2022年6月15日 (水曜日)

レアで幻のアルト・サックス奏者

長年、Twitterを利用している。自らも定期的にツイートしているが、他のジャズ者の皆さんのツイートの中に、小粋なジャズ盤の紹介ツイートがあって、いつも楽しく拝見している。これは、という小粋なジャズ盤のご紹介があった時などは、いそいそと該当盤を探し当てて、早速聴いている。一度も聴いたことの無い初見の盤もあるし、昔、聴いたことがあるが、しばらく御無沙汰だった盤もある。

『Jenkins, Jordan and Timmons』(写真左)。1957年7月26日の録音。プレスティッジ・レーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、John Jenkins (as), Clifford Jordan (ts), Bobby Timmons (p), Wilbur Ware (b), Dannie Richmond (ds)。ハードバップ全盛期、デビューわずか1年で消えた、幻のアルト・サックス奏者、ジェンキンスが、テナーのジョーダン、ピアノのティモンズとの共同リーダーで、クリフォード・ジョーダンのテナー・サックスと2管フロントを構えたクインテット編成。

ジョン・ジェンキンスは、幻のアルト・サックス奏者。リーダー作をブルーノートからもリリースしているので、アルト・サックスの腕前は確かなもの。癖の無いストレートで、少しファンクネスのかかったアルト・サックスが個性。しかし、1957年に録音活動を集中して行った後、デビューわずか1年でその活動は途絶え、唯一、逝去直前、1990年にクリフォード・ジョーダンのビッグバンドに参加したが、1962年以降は完全に引退状態。
 

Jenkins-jordan-and-timmons

 
そんなジョン・ジェンキンスの数少ないリーダー作(共同リーダー作ではあるが)の一枚がこの『Jenkins, Jordan and Timmons』。リズム隊が一流どころで固めているので、安定したハードバップな演奏を聴くことが出来る。ジェンキンスのアルト・サックスは、少しファンクネスのかかった、癖の無いストレートで明るいものなので、クリフォード・ジョーダンの無骨でブラック・ファンクなテナーとのバランスが良く、フロント2管の演奏はなかなかの出来。

リズム隊の要、ピアノのティモンズは「ファンキー・ピアノ」の代表格の一人だが、この盤では、こってこてファンキーなピアノをグッと押さえて、アーバンで小粋なバッキングに注力している。ベースのウエアはちょっと捻りの効いたベースで、当時のハードバップな演奏にちょっとした「新しい響き」を与え、リッチモンドのドラミングは堅実そのもの。1957年のハードバップな演奏としては水準以上のレベルで、こってこてハードバップな演奏をしっかりと楽しめる。

プレスティッジ・レーベルからのリリースなので、ジャケットはほとんど「やっつけ」。それでも、今の目で見れば、ちょっと味のあるデザインかな、とも思う(笑)。録音とマスタリングは、かの「ルディ・ヴァン・ゲルダー」が担当しているので、音はまずまず良い。歴史に残る名盤というものではありませんが、ハードバップな演奏を楽しく聴くことの出来る「隠れ好盤」として、良い感じのアルバムでした。
 
 

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2022年5月11日 (水曜日)

「変わらない」という素敵な個性

Dexter Gordon(デクスター・ゴードン、愛称「デックス」)は、生涯、そのテナー・サックスのスタイル、奏法を変えなかった。そのスタイルを変えない、というところが最高の個性で、デックスのテナーは、どのリーダー作でも「大らかで誠実でどこか哀愁感漂う」テナーは変わらなかった。実に素敵な個性である。

Dexter Gordon『The Tower of Power!』(写真左)。1969年4月2日&4日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon (ts), James Moody (ts,track 1 only), Barry Harris (p), Buster Williams (b), Albert "Tootie" Heath (ds)。冒頭の「Montmartre」のみ、デックスとムーディーのダブル・テナー、他は、デックス1管フロントの「ワンホーン・カルテット」編成。

この録音時期には、デックスは欧州(主にパリとコペンハーゲン)に移り住んでいる(1976年には米国に戻っているが)。米国でのレーベル契約を、BlueNoteからPrestigeに切り替えていたため、この盤は、プレスティッジ・レーベルでの録音になっている。プレスティッジでの録音と聞くと、お得意の「ジャムセッション一発録り」を想起して、内容について不安になるが、この盤は大丈夫だ。
 

Dexter-gordonthe-tower-of-power

 
ピアノはバリー・ハリス、ベースはバスター・ウィリアムス、ドラムスはアルバート・ヒース。バックのリズム・セクションも純ジャズの人気が落ちてきた当時としてはかなり充実していて、デックスの好調さと併せて、実に気持ちの良いハードバップな演奏が繰り広げられている。

1曲だけだが、ジェームス・ムーディーとの2テナーでの演奏も良い雰囲気。ムーディーも男性的でよく歌うテナーが持ち味で、デックスとバトるかな、と思っていたら、実に相性の良いデュエットといった趣で、これがムーディーで聴き応え十分。ラストの「Those Were the Days」は「悲しき天使」の邦題で知られる当時のヒット曲。哀愁感溢れる美しいフレーズをデックスが情感豊かに吹き上げて、実に印象的。さすがデックスである。

「Stanley the Steamer」は、デックスの古いオリジナル曲だが、こういったシンプルなブルースを「大らかで誠実でどこか哀愁感漂う」テナーで吹き上げていくところなど、やはりさすがデックスである。この盤、デックスのリーダー作の中でも、あまり話題に上らない「地味盤」だが、出会ったら絶対に聴くべし、である。往年の良質なハードバップが、デックスのテナーがこの盤に詰まっている。
 
 

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2022年2月25日 (金曜日)

ジャズ喫茶で流したい・229

最近、ジャキー・マクリーン(Jackie Mclean)のリーダー作を聴き直しているのだが、マクリーンのリーダー作の一覧を見直してみると、今まで聴いたことが無かったリーダー作もちょっとあることが判った。

あれぇ〜、おかしいなあ、と思うのだが、何故か聴いたことが無かった盤がある。恐らく、パーソネルを事前に見て、後にしよう、と思ったか、ジャケットを見て、これはあかんやろ、と思ったかのどちらかが理由だったんだろう。

Jackie Mclean『Lights Out!』(写真)。1956年1月27日の録音。PrestigeレーベルのPRLP 7035番。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Donald Byrd (tp), Elmo Hope (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。 録音当時は、ハードバップ全盛期。録音メンバーも、ハードバップ黄金時代を彩った、一流どころで占められている。

リーダーのマクリーンのアルト・サックスと、ドナルド・バードのトランペットがフロント2管のクインテット編成。ピアノに早逝の天才バップ・ピアニスト、エルモ・ホープ、そして、これまた、早逝の天才ベーシスト、ダグ・ワトキンスと、伝説の職人ドラマー、アート・テイラーがリズム・セクションで、フロント2管を盛り立てる。
 

Lights-out

 
冒頭のタイトル曲、マクリーン作の「Lights Out」が良い演奏だ。いかにもハードバップらしい長尺の演奏で、13分の演奏時間の中で、参加メンバーそれぞれが、しっかりとアドリブ・パフォーマンスを聴かせてくれる。これがまあ、内容が濃く、マクリーンのアルト・サックスは、この時点で既に歌心溢れるブロウを備えており、バードのトランペットはジャジーでブリリアント。とにかく、フロント2管のパフォーマンスが実に見事に「ハードバップ」している。

ピアノを担当するエルモ・ホープのバッキングが見事。もともとビ・バップなピアニストなので、ハードバップとしてはどうかしら、と思っていたが、この盤のバッキングを聴いて考え方を変えた。切れ味の良い、エッジの少し立ったピアノのバッキングは「爽やか」な雰囲気。フロントのブロウのフレーズの合間合間を埋めて、フロントを鼓舞しつつ、しっかりとリズム&ビートのキープに努めるとこなどは「職人芸」である。早逝が惜しまれるピアニストであった。

ダグ・ワトキンスのベースは骨太でブンブン唸るウォーキング・ベースが凄く魅力的。アート・テイラーのドラミングは硬軟自在、演奏の「質」に合わせて、変幻自在に叩き分けるテイラーはこれまた見事な「職人芸」。

聴き終えて、この盤、実にハードバップらしい好盤ではないか、というのが僕の感想。なんで最近まで聴かなかったのか。恐らく、このジャケットが悪いのだと思う。プレスティッジお得意の「どーでもよいジャケ」(写真左)が、この盤をブート盤に見せたのかも。このジャケじゃあなあ、触手が伸びないよな。 
 
 
 
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2021年11月18日 (木曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・10

ジャズ名盤とは何か。僕が思うに、その盤を聴くことで、ジャズの歴史を感じることが出来、ジャズの個性を感じることが出来る。そして、そのリーダーの個性が手に取るように理解出来、サイドマンの演奏が優秀。加えて、ジャケット・デザインが秀逸であること。いわゆる「ジャズが音楽の総合芸術であること」を実感できる盤が「ジャズ名盤」だと思うのだ。

Sonny Rollins『Saxophone Colossus』(写真左)。1956年6月22日、Prestigeレーベルからのリリースだが、この盤はブルーノートと同じ「Van Gelder Studio」での録音になる。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Max Roach (ds)。リーダーのソニー・ロリンズのテナー・サックス1管がフロントの「ワン・ホーン・カルテット」編成である。

まず、ジャケットを見て欲しい。青のモノトーンをバックに、テナー・サックスを吹くソニー・ロリンズの上半身のシルエット。そして、ジャケットの下に小粋なタイポグラフィー。ジャズのジャケットやなあ〜、と感心するし、盤の中の音が漏れ聴こえて来る様な秀逸なデザイン。良く見れば、凄くシンプルな、1つ間違えば陳腐に落ちるデザインなんですけどね〜。特にLPサイズは「映える」。やはり、名盤には優秀なジャケットが良く似合う。
 

Saxophone-colossus

 
内容的には申し分無い、非の打ち所の無いハードバップな演奏が詰まっている。出だしが、マックス・ローチのドラムソロ。大先輩にトップバッターをお願いするリーダー・ロリンズの謙譲心。それはともかく、全編に渡って、リーダー・ロリンズのテナーの、イマージネーション溢れるパフォーマンスが群を抜いている。ダンディズム溢れる大らかで創造的なアドリブは聴き応え満点。

サイドマンでは、フラナガンのピアノが素晴らしい。もともとはバップなピアノをバリバリ弾くタイプのピアニストなんだが、ロリンズのテナーの個性を十分に理解して、歌伴の如く、小粋で味のあるバッキングに徹しているところニクい。全編に渡って、ロリンズの「歌伴」に徹したフラナガンのピアノが聴き終えた後、ロリンズのテナーの次に印象にしっかり残っている。

そして、ラストの「Blue 7」に、ジャズのアーティスティックな面を垣間見る。ブルーな雰囲気を持つ、モダンでクールなブルース。ファンクネスは抑制され、観念的、かつ哲学的な響きが不思議な感覚。結構複雑な展開の楽曲だが、それぞれの楽器の即興演奏は見事。即興演奏であるが故、演奏上の小さなハプニングが記録されているが、それまでもがこの演奏の良いスパイスに響くから面白い。このラストの1曲が実にジャズらしいのだ。|
 
 
 
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2021年11月 2日 (火曜日)

僕なりのジャズ超名盤研究・9

マイルス・デイヴィスは僕のジャズの「最大のアイドル」である。マイルスの足跡、イコール、ビ・バップ以降のジャズの歴史でもある。ジャズの演奏スタイルについては、揺るぎない「信念」があった。フリー、スピリチュアル、フュージョンには絶対に手を出さない。マイルスはアコースティックであれ、エレクトリックであれ、いつの時代も、メインストリームな純ジャズだけを追求していた。

Miles Davis Quintet『The Legendary Prestige Quintet Sessions』(写真左)。1955年11月16日(The New Miles Davis Quintet)と1956年5月11日、10月26日(マラソン・セッション)の録音。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), John Coltrane(ts), Red Garland (p), Paul Chambers(b), Philly Joe Jones(ds) 。

マイルス・デイヴィス・クインテットのマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』と、デビュー盤『The New Miles Davis Quintet』のプレスティッジ・レーベルに残したスタジオ録音の音源を録音順に並べたもの(と思われる)と、NYのBasin Streetでのライヴ音源(1955年10月18日)と フィラデルフィアのライヴ音源(1956年12月8日)を収録。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源が録音順に並んでいる(と思われる)のが、この企画ボックス盤の良いところ。マラソン・セッションの録音の流れとスタジオの雰囲気が追体験出来るようだ。4部作は、プレスティッジお得意の仕業、アルバム毎の収録曲については、曲と演奏の雰囲気だけで、てんでバラバラにLPに詰め込んでいる。アルバムとしては良いのだろうが、録音時期がバラバラなのはちょっと違和感が残る。
 

The-legendary-prestige-quintet-sessions_

 
さて、このマラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』の音源は、CBSからリリースされた『'Round About Midnight』と併せて、「マイルスの考えるハードバップ」の完成形である。全てが一発録り、アレンジは既に用意されていたようで、それまでに、ライブ・セッションで演奏し尽くしていた曲ばかりなのだろう。

今の耳で聴いても、相当にレベルの高い演奏である。即興演奏を旨とするジャズとしては、この一発録りが最良。マイルスはそれを十分に理解して、このマラソン・セッションを敢行したと思われる。細かいことは割愛するが、一言で言うと「非の打ち所」の無い、珠玉のハードバップな演奏である。これぞジャズ、という演奏の数々。素晴らしい。

1955年10月から1956年12月に渡って、録音順に並んだ音源集なので、振り返ってみるとたった1年2ヶ月の短期間だが、マイルス・デイヴィス・クインテットのバンドとしての成熟度合いと、コルトレーンの成長度合いが良く判る。

バンド・サウンドとしてはもともとレベルの高いところからスタートしているが、段階的に深化、成熟していくのが良く判る。コルトレーンについては、たった1年2ヶ月であるが、最初と最後では全く別人といって良いほどの「ジャイアント・ステップ」である。

マラソン・セッション4部作『Cookin'』『Relaxin'』『Workin'』『Steamin'』をアルバム毎に分けて聴くも良し、録音順に追体験風に聴くも良し、これら「マイルスの考えるハードバップ」の完成形は、ジャズとして「欠くべからざる」音源である。ジャズ者としては、絶対に聴いておかなければならない音源である。
 
 
 
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2021年7月 9日 (金曜日)

「小粋なジャズ」を聴き直す。

以前より「小粋なジャズ」をテーマにジャズ盤を集めていたのだが、その集めた「小粋なジャズ」盤を順番に聴き直し始めた。

小粋とは「どことなく、さっぱりした気立てで垢抜けがし、仄かに色気も漂うさま。洗練されていること」。つまり「小粋なジャズ」盤とは、ハードバップな演奏をメインに「どことなく垢抜けて洗練されていて、仄かに健全な色気も感じる」ジャズを聴くことが出来る盤ということになる。

George Wallington『Complete Live At The Café Bohemia』(写真左)。1955年9月9日、The Cafe Bohemia でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Jackie McLean (as), Donald Byrd (tp), George Wallington (p), Paul Chambers (b), Arthur Taylor (ds)。

ピアニストのジョージ・ウォリントンがリーダー、ジャキー・マクリーンのアルト・サックスとドナルド・バードのトランペットが2管フロントのクインテット編成。もともとは、プレスティッジ・レーベルからリリースされた、George Wallington『Live At The Café Bohemia』(写真右)のコンプリート盤になる。

このライヴ盤の目玉は、ジャキー・マクリーンのアルト・サックスとドナルド・バードのトランペットが2管フロント。このライヴ盤では、マクリーンのアルト・サックス、バードのトランペットのベストに近いパフォーマンスが確認出来る。
 

Complete-live-at-the-cafe-bohemia-1

 
ジョージ・ウォリントンのピアノは、ビ・バップ調でありながら、優雅な響きが特徴。決して下品に弾かない。決してテクニックをひけらかさない。優雅な響きと確かなテクニックでしっかりとしたハードバップなピアノなんだが、如何せんちょっと地味で目立たない。

ただ、リーダーとしての統制力は優れていたとみえて、このライヴ盤でのパフォーマンスは、ウォリントンの統制力をしっかりと確認することが出来る。このライヴ盤で、ウォリントンのピアノが大々的にフィーチャーされているかと言えば、そうでは無い。如何せん地味なのだ。

ライヴ当日、この2管フロントは終日絶好調だった様で、今回のコンプリート盤以前の通常盤でのパフォーマンスも凄かったが、これがコンプリート盤で追加された演奏でも漏れなく素晴らしい。つまり、ライヴ収録されたパフォーマンスのほぼ全てが素晴らしいパフォーマンスで埋め尽くされていたということになる。

演奏の内容は「完璧なハードバップ」。2管フロントのアドリブ・パフォーマンスは、効果的な「引用」も含めて、小粋なものばかり。そういう意味で、このライヴ盤は「小粋なジャズ」盤の一枚にノミネートしました。ハイ。
 
 
 
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2021年5月21日 (金曜日)

天気関連がタイトルのジャズ盤

今年は早々と西日本を中心に梅雨入りしてしまった。関東地方もまだ梅雨入り宣言は無いけど、今週はずっと雨模様の日が続いて、とにかく鬱陶しいことこのうえ無い。しかし、今年は梅雨入りが早い。7月に入ったら梅雨明けしてくれたら良いのだけど、7月中もずっと梅雨が継続するようなら、もう「ゲンナリ」である。

さて、天気をテーマにした曲、天気関連をタイトルにしたジャズ盤ってあるのかな、と思い立ったのだが、天気をテーマにした曲は幾つかある。思いつくところで「Come Rain or Come Shine(降っても晴れても)」、「September In The Rain(9月の雨)」、「A Foggy Day(霧深き日)」、「The Eye Of The Hurricane(台風の目)」等々、意外とあるんですよね。

天気関連をタイトルにしたジャズ盤としては、Red Garland『All Kinds of Weather』、Stan Getz『Sweet Rain』、Joe Sample『Voices In The Rain』、Weather Report『Heavy Weather』、Sue Raney『Songs for a Raney Day』等々、これも結構あるんですよね。Weather Reportなんて、バンド名がズバリ「天気予報」(笑)。
 

All-kinds-of-weather
 

Red Garland『All Kinds of Weather』(写真左)。1958年11月27日の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。タイトルが「あらゆる種類の天気」。天気をテーマにした曲を集めた「企画盤」風のアルバム。左手のブロックコード、右手のシングルトーンの燻し銀な職人ピアニスト、レッド・ガーランドのリーダー作である。

天気をテーマにした曲ばかりを集めた盤かと思いきや、収録曲を見渡すと「Summertime(夏時間)」「Tis Autumn(この秋)」と季節をテーマにした曲も混ざっているのはご愛嬌。ポルチェンのベース、テイラーのドラムという優れたリズム隊をバックに、ガーランドは気持ち良く歯切れ良く、ピアノを弾き進めていく。体調も良かったのだろう、タッチがいつになく躍動感があって切れ味が良い。

左手のブロックコード、右手のシングルトーンのガーランドのピアノって、シンプルが故にちょっとマンネリ化する「きらい」があるので、こういう企画盤で目先を変えるのって「アリ」なんだろうな。プレスティッジ・レーベルからのリリースなんだが、ジャケット・デザインも「新聞の天気予報」をあしらった、プレスティッジらしからぬ、なかなか洒落たデザインで「キマって」いる。
 
 
 

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  ・Journey『Infinity』1978

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  ・Yes Songs Side C & Side D
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2020年12月24日 (木曜日)

プレスティッジ時代の最高傑作

プレスティッジ・レーベル時代のコルトレーンのリーダー作って、異なるセッションの寄せ集めであったり、他人名義にサイドマンとして参加した音源の再編成であったり、「訳あり」の盤が多いのだが、デビュー作の『Coltrane』とこの盤だけは違う。しっかりとコルトレーンのリーダー作であり、しっかりとコルトレーンのリーダーとしての「意志」が入っている。

John Coltrane『Soultrane』(写真左)。1958年2月7日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。レッド・ガーランドのピアノを核としたリズム・セクションをバックにした、コルトレーンのテナー一本、ワンホーン・カルテット編成である。

1958年の2月に録音して10月にはリリースされているので、プレスティッジ・レーベルとしては珍しい、コルトレーンのリーダー作の出し方である。しかも、1958年2月7日のセッションの演奏で固められ、曲順もしっかり吟味されている様に感じる。当時のコルトレーンのテナー・サックスの才能の全てが記録されていて、プレスティッジ時代のベスト的内容である。
 
 
Soultrane_20201224202301  
 
 
出だし冒頭のTadd Dameron作「Good Bait」が「良い」。コルトレーンの悠然としたテナーが「良い」。ロリンズとは異なる、ストレートでシュッとした大らかさが「良い」。続く「I Want to Talk About You」は、コルトレーンのバラード表現の完成形を聴く様だ。バックを締めるガーランド・トリオが、これまた良い味を出している。右手シングルトーン、左手ブロックコードのシンプルなガーランドのピアノがコルトレーンのテナーに実に合う。

LPのB面に回って「"You Say You Care」のストレートな吹き回し、「Theme for Ernie」のスローな吹き回しも絶妙。そして、ラストの「Russian Lullaby」で、コルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」が炸裂する。高速電光石火の「ロシアの子守唄」。高速でありながら、原曲の良きフレーズをしっかり浮き出させている「シーツ・オブ・サウンド」恐るべし、である。

このプレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作は「白眉の出来」。1958年2月7日時点のコルトレーンの最高のパフォーマンスがこの盤にしっかりと記録されている。曲の並びも良いし、シンプルなデザインのジャケットもプレスティッジとしては上の部類。このプレスティッジのコルトレーンは間違い無く「買い」である。
 
 
 

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2020年12月23日 (水曜日)

コルトレーンの「扱いに困る」盤

プレスティッジ時代のコルトレーンのリーダー作とされる盤の中には、リーダー作で無いのもある。アトランティックへ移籍後、爆発的に人気の出たコルトレーン。リーダー作として出す盤出す盤、結構、売れたらしい。そこで、プレスティッジ・レーベル、既に別人名義のコルトレーンの参加したセッションの音源を再編成して、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースする暴挙に出た。

John Coltrane『Dakar』(写真左)。1957年4月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Cecil Payne, Pepper Adams (bs), Mal Waldron (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds)。録音日を見ただけでは、プレスティッジ・レーベルには珍しく単一日のセッションで固めたコルトレーンのリーダー作みたいに見える。が、これが違うんだから、プレスティッジの暴挙には困惑する。

実はこの盤、コルトレーンがサイドマンとして参加した、既リリースの別人名義のセッションの音源を再編成、あたかもコルトレーンのリーダー作としてリリースした「パチモン」盤である。1957年の4月、18日から20日にかけて3日間連続で「The Prestige All Stars」または「Mal Waldron Sextet」のサイドマンとして、としてプレスティッジに録音。この『Dakar』は、この3日連続録音の最終日の4月20日「The Prestige All Stars」名義のセッションを再編成したもの。
 
 
Darkar_john-coltrane  
 
 
しかも録音時の記録を見ると、1957年4月20日の「The Prestige All Stars」名義のセッションを「まるっと」そのまま、録音順に並べただけ。レーベルのプロデューサーとして何も考えずに、ただLPのA面B面に「まるっと」入る長さの演奏なので、思わず、偽りの「コルトレーン名義」盤として出しちゃいました、というイージーで罪作りな盤である。よって、この盤は正しくは「コルトレーン名義」のリーダー作ではない。

1957年に録音され「The Prestige All Stars」名義でリリースされた時は、セシル・ペインとペッパー・アダムスの2本のバリサクを「ウリ」にしたアルバム。バリサク2本+テナー1本の3管フロントはユニークだが、惜しむらくはアレンジ、アドリブともに、ちょっと定型的で創造性に欠けるきらいがある。先が読めちゃうので飽きが来るのだ。ただ、バリサク2本の音の迫力は凄い。バリサクの音を浴びる様に聴きたい時には最適な盤の一枚ではある。

この盤の全体の印象は、コルトレーンがメインというよりは、2本のバリトン・サックスが主軸のジャム・セッション、重厚なハードバップ演奏。コルトレーンのプレイを聴いても、コルトレーンの個性は確認出来るが、中途半端で中程度の出来。特別にコルトレーンを聴くアルバムでは無いだろう。ジャケ・デザインも適当。まったく、プレスティッジ・レーベルの暴挙には困ったものである。
 
 
 

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2020年12月15日 (火曜日)

John Coltrane『The Believer』

プレスティッジ・レーベルにおける「ジョン・コルトレーン」のリーダー作は、複数セッションの寄せ集め編集盤が多くて困る。しかも、リリース年が録音年よりかなり離れていたりする。コルトレーンは大人気のテナー・マンだっただけに、所有する音源を小出しに小出しにリリースして、金儲けに走ったようである。プレスティッジの総帥、ボブ・ウェインストック(Bob Weinstock)は「せこい」(笑)。

小出し小出しにリリースするのは仕方が無いとして、様々な複数セッションから切り出して、寄せ集め編集して1つのアルバムとしてリリースするのには閉口する。そもそも「寄せ集め」のコンセプトが全く判らない。ウェインストックはプロデューサーとしての才能は全く無かったとみえる。プレスティッジ時代のコルトレーンは、彼のテナー・マンとしての進歩が「日進月歩」だっただけに、寄せ集め盤については、コルトレーンの演奏内容について違和感が付きまとうものが多いから困る。

John Coltrane『The Believer』(写真左)。 1964年4月のリリース。1964年4月のコルトレーンと言えば、インパルス・レーベルからの『Live at Birdland』のリリースと同時期。そんな時期にプレスティッジ・レーベルから、1957年から1958年録音の寄せ集め盤がリリースされた。その寄せ集め状況は以下の通り。

まずは、1957年12月20日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Ray Draper (tuba), Gil Coggins (p), Spanky DeBrest (b), Larry Richie (ds)。演奏曲は、4曲目「Filidé」と5曲目「Paul's Pal」。

チューバのレイ・ドレイパーとの2管フロントのクインテット。もともとチューバでジャズをやるのには無理がある。少し速い演奏になると、運指と息がついていけない。ドレイパーのソロはチューバがゆえ、健闘はしているのだが「たどたどしい」ソロがとても悩ましい。リズム・セクションは無名に近いメンバー。普通レベルのサポートに終始している。

コルトレーンだけがまともに吹いているが、周りのメンバーがこのレベルなので、コルトレーンとしても「普通の演奏」に留まっている。この2曲については、あまり聴きどころは無い。この盤は1964年のリリース。この頃には、もうコルトレーン絡みの音源は底をついていたのかもしれない。
 
 
The-believer  
  
 
次は、1958年1月10日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Donald Byrd (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。演奏曲は、1曲目「The Believer」と2曲目「Nakatini Serenade」。

この2曲の演奏が一番充実している。トランペットのドナルド・バードとの2管フロントのクインテット。このセッションでのバードのトランペットが活き活きしていて、アドリブ・フレーズも迫力がある。当然、コルトレーンもこのトランペットに触発されて、素晴らしいブロウを繰り広げる。

シーツ・オブ・サウンドの原型らしき、高速アドリブ・フレーズも連発。この時期のベスト・プレイが展開される。ガーランドのピアノを核とするリズム・セクションも申し分無い。右手のシングルトーンが魅力のガーランドも何時になく、熱いソロを聴かせている。

最後に、1958年12月26日の録音。ちなみにパーソネルは、John Coltrane (ts), Freddie Hubbard (tp), Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。演奏曲は、3曲目「Do I Love You Because You're Beautiful?」。

トランペットとの2管フロント立てのクインテットは、1958年1月10日の録音と変わらないが、トランペットが若きフレディー・ハバードに代わっている。ハバードのトランペットは高度なテクニックをひけらかす様に、ウケ狙いのフレーズを連発してコルトレーンに対抗しているが、これが「チープで薄っぺら」な印象でいけない。完全にコルトレーンの引き立て役になってしまっている。やはり、自分の「個性と魂」を込めたフレーズで対抗しないとなあ。非常に上手いんだけどなあ。

逆に、コルトレーンのブロウは全く申し分無い。ハバードの「ウケ狙い」のプレイなど気にかけず、ほぼ完成されたバラード・プレイを披露している。

ということで、この寄せ集め盤、譲って冒頭からの3曲が聴きもの。チューバが入る4〜5曲目は平凡。それでも、1958年1月10日録音の、冒頭の2曲のコルトレーン・クインテットの演奏だけでも手に入れる価値はあると思料。プレスティッジ・レーベルも罪作りなことをしてくれたものである。
 
 
 

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