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2018年9月24日 (月曜日)

「これは聴いてみよ」な盤・1

ジャズの歴史が100年という。その100年の中で、ジャズのアルバムって、ほんと凄い枚数がリリースされている。最近、ネットのダウンドード・サイトが充実してきて、様々なジャズのアルバムが聴くことが出来るようになった。そんなサイトをお目当てのジャズメンのアルバムを検索している途中で、これは聴いてみよ、とビビッとくるアルバムに出くわすことがある。

Roy Hargrove『With The Tenors Of Our Time』(写真左)。今回出会った「これは聴いてみよ」盤である。1994年のリリース。タイトルの通り、ネオ・ハードバップで優れた中堅トランペッター、ロイ・ハーグローヴが歴代のテナー・マンをゲストに迎えて演奏する企画盤である。メインのハーグローヴのカルテットのパーソネルは、Roy Hargrove (tp,flh),  Ron Blake (ss, ts), Cyrus Chestnut (p), Rodney Whitaker (b), Gregory Hutchinson (ds)。

客演したテナーマンは、以下の5人。Johnny Griffin, Joe Henderson, Branford Marsalis,  Joshua Redman, Stanley Turrentine。大ベテランから中堅まで、渋いマニア好みの大御所的なテナーマンが客演している。これは魅力的だ。実はこの盤、今まで聴いたことが無くて、ハーグローヴのトランペットが好きなのと、このテナーマンのラインナップに魅力を感じて、今回、初聴きした次第。
 

Roy_hargrove_with_the_tenors_of_our  

 
メインのハーグローヴの演奏自体が実に充実している。まず、ハーグローヴのトランペットが端正で艶やかで流麗でとても良い。我が国で人気がイマイチなのかが理解出来ないほど、この盤では充実したトランペットを聴かせてくれる。サイラス・チェスナットをピアノに据えたリズム・セクションも歌心があって堅実で端正。このハーグローヴのカルテット演奏だけでも、この盤、十分に聴ける。

そこに、魅力的なテナーマンが加わるのだ。悪かろう筈が無い。大御所達を前にブレイクも脇に回って、アンサンブル役に徹している。これが好客演のテナーがバンドサウンドとして溶け込む切っ掛けとなっていて、良いアクセントになっています。5人の大御所テナーマンはさすがで、それぞれ、しっかりとした個性が素晴らしい。聴いていて、これはグリフィンかな、これはヘンダーソンとはっきり判る位の個性はやっぱり凄い。

この5人とテナーマンの明確な個性が、この盤のそれぞれの演奏に彩りと特徴を与えていて、この盤の演奏はどれもがバリエーションに富んでいて、聴いていてとれても楽しい。今まで、この盤の存在を全く知らなかったのだが、これが本当に得した気分。良い盤に出会いました。ハーグローヴの素敵なトランペットと共に、聴き応えのある企画盤です。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年8月 7日 (火曜日)

ジャズ・トレンドの分水嶺

1980年代のハードバップ回帰、いわゆる「ネオ・ハードバップ」のムーヴメントを捉えて、帝王マイルスは「昔のジャズを焼き直して、何が面白いのか」とバッサリ切り捨てたのを覚えている。「過去の音楽を再びやるなんて、俺には考えられない。常に自分がクールと思う新しい音を追求する」。この革新性こそ、ジャズなんだな、と心底感心したことを覚えている(俺の音をジャズと呼ぶな、と帝王に怒られそうだが・笑)。

確かに、1980年代の「純ジャズ復古」のムーブメント以来、過去の音のトレンドの焼き直し、深化はあったが、新しいクールな何か、がジャズに現れ出でたか、と問えば、答えは「ノー」。もはや、ジャズは深化はするが進化はしない、のでは無いかと思っていたら、この5年ほど前から、そんな「新しいクールな何か」がジャズに現れ出で始めた。

ロバート・グラスパーやカマシ・ワシントンを中心とするムーブメントである。ジャズがメインなんだが、R&B、ロック、ヒップホップ、レゲエ、ブルースまで様々なジャンルを融合、ボイスやノイズを新しいソロ楽器の様に扱い、ボーカルに意味を持たせて「スピリチュアル」な響きを前面に押し出す。そして、一番特徴的なのは「リズム&ビート」の扱い。従来のジャズの基本要素だった「スインギーなオフ・ビート」は全く見向きもせず、最終的にビートを排除。
 

Keyon_harrold_the_mugician  

 
これを僕は「リズム&ビートのモード化」と呼んでいるが、拡がりと緩やかな抑揚をベースとしたビートが特徴。その上に、緩やかで音を選び間を活かした、落ち着いたアドリブ・フレーズが展開される。今までのモダン・ジャズの「正反対」なアプローチの数々。2010年を越えて、やっと「新しいクールな何か」がジャズに現れ出で始めた。

Keyon Harrold『The Mugician』(写真左)。2017年10月のリリース。新世代のジャズ・トランペッター、キーヨン・ハロルドの最新アルバム。いや〜、クールである。まさに、「新しいクールな何か」がこのアルバムに詰まっている。ジャズがベースではあるが、リズム&ビートがジャズでは全く無い。全く新しいクールなリズム&ビート。全く新しい響きのモーダルなトランペット。

従来のジャジーなリズム&ビートからの脱却。新しいクールな響きのモーダルなフレーズ。ジャズではあるが、今までのジャズでは全く無い。ボイスやノイズをもジャズに取り込み、融合する。やっと、ジャズに「新しいクールな何か」が現れ出で始めた。従来のモダン・ジャズと、これからの「ネオ・モダン・ジャズ」。意外と2010年辺りが、ジャズのトレンドの分水嶺になっていくのかも知れない。

 
 

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2018年7月20日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・100

1970年代から、1980年代半ばの「純ジャズ復古」まで、フュージョン・ジャズの全盛の時代。さぞかし米国では、純ジャズは形見が狭かっただろう、と想像するのだが、意外と内容充実、演奏充実の盤が多い。しかし、当時のジャズのメインでは無いので、ジャケットは奇天烈なものが多く、気恥ずかしい手抜きなものが多い。これでは触手は伸びない。最近、やっとダウンロード・サイトから試聴することが出来る様になったので、結構、聴く機会が多くなった。

Bobby Shew『Class Reunion』(写真)。Sutraレーベルからリリースした1980年のアルバム。ちなみにパーソネルは、Bobby Shew (tp, flgh), Gordon Brisker (ts, fl), Bill Mays (p, Fender Rhodes), Bob Magnusson (b), Steve Schaeffer (ds)。フュージョン全盛の1980年の米国のハードバップなアルバムなので、サイドメンについては、どの楽器も知らない人ばかり。

大丈夫なのか、と思いつつ、恐る恐る聴き始めると、あらまあ、本格的なハードバップ。1950年代のハードバップから1960年代のファンキージャズ辺りをミックスして、アドリブはモードな展開を欠かさず、決してポップスに迎合せず、安易に聴き易さ、判り易さを優先するような「拙速型」の内容では決して無い。誠実に堅実にメインストリーム・ジャズを展開しているところに好感度Maxである。
 

Class_reunion_1

 
ボビー・シューは、Woody HermanやBuddy Rich等のコンボでも活躍した、米国出身のトランペッター。1941年生まれだから、今年77歳になる大ベテラン。1941年というちょっと微妙な生まれなので、ビ・バップからハードバップの全盛期は経験していない。恐らく、ジャズ・トランペッターとして活躍し始めた頃は、ジャズが段々に他のジャンルの音楽にシェアを奪われていった頃で、単独ではもはや目立たなかったのでは無いか。

それでも、ボビー・シューのトランペット、そしてフリューゲル・ホーンは魅力的。トランペットは音の切れ味が良く、伸び・抜けとも優秀。フリューゲル・ホーンは、その丸い音でジェントルに流麗に吹き進めるフレーズは実に聴き応えがある。こんなトランペッターがいたんや、と思わずビックリである。

フリューゲル・ホーンの音がほのぼのしていて、テクニックも優秀。この盤でのボビー・シューのフリューゲル・ホーンは聴きものである。演奏全体もタイトでメリハリが付いていて、聴き応えがある。なかなかに聴き応えのあるハードバップ盤である。しかしなあ、僕はこのアルバムの存在を最近まで知らなかった。本当にジャズは奥が深い。

 
 

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2018年4月 3日 (火曜日)

ネオ・ハードバップの良い一例

ハードバップが流行したのは1950年代。1960年代前半には、ハードバップが分岐して、アーティスティックなモード奏法や、ポップなファンキー・ジャズやソウル・ジャズに発展。その後、一旦は、クロスオーバー&フュージョン・ジャズに席巻されたが、1980年代後半、純ジャズ復古の大号令と共に、ハードバップが復権。

1980年代後半、マイルスは、若手ミュージシャンの一部が「ハードバップ」の焼き直しに熱中する様を見て、「昔、自分たちがやり尽くしたハードバップを焼き直して何が面白いのか」とその保守性を揶揄した。確かに純ジャズ復古の初期の頃は、ハードバップのコピー、焼き直しな演奏が多く、今の耳で聴けば、確かに保守的やなあ、と感じるものが多かった。

しかし、21世紀に入って、純ジャズ復古でハードバップを知った世代が、若手ジャズメンとして活躍する環境になって、その「ハードバップ」は深化する様になった。アプローチや展開、アレンジ、奏法などに工夫を施し、ハードバップではあるが、新しい「何か」を宿した「ネオ・ハードバップ」な演奏がコンスタントにリリースされる様になった。
 

Walk_the_walk  

 
Eric Siereveld's Organic Quintet『Walk the Walk』(写真左)。2018年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、Eric Siereveld (tp), Tony Barba (ts), Jonathan Kreisberg (g), Steve Snyder (hammond b3 organ), Mitch Shiner (ds)。 アルバム・タイトルを見ると、ギターのJonathan Kreisbergをフィーチャーしている。冒頭の「The Last Innovator」から、立派な内容のハードバップな演奏である。

リーダーのトランペッター Eric Siereveldは端正で明朗なブロウで魅了する。本当に素敵に鳴るトランペットだ。演奏のスタイルは明らかに「ハードバップ」。しかし、1950年代のハードバップでは無い。明らかに深化した「ハードバップ」な響きに耳を奪われる。効果的に織り込まれる Jonathan KreisbergのギターとSteve Snyder のオルガン。

ギターとオルガンが織り込まれたからといって、演奏の雰囲気は決して「ファンキー・ジャズ」にならないところが、この盤の演奏の理知的なところ。そんな理知的なハードバップは、21世紀の新しいジャズの響きに満ちている。対峙して聴き込むも良し、何かしながらの「ながら聴き」にも良し。この盤の演奏こそが「ネオ・ハードバップ」の良い一例だろう。

 
 

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2018年2月27日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・30

元来、勉強したり、仕事をしたりする時、音楽が無いと駄目なタイプである。いわゆる「ながら族」である。中学時代から、勉強に音楽とラジオ放送は欠かせない。夜、晩ご飯を食べたら、カセットテレコで音楽を聴きながら勉強。夜11時からは深夜放送タイムに突入。ず〜っと「ながら勉強」。これは大学卒業まで続く。筋金入りの「ながら族」である。

さすがに社会人になって、会社で仕事をする時は音楽は「御法度」。しかし、頭の中では音楽が流れており、ノってくると鼻歌を歌いながら仕事をして、よく上司から怒られた(笑)。で、「ながら聴き」にはジャズが良い。それも端正な純ジャズか、端正なフュージョンが良い。途中、ブレイクしたりフリーに走ったりするやつは駄目だ。気が散る。かっちり端正なやつが良い。

Jim Rotondi『The Move』(写真左)。2009年11月10日の録音。パーソネルは、Jim Rotondi (tp, flh), Ralph Bowen (ts), Mike DeRubbo (as), David Hazeltine (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。なんだか「One For All」に似てるなあ、と思ったら、パーソネルを見たら、Jim Rotondi, David Hazeltine, Joe Farnsworth の3人が「One For All」出身でした。
 

The_move_1

 
実に清々しいほどに端正な純ジャズである。兎にも角にも破綻が全く無い。楽器も素敵に良く鳴っている。特に、リーダーのジム・ロトンディのトランペットが凄く良い音で鳴っている。芳しきブラスの響き。スッと伸びたハイトーン。聴いていて凄く気持ちが良くなる、端正で堅実で素直な伸びのあるハードバップである。リズム・セクションもクールで躍動感溢れる極上なもの。

9曲中5曲がメンバーのオリジナルもなかなか良い出来だが、残り4曲のスタンダード曲及びジャズメン・オリジナル曲の出来が更に良い。アレンジも洗練されていて、淀みの無い流麗なハードバップ。しかし、1950年代のハードバップでは無い。洗練され深化した現代のハードバップである。ビートもしっかりと効いていて、聴いていて、とてもとても心地良い。

午前中から午後、日の高い間の「ながら聴き」のジャズはトランペットがメインのハードバップが良い。サックスであればアルト・サックスだ。夕暮れ時から夜にかけては、やっぱりムーディーなテナー・サックスがメインのハードバップが良い。「ながら聴き」にはジャズが良い。それも端正なハードバップが良い。ジム・ロトンディの『ザ・ムーヴ』。ながら聴きに最適な好盤である。

 
 

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2017年10月 4日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・90

涼しくなった。というか今日は夕方から少し寒い。一気に季節が動いたようで、もう晩秋の様な雰囲気である。この極端に涼しくなるのも、あと2日くらいだそうなので、まあええか、という感じである。まあ、ここまで涼しくなると、トランペット盤も抵抗なく聴けるようになる。暑いと、特に蒸し暑いと、どうにもトランペット盤は敬遠してしまいがちである。

ということで選んだ盤が、Kenny Dorham『Short Story』(写真左)。1963年12月19日、コペンハーゲンのMontmatre Jazzhusでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Tete Montoliu (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Alex Riel (ds),  Allan Botschinsky (flh)。スティープルチェイス・レーベルからのリリースである。

まず、パーソネルを見れば触手が伸びる。「北欧のジャズの殿堂」、コペンハーゲンの老舗ジャズハウス「カフェ・モンマルトル」を支えた守護神の一人、ドラマーのアレックス・リエル、北欧ベースの巨人ペデルセン、そして、スペインの哀愁のピアニストであるテテ・モントリュー。そこに、ハードバップな哀愁トランペッターのケニー・ドーハムがリーダーとして、フロントに座るのだ。
 

Short_story

 
そして、CDプレイヤーのスタートボタンを押すと、絶好調に吹きまくるドーハムにちょっとビックリする。もともと、ドーハムは好不調の波があるトランペッター。哀愁のトランペッターなどと喩えられることがあるが、単に不調で覇気が無かっただけ、という盤も時にはある。しかし、乗った時のドーハムは「ブリリアント」。トランペットの真鍮をブルブル震わせるが如く、ポジティブに吹き上げる。

そんな好調時のドーハムがこのライブ盤に「いる」。この盤、全編で50分程度なので、もしかしたら、1963年12月19日のカフェ・モンマルトルでのドーハムのパフォーマンスは全てが絶好調ではなかったかもしれない。それでも、この全編50分のアルバムに編集し収録されたドーハムのパフォーマンスは見事だ。当時、ドーハムは39歳。中堅のジャズメンで、一番、溌剌としていた頃だったのかもしれない。

ジャケットがあまりにシンプル過ぎて、かなり損をしているライブ盤だと思いますが、手に入れて損の無い、ジャズ・トランペットを十分に楽しめる「隠れ好盤」だと思います。何も『Quiet Kenny(静かなるケニー)』だけがドーハムの代表盤ではありません。哀愁のトランペッターと形容するよりは、バップでブリリアントなトランペッターと形容する方が、ドーハムの本質を突いているかもしれません。

 
 

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2017年9月 7日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズを聴き始めてから、かれこれ40年になる。もうそんなになるのか。所有するCDも相当数に登り、もうデータベースにしておかないと所有しているのかいないのか、聴いたことがあるのか無いのか、判らなくなっている。それでも、ジャズは飽きない。飽きないどころか、どんどん深みにはまっていっている。

そんなジャズ大好き人間の僕が、この盤は聴いたことも見たことも無かった。つい先日、ネットを徘徊していて、誰かのブログにぶち当たって、見慣れないジャケット写真が目に入って、その紹介文を読んでみたら「え〜、この盤、知らんなあ」。しかし、である。この盤のジャケットの写真、これが凄く魅力的。「良い音出してるよ〜」って語りかけてくる様なジャケット。「ジャズ喫茶で流したい」ネタな盤である。

Count Basie and Dizzy Gillespie『The Gifted Ones』(写真)。1977年の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Dizzy Gillespie (tp), Joe Pass (g), Ray Brown (b), Mickey Roker (ds)。ガレスピーのトランペットのフロント1管。ギター+ピアノ、そしてベース+ドラムのリズム・セクション。
 

The_gifted_ones

 
いや〜、むっちゃ趣味の良いハードバップ。まず、カウント・ベイシーのピアノが絶品。音数少なく、ポロンポロンと絶妙の間とテンポの無茶苦茶に個性的なピアノ。シンプルそして侘び寂び。そんなむっちゃ粋な静かなピアノ。そこにガレスピーのバップなトランペットが鳴り響く。トランペットの音にベイシーのピアノはかき消されるのか、と思いきや、その存在感たるや驚きの「静謐なピアノ」である。

ガレスピーのトランペットも凄く良い。エモーショナルなブロウもあれば、流麗で語りかける様な優しいブロウもある。あのビ・バップなトランペット一辺倒のガレスピーが、これだけ変幻自在、硬軟自在なブログを繰り広げるとは思わなかった。メリハリ効いたガレスピーのトランペットと音数少なく、ポロンポロンと絶妙の間とテンポのベイシーのピアノ。素晴らしい対比。

パスのギター、ブラウンのベース、ロッカーのドラム、職人気質のリズム・セクションが、そんな主役の二人、ガレスピーとベイシーをしっかりとサポートする。いや〜、これぞジャズって感じの演奏に思わず聴き惚れる。しかし、こんな盤があったなんて。パブロ・レーベルからのリリースなのでメジャーな盤の類。日本で何故ジャズ雑誌なので、絶賛&紹介されなかったのか、が不思議な、思い切り充実の内容。好盤です。
 
 
 

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2017年7月13日 (木曜日)

CTIレーベルの純ジャズ盤

CTIレーベルって、1960年代の終わりから1980年代前半まで、初期はイージーリスニング・ジャズから始まって、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズまでがメインの老舗レーベルなんだが、そんな中に、上質な「メインストリーム・ジャズ」が混じっているのだから不思議。そして、これがまた、内容的に素晴らしいものなのだから隅に置けない。

Gerry Mulligan & Chet Baker『Carnegie Hall Concert』(写真左)。1974年11月24日、ニューヨークのカーネギー・ホールでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs), Chet Baker (tp), Ed Byrne (tb), Bob James (p, el-p), Dave Samuels (vib, per), John Scofield (g), Ron Carter (b), Harvey Mason (ds)。

このライブ盤、パーソネルは見渡せば、なかなかユニークな人選に思わずニヤリ。バリサクのマリガンとペットのチェットはハードバップ時代からの純ジャズ出身のベテラン。そこに、フュージョン・ジャズの仕掛け人、ボブ・ジェームスがキーボードを担当する。そして、若き日の捻れギタリスト、ジョンスコがいる。R&Bっぽいドラミングが小粋なメイソン、どう弾いても純ジャズの雰囲気を抜け出ないロンのベース。
 

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この新旧ジャズメン入り乱れた、純ジャズ志向とフュージョン志向が入り乱れたパーソネルで、メインストリーム・ジャズをやるんだから堪らない。音世界は、いわゆる「1970年代のメインストリーム・ジャズ」。アコ楽器とエレ楽器を上手くブレンドし、それぞれの音の良さをしっかりとアピールする。これって、アレンジが良いからですよね。さりげないアレンジが実に見事。

CTIレーベルって不思議なレーベルで、確かにカタログを見渡すと、上質な「メインストリーム・ジャズ」盤がそこかしこに転がっていて、いずれも内容がとても良い。しかも、新旧ジャズメンが入り乱れた、ジャズメンの組合せの妙が絶妙なのだ。この組合せでこの音かあ、と聴いて感心する盤が多々あるから素晴らしい。

このライブ盤、まず、ハードバップ時代からの純ジャズ出身のベテランの二人、マリガンとチェットがとても元気。それでいて、吹き回す音の雰囲気は1970年代の音をしているから、この二人の力量たるや素晴らしいものがある。決して古くならない。その時代時代のトレンドにしっかりと追従する。よくよく考えれば、このライブ盤自体がそうである。

 
 

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2017年6月 1日 (木曜日)

トランペットの隠れ名盤・6

ピアノ・トリオのブームが、昨日辺りから「トランペット・ジャズ」に移りつつある。朝夕涼しい陽気がそうさせるのだろうか。流麗でストレートに鳴るトランペットが聴きたくなる。そうすると、やはりテクニックに優れた、肺活量豊かなトランペッターのアルバムを漁ることになる。

テクニックに優れた肺活量豊かなトランペッター、とすると、まずは「フレディ・ハバード」の名が浮かぶ。でもなあ、ハバードって、テクニックが優れる余り、そのテクニックをこれでもか、とひけらかす傾向が強くて、そのハイレベルのテクニックが耳に付くのだ。加えて「目立ちたがり」。共演者がいると、そっちのけで「俺が俺が」と前へ出る。これが耳に付く。

このアルバムも最初見た時、ハバードの名前があったので聴かずにパス。しかも共演者がいる。それもトランペッター、ハバードに良く似たタイプのウディ・ショウ。これ、絶対にハバード、テクニックをひけらかすぞ、絶対に前へ出るぞ、で聴かずにパス。しかし、つい最近、ちょっと怖い物見たさに「聴いてみようかな」と(笑)

Freddie Hubbard & Woody Shaw『Double Take』(写真左)。邦題「トランペット伝説」。1985年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp, flh), Woody Shaw (tp), Kenny Garrett (as, fl), Mulgrew Miller (p), Cecil McBee (b), Carl Allen (ds)。同じフロントにケニー・ギャレットのアルト。バックのリズム・セクションが、当時の新進気鋭の若手で固められている。
 

Double_take1

 
聴いてみて「あれれ」と思う。良い方向に「あれれ」なんだが、ハバードがあまり目立たない。テクニックよろしく、前へ前へ出ようとしているようなんだが、そうならない。恐らく、ウディ・ショウの存在がそうさせるのだろう。ハバードと同じくらいにテクニック優秀、そして、共演者との協働を良しとし、前へ前へと出ない「奥ゆかしさ」。このショウの存在が、いつものハバードにブレーキをかけているみたいなのだ。

実は、テクニックをひけらかすこと無く、目立ちたがりを控えたハバードのトランペットは、とても素晴らしい。しかし、ハバードの性格上、そんな状態のアルバムって、なかなかお耳にかかれないのだが、この『Double Take』というショウとの共演盤でのハバードが、そんな「素晴らしい」ハバードなのだ。聴き応えありまっせ。

ハバードに相対するショウのトランペットも味わい深い。テクニック優秀、ストレートでふくよかなブラスの響き、流麗かつ爽快なアドリブ・フレーズ。トランペットがよく鳴っている。ショウは1989年、44歳で亡くなっているので、この盤の時点では40歳になったところ。40歳を迎えたショウのプレイは余裕が出来て、ほど良く流麗なプレイは、かえって「凄みを感じさせる」もの。惜しいトランペッターを亡くしたものだ、と改めて淋しくなる。

「素晴らしい」ハバードと「凄みを感じさせる」ショウのトランペットの共演。アルトのギャレットも負けずに出来が良く、バックのリズム・セクションがこれまた優れていて立派。録音年が1985年。純ジャズ復古前夜の頃。さすが復活したレーベル、ブルーノートの「マジック」である。

 
 

震災から6年2ヶ月。決して忘れない。まだ6年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年5月29日 (月曜日)

トランペットの隠れ名盤・5

我が千葉県北西部地方では、朝夕、初夏の清々しい日々が続いている。朝は海風、夜は山風と、この季節はメリハリの効いた風が吹く。気温は22〜3度程度。風力2程度の風が心地良い。今の季節が一年の中で一番良いなあ。日も長いしね。

こういう季節は、ジャズを聴くのに打って付け。空気も清々しいし、暑くも無く寒くも無く、気持ちの良い雰囲気の中で聴くジャズは格別のものがある。こういう清々しい日には、トランペットが主役のジャズが良く似合う。と言うことで、トランペットが主役のちょっとマニアックな盤を探す。

Johnny Coles『New Morning』(写真左)。1982年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Johnny Coles (flh), Reggie Johnson (b), Billy Hart (ds), Horace Parlan (p)。このパーソネルを見るだけで、この盤は期待出来る。1982年辺りは、フュージョン・ジャズが下降線を辿りだし、ジャズの流行にポッカリと穴が空いたような時期。
 

New_morning1

 
そんな時期にこの渋い内容のハードバップ盤である。まず、リーダーのジョニー・コールズのフリューゲル・ホーンの音が実に良い。本当によく鳴るフリューゲル・ホーン。真鍮をブリブリ響かせながら、す〜っと音が伸びていく。アドリブ部では流麗なフレーズに思わず耳を峙たせる。ジョニー・コールズって、こんなに魅惑的な音を出すトランペッターだったっけ、と嬉しい思案投げ首状態になる。

ジョニー・コールズと言えば『Little Johnny C』という好盤があるが(2014年1月16日のブログ・左をクリック)、柔軟でありながら輪郭がはっきりした、しっかりと音の出る、しなやかな鋼の様なコールズの個性的なブロウについては、この『New Morning』の方が一枚上を行くのではないか。それほど、この盤でのコールズのブロウは魅力的だ。

バックのリズム・セクションも堅実でホットな演奏で、コールズのブロウを盛り立て、そして支える。1980年代前半、ネオ・ハードバップの走り。ジャケット・デザインも魅力的。こういう魅力的なジャケットは内容を裏切らない。渋い、そして聴き応えのある「トランペットの隠れ名盤」の一枚として愛聴しています。

 
 

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