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2017年9月20日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・59

Gary Burton=ゲイリー・バートンは、ヴィブラフォン奏者。1960年代後半、若かりし頃は、ヴァイブ引っさげ、尖ったジャズロックをガンガンやって、時々、アバンギャルドな雰囲気の硬派なジャズをやったり、とにかく尖ったヴァイブ奏者だった。1970年代は、ピアノのチック・コリアと組んで、ピアノとヴァイブのデュオ演奏で一世を風靡した。

が、バークリー音楽院で教鞭を執る立場にあったこと、かつ、1980年代になって、人間的に充実した落ち着きを身につけたのか、リーダーとしてバンド全体を上手くまとめながら、純ジャズ復古の波にも上手く乗りつつ、内容充実のメインストリームな純ジャズ盤をコンスタントにリリースするようになる。

僕はこのバートンのジャズメンとしての変遷をリアルタイムで体験してきて、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、バンドを通じて有望な若手を発掘するバンドリーダーとして活躍するバートンを頼もしく思ってきた。若い才能の発掘者として、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、もっとバートンは評価されて然るべきだと思っている。
 

Gary_burton_depature

 
Gary Burton & Friends『Departure』(写真左)。1996年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), John Scofield (g), John Patitucci (b), Fred Hersch (p), Peter Erskine (ds)。フレッド・ハーシュのピアノ・トリオをリズムセクションに、バートンのヴァイブとジョンスコのギターがフロントを張るクインテット構成。

とっても魅力的な、リラックスしたセッションが繰り広げられる。そんな中で、ジョンスコのギターが冴えまくっている。彼は特に、こういうスタンダードで純ジャズなセッションで、その実力を遺憾なく発揮するタイプなのだが、このバートンのリーダー作でも、そんなジョンスコがガンガンに弾きまくっている。

パティトゥッチのベースとアースキンのドラムが供給するリズム&ビートは安定の極み。ハーシュのピアノはリリカルで耽美的なフレーズを醸し出す。意外とこのリズム・セクションの今までに無い独特の個性が、このスタンダードなアルバムを惹き立てている様です。これもバートンのリーダーシップの成せる技。素敵なジャケット共々、お勧めの好盤です。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年3月17日 (金曜日)

現代ヴァイブのイノベーター

ヴァイブと言えば「ミルト・ジャクソン」。僕の場合、その次は「ゲイリー・バートン」。ミルトは絶対的存在で、特にリラックスしたい時に良く聴くが、もう一人の絶対的存在が、このバートン。「4本マレット奏法」を発展させた、バートンの「マレット・ダンプニング奏法」には常に感心する。

この「マレット・ダンプニング奏法」で、ヴァイブがコード楽器としてピアノと比べても遜色なく同じレベルで演奏出来る様になったのだ。つまりはヴァイブがピアノと同等の役割を果たすということで、このアルバムに必ず行き着く。

Gary Burton『New Vibe Man in Town』(写真左)。1961年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Gene Cherico (b), Joe Morello (ds)。リーダーのバートンのヴァイブをメインのトリオ編成。ヴァイブのトリオ編成って、この盤で初めて体験した。

「マレット・ダンプニング奏法」でヴァイブがピアノと同等の役割を果たすからこそ、ヴァイブをメインのトリオ編成、ヴァイブ=ベース=ドラムの編成が成立する。というか、バートンはこのアルバムで、それをしっかりと証明しているのだ。そういう意味で、このアルバムの存在は、ヴァイブのイノベーションの状況を切り取った、歴史的なアルバムと言える。
 

New_vibe_man_in_town1

 
というのも、このアルバムは、ヴァイブのイノベーター、ゲイリー・バートンの栄えある初リーダー盤である。わくわくしつつ、冒頭の「Joy Spring」の最初のフレーズがシングル・マレットなので「な〜んだ、この時点ではまだダンプニングは無いんだ」と思うんだが、アドリブ部に入る頃に、スッと「マレット・ダンプニング奏法」が入ってくる。

ヴァイブのシングル・トーンが、和音になり、ユニゾン&ハーモニーがブワ〜っと拡がる。豊かで柔らかなユニゾン&ハーモニー、それを余韻に、シングル・トーンの旋律がクッキリと浮き出る。ダンプニングでその旋律が、三次元に何倍にも拡がる。ヴァイブにも、こんな立体的な演奏が可能なんや、とビックリするやら感心するやら。

現代ヴィブラフォン奏法のイノベーションの瞬間がこの盤に詰まっている。この先進的で高度な演奏が、1961年の、ハードバップ後期、ファンキー・ジャズな時代に生まれ出でていたのだ。「ジャズの多様性」を改めて再認識する。

 
 

震災から6年。決して忘れない。まだ6年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年2月25日 (土曜日)

バートンとメセニーの師弟関係

ジャズ・ヴァイブといえば、まずは「ミルト・ジャクソン」だろう。これには誰も異論は無いと思う。ジャズ・ヴァイブの第一人者で、今は亡き「レジェンド」である。それでは「その次」は誰か。僕にとっては「ゲイリー・バートン」である。

ゲイリー・バートン(Gary Burton)は、米国インディアナ州出身。 1943年生まれなので、今年で74歳。レッド・ノーヴォが始めた4本マレット奏法を洗練し、ヴァイブの新たな奏法として確立させたジャズ・ヴァイブのイノヴェーターである。僕は、このバートンとは、チックとのデュオ『クリスタル・サイレンス』で出会った。

スピーカーから出てくるヴァイブの音はにわかに理解出来なかった。ヴァイブなのに和音が出ている。通常ヴァイブは同時に音が2音しか出ないのだが、スピーカーから最大4音出てくる。最初は多重録音かと思った(笑)。ライナーノーツかジャズ雑誌の記事を読んで「4本マレット奏法」の仕業だということが判った。

この「4本マレット奏法」のお陰で、バートンのヴァイブは表現力が豊かである。ファンクネスが希薄で、雰囲気は「クラシカルでクリスタル」。透明度があって硬質、和音が入るのでヴァイブの音に深みが出る。一聴して「バートンのヴァイブ」と判る位の個性である。僕は、このバートンのヴァイブが大好きで、1978年に出会って以来、ずっと聴いている。

そんなバートンのヴァイブを気楽に聴けるアルバムがこれである。Gary Burton『Reunion』(写真左)。1989年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), Pat Metheny (g), Mitchel Forman (p, key), Will Lee (b), Peter Erskine (ds, per)。うへ〜、このパーソネルを見れば、このアルバム、聴く前から内容は保証されたようなもの。
 

Reunion

 
バートンはパット・メセニーを世に送り出したことで有名。メセニーの才能を見出し、マイアミ大学を中退させ、ボストンのバークリー音楽院に招き入れた。そして、1974年、バートンの『リング』でデビュー。1976年までバートンと活動を共にした。以降、メセニーは現代ジャズ・ギターの代表格の一人として大活躍。

つまり、バートンとメセニーは、いわゆる「師弟関係」である。この師弟関係が復活したのが、1988年のモントリオール・ジャズ祭での再会をキッカケに翌年録音された本作である。よって、この盤のタイトルが「Reunion(再会)」。

しかし、この師弟関係って、この盤を聴くと、なるほどなあ、と思う。ギター・シンセなどで前へ前へ出てくるエレギのメセニーが、一歩引いてサイドマンに徹しているのだ。これが良い。バッキングに徹するメセニーのギターとフロントで乱舞するバートンのヴァイブとの相性が抜群に良い。

ユニゾン、ハーモニー、チェイス、どれもが良い響きで惚れ惚れする。そこに、リズム&ビートをしっかりと支える、繊細でシャープなピーター・アースキンのドラミングが、これまた良い感じである。

爽やか叙情派な、ちょっと感傷的なネイチャージャズ系のフュージョン・ジャズ。僕はこの盤の雰囲気が大好きで、気分がイライラする時、このアルバムを良く聴く。聴くとスッとイライラした気分が落ち着く、そんな精神安定剤の様な内容に、聴く度に惚れ惚れする。純ジャズの雰囲気を残した、爽やかなフュージョン・ジャズ。良い感じです。

 
 

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