2024年2月17日 (土曜日)

北欧らしい Swedish Standards

北欧ジャズの国単位の範疇は「ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、デンマーク」。北欧ジャズには独特のフレーズと響きがある。耽美的でリリカルでメロディアス。静的で決して暑くはならないクールなインプロ。クラシックの影響とそれぞれの国のフォーク・ソングのフレーズが垣間見える。

Jan Lundgren Trio『Swedish Standards』(写真)。1997年5月10−11日、コペンハーゲンのサン・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Jan Lundgren (p), Mattias Svensson (b), Rasmus Kihlberg (ds)。

ピアノのヤン・ラングレンがリーダーのピアノ・トリオ。トリオの3人ともスウェーデン出身。この「純スウェーデン人トリオ」の母国、スウェーデンの古謡を取り上げ、ジャズ化した秀作。

米国にも日本にも馴染みの無い、不思議なメロディとモチーフとしたフォーキーなフレーズがいかにも「スウェーデンの古謡」らしい。そんな「スウェーデンの古謡」を北欧ジャズの雰囲気濃厚なアレンジと録音で「トリオ・ジャズ」化している。独特な雰囲気が魅力のトリオ演奏。

この「スウェーデンの古謡」の北欧ジャズ化を聴くと、北欧ジャズの個性と特徴がとてもよく判る。とてもシンプルで地味目の「古謡フレーズ」なので、ダイナミックでドラスティックな米国ジャズを良しとする向きには「単調で退屈」だろう。
 

Jan-lundgren-trioswedish-standards  

 
しかし、欧州ジャズ者、ECMジャズ者の方々なら、すんなり受け入れて、その優れた内容を理解することができるだろう。欧州ジャズを理解できないと北欧ジャズを理解することは難しい。

古謡をベースにしながら、そのジャズ化に無理が無い。古謡の持つ不思議なメロディとモチーフが、北欧ジャズの個性と特徴に合致するのだろう。

そして、ラングレンの、美しいタッチ、歌心に溢れたフレージング、端正で流麗なリズム感、3拍子揃った、北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノが的確に古謡のフレーズをジャズ化している。

加えて、スヴェンソンの間合いの効いたリリカルなベース、フォーキーにリズム&ビートを刻むシェールベリのドラムが、そんなラングレンの北欧ジャズ仕様のバップ・ピアノをガッチリ支え鼓舞する。

こういう、その国や地域に密着したジャズはどれもが美しい。米国ジャズだって、和ジャズだって同じ「その国や地域に密着したジャズ」。優劣は無い。

改めて、この『Swedish Standards』は、実に北欧ジャズらしいピアノ・トリオの優れたパフォーマンスである。
 
 

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2024年1月17日 (水曜日)

北欧のマイルス『Aura』

晩年のマイルス・ディヴィスの聴き直し。この盤は1985年に録音されながら、4年ほどお蔵入りしていた、マイルスにとって「曰く付き」の企画盤。マイルスのアルバムは録音されたらなるべく時を置かずにリリースされていたのだが、この盤は違う。どうも、録音当時のコロンビア・レコードと契約などでもめていたらしく、リリースは1989年になっている。

Miles Davis『Aura』(写真左)。1985年1月31日〜2月4日、デンマークのコペンハーゲンでの録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John McLaughlin (g), Bo Stief (el-b), Vincent Wilburn Jr. (el-ds)。バックに地元のビッグ・バンドがつく。

ギターにマクラフリンが参加しているが、マイルス・バンド全体からすると、新しい何か創造的な録音をする、というような面子ではない。あくまで、ジャズロックやジャズ・ファンクなど、エレ・マイルス色の演奏を展開する時の「備え」という感じの面子。

このアルバム、マイルスが、1984年にデンマークで『レオ二ド・ソニング賞』というものを受賞、その授賞式では、財団が委託した作曲家の作品を演奏するのが「しきたり」だったそうで、マイルスは、パレ・ミッケルボルグが作編曲した組曲『オーラ』をビッグ・バンドと共演、この時の演奏の出来が良かったことで、マイルス自ら正式にスタジオ録音したのが本作とのこと。

ビッグバンドをバックにマイルス・バンドが演奏する、と聞くと、1950年代後半の「ギル・エヴァンスとのコラボ」を想起するが、ギルとのコラボの時の様に、この北欧のビッグバンドとの共演で、マイルスとして「新しい何か」を生み出したかと言えば、そうではない。が、マイルスのパフォーマンスだけ捉えれば「素晴らしい」の一言。
 

Miles-davisaura

 
流麗にクールに、アグレッシブにリリカルに、ジャジーに朗々とトランペットを吹き回し、吹き上げるマイルスは全編に渡って「一級品」。これだけ、マイルスのトランペットをズット愛で続けることの出来るアルバムはそうそうない。特に、マイルスの晩年のトランペットの素晴らしさを長時間に渡って体感できるのはこの盤しかない。

ビッグバンドの演奏としてはまずまずのレベルだが、マイルスの、マイルス・バンドの演奏を前面押し出し、引き立たせる為のビッグバンドという役割については、その役割を堅実に果たしている。ソリストの活躍するパートもあるが、マイルスのトランペットを阻害することは全くない。そういう意味では、マイルス・ウィズ・ビッグバンドとしては、サウンドのバランスは良好。

ビッグバンドをバックに、マイルスがトランペットを朗々と流麗に吹き進める演奏から、ビッグバンドのソリスト、オーボエのソロにハープやピアノが、はたまたエレギが絡む、現代音楽の様な展開があったり、ミディアム・テンポのジャズロック風のエレ・ファンクがあったり、単純に「ウィズ・ビッグバンド」の企画盤として楽しめる内容になっている。

マイルスの「創造的なSomething(何か)」は感じられないので、そこは硬派なマイルス者の方々には大いに不満が残る内容らしいが(我が国の評論家諸氏の評価も散々・笑)、マイルスのトランペットを愛でる、という一点では、まずまずの内容の「マイルス・ウィズ・ビッグバンド」な盤だと僕は思う。マイルスも意外とノリノリでトランペットを吹いているみたいで、意外とマイルスの充実したプレイが楽しめる。

ちなみに、ジャケット・デザインは平凡でちょっと酷いもの。当時、コロンビア・レコードとして、マイルスに全く力を入れていなかったことが良く判る。まあ、歴史的に振り返ってみて、コロンビア・レコードとか、エマーシー・レコードとか、大手のレコード会社は、結構、ジャズを粗末に扱うところがあるが、この『Aura』のジャケの酷さからも、そんなところが窺い知れて面白い。
 
 

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2023年12月17日 (日曜日)

ラン・ドーキーの新作ライヴ盤

ジャズのアルバム鑑賞については、ジャズを聴き始めた頃から、ピアノを最初にメインとして、ずっと聴き続けている。かなりのピアニスト、リーダー作を聴いてきたが、まだまだ手薄なピアニストが存在する。その一人が「Niels Lan Doky(ニールス・ラン・ドーキー)」。

ニールス・ラン・ドーキーは、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。デンマーク出身のピアニストなので、基本的には、北欧ジャズの範疇に入るのだが、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。

北欧ジャズ・ピアノ独特の「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」とはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

クラシック風の端正なタッチ、音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。どこか、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを想起する。
 

Niels-lan-dokyyesterdays-future

 
Niels Lan Doky『Yesterday's Future』(写真左)。2022年3月20 & 21日、デンマーク、フムルベックの「Louisiana Museum」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Tobias Dall (b), Nikolaj Dall (ds)。海外ではLPでのみ発売、我が国で世界初CD化。2022年の春、デンマークでのロックダウン終了直後のライヴ・パフォーマンスの記録。

とても良い雰囲気のピアノ・トリオのパフォーマンス。ラン・ドーキー独特の音符を敷き詰めた速い弾き回し、クラシック風の端正なタッチ、北欧ジャズでは無いが、しっかりと欧州ジャズの伝統的な音を踏襲したメインストリーム系の正統なジャズ・ピアノを弾き回す。

ただし、ラン・ドーキーはこの録音時は59歳。ラン・ドーキーのピアノは円熟を加えて、若い日の音符を敷き詰めた速い弾き回しオンリーの「疾走する欧州ピアノ」だけでは無い、余裕ある耽美的でリリカルな弾き回しも兼ね備えて、緩急硬軟を身につけた「新しい北欧ジャズ・ピアノ」に成熟している、と感じる。

このライヴ盤でのラン・ドーキーの成熟を聴いて、ラン・ドーキーというジャズ・ピアニストの存在を再認識した。しばらく聴いて無かったなあ、と思わず反省、である。来年早々には、ラン・ドーキーのリーダー作をしっかりと聴いてみたい。ジャズ・ピアノの世界はまだまだ裾野が広い。
 
 

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2023年12月 1日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・269

Niels Lan Doky(ニルス・ラン・ドーキー、以降「ラン・ドーキー」と略)は、デンマークのコペンハーゲン出身のジャズ・ピアニスト。1963年10月生まれ。今年で60歳、還暦である。ラン・ドーキーは北欧ジャズの範疇に入るのだが、彼のピアノは、北欧ジャズのピアノの雰囲気とはちょっと異なる。

北欧ジャズのピアノは、押し並べて「独特の深いエコーに乗って、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスな弾き回し」。ファンクネスは皆無、間とフレーズの広がりを活かした透明度の高い音の展開がメイン。しかし、ラン・ドーキーのピアノはちょっと違う。間とフレーズの広がりを活かした弾き回しでは無く、音符を敷き詰めた速い弾き回しがメイン。

エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感が特徴の展開。と言って米国ジャズのピアノでは全く無い。音の雰囲気は明らかに「欧州ジャズ」。当然、ファンクネスは皆無。オフビートは軽め。クラシック風の端正なタッチが、やはり「欧州的」。何故か、アメリカン・カルテット時代のキース・ジャレットを「欧州的」にした様な響きがユニーク。

Niels Lan Doky『The Target』(写真左)。1986年11月17, 18日の録音。ちなみにパーソネルは、Niels Lan Doky (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Jack De Johnette (ds)。録音当時、23歳の若き精鋭、ニルス・ラン・ドーキーの2枚目のリーダー・アルバム。ピアノ・トリオ編成。ラン・ドーキーのピアノの個性が良く判る。
 

Niels-lan-dokythe-target

 
どういう経緯でそうなったかは判らないが、ベースに北欧出身のアコベの名手中の名手ペデルセン、ドラムにポリリズミックなドラムの名手デジョネットがバックのリズム隊を担当している。

このリズム隊、全く申し分無いどころか、若き精鋭にとっては最高のリズム隊に恵まれている。特に、ペデルセンの、唄うが如く、ソリッドで力感溢れるベースラインは素晴らしい。デジョネットの緩急自在、硬軟自在、変幻自在なドラミングも見事。

ラン・ドーキーは、彼独特の「音符を敷き詰めた速い弾き回し。エコーは控えめ、耽美的でリリカルではあるが、透明度の高い爽快感。ファンクネスは皆無、オフビートは軽め、欧州ジャズ的なクラシック風の端正なタッチ」が溢れんばかりに表現されている。

北欧出身でありながら、北欧ジャズ・ピアノらしからぬ「欧州的なピアノ」。音符を敷き詰めた速い弾き回しではあるが、決して「シーツ・オブ・サウンド」の焼き直しでは無い、ラン・ドーキー独特の「高速な弾き回し」。クラシックに端を発したか如く、端正で正確なタッチがいかにも「欧州ジャズ」らしい。若き日のラン・ドーキーのピアノ・トリオ盤。今の耳で聴き直して、なかなかの充実した内容だと感じます。
 
 

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2023年8月 4日 (金曜日)

記念すべき E.S.T.のデビュー盤

現代北欧ピアノ・トリオの草分けであるE.S.T.(エスビョルン・スヴェンソン・トリオ)は、スウェーデン出身。メンバーは、リーダーでピアノ担当のエスビョルン・スヴェンソン、ベースのダン・ベルグルンド、ドラムのマグヌス・オストロムで、1993年結成。

トリオ演奏の基本は、北欧ジャズの伝統的なピアノ・トリオの個性。耽美的でリリカル、クールな熱気、透明度の高い流麗なフレーズ、現代音楽を踏襲した硬質で前衛的な展開を、E.S.T.は、しっかりと踏襲している。

Esbjörn Svensson Trio『When Everyone Has Gone』(写真左)。1993年の録音。ちなみにパーソネルは、Esbjörn Svensson (ac-p, el-p, syn, Rhodes), Dan Berglund (b), Magnus Öström (ds)。記念すべき E.S.T.のデビュー盤。

ピアノ・トリオの個性は、基本的にピアノの個性に大凡は決定される。E.S.T.は、当然、リーダーのスヴェンソンのピアノの個性がポイント。スヴェンソンのピアノは、北欧ジャズの伝統的なピアノの個性をしっかりと踏襲している。弾きっぷり、弾き回し、音の響き、どれもが北欧ジャズの伝統的雰囲気をしっかりと保持している。

ただし、耽美的な度合いは軽い。カラッとしている。アドリブ展開では、米国ジャズのモード・ジャズ、1960年代から1970年代の新主流派のモード・ジャズの様な弾き回しが興味深い。
 

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つまり、どっぷり北欧ジャズのピアノ・トリオ化はしていないところが、このデビュー盤の面白いところ。ただ、モーダルな展開なところも、米国ジャズよりタッチの透明度が高く、響きはリリカル。聴いていて、米国ジャズと間違うことは無い。

耽美的でリリカルな弾き回しは、ドライな「キース・ジャレット」。高速モードの弾き回しは軽めの「マッコイ・タイナー」。現代音楽を踏襲した硬質で前衛的な弾き回しは、ちょっと優しめの「チック・コリア」。そんな3人の先達ピアニストに影響を受けているところは感じるが、それぞれのエッセンスを吸収して、自らの個性に反映しているので、決して物真似には聴こえない。

北欧ジャズのコンテンポラリーな純ジャズ・トリオ。北欧ジャズの個性である「耽美的でリリカルな面」を強調すること無く、ドライに北欧ジャズの個性を下敷きにして、モーダルなジャズを展開する。演奏自体の精度はかなり高い。ベースのダン・ベルグルンド、ドラムのマグヌス・オストロムのリズム隊の息もピッタリ、静的に熱いリズム&ビートでスヴェンソンのピアノを鼓舞し、引き立てる。

デビュー盤にして、完成していた感のある E.S.T.。このデビュー盤における「スヴェンソンの北欧ピアノ・トリオ」をアルバムを重ねる毎に深化させていくことになる。しかし、その深化は、スヴェンソンがスキューバダイビング中の不慮の事故で亡くなる2008年6月14日で停止する。

このデビュー盤には、E.S.T.の原点の響きが溢れている。
 
 

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2023年8月 2日 (水曜日)

スヴェンソンのソロ・ピアノ盤

北欧ジャズがずっと、お気に入りである。そして、突如、今年になって、北欧ジャズをしっかり聴き直そうと思い立った。米国ジャズから始まって、和ジャズ、欧州ジャズ、そして、最後に北欧ジャズ。ジャズを約半世紀、ずっと聴いてきたが、ようやく北欧ジャズを聴き直すタイミングになってきた。

北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、クールに盛り上がるエモーショナルな表現。耽美的でリリカル、情感溢れるフレーズ。北欧ジャズには独特の響きがある。これが良い。

Esbjörn Svensson『HOME.S.』(写真左)。2008年春の録音。ちなみにパーソネルは、Esbjörn Svensson (p)。北欧ジャズで有名なエスビョルン・スヴェンソン・トリオ(e.s.t.) のリーダー、スヴェンソンのソロ・ピアノ盤。

エスビョルン・スヴェンソンが、2008年6月14日、ストックホルム近くの小島で、スキューバダイビング中の不慮の事故で亡くなるわずか数週間前に、彼の自宅で録音されたソロ・ピアノ音源。スヴェンソンの急逝後、妻のエヴァ・スヴェンソンによって、ハードディスクの中から発見された未発表音源。
 

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44歳での録音。天国からの贈り物。全9曲がオリジナル。それぞれの曲名がちょっと不思議なタイトルで、これって何だ、と思っていたのだが、資料によると、スヴェンソン本人が急逝した為、全ての曲のタイトルは決められていなかったので、宇宙が好きだった彼の想いを汲み、ギリシャ語のアルファベットにしたとのこと。なるほど。

硬質で力感溢れる打鍵、流麗な高速フレーズ。踊るように弾むタッチ、麗しい高揚感。内省的で静的、そして透明感溢れる響き。そして、フレーズの底に流れる「ジャジー&ブルージー」な感覚。耽美的でリリカル、それでいて力強く、強い意志を感じる、素晴らしいソロ・ピアノ。北欧ジャズの個性の全てを反映、包含したスヴェンソンのピアノは限りなく美しい。

「クールな熱気」ある弾き回しに思わず引き込まれる。スヴェンソン独自のメロディックな即興演奏。北欧ジャズを代表するソロ・ピアノのパフォーマンスの記録だろう。よくぞ発見されたと思う。

妻のエヴァ・スヴェンソン曰く「まるでエスビョルンの声が部屋の中に聞こえるようです。彼はまだ言いたいこと、伝えたいことがあるのです」。激しく合意する。久々に聴き応えのあるソロ・ピアノに出会った。
 
 

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2023年7月 1日 (土曜日)

北欧ジャズの「ジャズ・ロック」

欧州のジャズ・レーベルの老舗、ECMレーベル。アルバムのリーダーを張るミュージシャンは、米国ジャズとはかなり異なる。

大きく分けて、北欧、ドイツ、イタリア、東欧、最近ではイスラエル。レーベルの音のカラーとして、耽美的でリリカル、現代音楽的でスピリチュアルな「統一された音志向」があるので、米国ジャズを踏襲した音志向の欧州ミュージシャンが選ばれることは無い。

北欧ジャズは、明らかにECMレーベルの音志向にぴったり合致する音の個性を持っていて、ECMレーベルからかなりの数のリーダー作をリリースしている。スウェーデン、デンマーク、ノルウェー、フィンランドと偏り無く、リーダー人材を発掘し、ECMらしい音志向のリーダー作をリリースしている。

逆に、8ビートが主体のリズム&ビートの効いたクロスオーバー・ジャズやジャズ・ロックはほとんど無いのが、これまた、北欧ジャズの個性と言えば個性。

Arild Andersen『Clouds in My Head』(写真)。1975年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Arild Andersen (b), Knut Riisnæs (ts, ss, fl), Jon Balke (p), Pål Thowsen (ds)。リーダーは、ノルウェー出身のベーシスト、アリルド・アンデルセン。残りの3人も全員ノルウェー出身。オール・ノルウェーの1管フロントのカルテット編成。

僕は今まで、このアルバムを聴いたことが無かった。今回、ECMのリリースで、北欧ノルウェー出身のカルテットの演奏なので、さぞかし、北欧ジャズっぽい、耽美的で透明感溢れる、リリカルで静的なモード・ジャズが展開されるのだろう、と予想して聴き始めたら、思わず仰け反った。
 

Arild-andersenclouds-in-my-head

 
北欧ジャズっぽさが希薄。といって、ファンクネスは皆無。ビートは8ビートが入っている。これって、クロスオーバー・ジャズ、若しくはジャズ・ロック志向の音作りではないか。

よくよく聴くと、出てくるフレーズは、明るくはあるが耽美的でリリカル、テナーの音などはスッと伸びた透明感溢れる音色で、リーダーのアンデルセンのベースはソリッドで切れ味抜群。

ジョン・バルケのピアノは、躍動感溢れ、ビートが効いてはいるがリリカルで透明度高く硬質なタッチ。ポール・トーセンのドラムは、自由度と柔軟度の高い拡がりのあるリズム&ビートを叩き出す。この4人の出す音って、基本は北欧ジャズであることが判る。

この盤、北欧ジャズを基本としたクロスオーバー・ジャズ、若しくはジャズ・ロックだと感じる。アップテンポの4ビートの演奏などは、米国ジャズの新主流派を彷彿とさせるのだが、ファンクネス皆無、北欧ジャズの個性を宿した楽器の音が、米国ジャズとは絶対的に「一線を画している」ところが興味深い。

ECMには似合わない、タイトなリズム&ビートの効いたクロスオーバー・ジャズ、若しくはジャズ・ロック、そして、米国ジャズの新主流派的な音世界。

しかしながら、この北欧ジャズの個性を宿した楽器の音と演奏の雰囲気が、辛うじてこの盤をECM盤として成立させている。きっと、アイヒヤーはしぶしぶリリースしたんじゃないかな。でも、良い内容、良い雰囲気の好盤だと思います。
 
 

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2023年3月13日 (月曜日)

北欧ジャズ・ピアノの風が吹く

ラーズ・ヤンソンは、1951年、スウェーデン生まれ。1975年にアリルド・アンドレセンのグループに加わり、プロとしての活動がスタート。自己のトリオを結成した1979年以後は、北欧ジャズの第一線で活躍している。北欧ジャズの担い手としては「古参」の存在。1980年代に、優れた内容のリーダー作を連発し、国際的に、北欧ジャズの担い手なる一流ジャズ・ピアニストとして認知された。

Lars Jansson Trio『Invisible Friends』(写真左)。1995年1月、オスロの「Rainbow Studio」での録音。ちなみにパーソネルは、Lars Jansson (p), Lars Danielsson (b), Anders Kjellberg (ds)。全曲オリジナルで固められた、北欧ジャズらしい、風が吹くように爽やかで、美しく親しみ易いメロディー満載のピアノ・トリオ盤。

面白いのは、何かと「キース・ジャレット」と比較されるヤンソンのピアノだが、この盤の前半では「ビル・エヴァンス」の影響が感じられるフレーズと響きが満載。しかし、ビル・エヴァンスのコピーでは無く、フレーズの弾き回しと「間」の取り方が似ているが、和音の重ね方はヤンソンのオリジナル。響きは深く透明度の高いエコーがかかった北欧ジャズらしい響き。北欧ジャズらしく、ヤンソンの解釈する「ビル・エヴァンス」といった風のピアノがユニーク。
 

Lars-jansson-trioinvisible-friends

 
後半は、いつも通りの北欧ジャズらしい、美しく親しみ易い「ヤンソン節」満載の、耽美的でリリカル、深遠でメロディアスなピアノの弾き回しが堪能できる。しっかり聴くと「キース・ジャレット」のヨーロピアン・カルテットのピアノとは、やっぱり違ってて、ヤンソンのピアノは、キースと比べて、表現がシンプルでトーンが暖かく、フレーズは判り易く親しみ易い。この盤の後半部分の音を聴いていても、ヤンソンのピアノは、キースのピアノとは「似て非なるもの」だと感じる。

バックのリズム隊もいかにも北欧ジャズらしい音で、演奏全体のリズム&ビートをしっかり支え、牽引している。ダニエルソンのベースは、しなやかな鋼の様なシャープな弦鳴りで、エモーショナルに堅実に、ベースラインを供給する。シェルベリドラムも柔軟なスティック捌きで、硬軟自在、緩急自在、フロントのフレーズに的確に反応するドラミングは相変わらず見事だ。

前作の初リーダー作であったトリオ盤から、4年を経てのリーダー作第2弾であるが、出てくる音世界にブレは無い。冒頭の「Invisible Friends」から、ラストの「Under The Bodhi Tree」まで、北欧ジャズのピアノ・トリオの音が満載。これだけ、耽美的でリリカルな音世界なのに、スピリチュアルな世界に入り込まず、美しく親しみ易いニュー・ジャズなトリオ演奏を展開するところが、ラーズ・ヤンソン・トリオの真骨頂。北欧ジャズの好盤の1枚です。
 
 

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2023年3月 6日 (月曜日)

ラーズ・ヤンソンの初期の名盤

北欧ジャズは好きなのだが、このところちょっと北欧ジャズを聴くのが途絶えていた。しかし、最近、Helge Lien Trio『Revisited』を聴いて、北欧ジャズ禁断症状が出てきた(笑)。今、北欧ジャズの好盤をチョイスしている最中。今年は「北欧ジャズ・イヤー」にしようかと企てている。

Lars Jansson Trio『The Window Towards Being』(写真)。1991年2月、オスロのレインボー・スタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、Lars Jansson (p), Lars Danielsson (b), Anders Kjellberg (ds), Guest: Brynjar Hoff (oboe on 5,12,13)。リーダーのラーシュ・ヤンソンのピアノ・トリオに、ゲストで3曲に、ブリニャル・ホフのオーボエが入っている。

ラーズ・ヤンソンは、1951年、スウェーデン生まれ。1975年にアリルド・アンドレセンのグループに加わり、プロとしての活動がスタート。自己のトリオを結成した1979年以後は、北欧ジャズの第一線で活躍している。

初リーダー作は1984年。1991年、今回ご紹介している『The Window Towards Being』でメジャーな存在になって、ECMレーベルを通じてだけの北欧ジャズの情報が、我々ジャズ者の間にも、ダイレクトに流布し出した切っ掛けにもなった。

ラーズ・ヤンソンのピアノは、明らかに北欧ジャズのピアノである。流麗でリリカル、透明度が高く耽美的。唄う様に印象的に流れるフレーズ、そして、漂うが如く広がるが如く、幽玄に広がる音の響き。
 

Lars-jansson-triothe-window-towards-bein

 
即興演奏がメインのジャズではあるが、米国の粘りのオフビートがメインのスインギーな4ビート・ジャズとは全く異なる、ファンクネス皆無、黒さは微塵も無く、どちらかと言えば、クラシックに通じる音の流れと響き。しばらく聴き耳を立てれば直ぐに「北欧ジャズ」と判る独特の個性。

ヤース・ダニエルソンのベースも良い。北欧ジャズのベーシストは誰もが「素姓が良い」。ピッチはキッチリ合っているし、ウッドベースの「鳴り」も鋼性豊かでしなりがある。

テクニックは優秀、フロントの即興演奏に応じたベースラインの出し方は正確かつ端正。ラーズ・ヤンソンの北欧ジャズ・ピアノをしっかりサポートし、鼓舞している。

それから、これまたスウェーデン出身のアンダーシュ・シェルベリのドラミングも優秀。柔軟なスティック捌きで、硬軟自在、緩急自在、フロントのフレーズに的確に反応し、フロントの欲しいリズム&ビートをタイムリーに供給するドラミングは見事だ。米国ジャズには無い、テクニカルでアーティスティックなドラミングは、北欧ジャズの特徴のひとつでもある。

ジャケットデザインもアーティスティックで優秀。いかにも「北欧」らしいアートで、これも北欧ジャズの個性のひとつ。1曲目「More Human」の美しさは筆舌に尽くしがたい。この1曲の「個性と特徴」に代表される様に、北欧ジャズは唯一無二の個性を持った、ジャズのメジャーなジャンルのひとつに進化した。北欧ジャズは追求するに値するジャズのジャンルである。
 
 

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2023年2月26日 (日曜日)

北欧ジャズの好トリオ盤です

北欧ジャズが好きだ。1970年代後半、本格的にジャズを聴き始めた頃、友人からECMレーベルのアルバムを紹介されて、その耽美的でリリカルで流麗なフレーズと余裕のある大らかで包容力のあるリズム&ビートに驚いた記憶がある。それまで「ジャズ」と思って聴いていた米国ジャズと全く異なる雰囲気。これが欧州ジャズか、とひどく感心した。

Helge Lien Trio『Revisited』(写真左)。2020年3月31日、10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Helge Lien (p), Johannes Eick (b), Knut Aalefjaer (ds)。ノルウェーのヘルゲ・リエン (p) がリーダーのピアノ・トリオの、2019年の『10』以来となる最新作。演奏曲は、過去に演奏したもののセルフ・カヴァーである。

一聴して「これは北欧ジャズやな」と思うくらいの、北欧ジャズの特徴溢れるピアノ・トリオ演奏。北欧ジャズの雰囲気をグローバル・サイズで知らしめたのは、キース・ジャレットのヨーロピアン・カルテットの功績が大きいと思うが、確かに、キースのピアノで聴いたことのある雰囲気、フレーズが出てくる。が、基本的に「タッチと手癖」が異なるので、キースの物真似とは感じ無い。逆に「北欧ジャズ」の典型的な演奏が出てきたぞ、と嬉しくなる。
 

Helge-lien-triorevisited

 
オール・ノルウェーのメンバー構成。ゆったりとした、少しほのぼのとした、仄かに明るく、耽美的でリリカルで流麗な音世界。硬質ながら、ややエッジの丸いリエンのピアノ、程良く絡むエイクのベース、多彩で柔軟度の高いオーレフィアールのドラム。透明度の高い楽器の響き。印象的なエコー。

リエンのピアノが個性的で良い。クールで冷たい熱気が伝わってくるのだが、どこかほのぼのと暖かい響きがする。雰囲気的には「北欧の夏」の様な、明るく暖かなピアノの響き。テクニックに優れ、速い弾き回しには淀みは無い。でも、そのテクニックをひけらかすことは無い。北欧ジャズらしい、耽美的でリリカルで流麗なフレーズを、余裕を持った、ゆったりとした雰囲気で、しっかりと聴かせてくれる。このリエンのピアノは「癖になる」。

4ビートのスイングでなければ、ファンクネスは皆無、ジャム・セッション風のバトルも無い。それでも「ジャズ」である。冷たい熱気溢れる、クールでスタイリッシュな展開。硬軟自在、緩急自在の柔軟度の高い、即興性溢れるアドリブ。エコーのかかった独特の透明度の高い響きは「北欧ジャズ」の最大の個性。そんな「北欧ジャズ」の雰囲気満載の好トリオ盤である。
 
 

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