2021年11月24日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・222

ブルーノート・レーベルが、他のレーベルと比べて優れているのは、1950年代〜1960年代のジャズ・シーンを俯瞰的に見て、売れ筋で無いにしろ、その時代のジャズのトレンド、ジャズの個性を踏まえた、ジャズマンのチョイスとリーダー作の制作にある。ブルーノート・レーベルの諸作をカタログ順に聴くだけで、1950年代〜1960年代のジャズの歴史が判る、と言われるのは、まさに「言い得て妙」。

その20年間のジャズのトレンド、演奏スタイルの全てが押さえられている。後に有名となるジャズマンがチョイスされていない、という指摘もあるが、それはそのジャズマンが「ジャンキー(麻薬常習者)」だったからだろう。ブルーノート・レーベルは「ジャンキー」を基本的にチョイスしなかった。

Leo Parker『Let Me Tell You 'Bout It』(写真左)。1961年9月9日の録音。ブルーノートの4087番。ちなみにパーソネルは、Leo Parker (bs), John Burks (tp), Bill Swindell (ts), Yusef Salim (p), Stan Conover (b), Purnell Rice (ds)。リーダーのレオ・パーカーのバリトン・サックス(バリサク)とトランペット、テナー・サックスのフロント3管の重厚なセクステット編成。
 

Let-me-tell-you-bout-it

 
セクステットのメンバーを見渡すと、メインストリームなジャズ畑にはいない、通常のジャズ者から見れば「知らない名前」ばかりが並んでいる。リーダーのレオ・パーカーは、バップを始める以前はR&Bバンドに参加してたという。メンバーはR&B系のミュージシャンがメイン。そう、この盤、ビ・バップとR&Bが混在した様な音世界。これが実にユニーク。純ジャズなハードバップとはちょっと雰囲気が異なる、ビートの効いた、どこかダンサフルでソウルフルな「バップ」。

そして、レオ・パーカーの担当楽器のバリサクの音がこれまたユニーク。テナーよりも低い、重低音が鳴り響く大柄なサックスなんだが、この音がこれまた、こってこて「ファンキーでソウルフル」。重低音を担当する楽器なので、速いフレーズが苦手、そして、ピッチが緩みがち。緩みそうで緩まずバリバリ吹きまくる。そんな「スリリングなユルユル感」がたまらない。R&Bなダンサフルなフレーズが織り込まれたバリサクは唯一無二。

こんなR&B系のメンバーが奏でるジャズをしっかり記録しているところが、実にブルーノートらしい。音作りも、R&B系のポップなジャズにも関わらず、実にブルーノートらしい、正統派なガッチリ整った「ジャズの音」に仕上げている。レオ・パーカーのバリサクのテクニックも優秀。バリサクを楽しめる盤としてもこの盤はお勧めである。
 
 
 
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  ・伝説の和製プログレ『四人囃子』

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2021年9月29日 (水曜日)

ブルーノートらしいバード盤。

ブルーノート・レーベルの4000番台を、カタログNo.順に聴き直しているのだが、4000番台のアルバムには、駄盤、凡盤の類が全く無い。どのアルバムも内容充実、個性充実。ブルーノートなので、リハーサルからギャラを払う。当然、本番の演奏は充実の一言。録音はあの伝説のレコーディング・エンジニア「ルディ・ヴァン・ゲルダー」。ブルーノート・サウンドで録音された音は統一されている。

Donald Byrd『The Cat Walk』(写真左)。1961年5月2日の録音。ブルーノートの4075番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Pepper Adams (bs), Duke Pearson (p), Laymon Jackson (b), Philly Joe Jones (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペット、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスがフロント2管のクインテット編成。

この盤、ブルーノート・レーベルの有名盤、優秀盤の紹介には殆ど、その名が挙がらない。それなら、内容的に問題があるのか。この盤はブルーノートの4075番。ブルーノートの4000番台には駄盤は無い。この盤、聴いてみると判るのだが、とっても充実した内容のハードバップ、とっても聴き応えのあるファンキー・ジャズなのだ。
 

The-cat-walk-1

 
まず、リーダーのドナルド・バードのトランペットが絶好調。フロント管の相棒、ペッパー・アダムスのバリトン・サックスも絶好調。このトランペットのバリサクのフロント2管がこの盤の一番の魅力。トランペットの切れ味の良い中高音とバリサクの重低音のユニゾン&ハーモニーにはゾクゾクする。そして、このフロント2管のアドリブ・パフォーマンスがこれまた素晴らしい。

バックのリズム・セクションも絶好調。ドラムのフィリージョーが野趣溢れる、ラフではあるがダイナミックで硬軟自在なリズム&ビートを叩き出し、ピアソンのピアノがファンクネスを増幅する。レイモンのベースは質実剛健かつ堅実に、演奏のベースラインをしっかりと支える。この好調なリズム・セクションをバックにしているので、フロント2管は安心して、アドリブ・パフォーマンスに専念出来るのだ。

この盤、ブルーノート・レーベルの有名盤、優秀盤の紹介には殆ど、その名が挙がらないからと言って敬遠することなかれ。この盤には、ブルーノート・ジャズの良い部分が溢れんばかりに収録されている。そういう意味では、この盤「ブルーノートらしいアルバム」の一枚なのかもしれない。成熟した良質なハードバップを体感するにも「うってつけ」のアルバムである。
 
 
 
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2021年5月25日 (火曜日)

ハードバップの良いところ満載

ブルーノート・レーベル4000番台は、ハードバップの好盤の「宝庫」。ブルーノート4000番台の100枚は「捨て盤無し」。

4000番台の録音時期をジャズの歴史に照らし合わせると、ハードバップ全盛期から、ファンキー・ジャズやモード・ジャズ、フリー・ジャズなどの「多様化」の時代に当たる。その時代その時代の人気ジャズマンと次の世代を担う有望新人ジャズマンが入り乱れて、好盤を連発しているのだ。

Donald Byrd『Byrd In Hand』(写真左)。1959年5月31日の録音。ブルーノートの4019番。ちなみにパーソネルは、Donald Byrd (tp), Charlie Rouse (ts), Pepper Adams (bs), Walter Davis, Jr. (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。リーダーのドナルド・バードのトランペット、ラウズのテナー、アダムスのバリサク(バリトン・サックス)の3管フロントのセクステット編成。

ドナルド・バードのブルーノートでの2枚目のリーダー作になる。収録曲を見ると、バード作の曲が3曲、ピアノのディヴィスJr. の曲が2曲、スタンダード曲は冒頭の「Witchcraft」の1曲のみ。スタンダード曲に頼らず、セクステットのメンバーの「力量」をクローズ・アップし、メンバーの演奏力のみで聴き手に「訴求」しようとする野心作である。
 

Byrd-in-hand
 

このバードとディヴィスJr. の自作曲の出来がとても良く、何も知らずに聴いていると「スタンダード曲」の様に聴こえるくらいに、キャッチャーなフレーズが印象に残る。

この良曲に恵まれた中、絵に描いた様な「ハードバップ」志向の演奏が展開される。とにかく、セクステットのメンバーそれぞれの演奏テクニックがとても高い。「一糸乱れぬ」アンサンブル、クールだが「手に汗握る」アドリブ展開。

フロント3管がいずれも絶好調なのだが、特にペッパー・アダムスのバリサクが効いている。ブリブリと重低音なブラスを響かせて練り歩くような「無骨な」バリサクのフレーズ。バードのトランペット、ラウズのテナーの流麗さとの好対照がこの盤を特別なものにしている。

バックのリズム隊も好調で、特にウォルター・デイヴィスJr. のピアノが「ハッピー・スイング」で、この盤の演奏を「明るくポジティヴな雰囲気」に引き上げている。とにかく演奏が楽しくて仕方が無い、という風情のリズム隊は聴いていて爽快感抜群。

ハードバップの良いところ満載の好盤。フロント3管のアーシーで重厚なバランス感が抜群のアンサンブルが最大の「聴きもの」。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、この盤を聴く度に「ハードバップって、やっぱりええなあ」と呟くのだ。
 
 
 

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2021年3月15日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・201

SteepleChase(スティープルチェイス)レーベルは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。

このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫なのだが、21世紀になって、今なお活動を続けており、優秀なネオ・ハードバップ系の演奏をメインに優れた内容のアルバムをリリースし続けている。

Ronnie Cuber & Gary Smulyan『Tough Baritones』(写真左)。2019年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber, Gary Smulyan (bs), Gary Versace (p), Jay Anderson (b), Jason Tiemann (ds)。

レジェンド級のバリトン・サックス(略してバリサク)奏者2人、ロニー・キューバーとゲイリー・スマリヤンをフロント2管とするクインテット編成。バリサクのフロント2管は珍しい。音域が同じ楽器なので、お互いの演奏力が問われる。特に「ユニゾン&ハーモニー」が聴きどころ。

 
Tough-baritones-1

 
ロニー・キューバーは1941年生まれで、録音当時78歳。ゲイリー・スマリヤンは、1956年生まれで、録音当時63歳。2人共、もはやレジェンド級の年齢なのだが、この吹くのに体力の必要なバリサクをいとも楽々とスインギーにエネルギッシュに吹きまくっているのにはビックリ。

冒頭の「Blowing The Blues Away」や 4曲目「Nica's Dream」、8曲目「The Preacher」、9曲目「Split Kick」と、バリサクが映えるホレス・シルバーの楽曲を4曲取り上げている。他の楽曲もファンキーなハードバップ曲で固め、重量級バリサク2本で腹に響く、ファンキーな重低音フレーズ炸裂、極上のファンキー&ソウル・ジャズを展開している。

バックのリズム隊については聞いたことのない名前が並んでいるが、堅調でスインギーなリズム&ビートを供給していて好演。

2019年の録音であるが、この盤に詰まっているのは、古き良き時代の「ファンキー&ソウル・ジャズ」。しかし、その演奏力とリズム&ビートは現代のもので、全く古さやレトロ感は感じない。現代の新しい響きの「ファンキー&ソウル・ジャズ」。思わず聴き惚れる好盤です。
 
 
 

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2021年1月30日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・198

このところ、リー・モーガンに凝っている。特に晩年のモーガンについては、今回、聴き直して、その内容を見直したところがある。そして、今一度、リー・モーガンのブルーノート1500番台に立ち戻る。当ブログでまだ記事にしていない好盤の「落ち穂拾い」である。

Lee Morgan『The Cooker』(写真左)。1957年9月29日の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Morgan (tp), Pepper Adams (bs), Bobby Timmons (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。聴き所は2つ。1つは、ペッパー・アダムスのバリトン・サックス(バリサク)の参加。そして、もうひとつは、ザ・ファンキー・ピアニスト、ボビー・ティモンズの参加。

改めて、リー・モーガンのトランペット、ペッパー・アダムスのバリサクのフロント2管のクインテット構成。このトランペットとバリサクのフロント2管がこの盤の特徴。切れ味良く、ブリリアント、そして力感溢れるモーガンのトランペットだからこそ、存在感抜群のモーガンのトランペットだからこそ、この盤の2管フロントが映えるのだ。

耽美的、リリカル、繊細さが「ウリ」の、ちょっとでも「線が細い」トランペットだと、バリサクのボワッとした、ブリブリした重低音に負けて、音がどこかへ行ってしまう危険性がある。
 
 
The-cooker
 
 
が、このモーガンの存在感溢れる、切れ味の良い中高音だと、バリサクの音色との「好対照」が映える。加えて、モーガンのハイテクニックのトランペットにユニゾン&ハーモニーで追従するアダムスのバリサクの演奏テクニックも特筆に値する。

バックのリズム・セクションも好調。こってこてファンキーなピアニスト、ティモンズが弾きまくる。ブルーノートはリハーサルにもギャラを払うほど、本番の演奏の精度は高い。しっかりと端正で整った演奏の中で、ファンキーに弾きまくるティモンズは「整っている」。

ファンキーだからといって、俗っぽいところは無い。整った躍動感溢れるファンキー・ピアノ。これが、トラペット+バリサクのフロント2管にバッチリ合っている。ポルチェンのベースとフィリージョーのドラムも何時になく「ファンキー」なリズム&ビートを叩き出す。

実は僕、この盤、昔から大好きな一枚なんです。特に、この盤でバリサクの魅力に取り憑かれました。ジャケットのモーガンの横顔のアップも格好良い。ブルーノート・レーベルならではの好盤です。
 
 
 

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  ・『The More Things Change』1980

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  ・The Band『Stage Fright』

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  ・僕達は「タツロー」を聴き込んだ
 

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2020年12月23日 (水曜日)

コルトレーンの「扱いに困る」盤

プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作とされる盤の中には、リーダー作で無いのもある。アトランティックへ移籍後、爆発的に人気の出たコルトレーン。リーダー作として出す盤出す盤、結構、売れたらしい。そこで、プレスティッジ・レーベル、既に別人名義のコルトレーンの参加したセッションの音源を再編成して、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースする暴挙に出た。

John Coltrane『Dakar』(写真左)。1957年4月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Cecil Payne, Pepper Adams (bs), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。録音日を見ただけでは、プレスティッジ・レーベルには珍しく単一日のセッションで固めたコルトレーンのリーダー作みたいに見える。が、これが違うんだから、プレスティッジの暴挙には困惑する。

実はこの盤、コルトレーンがサイドマンとして参加した、既リリースの別人名義のセッションの音源を再編成、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースした「パチモン」盤である。1957年の4月、18日から20日にかけて3日間連続で「The Prestige All Stars」または「Mal Waldron Sextet」のサイドマンとして、としてプレスティッジに録音。この『Dakar』は、この3日連続録音の最終日の4月20日「The Prestige All Stars」名義のセッションを再編成したもの。
 
 
Darkar_john-coltrane  
 
 
しかも録音時の記録を見ると、1957年4月20日の「The Prestige All Stars」名義のセッションを「まるっと」そのまま、録音順に並べただけ。レーベルのプロデューサーとして何も考えずに、ただLPのA面B面に「まるっと」入る長さの演奏なので、思わず、偽りの「コルトレーン名義」盤として出しちゃいました、というイージーで罪作りな盤である。よって、この盤は正しくは「コルトレーン名義」のリーダー作ではない。

1957年に録音され「The Prestige All Stars」名義でリリースされた時は、セシル・ペインとペッパー・アダムスの2本のバリサクを「ウリ」にしたアルバム。バリサク2本+テナー1本の3管フロントはユニークだが、惜しむらくはアレンジ、アドリブともに、ちょっと定型的で創造性に欠けるきらいがある。先が読めちゃうので飽きが来るのだ。ただ、バリサク2本の音の迫力は凄い。バリサクの音を浴びる様に聴きたい時には最適な盤の一枚ではある。

この盤の全体の印象は、コルトレーンがメインというよりは、2本のバリトン・サックスが主軸のジャム・セッション、重厚なハードバップ演奏。コルトレーンのプレイを聴いても、コルトレーンの個性は確認出来るが、中途半端で中程度の出来。特別にコルトレーンを聴くアルバムでは無いだろう。ジャケ・デザインも適当。まったく、プレスティッジ・レーベルの暴挙には困ったものである。
 
 
 

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  ・ジョン・レノンの40回目の命日

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  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

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2020年9月30日 (水曜日)

スティープルチェイスの「今」

振り返ってみると、1970年代〜1980年代前半にかけて、フュージョン・ジャズの大ブームのお陰で、老舗のジャズ・レーベルについては、大手のコロンビアやヴァーヴなどは、なんとかメインストリーム・ジャズのアルバムをリリースし続けてはいたものの、多くが縮小撤退、若しくは活動中止に追い込まれた。しかし、1980年代半ば、純ジャズ復古によって、ほどんどの老舗レーベルが復活を果たしている。

Ronnie Cuber Quartet『Four』(写真左)。2019年の作品。ちなみにパーソネルは、Ronnie Cuber (bs), Ed Cherry (g), Brian Charette (org), Adam Nussbaum (ds)。最年少が、ブライアン・シャレットの47歳。リーダーのバリサク(バリトン・サックスの略)奏者、ロニー・キューバーは78歳。ベテラン〜レジェンド級のメンバーで固めた、小粋で渋いカルテット演奏である。

リリースは「スティープルチェイス・レーベル」。スティープルチェイスは、マイルス・コレクターとして有名なデンマークのニルス・ウインターが、1972年立ち上げたジャズ・レーベル。1970〜80年代を中心に、ジャズ史に残る名盤を数多く生み出した欧州ジャズ・レーベルの老舗。このレーベルは欧州のレーベルとしては、比較的、米国系のレーベルに近い演奏の色や雰囲気を持っていて、ハードバップ系の演奏に秀作が多い。さしずめ欧州の「ブルーノート」と言っても良い「欧州発ハードバップ」の宝庫。
 
 
Fourronniecuber
 
 
そんなスティープルチェイスであるが、現在も活動中。結構、渋くて小粋なハードバップなアルバムをリリースするので目が離せない。このキューバーの『Four』も、そんな渋くて小粋なハードバップなアルバムの一枚。ロニー・キューバーのバリサクが実に良い音を出している。キャリア60年以上の中、参加した盤は200枚を超えるらしいが、この盤でも彼のスタイルは全く変わらないし、衰えも見えない。とにかく、心地良い「ブリブリ・ゴリゴリ」の演奏。バックの人選も良い。

スティープルチェイス・レーベルは、欧州の「ブルーノート」と形容されるだけあって、録音の音の雰囲気は統一感があり、ジャケットも質素ではあるが、リーダーやメンバーの顔をあしらった統一感のあるデザイン。この盤もその「スティープルチェイス」色そのものの内容で、伝統的なハードバップ系の音作り。とても安心感のあるスイング感豊かな展開は、ジャズ者一般万民にお勧めである。

最後に選曲もなかなか。フィリー・ジョーの「Battery Blues」、リー・モーガンの「Sidewinder」、ホレス・シルバーの「Motivation」、スタンリー・タレンタインの「Sugar」、スタンダード曲の「Tenderly」「Just Friends」「How High The Moon」等々、なかなか凝った選曲、小粋な選曲も聴きもの。スティープルチェイス・レーベル、まだまだ健在である。
 
 
 
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  ・僕達は「タツロー」を発見した
 
 
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2020年9月16日 (水曜日)

内容良好な「With Strings」盤

ジャズ、特にビッグバンド系のジャズは「アレンジ」がとても大切な要素であると思っている。ソロイストの力量・技術も絶対要件だとは思うが、そのソロイストのアドリブを引き立てるのが、バンド全体のアンサンブルだろうから、その「アレンジ」はとても重要な要素となる、と僕は感じている。

『Supersax Plays Bird With Strings』(写真)。1975年の作品。ちなみにパーソネルは、Supersaxとして、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopez, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Frank Rosolino (tb), Conte Candoli (tp), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Lou Levy (p)。ここに上質のストリングスが入る。

スーパーサックスとして、デビュー盤の『Supersax Plays Bird』、第2作目の『Salt Peanuts : Supersax Plays Bird Vol. 2』に続く3枚目のアルバムになる。スーパーサックスの「With Strings」なので、チャーリー・パーカーの大名盤『Charlie Parker With Strings』全曲のスーパーサックスの演奏に置き換えるのか、と思った。
 
 
Supersax-plays-bird-with-strings  
 
 
が、チャーリー・パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」からは「April in Paris」「I Didn't Know What Time It Was」「If I Should Lose You」の3曲。他はパーカーが残した名演の中から「With Strings」に向いた演奏をピックアップして、「With Strings」アレンジしている。「Kim」がアレンジされているのが、個人的には目を引く。

この盤もアレンジが良い。スーパーサックスとしてのアレンジも良好、ストリングス・アレンジも現代的で良い雰囲気。パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」は、パーカーの演奏は凄いのだが、ストリングスのアレンジが如何せん古すぎる。このストリングスのアレンジが古すぎて、パーカーの素晴らしいフレーズがちょっと色褪せるのだが、このスーパーサックスのストリングス・アレンジは良好で、パーカーのアドリブ・フレーズが心ゆくまで楽しめる。

出来たら、パーカーの名盤「ウィズ・ストリングス」の全曲をアレンジして再演して欲しかったなあ、と思わせてくれるほど、この「With Strings」盤は良く出来てます。「With Strings」盤って、イージーリスニング風であまり好きでは無いのだが、この盤は別格。やはりアレンジとソロ・パフォーマンスが優れていることが、純ジャズ盤として成立する絶対条件ですね。
 
 
 

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2020年9月13日 (日曜日)

ジャズ喫茶で流したい・187

先日、World Saxophone Quartet(WSQ)のアルバムをご紹介した。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本、サックス計4本のみの「四重奏」バンド。ジャズの世界では実にユニークな存在なんだが、他にも同じコンセプトのバンドがあったぞ、と思いを巡らせた。それも、遠い遠い昔、ジャズを聴き始め、初めて購入したジャズ盤紹介本にあって、強く興味を持ったバンドだった。

そうそう、そのバンドとは「Supersax(スーパーサックス)」。チャーリー・パーカーの不朽の名アドリブを、5人のサックス奏者がそっくりそのままハーモナイズして甦らせる驚異のグループである。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人という、ドライブ感抜群、迫力満点な分厚いサックス・アンサンブルで、パーカーのアドリブ・フレーズの魅力を余すところなく伝えてくれるのだ。

『Supersax Plays Bird』(写真左)。1973年の作品。ちなみにパーソネルは、Jay Migliori, Warne Marsh (ts), Joe Lopes, Med Flory (as), Jack Nimitz (bs), Buddy Clark (b), Jake Hanna (ds), Ronnell Bright (p), Charley Loper, Ernie Tack, Mike Barone (tb), Conti Candoli, Larry McGuire, Ralph Osborn, Ray Triscari (tp)。アルトとテナーが2人ずつ、さらにバリトン1人、ブラスは、トロンボーンが3 人、トランペットが3人という布陣。そこに、ピアノ・トリオのリズム・セクションがバックに控えている。
 
 
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Capitolレコードからのリリースなので、米国西海岸ジャズの範疇でのバンド・サウンドになる。こういう企画バンドについては、絶対に「アレンジ」が鍵を握る。このSupersaxのデビュー盤については、それはそれは見事なアレンジで、パーカーのアドリブを、ドライブ感抜群、迫力満点なアンサンブルに仕立て上げている。

こうやって、ブラスの分厚い、疾走感溢れるアンサンブルに置き換えると、ビ・バップ時代のアドリブ・フレーズって、実に魅力的かつアーティスティックなものだったことが良く判る。この様なフレーズを「即興演奏」で吹き上げてしまうのだから、そのアドリブの主、チャーリー・パーカーもとてつもなく凄い。そんなビ・バップの凄さを、自分がジャズ者初心者駆け出しの頃、このSupersaxの演奏で理解した思い出がある。

硬派なジャズ者ベテランの方々の中には「パーカーを冒涜している」との意見もある様なのだが、この優れたアレンジ、一糸乱れぬアンサンブル、そして、そこからダイレクトに伝わるパーカーのアドリブの凄さを思うと、逆にパーカーを真剣に「トリビュート」し、尊敬の念を持って演奏しているように感じるのだ。とにかくこのブラス・アンサンブルは凄い。パーカーのアドリブを知らなくても良い。是非、一聴をお勧めする。
 
 
 
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2020年9月11日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・134

定期的に音源ライブラリの整理をしているのだが、さすがにCDにして数千枚のアルバム音源をひとつひとつ見直していると、「こんなアルバム持ってたんや」とか「このアルバム、暫く聴いてないなあ」とか「このアルバムについては、ブログで紹介してないなあ」というアルバムが必ず出てくる。この盤のそんなアルバムのひとつ 。

World Saxophone Quartet『Plays Duke Ellington』(写真左)。1986年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Hamiet Bluiett (bs), Julius Hemphill (as), Oliver Lake (as), David Murray (ts)。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本、サックス計4本のみの「四重奏」バンド。ジャズの世界では実にユニークな存在。

World Saxophone Quartetは1977年に結成された。1989年、アルトのJulius Hemphillが病でバンドを離れ、その間、数人の助っ人がHemphillの穴を埋めて復帰を待ったが、1995年4月に他界。その後はゲストを迎えて、基本的にはホーン・カルテットでの活動を継続。が、バリサク担当のHamiet Bluiettが、2018年10月に亡くなり、その活動は停止状態になっている。
 
 
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とにかくユニークな演奏である。バリトン・サックス1本、アルト・サックス2本、テナー・サックス1本の特性を活かしたアレンジが抜群である。もちろん、それぞれのサックス奏者の力量も優れていることが前提である。この盤はタイトルから判る様に、デューク・エリントンの楽曲集なのだが、どの曲も本当に見事にアレンジされている。

躍動感溢れ、ベースラインも明確、リズム&ビートもしっかりと供給され、そんなサックスのリズム隊をバックに、それぞれのサックスが魅力的なアドリブ・フレーズを吹き上げる。アレンジが優秀なのと、サックス奏者それぞれの演奏テクニックが卓越しているので、ダレたところが全く無い。全編、飽きずにじっくりと4本のサックスのアンサンブルを楽しむ事が出来る。

World Saxophone Quartetとしては、20枚超のアルバムをリリースしているが、この『Plays Duke Ellington』は入門盤として最適な内容。まず、この盤で、サックス4本のみの「四重奏」をじっくりと楽しんだ後、他の盤へと進むことをお勧めする。とにかく、アレンジが優秀、演奏テクニックも優秀。聴けば聴くほどに、新しいアレンジの妙に気付く。繰り返しの鑑賞に耐える「隠れ好盤」である。
 
 
 




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