2023年7月31日 (月曜日)

ジョー・チェンバースの最新作。

昨日、ブライアン・ブレイドの参加アルバムのことを書いて、この1〜2年にゲットして聴いたアルバムを見渡してみたら、意外とドラマーがリーダーの良好盤があることに、改めて気がついた。

ドラマーのリーダー作って、管楽器やピアノがリーダーのアルバムとは、その「作り」はちょっと異なると思う。ドラムという楽器、旋律楽器では無いので、その奏法やスタイルをメインにリーダー作をまとめる訳にはいかない。フロント楽器として演奏の旋律部分を担当する訳にもいかない。ドラマーのテクニックや個性を披露するにも、40〜50分の収録時間、ずっとドラムを叩くわけ訳にもいかない。

リーダーとして、演奏全体の志向や傾向を参加メンバーと意思統一をして、その志向や傾向に従った演奏の中で、リーダーとして、そのドラミングの技や個性を披露することになる。その志向や傾向に則ったアレンジとリーダシップが「鍵」となる。

Joe Chambers『Dance Kobina』(写真左)。2022年の作品。ニューヨークとモントリオールでの録音。ちなみにパーソネルは、Joe Chambers (ds, perc, vib) , Caoilainn Power (as), Ira Coleman, Mark Lewandowski (b), Elli Miller Maboungou (perc), Andrés Vial, Rick Germanson (p), Michael Davidson (vib)。

1960年代から活躍しているベテラン・ジャズ・ドラマー、ジョー・チェンバーズ(以降、ジョーチェン)。1942年生まれなので、今年で81歳。この盤の録音当時は80歳。大ベテランというか、もはや「レジェンド」の域の存在である。

ジョーチェンはエリック・ドルフィー、チャールズ・ミンガス、ウェイン・ショーター、チック・コリアなど多くの著名なアーティストと共演している。ポリリズミックで新主流派なドラミングが身上で、コンテンポラリーな純ジャズが活躍のメイン・フィールド。
 

Joe-chambersdance-kobina

 
ブルーノートに移籍して以降、ジャズ、ラテン、ブラジル、アルゼンチン、アフリカ音楽の間の深い音楽的なつながりを探求した、ブルーノートでの2枚目のリーダー作。ラテン〜アフリカ路線とは言うが、こってこての、あからさまなラテン・ジャズ、および、ワールド・ミュージック志向の音作りでは無い。あくまで、ネオ・ハードバップの範疇の演奏に収めた「ラテン〜アフリカ志向」。
 
収録曲を見渡すと、ジョーチェンの自作曲と、ジャン=ピエール・ヴィアル、クルト・ヴァイル、ジョー・ヘンダーソン、カール・レイツァーなどのミュージシャンズ・チューンで固められている。これらの曲がラテン〜アフリカ志向の音作りに乗って演奏されるのだから堪らない。今までに聴いたことのないイメージの、コンテンポラリーなネオ・ハードバップが実に新鮮に響く。

パーソネルを見渡せば、実は「知らない」ミュージシャンばかり。過去に囚われない、今の、現代の、フレッシュなラテン〜アフリカ志向の演奏を目指していることが、このパーソネルを見ても良く判る。出てくる音はハイ・レベルな演奏の数々。名前は知らないけど、それぞれ実力十分のミュージシャンが参加していることは、演奏を聴いて良く判る。

「ラテン〜アフリカンなグルーヴを聴かせる」志向のビートの効いたパワフルな曲あり、スィートなバラード曲あり、特にバラード曲は、現代のR&Bのソフト&メロウな雰囲気を踏襲している様でもあり、ジョーヘンの曲などは、明らかにモードなんだけど、現代のネオ・モードなアレンジで、1960年代の新主流派の雰囲気は微塵も無い。

アルバム全体を通じて、この盤に詰まっている音は、現代の最新の「コンテンポラリーな純ジャズ」だと感じる。アレンジの過程で、ラテン〜アフリカ志向の音作りになっていて、精緻でテクニカルな純ジャズというよりは、アレンジとグルーヴで聴かせる、現代のラテン・ジャズ、および、アフリカン・ネイティヴなジャズ。硬派なコンテンポラリーな純ジャズな音作りで、聴き応え抜群です。
 
 

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2022年12月10日 (土曜日)

マイルス・ジャズの新たな解釈

今週の水曜日に「マイルス・ジャズの高度な再現」と題して、マイルス・デイヴィス没後30年を記念し、ACTの創始者シギ・ロッホのキューレーションで、2021年にベルリンで行われたコンサートの模様をとらえたライヴ盤をご紹介した。

特に後半は、マイルスとギル・エヴァンスとのコラボでのジャズ・オーケストラの名演を、マグナス・リンドグレンのアレンジ&指揮の下、シオ・クローカー・カルテットとベルリン・フィルとの共演で再現したもので、なかなかの「聴きもの」だった。

『Miles Español - New Sketches of Spain』(写真)。2011年のリリース。曲毎に、メンバーを総入れ替えしているイメージ。収録曲もCD2枚組で16曲。1曲当たり平均5人としても、のべ80人以上になるので、パーソネルについては割愛する。マイルス・ディヴィス生誕85年・没後20周年記念企画盤である。

アルバムの概要を引用すると「敏腕プロデューサー、ボブ・ベルデンが、新たな解釈を加えた現代版『Sketches of Spain』を録音。チック・コリア、ジョン・スコフィールド、ジャック・ディジョネット等、マイルスゆかりのミュージシャンとスペインのアーティスト等を起用し、マイルスが“スペインのブルース”として捉えたフラメンコをより深化させたサウンドを展開」とある。
 

Miles-espanol_new-sketches-of-spain

 
この盤は「マイルス・ジャズの新たな解釈」の成果である。ボブ・ベルデンをプロデューサーとして、マイルス&ギルの『Sketches of Spain』をモチーフに大胆な新しい解釈を付加して、チック、ジョンスコ、ディジョネット等、マイルスゆかりのジャズマンと、興味深いのはスペインのアーティスト等を起用して、本場のフラメンコの雰囲気を前面に押し出しているところ。

CD2枚組、収録曲全16曲。それぞれの曲を担当するジャズマンのパフォーマンスも充実、素敵で小粋な「スパニッシュな雰囲気が横溢するジャズ」が展開されている。但し、『Sketches of Spain』をモチーフにしているだけなので、本家本元、マイルス&ギルの『Sketches of Spain』との関連性は、ほとんど感じることは無い。ボブ・ベルデンがプロデュースをした、新しい「ストイックなラテン・ジャズ」と言った方がピンとくる。

これって、チックが1970年代からずっとやってきたことやん、と、ちょっと心の片隅でぼやきつつ、それぞれの演奏については、非常に高度かつテクニカル、モーダルで即興性抜群とくるのだから、この盤については、本家本元の『Sketches of Spain』から切り離して、この盤のみで十分、鑑賞に耐える内容になっている。

タイトルがちょっと誤解を生むのかも。でも副題に「新しいスペインのスケッチ」とあるのだから、本家本元の『Sketches of Spain』を踏襲していなくても納得がいく。そうこの盤は「新しいスペインのスケッチ」を現代ジャズで、優秀どころが集まって、ブワーッとやっているという感じ。力作だと思います。
 
 

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2022年7月29日 (金曜日)

粋なラテン&フラメンコ・ジャズ

夏はラテン・ジャズが良い。エアコンの効いた涼しい部屋の中で聴くラテン・ジャズは格別のものがある。こってこてラテンな音楽は、ねっとり暑苦しくていけないのだが、シャープなアレンジに乗った、切れ味良く軽快なラテン・ジャズは聴いていて気持ちが良い。ラテンなフレーズには「キメ」のフレーズがあるのだが、それがバッチリ決まると爽快である。

Chano Dominguez, Rubem Dantas & Hamilton de Holanda『Chabem』(写真左)。2022年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Chano Dominguez (p), Rubem Dantas (perc, Cajón), Hamilton de Holanda (bandolim) 等。

ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズを手掛けるスペインのピアニストのチャノ・ドミンゲス、カホンの名手であるルベン・ダンタス、バンドリンの名手のアミルトン・ヂ・オランダ、3人の共同リーダー作。

チック・コリアの名曲「Armando’s Rhumba」を彷彿させるスパニッシュで情熱的な演奏である、2曲目の「Para Chick」では、スナーキー・パピーのマイケル・リーグ(Michael League)がゲスト参加している。

ジャズをベースに、フラメンコ、ブラジル音楽、ラテン音楽を融合した「ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズ」が、この盤の中にてんこ盛り。
 

Chabem_1

 
基本的に「融合」のジャズなので、フュージョン・ジャズ志向の音作りかと思いきや、意外とメインストリーム志向の純ジャズ風のアレンジが施されていて、聴き応えがある。

しかも、ラテン&フラメンコの民族楽器「カホン」そして「バンドリン」そのものを導入してジャズ化しているので、その民族楽器の響き自体が「ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズ」のイメージを増幅させている。

チャノ・ドミンゲスは1960年スペイン・アンダルシア州のカディス生まれ。ルベン・ダンタスは1954年ブラジル・バイーア州サルバドール生まれ。アミルトン・ヂ・オランダは1976年ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。

共同リーダーを張る3人は、皆、フラメンコ音楽、ブラジル音楽の発祥の地の出身がゆえ、演奏の根幹に「ラテン音楽」のイメージがしっかり根付いている。それが聴き手にダイレクトに伝わって、この盤の「ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズ」には違和感が無い。

ヒスパニックとブラジルの伝統音楽の出会い。この盤における「ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズ」は内容が濃く、粋である。我が国ではあまり人気の無い「ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズ」。この盤を聴けば、「融合」上手なジャズの中で、「ラテン・ジャズ&フラメンコ・ジャズ」は確固たる1ジャンルを確立させている、と感じる。
 
 

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2022年6月28日 (火曜日)

猛暑の日々にラテン・ジャズ

先日、梅雨が明けた関東地方。梅雨明けしたら、しばらく暑い日が続くと言うが、それにしても暑い。暑過ぎる。連日の真夏日。朝からエアコンが無ければ、家の中でも過ごせない。これだけ暑いと思考も鈍る。もはや難しいジャズは聴きたくない。聴いて良く判る、聴いて楽しいジャズが良い。

『The Latin Jazz Quintet』(写真)。1960~61年、NYにて録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (fl, b-cl, sax), Felipe Diaz (vib), Bobby Rodriges (b), Artur Jenkins (p), Tommy Lopez (congas), Luis Ramirez (timbales)。こってこてポップなラテン・ジャズ。しかし、フロント管に、エリック・ドルフィーが参加している異色盤である。

パーソネルを見て「なんなんだ、この盤」と思った。ドルフィー以外、ほとんど知らないメンバーばかり。タイトルから「ラテン・ジャズ」をやっている盤。しかも、ドルフィーがラテン・ジャズをやる、とな? これは途方も無い「駄盤」か、意外と面白い「異色盤」かのどちらかだ。しかし、この最近の酷暑で、難しいジャズは嫌だ。ということで、この不思議なラテン・ジャズ盤を聴くことにした。
 

The-latin-jazz-quintet_1

 
ドルフィーは独特に捻れたサックスを封印して、メンバーの一員として、調和の取れたパフォーマンス。しかし、サックスの基本が相当しっかりしているのだろう、良い音出している。フルートもバスクラも良い音出している。ラテン・ジャズの独特の旋律を、とても良い音で、とても良いブロウで吹き上げている。ドルフィーの全く違った、しかし別の優れた側面を聴いた様な気がして、不思議な高揚感にかられる。

収録曲が面白い。ラテン・ジャズの演奏でありながら、収録曲はジャズ・スタンダード曲がメイン。ラテン・ジャズの企画盤なので、ラテン・ミュージックのヒット曲などを選曲するのが常套手段だが、この盤は違う。ラテン・ジャズの企画盤なのに、収録された演奏は、ジャズ・スタンダードをラテン・ジャズ風にアレンジしたものばかり。これが聴いていて面白い。難しいことを考えること無く、ラテン・ジャズ風にアレンジするとこうなるのか、とあっけらかんと感心するばかりである。

全体の雰囲気は「ラウンジ・サウンド」風なんだが、演奏の基本がしっかりしているので、意外と聴き応えのある「ラテン・ジャズ」に仕上がっているのだから面白い。猛暑の日々に、肩肘張らずにリラックスして楽しんで聴けるジャズ。こういうジャズもたまには良い。
 
 

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2022年3月27日 (日曜日)

グリーンが奏でるラテン・ジャズ

ジャズ・ギタリストの中で、グラント・グリーンは「知る人ぞ知る」、マニアックな存在のギタリストである。パッキパキなシングル・トーンで、ファンキーなギター。シングル・トーンがメインなので、ちょっとだけ聴くと「なんか下手くそ」な感じがするんだが、どうして、テクニックは一流。

どっぷりファンキーなフレーズは、グリーン独特のトーン。僕にとって、グラント・グリーンは「フェイバリット・ギタリスト」の1人である。だが、我が国では、何故だか判らないが、意外とグラント・グリーンが「好きなギタリスト」として名前が挙がることが少なかった。1990年代のブルーノートの全面再発で、やっとその名前が再認識され始めたみたいだ。

Grant Green『The Latin Bit』(写真左)。1962年4月と9月の録音。ブルーノートの4111番。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), John Adriano Acea (p), Wendell Marshall (b), Willie Bobo (ds), Carlos "Patato" Valdes (conga), Garvin Masseaux (chekere)。CDのボートラのみ、Ike Quebec (ts), Sonny Clark (p)。
 

The-latin-bit

 
ファンクネスだだ漏れのギタリスト、グラント・グリーンが「ラテン・ジャズ」にアプローチした企画盤である。パーソネルを見渡すと、パーカッション中心に「ラテン・ジャズ」系のメンバーが参加している。ドラムのウイリー・ボボと、コンガのパタート・バルデスが叩き出すリズム&ビートが、完全に「ラテン・ジャズ」している中で、グリーンは楽しそうに、唄うが如く、ラテン・ジャズなフレーズを弾きまくる。

聴いていて面白いのは、ラテン・ジャズ志向なジャズをやっている中で、グラント・グリーンのギターは、意外と相変わらず、パッキパキなシングル・トーンで、ファンキーなギターのままであること。ラテン・フレーズの中に、しっかりとブルージー&スウィンギーな要素を織り込んでいるところが、いかにも「ブレないグラント・グリーン」らしいです。

アフロ・キューバン・ジャズの名曲「Mambo Inn」のリラックスしたギターや、メキシコ発のラテンな名曲「Besame Mucho」やブラジル名曲「Aquarela Do Brasil」のカヴァーなど、楽しく寛いでスインギーなグリーンのギターがとても魅力的です。ラテンな衣装に身を包んでギターを抱えてポーズする楽しそうなグリーンのジャケットもなかなか良好。聴き心地の良い「ラテン・ジャズ」盤です。
 
 

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2022年1月20日 (木曜日)

ポップなウィントン・ケリー盤

ウィントン・ケリーのピアノは、健康優良児的なファンキーで明るいタッチ。しかし、その奥に見え隠れするブルージーな哀愁感が堪らない。転がる様に軽く飛び跳ねるように軽快なフレーズの中に、そこはかとなく漂う粘り。ケリーのピアノは、実に親しみ易いもので、聴いていて楽しく、リラックス度満点のピアノである。

Wynton Kelly『It's All Right!』(写真左)。1964年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Wynton Kelly (p), Kenny Burrell (g), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds), Candido Camero (conga)。6曲目の「The Fall of Love」には、The Tommy Rey Caribe Steel Bandという、スティール・パン&マラカス軍団が加わっている様だ。

この盤は、Verveレコードからのリリース。Verveレコードは当時、大衆向け音楽の大手レーベル。ジャズについても、大衆向けのファンキー・ジャズやソウル・ジャズを量産していた。このケリーの『It's All Right!』は、そんなVerveのジャズ大衆路線の一環。プロデューサーは、後の「フュージョンの仕掛け人」、クリード・テイラー。
 
Its-all-right_wynton-kelly

 
アルバム全体の印象は、聴いて楽しい、アーバンでダンサフルな「ソウル・ジャズ&ラテン・ジャズ」。垢抜けたソウル・ジャズ、そして、当時流行のラテン・ジャズ。Verveのジャズ大衆路線の面目躍如。ケリーの親しみ易い、聴いて楽しいピアノが、この「大衆向けのジャズ」にピッタリ。

キャンディドのコンガが効いている。ゲスト参加のスティール・パン&マラカスが効いている。特に、ラテン・ジャズ志向の演奏については両者、効きまくっている。ポップでダンサフルな雰囲気を撒き散らしている。そして、ケニー・バレルの漆黒アーバン・ギターもバッチリ効いている。アーバンで夜のジャズな雰囲気を思いっ切り増幅する。

ジャケットも、独特な「American cartoon(米国漫画)」風のユニークなジャケットで、とてもジャズのアルバムとは思えない。さすがは、Verveレコードである。ともあれ、お気楽なポップ志向のジャズ盤っぽいが、ケリーのピアノ、バレルのギター、それぞれの個性を最大限発揮していて申し分無い。気楽に聴き流して楽しいケリー盤である。
 
 
 
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2021年12月20日 (月曜日)

冬のボサ・ノヴァ・ジャズ・4

この盤の音世界は。ボサ・ノヴァ・ジャズに括るには憚れる。ボサ・ノヴァやサンバなど、ブラジル音楽の要素は色濃いが、ラテン音楽、ゴスペルなどの教会音楽からの影響が強く感じられ、果てはロックや米国ポップス、ソウルの要素も偲ばせている。リズム&ビートは疾走感溢れる軽快で爽快なもの。そして、フレーズはネーチャーでフォーキーな、自然な景観や雰囲気を感じさせる、美しく郷愁溢れるもの。

Milton Nascimento『Milton』(写真)。1976年の作品。米国L.A.での録音。ちなみにパーソネルは、Milton Nascimento (g, vo, arr), Toninho Horta (el-g), Wayne Shorter (ss, ts), Raul De Souza (tb), Herbie Hancock (p), Hugo Fattoruso (p, el-org), Novelli (b), Roberto Silva (ds, perc), Laudir De Oliveira (perc)。

ミルトン・ナシメント(Milton Nascimento)は、1942年10月、ブラジル、リオ・デ・ジャネイロの生まれ。「ブラジルの声、ブラジルの心」の異名を持つMPB(Música Popular Brasileir)=「ブラジルのポピュラー音楽の総称」の代表的ソングライター。そんなミルトンの通算4作目、ミルトン・ナシメントが米国に渡って、ウェイン・ショーターやハービー・ハンコックをゲストに迎えて録音、1976年にリリースした名盤である。
 

Milton-1976

 
この盤は、冒頭からラテンチックでブラジリアン、ワールド・ミュージック志向の「融合」音楽が展開される。そして、賛美歌の様な「祈るような」スキャット、自然の風を感じさせるパーカッション&ピアノの響き。様々な音楽ジャンルの要素が、MPBの名の下に「融合」された、上質の「フュージョン・ミュージック」。

演奏の展開は「即興性」が前提、リズム&ビートはジャジー。そういう意味で、この音世界は、コンテンポラリーな、ワールド・ミュージック志向のフュージョン・ジャズとして良いかと思う。ショーターのソプラノ・サックス、ハンコックのピアノが要所要所で良い音を出していて流石だ。この2人の参加が、ミルトンの音世界にジャジーな要素を色濃く反映させている。

そんな、1970年代ジャズ~フュージョン的要素が濃厚な音世界ながら、ブラジリアンな音の要素はしっかり前面に出ていて、ブラジルの大地に吹く風を思い起こさせるような、ネーチャーでフォーキーな音世界に思わず引き込まれる。MPBをベースとした、フュージョン・ジャズのアーティスティックな傑作。優れたフュージョン・ジャズは、何も米国だけのものでは無い。
 
 
 

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2021年12月16日 (木曜日)

冬のボサ・ノヴァ・ジャズ・3

今年の暮れは「冬のボサ・ノヴァ・ジャズ」に触手が伸びる。「夏はボサ・ノヴァ・ジャズで爽やかに」というのが定番なのだが、寒い冬、暖かい部屋の中でリラックスして聴く「冬のボサ・ノヴァ・ジャズ」も意外と良い雰囲気。ほんわかウォームなボサ・ノヴァ系のヴォーカルが、冬の寒い雰囲気の中で心地良く響くから面白い。

Tania Maria『Brazil With My Soul』(写真左)。1978年の作品。ちなみにパーソネルは、Tania Maria (vo, p), Alain Hatot (ts, fl), Alfred Housepian (tp, flh), Zezito, J.F. Jenny-Clark (b), Hubert Varron (cello), Aldo Romano (ds), L.C. Fuina (ds, perc), Clovis Lobâo (perc)。

Tania Maria(タニア・マリア)は、ブラジル出身の女性ボーカリスト&ピアニスト。1948年生まれなので、今年で73歳。この『Brazil With My Soul』を録音した時点では30歳。若さ溢れる、バリバリのパフォーマンスが見事。彼女のキャッチフレーズは「パッション溢れるピアノ・タッチと流麗で爽やかなボーカル&スキャット」。
 

Brazil-with-my-soul

 
彼女の音志向は「ブラジル音楽、ジャズ・フュージョン、クラシックを鮮やかに融合した音作り」で一貫している。ボサ・ノヴァやサンバを基調としているが、リズム&ビートはジャジーであり、ボサ・ノヴァ・ジャズの特徴である「爽やかで、ほんわかウォームな、リズミカルではあるが、どこかアンニュイが漂う」ところが意外と希薄。エネルギッシュでダンサブルな面が前面に出ているところが個性。

この盤には、ジャズを基調として、ボサ・ノヴァ、サンバ、というブラジル音楽の要素はふんだんに入っているが、アフロラテン、ポップス、ソウルな音楽の要素もしっかり反映されていて、1978年の作品である様に、この盤の音の雰囲気は、明らかに「ワールド・ミュージック志向のフュージョン・ジャズ」。しかも、タニアの優れたボーカルが入った、フュージョンに珍しい「フュージョン・ボーカル盤」である。

良い雰囲気のフュージョン・ジャズ。チック・コリアやフローラ・プリムのフュージョン盤に通じる、ラテン系の音世界を色濃く反映した「融合(フュージョン)」の音楽は、聴いていて爽快、ユートピア志向に通じる、凛としたロマンティシズムも良い方向に作用している。「ワールド・ミュージック志向のフュージョン・ジャズ」の名盤の1枚。
 
 
 
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2021年11月27日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・223

欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫である「SteepleChase」。硬派で素姓確かなメインストリームな純ジャズのアルバムを多数リリースしているが、独自の感覚で、レーベル独特のジャズマンをチョイスした、ユニークなジャズ盤もリリースしていて、これが意外に興味深い内容なのだ。

Hilton Ruiz『Piano Man』(写真左)。1975年7月10日、NYでの録音。SteepleChaseレーベルのSCS 1036番。ちなみにパーソネルは、Hilton Ruiz (p), Buster Williams (b), Billy Higgins (ds)。プエルトリコ系米国人ピアニスト、ヒルトン・ルイスのトリオ盤。ルイスは1952年生まれなので、この盤の録音時は23歳。ルイスの初リーダー作である。

ヒルトン・ルイスというピアニストには全く馴染みが無かった。彼の経歴を紐解いてみると、幼い頃はクラシック・ピアノ、高校時代にジャズ・ピアノに転身し(メアリー・ルー・ウィリアムスに師事している)、1973年、ローランド・カークのサイドマンとして頭角を現し、フランク・フォスター、ジャキー・マクリーンを始めとした、ジャズのトップ・ミュージシャン達のサイドマンを経験している。

スティープルチェイス・レーベルからは、この初リーダー作の「Piano Man」を始め、「Excition」「New York Hilton」「Steppin' Into Beauty」の4枚を、集中して1977年に録音している。生涯を通じては、約20枚程度のリーダー作を世に送り出しているようだ。
 

Piano-man-hilton-ruiz

 
基本的には、アフロキューバン・ジャズの系列のピアノなので、オーセンティックな純ジャズもやるが、個性が最大限に活かされるのは、ラテン・ジャズなナンバーだろう。このアルバム冒頭のルイす作「One for Hakim」を聴けば、それが良く判る。左手の和音の響きが明らかに「ラテン」で、よく回る右手のシングルトーンがこれまた「ラテン」。リズム&ビートもやはり「ラテン」。

オーセンティックな純ジャズもやる、という面は、2曲目のデューク・ジョーダン作の「Misty Thursday」を聴けば明らか。スローなバラードチックな佳曲であるが、「ラテン」など何処へやら、リリカルで耽美的、ファンクネス皆無な欧州的ジャズ・ピアノの音と正統な純ジャズの切り口で、切々と弾き進められる。ここで、特徴的なのは、ルイスのピアノのテクニック。確かで確実な指捌きは素晴らしい。

バックのリズム隊に、バスター・ウィリアムスのベースとビリー・ヒギンスのドラムを配しているところも、この盤の内容をグッと引き締めている。ラテンなジャズにしろ、オーセンティックなジャズにしろ、この2人のリズム隊が堅実にガッチリとリズム&ビートを固めている。

ラテンあり、オーセンティックあり、内容は多様性に富んでいる。いかにも、1970年代の純ジャズらしい、欧州ジャズらしいピアノ・トリオ盤である。
 
 
 
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2021年4月20日 (火曜日)

パーカーの非凡な才能・その6

昨日、9日ぶりにブログを再開した訳ですが、チャーリー・パーカーの入門盤に最適なヴァーヴ・レーベルからリリースされた「The Genius Of Charlie Parker」シリーズのご紹介記事が途中で途絶えていたので、あと2枚なんですが、再開させて頂こうかと。

『The Genius Of Charlie Parker #6 : Fiesta』(写真左)。1948〜1952年の間のセッションの寄せ集め。パーソネルは「Charlie Parker And His Orchestra」で、Charlie Parker (as), , Benny Harris (tp), Walter Bishop, Jr. (p), Teddy Kotick (b), Roy Haynes (ds), Max Roach (ds), Jose Mangual (bongos), Luis Miranda (conga)。

チャーリー・パーカーと言えば「ビ・バップ」の祖の一人。「ビ・バップ」の演奏スタイルは後に続く、ジャズ史上最大の演奏スタイル「ハード・バップ」の礎でもある。やはり「ハード・バップ」以降のジャズを聴く場合、たまには「ビ・バップ」の演奏にも耳を傾け、現代ジャズの「礎」の演奏の雰囲気を感じることは大切だと思っています。

ただし、チャーリー・パーカー=「ビ・バップ」といえば、激しいアドリブ合戦や超絶技巧な高速フレーズの連発で、ちょっとジャズ初心者の方は敷居が高く、苦手やなあと感じてしまう気がします。

ジャズ盤の入門盤紹介の記事を見て、『オン・ダイアル』や『オン・サヴォイ』なんてアルバムを入手して聴いた時には、何が何だか判らず、ただ激しく、やかましく、うるさいだけで、きっと、パーカーやビ・バップが嫌いになってしまう危険性大です。
 

Fiesta-charlie-parker

 
盤によっては、別テイク(本収録されたテイクと内容に遜色ない出来だが、アルバムの収録時間の制約上、やむなく不採用となったテイク)やアウトテイク(演奏は完結したが不採用となったテイク)、失敗テイク(何らかのトラブルが生じて完結しなかったテイク)が入り混じって収録されて、何が何だか判らなくなります。

やはり、聴き易く馴染み易いセッションで固めたアルバムが良いと思う訳で、そう言う意味では、このパーカーの『The Genius Of Charlie Parker #6 : Fiesta』はなかなか良い感じの盤かと思っています。

この盤は、チャーリー・パーカーが吹き込んだ唯一のラテン・ジャズ盤。通常のコンボに2名のラテン・パーカッション(コンガ&ボンゴ)を加えた編成で、めくるめくラテン・ジャズの祭典(Fiesta)。エネルギッシュなパーカーのアルト・サックス。

1948〜1952年の間のセッションなんですが、既にジャズとラテン音楽は融合していたんですね。アレンジも良好、しっかりとラテン音楽の要素がジャズに融合していて、取って付けたような違和感は全くありません。演奏する方も手慣れた感が感じられて、皆、エネルギッシュに吹き上げ、叩きまくる。

特にパーカーの「ビ・バップ」マナーの、エネルギッシュでテクニカルなアルト・サックスが、ラテン音楽の旋律を吹き上げるのにピッタリ。ポップで聴き易い「ビ・バップ」マナーのアルバムに仕上がっていて素晴らしい出来です。ポップで聴き易い内容なので「ながら聴き」なジャズにも最適かと。好盤です。
 
 
 

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