2018年4月13日 (金曜日)

Jean-Luc Pontyって誰?

バイオリンと言えば「クラシック」を連想する。しかし、ジャズは吸収力が大変高い音楽ジャンル。クラシックの代表楽器である「バイオリン」もジャズに活用する。クラシックの代表楽器だから、結構、ムーディーでメロディアスなジャズを奏でるのであろう、と思うのだが、これが違う。バイオリンはメロディアスな楽器ではあるが、結構、エモーショナルな音も出るし、結構、アグレッシブで激しい音も出る。

基本的に弦楽器なので、エレギの出来る表現の殆どがバイオリンで出来る。つまりは、バイオリンでジャズをやる場合、意外と先進的なフリージャズやモードジャズが主流となるケースが多いのだ。そうなれば、数が少ないとはいえ、バイオリンのジャズでの活用は、意外と先進的なシーンが多い。時代は、1960年代末、クロスオーバー・ジャズがトレンドになり始めた頃。数少ないジャズ・バイオリンの名手が一人、現れ出でる。フランス出身のJean-Luc Ponty=ジャン・リュック・ポンディである。

『King Kong : Jean-Luc Ponty Plays the Music of Frank Zappa』(写真左)。1969年10月の録音。パーソネルについては、曲によって、様々なゲスト・ミュージシャンを呼んでの録音であったが、主だったところでは、George Duke (p, key), iano, Ernie Watts (sax), Wilton Felder (b) 等々。録音時期のジャズの最先端のトレンドは「クロスオーバー・ジャズ」。
 

King_kong_jeanluc_ponty_plays_the_m

 
この盤、明らかに「クロスオーバー・ジャズ」である。ジャズとロックとクラシックの融合と表現したら良いのか、ビートは「エイト・ビート」がメイン。電気楽器の活用やバイオリンの音へのイコライジングなど、明らかにエレクトリックなジャズであり、アプローチと音の音色は、クロスオーバー・ジャズ。聴きようによっては「プログレッシブ・ロック」の様でもある。

ポンティのバイオリンは、限りなくアグレッシブでプログレッシブ。テクニックも優秀、攻撃的なフレーズもあれば、メロディアスなフレーズもある。バイオリンという楽器の出せる音色、テクニックのほぼ全てを総動員して、ポンティはバイオリンをとっても気持ちよさそうに弾きまくっている。

クロスオーバー・ジャズの初期の傑作の一枚です。リズム&ビートも明確に「クロスオーバー」していて、これを聴くだけで懐かしい。電気楽器の音がちょっと時代がかっていますが、これは仕方が無い。しかし、この発展途上のエレジャズの電気楽器の音って、何か人間っぽくてとっても良い感じです。アナログ時代の手作りな「プログレッシブなクロスオーバー」。好盤です。

 
 

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2017年11月15日 (水曜日)

こんなアルバムあったんや・92

昔のジャズ盤紹介本を読み返してみると、「この盤は聴いたことが無い」というものに出会う時がある。そもそも、縁が無かったのか、もともとジャズ盤紹介本に挙がることが殆ど無いのか、大体が「こんなアルバムあったんや」と感心する盤が大多数である。そして、聴いてみるとなかなかの内容の盤がほとんど。

3ヶ月ほど前に、このブログでご紹介した盤なんだが、例えばこの盤なんか、ジャズ盤紹介本に挙がっているのを見た時、「こんなアルバム見たこと無い」が最初の印象。内容の紹介文を読んで「こんなアルバムあったんや」と思わず唸る。

Stéphane Grappelli『Live In San Francisco』(写真左)。ジャズ・バイオリンの名手、ステファン・グラッペリの1982年7月7日、サンフランシスコでのライブ音源。

ステファン・グラッペリは、フランスのジャズ・ヴァイオリニスト。ジャズ・ヴァイオリニストの第一人者として、長年に渡って晩年まで第一線で活躍した。1908年生まれ、1997年に89歳にて逝去。このサンフランシスコでのライブ音源は1982年のものなので、グラッペリが74歳、晩年の演奏になる。
 

Stephane_grappelli_live_in_san_fran

 
選曲はスタンダード曲がメイン、これが良い。グラッペリのジャズ・ヴァイオリンの素性の良さとテクニックの確かさがグッと浮き出てくるのだ。まるで鼻歌を歌うが如く、軽快に爽快にアドリブを展開する。緩急自在、抑揚が効いていて、グラッペリのテクニックは「神業」である。74歳の演奏とは思えない。

ギターはグラッペリ・バンドで一躍有名になったギター・マン、若きマーティン・テイラーである。テイラーは1956年生まれなので、このライブの時点で弱冠26歳の若さ。26歳の若さなのに、意外と小粋なバッキングを繰り出すのだから、これまたビックリする。グラッペリとは48歳の差があるのだが、全く違和感が無い。優れたジャズメンの組合せとはそういうものなんだろう。

ジャズ・ヴァイオリンとは如何なるものか、この盤を聴けばその極上なパフォーマンスを体験することが出来る。素晴らしいライブ盤である。ちなみに、LPでの初出の時の盤(写真左)と、現在、CDでリイシューされている盤(写真右)とジャケットが大きく異なる。LP時代のジャケットの方がシンプルでジャズ盤らしい雰囲気。

 
 

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2017年8月15日 (火曜日)

ジャズ・バイオリンの秀逸ライブ

ジャズ・バイオリンは稀少である。それなりの音を出すバイオリンとなるとちょっと高価なものになるし、バイオリンを弾きこなそうするなら、それなりにしっかりとした先生につく必要があるし、さすがにバイオリンは教えて貰わないと弾きこなせない。加えて、エモーショナルな表現やスピリチュアルな表現に向かないところがあって、そんなこんなでバイオリンはジャズの世界では稀少価値な存在である。

そんな稀少な存在なジャズ・バイオリンの第一人者が、ステファン・グラッペリ。1908年1月生まれ、1997年12月に逝去。享年89歳。ジャズ・ギタリストのジャンゴ・ラインハルトの相方としても知られる。ジャズ・バイオリンの第一人者であるが、クラシックの世界でも評価は高い。そういうことから、グラッペリのバイオリンにおけるテクニックは相当に高いものがあったと確信している。

そんなグラッペリのジャズ・バイオリンについては、ジャズ者初心者の頃から、時ある毎に振れることが多く、意外と早くから、僕はグラッペリのジャズ・バイオリンに聴き親しんでいた。グラッペリのジャズ・バイオリンは、音にバイオリン独特の嫌味が希薄で、ストレートで美しい。ピッチはばっちり合っていて、躍動感も芳しい。
 

Stephane_grappelli_live_in_san_fran

 
Stéphane Grappelli『Live In San Francisco』(写真)。1982年7月7日、サンフランシスコは「The Great American Music Hall」でのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Stephane Grappelli (vln), Diz Disley (g), Martin Taylor (g), Jack Sewing (b) などなど。知らない顔ばかりですが、このライブ盤を聴く限り、なかなかのテクニックを持った強者揃いと感じます。

このライブ盤、選曲が良いですね〜。ジャズ・スタンダードの有名どころ、なかなか粋な選曲です。この有名どころのジャズ・スタンダード曲をベースにジャズ・バイオリンしてくれるので、グラッペリのジャズ・バイオリンの個性がとっても良く判る。バイオリンでジャズをするという特徴も、ジャズにおけるバイオリンの効果についても良く判る。

聴いて楽しいジャズ・バイオリン。ステファン・グラッペリはその第一人者。そのグラッペリのバイオリンでジャズ・スタンダード曲を聴く。テーマの旋律を弾き進めるバイオリンの音は端正で凛としていてストレート。旋律の良さが際立ち、アドリブに入ると、バイオリン独特の躍動感に「バップ感」が増幅される。そして、聴いて楽しいアレンジと相まって、とても楽しいライブ盤に仕上がっています。お勧め。

 
 

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2017年7月30日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・85

バイオリン。ジャズにおいて、数は少ないが「バイオリン・ジャズ」は存在する。ブルージーな雰囲気を醸し出し、オフビートを強調したフレーズを連発するには、バイオリンという楽器は「向いていない」。それと、それなりの音を出そうとすると、なんせ楽器の値段が高い。バイオリンを弾き回すには、それなりの基礎教育が必要。そんなこんなの理由から、バイオリン・ジャズは数が少ない。

それでも、年に何枚かはバイオリン・ジャズの好盤がリリースされる。絶滅危惧種的なリリース数の少なさだが、基本的にリリースされるアルバムのレベルは水準以上。聴き応えのあるアルバムが基本的にリリースされている。しかし、バイオリン・ジャズは基本的に黒く無い。クラシックっぽく流麗でメロディアス。

昨年、こんなバイオリン・ジャズのアルバムがリリースされた。Jerry Goodman『Violin Fantasy』(写真左)。Jerry Goodman=ジェリー・グッドマン。どっかで聞いたことのある名前なんだが....。この盤のバイオリンの音を聴いて、これって、1970年代前半、クロスオーバー・ジャズの音。そうか、第一期マハヴィシュヌ・オーケストラのバイオリン奏者であった。
 

Jerry_goodman_violin_fantasy

 
このアルバムの演奏を聴いていると、これってジャズか、と感じる。ジャズ+ロックのクロスオーバー・ジャズ的な音ではあるが、どちらかと言えば、1970年代前半、ロック界を席巻した「プログレッシブ・ロック」の音世界に近い。調べてみたら、ゲストに、ドイツを拠点とするプログレ・バンドのNEKTARや、トニー・レヴィン、ビリー・シャーウッド、リック・ウェイクマンが参加している。

じっくり聴いていると、音の基本は「マハヴィシュヌ・オーケストラ」の音に近い。1970年代前半のクロスオーバー・ジャズのテイストが実に懐かしい。曲自体の構成力も確固たるものがあり、その構成力に応える演奏隊のテクニックも実に高いものがある。全編に渡って演奏充実。聴き始めたら一気に聴き切ってしまうほどの内容の濃さ。

この盤、ジェリー・グッドマンとして、1988年の『It's Alive』以来、約28年ぶりにリリースしたソロ名義でのアルバムとのこと。収録曲は新録曲とカバー曲が半々という構成で、今から思えば「企画盤」の色合いが強いのですが、なんせ28年ぶりのソロ名義のアルバムなので、全く気になりません。プログレ・テイストの濃い壮大なロック・シンフォニーがベースのクロスオーバー・ジャズ。僕には大好物です。

 
 

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2016年11月 7日 (月曜日)

ネオ・バップなヴァイオリン

ヴァイオリン・ジャズは潰えそうで潰えない。衰退基調で、もはや希少価値かと思われた頃に、また新しいヴァイオリン・ジャズメンが現れる。レジェンドが亡くなっても、中堅どころが新しい展開を見せて、良作を量産したりする。細々とではあるが、ヴァイオリン・ジャズの歴史は永続的である。

1997年、ステファン・グラッペリが亡くなって、さすがに以降、ヴァイオリン・ジャズを聴く事も無いか、と思っていたら、このヴァイオリン・ジャズメンに出会った。Billy Bang(ビリー・バング)である。ビリー・バングは1947年生まれ、惜しくも2011年に亡くなった。享年63歳であった。

2011年に亡くなっているとは言え、このバングのヴァイオリン・ジャズは聴いたことが無い。まだこんな聴いたことの無いヴァイオリン・ジャズメンがいたんや、と思わずビックリした。そして、聴けば、かなり個性的なヴァイオリン・ジャズが展開されている。いやはや、ジャズメンの世界は裾野が広い。
 

Big_bang_theory

 
ビリー・バングは、オーネットやコルトレーンの影響を受けつつ、1970年代後半のロフトジャズ運動のあたりから活動を開始。Sun Raのバンドに参加するなどした後、ソロでフリージャズ的な作品を展開。1990年代以後、志向を変え、2011年、癌で亡くなるまで、ストレートなバップ・サウンドに取り組み良作を量産した。

このビリー・バングと僕はこのアルバムで出会った。Billy Bang『Big Bang Theory』(写真左)。2000年のリリース。ピアノ、ベース、ドラムとのカルテット編成によるバップ・アルバム。ストレートアヘッドで切れ味の良い演奏が素晴らしい。とりわけ、ヴァイオリンがバップしているところがミソ。ところどころ、フリーキーな要素も織り込んでいて、コンテンポラリーな雰囲気ムンムン。

めっちゃ硬派なヴァイオリン・ジャズだと思います。ヴァイオリン・ジャズって、ヴァイオリンの哀愁あふれる音を活かした、ちょっとマイナーでムーディーな、イージーリスニング・ジャズ的アプローチをどうしても想起してしまいがちですが、このビリー・バングの『Big Bang Theory』を聴くと、いやいやそんなことな無い、と思いますね〜。

 
 

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