2022年6月23日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・240

欧州ジャズは奥が深い。まず、歴史が古い。1950年代からジャズは欧州各地で演奏されている。そして、国毎に「ジャズの質と個性」が異なる。国毎にジャズの浸透度合いに濃淡があり、国毎にジャズのスタイルの好みが異なる。

しかも、ネットの時代になるまで、欧州ジャズの詳細な情報がなかなか日本に来なかった。21世紀に入った頃から、欧州ジャズの情報もリアルタイムで入手出来る様になって、欧州ジャズの奥深さを十分に楽しめる様になった。

Eddy Louiss『Recit Proche』(写真左)。2000年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Eddy Louiss (org), Jean-Marie Ecay (g), Xavier Cobo (ts, fi), Daniel Huck (as), Julio Rakotonanahary (b), Paco Séry (ds)。ギター、テナー・サックス、アルト・サックスがフロント、オルガン・トリオがバックに控えるセクステット編成。

Eddy Louiss(エディ・ルイス)は、フランスのオルガン奏者。僕は、ペトルチアーニとのデュオ盤で、エディ・ルイスの存在を知った。今を去ること20年ほど前のことになる。テクニック優秀、オルガンの奏法としては、プログレッシブなオルガニストである。オーソドックスな奏法からアブストラクトな奏法まで、幅広くオールマイティーに弾きまくる、実に優れたオルガン奏者である。
 

Eddy-louissrecit-proche

 
ルイスのオルガンは唯一無二。従来のジャズ・オルガンのスタイルや個性を全く踏襲していない。といって、欧州風の教会音楽の中のオルガンの様な重厚さも無い。とてもポップで明るい音色が特徴で、そんな個性的な音色で、オーソドックスなフレーズから、アブストラクトなフレーズまでを弾き分ける。どこの国のジャズ・オルガンにも無い、独特の個性的なオルガンである。

7曲目の超スタンダード曲「Summertime」を聴けば、ルイスのオルガンの個性が良く判る。ファンクネスは皆無。レスリー・スピーカーなどでジャジーさを増幅することも無く、エッジの丸い暖かい音色で、マイナーでジャジーな「Summertime」の有名なフレーズを弾き進めていく。それでも、フレーズにはジャズっぽい翳りが感じられ、ポップでイージーリスニングな音には陥らない。

フレーズの弾き回しが、独特の捻れ方をしてるようで、どこか、プログレッシヴ・ロックのオルガンを聴く様な「攻撃性」をそこはかとなく感じる。飄々とちょっと捻れたフレーズを弾き進めている風でもあり、弾き回し全体の雰囲気は軽快ですらある。

面白いジャズ・オルガン。演奏全体の雰囲気は、決してカッチリとまとまっていない、ちょっとラフなアンサンブルといった調子で、この辺はフランスのジャズらしい雰囲気。どこか郷愁を感じる切なさが底に流れるところも、実にフランスのジャズらしい。ジャズ・オルガンの好盤だと思います。
 
 

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2022年6月17日 (金曜日)

梅雨空に欧州的ジャズ・ファンク

今年の南関東の6月は天気がかなり悪い。とにかく晴れない。青空を見ることが無い。昨日、今日などは、天気予報は「晴れる」なんて言っておきながら、昨日など終日、今日は午前中、全く陽射しが差すことが無い。とにかく晴れない。どんより梅雨空か雨である。鬱陶しい。せめて、聴くジャズだけでも爽快感豊かな、ちょっとインパクトを感じるジャズが聴きたい。

Gianni Brezzo『Tutto Passa』(写真)。2022年5月、ベルリンのJakarta Recordsからのリリース。マルチ・インスト奏者&プロデユーサー Marvin Horsch によるスタジオ・プロジェクト「Gianni Brezzo」のニューアルバム。

ちなみにパーソネルは、Jan Philipp (ds), Bridget Jackson (harp), Reinaldo Ocando (perc), Simon Below (key), Conni Trieder (fl), Johanna Klein (sax), Ferdinand Schwarz (tp), Lukas Wilmsmeyer (b)。ここにストリングスが加わる。

現代のエレ・ジャズ。基本は「エレ・ファンク」。ヨーロピアンで、アーティステックでプログレッシヴな「エレ・ファンク」。ネットでのアルバム紹介を紐解くと「今作 "Tutto Passa “ は、Marvin Horschが2021年、家族と共に南イタリアに滞在した時の体験、印象を音楽作品として反映したもの」とのこと。
 

Gianni-brezzotutto-passa

 
耽美的で静的なヨーロピアン・ジャズ・ファンクと言った感じの「エレ・ジャズ」で、牧歌的でフォーキー、内省的でソウルフル、耽美的でスピリチュアル、どこかユーロピートの様な響きもあり、ストリングスの加わったジャズ・ファンクな趣きは欧州ならではの音世界。打ち込みと人間によるドラミングとを融合させた様な切れ味良く、メリハリの効いたリズム&ビートがこの盤の演奏の「要」。

この盤のユーロなジャズ・ファンク、じっくり聴けば聴くほど、エレ・マイルスを思い出す。マイルスの晩年作、マーカス・ミラーとのコラボ作『Siesta』と同等の音世界をふと感じたりする。ユッタリとしたファンク・ビート、耽美的で静的な旋律楽器の響き。南イタリアの昼下がり、シエスタの時間を彷彿とさせる、どこか寂寞感を感じるエレクトリックでスピリチュアルな展開。

昨日、今日の午前の様な、どんより曇りな梅雨空の日に聴くと、その爽快感と寂寞感が心に響いて、梅雨空で苛立った心が、何だか落ち着くのを感じる。

実はこの「Gianni Brezzo」のニューアルバム、聴く切っ掛けは「ジャケ買い」。ジャケ写が「シチリアっぽい」。これは良いかも、と思って聴いたら、耽美的で静的なヨーロピアン・ジャズ・ファンク。エレ・ジャズ好きの僕にとってはこれは「アリ」。良いエレ・ジャズ盤に出会いました。
 
 

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2022年6月 9日 (木曜日)

北欧のピアノ・トリオの「今」

「ECM(Edition of Contemporary Music)」。創立者はマンフレート・アイヒャー。演奏家としての素養と録音技術の経験を基に、自らが選んだ「今日的」な音楽を記録し、世に問うべく、自らのレーベルを1969年に立ち上げる。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考える欧州ジャズ」。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。

21世紀に入っても、ECMレーベルの活動は衰えることは無い。北欧系、東欧系、イスラエル系の有望なジャズマンを積極的に発掘し、ECMらしいニュー・ジャズをリリースし続けている。マンフレート・アイヒャーは今年で79歳。ECMの総帥プロデューサーとしてまだまだ盛んである。

Tord Gustavsen Trio『Opening』(写真左)。2021年10月、スイスにての録音。ちなみにパーソネルは、Tord Gustavsen (p, electronics), Steinar Raknes (b, electronics), Jarle Vespestad (ds)。リーダーのピアニスト、トルド・グスタフセンは、ノルウェー出身のジャズ・ピアニスト。ECMからのトリオ作品としては5作目になる。
 

Tord-gustavsen-trioopening

 
墨絵の様な、漂うが如き、芯の入った音の広がり。ゆったりとした展開のインタープレイ。そこに、ECMレーベル独特の「限りなく静謐で豊かなエコー」がかかる。静謐かつ深遠にて耽美的な、そして、どこか一筋の光が差し込んで来る様な音世界。マイナーな和音の重ね方が「北欧ジャズ風」。北欧ジャズ独特の「不思議な開放感」が心地良く耳に響く。

グスタフセンの内省的で耽美的なピアノが映える。広がりと間に重きを置いた、ゆったりとした弾きっぷりだが、しっかりとしたタッチで音を重ねる。ノルウェーの実力派ベーシスト、スタイナー・ラクネスが、変幻自在なベースで、演奏のベースラインを際立たせる。同じくノルウェー出身のヤール・ヴェスペスタの繊細なスティック捌きと硬軟自在なブラシワークが演奏全体のリズム&ビートをしっかりと支える。

叙情的でリリカルな旋律が淀みなく淡々と流れて行く、スイング・ジャズの対極にある演奏。時に出てくるマイナー調のゴスペルっぽい響きは北欧ジャズ独特の響き。この盤は、現代の北欧ジャズの「今」を、ECMレーベルのピアノ・トリオの「今」をじっくりと聴かせてくれる。
 
 

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2022年6月 4日 (土曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・98

最近、リッチー・バイラークのリーダー作をいろいろ聴き直していて、この盤をかけた時、このバイラークの初リーダー作であり、代表作の一枚について、当ブログで取り上げていないのに気がついた。いやはや驚いた。

Richard Beirach『Eon』(写真)。1974年11月の録音。ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Richard Beirach (p), Frank Tusa (b), Jeff Williams (ds)。耽美的でリリカルで多弁なピアニスト、リッチー・バイラークの初リーダー作。

リッチー・バイラークはNY生まれ。当初、クラシック音楽とジャズの両方を学び始め、バークリー音楽大学に入学。1年後、彼はバークリーを離れ、マンハッタン音楽学校に移り、彼はマンハッタン音楽学校を音楽理論と作曲の修士号を取得して卒業した才人。確かに、バイラークのアレンジは「理詰め」の雰囲気が強い。

初リーダー作の冒頭に「Nardis」を収録したのが誤解のもと。「Nardis」は、耽美的でリリカルなバップ・ピアニストとされるビル・エヴァンスの十八番曲。我が国では、ビル・エヴァンスは「耽美的でリリカルな」ピアニストと誤解されることが多い。余りに短絡過ぎる評価だと思うが、その偉大なピアニストが十八番曲とした「Nardis」を弾くので、バイラークは今でも「耽美的でリリカルな」ピアニストと分類されることが多い。

が、この初リーダー作を隅々までしっかり聴き通すと、バイラークは単なる「耽美的でリリカルな」ピアニストに留まらず、とにかく「多弁」なピアニストであることが判る。この「多弁」がバイラークのピアノの最大の個性。
 

Richard-beiracheon

 
「耽美的でリリカルな」ピアニストの特徴として、「間」と「音の広がり」を活かしたインプロビゼーションが挙げられるが、バイラークはその反対。音符を敷き詰めた様に「多弁」なフレーズを弾きまくる。タッチは「耽美的でリリカル」。しかし弾きっぷりは「シーツ・オブ・サウンド」と言って良いくらい「多弁」。

しかし、その「多弁」な弾きっぷりが、テクニックが確かで端正、そして、タッチの響きが「耽美的でリリカル」なので、意外と五月蠅くない。特に速いフレーズにおける、バイラークのピアノのタッチと弾きっぷりは「クラシック・ピアノ」の雰囲気が色濃く反映されている。この弾きっぷりが五月蠅いならば、クラシック・ピアノの速いフレーズは全て「五月蠅い」ということになる。

バイラークは、単に「耽美的でリリカルで多弁なピアニスト」に留まらず、フリー&アヴァンギャルドな志向のピアノに走ったり、現代音楽風のピアノの様な無調の響きを醸し出したりするところが、チック&キース&ハービーなどの「新主流派世代」の括りのピアニストだと思う。故に、ニュー・ジャズが中心の、ECMレーベルのピアノ盤の中ではちょっと異質な雰囲気がする。

初リーダー作は、そのリーダーであるジャズマンの個性と特徴が如実に反映されている、というが、このバイラークの初リーダー作にもそれが言える。この盤を聴けば、バイラークのピアノが何たるか、をしっかり捉えることが出来る。バイラークの初リーダー作であり、代表作の一枚。名盤です。
 
 

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2022年5月31日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・235

欧州では、1970年代からの「ニュー・ジャズ」志向の音世界がしっかりと継承されていて、耽美的でリリカルなジャズ・ピアノについては、欧州で深化している。ピアニストの個性としては、現代音楽風、現代クラシック風の透明度の高い、硬質なタッチで、耽美的でリリカルなピアノを志向するタイプが多い、

Vijay Iyer『Uneasy』(写真左)。2019年12月、ニューヨーク州マウントバーノンの「OktavenAudioStudio」での録音。ちなみにパーソネルは、Vijay Iyer (p), Linda May Han Oh (b), Tyshawn Sorey (ds)。現代ジャズの哲人、ニューヨーク州アルバニー出身の中堅ピアニスト、ヴィジェイ・アイヤーのピアノ・トリオの新作になる。

Vijay Iyer(ヴィジェイ・アイヤー)は、1971年10月生まれ。今年で51歳の中堅ピアニスト。リーダー作は、1995年の初リーダー作以来、20枚以上を数える。2014年からはECMレーベルからのリリースに絞り、今回のトリオ新作もECMからのリリースになる。もともと、アイヤーのピアノは、耽美的でリリカルなピアノが個性なので、ECMレーベルの「音のカラー」にはピッタリのピアニストではある。

今回のトリオは、ベースにマレーシア出身のリンダ・メイ・ハン・オー(1984年生まれ)、ドラムスにニュージャージー出身のタイショーン・ソレイ(1980年生まれ)という国際色豊かなトリオ。この新作の録音まで、1年間、活動を共にしてきたとのこと。トリオ演奏の息はピッタリ。硬軟自在、変幻自在、緩急自在なトリオ演奏が素晴らしい。

この新作については、メインはアイヤーのピアノなのだが、アイヤーのピアノは耽美的でリリカルだが、その展開はダイナミックでメリハリがあるのが個性。このダイナミズム溢れる耽美的でリリカルなピアノで、様々な曲想の楽曲を自由自在に弾き回す。
 

Vijay-iyeruneasy

 
ファンクネスは極小、耽美的でリリカルであるがダイナミズム溢れる弾きっぷりは、どこかチック・コリアやミシェル・ペトルチアーニを彷彿とさせる。が、アイヤーの弾きっぷりは端正でクラシック・ピアノのマナーに通ずるものがあり、米国出身でありながら、欧州ジャズ・ピアノの志向を根強く踏襲しているようだ。

静謐な雰囲気からスタートし、段々に盛り上がっていく1曲目「Children Of Flint」。後半、アイヤーのダイナミックなピアノが炸裂する。耽美的でリリカルなピアノが印象的な、2曲目「Combat Breathing」。ゆったりとした演奏のビートを支えるのは、リンダのベース。リズムを色彩豊かにするのは、タイショーンのドラム。

3曲目「Night And Day」は、少しかかったような、スピード感溢れる演奏。トリオのテクニックの高さをビンビンに感じる。4曲目「Touba」は、地に足が着いたような、アーシーで力感溢れるピアノ。魅力的なベースライン、キャッチャーでどこかエスニックな雰囲気を醸し出すメロディーライン。素敵な演奏だ。冒頭からの4曲で、このトリオ演奏のレベルの高さと歌心溢れる流麗な演奏内容が聴いてとれる。

我が国ではどうにも知名度が低いィジェイ・アイヤーだが、国際的には、次世代のジャズ・ピアノを担う中堅ピアニストの1人として認知されている。今回のトリオ新作も実に濃い内容で、トリオ演奏のレベルも高い。不思議と繰り返し聴きたくなるピアノ・トリオの秀作です。
 
 

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2022年5月23日 (月曜日)

硬派な「映画音楽カヴァー集」

21世紀に入ってから、ジャズマンの「多国籍化」が進んでいるが、1970年代から80年代にかけて、欧州ジャズの台頭というトレンドがあった。もともと北欧では1960年代からジャズが浸透していたが、特に、1970年代から80年代にかけての欧州ジャズの台頭については、国で言うと「イタリア、フランス、ドイツ」だろう。特に、イタリア・ジャズの台頭は目を見張るものがあった。

Franco Ambrosetti『Movies』(写真左)。1986年の録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Franco Ambrosetti (tp, flh), John Scofield (g), Geri Allen (p, key), Michael Formanek (b), Daniel Humair (ds), Jerry Gonzalez (perc)。タイトル通り、イタリアのレジェンド・トランぺッター、フランコ・アンブロゼッティによる映画音楽作品集。

Franco Ambrosetti(フランコ・アンブロゼッティ)は、イタリア系スイス人。スイスのルガーノ(イタリア語圏)の生まれ。1941年生まれ。今年で81歳のレジェンド。1960年代以降は主にイタリアを中心に活動している。この『Movies』の録音当時は45歳、バリバリの中堅トランペッターである。

1950年代以降の映画音楽を中心に選曲されている様で、ジャズの中でも「ジャズ化」が極めて珍しい「The Magnificent Seven / 荒野の7人」や、ビートルズ映画の「Yellow Submarine」など、異色の映画音楽カヴァーである。「Yellow Submarine」など、フリーに傾いたり、限りなく自由度の高いモーダルな演奏に傾いたり、当時、ジャズの先端を行く「新伝承派」の音が色濃く反映されている。
 

Franco-ambrosettimovies

 
スタンダード化されている「Summertime」はリリカルでストレート・アヘッドな切れ味の良い演奏。「Chan’s Song」や「 Good Morning Heartache」などのバラード演奏は歌心溢れる耽美的なブロウ。

このアルバムには、個性的な、良い意味で「捻れた変態エレギ」ジョン・スコが参加していて,アンブロゼッティのストレートなトランペットとの絡みとユニゾン&ハーモニーがとても官能的。

NYの選りすぐりの中堅で固めたバック・メンバーとのインタープレイは実にスリリング。映画音楽作品集だからといって、安直な「イージーリスニング・ジャズ」にならないどころか、思いっ切りストレート・アヘッドな演奏は素晴らしいの一言。

この映画音楽作品集は、かなり硬派な、当時としても、新しい印象のハードバップな演奏になっていて、聴き応え十分。ジョン・スコを始めとするバックを支えるメンバーの好演も、アンブロゼッティの充実したインプロビゼーションに大きく貢献していて立派だ。

この盤、タイトルと収録曲の曲名を見て、イージーリスニング・ジャズな映画音楽のカヴァー集と思うなかれ。2曲目の「Summertime」辺りで、もう一度、頭に戻って聴き直すこと必至です。
 
 

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2022年5月21日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・234

21世紀に入ってからだろうか。ジャズマンの「多国籍化」が進んでいるように感じる。20世紀は、米国が中心。米国ジャズがそのまま飛び火して、欧州ジャズとして進化し、和ジャズとして進化した。21世紀はアジアでの広がりは鈍いのだが、欧州での、特に東欧諸国とイスラエル中心に「多国籍化」が進んでいる。

Tigran Hamasyan『StandArt』(写真左)。2022年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、Tigran Hamasyan (p), Matt Brewer (b), Justin Brown (ds) のトリオがメイン。ゲストとして、フロント管の Mark Turner (sax, track 3), Joshua Redman (sax, track 4), Ambrose Akinmusire (tp, tracks 7, 8) が参加している。

リーダーのピアニスト、ティグラン・ハマシアンは、アルメニア出身。1987年生まれなので、今年で35歳。若手の時代を経て、いよいよ中堅の時代に入らんとする年頃。ハマシアンの作曲はアルメニアの民俗伝統に強く影響されているのだが、今回の新盤は、ハマシアンの自作曲は1曲のみ。他は、グレイト・アメリカン・ソングブックからとジャズマンによる「ミュージシャンズ・チューン」のスタンダード曲で占められている。
 

Tigran-hamasyanstandart

 
ハマシアンのスタンダード曲の演奏が興味深い。ハマシアンの作曲の「癖」が無い、他のジャズマンが演奏してきた、グレイト・アメリカン・ソングブックからとジャズマンによる「ミュージシャンズ・チューン」のスタンダード曲の演奏を聴くことによって、ハマシアンのピアノの音の個性がハッキリ判るのだ。ワールド・ミュージック・ジャズの雰囲気が薄まって、先進的なネオ・ハードバップ志向のピアノが前面に押し出ている。

まず、バド・パウエルやビル・エヴァンスといった、ジャズ・ピアノの「第1世代」からの直接の影響は感じられない。どちらかと言えば、チック・コリア、ハービー・ハンコックといった「第2世代」からの影響を強く感じる。コンテンポラリーな音の響きは、ブラッド・メルドーと同質のものと感じた。当然、コピーでは無く、そういった影響を基に、ワールド・ミュージック・ジャズ志向な個性をしっかり出しているから立派だ。

過去のジャズ・ピアノのスタイルをしっかり踏まえて、ハマシアンなりの、現代の最先端を行くジャズ・ピアノの個性とスタイルを確立しているのを、この新盤を聴いて強く感じる。ハマシアンのピアノが、アルメニアの民族伝統に依存している訳では無いこと、モダン・ジャズ・ピアノの正統な後継者の1人である、ということが、この新盤を通じて明確になった。アーティスティックな響きを湛えた優秀盤である。
 
 

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2022年5月 1日 (日曜日)

欧州の新しい響きの純ジャズ

雑誌Jazz Lifeの「Disc Grand Prix 年間グランプリ」の記事を眺めていて、つくづく思うのは、現代では、意外と欧州でメインストリーム系の純ジャズが深化している様に感じる。本場米国では、どちらかと言えば、静的なスピリチュアル・ジャズや、ラップなどのストリート・ミュージックとの融合を目指したコンテンポラリー・ジャズが、新しいトレンドとなっている様だ。

Emile Parisien『Louise』(写真左)。2021年6月、仏アミアンでの録音。独の「現代の重要レーベル」ACT Musicからのリリース。ちなみにパーソネルは、Emile Parisien (ss), Theo Croker (tp), Roberto Negro (p), Manu Codjia (g), Joe Martin (b), Nasheet Waits (ds)。リーダーのエミール・パリジーンは、1982年生まれのフランス出身のサックス奏者。

リーダーのパリジーンとギターのマニュ・コジア(46歳)はフランス出身、ピアノのロベルト・ニグロ(40歳)はイタリア出身。ドラムのセオ・クロッカー(36歳)、ベースのジョー・マーティン(51歳)、ドラムのナシート・ウエィツ(50歳)は3人とも米国出身。欧州+米国の混成セクステットになる。年齢的にも中堅が中心の充実のセクステットである。
 

Emile-parisienlouise

 
このセクステットの表現する音世界は、従来は米国の新伝承派やM-BASE派がやっていたメインストリーム系の純ジャズ。加えて、その音は懐古趣味なものでは無く、21世紀の現在のメインストリーム系の純ジャズの響きをしっかりと反映して、最先端の「メインストリーム系の純ジャズ」なパフォーマンスが展開されている。

宣伝のキャッチに「現代のヨーロピアン・ジャズとアメリカン・ジャズが有機的に溶け合う、スリリングなグローバル・ジャズ」とあるが、これが実に「言い得て妙」。この盤に溢れるモーダルな音世界は、欧州ジャズの環境だからこそ、深化したものである。モード・ジャズの老舗、米国ジャズの伝統のパワーと、欧州で深化した純ジャズのスタイリッシュさが相互作用を引き起こして、新しい響きの純ジャズを展開している。

全9曲(うち組曲が3曲)聴き応えのある演奏ばかりで感心する。意外と我が国のジャズ・シーンでは注目度は低いみたいだが、この盤に詰まっている最新の「メインストリーム系の純ジャズ」は一聴に値する。もしかしたら、メインストリーム系の純ジャズの深化については、21世紀は「欧州ジャズ」が担うかもしれない。そんな予感がする優秀盤である。
 
 

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2022年4月29日 (金曜日)

マルの西ドイツでの好ライヴ盤

久々に、マル・ウォルドロンのリーダー作を聴き直している。彼のリーダー作の音源については、現在、結構な数が出ていて、まだ聴いたことが無いリーダー作も結構あることに気がついた。なんでかなあ、と思わず「思案投げ首」である。

しばらく、マルのリーダー作を追ってはいなかったので、その間に、音源のサブスクサイト中心に、今まで廃盤になっていた音源が結構な数、リイシューされたようなのだ。よい機会なので、マルのリーダー作でまだ、このブログで記事になっていないリーダー作をチョイスして聴き直している。

Mal Waldron『A Touch of the Blues』(写真)。1972年5月6日、西ドイツ(当時)のニュルンベルクでの「East-West Jazz Festival」におけるライヴ録音。Enjaレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Jimmy Woode (b), Allen Blairman (ds)。

収録曲は3曲。LPが前提の収録時間で、長尺のライヴ音源が3曲。1曲目の「Here, There And Everywhere」が、11分17秒、2曲目の「The Search」が、10分28秒。ここまでが、LP時代のA面。3曲目の「A Touch Of The Blues」が、16分22秒で、この1曲で、LP時代のB面を占める。
 

Mal-waldrona-touch-of-the-blues

 
収録曲の全てが、マルのオリジナル。1曲目の「Here, There And Everywhere」が、レノン&マッカートニーの名曲のカヴァーか、と思いきや、マルのオリジナルです。かの有名な静的でロマンティシズム溢れるフレーズが出てくるか、あのバラード曲をマルがどう料理するか、と思って構えて聴いていたら、思いっ切り肩すかしを食らいます(笑)。

しかし、この「Here, There And Everywhere」、マルのピアノの個性が全開の展開。タッチは深く、それでいて流麗。右手の奏でるフレーズの基本はマイナーでブルージー。その左手は印象的な重低音のビートを叩き続ける。マルのオリジナル曲ということを踏まえて聴くと、実に聴き応えのある白熱のパフォーマンスで、思わず集中して聴き込んでしまう。

ベースのジミー・ウッズ、ドラムのアレン・ブレアマンも米国出身、マルと併せて「オール米国」のトリオが、西ドイツで、ガンガンに欧州ジャズ志向のモード・ジャズを演奏しまくる。確かに、マルのピアノは「黒い情念」と形容されるが、ファンクネスは希薄。トリオとしても、出てくるリズム&ビートは「ストレートで切れ味が良い」。決して「粘る」ことは無い。

マルの個性は異国である欧州の地で、その個性をさらに輝かせる様だ。特に、ライヴにその傾向は顕著に出る様で、この西ドイツでのライブ音源を聴けば、それが良く判る。資料を見たら、2020年7月に初CD化、とある。僕はこの盤、LP時代には聴いたことが無かったので、知らなかった訳だ。今回、音源のサブスク・サイトで出会えて良かった。マルの好ライヴ盤である。
 
 

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2022年4月21日 (木曜日)

シャイ・マエストロの最新盤

ジャズ・ピアノについては、長年、実力、人気共にトップの座に君臨していた、キース・ジャレット、チック・コリア、ハービー・ハンコックの3人のうち、チックは鬼籍に入り、キースは脳溢血により再起不能状態、ハービーは隠遁状態。次世代を担う存在、ブラッド・メルドーは元気だが、マーカス・ロバーツは目立たなくなり、ジェリ・アレンなどの女性ピアニスト達もちょっと地味な存在になりつつある。

しかし、最近の新盤を聴いていると、ブラッド・メルドーの世代を飛び越えて、20歳代〜30歳代の若手中心に、キース、チック、ハービーの世代の次々世代を担うジャズ・ピアニストが多く出てきている様だ。そんな有望株の中に、キースやチック、メルドーのフォロワーがいたりして、時代の移り変わりを感じる。僕等が若い頃は「(バド・)パウエル派」か「(ビル・)エヴァンス派」が主流だったなあ。

Shai Maestro『Human』(写真左)。2020年2月「Studios La Buissonne, Pernes-les-Fontaines」での録音。2021年1月、ECMレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Shai Maestro (p), Philip Dizack (tp), Jorge Roeder (b), Ofri Nehemya (ds)。現在のイスラエルを代表するジャズ・ピアニストのシャイ・マエストロの、2年ぶりのリーダー作。シャイ・マエストロは、1987年、イスラエル生まれ。今年で35歳。キース・ジャレットからも賞賛される若手有望なピアニストである。
 

Human_shai-maestro

 
キースが賞賛するのも何となく判る。シャイ・マエストロのピアノは、どこかキースのピアノの雰囲気を持っている。耽美的でリリカルで端正な弾き回しなど、キースのフォロワーと言っても良いくらい。しかし、キースほどどっぷり入り込んだ様な流麗さでは無く、サッパリとした切れ味の良いタッチで、シンプルなリリカルさはシャイ・マエストロ独特の個性だろう。

シャイ・マエストロと、ドラムのオフリ・ネヘミヤはイスラエル出身。ベースのホルヘ・ローダーはペルー、トランペットのフィリップ・ディザックは米国と、多国籍なカルテット編成。叙情的で穏やかなメロディー、流麗で透明感溢れるタッチ、シャイ・マエストロのピアノに、語りかける様に、肉声の様なトランペットが絡む。ベース&ドラムのリズム隊も柔軟にフロントを支え、鼓舞する。現代の先端を行く、自由度とイマージネーションに溢れるインタープレイの数々。

イスラエル出身シャイ・マエストロだが、この盤での音はイスラエル色は薄い。それでも、この盤に詰まっているのは、現代のコンテンポラリーな純ジャズであり、伝統的なメインストリーム系のジャズを踏襲しつつ、新しい響きと要素を盛り込んだ、洗練された神秘的なサウンド。カルテットの一体感が素晴らしく、雑誌Jazz Lifeの「2021年度 Disc Grand Prix 年間グランプリ」に、この盤のタイトルが挙がるのも頷ける。
 
 

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