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2017年3月16日 (木曜日)

アフリカの音 + 崇高なジャズ

アブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)= ダラー・ブランド(Dollar Brand)。確か、僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半は「ダラー・ブランド」だったなあ。1980年代に入ってからやないかなあ、「アブドゥーラ・イブラヒム」っていう呼び名に変わったのは。

僕はこの「アブドゥーラ・イブラヒム」のピアノが、音楽性が大好きである。ジャズのフォーマットに、伝統的なアフリカのフォークソング、米国黒人のゴスペルの要素を思いっきりぶっ込んで、アーティステックなジャズをやる、という、唯一無二の個性が、彼の持ち味。

伝統的なアフリカのフォークソング、米国黒人のゴスペルの要素を部分的に取り込むことは、それが好みのジャズメンはたまにやるが、イブラヒムの様に、全面的に伝統的なアフリカのフォークソング、米国黒人のゴスペルの要素を大々的に取り入れて、その雰囲気のまま、バーンと最初から最後までやってしまうのは彼しかいない。
 

African_space_program1
 
そんなアブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)= ダラー・ブランド(Dollar Brand)の音楽的個性が手に取るように判るアルバムがある。Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)『African Space Program』(写真左)である。1973年11月の録音。enjaレーベルからのリリース。

ジャケット写真が実に良い雰囲気。アフリカの原野、その中に一本の道、一本の木。イブラヒム独特の個性が音が聴こえてきそうだ。冒頭の「Tintiyana, Pt. 1」。伝統的なアフリカのフォークソングの響き、アフリカ系ワールド・ミュージックのリズム&ビート。それが、フリー・ジャズのフォーマットの中で乱舞する。ふぇ〜、僕にとっては「とても心地良い音世界」。

このアルバムには、アブドゥーラ・イブラヒムの音の個性がギッシリ詰まっています。しかも、ジャズとして聴くと、とても硬派なフリー・ジャズな要素とモーダルな自由度の高いジャズとが相まみえた、かなり高度でコンテンポラリーなメインストリーム・ジャズであることに改めて驚く。現代の先進的なジャズとして十分に評価出来る、崇高で高邁な音世界です。

 
 

震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2012年6月19日 (火曜日)

アフリカン・ネイティブな響き

アフリカン・ネイティブな音が大好きである。子供の頃から、アフリカの民族音楽を聴くとワクワクする。アフリカン・ネイティブな音と言えば、アフリカン・アメリカンの音楽であるジャズの源。

アフリカン・ネイティブな、アーシーでフォーキーな響きを宿したジャズと言えば、真っ先に「Abdullah Ibrahim」を思い出す。1970年代、デビューの頃の名前は「Dollar Brand(ダラー・ブランド)」、今は「Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)」。

そのアブドゥーラ・イブラヒムがダラー・ブランド時代のソロ・アルバムがある。アルバム・タイトルは『African Sketchbook』(写真左)。ダラー・ブランドがフルートとピアノを使って演奏するソロ・アルバム。録音は1969年5月。ソウル・ジャズ、ジャズ・ロックが流行り、クロスオーバー・ジャズが流行りだした頃。

このダラー・ブランドのフルートが、素晴らしくアフリカン・ネイティブな響きを宿している。このフルートの調べを聴くだけで、お頭の中にはアフリカの大地、アフリカの自然の風景が浮かんでくる。アフリカの民族音楽の様な、魂を揺さぶるような、肉声の叫びに近いフルートの響き。

そして、そのフルートに続いて、アーシーで重心の低いビートが魅力のダラー・ブランドのピアノが迫ってくる。アフリカン・ネイティブな響き、リズム、ビート。実に魅力的。
 

African_sketchbook

 
アフリカン・ネイティブな音の響きが好きな者にとっては、たまらない響き。アーシーなリズム&ビートとはこれだ、と言わんばかりのダラー・ブランドの重心の低い左手。ゴーン、ガーンとアーシーに響き渡る左手。

右手は、アフリカン・ネイティブなフレーズを紡ぎながら、フォーキーな響きを醸し出す。唄うような、語りかけるような、自然な声の様なフォーキーなフレーズ。アフリカの民族音楽を彷彿とさせるようなフォーキーな響き。アフリカの響き。

しっかりとしたアーシーなリズム&ビートに乗って、自由自在にフリーキーに乱舞するダラー・ブランドのピアノ。普通のジャズの演奏範疇に無い「アフリカン・ネイティブ・ジャズ」とでも表現すべき、アフリカの響き。

限りなく続く地平線、大地を疾走する風、土煙の向こうに群れなす動物たち、闇夜に蠢く獣の気配、ネイティブな人々のシャイな笑顔、溢れんばかりの活力、祈りの声。民族の団結。そんなイメージを彷彿とさせるダラー・ブランドのピアノ。

これもジャズ。意外とありそうでないダラー・ブランドの「アフリカン・ネイティブ・ジャズ」な音世界。僕は大好きです。アフリカの民族音楽が好きな方には是非ともお勧め。そう、これもジャズです。ジャズの裾野は広い。ジャズの柔軟性を感じる。 

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

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2010年7月15日 (木曜日)

Farewell 南アフリカ、忘れない

サッカーWC 南アフリカ大会が終了して、3日経った。寝不足の日々が1ヶ月続いた。さすがに、朝方の3時30分開始の試合を観ることは、ほとんど出来なかったが、その前、2試合はほぼ観た。さすがに、冬の季節の大会。気候のコンディションが良かったのだろう、良い試合が多かった、というか、ほとんどの試合が含蓄ある内容だった。

日本にとっても忘れられない大会になった。アウェーの大会で、初めて決勝トーナメントに進出した。しかも、自分としては、今回やっと、日本のサッカーのスタイルが確立されたと確信した。世界のマスコミから「サムライ・ブルー」「ブルー・サムライズ」という世界で通用するニックネームも定着した。僕は、日本のサッカーのスタイルが確立された、という思いを持てたのが、とても嬉しい。1970年WCメキシコ大会からサッカーを観てきた自分にとってはこれほど嬉しいことは無い。

さて、開始前は安全かつ円滑な大会運営が出来るかどうか懸念されたが、大きなトラブルも無く、成功裏に終わった。今日は「Farewell 南アフリカ、忘れない」と題して、大会中、ご紹介し続けて来た、南アフリカ出身のジャズ・ピアニスト、Abdullah Ibrahim(アブドゥラ・イブラヒム)のアルバムの中で、リラックスして聴ける僕のお気に入りの一枚をご紹介したい。

タイトルは『Mantra Mode』(写真左)。1991年のリリース。ちなみにリリースは、Abdullah Ibrahim (p), Basil "Mannenberg" Coetzee (ts), Robbie Jansen (fl, as, bs), Johnny Mekoa (tp), Monty Weber (ds), Spencer Mbudu (b), Errol Dyers (g)。enjaレーベルからのリリースである。
 

Mantra_mode

 
冒頭の「Bayi Lam」は、従来からの、アーシーでワールド・ミュージック的なアフリカン・フォーキーなピアノが美しい、明らかに今までの「Abdullah Ibrahimの世界」。しかし、2曲目の「Dindela」から、ちょっと様相は違ってくる。良い意味で、アフリカン・フォーキーな音世界が洗練されて、アーバンで良質なフュージョン・フレイバーな音世界が、この『Mantra Mode』の2曲目以降で展開される。

特に、Johnny Mekoaのミュート・トランペットの音色が、そのアーバンな雰囲気の主役である。そして、選曲についても、4曲目の「Tafelberg Samba-Carnival Samba」の様に、アフリカン・フォーキーな音世界を離れて、サンバのリズムを取り入れたりもしている。まあまあ、垢抜けちゃって・・・(笑)。それでも、Abdullah Ibrahimの郷愁を誘うフォーキーなピアノの音色とアーシーなビートは変わらない。

このアルバム『Mantra Mode』は、Abdullah Ibrahimの音世界を、フュージョン・チックに、良い意味で「ライト」に体験することができる、取っつきやすく入りやすい、Abdullah Ibrahimの入門的アルバムの代表格だと僕は評価している。

冒頭「Bayi Lam」のアーシーでワールド・ミュージック的なアフリカン・フォーキーなピアノが美しい、Abdullah Ibrahimのピアノを愛でながら、今回のサッカーWCを振り返りつつ、心から「Farewell 南アフリカ、忘れない」。今回のサッカーWC・南アフリカ大会は、忘れられない大会のひとつになった。 
 
 
 
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2010年7月 6日 (火曜日)

アフリカ讃歌・Echoes From Africa

蒸し暑い。激しく蒸し暑い、我が千葉県北西部地方。朝は朝で蒸し暑さ抜群、20分も歩いて隣駅まで行けば、汗が滝のように流れる。う〜ん蒸し暑い。そして、夕方は夕方で蒸し暑さ抜群。ぬるま湯の中を歩いているような感じ。まとわりつく湿気抜群の空気。気持ち悪くまとわりつく、湿気抜群の風。今年の蒸し暑さは半端では無い。身体に悪い「蒸し暑さ」。

さて、明日の早朝より、サッカーWCの準決勝第一試合、ウルグアイ×オランダ。いよいよ、サッカーWC南アフリカ大会も終盤。あと4試合を残すのみ、準決勝2試合、3位決定戦、そして決勝。もう泣いても笑ってもあと4試合である。

今回のWCは観ていてとても楽しい。世界のサッカーのトレンドが手に取るように判る。南アフリカの気候が良いせいもあるんだろう、本当に良い試合が多くて、本当に楽しめる。しかし、明日の早朝3時半からの試合開始は、ちょっと観られんなあ。本業に影響する。でも、5時くらいには起きて、後半戦だけは観たいものだ。

で、景気付けに、Abdullah Ibrahimのアルバムを聴く。今回は「Africa」シリーズ、1979年リリースの『Echoes from Africa』(写真)。ちなみにパーソネルは、Abdullah Ibrahim (p, vo), Johnny Dyani (b,vo)。基本的に、Abdullah Ibrahim と Johnny Dyani のデュオアルバムである。

これが実に「アフリカン」。1曲目、約17分の長尺ナンバー「Namhanje」での冒頭を飾るアフリカン・ネイティブでフォーキーな歌唱が、もう既に「アフリカン」。 Abdullah Ibrahimが主たるボーカルを担当し、Johnny Dyaniがコーラスを付ける。ワールド・ミュージックな雰囲気満点。アフリカンな歌唱が、このアルバムを特別なものにしている。
 

Echoes_of_africa

 
ジャズの世界で、これだけあからさまに、アフリカン・ネイティブでフォーキーな歌唱をメインにできるのは、南アフリカ出身の Abdullah Ibrahimの特権だろう。このアルバムで、Abdullah Ibrahimは、彼独特の左手の強烈なビートと右手のアーシーでフォーキーな旋律を、なんのてらいもなく、ガンガンに弾き続ける。何の迷いの無い、明らかにポジティヴなアフリカン・ピアノ。

アーシーでフォーキーなピアノの音色、そして、インプロビゼーションの展開が実にオープンで、正の方向に拡がっていて、なんだか、そこはかとなく「幸福感」を感じることの出来る、アフリカンな展開。そして、その展開を支えるJohnny Dyaniの骨太なアコースティック・ベース。このJohnny Dyaniのゴリッとした骨太なベースにも、強く「アフリカ」を感じる。

全編、約32分程度のちょっと短いアルバムではあるが、その中に詰め込まれている「アフリカン」な雰囲気、「アフリカン」な音は、彼のどのアルバムよりも、アフリカ色が濃厚。ワールド・ミュージックがベースの純ジャズ、最右翼の一枚である。

ワールド・ミュージックがベースのジャズの先駆的なアルバムです。聴いていて、これほど「アフリカ」を感じさせてくれるアルバムは、なかなか無い。Abdullah Ibrahim=Dollar Brandって、日本ではマイナーな存在ですが、アフリカンなワールド・ミュージックがベースのジャズを語る上では、絶対に外せないジャズ・ピアニストです。

アルバムのジャケット・デザインは2種類ある。僕がジャズ者初心者だった頃、このアルバムに出会った頃のアルバム・ジャケットは左のデザイン。何の変哲も無い、当時のアフリカの家屋の写真がメインの、左のジャケット・デザインの方が、当時の「アフリカ」を感じさせてくれて、僕は今でも好きだ。
 
 
 
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2010年7月 1日 (木曜日)

Banyana -The Children Of Africa

南アWCもたけなわ。サムライ・ブルーは惜しくもベスト16で散ったが、今回はなかなか実りあるWCだった。やっと日本のサッカーのスタイルが確立されたような気がする。世界的に「サムライ・ブルー」の愛称が認知されたようだし、これからのサムライ・ブルーの戦いが楽しみである。

さて、6月11日、南アWCの初日、このブログでご紹介した、南ア出身のジャズ・ピアニスト、ダラー・ブランド(Dollar Brand)。イスラム教に改宗して、イスラム名は、アヴドゥラー・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)。その時、語ったアルバムが『Good News from Africa』(6月11日のブログ参照)。そんなアヴドゥラー・イブラヒムのアルバムを更に聴きたくなる。

昨日、今日とWCの試合が無い。昨日より早寝して、「累積警告」ならぬ「累積睡眠不足」の解消に努めている(笑)。そして、ゆったりとアヴドゥラー・イブラヒムのアルバムに耳を傾け、遠く南アWC会場に想いを馳せる。思いを馳せながら、流れるアルバムは『Banyana - children Of Africa』(写真左)。1976年のリリース。ちなみにパーソネルは、アブドゥーラ・イブラヒム (p,ss,voc), セシル・マクビー (b), ロイ・ブルックス (ds)。

『Good News from Africa』は、左手の強烈なビートと右手のアーシーでフォーキーな旋律。展開が実にオープンで、正の方向に拡がっていて、なんだか、そこはかとなく「幸福感」を感じることの出来る、アフリカンな展開が特徴。言い換えると、ちょっと脳天気なまでの「アフリカ讃歌」。しかし、この『Banyana - children Of Africa』は、アグレッシブで緊張感の高い、実に硬派なメインストリーム・ジャズ。
 

The_children_of_africa

 
しかし、冒頭のタイトル曲「Banyana -The Children Of Africa」だけは、ちょっと脳天気なまでの「アフリカ讃歌」。しかし、その冒頭のタイトル曲のラストの一音が「鋭く切り裂くような不協和音」。そして、不穏な雰囲気漂う、2曲目「Asr」が始まる。テンション溢れ、不協和音を織り交ぜながら、それでいて、ポジティブなビートが心和む、実にストレートなメインストリーム・ジャズ。実に硬派なジャズ。実にストイックな純ジャズ。

この「テンション溢れ、不協和音を織り交ぜながら、それでいて、ポジティブなビート」は、2曲目以降の全曲を心地良く覆っている。そして、時にフリー・ジャズの要素を、時にモーダルなインプロビゼーションを、掛け値なく素晴らしいテクニックを駆使して、このピアノ・トリオは弾き上げていく。とにかく、当時の最先端を行くメインストリーム・ジャズがここにある。

ラストの「Yukio-Khalifa」は圧巻の一言。重心の低い、低音響くアーシーなイブラヒムのピアノに、これまた重心の低い、ブルブル震える重戦車の様なマクビーのベース。そして、多彩なポリリズムとフォーキーな響きが個性のブルックスのドラム。超重量級のリズムセクション。この3者が絡み合って、ソロを展開し合って、それはそれは硬派なメインストリーム・ジャズを聴かせてくれる。

ストイックで、アグレッシブで緊張感の高い、実に硬派なメインストリーム・ジャズ。不穏な雰囲気漂い、なんだか危険な匂いのするテンション溢れ、せめぎ合いの様な不協和音を織り交ぜながら、それでいて、不思議とポジティブなビートが心和む、明日を感じるビート。

この雰囲気って、1960〜70年代、時代はアフリカの時代、アフリカ独立の時代。そんな時代の風景を出来事を、ジャズというフォーマットの音で感じされてくれるような優秀盤だと想います。エンヤレーベル独特の少しエコーのかかった独特の録音と共に、実に内容のある、良いアルバムです。  
 
 
 
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2010年6月11日 (金曜日)

Good News from Africa

さあ、W杯である。南アフリカ大会。1970年、メキシコ大会のベッケン・バウワーに感動してから、長年、W杯を見てきた。意外とオールドファンの松和のマスターである。

さて、今回は南アフリカ大会。南アフリカ出身のメジャーなジャズ・ミュージシャンはいるのか? これがいるんですよね。1934年10月9日、南アフリカのケープタウンに生まれたダラー・ブランド(Dollar Brand)。イスラム教に改宗して、イスラム名は、アヴドゥラー・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)。

ジャズ・アルバムの紹介本に、よく登場するのが、ソロ・ピアノの名盤、ダラー・ブランドの『アフリカン・ピアノ』。実は、このアルバムばかりが紹介されるので、ダラー・ブランドって「一発屋」と誤解しているジャズ者の方もいるが、それは「違います」。現在でも、バリバリ現役のベテラン・ジャズ・ピアニストとして活躍しています。

『アフリカン・ピアノ』は、ECMレーベルからのリリースであったが、ダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムの傑作は、1970年代のEnja(エンヤ)レーベルに存在する。この事実は、何故か日本のジャズ・シーンでは正しく伝わること無く、ECMの『アフリカン・ピアノ』だけが紹介される不思議な事実。意外と、日本のプロのジャズ者の方々は、ジャズ者としての良心に欠けるのかもしれない。

今回、ご紹介する『Good News from Africa』は、ダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムの代表盤である。Johnny Dyaniというベーシストとのデュオなのだが、ドラムの代わりに、様々な種類のパーカッションが効果的で、どうしてどうして、ダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムの個性が最大限に発揮された、実に聴き応えのあるアルバムである。
 

Goodnews_fromaflica

 
冒頭の「Ntsikana's Bell」が、このアルバムの全てを物語る。いきなり出てくる、アフリカ民謡の様な、土着感溢れる、アーシーなスキャットが、もう既にドップリと「アフリカ」である。アフリカは黒人のルーツ。ジャズは黒人の音楽。アフリカの土着音楽を効果的に取り入れながら、続いて出てくるダラー・ブランド=アヴドゥラー・イブラヒムのアーシーでフォーキーなピアノ・ソロ。雰囲気は「アフリカ」。アフリカのフォーキーな雰囲気、アーシーな左手のビート。そして、演奏のボトムをしっかりと支え、ピアノに絡むベース。

アフリカの民俗音楽の要素を巧みに取り込みながら、左手の低音をメジャーな響きで活かしながら、ピアノの右手が実にアーシーでフォーキーな旋律を紡ぎ上げていく。アフリカの音を基軸にしながら、上質のジャズ・ピアノ+ベースのデュオを歌い上げていく。収録されているどの曲にもアフリカの音の香りがプンプンと漂っている。そして、ガーン、ゴーンと強烈な左手のアーシーなビート。実にアフリカンな展開に自然と心がポジティブに揺れ動く。

特に、このポジティブさが、このアルバムを傑作、名盤の類に昇華させている。演奏はシンプルで、何も難しいことをしていないけど、左手の強烈なビートと右手のアーシーでフォーキーな旋律。展開が実にオープンで、正の方向に拡がっていて、なんだか、そこはかとなく「幸福感」を感じることの出来る、アフリカンな展開。これぞ、アフリカン・ジャズってな雰囲気に、本当に心から音が素直に入ってくる。

しかもタイトルが『Good News from Africa』。良いタイトルではないですか。アルバムリリースは、1973年。アフリカ独立ムーブメント真っ只中。『Good News from Africa』のタイトルに、アフリカ出身のミュージシャンの願い、想いを強烈に感じる事ができる。ジャケット・デザインもなかなかの印象。良いアルバムです。

強盗、盗難のニュースばかりが入ってくる、W杯開催国である南アフリカ。悪いニュースばかりでは淋しすぎる。今一度、南アフリカには頑張って欲しい。そして、『Good News from Africa』を聴きながら、「Good News from Africa」を心待ちにしている松和のマスターである。
 
 
 
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2010年3月11日 (木曜日)

Abdullah Ibrahim=Dollar Brand

ファンキーなジャズ・ピアノも大好きだ。モーダルなフリー一歩手前の自由度の高いジャズ・ピアノも大好きだ。ビ・バップ的な疾走感溢れる弾きまくりジャズ・ピアノも大好きだ。そして、フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノも大好きだ。

フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを初めて体験させてくれたのは、キース・ジャレット。70年代のキースのピアノは、そんなフォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックな響きが特徴のひとつだった。でも、それは、キースのジャズ・ピアノの一部。

このフォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを全面的に押し出して、ほんと、そのまんまのジャズ・ピアノをずっとイチ押しで弾き続けているピアニストがいる。Abdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)、昔の名前は、Dollar Brand(ダラー・ブランド)。

1934年10月、南アフリカ連邦のケープタウン生まれ。63年にチューリッヒで、デューク・エリントンの目にとまる。65年に米国に渡り、68年にはイスラム教に改宗。セロニアス・モンクやエリントンの影響を受けつつ、独特な音世界を確立している。絵に描いた様な、フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノは聴いていて、ジャズの音の原風景を彷彿とさせてくれる。

そんなAbdullah Ibrahim=Dollar Brandなジャズ・ピアノを堪能させてくれるソロピアノ・アルバムが『African Piano』(写真左)。彼が生まれ育った街、ケープタウンでは民族色の強い宗教音楽がアメリカのゴスペルやジャズと並んで日常的に演奏されていたそうだ。そんな彼の音の原風景をピアノ・ソロで綴ったような、アーシーでビートの利いた、ファンキーでソウルフルなソロピアノが素晴らしい。
 

African_piano

 
冒頭の「Bra Joe from Kilimanjaro」を聴くだけで、もうダラー・ブランドな世界に「どっぷり」である。緩やかな緊張感溢れるアーシーでファンキーな左手に乗って、力強いタッチで、右手がこれまたファンキーなフレーズを紡いでいく。時にフリーにブレイクしながら(雷が落ちたブレイクで、重低音バリバリで、LP時代には、ややもするとプレイヤーの針が飛んで、ビリビリいって困ったものだ)、力強くしっかりと鍵盤をたたきながら、印象的なフレーズを紡いでいく。

ラストの2曲「ジャブラニ」と「チンチャナ」も実に雰囲気で、実に力強いタッチと強力なリズムで、アルバムタイトルどうりの「アフリカン・ピアノ」を叩き出していく。この強烈な個性とこの強烈なリズムとダイナミックな展開。

このソロピアノ・アルバム『African Piano』には、硬派なジャズ・ピアノが満載。ダラー・ブランドのフォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノの原点が、ここにある。

特に、アーシーでゴスペルチックな響きがたまらない。そして、時折垣間見る、セロニアス・モンク的なパーカッシブな響き。エリントン的な深みのあるマイナー調な音世界。この純ジャズの歴史を踏襲する部分が、このダラー・ブランドのピアノを、いかなる時も「ジャズ・ピアノ」として成立させている。

もともと、ジャズは黒人の音楽であり、アフリカが起源。アフリカン・アメリカンの音の原風景のひとつが、このダラー・ブランドのピアノにあるような気がする。フォーキーでワールドミュージック的な響きを持つ、アーシーでゴスペルチックなジャズ・ピアノを愛でるには、Abdullah Ibrahim=Dollar Brandの諸作を聴くのが早道である。

帰宅時、夜空を見上げれば、夜空の星々は、春の星座が着実にメインになりつつある。西の空には、まだまだ、冬の星座が幅をきかせているが、東の空には、春の星座が勢いよく昇って来ている。直立に立つような獅子座は特に印象的。そこまで来ている春の勢いを感じる。そして、獅子座の一等星が「レグルス」。東天にレグルズの力強い光を感じる頃、もう春はそこまで来ている。

東天に レグルス昇り 春近し 
 
 
 
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