースでも無い。少なくとも、現代の踊れるエレ・ジャズ。この盤は、そんな「現代の踊れるエレ・ジャズ」の進化の途中を捉えた、ドキュメンタリーの様なアルバムである。次作がとても楽しみだ。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年10月 9日 (月曜日)

エンリコのローマでのライヴ盤

ここ2〜3年ほどだろうか、イタリアン・ジャズの至宝ピアニスト、エンリコ・ピエラヌンツィ(以降、エンリコと略)のリーダー作を数多く目にする。新盤もあるし、以前のお蔵入り音源のリリースもあるし、以前リリースされたアルバムのリイシューもある。とにかく、エンリコの人気は尋常ではない。欧州ジャズにおけるピアニストの第一人者であることは事実だし、とても欧州のモダン・ジャズらしい響きは、確かにジャズ者万人向けのピアニストではある。

Enrico Pieranunzi, Joey Baron & Marc Johnson『Current Conditions - Live in Rome at Radiotre』(写真左)。2001年11月、ローマでのライヴ演奏。マーク・ジョンソンのベース、ジョーイ・バロンのドラム、という「プレイ・モリコーネ・シリーズ」のトリオによるライヴ演奏。2007年にリリースされている。今回、僕はこのライヴ盤は初めて聴いた。

「プレイ・モリコーネ・シリーズ」のトリオとは言っても、こライヴ盤では、モリコーネの楽曲は全く無い。トリオのメンバーそれぞれのオリジナル曲を持ち寄っての、21世紀の、欧州ジャズの「ネオ・ハードバップ」もしくは「ネオ・モード」な演奏がてんこ盛り。特に、マーク・ジョンソンのベース、ジョーイ・バロンのドラムという、現代における、最高レベルのベテラン・リズム隊に恵まれて、エンリコは自由奔放、変幻自在、硬軟自在に、モーダルなフレーズを弾きまくっている。
 

Enrico-pieranunzi-joey-baron-marc-johnso

 
このライヴ盤の魅力は、エンリコの欧州ジャズ的な、耽美的でリリカルでバップなピアノなんだが、その魅力をさらに押し上げているのが、マーク・ジョンソンのベース、ジョーイ・バロンのドラムの存在。このリズム隊の存在がエンリコのピアノの魅力を明らかに増幅している。このリズム隊、相当、強力にエンリコをバッキングし鼓舞しているのが、ありありと伝わってくる。

マーク・ジョンソンは、ビル・エヴァンスの最後のトリオのベース担当であったくらいで、エンリコの耽美的でリリカルでバップなピアノをよく理解し、よくサポートする様が実に頼もしい。そして、ジョーイ・バロンのドラムは、ピアノとベースのインタープレイの「底」をしっかり支え、自らもインタープレイの中に参加する。実は、ジョーイ・バロンのドラミングについては、こんなに素敵に、ネオ・ハードバップな、自由度と柔軟度の高いドラミングをするドラマーとは思わなかった。

音楽のサブスク・サイトを徘徊していて偶然見つけたライヴ盤であったが、これは「当たり」。ジャケはあまりに単純で、最初は、とるに足らない「イージーリスニング・ジャズ」と思って流したが、ジャケをよくよく見ると、エンリコ、ジョンソン、バロンの名前が見えるではないか。戻って、ストリームできいてみて、あらビックリである(笑)。しかし、エンリコのリーダー作にはハズレが無いなあ。感心することしきり、である。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

2023年10月 5日 (木曜日)

典型的な欧州ジャズ・テイスト

Enrico Pieranunzi(エンリコ・ピエラヌンツィ、以降「エンリコ」と略)。1949年生まれのイタリアのジャズ・ピアニスト。今年74歳。イタリアン・ジャズの至宝。現在の欧州ジャズ・シーンにおける、モダンでコンテンポラリーなエバンス派の代表格。耽美的にテクニカルに良く鳴る右手と、絶妙な間を持って右手の旋律を支える左手のブロックコードが繰り出すが個性。

1975年の初リーダー作以来、クラシック音楽の響きとマナーを踏襲した、典型的な欧州ジャズ・テイストのピアノが特徴。テクニックは優秀、耽美的なフレーズから、バップなフレーズまで、その表現力は幅広く、奥が深い。

ここ2〜3年ほどだろうか、エンリコのリーダー作を数多く目にする。もともと多作のエンリコだが、特に最近は目立つ。こんなにリーダー作がリリースされるというのは、それだけ需要があるということなのだろう。確かに、エンリコのピアノ、今では欧州ジャズ・ピアノの重鎮的位置づけだし、欧州ジャズ・ピアノのジャンルを代表する、レジェンド級のピアニストである。

Enrico Pieranunzi & Jasper Somsen『Voyage in Time』(写真左)。2022年、オランダChallengeレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Jasper Somsen (b)。最近のトリオ作で、抜群の相性の良さを聴かせてくれていた、ピアノのエンリコ・ピエラヌンツィと、ベースのイェスパー・サムセンのデュオ盤である。
 

Enrico-pieranunzi-jasper-somsenvoyage-in

 
耽美的でリリカル、タッチは明確で弾き回しは流麗、そんな欧州ジャズならでは響きとフレーズが芳しいエンリコのピアノ。確かな技巧とピッチ、硬質でソリッドな弦の響き、歌心豊かなアドリブ・フレーズが芳しいサムセンのベース。この二人のデュオ演奏、インタープレイの展開は素晴らしいの一言。響きとフレーズは、明確に「欧州ジャズ」。

タイトルを見れば、「パヴァーヌ」「メヌエット」「サラバンド」など古典クラシック音楽を連想させる。それもそのはず。収録された楽曲は、バロック時代の典型的な舞踊組曲にインスパイアされた楽曲とのこと。

そのフレーズ、その音の重なり、そのフレーズの個性、確かに、バロック音楽であり、そんなバロック音楽のエッセンスを、モダン・ジャズに取り込んだ、いかにも「欧州ジャズ」らしい音世界が実に印象的。

この「バロック音楽のエッセンスを取り込んだジャズ」の中で、確かな技巧とピッチ、硬質でソリッドな弦の響き、歌心豊かなアドリブ・フレーズが芳しいサムセンのベースが重要な役割を担っている。サムセンの正確なベースラインが、バロック・ライクなフレーズを弾き進めていく。これが実に良い。そこに、エンリコの耽美的でリリカル、タッチが明確で技巧確かなピアノが寄り添う。

欧州ジャズって良いなあ、と改めて感じさせてくれる、素晴らしいデュオ演奏。イタリアのピアニストとオランダのベーシストが邂逅したデュオ演奏は、欧州ジャズを色濃く感じさせてくれる。近年のピアノ&ベースのデュオ演奏の傑作の1枚だろう。
 
 

《ヴァーチャル音楽喫茶『松和』別館 の更新状況》 更新しました!

 ★ AORの風に吹かれて 

  ・『AirPlay』(ロマンチック) 1980

 ★ まだまだロックキッズ    【New】 2022.12.06 更新

    ・本館から、プログレのハイテク集団「イエス」関連の記事を全て移行。

 ★ 松和の「青春のかけら達」

  ・四人囃子の『Golden Picnics
 

Matsuwa_billboard

★ コメント&TBは、全て「松和のマスター」が読んでから公開される仕組みです。表示されるまで少し時間がかかります(本業との兼ね合いで半日〜1日かかる時もあります・・・ごめんなさい)。公開されたくないご意見、ご感想はその旨を添えて送信してください。

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。

東日本大震災から12年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4 
 

より以前の記事一覧

その他のカテゴリー

AOR Bethlehemレーベル Blue Note 85100 シリーズ Blue Note LTシリーズ Blue Noteレーベル Candidレーベル CTIレーベル ECMレーベル Electric Birdレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pabloレーベル Pops Prestigeレーベル R&B Riversideレーベル rock Savoyレーベル Smoke Sessions Records SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio TRIX Venusレコード Yellow Magic Orchestra 「松和・別館」の更新 こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アイク・ケベック アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アラン・ホールズワース アル・ディ・メオラ アントニオ・サンチェス アンドリュー・ヒル アート・アンサンブル・オブ・シカゴ アート・ファーマー アート・ブレイキー アート・ペッパー アーネット・コブ アーマッド・ジャマル アール・クルー アール・ハインズ アーロン・パークス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ イリアーヌ・イリアス インパルス!レコード ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウォルフガング・ムースピール ウディ・ショウ ウラ名盤 エスビョルン・スヴェンソン エディ・ハリス エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルヴィン・ジョーンズ エンリコ・ピエラヌンツィ エンリコ・ラヴァ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カート・ローゼンウィンケル カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディ・ダルファー キング・クリムゾン キース・ジャレット ギラッド・ヘクセルマン ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスチャン・マクブライド クリスマスにピッタリの盤 クリス・ポッター クリフォード・ブラウン クルセイダーズ クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ケイコ・リー ケニーG ケニー・ギャレット ケニー・ドリュー ケニー・ドーハム ケニー・バレル ケニー・バロン ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ ゴンサロ・ルバルカバ ゴーゴー・ペンギン サイケデリック・ジャズ サイラス・チェスナット サザンロック サド・ジョーンズ サム・ヤヘル サム・リヴァース サンタナ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 シェリー・マン シダー・ウォルトン シャイ・マエストロ ジェフ・テイン・ワッツ ジェフ・ベック ジェラルド・クレイトン ジミ・ヘンドリックス ジミー・スミス ジム・ホール ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルトサックス ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナーサックス ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ベース ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジャック・デジョネット ジャン=リュック・ポンティ ジュニア・マンス ジュリアン・レイジ ジョシュア・レッドマン ジョナサン・ブレイク ジョニ・ミッチェル ジョニー・グリフィン ジョン・アバークロンビー ジョン・コルトレーン ジョン・コルトレーン on Atlantic ジョン・コルトレーン on Prestige ジョン・スコフィールド ジョン・テイラー ジョン・マクラフリン ジョン・ルイス ジョン・レノン ジョーイ・デフランセスコ ジョージ・ケイブルス ジョージ・デューク ジョージ・ハリソン ジョージ・ベンソン ジョー・サンプル ジョー・パス ジョー・ヘンダーソン スタッフ スタンリー・タレンタイン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーヴ・カーン スティーヴ・ガッド スティーヴ・キューン ステップス・アヘッド スナーキー・パピー スパイロ・ジャイラ スピリチュアル・ジャズ スムース・ジャズ スリー・サウンズ ズート・シムス セシル・テイラー セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タル・ファーロウ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チェット・ベイカー チック・コリア チック・コリア(再) チャーリー・パーカー チャールズ・ミンガス チャールズ・ロイド チューリップ テテ・モントリュー ディジー・ガレスピー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デイヴィッド・ベノワ デオダート デクスター・ゴードン デニー・ザイトリン デュオ盤 デューク・エリントン デューク・ジョーダン デューク・ピアソン デヴィッド・ボウイ デヴィッド・マシューズ デヴィッド・マレイ トニー・ウィリアムス トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 トリオ・レコード ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ナット・アダレイ ニルス・ラン・ドーキー ネイティブ・サン ネオ・ハードバップ ハロルド・メイバーン ハンク・ジョーンズ ハンク・モブレー ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック ハーブ・アルパート ハーブ・エリス バディ・リッチ バド・パウエル バリトン・サックス バリー・ハリス バーニー・ケッセル バーバラ・ディナーリン パット・マルティーノ パット・メセニー ヒューバート・ロウズ ビッグバンド・ジャズは楽し ビッグ・ジョン・パットン ビリー・コブハム ビリー・チャイルズ ビリー・テイラー ビル・エヴァンス ビル・チャーラップ ビル・フリゼール ビル・ブルーフォード ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファラオ・サンダース ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フォープレイ フュージョン・ジャズの優秀盤 フランク・ウエス フリー フリー・ジャズ フレディ・ローチ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブライアン・ブレイド ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルー・ミッチェル ブレッカー・ブラザース プログレッシブ・ロックの名盤 ベイビー・フェイス・ウィレット ベニー・グリーン (p) ベニー・グリーン (tb) ベニー・ゴルソン ペッパー・アダムス ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ティモンズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・デスモンド ポール・ブレイ ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス( ボックス盤) マイルス(その他) マイルス(アコ)改訂版 マイルス(アコ)旧版 マイルス(エレ)改訂版 マイルス(エレ)旧版 マックス・ローチ マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・5 マンハッタン・ジャズ・オケ マンハッタン・トランスファー マーカス・ミラー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モンティ・アレキサンダー モード・ジャズ ヤン・ガルバレク ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ユッコ・ミラー ラテン・ジャズ ラリー・カールトン ラリー・コリエル ラルフ・タウナー ラーズ・ヤンソン リッチー・バイラーク リトル・フィート リンダ・ロンシュタット リー・コニッツ リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロイ・ハーグローヴ ロック ロッド・スチュワート ロン・カーター ローランド・カーク ローランド・ハナ ワン・フォー・オール ヴィジェイ・アイヤー ヴィンセント・ハーリング 上原ひろみ 僕なりの超名盤研究 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 和フュージョンの優秀盤 四人囃子 国府弘子 増尾好秋 夜の静寂にクールなジャズ 大江千里 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 小粋なジャズ 尾崎亜美 山下洋輔 山下達郎 山中千尋 敏子=タバキンBB 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 日野皓正 書籍・雑誌 本多俊之 桑原あい 欧州ジャズ 歌謡ロック 深町純 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 英国ジャズ 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー