レッド・ロドニーの「隠れ名盤」
サヴォイ・レーベルのハードバップらしい音世界は、一度聴き出すとしばらく聴き続けてしまうくらい、魅力的なもの。ブルーノート盤などの「尖った先進的なハードバップ」な音とは全く異なる、ややリラックスした正統でハードバップな演奏なのだが、これが意外と癖になる。
Red Rodney『Fiery』(写真左)。1957年11月、New JerseyのVan Gelder Studioでの録音。ちなみにパーソネルは、Red Rodney (tp), Ira Sullivan (ts), Tommy Flanagan (p), Oscar Pettiford (b), Philly Joe Jones (ds : 1to 3 ), Elvin Jones (ds : 4 to 6)。
リーダーのレッド・ロドニーのトランペットと、アイラ・サリヴァンのテナー・サックスの2管フロントのクインテット編成。ドラムはフィリージョーとエルヴィン・ジョーンズを使い分けている。
リーダーのレッド・ロドニーは「1949年〜50年の短い期間であったが、パーカーのもとで、相棒として活躍していた白人トランペッター」として紹介されている。かなり素性の良い、魅力的なトランペットなんだが、ドラッグの悪癖のためにチャンスを逃し、ロドニーのリーダー作やサイドマンとしての参加作品はかなり少ない。
バッパーらしい切れ味の良いブリリアントな音色で、しっかりと気持ちの入った「入魂トランペット」だが、そのフレーズにはどこかクールな雰囲気が流れていて、全体的に「硬軟のバランスが良い演奏」を聴かせてくれる。テクニックも良好、オリジナリティー豊かで、当時の誰のトランペットにも似ていない。独特の個性を持ったトランペットだけに寡作なのが惜しまれる。
そんなロドニーのトランペットを心ゆくまで楽しむことが出来る。難解なところとか、変に癖のあるところは全く無い、ストレートの素性の良いトランペット。スタンダード曲も自作曲も、どちらも良い感じで吹き上げている。
バックのリズム隊が好調で、トミー・フラナガンのピアノの参加が効いている。トミフラのピアノは相変わらず「小粋でバップ」で、好調なバッキングを繰り広げる。「2人のジョーンズ」のドラムは切れ味良く、骨太なペティフォードのウォーキング・ベースが心地良く響く。この良い感じのリズム隊、聴きものです。
シグナル・レーベルの『Rodney 1957』(写真右)が原盤で、後にサヴォイ・レーベルからリリースされた盤だが、音的には「サヴォイの音」としてまとまっていて、サヴォイ・レーベルのオリジナル盤としても違和感が無い。レッド・ロドニーの代表作として一聴に値する「隠れた名盤」である。
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