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2017年2月15日 (水曜日)

角の丸い優しい低音のバリサク

トロンボーンの魅力的な低音も良いが、僕はバリトン・サックス(略してバリサク)の低音も大好きだ。ジャズの世界では、バリサクはちょっと変わり種ではあるが、その魅力的な低音を武器に、意外と人気のフロント楽器である。

そんなバリサク奏者のレジェンドに「Gerry Mulligan(ジェリー・マリガン)」がいる。米国西海岸ジャズの重鎮であり、そのバリサクの腕前もさることながら、アレンジの才に優れ、米国西海岸ジャズのキーマンの一人として、今や「伝説的存在」となっている。

そんなジェリー・マリガンであるが、マリガンのバリサクは、通常のバリサクとはちょっと違う。通常のバリサクの印象は「男性的な骨太なブリブリッとした豪快な重低音」が魅力であるが、マリガンのバリサクは違う。マリガンのバリサクは優しい。マリガンのバリサクの低音は角の丸い優しい低音である。

そんな角の丸い優しい低音のバリサクを心ゆくまで堪能するには、現代の録音技術を駆使した、良い音で録れたアルバムが一番良い。そんなアルバムあるかいな、と探したら、あったあった。Gerry Mulligan『Dream a Little Dream』(写真左)。ジャケットもなかなか好印象。このジャケットを見る限り、内容は良い、と見た(笑)。
 

Dream_a_little_dream1

 
1994年の作品。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs), Dean Johnson (b), Ron Vincent (ds), Bill Mays, Ted Rosenthal (p)。テッド・ローゼンタルのピアノを核にしたピアノ・トリオをリズム・セクションに、フロントにマリガンのバリサクのワンホーン。所謂「ワンホーン・カルテット」である。

ワンホーン・カルテットの良いところは、フロント楽器の良さを心ゆくまで感じることが出来ること。この盤はマリガンのバリサクが実に良く録れている。選曲も良い。マリガンの自作曲を織り交ぜながらも、渋いスタンダード曲中心の選曲。優しい低音のマリガンのバリサクが、印象的なフレーズを吹き上げていく。

バリサクの印象がガラッと変わる好盤です。バックのテッド・ローゼンタル中心のピアノ・トリオの演奏が実に小粋。とっても趣味の良い、小気味の良いピアノ・トリオの演奏がマリガンのバリサクをしっかりと支え、盛り立てていきます。輪郭がハッキリクッキリ、穏やかな躍動感が魅力のピアノに、小技が冴える堅実なドラム、そして、しっかりと演奏の底を支えるベース。

バックのリズム・セクションが優秀なワンホーン・カルテットに駄盤無し。この盤は、とりわけ、フロントのバリサクがレジェンド級のジェリー・マリガンですから悪かろう筈が無い。ジャケットのイメージ通り、夜の静寂の中でしっとりと聴き込むのに最適な、優しいバリサクの音色が魅力の好盤です。ジャズ者万民にお勧め。

 
 

震災から5年11ヶ月。決して忘れない。まだ5年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年1月 6日 (金曜日)

こんなアルバムあったんや・74

ジャズのアルバムの世界を彷徨っていると「あれ、これは何だ」と叫んでしまう様なアルバムにヒョコッと出会うことがある。このアルバムもそんなアルバム。見た時、思わず「おおっ」と叫んでしまった。

Delta Saxophone Quartet『Crimson ! 』(写真左)。これだけ見れば、なんのアルバムか、判らないよな。でも「Crimson」という文字を見て、プログレバンドの「キング・クリムゾン」を想起した僕はちょっと「プログレ」ヺタクなんだろうか(笑)。

まさかねえ、と思いながら、収録曲を見れば「おおっ」。やっぱり、これ、キング・クリムゾンの楽曲のカヴァー盤なのだ。うわ〜、こんなアルバムあったんや〜。いやいや、プログレッシブ・ロックの雄、現役のレジェンド「キング・クリムゾン」の楽曲が、ジャズにアレンジされ、カヴァーされる時代になったんですね。

Delta Saxophone Quartetとは。サックス奏者4人を中心に1984年に結成。4人のメンバー構成は、 Graeme Blevins (soprano sax), Pete Whyman (alto sax), Tim Holmes (tenor sax), Chris Caldwell (baritone sax)。今回のアルバムは、このサックス4人組に、Gwilym Simcock (piano)が加わる。

しかし、キング・クリムゾンの楽曲がジャズでカヴァーされるとは思わなかった。しかし、収録曲を見渡せば、キング・クリムゾンの楽曲の中でも、ジャズのアレンジにフィットする楽曲をしっかりと選んでいることが判る。そんな収録曲は以下の通り。
 

Crimson

 
 
1. A Kind of Red (Gwilym Simcock)
2. VROOOM/Coda: Marine 475 from THRAK
3. The Night Watch from Starless And Bible Black,
4. Dinosaur from THRAK
5. Two Hands from Beat
6. The Great Deceiver from Starless And Bible Black

 
1曲目の「A Kind of Red」だけが、Gwilym Simcockの自作曲。その他はキング・クリムゾンのオリジナル。1995年の「THRAK」から2曲、1974年の「Starless And Bible Black」から2曲。1982年の「Beat」から1曲。実に良い曲を選んでいる。かつ、確かにジャズにアレンジし易い曲ばかりだ。

特に僕は、3曲目の「The Night Watch」が一番だ。というか、キング・クリムゾンのオリジナルの「The Night Watch」が大好きなので、もうこのジャズ・アレンジのこの曲が、もう良くて良くて(笑)。他の曲も良い塩梅。サックス4本のアンサンブルで、キング・クリムゾンの楽曲をジャズにアレンジして演奏する。これが全く良くて良くて(笑)。

演奏のスタイルが、所謂21世紀のニュー・ジャズ風だからこそ、キング・クリムゾンの楽曲がフィットする。フリーよりの演奏から、モーダルな演奏まで、ジャズの先端をいく演奏内容がとても格好良い。それにしても、この盤には参った。キング・クリムゾンの楽曲のカヴァー盤。いや〜まさに「こんなアルバムあったんや〜」。

 
 

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2016年11月24日 (木曜日)

ハード・バップ時代のバリサク

寒い。朝、雪になるとは思わんかった、我が千葉県北西部地方。昼から晴れるなんて予報だったが、これが全く晴れない。午後から、雪が酷くなったりする東京は高田馬場。そして、夕方からグッと冷え込んで、これってどう考えたって11月終わりの気候では無い。東京都心では気象観測を始めた1875年以来、初めて11月に積雪が確認されたとのこと。

そんな寒い寒い、雪のバンバン降る日には、温々の部屋で熱いブラック珈琲でも飲みながら、ジャズをじっくり聴くに限る。決して、外に出てはいけない。絶対に身体に悪い(笑)。そして、こういう日には通常聴くよりも、ちょっと捻った楽器の、ちょっと捻ったアルバムが聴きたくなる。

ちょっと捻った楽器と言えば、最近は「バリサク」である。バリサク=バリトン・サックス。低音域をベースとするサックス。調性は変ホ(E♭)調で、実音は記譜より1オクターヴと長6度低く、アルトよりも1オクターヴ低い。音量が上がると、サックスのブラスがブリブリっと低音を響かせる。これが良い。これが快感のバリサクである。

ジャズでバリサク、と言われれば、僕はまず「ペッパー・アダムス(Pepper Adams)」を想起する。米国出身の1930年生まれ。1986年、56歳の若さで亡くなっている。ハード・バップ時代のバリサクと言えば「ペッパー・アダムス」と言われるほど、リーダー作を始め、名立たる多くのジャズメンと共演を果たしている。

しかも、このペッパー・アダムス、リーダー盤でもサイドメンとしての参加盤でも安定した水準以上の演奏ばかりである。加えて、リーダー盤に駄作が無い。水準以上のアルバムばかりで、どのリーダー作を聴いても、バリサク・ジャズの良いところが体感できる。地味な楽器ながら、高度なテクニックで、テナーやアルトの様に滑らかに旋律を吹き回していく。爽快である。
 

Critics_choice

 
そんなペッパー・アダムスのリーダー盤から、きょうはこの盤を聴く。Pepper Adams『Critics' Choice』(写真左)。1957年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Katzman (tp), Pepper Adams (bs). Jimmy Rowles (p), Doug Watkins (b), Mel Lewis (ds)。サイドメンを見渡せば判るが、米国西海岸はロスでの録音になる。

全6曲。何の変哲も無い、歴史的名盤でも無い、ジャケットも地味の一言というかチープ。でも、この盤の内容は、ミスター・バリサク=ペッパー・アダムスを愛でるに最適なアルバムの一枚ではある。バックのサイドメンの演奏が適度に穏やかで、ペッパー・アダムスの重低音バリサクのアドリブ・フレーズを十分に惹き立てている。

そして、ロスで録音されたとは言え、演奏全体の雰囲気が思いっきり「ハードバップ」。しかし、米国西海岸で録音された音なだけに、東海岸のハードバップに比べて、この盤に詰まっているハードバップは適度に軽い。趣味の良い軽快さとでも形容しようか。警官感溢れる「ハードバップ」。そこにペッパー・アダムスのバリサクが「ブリブリッ」。これがたまらない。

何の変哲も無い、ジャズ盤紹介本でもなかなか採り上げられることの無いアルバムなんですが、実はこれが良い。ジャズ鑑賞の面白さですね。ジャズ本に頼らず、自分の手と耳で選んだアルバムが「当たり」だった時、なんだかホンワカした「幸せ」を感じます。ブリブリッなバリサクのペッパー・アダムス。実に魅力的です。

 
 

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