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2019年1月17日 (木曜日)

ECMレーベルらしい内容と響き

欧州ジャズ・レーベルの雄、ECMレーベル。お抱えのジャズメン、多々あれど、そう言えばトランペットが少ないなあ、という印象がある。ちょっと思い起こしてみると、ケニー・ホイーラー(Kenny Wheeler)が先ず浮かんで、あとは・・・。あれれ、他はいないのか。う〜ん。最近では、イスラエル出身のジャズ・トランペッター、アヴィシャイ・コーエンなんかが、ECMレーベルから好盤を出しているんですが。そう言えば、ECMを代表するトランペッター人材って不足気味ですね。

さて、ジャズを聴き初めて、イタリア・ジャズを知ったのが1990年代後半。そして、イタリア・ジャズの代表的トランペッターが、1970年代、ECMレーベルに好盤を残しているのに気がついた。エンリコ・ラヴァ(Enrico Rava)である。ラヴァは1939年生まれ、現在79歳。イタリアはトリエステの出身。マイルス・デイヴィスの演奏を聴き、トランペットを志す。ヨーロッパ、そしてアメリカを舞台に活躍。イタリア・ジャズを牽引してきた、イタリア・ジャズの至宝である。

Enrico Rava『The Pilgrim and the Stars』(写真)。1975年6月の録音。ECMの1063番。ちなみにパーソネルは、Enrico Rava(tp), John Abercrombie (g), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。 ギター・トリオをバックにしたトランペットのワンホーン・カルテット。ギター・トリオとは言っても、ギターはECMのお抱え「捻れ」ギタリスト、アバークロンビー。リズム・セクションにECM専属、ダニエルソンのベースとクリステンセンのドラム。明らかに、ECMレーベルの音の蔓延が期待出来る。
 

The_pilgrim_and_the_stars_rava  

 
エンリコ・ラヴァのトランペットは、明らかに欧州テイスト。凛とした透明感のある伸びのある音。切れ味豊かでエッジが立ったフレーズ。クールに熱いアドリブ展開。これぞ、欧州系のトランペット、という音に惚れ惚れする。しかも、この盤でのラヴァのブロウは実にシリアス。欧州的な響きが豊かな、限りなく自由度の高い、モーダルな演奏が実に素晴らしい。

そんなラヴァのトランペットに絡む、ECMのお抱え「捻れ」ギタリスト、アバークロンビーの自由度高い、くすんで捻れたエレギの音が、これまた欧州的だ。アバークロンビーは米国出身のギタリストなんですが、出てくる音は明らかに欧州的。それも北欧の香りがプンプンする。このアバークロンビーのエレギがラヴァのトランペットに実に相性良く絡むのだ。

ECMレーベル特有の透明感と浮遊感溢れるエコーの中で、ラヴァのトランペットとアバークロンビーのエレギが自由奔放に飛び交い、効果的に絡む。この盤に詰まっている、限りなく自由度の高いモーダルな演奏はECMレーベルならではの内容と響きを誇る。ジャズ盤紹介本には、まずこの盤のタイトルは挙がらないが、この盤、実にECMレーベルらしい内容と響きの盤なのだ。最後に余談であるが、発売当時の邦題は「魚座の難破船」。これは良く判らない(笑)。

 
 
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2018年12月30日 (日曜日)

猫のジャケットがとても可愛い

いよいよ今年もあと一日。今年もジャズは深化し続けている。従来の好盤のリイシューも一段落の感があって、CDについては特筆する様なアルバムは無かったような気がする。しかし、ストリーミングの世界は、ジャズ盤についてはどんどん充実している感がある。CDでは入手困難な音源が音楽のダウンロード・サイトにあったりする。ジャズ盤鑑賞の世界はどんどん拡がっている。

師走の朝。今日は厳寒。こういう日は外出することが憚られる。こういう日は暖かい室内でジャズ盤鑑賞である。この5年ほど、イタリア・ジャズに興味を持って、様々なジャズメンのリーダー作を聴き漁っている。イタリア・ジャズは、本場の米国よりも硬派で実直な「ネオ・ハードバップ」が定着〜深化しているように感じる。硬派な純ジャズを聴きたいときは、以外と「イタリア・ジャズ盤」を選択している。

Enrico Rava『Bella』(写真左)。1990年のリリース。ちなみにパーソネルは、Enrico Rava (tp), Enrico Pieranunzi (p), Enzo Pietropaoli (b), Roberto Gatto (ds)。 当時のイタリア・ジャズの精鋭部隊。エンリコ・ラヴァのトランペットがワンヒーンのカルテット構成。伊の純ジャズ。タイトルの「Bella」は、女性への「美しい」という褒め言葉らしい。
 

Bella_rava  

 
エンリコ・ラヴァとエンリコ・ピエラヌンツィの「ダブル・エンリコ」が集結した好盤。ラヴァのトランペットの音が流麗。艶やかで明るくきらびやかな音。センチメンタルな雰囲気の中に、一本筋の通った明確で切れ味の良いフレーズが柔らかく切れ込んでくる。リリカルかつスリリングなアドリブ展開が素晴らしい。これだけ端正で流麗なトランペットはなかなかいない。聴き応え満点である。

バックのピアノのピエラヌンツィ率いるトリオは柔軟で端正なリズム隊。ネオ・ハードバップあり、軽いフリーな展開ありの硬派な純ジャズ演奏。もともとピエラヌンツィの奏でるアコピのフレーズは「美メロの宝庫」。それでも演奏全体の雰囲気は明るく、フロント・ワンホーンのラヴァのトランペットをしっかりと支え、鼓舞する。

イタリア・ジャズの歴史を揺るがすような「歴史的な名盤」では無いが、個人的には繰り返し聴いても飽きの来ない「長年のヘビロテ盤」です。猫のジャケットがとっても可愛い。このジャケットを見ているだけでも、ホンワカ幸せな気分に浸れます。師走の厳冬の日に暖かい室内で聴く、トランペットがワンホーン・カルテット盤。好盤です。

 
 

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2018年10月27日 (土曜日)

伊のバカテク・トランペッター

特に21世紀に入って、ジャズは結構グローバル・サイズに広がっているんやなあ、と強く感じる。20世紀ではジャズは米国と欧州の一部、そして日本辺りで盛んなのかなあ、と思っていた。

21世紀に入って、欧州に旅行することが多くなって気がついたのが、欧州各国にジャズが存在していて、ライブ・スポットなどもあって、意外と音楽文化の中に根を下ろしているなあ、と実感した。

ジャズ・ミュージシャンの出身もグローバル・サイズに広がっている、と感じている。20世紀では、僕の見識も浅かったせいもあるが、米国のアフリカン・アメリカンがメインで、欧州では北欧出身がメイン、と思っていた。しかし、インターネットが発達し、情報がふんだんに入手出来る様になって、ジャズ・ミュージシャンの出身もグローバル・サイズに広がっていることを理解するようになった。

Franco Ambrosetti『Heart Bop』(写真)。1981年2月, NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Franco Ambrosetti (tp, Flh), Phil Woods (as, cl), Hal Galper (p), Mike Richmond (b), Billy Hart (ds)。ドイツの名門ジャズ・レーベル、Enja(エンヤ)レーベルからのリリース。パーソネルを見渡せば、当時、既にベテランの域に達していたフィル・ウッズがアルト・サックスで参戦している。
 

Herat_bop  

 
FRANCO AMBROSETTI=フランコ・アンブロゼッティは、イタリア系スイス人。スイスのルガーノ(イタリア語圏)の生まれ。1941年生まれ。録音当時は40歳、ベテランの域に達しつつある中堅トランペッター。今年で77歳。1960年代以降は主にイタリアを中心に活動している。

さて、この盤はアンブロゼッティのエンヤにおけるリーダー作の第2弾で、演奏はアルバムタイトルのとおり「心のこもった」熱いハードパップな演奏である。とりわけ、リーダーのアンブロゼッティのトランペットはテクニック優秀、音色とフレーズに癖が無い流麗なもの。決して、前面に出てテクニックをひけらかすことはしない。でも、やっていることは結構高度なものだ。知らず知らずのうちに、演奏に入り込んで、じっくり聴き入ってしまう。

バックの面々の演奏も充実している。フィル・ウッズのアルトは絶好調で、バップなフレーズを吹きまくり、得意の引用技まで飛び出す。リズム隊である、ハル・ギャルパーのピアノ・トリオも健闘していて、良いバッキングをしている。

僕は21世紀に入った頃、イタリアでは古くからジャズが盛んだったことに気がついた。それが証拠にこの素敵な内容のハードバップ盤は、フュージョン・ジャズ全盛の1981年の録音である。好盤である。ジャズはなにも米国だけのものでは無い。

 
 

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2017年3月15日 (水曜日)

イタリアン・ジャズは魅力的だ

イタリアン・ジャズは実に魅力的だ。最近、イタリアン・ジャズの好盤を定期的に聴くように心がけているのだが、聴けば聴くほど、どんどんその魅力に惹き込まれていく。日本では最近まで情報が少なかっただけに、聴けば聴くほど、そのイタリアン・ジャズの深い森の中に、どんどん惹き込まれていくかのようだ。

このライブ盤だって、相当に魅力的だ。Enrico Intra & Franco Ambrosetti『Live In Milan 〜 Duo, Trio, Quartet』(写真左)。2009年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Franco Ambrosetti (tp), Enrico Intra (p), Lucio Terzano (b), Tony Arco (ds)。う〜ん、ほとんど知らん顔ばかり。

さて、Enrico Intra(エンリーコ・イントラ)とは、ネットの情報を紐解くと「欧州の歴史ある音楽をベースに、米ジャズの語法に頼ることなく早くも50年代に独自の『イタリアン・モード』を確立した巨匠」とある。ピアニストである。明らかに欧州的なピアノを弾くが、確かに米国ジャズっぽくない、欧州的ではあるが、ある種、独特の響きとフレーズが個性。

かたや、Franco Ambrosetti(フランコ・アンブロゼッティ)とは、やはりネットの情報を読むと「スイス出身で欧州を代表するトランペットの巨匠」とある。マイルス・デイヴィスをしてその「黒さ」を認めさせた、とあるが、確かにこの人のトランペットは欧州らしからぬファンクネスを感じるから不思議な存在だ。
 

Live_in_milan_duotrioquartet

 
この二人が対等に「双頭リーダー」となって、イントラのレギュラー・トリオにアンブロゼッティが加わる形で、サブタイトルにもあるように「デュオ、トリオ、カルテット」の3種の演奏形態で、こってこてメインストリームなジャズを展開する。明かに米国ジャズとは異なる、欧州的なメインストリーム・ジャズ。

透明度の高い音の響き、流麗で印象的なアドリブ・フレーズ。決して俗っぽくは無い。どこかしっかりアートな側面を宿したアレンジ。バックのリズム・セクションにファンクネスはほとんど感じない。それでいて、先にも書いたが、アンブロゼッティのトランペットが意外と「黒い」。これが実に個性的で面白い。このトランペットのみにファンクネスが宿っている。

加えて、このライブ盤、音が良い。というか、響きが実に印象的。なぜかなあ、と思って解説を見ると、ミラノ市内の歴史的建造物である「la Sala Certificati del Comune di Milano」という、大理石が使われた優雅なホールにてのライヴ・レコーディングだそうだ。なるほど、だから独特な響きがするのか。思わず惹き込まれそうになる、透明度が高く、豊かで混じりけのない響き。

冒頭の、Enrico Intra & Franco Ambrosettiのデュオ演奏「Take The "A" Train」を聴けば、欧州的ではあるが、ある種、独特の響きとフレーズがいかに個性的なのかが判っていただけるかと思う。半世紀に渡って二人の巨匠が眺めてきた「欧州的ヴィジョン」。それをしっかり体感できる、とても内容のある好盤です。

 
 

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2017年3月12日 (日曜日)

メインストリームなラテンジャズ

イタリア・ジャズが充実している。欧州ジャズが一般的になって久しいが、イタリアのジャズはなかなか日本には届かなかった。21世紀になって、ネットでの情報流通が早くなって、やっとイタリア・ジャズの全貌が日本に伝わるようになったと感じている。最近のことですよね、イタリアのジャズ盤を日常で聴くようになったのは。

イタリアのジャズ・トランペット奏者である「ファブリッツィオ・ボッソ(Fabrizio Bosso)」も最近、やっと馴染みのトランペットになってきた。1973年生まれなので、今年で44歳。もう若手では無い、現代のジャズを支える、中堅のジャズ・トランペッターである。このファブリッツィオ・ボッソの「聴いて楽しい」純ジャズ盤がある。

Fabrizio Bosso & Javier Girotto『Sol!』(写真左)。2008年の作品。ちなみにパーソネルは、Fabrizio Bosso (tp,flh), Javier Girotto (ss,bs,per), Natalio Mangalavite (p,key,vo), Luca Bulgarelli (el-b), Marco Sinscalo (el-b), Lorenzo Tucci (ds), Bruno Marcuzzi (per)。う〜ん、トランペットのファブリッツィオ・ボッソしか判らない(笑)。
 

Sol

 
ファブリッツィオ・ボッソがサックス奏者ハビエル・ジロットと組んだラテン・プロジェクトのアルバムである。ふむふむ、タイトルの『Sol!』とアルバム・ジャケットから何となく想像出来るラテン・プロジェクトである。選曲もラテン調の曲を持ってきているが、単純なラテン・ジャズの饗宴になっているかというと、そうでないところがこのアルバムの「ニクい」ところである。

ラテン調の明るいトーンのフレーズ展開ではあるが、基本的に「ラテンのリズムにモーダルな」演奏。メンストリーム・ジャズのアーティステックな面とラテン調の楽曲のポップスな面とが上手く融合して、聴いて楽しい、聴いて聴き応えのある、なかなか内容のあるアルバムに仕上がっている。

ボッソのトランペットとジロットのサックスの都会的で小粋な熱いブロウが心地良い。ラテン調の楽曲、ラテンのリズムにモーダルな演奏がとても楽しい。録音も良好、ジックリと聴き耳立てるも良し、あっさりと聴き流して「ながら聴き」で楽しむも良し、なかなか充実した内容の企画盤です。メインストリームなラテン・ジャズ。イタリア・ジャズも隅に置けませんな。

 
 

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2016年6月13日 (月曜日)

「スピリチュアル=ゴスペル」

Apple Musicで冒頭の「A Change is Gonna Come」を聴いて、これは、と思い立ち、即ゲットした。前奏はどこか「チェロキー」を彷彿とされる雰囲気で、これはボッソのトランペットが、テクニックよろしく「チェロキー」をやるのか、と思って聴き続けていたら、いきなり「I was born by the river in a little tent」である。あれ、これって「A Change is Gonna Come」やん(笑)。

Fabrizio Bosso Spiritual Trio『Purple』。2013年9月、伊太利亜での録音。ちなみにパーソネルは、Fabrizio Bosso (tp), Alberto Marsico (org, el-key, p), Alessandro Minetto (ds)。このトリオが「Spiritual Trio」である。

「スピリチュアル」と言うが、ネットを紐解くと、『60年代のフリー・ジャズを経て、70年代に開花した黒人奏者中心のインスト・ジャズ』、宗教的でオカルトな雰囲気が個性の、いわゆる「スピリチュアル・ジャズ」のスピリチュアルとは、ちょっとニュアンスが異なる。

ここで、伊太利亜出身のトランペッター、ファブリッツィオ・ボッソが追求しているのが、宗教的で黒人霊歌を起源とした「聴いていると精神的に高揚してきたり、深い安らぎを得られたりする」音世界。米国ルーツ音楽のひとつ、ゴスペルなんかが、一番近い音世界ですね。いわゆる「ゴスペルチックでブルージーでファンキー」な音世界。
 

Fabrizio_bosso_purple

 
このアルバムの収録曲を見渡すとその音世界の雰囲気が良く判る。サム・クックの「A Change is Gonna Come」、ドニー・マクラーキンの「Purple」、レス・マッキャンの「A Little 3/4 for God and Co.」、リチャード・スモールウッドの「Total Praise」、トラディショナルの「This Little Light of Mine」「Sometimes I Feel Like a Motherless Child/Go Down Moses」「Wade in the Water」。基本は「ゴスペル」。

米国ルーツ音楽好きの僕からすると、このアルバムの音世界には「脱帽」。惚れ惚れし、どっぷりと浸かっていたい、ゴスペルでブルースでファンキーな音世界。そこに、トランペットをフロントにオルガンが絡むんだから、もう「堪らない」。嬉しさの余り卒倒しそうな音世界(笑)。

しかも、このアルバム、ボッソのトランペットが朗々と鳴って、ブラスの音の輝きが素晴らしい。そして、マルシコのオルガンがオーソドックスで聴き易い、それでいてダイナミックな弾きっぷりは「も〜たまらん」。そして、そんなペットとオルガンを底で支える、堅実でスケールの大きいリズム&ビートは、ミネットのドラム。そう、この「Spiritual Trio」は演奏力が尋常ではない。

この「Spiritual Trio」の「スピリチュアル」は、スピリチュアル=ゴスペルという解釈なんですね。ファンキーな演奏もあるんですが、日本人同様、ここでのファンクネスは限りなく乾いた「ファンクネス」。カラッとしたファンクネスが、これまたユニークで、ついつい、聴き込んでしまいます。

 
 

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2012年5月14日 (月曜日)

伊ジャズの代表的トランペッター

イタリアン・ジャズは、ピアノだけではない。トランペットについても、優れた人材を輩出している。僕の知っている限りでは、Fabrizio Bosso(ファブリッツィオ・ボッソ)、Paolo Fresu(パオロ・フレス)そして、Enrico Rava(エンリコ・ラヴァ)くらいかなあ。余談になるが、イージーリスニングのジャンルでの、イタリア出身の著名なトランペッターとしては、ニニ・ロッソがいる。

さて、今日は、Enrico Rava(エンリコ・ラヴァ)を選択する。1970年代終わり、僕がジャズ者初心者の頃、エンリコ・ラバと遭遇した。アルバム名は『The Plot』(写真左)。エンリコ・ラヴァが1977年に発表したアルバム。

1976年8月の録音。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。ECMを支えてきた名手達が、イタリアのトランペッター、エンリコ・ラバをサポートしている。

このアルバムは、大学近くの「秘密の喫茶店」で聴いた。こんな渋い、しかも、欧州ジャズの要、ECMレーベルのアルバムが、あの「秘密の喫茶店」に何故存在していたのか、今から振り返って思えば不思議でたまらない。あの喫茶店のママさんは、どうやって、当時では珍しい、ECMレーベルの、しかも、イタリア出身のジャズ・トランペッターの秀作を入手したのか、今もって不思議でたまらない。

さて、このアルバムを、その「秘密の喫茶店」で聴いた時、そう冒頭の1曲目「Tribe」を聴いた時、最初、このトランペッターは「マイルス・デイヴィス」だと思った。艶やかで伸びやかでブリリアントな音色はマイルスそっくり。

バックの演奏は、エレクトリック・ギターを中心に展開されており、これがまた、エレクトリック・マイルスの初期の展開に酷似している。でも、トランペットのフレーズの展開と雰囲気が、マイルスとはちと違う。それでも、全体的なトーンは、明らかにマイルス・デイヴィスである。
 

Enrico_rava_the_plot

 
そこで、エンリコ・ラバのバイオグラフィーを覗いてみると、1939年、イタリアのトリエステ生まれ。マイルス・デイヴィスを聴いて感銘を受け、トロンボーンからトランペットに転向した、とある。やっぱり、マイルス・デイヴィスに大きな影響を受けているんだ。なるほど。だから、マイルス・デイヴィスのペットに酷似しているんやなあ。

それでも、2曲目の「On The Red Side Of The Street」以降は、エレクトリック・ジャズとは言っても、確実に、欧州ジャズとしてのエレクトリック・ジャズ、つまり、欧州エレクトリック・ジャズの定石をしっかりと踏まえた展開になっていて、実に聴き応えのある内容になっている。さすがECMレーベル。欧州エレクトリック・ジャズと言っても、しっかりとECMレーベルの個性的な音に染め上げている。

エンリコ・ラバのトランペットは、流麗かつ艶やかで伸びやかでブリリアント。マイルスのペットから、ファンクネスを除いた感じ、と形容した良いだろうか。欧州ジャズのマイルス、という雰囲気が個性。テクニックも優秀。破綻の無い、堅実なトランペットは、実に安定感があって、実にアーティスティック。

加えて、バックのアバークロンビーの独特の浮遊感漂うギターが大活躍。ヨン・クリステンセンのドラムも、トニー・ウイリアムスやジャック・デ・ジョネットと比肩できる、柔軟で限りなく自由度が高いもので、硬軟自在、変幻自在なドラミングは聴きどころ満載。

ベースのパレ・ダニエルソンは、徹頭徹尾、堅実なサポート。ダニエルソンの堅実ベースがあるからこそ、ラバのペットやアバークロンビーのギターが限りなくフリーキーに自由度高くインプロビゼーションを展開できるのだ。

イタリアン・ジャズを軽んずることなかれ。正統派ジャズをしっかりと引き継いで、それはそれは硬派な、それはそれはアーティスティックなジャズを展開している。このアルバム『The Plot』、良いアルバムです。全体的には、限りなく自由度の高い、モーダルな内容なので、ジャズ者中級者の方々にお勧めですね。

 
 

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2012年5月 7日 (月曜日)

伊ジャズについて若干のうんちく

イタリアの音楽と言えばオペラとカンツォーネ。しかし、昔から、ジャズの人気もなかなかのものだそうです。

我が国では、イタリアン・ジャズについての情報が殆ど無い時代が続きました。ここ10年はネットの恩恵を得て、イタリアン・ジャズの情報が入手出来る様になりましたが、20世紀の終わり、ネットが発達する前は殆ど無いに等しい状態でした。

ネットで得られる情報を取り纏めてみると、イタリアン・ジャズの歴史は、1940年代半ばに遡ります。ムッソリーニ独裁政権が幕を閉じた1943年以降ジャズが根付いたことに始まるとのこと。1950年代に入ると、本場米国のジャズ・シーン、米国東海岸のハード・バップ、米国西海岸のウエストコースト・ジャズの双方からまんべんなく、ダイレクトに刺激を受けながら、50年代後半には、本格的な盛り上がりを見せたイタリアン・モダン・ジャズ。

英国ジャズが、本場米国で1940年代半ば〜後半にかけて一世を風靡したビ・バップに強い影響を受けたこと。独のジャズが本場米国の1950年代終わり〜1960年代前半に出現したフリー・ジャズに強い影響を受けたこと。これら同じ欧州圏の英や独と比較すると、イタリアン・ジャズについては、米国東海岸のハード・バップ、米国西海岸のウエストコースト・ジャズの双方からまんべんなく影響を受けたという背景は実にユニークです。

欧州圏は国によって、本場米国ジャズからの影響の受け方が違う。これが欧州圏の各国ジャズの面白いところです。イタリアン・ジャズは、1950年代の本場米国ジャズの黄金時代を現出したスタイル、米国東海岸のハード・バップ、米国西海岸のウエストコースト・ジャズの双方からまんべんなく影響を受けていることから、本場ジャズの「ええとこ取り」をしている、実に正統派なアプローチが特徴と言えるでしょう。
 

Italian_jazz_piano

 
加えて、イタリアン・ジャズの面白いところは、演奏が正確無比にカッチリまとまっておらず、ところどころラフに演奏されるところ。出だしがちょっとずれたり、拍子のカウントがちょっとあわなかったり、粗い面も見え隠れするんですが、演奏の勢いで押し切ってしまうところが、これまた面白い。アレンジだってそう。曲によっては、結構、ラフでいい加減だったりする。こういうところって、国民性が出るんですかね〜(笑)。

さて、そんなイタリアン・ジャズ。イタリアでは、クラブ・ジャズ(ニュー・ジャズの範疇での「踊れるジャズ」の流れ)の影響を受け、なかなかの人気だそうです。つまり、イタリアン・ジャズの魅力は「懐かしさと新鮮さ」が同居しているところです。正統なジャズの歴史を伝承しつつ、新しいジャズの要素も積極的に取り込む。なんだかイタリア料理の真髄を引き継いだような、「懐かしさと新鮮さ」の同居です。

僕が知っている、聴いたことがある、イタリアン・ジャズのジャズメンは、ピアノのEnrico Pieranunzi(エンリコ・ピエラヌンツィ・写真左)、Stefano Bollani(ステファノ・ボラー二・写真右)、トランペットのEnrico Rava(エンリコ・ラバ)、Fabrizio Bosso(ファブリッツィオ・ボッソ)くらいでしょうか。

特に、ピアノのエンリコ・ピエラヌンツィは、1980年辺り、大学3回生の頃に出会っており、かなり早くからイタリアン・ジャズのピアニストの音に触れていたことになりますね。その時のエピソードは、2009年12月9日のブログ(左をクリック)に詳しいので、そちらをどうぞ・・・。

それでは、暫く、イタリアにちなんだジャズを特集して、ブログで語りたいと思います。でも、今でも、イタリアン・ジャズの情報って、我が国では圧倒的に不足しているんだよな・・・。

 
 

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