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2019年4月 5日 (金曜日)

ボボ・ステンソンの新トリオ盤

ECMレーベルには、素敵な内容のピアノ・トリオ盤が多く存在する。恐らく、ECMレーベルの、西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置き、電化サウンドを排除し、アコースティックな表現を基本とし、限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音がジャズ・ピアノにフィットするんだろう。特に、ファンクネス希薄な欧州のニュー・ジャズ系のピアノがとりわけフィットする。
 
ECMレーベルの「お抱えピアニスト」の一人に、Bobo Stenson(ボボ・ステンソン)がいる。ステンソンは、1944年、スウェーデン出身。10 代の時から演奏活動を始め、ソニー・ロリンズ、スタン・ゲッツ、ドン・チェリーなどとセッションを重ねていたそう。1970年代には盟友ヤン・ガルバレクと共に活動を開始し、ECMレーベル中心に好盤をリリース。現在では、ベースのアンデルス・ヨルミンとドラムのヨン・フェルトとトリオで活動を続けている。
 
そんなステンソンの最近の好盤の一枚がこれ。Bobo Stenson Trio『Contra la Indecisión』(写真左)。2017年5月の録音。ちなみにパーソネルは、 Bobo Stenson (p), Anders Jormin (b), Jon Fält (ds)。現在、好調に好盤をリリースしているトリオでの新盤である。選曲がふるっている。バルトーク、サティが採用され、キューバのシルヴィオ・ロドリゲスの哀愁溢れるアフロ・キューバンな佳曲が彩りを添えている。
 
 
Contra-la-indecision-bobo  
 
 
ボボ・ステンソンのピアノがとても美しい。キースのピアノから尖ったところ、アブストラクトなところをそぎ落として、しっかりした明確なタッチでの、硬派で耽美的なフレーズが特徴。ピアノの音のエッジが適度に丸く、耳に優しく馴染む。流麗で耽美的なフレーズを駆使する曲では、限りなく美しく、暖かくてクールなピアノが響き渡る。ヨルミンのベースは唄うが如く、ベースラインを抑え、フェルトのドラムは自由自在にリズム&ビートを紡ぎ出す。
 
フリーな演奏では切れ味の良い、煌めきの様なフレーズが続くが、どこか優しく丸い。それはピアノだけでは無い。ヨルミンのベースも自由度高く、弾ける様なうねるようなフレーズを連発するが、どこか優しくしなやか。フェルトのドラムはポリリズミックで閃き抜群。様々な表情のフレーズを繰り出し、素晴らしく高度なテクニックで最上の表現力を発揮する。意外とこのフリーな演奏の部分が聴きものだったりする。
 
このトリオの演奏には北欧の自然をイメージする、クリアでクールでアーシーな音がぎっしりと詰まっている。紡ぎ出すフレーズも現代音楽っぽい幾何学的で耽美的で印象的なフレーズがてんこ盛り。北欧では、キース・ジャレットと双璧をなすジャズ・ピアノのレジェンドとして評価されているそうだが、それも納得できるこの新盤の内容。ECM好きには堪らない好盤である。
 
 
 
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年4月 4日 (木曜日)

現代の「ECMの考えるジャズ」

欧州の正統派ジャズ、ニュー・ジャズの老舗レーベルである「ECM」。コンスタントに新盤をリリースし続けている。出てくる音は、あくまで「ECMの音」。西洋クラシック音楽の伝統にしっかりと軸足を置いた「ECMの考えるジャズ」。限りなく静謐で豊かなエコーを個性とした録音。この「ECMの音」については、今も昔も変わらない。
 
ECMレーベルは北欧ジャズが得意ジャンル。もともとECMレーベルのメイン・スタジオがノルウェーのオスロにある「レインボー・スタジオ」なんで、やはり北欧ジャズには造詣が深い。ECMレーベルの専属ジャズメンを眺めてみても、北欧出身のジャズメンが多く名を連ねている。北欧ジャズがECMレーベルの音の個性にフィットするんだろう。
 
Tord Gustavsen Trio『The Other Side』(写真左)。2018年1月、オスロのレインボー・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Tord Gustavsen (p, electronics), Sigurd Hole (b), Jarle Vespestad (ds)。 リーダーのトルド・グスタフセン、ドラマーのジャール・ヴェスペスタッド、ベーシストのスィッガード・ホール、いずれも皆がノルウェー出身。「Norwegian Trio」と名付けても良い位だ。
 
 
The-other-side-ecm  
 
 
グスタフセンのピアノは耽美的で硬質で暖かい。ミッドテンポの柔らかいタッチで印象的なフレーズを紡いでいく。北欧ジャズ独特の哀愁感も深く濃く漂っている。ヴェスペスタッドのベースがソリッドで重心が低い。中高音のソロ・フレーズが明らかに耽美的で、グスタフセンのピアノを有効にサポートする。ホールのドラムは柔軟でバリエーション豊か。緩急自在なポリリズムがグスタフセンのピアノに有効に絡んでいる。
 
柔らかく暖かくクリアなキース・ジャレット的な趣きなんだが、キースよりもシンプルで判り易い。ECM録音の特徴である、豊かなエコーが乗ったスピリチュアルなフレーズがグスタフセンの個性だろう。途中、突然、初期のキースみたいな、ゴスペルっぽいアーシーなフレーズが出てくるんだが、これにはビックリする。そういう意味では、グスタフセンはキースのフォロワーと面が強いのかもしれない。
 
最近、我が国ではECMレーベルの人気は以前に比べて下火に感じるが、どうして、本家本元の「ECMレーベル」は今でもコンスタントに「ECMの考えるジャズ」をリリースし続けている。今回のグスタフセンの新盤もそんな一枚。ジャケットも明らかに「ECMレーベル」していて、ECM者の我々からすると、もうワクワクドキドキである。
 
 
 
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2017年8月 3日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・57

北欧ジャズは、昼下がりのジャズ喫茶に良く似合う。それも、昼ご飯時の喧噪が潮のように引いた、客も疎らになった静かな店内。そんな静かな店内に流れる北欧ジャズ。透明感のある音と独特な深いエコー。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。昼下がりもこの真夏の昼下がりが良い。エアコンの効いた客も疎らなジャズ喫茶の寂しさ漂う空間が良い。

Nikolaj Hess『Trio』(写真左)。2012年の作品。ちなみにパーソネルは、Nikolaj Hess (p), Tony Sherr (b), Kenny Wollensen (ds)。Nikolaj Hess=ニコライ・ヘスは、透明感のあるトーンとリリカルなフレーズが個性の北欧はデンマークのピアニスト。ロックやポップスの楽曲を積極的にカヴァーするのも特徴で、この盤でも、4曲目の「Masters At War」はボブ・ディランの作。

冒頭の「Make You Feel My Love」を聴くだけで、あ〜これは北欧ジャズやなあ、と判る。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。す〜っと余韻の伸びるピアノの音。切れ味の良い純度の高いシンバルの響き。リリカルでしっかりとビートの効いたドラム。3者対等なピアノ・トリオのインプロビゼーション。明らかにこの盤は「北欧ジャズ」。
 

Nikolaj_hess_trio

 
2曲目「Film」は打って変わって躍動感溢れるトリオ・インプロビゼーション。ダイナミックな展開ではあるが、それぞれの音は透明度の高い、切れ味の良い音。結構、自由度の高いアドリブ展開を繰り広げるが、決して破綻することは無い。ふらつくことも無い。整然と北欧ジャズらしい、スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。

自由度の高い、モーダルなインプロビゼーションではあるが、全編に渡ってリズム&ビートが整っているが故、非常に聴き易く、飽きが来ない。モーダルなアドリブフレーズを耳で追っているうちに、一気に聴き切ってしまう。テクニック確かな、端正なトリオ演奏。メリハリと抑揚、緩急が効いたバリエーション豊かな展開。

北欧ジャズは、エアコンの効いた客も疎らな、独特の寂しさ漂う「昼下がりのジャズ喫茶」に良く似合う。透明感のある音と独特な深いエコー。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。思わず「微睡み」を誘われ、ついつい至福の時に身を委ねる。そんな北欧ジャズが朗々と流れる、そんなジャズ喫茶の昼下がりが僕は大好きだ。

 
 

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2017年8月 1日 (火曜日)

エアコンに「北欧ジャズ」である

午後から雨が降って、湿度は高いがちょっと涼しくなった我が千葉県北西部地方。ちょっと涼しくなったが、湿度の高さは相変わらずで、仕事帰りの疲れた体に良くないので、結局、部屋にはエアコンである。エアコンをかけると、当然、窓を閉めるので、室内は静かになる。エアコンで湿度が和らいで静かな室内。

そんな部屋には「北欧ジャズ」である(笑)。いや、冗談無しにエアコンで湿度が和らいだ部屋には「北欧ジャズ」が良く似合う。北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。思わず「北欧やな〜」と唸ってしまう(笑)。

今日選んだ「北欧ジャズ」盤は、Hans Ulrik & Lars Jansson『EQUILIBRIUM+』(写真左)。デンマークの人気サックス奏者ハンス・ウルリク(写真右)をフロントに迎えた、スウェーデンの抒情派ピアノ名手ラーシュ・ヤンソン率いるトリオの作品である。
 

Equilibrium

 
タイトルに「+」が付いているのは何故か。この盤は、収録曲をよくよく見ると判るのだが、2012年録音の新作『Equilibrium』全11曲から9曲をセレクト、更に、同じくウルリクとヤンソンの共演による1994年録音のウルリク名義の『Strange World』全12曲からの5曲をプラスした日本独自編集盤である。だから「+」が付くのか。なるほど。

冒頭の「Downward Dog」から、完璧な「北欧ジャズ」である。ところどころ、4ビートのゴスペルチックなフレーズが出てくるんだが、これが実に良い雰囲気。僕はこの展開が大好きだ。でも、決して「黒くならない」。ファンクネスも漂わない。それでも、思いっきりジャジーなビートが実にスインギー。フォーキーで牧歌的な寛ぎのフレーズが心地良い。

ウルリクの開放感溢れる、ストレートに伸びた大らかなサックスと、ほど良く抑制された躍動感&透明感溢れるヤンソンのピアノ。ウルリクとヤンソンの持つ「北欧ジャズ」特有のリリカルな美しさがこの盤に満載である。いや〜「北欧ジャズ」は素晴らしい。

 
 

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2017年5月14日 (日曜日)

北欧ジャズのピアノ3の好盤

沖縄では梅雨入りだそうだ。ここ千葉県北西部地方もあと2週間もすれば梅雨入りだろう。昨日今日と気温が低めで、外を出歩くには薄手の長袖が必要なんだが、先週などは半袖で出歩ける「夏日」。これだけ気温が上がってくると、北欧ジャズが耳に心地良く響くようになる。

北欧ジャズとは「スカンジナビア諸国」で発展しているジャズ。国としては、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、加えてフィンランドの4ヶ国を指す。1950年代後半、ハードバップ全盛時代から、北欧のジャズ・シーンは無視出来ない。どこでどうなったのか、理解出来ないところがあるのだが、北欧においてジャズは確実に市民権を得ている。

Emil Brandqvist Trio『Falling Crystals』(写真左)。2016年の作品。スウェーデンのドラマーEmil Brandqvist率いるピアノ・トリオ。ちなみにパーソネルは、Emil Brandqvist (ds, per), Tuomas Turunen (p), Max Thornberg (b)。一部、弦楽四重奏とパーカッションが入る。
 

Falling_crystals1

 
Emil Brandqvistは、仮名読みで「エミル・ブランクヴィスト」と読む。ここではエミルと呼ばせていただく。エミルはスウェーデンのドラマー。1981年生まれみたいなので、今年で36歳になる。バリバリ中堅のドラマー。ドラマーがリーダーのアルバムなんだが、コンセプトがしっかりしていて、エミルのイメージする音世界が良く表現されている。

Tuomas Turunen(ツォマス・ツルネン)はフィンランドのピアニスト。Max Thornberg(マックス・ソルンベルグ)はスウェーデンのベーシスト。どちらもリリカルでダイナミック、アクティブで繊細。北欧ジャズ独特のソリッドな雰囲気。北欧ジャズの雰囲気に加えて、ダイナミックでアクティブな部分が個性。このアルバムでは、このツルネンのピアノとソルンベルグのベースが実に良く効いている。

自然の雰囲気を宿した「ネーチャー・ジャズ」な雰囲気と現代ジャズ・ピアノのコンテンポラリーな部分とが上手く共存しています。元祖ジャズの個性であるファンクネスは皆無ですが、北欧ジャズ独特のクリスタルな響き、クールなダイナミズムが十分に感じられる、北欧ジャズのピアノ・トリオの好盤です。

 
 

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2017年3月11日 (土曜日)

オールド・スタイルなテナーです

ジャズの世界は広い。改めてそう感じる。僕は、この盤を「ジャズ批評ジャズ・オーディオ大賞」でそのタイトルを見て、初めて知った。この盤に対するコメントを見て興味を持って聴いてみて「あらビックリ」。ジャズ・テナーって基本的には「コルトレーン直系」なので、この人もなんやかんや言ってもそうなんやろな、と思って聴き始めて「あらビックリ」。

Bodil Niska『Night Time』(写真左)。2009年の作品。ちなみにパーソネルは、Bodil Niska (ts), Staffan William-Olsson (g), Claes Crona (p), Jorgen Smeby (b), Petur Ostlund (ds), Roy Nikolaisen (flh), Birgit Kjuus (flh), Helge Sunde (tb), Oyvind Brakke (tb), Rune Brodahl (hrn)。

リーダーはテナー・サックスの「ボディル・ニスカ」。ノルウェー出身、女性テナー奏者である。1954年生まれなので、今年で63歳になる。大ベテランである。ベン・ウェブスター直系の伝統的なオールド・スタイルなテナーである。コルトレーンの陰も微塵も無い。が、実はこれがなかなか味があって聴き応えがある。
 

Bodil_niska_night_time

 
そんなベン・ウェブスター直系の伝統的なオールド・スタイルな渋くて味のあるテナーで奏でる雰囲気は、アルバム・タイトル通り、まさに「夜」。アーバンな夜の雰囲気が濃厚なブロウが10曲。聴いていて、思わず惚れ惚れと聴き込んでしまう。こんなオールド・スタイルなテナーが、北欧のノルウェーに、しかも女性のテナー奏者で、しかも大ベテラン。

冒頭の「Over The Rainbow」が、実に骨太でオールド・スタイルのテナーでボボボボと吹き上げられている様を聴いていて、これは新しい感覚やなあ、と思わず聴き入った。まさに「温故知新」である。しかし、このオールド・スタイルのテナーを女性が吹いているのにはビックリした。しかもノルウェー出身である。二度ビックリである。

北欧ジャズは意外と奥が深い。最近、いろいろとCDを漁っては聴いているが、どれもが水準の高い内容ばかりである。しかも「北欧ジャズ」というジャンルで括るに相応しい共通の個性を持っている。実直真面目、ファンクネス皆無な、透明度の高い純ジャズである。この 「ボディル・ニスカ」のテナーもその括りに入る。もっともっと北欧ジャズを聴きたくなった。

 
 

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2017年2月24日 (金曜日)

スウェーデン・ジャズの好盤

北欧ジャズ、スウェーデン・ジャズである。なかなか情報が潤沢に無いので選盤には苦労するのだが、さすがは、老舗ジャズ喫茶のマスターである。ジャズ喫茶御用達のジャズ盤のラインアップの中に、この盤があった。聴いてみた。これがなかなか良い。

『Per 'Texas' Johansson』(写真左)。1997年1月、ストックホルムでの録音。ちなみにパーソネルは、Per 'Texas' Johansson,  Fredrik Ljungkvist (ts, b-cl), Dan Berglund (b), Mikel Ulfberg (ds)。基本はピアノレスの変則トリオ。リーダーのヨハンソンとユンクヴィストの双頭テナーのフロントがユニーク。

冒頭のタイトル曲「Holon」を聴けば、明らかに「欧州ジャズ」であることが判る。ストレートでシンプルで力強い、ファンクネスが限りなく僅少で、音の響きに透明感が半端ない。演奏内容は限りなくフリーに近いが、決してフリー・ジャズには傾倒しない。ぎりぎりのところで、メインストリームな純ジャズに留まる。音数は厳選され、間を活かしたアドリブフレーズは明らかに「北欧」。

Per 'Texas' Johanssonは、1970年、スウェーデンはセーデルテリエの生まれ。1990年辺りから、Stockholm Jazz Orchestraなどで頭角を現す。我が国ではほとんど無名状態のテナー奏者。当然、僕もこの盤を聴くまでは、ヨハンセンの名は全く知らなかった。
 

Per_texas_johansson  

 
しかし、この盤を聴けば、ヨハンソンのテナーの素性の良さをビンビンに感じる。とにかくテナーが良く鳴る。ユニークなのは、この盤に限ってなのかもしれないのだが、ジョン・コルトレーンの陰を感じないのだ。

現代のジャズ・テナーの若手〜中堅と言えば、ほとんどがコルトレーンの影響下にあると言って良い。しかし、ヨハンセンにはそれがない。あるとすれば、ヤン・ガルバレクの影響が見え隠れするくらい。ガルバレクはノルウェー出身のテナー奏者だが、同じ北欧ジャズのテナー奏者、音の響きの中の透明感やストレートな吹きっぷりといい、スタイルがどこか底で通じているものがあるみたいだ。

スローでシンプルなデュオ基調の曲から、ミッドテンポの透明度が高く透明感のあるポジティブな展開の曲まで、全くそつなく吹き判るヨハンセンの力量は素晴らしいものがある。曲やテンポに左右されること無く、悠然と余裕を持ったアドリブ展開は一級品です。

欧州ジャズは面白い。個性豊かなジャズメンが揃っているのも何と無く判ってきた。このヨハンセンもそんな中の一人。ミドルネームの「Texas」の通り、テキサステナーのような太いテナーを吹くが、基本的にファンクネスは僅少。これがユニーク。これが欧州ジャズ、北欧ジャズの個性のひとつなのである。

 
 

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2017年1月29日 (日曜日)

北欧ヤンソンのセルフ・カヴァー

最近、欧州ジャズのピアノが楽しい。欧州ジャズのピアノは、一言で言うと、ファンクネスが希薄で透明度が高い。テクニックがあって端正で破綻が無い。アドリブ・フレーズは流麗。タッチは硬質。クラシック・ピアノと相対しても遜色の無い、アーティスティックなインプロビゼーション。

ジャズ雑誌に掲載される2016年の「ディスク・グランプリ」の結果を見ていて、Lars Jansson(ラーシュ・ヤンソン)のアルバムが挙がっていた。ラーシュ・ヤンソンも日本ではメジャーな存在になったなあ。ラーシュ・ヤンソンは、1951年スウェーデン生まれ。今年65歳。いかにも北欧のピアニストらしい繊細なピアノを弾く。ファンクネスは皆無。しかも湿り気無く、とことんドライ。このカラッとしたところが、ラーシュ・ヤンソン独特の個性。

そんなラーシュ・ヤンソンのセルフ・カヴァー集が、このLars Jansson Trio『More Human』(写真左)である。昨年の作品になるのだが、これがまあ素晴らしい内容なのだ。ちなみにパーソネルは、Lars Jansson (p), Thomas Fonnesbeak (b), Paul Svanberg (ds)。鉄壁のトリオ。

もともとラーシュ・ヤンソンは良い曲を書く。北欧ジャズ独特のリリカルで繊細なピアノが十二分に活きる、透明度の高い印象的な旋律を持った秀曲ばかり。ヤンソンの場合は、彼のオリジナル曲ばかりでアルバム全体を構成されていても全く問題が無い。逆に、北欧ジャズの特質がグッと浮き出てくる。
 

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このアルバムでは、そんなラーシュ・ヤンソンの自作曲の中から人気の高い「モア・ヒューマン」「マリオネット」「マザーズ・イン・ブラジル」「ホープ」を始めとして、ラーシュ・ヤンソン自身が15曲を厳選してセルフ・カヴァーしているのだ。ジャズではこういうセルフ・カヴァー集は珍しいのだが、ヤンソンとしては、この若手のベースとドラムを迎えた「このトリオ」で再録したかったのだろうと推察する。

その目論見はバッチリ当たっている。もともとの曲が良いのだから、もちろん、この現時点でのラーシュ・ヤンソン・トリオでの演奏は素晴らしいの一言。適度な緊張感、心地良い演奏の「音の密度」、北欧ジャズ独特の透明感、どれをとっても極上の演奏である。新旧の演奏を比較すれば良く判るのだが、現時点でのトリオの「表現力の柔軟性の高さ」と「創造力のバリエーションの豊かさ」が良く判る。

こういうセルフ・カヴァー集もありやなあ、と思わず確信してしまうほど、このセルフ・カヴァー集はその狙いをしっかりと実現している。非常に優れた内容の企画盤である。また、ジャケット・デザインも秀逸。最近のアルバム・ジャケットを描いているのは孫娘のヒルダで、今作品のジャケットも彼女の作品とのこと。まさに「優れた内容のジャズ盤のジャケットは決まって優秀」である。

 
 

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2016年11月16日 (水曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・56

ピアノ・トリオを聴き込んでいる。特に欧州ジャズのピアノが気になっている。欧州ジャズのピアノは、一言で言うと、ファンクネスが希薄で透明度が高い。テクニックがあって端正で破綻が無い。アドリブ・フレーズは流麗。タッチは硬質。クラシック・ピアノと相対しても遜色の無い、アーティスティックなインプロビゼーション。

と、一昨日書いた。で、今日は正真正銘、欧州ジャズのピアノ・トリオです。欧州ジャズもど真ん中。北欧ジャズの代表的ピアノ・トリオです。Lars Jansson『In Search of Lost Time』(写真左)。実に北欧らしいイラストのジャケットが実に印象的な、明らかに北欧らしいアルバム。

Lars Jansson(ラーシュ・ヤンソン)は、1951年スウェーデン生まれ。今年65歳。いかにも北欧のピアニストらしい繊細なピアノを弾く。ファンクネスは皆無。しかも湿り気無く、とことんドライ。このカラッとしたところが、ラーシュ・ヤンソン独特の個性。
 

In_search_of_lost_time  

 
この『In Search of Lost Time』(邦題;失われた時を求めて)は、2009年3月の録音。ちなみに、Christian Spering (b), Anders Kjellberg (ds), Lars Jansson (p)。このアルバムに詰まっているピアノ・トリオのパフォーマンスは「これぞ、ラーシュ・ヤンソン」と叫びたくなる様な内容です。

この硬質でダイナミック、それでいてクリスタル感満載なピアノ。これぞ、ラーシュ・ヤンソン。そして、ベースのクリスチャン・スペリングも実に良い。骨太でしなやかで硬質なベース。しかもファンキー感全く無しでソリッド感抜群。あ〜これぞ欧州ジャズのベースである。ドラミングも良い。大胆にして細心、緻密でダイナミックなドラミングは欧州ジャズならでは。

徹頭徹尾、欧州ジャズですね〜、このピアノ・トリオ。心地良い緊張感を良し。ジャケット・デザインも明らかに北欧していて良し。北欧ジャズ、それもピアノ・トリオで「これ一枚」というリクエストには、このアルバムをお勧めしている。良い雰囲気の、良い感じのピアノ・トリオ盤です。

 
 

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2016年10月17日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・91

最近、北欧ジャズの新盤を聴いていて、ふとこのアルバムの存在を思い出した。1960年代前半の録音。1960年代前半の北欧ジャズ。もうこの頃から、北欧ではジャズがしっかり根付いていて、北欧ジャズならではの成果をしっかりと出していたことが判る。

Bengt Hallberg『At Gyllene Cirkeln』(写真左)。1963年の録音。スウェーデンを代表する名ジャズ・ピアニスト、ベンクト・ハルベルグ(1932-2013)の1963年リリースのピアノ・トリオの好盤。ベンクト31歳の好プレイである。

ちなみにパーソネルは、Lars Petterson (b), Sture Kallin (ds), Bengt Hallberg (p)。さすがに北欧ジャズ。ピアノのベンクト以外、全く知らない(笑)。それでも、このトリオ盤を聴くと、ベースとドラム、かなり素性の良いもので、演奏全体のレベルは高い。

ベンクトのピアノは一聴して、基本は「ビ・バップ」だと判る。パッキバキ硬質でクリスタルなタッチ。アドリブ・ラインは硬派で豪快で、その展開は前もっての予想を覆す、スリリングなもの。クールなラインを弾きこなす、粋なピアノではあるが、そのタッチは「熱い」。底に「ビ・バップ」の要素がどっしりと横たわっている。
 

Bengt_hallberg_at_gyllene_cirkeln

 
1963年の録音で、基本は「ビ・バップ」というのは、ジャズの演奏スタイルの歴史上、ちょっと違和感がある。1963年の米国ジャズのトレンドは、モード・ジャズ、もしくはファンキー・ジャズ。しかし、欧州は違った。欧州については、ジャズと言えば「とりあえずビ・バップ」なところがある。欧州では「ビ・バップ」に対する評価が高い。

そういう背景もあるのであろう、このトリオ盤の基本は「ビ・バップ」。それでも、ピアノのアドリブ展開のイメージや、リズム・セクションとの絡みは、正統な1940年代後半のビ・バップと比較すると、複雑で奥が深い。1963年の北欧のビ・バップは、米国のビ・バップを発展、進化させたものであることが聴いていて判る。

こういうシンプルで素直なジャズは、聴いていてとても心地良い。何度聴いても飽きが来ない。聴き疲れることも無い。ジャケットもアーティスティックで秀逸。こういう好盤がコロッと出てくるから、北欧ジャズは隅に置けないのだ。

 
 

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