2022年2月19日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・228

ブルーノートの4100番台は、1961年からスタート。時代は、ハードバップが成熟し、大衆性と芸術性、2つの志向に枝分かれしつつあった時代。大衆性という面では、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズ、芸術性という面では、モード・ジャズ、フリー・ジャズなどが代表例だろう。いわゆる「ジャズの多様化」が本格化した時期である。

Donald Byrd『Royal Flush』(写真左)。1961年9月21日の録音。ブルーノートの4101番。ブルーノート4100番台の栄えある第1作目。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Pepper Adams (bs), Herbie Hancock (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds)。リーダーのバードのトランペットとアダムスのバリサクがフロント2管のクインテット編成。

このパーソネルが、この盤の「肝」の部分。ドナルド・バードと言えば、この盤まで、理知的なファンキー・ジャズを前面に押し出していて、ファンキー・ジャズの先端を走っていた。この盤では、バリトン・サックスのペッパー・アダムスをフロント管のパートナーに引き入れ、それまで進めていた理知的なファンキー・ジャズのファンキー度を更に上げた感じがする。
 

Royal-flush

 
そして、もう1人のキーマン、ピアノのハービー・ハンコックの参加。プロデビューしたばかりのハービーだが、ハービーの参加によって、ドナルド・バードのバンド・サウンドがガラッと変わっている。ファンキーなハードバップから、モーダルな、新主流派の感覚が強く反映されている。

1950年代半ば辺りから、ハードバップの第一線に頭角を現して以来、ハードバップ〜ファンキー・ジャズの先頭を走ってきたドナルド・バード。この盤では、そのファンキー度に拍車をかけつつ、音の志向としてはモーダルな音の雰囲気を積極的に導入して、当時として新しい響きのする「ファンク度が増した理知的なモード・ジャズ」に演奏の志向を変化させようとしているチャレンジ精神は立派。

1961年という時代に、従来の手慣れたファンキー・ジャズにこだわること無く、プロデビューしたばかりのハービーを参加させ、モーダルなジャズの雰囲気を積極的に導入、かつ、自らのオリジナリティーであるファンキー・ジャズに拍車をかけて、他の新主流派の音とはちょっと違う「ファンク度が増した理知的なモード・ジャズ」に仕立て上げているのは見事である。
 
 
 
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2022年2月 3日 (木曜日)

レオ・パーカーの遺作になります

ブルーノート・レーベルは、ジャズのトレンド、演奏スタイルや演奏楽器の「おおよそ」を押さえているところが素晴らしい。ブルーノートと言えば、真面目で硬派なジャズばかりを押さえている「強面」の印象があるが、意外とポップな、例えば、R&B系のミュージシャンが奏でる、ソウルフルなジャズなども、しっかり記録している。

Leo Parker『Rollin' with Leo』(写真左)。1961年10月12 & 20日の録音。ブルーノートの4095番。ちなみにパーソネルは、Leo Parker (bs), Dave Burns (tp), Bill Swindell (ts), John Acea (p), Stan Conover (b, tracks 3 & 4), Al Lucas (b, tracks 1, 2 & 5-8), Wilbert Hogan (ds, tracks 1, 2 & 5-8), Purnell Rice (ds, tracks 3 & 4)。

さすが、R&B系のバリサク(バリトン・サックス)奏者のレオ・パーカーがリーダーのセッションなので、パーソネルを見渡しても知らない名前ばかりである(笑)。この盤は録音当時は、ブルーノートお得意の「謎のお蔵入り」(内容も良く、ジャケットやレコード番号まで決定されていたにも拘らず。何故かリリースされない)。1980年に、マイケル・カスクーナ の「発掘リリース」にて、目出度く、リリースされている。
 

Rollin-with-leo

 
レオ・パーカーは、当時の多くのジャズマンに見られた薬物依存、加えて、結核治療の為、1950年代は休眠状態だった。復帰後、直ぐにブルーノートから『Let Me Tell You 'Bout It』、そして、このアルバムと2枚、なかなかの内容のリーダー作を、立て続けに録音したが、このアルバムの4カ月後に帰らぬ人となってしまったのが、実に惜しいところ。

この盤も前作Leo Parker『Rollin' with Leo』と変わらず、こってこて「ファンキーでソウルフル」。バリサクって、重低音を担当する大型のサックスなので、速いフレーズが苦手でピッチが緩みがち。しかし、レオ・パーカーは、緩まず、意外と「バリサクとしては」速いフレーズをバリバリ吹きまくっている。R&Bなダンサフルなフレーズを散りばめて疾走する、心地良くアーシーでユルユルなバリサク。

バリサクの「重低音を鳴り響かせつつ、アーシーでユルユル」な音色が、意外とR&B系のソウルフルなジャズにバッチリ合う。速いフレーズが苦手な分、ユッタリと吹き上げるフレーズは実にスインギー。バリサクを愛でるアルバムとして、この『Rollin' with Leo』と前作『Let Me Tell You 'Bout It』はお勧めです。
 
 
 
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2021年11月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・222

ブルーノート・レーベルが、他のレーベルと比べて優れているのは、1950年代〜1960年代のジャズ・シーンを俯瞰的に見て、売れ筋で無いにしろ、その時代のジャズのトレンド、ジャズの個性を踏まえた、ジャズマンのチョイスとリーダー作の制作にある。ブルーノート・レーベルの諸作をカタログ順に聴くだけで、1950年代〜1960年代のジャズの歴史が判る、と言われるのは、まさに「言い得て妙」。

その20年間のジャズのトレンド、演奏スタイルの全てが押さえられている。後に有名となるジャズマンがチョイスされていない、という指摘もあるが、それはそのジャズマンが「ジャンキー(麻薬常習者)」だったからだろう。ブルーノート・レーベルは「ジャンキー」を基本的にチョイスしなかった。

Leo Parker『Let Me Tell You 'Bout It』(写真左)。1961年9月9日の録音。ブルーノートの4087番。ちなみにパーソネルは、Leo Parker (bs), John Burks (tp), Bill Swindell (ts), Yusef Salim (p), Stan Conover (b), Purnell Rice (ds)。リーダーのレオ・パーカーのバリトン・サックス(バリサク)とトランペット、テナー・サックスのフロント3管の重厚なセクステット編成。
 

Let-me-tell-you-bout-it

 
セクステットのメンバーを見渡すと、メインストリームなジャズ畑にはいない、通常のジャズ者から見れば「知らない名前」ばかりが並んでいる。リーダーのレオ・パーカーは、バップを始める以前はR&Bバンドに参加してたという。メンバーはR&B系のミュージシャンがメイン。そう、この盤、ビ・バップとR&Bが混在した様な音世界。これが実にユニーク。純ジャズなハードバップとはちょっと雰囲気が異なる、ビートの効いた、どこかダンサフルでソウルフルな「バップ」。

そして、レオ・パーカーの担当楽器のバリサクの音がこれまたユニーク。テナーよりも低い、重低音が鳴り響く大柄なサックスなんだが、この音がこれまた、こってこて「ファンキーでソウルフル」。重低音を担当する楽器なので、速いフレーズが苦手、そして、ピッチが緩みがち。緩みそうで緩まずバリバリ吹きまくる。そんな「スリリングなユルユル感」がたまらない。R&Bなダンサフルなフレーズが織り込まれたバリサクは唯一無二。

こんなR&B系のメンバーが奏でるジャズをしっかり記録しているところが、実にブルーノートらしい。音作りも、R&B系のポップなジャズにも関わらず、実にブルーノートらしい、正統派なガッチリ整った「ジャズの音」に仕上げている。レオ・パーカーのバリサクのテクニックも優秀。バリサクを楽しめる盤としてもこの盤はお勧めである。
 
 
 
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2021年9月29日 (水曜日)

ブルーノートらしいバード盤。

ブルーノート・レーベルの4000番台を、カタログNo.順に聴き直しているのだが、4000番台のアルバムには、駄盤、凡盤の類が全く無い。どのアルバムも内容充実、個性充実。ブルーノートなので、リハーサルからギャラを払う。当然、本番の演奏は充実の一言。録音はあの伝説のレコーディング・エンジニア「ルディ・ヴァン・ゲルダー」。ブルーノート・サウンドで録音された音は統一されている。

Donald Byrd『The Cat Walk』(写真左)。1961年5月2日の録音。ブルーノートの4075番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Pepper Adams (bs), Duke Pearson (p), Laymon Jackson (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペット、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスがフロント2管のクインテット編成。

この盤、ブルーノート・レーベルの有名盤、優秀盤の紹介には殆ど、その名が挙がらない。それなら、内容的に問題があるのか。この盤はブルーノートの4075番。ブルーノートの4000番台には駄盤は無い。この盤、聴いてみると判るのだが、とっても充実した内容のハードバップ、とっても聴き応えのあるファンキー・ジャズなのだ。
 

The-cat-walk-1

 
まず、リーダーのドナルド・バードのトランペットが絶好調。フロント管の相棒、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスも絶好調。このトランペットのバリサクのフロント2管がこの盤の一番の魅力。トランペットの切れ味の良い中高音とバリサクの重低音のユニゾン&ハーモニーにはゾクゾクする。そして、このフロント2管のアドリブ・パフォーマンスがこれまた素晴らしい。

バックのリズム・セクションも絶好調。ドラムのフィリージョーが野趣溢れる、ラフではあるがダイナミックで硬軟自在なリズム&ビートを叩き出し、ピアソンのピアノがファンクネスを増幅する。レイモンのベースは質実剛健かつ堅実に、演奏のベースラインをしっかりと支える。この好調なリズム・セクションをバックにしているので、フロント2管は安心して、アドリブ・パフォーマンスに専念出来るのだ。

この盤、ブルーノート・レーベルの有名盤、優秀盤の紹介には殆ど、その名が挙がらないからと言って敬遠することなかれ。この盤には、ブルーノート・ジャズの良い部分が溢れんばかりに収録されている。そういう意味では、この盤「ブルーノートらしいアルバム」の一枚なのかもしれない。成熟した良質なハードバップを体感するにも「うってつけ」のアルバムである。
 
 
 
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2021年5月25日 (火曜日)

ハードバップの良いところ満載

ブルーノート・レーベル4000番台は、ハードバップの好盤の「宝庫」。ブルーノート4000番台の100枚は「捨て盤無し」。

4000番台の録音時期をジャズの歴史に照らし合わせると、ハードバップ全盛期から、ファンキー・ジャズやモード・ジャズ、フリー・ジャズなどの「多様化」の時代に当たる。その時代その時代の人気ジャズマンと次の世代を担う有望新人ジャズマンが入り乱れて、好盤を連発しているのだ。

Donald Byrd『Byrd In Hand』(写真左)。1959年5月31日の録音。ブルーノートの4019番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Charlie Rouse (ts), Pepper Adams (bs), Walter Davis, Jr. (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペット、ラウズのテナー、アダムスのバリサク(バリトン・サックス)の3管フロントのセクステット編成。

ドナルド・バードのブルーノートでの2枚目のリーダー作になる。収録曲を見ると、バード作の曲が3曲、ピアノのディヴィスJr. の曲が2曲、スタンダード曲は冒頭の「Witchcraft」の1曲のみ。スタンダード曲に頼らず、セクステットのメンバーの「力量」をクローズ・アップし、メンバーの演奏力のみで聴き手に「訴求」しようとする野心作である。
 

Byrd-in-hand
 

このバードとディヴィスJr. の自作曲の出来がとても良く、何も知らずに聴いていると「スタンダード曲」の様に聴こえるくらいに、キャッチャーなフレーズが印象に残る。

この良曲に恵まれた中、絵に描いた様な「ハードバップ」志向の演奏が展開される。とにかく、セクステットのメンバーそれぞれの演奏テクニックがとても高い。「一糸乱れぬ」アンサンブル、クールだが「手に汗握る」アドリブ展開。

フロント3管がいずれも絶好調なのだが、特にペッパー・アダムスのバリサクが効いている。ブリブリと重低音なブラスを響かせて練り歩くような「無骨な」バリサクのフレーズ。バードのトランペット、ラウズのテナーの流麗さとの好対照がこの盤を特別なものにしている。

バックのリズム隊も好調で、特にウォルター・デイヴィスJr. のピアノが「ハッピー・スイング」で、この盤の演奏を「明るくポジティヴな雰囲気」に引き上げている。とにかく演奏が楽しくて仕方が無い、という風情のリズム隊は聴いていて爽快感抜群。

ハードバップの良いところ満載の好盤。フロント3管のアーシーで重厚なバランス感が抜群のアンサンブルが最大の「聴きもの」。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、この盤を聴く度に「ハードバップって、やっぱりええなあ」と呟くのだ。
 
 
 

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2021年3月15日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・201

SteepleChase(スティープルチェイス)レーベルは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。

このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫なのだが、21世紀になって、今なお活動を続けており、優秀なネオ・ハードバップ系の演奏をメインに優れた内容のアルバムをリリースし続けている。

Ronnie Cuber & Gary Smulyan『Tough Baritones』(写真左)。2019年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber, Gary Smulyan (bs), Gary Versace (p), Jay Anderson (b), Jason Tiemann (ds)。

レジェンド級のバリトン・サックス(略してバリサク)奏者2人、ロニー・キューバーとゲイリー・スマリヤンをフロント2管とするクインテット編成。バリサクのフロント2管は珍しい。音域が同じ楽器なので、お互いの演奏力が問われる。特に「ユニゾン&ハーモニー」が聴きどころ。

 
Tough-baritones-1

 
ロニー・キューバーは1941年生まれで、録音当時78歳。ゲイリー・スマリヤンは、1956年生まれで、録音当時63歳。2人共、もはやレジェンド級の年齢なのだが、この吹くのに体力の必要なバリサクをいとも楽々とスインギーにエネルギッシュに吹きまくっているのにはビックリ。

冒頭の「Blowing The Blues Away」や 4曲目「Nica's Dream」、8曲目「The Preacher」、9曲目「Split Kick」と、バリサクが映えるホレス・シルバーの楽曲を4曲取り上げている。他の楽曲もファンキーなハードバップ曲で固め、重量級バリサク2本で腹に響く、ファンキーな重低音フレーズ炸裂、極上のファンキー&ソウル・ジャズを展開している。

バックのリズム隊については聞いたことのない名前が並んでいるが、堅調でスインギーなリズム&ビートを供給していて好演。

2019年の録音であるが、この盤に詰まっているのは、古き良き時代の「ファンキー&ソウル・ジャズ」。しかし、その演奏力とリズム&ビートは現代のもので、全く古さやレトロ感は感じない。現代の新しい響きの「ファンキー&ソウル・ジャズ」。思わず聴き惚れる好盤です。
 
 
 

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2021年1月30日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・198

このところ、リー・モーガンに凝っている。特に晩年のモーガンについては、今回、聴き直して、その内容を見直したところがある。そして、今一度、リー・モーガンのブルーノート1500番台に立ち戻る。当ブログでまだ記事にしていない好盤の「落ち穂拾い」である。

Lee Morgan『The Cooker』(写真左)。1957年9月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Pepper Adams (bs), Bobby Timmons (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。聴き所は2つ。1つは、ペッパー・アダムスのバリトン・サックス(バリサク)の参加。そして、もうひとつは、ザ・ファンキー・ピアニスト、ボビー・ティモンズの参加。

改めて、リー・モーガンのトランペット、ペッパー・アダムスのバリサクのフロント2管のクインテット構成。このトランペットとバリサクのフロント2管がこの盤の特徴。切れ味良く、ブリリアント、そして力感溢れるモーガンのトランペットだからこそ、存在感抜群のモーガンのトランペットだからこそ、この盤の2管フロントが映えるのだ。

耽美的、リリカル、繊細さが「ウリ」の、ちょっとでも「線が細い」トランペットだと、バリサクのボワッとした、ブリブリした重低音に負けて、音がどこかへ行ってしまう危険性がある。
 
 
The-cooker
 
 
が、このモーガンの存在感溢れる、切れ味の良い中高音だと、バリサクの音色との「好対照」が映える。加えて、モーガンのハイテクニックのトランペットにユニゾン&ハーモニーで追従するアダムスのバリサクの演奏テクニックも特筆に値する。

バックのリズム・セクションも好調。こってこてファンキーなピアニスト、ティモンズが弾きまくる。ブルーノートはリハーサルにもギャラを払うほど、本番の演奏の精度は高い。しっかりと端正で整った演奏の中で、ファンキーに弾きまくるティモンズは「整っている」。

ファンキーだからといって、俗っぽいところは無い。整った躍動感溢れるファンキー・ピアノ。これが、トラペット+バリサクのフロント2管にバッチリ合っている。ポルチェンのベースとフィリージョーのドラムも何時になく「ファンキー」なリズム&ビートを叩き出す。

実は僕、この盤、昔から大好きな一枚なんです。特に、この盤でバリサクの魅力に取り憑かれました。ジャケットのモーガンの横顔のアップも格好良い。ブルーノート・レーベルならではの好盤です。
 
 
 

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  ・『The More Things Change』1980

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  ・The Band『Stage Fright』

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  ・僕達は「タツロー」を聴き込んだ
 

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2020年12月23日 (水曜日)

コルトレーンの「扱いに困る」盤

プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作とされる盤の中には、リーダー作で無いのもある。アトランティックへ移籍後、爆発的に人気の出たコルトレーン。リーダー作として出す盤出す盤、結構、売れたらしい。そこで、プレスティッジ・レーベル、既に別人名義のコルトレーンの参加したセッションの音源を再編成して、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースする暴挙に出た。

John Coltrane『Dakar』(写真左)。1957年4月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Cecil Payne, Pepper Adams (bs), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。録音日を見ただけでは、プレスティッジ・レーベルには珍しく単一日のセッションで固めたコルトレーンのリーダー作みたいに見える。が、これが違うんだから、プレスティッジの暴挙には困惑する。

実はこの盤、コルトレーンがサイドマンとして参加した、既リリースの別人名義のセッションの音源を再編成、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースした「パチモン」盤である。1957年の4月、18日から20日にかけて3日間連続で「The Prestige All Stars」または「Mal Waldron Sextet」のサイドマンとして、としてプレスティッジに録音。この『Dakar』は、この3日連続録音の最終日の4月20日「The Prestige All Stars」名義のセッションを再編成したもの。
 
 
Darkar_john-coltrane  
 
 
しかも録音時の記録を見ると、1957年4月20日の「The Prestige All Stars」名義のセッションを「まるっと」そのまま、録音順に並べただけ。レーベルのプロデューサーとして何も考えずに、ただLPのA面B面に「まるっと」入る長さの演奏なので、思わず、偽りの「コルトレーン名義」盤として出しちゃいました、というイージーで罪作りな盤である。よって、この盤は正しくは「コルトレーン名義」のリーダー作ではない。

1957年に録音され「The Prestige All Stars」名義でリリースされた時は、セシル・ペインとペッパー・アダムスの2本のバリサクを「ウリ」にしたアルバム。バリサク2本+テナー1本の3管フロントはユニークだが、惜しむらくはアレンジ、アドリブともに、ちょっと定型的で創造性に欠けるきらいがある。先が読めちゃうので飽きが来るのだ。ただ、バリサク2本の音の迫力は凄い。バリサクの音を浴びる様に聴きたい時には最適な盤の一枚ではある。

この盤の全体の印象は、コルトレーンがメインというよりは、2本のバリトン・サックスが主軸のジャム・セッション、重厚なハードバップ演奏。コルトレーンのプレイを聴いても、コルトレーンの個性は確認出来るが、中途半端で中程度の出来。特別にコルトレーンを聴くアルバムでは無いだろう。ジャケ・デザインも適当。まったく、プレスティッジ・レーベルの暴挙には困ったものである。
 
 
 

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  ・『Middle Man』 1980

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  ・ジョン・レノンの40回目の命日

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

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2020年9月30日 (水曜日)

スティープルチェイスの「今」

振り返ってみると、1970年代〜1980年代前半にかけて、フュージョン・ジャズの大ブームのお陰で、老舗のジャズ・レーベルについては、大手のコロンビアやヴァーヴなどは、なんとかメインストリーム・ジャズのアルバムをリリースし続けてはいたものの、多くが縮小撤退、若しくは活動中止に追い込まれた。しかし、1980年代半ば、純ジャズ復古によって、ほどんどの老舗レーベルが復活を果たしている。

Ronnie Cuber Quartet『Four』(写真左)。2019年の作品。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber (bs), Ed Cherry (g), Brian Charette (org), Adam Nussbaum (ds)。最年少が、ブライアン・シャレットの47歳。リーダーのバリサク(バリトン・サックスの略)奏者、ロニー・キューバーは78歳。ベテラン〜レジェンド級のメンバーで固めた、小粋で渋いカルテット演奏である。

リリースは「スティープルチェイス・レーベル」。スティープルチェイスは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫。
 
 
Fourronniecuber
 
 
そんなスティープルチェイスであるが、現在も活動中。結構、渋くて小粋なハードバップなアルバムをリリースするので目が離せない。このキューバーの『Four』も、そんな渋くて小粋なハードバップなアルバムの一枚。ロニー・キューバーのバリサクが実に良い音を出している。キャリア60年以上の中、参加した盤は200枚を超えるらしいが、この盤でも彼のスタイルは全く変わらないし、衰えも見えない。とにかく、心地良い「ブリブリ・ゴリゴリ」の演奏。バックの人選も良い。

スティープルチェイス・レーベルは、欧州の「ブルーノート」と形容されるだけあって、録音の音の雰囲気は統一感があり、ジャケットも質素ではあるが、リーダーやメンバーの顔をあしらった統一感のあるデザイン。この盤もその「スティープルチェイス」色そのものの内容で、伝統的なハードバップ系の音作り。とても安心感のあるスイング感豊かな展開は、ジャズ者一般万民にお勧めである。

最後に選曲もなかなか。フィリー・ジョーの「Battery Blues」、リー・モーガンの「Sidewinder」、ホレス・シルバーの「Motivation」、スタンリー・タレンタインの「Sugar」、スタンダード曲の「Tenderly」「Just Friends」「How High The Moon」等々、なかなか凝った選曲、小粋な選曲も聴きもの。スティープルチェイス・レーベル、まだまだ健在である。
 
 
 
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2020年9月16日 (水曜日)

内容良好な「With Strings」盤

ジャズ、特にビッグバンド系のジャズは「アレンジ」がとても大切な要素であると思っている。ソロイストの力量・技術も絶対要件だとは思うが、そのソロイストのアドリブを引き立てるのが、バンド全体のアンサンブルだろうから、その「アレンジ」はとても重要な要素となる、と僕は感じている。

『Supersax Plays Bird With Strings』(写真)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Supersaxとして、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopez, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Frank Rosolino (tb), Conte Candoli (tp), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Lou Levy (p)。ここに上質のストリングスが入る。

スーパーサックスとして、デビュー盤の『Supersax Plays Bird』、第2作目の『Salt Peanuts : Supersax Plays Bird Vol. 2』に続く3枚目のアルバムになる。スーパーサックスの「With Strings」なので、チャーリー・パーカーの大名盤『Charlie Parker With Strings』全曲のスーパーサックスの演奏に置き換えるのか、と思った。
 
 
Supersax-plays-bird-with-strings  
 
 
が、チャーリー・パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」からは「April in Paris」「I Didn't Know What Time It Was」「If I Should Lose You」の3曲。他はパーカーが残した名演の中から「With Strings」に向いた演奏をピックアップして、「With Strings」アレンジしている。「Kim」がアレンジされているのが、個人的には目を引く。

この盤もアレンジが良い。スーパーサックスとしてのアレンジも良好、ストリングス・アレンジも現代的で良い雰囲気。パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」は、パーカーの演奏は凄いのだが、ストリングスのアレンジが如何せん古すぎる。このストリングスのアレンジが古すぎて、パーカーの素晴らしいフレーズがちょっと色褪せるのだが、このスーパーサックスのストリングス・アレンジは良好で、パーカーのアドリブ・フレーズが心ゆくまで楽しめる。

出来たら、パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」の全曲をアレンジして再演して欲しかったなあ、と思わせてくれるほど、この「With Strings」盤は良く出来てます。「With Strings」盤って、イージーリスニング風であまり好きでは無いのだが、この盤は別格。やはりアレンジとソロ・パフォーマンスが優れていることが、純ジャズ盤として成立する絶対条件ですね。
 
 
 

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