2024年8月10日 (土曜日)

夏はボサノバ・ジャズ・その33

1962年、ボサノバ・ジャズのブレイクの年である。ズート・シムズの『ニュー・ビート・ボサノヴァ Vol.1』や、スタン・ゲッツの『ジャズ・サンバ』、クインシー・ジョーンズの『ビッグバンド・ボサノヴァ』など、ジャズとボサノヴァが融合した好盤がリリースされた。当然、セールスは好調だったようで、この1962年からしばらくの間、ジャズ界は「猫も杓子も」ボサノバ・ジャズに走った。

Gene Ammons『Bad! Bossa Nova』(写真左)。1962年9月9日の録音。Prestigeレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Kenny Burrell, Bucky Pizzarelli (g), Hank Jones (p), Norman Edge (b), Oliver Jackson (ds), Al Hayes (bongos)。アモンズのテナー、バレルとピザレリのギター、ハンク・ジョーンズのピアノがメインのボンゴ入りリズム隊、総勢7人のセプテット編成。

オールド・スタイルのテナーマン、ジーン・アモンズが流行に乗って、ボサノバ・ジャズに手を染めたアルバム。と思うが、聴いてみると、様子がちょっと違う。全編、ボサノバ・ジャズで溢れているかと思いきや、「Ca' Purange (Jungle Soul)」や「Cae, Cae」は、ボサノバ曲、いわゆるブラジリアン・チューンなんだが、他は渋めのスタンダード曲とアモンズの自作曲。ボサノバどっぷりのジャズ盤では無い。
 

Gene-ammonsbad-bossa-nova

 
しかし、である。リズム&ビートの雰囲気は、明らかにボサノバ&サンバのリズム&ビートをジャズ向けに借用していて、ボサノバ曲のみならず、渋めのスタンダード曲にも、アモンズの自作曲にも、そんなジャズ向けに借用した、ボサノバ&サンバのリズム&ビートを適用している。アルバム全体にはボサノバ・ジャズ的雰囲気での「統一感」があって、ボサノバ・ジャズ志向のトータル・アルバムとして、しっかりと訴求する。

そして、そんなジャズ向けに借用した、ボサノバ&サンバのリズム&ビートに乗った、アモンズのテナーがとっても良い音を出している。暖かいトーンの吹奏で、明るく切れ味良く歌心満点。アルバム全体を覆うブラジリアン・ミュージックの雰囲気に乗って、そんなアモンズのテナーが大らかに鳴り響く。ほんといい音な、オールド・スタイルのテナーが、ボサノバ&サンバのリズム&ビートにばっちりフィットしている。これが、このアモンズのボサノバ・ジャズ盤の一番の聴きどころ。

アモンズのディスコグラフィーの中でも、特に重要な位置付けのリーダー作ではないんですが、とても良い雰囲気の「アモンズ流のボサノバ・ジャズ盤」として捉えて良いかと思います。とにかく聴き心地が良い。バックの演奏も良好で、凡百なボサノバ・ジャズ盤にありがちな、チープで俗っぽいところは無い。ボサノバの雰囲気を漂わせつつ、ファンキーな要素も忍ばせたアモンズ節が心地良い、隠れ好盤だと思います。
 
 

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2024年6月24日 (月曜日)

トミフラの「職人肌テクニック」

名盤請負人の異名を持つ「トミー・フラナガン(Tommy Flanagan・以下「トミフラ」と略)」。トミフラのピアノは伴奏に回ってこそ際立つ、なんて「ピントのズレた」評価もあるが、トミフラは元々はバップなピアニスト。ビ・バップからの流れを汲む「テクニック秀逸、ばりばりピアノを弾きまくる」が、フラナガンの本質。

加えて、トミフラは応用力抜群の職人肌テクニックの持ち主でもある。「伴奏に回ってこそ際立つピアノ」は、そのフロント楽器の個性や音色、フレーズに合った、そのフロント楽器の演奏が際立つフレーズを弾き進める応用力の高さの表れだし、そのセッションの「プロデュース志向にピッタリ合った雰囲気のピアノ」を弾き進めるところも、この職人肌テクニックの賜物である。

『The Tommy Flanagan Trio』(写真左)。1960年5月18日の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Tommy Potter (b), Roy Haynes (ds)。Prestigeの傍系レーベル「Moodsville」からのリリース。

「Moodsville」は、ジャズ・スタンダード曲をメインに収録、ムーディーな雰囲気の「聴かせるアルバム」の制作を目的としたレーベル。このトミフラのトリオ盤では「Moodsville」レーベルの音志向に忠実に、トミフラは、実にムーディーで洒脱なフレーズを繰り出して、しっとり聴かせるトリオ演奏を展開している。
 

The-tommy-flanagan-trio

 
その収録曲であるが意外と洒落ている。ジャジ・スタンダード曲が「In The Blue of The Evening」「You Go To My Head」「Velvet Moon」「Come Sunday」「Born To Be Blue」「In A Sentimental Mood」の6曲だが、有名な「ど・スタンダード曲」は選ばず、ちょっと小粋でマニアックなスタンダード曲を選んでいるところがニクい。そしてフランガンの自作曲「Jes' Fine」の全7曲。

ムーディーだからといって、トミフラのピアノは優しくはない。しっかりと芯の入った力強いタッチで、スタンダード曲のテーマを明快にメリハリ良く唄い上げる。それでも、うるさくならないのは、トミフラの職人肌テクニック。タッチは力強く、メリハリ良い弾きっぷりだが、音は耳障りにはならない弾き回し。トミフラのピアノテクニックに思わず「唸る」。

スローからミディアム・テンポの演奏で固められていて、実にムーディーで小粋なトリオ演奏である。これといった、大仕掛けな展開は無いのだが、曲毎のアレンジが良く練られていて、どの曲もじっくり聴かせる。特にアドリブ部の展開が洒脱で、コクのある香り高い珈琲を楽しむが如く、心地良い味のある小粋なピアノ・フレーズを楽しむことが出来る。
 
 

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2024年6月21日 (金曜日)

”マルの考える” ピアノ・トリオ

漆黒ブルージーな、黒い情感のレジェンド・ピアニスト、マル・ウォルドロン。初期の「マル4部作」を聴くことで、マルの個性の基本部分が理解できる。そんな、マルの個性を理解する上で”便利”な「マル4部作」。今日は、そんな4部作のラスト盤を取り上げる。

Mal Waldron『Mal/4; Trio』(写真左)。1958年9月26日の録音。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Addison Farmer (b), Kenny Dennis (ds)。サブタイトルに「Trio」と付いているだけあって、この盤はマルのトリオ演奏のみを収録した、マルのリーダー作。プレスティッジにしては珍しく、単一日のセッションの収録である。

思い起こせば、「マル4部作」の最初、『Mal-1』では、マルの作曲とアレンジの才にスポットが当てられ、続く『Mal/2』『Mal/3; Sound』も同一傾向のプロデュースに加えて、バッキング能力の高さにスポットが当てられ、『Mal/2』ではジョン・コルトレーン、『Mal/3; Sound』ではアート・ファーマーのフロント・パフォーマンスが見事に前面に押し出されて、マルのバッキング能力の高さが聴いて取れた。

で、やっと『Mal/4; Trio』で、マルのピアニストとしての個性にスポットが当てられた。ただ、不思議なのはパーソネル。プレスティッジの録音なので、ベースとドラムについては、もう少し、名の通った、人気ジャズマンを連れてきても良さそうなのに、かなり地味どころを引っ張ってきている。おそらく、マルの希望だったような気がする。
 

Mal-waldronmal4-trio

 
しかし、このベースとドラムが地味なお陰で、この盤は、マルのピアノの個性がとても良く判る内容になっているのだから、何が幸いするか判らない。この盤のベースとドラムは、ほぼリズム&ビートを正確に着実にマルに供給するだけの役割に徹していて、丁々発止とした、トリオとしてのインタープレイが展開される訳ではない。逆に、だからこそ、マルのピアノの個性だけが突出して把握できる。

但し、この盤では、マルのピアノはまだ「大人しめ」。アルバム内容については、ジャズマンの意向にほぼお任せのプレスティッジでの録音なので、マルも好きに出来ただろうに、まだ聴き手に合わせて、聴かせるトリオ演奏に軸足を残している。

それでも、マルのピアノの個性である「黒い情感と適度なラフさ」は良く判るから、聴いていて面白い。思いっ切り硬質で力感溢れるタッチ、歯切れの良いアドリブ・フレーズ、叩く様なコンピング、ブルージーなブロックコード。硬質なタッチの底に黒いブルージーな雰囲気と哀愁感が漂い、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。

「流麗さ」や「ロマンティシズム」は皆無。ダンディズム溢れ、そこはかとなく哀愁感漂う、硬派で純ジャズな、いわゆる「マルの考えるピアノ・トリオの演奏」が展開されているところが、この『Mal/4; Trio』の特徴だろう。
 
 

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2024年6月20日 (木曜日)

マルの「伴奏の能力」の高さ

マル・ウォルドロン(Mal Waldron)は、漆黒ブルージーな、黒い情感のレジェンド・ピアニスト。2002年12月に逝去しているので、逝去後、既に20年以上が経過したことになる。もう、そんなになるのか。

マルのピアノは個性的。硬質なタッチの底に、もやっとした黒いブルージーな雰囲気が横たわっている。そして、端正な弾きこなしの端々にラフな指さばきが見え隠れする。この「黒い情感と適度なラフさ」がマルのピアノの特徴。

一方、マルは曲作りとアレンジの才にも優れる。特にアレンジの才に優れ、マルの初期のリーダー作の中に、『Mal-1』『Mal/2』『Mal/3: Sound』『Mal/4: Trio』という4部作があるのだが、この4部作、マルの曲作りとアレンジの才にスポットを当てたリーダー作になる。どうも、マルって、ピアニストとしての個性よりも、曲作りとアレンジの才を評価されていたきらいがある。

Mal Waldron『Mal/3: Sound』(写真左)。1958年1月31日の録音。ちなみにパーソネルは、Mal Waldron (p), Art Farmer (tp), Eric Dixon (fl), Calo Scott (cello), Julian Euell (b), Elvin Jones (ds), Elaine Waldron (vo, tracks 4 & 5)。アート・ファーマーのトランペットがメインの、ワン・ホーン・カルテットに、フルートとチェロと女性ボーカルが入った7人編成。ボーカルのエレイン・ウォルドロンは、マルの細君。

プレスティッジ・レーベルの傍系「New Jazz」からのリリース。トランペットのワン・ホーン・カルテットに、フルートとチェロ、そしてボーカルが入っている。1958年というハードバップ全盛期に、このユニークな楽器編成は、明らかに、マルのアレンジの才能にスポットを当てている、と感じる。収録曲全5曲中、4曲がマルの自作曲なので、マルの作曲の才能にもスポットを当てているみたいで、サブタイトルに「Sound」とあるので、マル・サウンドを愛でる、というプロデュース方針の盤なんだろうな、と想像できる。
 

Mal-waldronmal3-sound  

 
確かに、全編に渡って、マルの優れたアレンジの賜物、フロントを張るファーマーのトランペットと、ディクソンのフルートが前面に押し出され、引き立っている。バンド・サウンド全体のアレンジも良いし、フロントのバックに回った、リズム・セクションとしての、マルのピアノのバッキングのテクニックの上手さもある。そして、ポリリズミックなダイナミズム溢れるドラマー、エルヴィンのクールに煽るようなドラミングが「キモ」になっている。

そして、チェロの響きが良い隠し味になっていて、演奏全体の響きが「斬新」に響く瞬間がある。これは、明らかにアレンジの工夫だろう。特に、女性ボーカルの入った曲に、チェロが効果的に響く。逆に、ボーカルの入っていない曲では、トランペットやフルートの音のダイナミックさに押されて、あまり目立たない。

それより、女性ボーカル入りの曲で感心したのは、マルのピアノとエルヴィンのドラムの伴奏テクニックの見事さ。女性ボーカル自体は取り立てて優れてはいない、普通レベルのボーカルなんだが、伴奏に回ったマルのピアノのバッキングの妙と、エルヴィンの繊細なドラミングによる、アクセント良好なリズム&ビートの供給。

こうやって聴いていると、マルはアレンジの才能は確かにあるが、それを上回る、フロント楽器やボーカルに対する「伴奏の能力」の高さが、強く印象に残る。

このリーダー作を聴いて思うのは、マルはやはり「ピアニスト」なんだな、ということ。確かに作曲とアレンジの才もあるが、そんなに他を凌駕するほど突出したものでは無いと思う。

しかし、このリーダー作を聴くと、マルのバッキング、伴奏のテクニックの素晴らしさが突出している。早逝の天才女性ボーカリスト、ビリー・ホリデイの最後の伴奏ピアニストだったことは伊達では無い。
 
 

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2024年5月23日 (木曜日)

奥ゆかしいモブレーのテナー

ハンク・モブレーのリーダー作の「落穂拾い」。録音リアタイ〜アルバム化の盤については「あと2枚」。一枚はサヴォイ盤でなかなかCDで入手できなかった、僕にとっての難物。もう一枚は、プレスティッジ盤なのだが、ハンク・モブレーとしては、マイナーな存在みたいで、なかなか現物を見つけることができなかった難物。どちらも、今ではやっと音源確保できて、時々、引きずり出して来ては聴く「好盤」。

Hank Mobley『Mobley's 2nd Message』(写真左)。1956年7月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Hank Mobley (ts), Kenny Dorham (tp), Walter Bishop (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。リーダーのモブレーのテナー・サックスと、ドーハムのトランペットがフロント2管のクインテット編成。プレスティッジ・レーベルとしては、なかなかまともな人選、なかなかまともなリズム・セクションを選定している。

モブレーは結構人見知りで、特に年上の先輩ジャズマンが苦手みたいで、パーソネルの人選によって、テナーの好不調が左右されたりすることが多い、結構、メンタル面で「難しい」テナー・マンだったらしい。モブレー自身のテナーと共同でフロントを張るジャズマンにも、モブレー独特の「相性」があったみたいで、トランペットの場合、先輩トランペッター、ドナルド・バードを選ぶことが多かった。
 
しかし、この『Mobley's 2nd Message』では、哀愁のバップ・トランペッターのケニー・ドーハムが参加している。モブレーは1930年生まれ、ドーハムは1924年生まれ。ドーハムはビ・バップの時代から第一線で活躍してきた、モブレーにとっては「大先輩」トランペッター。
 

Hank-mobleymobleys-2nd-message

 
しかも、アルバム録音における、モブレーのリーダー・セッションについては「初見」に近い。この盤でのモブレーは、大先輩ドーハムのトランペットの雰囲気の合わせている。中音域をメインに淡々とバップなトランペットを吹き上げるドーハムに合わせて、神妙に哀愁感溢れる小粋でバップなテナーを披露している。

どうも、モブレーは人が良いのか、根性が無いのか(笑)、自らのリーダー作であっても、共演するジャズマンに、相当、気を使うことろがあるみたいで、フロントの相方の先輩ジャズマンの雰囲気に合わせたり、先行のソロを譲ったりで、どうにも人が良い。というのか、共演者のジャズマンに影響されることが多い。

この盤では、ドーハムのトランペットの個性に寄せた、「哀愁感漂う、優しくラウンドした音のエッジと流麗なフレーズの吹き回し」のモブレーのテナーが聴ける。抑制が効いていて、ハードバップな「バップなテナー」にしてはちょっとおとなしいが、音の芯はしっかりしていて、テクニックも申し分ない。

ドーハム先輩のトランペットに寄り添い、決して邪魔することなく、存分に引き立てる。そんな奥ゆかしいモブレーのテナーが聴ける、異色のリーダー作だと僕は思う。
 
 

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2024年4月28日 (日曜日)

「抑制の美のドーハム」の名演

哀愁のトランペッター、ケニー・ドーハム。キャッチフレーズの「哀愁の」については、ドーハムのワンホーンの名盤『Quiet Kenny』の印象が強くて、彼のキャッチ・フレーズには、頭に「哀愁の」が付くことが多い。

しかし、ドーハムって、もともとはビ・バップ時代から活躍する、筋金入りのバップ・トランペッターであって、基本は「溌剌とした、ビ・バップなトランペット」が身上。バリバリとビ・バップなフレーズを吹きまくるのがドーハム。しかし、音圧は少し弱い。そこが、ちょっと大人し目で、「哀愁」の印象がつきまとうのかもしれない。しかも、時々「フレーズの吹き回しがちょっと危うい」ところがあるが、これは「ご愛嬌」。

Kenny Dorham『Quiet Kenny』(写真左)。1959年11月13日の録音。ちなみにパーソネルは、Kenny Dorham (tp), Tommy Flanagan (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。ケニー・ドーハムのトランペットがワンホーンのカルテット編成。ドーハムのキャッチ・フレーズの頭に「哀愁の」を付けさせた、ドーハムのハードバップの名盤である。

理由は判らないが、溌剌とした、ビ・バップなトランペッターであるドーハムが、「抑制の美」を発揮したワンホーン盤である。ドーハムのリーダー作の中で、この盤だけ、ドーハムのトランペットが、抑制された、エッジの丸い、柔和でリリカルな音色になっていて、これが選曲された曲調とばっちり合って、ジャズ・トランペットの名盤の一枚となっている。

冒頭の「Lotus Blossom」のテイラーの静かな小刻みなシンバル・ワークから始まるイントロからして、タイトル通り「Quiet(静かな)」雰囲気が濃厚。チェンバースのベースがアジアチックな細かいラインを奏でて、そこにスッと滑り込む様に、ドーハムのトランペットが入ってくる。
 

Kenny-dorhamquiet-kenny

 
その音色が、エッジの丸い、柔和でリリカルな音色で、出てくるフレーズが、「ビ・バップなフレーズをグッと抑制したフレーズ」なのだ。曲調がマイナーなだけに、この抑制されたフレーズに哀愁感がどっぷり漂ってくる。

2曲目の「My Ideal」のスローなテンポの演奏が実に良い。フラナガンの小粋で耽美的なイントロが良い。フラナガンって、この人も基本は「バップなピアニスト」で、バップなフレーズをバリバリ小粋に弾き回すタイプなんだが、この盤では、ドーハムの「抑制された、哀愁のトランペット」に合わせて、抑制された小粋で耽美的なバップ・ピアノを聴かせてくれる。

これが、ほんと、ドーハムの「抑制された、哀愁のトランペット」にバッチリあっていて、ドーハムの「抑制された、哀愁のトランペット」を引き立て、ガッチリとサポートしている。さすが「名盤請負人」のニックネームを持つピアニスト。機微を心得た、その演奏にあった、リーダーの楽器を引き立てる術を熟知している。

この「My Ideal」でのスローなテンポでのドーハムのトランペットも「抑制の美」の極み。スローなテンポであるが、ドーハムのトランペットの弱点であるフレーズがふらついたり、よれたりすることがほとんど無い。堅実にスローなテンポのフレーズを吹き通すドーハムは素晴らしい。

続く「Blue Friday」から「Alone Together」「Blue Spring Shuffle」「I Had the Craziest Dream」、そしてラストの「Old Folks」まで、抑制の美が満載のドーハムのトランペットを堪能することが出来る。この盤での「抑制の美」のドーハムのトランペットは、本来のドーハムの本質とはちょっと外れたところにあると思うのだが、「抑制の美」を表現したジャズ・トランペットとして聴き応えは十分で、名演の類である。

最後に、CDリイシューに追加されたボートラ、CDでのラストの「Mack the Knife」だけはいただけない。ドーハムのトランペットの弱点が顕わになっていて、このボートラだけは僕は蛇足と思う。ちなみに僕は『Quiet Kenny』鑑賞時には、予め「Mack the Knife」はオミットしてから聴いてます(笑)。
 
 

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2024年4月22日 (月曜日)

伝説ベース、ロンの初リーダー作

ジャズ演奏におけるベースの役割は大きい。まず、演奏全体の曲のボトムをしっかり支える。次に、曲のルート音をしっかり押さえて、曲全体の調性を整える。そして、リズム隊として、ドラムとピアノと共同で、曲のリズム&ビートを供給する。

「演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもドラマー次第」というが、ベースもドラマーと同様に、ジャズ演奏における役割は大きい。「演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもベーシスト次第」と言っても過言ではない。

ベースはフロント楽器の演奏のバックで、ベースは音程を出せる楽器なので、低音域のルート音をガッチリ押さえ、フレーズで演奏全体のボトムをしっかり支えることが出来る。ベースは低音域の音程、フレーズでリズム&ビートを供給する。ドラムはアタック音でリズム&ビートを供給する。

Ron Carter『Where?』(写真左)。1961年6月20日の録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b, cello), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Mal Waldron (p), George Duvivier (b), Charlie Persip (ds)。モダン・ベーシストのレジェンド、ロン・カーターの初リーダー作である。

ロンが初リーダー作で選んだジャズは「エリック・ドルフィー」。エリック・ドルフィーの唯一無二のモード・ジャズをロンのベースが支え、曲全体の調整を整える役割を担う。それが、ロンの選んだ、自らの初リーダー作のコンセプト。
 

Ron-carterwhere

 
ドルフィーの高速捻れまくりエモーショナルな、かっ飛んだ唯一無二のフレーズの洪水な演奏の「低音域のルート音」をガッチリ押さえ、ドルフィーの個性出まくりのフレーズの「ボトム」をしっかり支える。そして、ロン独特のベースのフレーズでリズム&ビートを供給する。

ドルフィーの高速フレーズに対応するため、アコースティック・ベースを、別のベーシスト、デュビビエにお願いして、ロン自身はアコースティック・ベースをチェロに持ち替えて、高速速弾きな、低音域の音程、フレーズでリズム&ビートを供給し、演奏全体の曲のボトムをしっかり支える。

マル・ウォルドロンが、ロンにしっかりと寄り添う様に、哀愁感溢れるピアノを弾きまくる。ロンのベースと共同で、高速フレーズで演奏全体のボトムをしっかり支える。そして、マルのピアノ、パーシップのドラムと共同で、曲のリズム&ビートを供給する。ドルフィーの唯一無二のモード・ジャズに、ピッタリと寄り添う、一期一会のリズム・セクション。

このドルフィーの「高速捻れまくりエモーショナルな、かっ飛んだ唯一無二のフレーズの洪水な演奏」に追従し、鼓舞し、ガッチリ支える一期一会のリズム・セクションに恵まれたからこそ、この盤におけるドルフィーの快演がある。

ピックアップでベース音を増幅した時代は、ピッチが合っていない、音がボワンボワンで締まりがない、など、低評価がつきまとった時期もあったが、ベースが生音でピッチをきっちり合わせたロンのベースは、やはり優れている。ロンのベースが絶妙にリズム・セクションを牽引し、ドルフィーがそんな相性バッチリのリズム&ビートに乗って疾走する。

「演奏内容と共演メンバーを活かすも殺すもベーシスト次第」ということを改めて教えてくれる、ロンの初リーダー作である。
 
 

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2024年4月 1日 (月曜日)

コルトレーンの進化途上の姿。

当ブログでの未記事のジョン・コルトレーンのリーダー作の「落穂拾い」は順調に進んでいる。先週、コルトレーンのディスコグラフィーを基に、当ブログで既に記事にしたリーダー作をチェック。リーダー作はあと7〜8枚程度残っているだけ、パブロ・レーベルのライヴ盤については、もともと今までノーマークだったので、未聴のライヴ盤が5枚。いよいよ、今年はコンプリートに向けて、ラストスパートである。

John Coltrane『Bahia』(写真左)。1958年7月11日、1958年12月26日の2セッションから寄せ集め。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは以下の通り。

1958年7月11日のセッションは、3曲目「My Ideal」と4曲目「I'm a Dreamer, Aren't We All」で、John Coltrane (ts), Wilbur Harden (flh, tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Jimmy Cobb (ds)。

1958年12月26日のセッションは、1曲目「Bahia」、2曲目「Goldsboro Express」、5曲目「Something I Dreamed Last Night」で、John Coltrane (ts), Freddie Hubbard (tp, track 5), Red Garland (p, track 1,5), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。

2つのセッションは、コルトレーンが、モンクの下でサイドマンとしての修業を終えて、モンクの下を離れた頃の録音。どの曲の吹奏にも自信が満ち溢れている。
 

John-coltranebahia

 
2つのセッションの寄せ集めだが、コルトレーンに揺るぎが無いこと、リズム・セクションに、ガーランドのピアノとチェンバースのベースが両セッションに入っていること、で、セッションの雰囲気に違和感は無い。

冒頭のタイトル曲「Bahia」から、コルトレーン節が炸裂。まるでストリートを闊歩するが如く、悠然とゆったりとしたコルトレーン節を吹き進める。味のあるストレートな音、味のあるテクニカルなフレーズ。続く「Goldsboro Express」では、まだ未成熟ではあるが、典型的なシーツ・オブ・サウンド。自信たっぷりのコルトレーンがここにいる。

バラードの「My Ideal」は絶品。この時期のコルトレーンのバラード吹奏はほぼ完成の域に達している感がある。テクニックをひけらかすこと無く、じっくりとしっとりとゆったりと、歌心溢れるフレーズを吹き進める。絶品である。フロント仲間のハーデンのトランペットも良い。ガーランドのシングルトーン・ピアノも良い。

続く「I'm a Dreamer, Aren't We All」とラストの「Something I Dreamed Last Night」での、コルトレーンは素晴らしい。他のメンバー、置いてきぼりの素晴らしさ。このコルトレーンの素晴らしい吹奏を聴けば、この時期以降のコルトレーンのリーダー作については、パーソネル次第だなあ、と思う。

1958年12月26日のセッションはプレスティッジ・レーベルでの最後のセッション。このリーダー作での2セッションは、プレスティッジとの契約消化セッションだったのだろうが、その内容はなかなか興味深い。バラード吹奏の完成に向けての鍛錬、そして、シーツ・オブ・サウンドの完成に向けての鍛錬。そんなコルトレーンの進化途上の姿がこの盤にある。
 
 

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2024年3月31日 (日曜日)

1960年代終わりのデックス名盤

デクスター・ゴードン(以降、デックス)は、1962年に渡欧、主にパリとコペンハーゲンで活動している(1976年には米国に戻るが)。米国でのレーベル契約を "ブルーノート" から "プレスティッジ" に切り替えていた為、この盤は、プレスティッジ・レーベルでの録音になっている。プレスティッジでの録音と聞くと、お得意の「ジャムセッション一発録り」と「複数セッションからの直感的な選曲」を想起して、内容について不安になるが、この盤は大丈夫だ。

Dexter Gordon『More Power!』(写真左)。1969年4月、NYでの録音。Prestigeレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), James Moody (ts, "ensemble tracks 1 & 5"), Barry Harris (p), Buster Williams (b), Albert Heath (ds)。デックスのテナー、ワン・ホーン・カルテットに、ジェームス・ムーディーが、アンサンブル中心に客演している。

録音当時、渡欧し活躍していたデックスが、一時、米国に帰国した際に録音したセッションからの1枚。同一セッションからもう一枚『The Tower Of Power!』がリリースされていて、こちらは、ムーディーとのダブル・テナーは1曲のみだったが、この『More Power!』では2曲収録されている。これが「古き良き時代のハードバップ」な雰囲気で、なかなか良い感じなのだ。
 

Dexter-gordonmore-power

 
デックスのテナーは「大らかで骨太で誠実でどこか哀愁感漂う」テナー。この生涯、変わらないスタイル・奏法がこの盤に溢れている。1969年という純ジャズの人気下落の時代に、この絵に描いた様な、骨太でダンディズム溢れるハードバップな演奏は素晴らしいの一言。特に、デックス同様、男性的でよく歌うテナーが持ち味のムーディーのテナーが絡むと魅力倍増。デックス単独でも、哀愁感溢れる美しいフレーズをデックスが情感豊かに吹き上げて、殊のほか素晴らしい。

『The Tower Of Power!』の記事でも書いたことだが、バックのリズム・セクションは、ピアノはバリー・ハリス、ベースはバスター・ウィリアムス、ドラムスはアルバート・ヒース。バックのリズム・セクションも純ジャズの人気が落ちてきた当時としてはかなり充実していて、デックスの好調さと併せて、実に気持ちの良いハードバップな演奏が繰り広げている。

同一セッションからのもう一枚『The Tower Of Power!』と併せて、この『More Power!』は、1960年代終わりの「純ハードバップ」な名盤だと思う。商業主義にも染まっていない、聴き手にも迎合していない、純粋にジャズマンとして、最高のハードバップな演奏をやり遂げる、ただそれだけの為に、自らの個性を踏まえて、極上のパフォーマンスを繰り広げる。往年の良質なハードバップが、デックスのテナーがこの盤に詰まっている。
 
 

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2024年3月18日 (月曜日)

ドルフィーの本質 『Out There』

エリック・ドルフィーはアルト・サックス奏者。この人の吹くフレーズは、一聴すればすぐに「これは変だ」と感じるはずだ。この「これは変だ」は、ジャズ者初心者の方々のみならず、音楽を趣味で聴く人ならば感じるはず。それだけ、このドルフィーの吹くアルトは「並外れた」個性の塊である。

このドルフィーの「これは変だ」は、オーネット・コールマンの類の「変だ」では無い。オーネットは、従来ジャズの決め事の反対をやることによって、ジャズの中でやってはならないことをやることによって、「フリーなジャズ」として従来ジャズからの解放にチャレンジした。

しかし、ドルフィーは違う。ドルフィーにはちゃんとした「独自の法則や決め事」があって、その「独自の法則や決め事」に従って、調子を外したり、音程を上げ下げしたり、ドロドロとして旋律を展開しているのだ。伝統的な技法をきちんと押さえつつ、どこまで自由にアドリブ・フレーズを展開出来るのか。ドルフィーは、その一点に集中している。

Eric Dolphy 『Out There』(写真左)。1960年8月15日の録音。ちなみにパーソネルは、Eric Dolphy (as, fl, cl, bcl), Ron Carter (vc), George Duvivier (b), Louis Hayes (ds)。ドルフィー、2枚目のリーダー作。旋律楽器が全く無い、ピアノレスでドルフィーのワン・ホーンの変則カルテット。バックのリズム隊は、デュヴィヴィエのベースとロンのチェロ、ロイ・へインズのドラム。

この2枚目のリーダー作は「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取ったドルフィーを捉えた記録。「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」は、ドルフィー独自のモード・ジャズの解釈として捉えている。

ドルフィーのジャズは、常人に理解できる「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取った、ドルフィー独自のモード・ジャズの解釈に則ったジャズである。
 

Eric-dolphy-out-there

 
モード・ジャズが基本とは言え、マイルスのモード・ジャズの解釈とは「志向」が異なる。マイルスは、モードでより自由な即興演奏を可能にし、よりクールでヒップな「聴衆に訴求する演奏」を志向し実現したが、ドルフィーは、モード奏法の特徴を最大限に活用して、即興演奏の可能性を大きく広げ、それまでに無い即興フレーズを生み出すことを志向していた様に思う。

この盤では、そんなドルフィーの「モード奏法の特徴を最大限に活用して、即興演奏の可能性を大きく広げ、それまでに無い即興フレーズを生み出す」パフォーマンスが大きくクローズアップされている。旋律楽器が一つも無いこともそのドルフィーの「志向」に沿ったパーソネルだと理解している。

加えて、ドルフィー自ら、バスクラを吹き、フルートを吹くのも、そんなドルフィーの「志向」に則った、楽器による「即興演奏による自由度の獲得」なんだと思ったりする。事実、この盤では、ドルフィーは、バスクラについても、フルートについても、本業のアルト・サックスとは全く異なった即興演奏のアプローチと響きを獲得している。

この盤でのドルフィーは「前衛的」では全く無い。というか、元々ドルフィーは「前衛的」では無い。ドルフィーは、「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取って「モード奏法の特徴を最大限に活用して、即興演奏の可能性を大きく広げ、それまでに無い即興フレーズを生み出す」ことに注力している。

その成果が、今までに聴いたことの無い、調子を外したり、音程を上げ下げしたり、ドロドロとして旋律だったりするので「前衛的」と勘違いするだけなのだ。

今一度、「前衛的」の定義の一つを。「常人には理解し難い、過激さや難解さ、奇抜さなどがあるものを表現する際に用いられる」。これは、オーネットのフリー・ジャズ、コルトレーンのフリー・ジャズには当てはまるが、「伝統の範囲内」での「従来ジャズの法則や決め事」に乗っ取ったドルフィーには当てはまらない。
 
 

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