2023年12月13日 (水曜日)

『Basie On The Beatles』です

久しぶりにビートル・ジャズを聴いている。もともと、ジャズって、その時代時代の流行の音楽に敏感で、流行の音楽のエッセンスを取り込んだり、ヒット曲のカヴァーが大得意。例えば、最大の好例が「ボサノバ・ジャズ」。そのほか、サンバ、ラテンはしっかりジャズに融合しているし、ロックが台頭して以降、ジャズとロックの融合でクロスオーヴァー・ジャズが誕生した。

ビートルズについては、米国に上陸後、ジャズを流行ポップスの座から引きずり下ろし、ロックの台頭の引き金になったスーパースター集団。出す曲、出すアルバムは空前の大ヒット。しかし、ジャズ界はこぞってビートルズ曲のカヴァーに取り組んだ。そして、そのトレンドは現在まで続いている。ビートルズ曲って、意外とジャズにアレンジし甲斐のある楽曲が多いみたいなんですよね。

Count Basie & His Orchestra『Basie On The Beatles』(写真左)。1969年12月15日の録音。1970年のリリース。カウント・ベイシー楽団のビートルズ曲のカヴァー集の第二弾。この盤については、ビートルズ後期の名曲をメインに選曲されている。第一弾『Basie's Beatle Bag』(2016年11月27日のブログ参照)は、ビートルズ前期の名曲をメインの選曲だったから、第二弾の選曲はなかなか考えた選曲。
 

Count-basie-his-orchestrabasie-on-the-be

 
今回もアレンジの妙が光る。というか、どこから聴いても、カウント・ベイシー楽団の音を前提としたアレンジで、演奏の雰囲気は、どこから聴いても、カウント・ベイシー楽団の演奏になっているから不思議といえば不思議。ビッグバンドの音の重なり、音の響き、アドリブ展開のフレーズ。どれをとっても「カウント・ベイシー楽団の色」が濃厚。これがなかなかに「聴きもの」なのだ。

基本はロックのビート。ハロルド・ジョーンズの軽快にスイングするドラミングが肝。ビッグバンドのビートルズ曲のカヴァーなので、スイング、そして、縦ノリ、疾走感が前提のアレンジになるので、ラストの「Yesterday」など、カウント・ベイシー楽団ならではの、パンチの効いた、スピード感溢れる縦ノリ、スインギーな演奏は「いかにも」という感じ。その他、ビートルズ後期のジャズのカヴァーの定番曲の演奏がズラリと並ぶ。

1969年のカウント・ベイシー楽団の音ゆえ、今の耳には古く聴こえるか、と思ったが、聴いてみて意外と古さは感じない。普遍的なカウント・ベイシー楽団の音が濃厚がゆえ、だろう。カウント・ベイシー楽団らしい「ビートルズ曲のカヴァー集」。ビッグバンドにおける優れた「ビートルズ曲のカヴァー集」の一枚と評価しても良い内容である。
 
 

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2023年12月12日 (火曜日)

リサ・ローレンのビートルズ曲集

12月8日はジョン・レノンの命日だった。43回目の命日。そして、最近、ビートルズ最後のシングル、最後のビートルズ・ソング「ナウ・アンド・ゼン」がリリースされて話題になっている。で、そんなこんなで、暫く聴いていなかったジャズのビートルズ・カヴァーのアルバムを探すことにした。

Lisa Lauren『Lisa Lauren Loves the Beatles』(写真左)。2006年の作品。パーソネルについては、曲ごとに変わるため、詳細は割愛する。目立ったところでは、デヴィッド・サンボーンや、フォーク・シンガーのウィリー・ポーターが参加している。バックの演奏はレベルの高い、クロスオーバー・ジャズ志向の優れもの。サンボーンのサックスが全編に渡って効いている。

リーダーのリサ・ローレンはシカゴ出身のシンガー/ピアニスト。地元のジャズ・クラブ中心に活動しているらしい。落ち着いた、クールで芯のしっかりしたビター・スウィートな唄声。この個性的なボーカルで、ビートルズの楽曲のカヴァーを唄い上げる。しかも、選曲がニクい。有名曲もあるが、どの曲もジャズにアレンジし易い、ジャズにアレンジのし甲斐のありそうな楽曲ばかり。

「The Word」「Love Me Do」「Dear Prudence」「Eight Days a Week」「All My Loving」はビートルズの有名曲ではあるが、他のジャズのカヴァーを僕は知らない。この盤でのアレンジはとても優れている。原曲を損なうことなく、しっかりジャズにアレンジしている。そうアレンジするのか、と感心することしきり。「Love Me Do」での、ポーターのギター・プレイが秀逸。
 

Lisa-laurenlisa-lauren-loves-the-beatles

 
「What You're Doing」「I'm Looking Through You」「I've Just Seen a Face」「I'm Happy Just to Dance With You」などは、ビートルズ・マニア御用達の佳曲。当然、他のジャズのカヴァーを聴いたことが無い。原曲のイメージを最低限留めつつ、アドリブ部はコード進行を借用してジャズらしい展開。

「Can't Buy Me Love」「With a Little Help from My Friends」「Eleanor Rigby」「Here Comes the Sun」は、ジャズではよくカヴァーされるビートルズ曲。ビッグバンドのアレンジなど、カヴァーの前例は多くある。「With a Little Help from My Friends」「Eleanor Rigby」は、ウエス・モンゴメリーのギター・アレンジがすぐに思い浮かぶ。

しかし、この盤では、過去のジャズ・アレンジを参考にしている様子は無い。カントリーやポップス、ソウルなど、様々なジャンルの音楽をクロスオーバーしたサウンドでジャズ・アレンジしている。「Can't Buy Me Love」でのサンボーンのサックスが素敵。

この『Lisa Lauren Loves the Beatles』は、我が国ではあまり知られていない。が、この盤、実は米国の「All Music Guide」で四つ星を獲得するなど、米国のジャズ・シーンではビートルズ・カヴァーの隠れた名盤として評価されている。その米国の高評価に違わぬ、素晴らしい出来、素晴らしいアレンジのビートルズ曲のカヴァー集である。
 
 

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2022年12月 8日 (木曜日)

ジョン・レノンの42回目の命日

12月8日、ジョン・レノンの命日。1980年12月8日、ジョン・レノンは凶弾に倒れた。40歳にて急逝であった。42年前のことである。

ジョン・レノンの名前を知らない人、ジョン・レノンに興味の無い人にとっては、何のことか良く判らないだろう。しかし、僕達にとっては大事件中の大事件、今までの逝去に関するニュースで一番ショックだった出来事である。

「何故、ジョンが撃たれたのか、40歳で命が途絶えたのか」。あれから42年経った今でも、その真相は藪の中だ。今でも強く思う。何故、ジョンは撃たれなければならなかったのか、と。

僕の生涯の中で、この「ジョンの死」が一番不条理なものだと思う。ロック・ミュージシャンの急逝のよくある理由の「オーバードーズ」では無いのだ。全く知らない狂人に、ふいに銃で撃たれて死んだのだ。当時、僕はまだ大学生。この不条理が理解出来なくて、しばらくの間、下宿で親友と飲んだくれていた。今でも、ジョンの逝去については、思い出す度に無力感に囚われる。

さて、ジャズである。ジョン・レノンの楽曲をカヴァーしたジャズ盤はあるのか、ということなんだが、探せば数枚はある。楽曲単独のカヴァーは、圧倒的に「Imagine」がカヴァられている以外は、あまり無い。

ジョンの楽曲はシンプルなものが多いので、ジャズ化はし易いかと思うのだが、ジョンが亡くなって42年。恐らく「Imagine」以外、若い世代のジャズマンは、ジョンの楽曲を知らないのかもしれない。
 

Jazzcover-john-lennon-songs

 
Edison Jazz Console『Imagine -Jazzcover John Lennon Songs』(写真左)。2002年のリリース。「探せば数枚ある」中の1枚。本作はジョン・レノンの作品をジャズ風にアレンジしたアルバム。アシッド・ジャズ、ラウンジなど多彩なアレンジで、ジョンの名曲をカヴァーしている。

収録曲は「Imagine」「Woman」「(Just Like) Starting Over」「Beautiful Boy」「Love」「Jealous Guy」「Watching The Wheels」「Real Love」「Instant Karma」「Mind Games」の10曲。冒頭の「Imagine」は鉄板。個人的には、「Woman」「(Just Like) Starting Over」「Mind Games」の収録が嬉しい。

どの曲もジャズとして違和感の無いアレンジが施されている。ロックのジャズ・アレンジについては、ラウンジ風のイージーリスニング・ミュージックになってしまう「トホホ」なものも多々あって、このジョンの楽曲のジャズ化もそれを危惧するのだが、聴いてみてホッとした。意外とちゃんとモダン・ジャズしているのだ。

テーマがあってアドリブがあって、アドリブもしっかりジャズっぽい。テーマの処理もジャズらしい工夫がいろいろ施されていて、ラウンジ&カクテル・ミュージック風の「毒にも薬にもならない」平凡なアレンジは全く無い。意外と「ながら聴きのジャズ」として、十分ローテーション出来る内容である。

彼の音楽に乗ったメッセージは数知れず。しかし、現時点で、戦争は無くなっていないし、人種差別も無くなっていない。それでも、今でも「Imagine」を聴くと、そのメロディーに、その歌詞に感動する。

ジョンの命日には、日頃、考えもしない、実は自分にとって「大事なこと」を思い出す。ジョンの命日は、僕にとって「大切な日」であることは確かだ。
 
 

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2022年4月 8日 (金曜日)

最近出会った小粋なジャズ盤・7

ジャズとビートルズとの関係は深い。もともとジャズは、その時代時代に流行った音楽のカヴァーや要素の取り込みが上手で、例えば「ラテン・ジャズ」「ボサノバ・ジャズ」などがその好例だと思う。

そして、ロック/ポップス史上最大のイノベーションだった「ビートルズ」についても同様で、ジャズはこぞって、タイムリーにビートルズの楽曲をカヴァーし、その音楽の要素を上手に取り込んだ。

よって、ジャズのニュー・スタンダード化したビートルズ曲も多数ある。「Norwegian Wood(ノルウェーの森)」「A Day in the Life」「A Day in the Life」「Yesterday」などが、ほぼスタンダード化していると思う。

しかし、ビートルズの楽曲って、キー進行が独特で、ブルーノートを踏襲していないので、ジャジーなアドリブを展開するのがなかなかに難しく、なかなかジャズらしい演奏にならない。アドリブ展開を含めた優れたアレンジが全て、といったところかな。

John Pizzarelli『Midnight McCartney』(写真左)。ちなみにパーソネルは、John Pizzarelli (g) をメインに、多くのコンテンポラリー・ジャズ畑のミュージシャンが参加。メインボーカルは、Michael McDonald。加えて、オーケストラがバックに入っている。演奏のアレンジはJohn Pizzarelli(ジョン・ピザレリ)自身が担当、オーケストラのアレンジは Don Sebesky(ドン・セベスキー)が担当している。

タイトルから判る通り、この盤は「ポール・マッカートニー」トリビュートの企画盤。全曲、ポール・マッカートニーがソロになってからの、ポール作の楽曲で占められている。ビートルズでは無い、アフター・ビートルズのポールの楽曲に焦点を当てたところ、これがユニーク。
 

Midnight-mccartney_john-pizzarelli

 
但し、ポールの楽曲の特徴は、≒ビートルズなので、やはり、単純にジャズにはなりにくい。よって、やはりここも「アドリブ展開を含めた優れたアレンジが全て」がポイントになる。アレンジ担当は、リーダーでギタリストのビザレリが担当。さて、その手腕やいかに。

結論から言うと「大成功」。冒頭の「Silly Love Songs」、4曲目「Coming Up」、7曲目「Hi, Hi, Hi」、10曲目「Let 'Em In」等々、基本的に収録曲全曲、しっかりと「ジャズ化」されている。

主旋律のメロディーはアレンジするにせよ崩すこと無く、ポールの曲の主旋律の良さをしっかりと出し、アドリブ部に入って、ポールの楽曲の持つコード進行を捻ったり、裏返したりしながら、原曲の持つコード進行の妙を維持しつつ、ジャズらしいアドリブ展開を実現している。このアレンジには「まいった」。バラード曲でのセベスキーのアレンジもジャジーで良好。

『McCartney II』収録の「Coming Up」や、シングルでヒットした「Hi, Hi, Hi」がジャズになるなんて思いもしなかった。

やはり、ビートルズ関連の楽曲のジャズによるカヴァーはアレンジが勝負。ポールの楽曲も同様で、テーマがあって、アドリブがあって、テーマに戻る。そういった、ジャズとして当たり前のルーチンが実現してこそ、正統なカヴァーと言えるのではないか。

そういう点で、このピザレリの『Midnight McCartney』は大成功の部類。とにかく、小粋なアレンジが素晴らしい「ポール・マッカートニー」トリビュート盤です。
 
 

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2020年12月 8日 (火曜日)

レノン作の楽曲のカヴァー集

今年も12月8日がやってきた。ジョン・レノンの命日である。1980年12月8日(月)22時50分、ジョンはダコタ・ハウスの前で撃たれた。失血性ショックによりルーズヴェルト病院で23時すぎに死亡した。満40歳没(享年41)。今年で逝去後40周年になる。

まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)に「ジョン・レノンの40回目の命日」と題して、記事を上げているので、ジョン・レノンの命日についてはこちらをご覧頂きたい。ここでは、ジョン・レノンにまつわるジャズ盤について語りたい。

ジョン・レノン作の楽曲は、ちょっと捻れたコード進行やフレーズの展開が多いので、単純なフォービートのジャズにはなり難い。無理矢理、フォービートのジャズに押し込めたら、とてもチープな雰囲気の、まるで軽音楽のような、何の味も工夫も無いジャズになりそうで、ジョンの曲はジャズで採り上げられることは少ない。

それでも「Imagine」だけは結構、ジャズの世界でカヴァーされている。といって、完璧にジャズの楽曲としてアレンジされている訳では無くて、曲の持つ強烈な個性をジャズの演奏の旋律に置き換えているだけ。ジャズにデフォルメされることなく、「Imagine」の原型はほぼ留めている。それだけ、ジョン・レノン作の楽曲は個性が強烈だ、ということだろう。
 
 
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Bill Frisell『All We Are Saying』(写真左)。2011年6ー7月の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g), Greg Leisz (steel-g, ac-g), Jenny Scheinman (vln), Tony Scherr (b), Kenny Wollesen (ds)。ニュー・ジャズにおける変則捻れギタリスト、ビル・フリゼールの企画盤。「Lennon–McCartney」のカヴァー集である。

Lennon–McCartneyのカヴァー集だが、ジャケット・デザイン(ジョン・レノンの顔の線画イラスト)からも判る様に、ジョン・レノンの作曲作品を中心にカヴァーしている。全編ジョン・レノンの楽曲のカヴァー盤というのは、僕はこの盤以外、知らない。「Across the Universe」「Revolution」「Give Peace a Chance」「#9 (Number 9) Dream」など、ジャズではほぼカヴァーされたことの無い、ジョンの名曲がズラリと並ぶ。

原曲の雰囲気を踏襲すること無く、フリゼール自身が、ジョンの楽曲を解釈して、独特のアレンジを施している。「Please Please Me」「Come Together」「Woman」「Love」「Mother」「Strawberry Fields (Bonus Track)」などなど、どれもが「ほほぅ」と感心するような、なかなか優れたアレンジが施されていて、レノン作の楽曲に新しい魅力を与えている。

ジャズ好きのレノン者にとっては「マスト・アイテム」。フリゼールがニュー・ジャズのマナーの中、独特のくすんで捻れた音色のギターで、ジョン・レノン作の楽曲を個性的にカヴァーしていく。聴き応え十分。この企画盤、アレンジと演奏力の「賜」。ジョンの命日にしみじみと聴く「ジョン・レノンのカヴァー・ジャズ」。
 
 
 

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 ★ AORの風に吹かれて        【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・『Middle Man』 1980

 ★ まだまだロックキッズ     【更新しました】 2020.12.08 更新。

  ・ジョン・レノンの40回目の命日

 ★ 松和の「青春のかけら達」 【更新しました】 2020.10.07 更新。

  ・僕達はタツローの源へ遡った

 

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2020年3月17日 (火曜日)

ビートルズ・カヴァー集の第2弾

ジャズの世界では、ビートルズのカヴァーは古くから、そう1960年代前半、ビートルズが世界で流行りだした頃からで、意外と早い。そういう意味では、ジャズって意外と「軽薄短小」だなあ、と思うんだが、しかも、そのアレンジたるや、初期の頃のものは酷いものが多くて、むやみに手を出そうものなら「火傷」をする。そう「火傷」をしてからでは遅い。後悔先に立たず、である(笑)。

今ではサブスクの音楽サイトで、チャレンジとして気軽に聴くことが出来るので、片っ端から聴ける。1960年代前半はアレンジがイマイチなんだが、1960年代半ばから熟れてきて、クロスオーバー・ジャズの先駆けの「イージーリスニング・ジャズ」の範疇で、優れたアレンジと演奏のビートルズ・カヴァーが出現した。1970年代以降は、逆にビートルズ・カヴァーは意外と難物なので、優れたアレンジで用意周到に取り組むべきものとなり、いわゆる「失敗作」はほとんど無くなったと思っている。

Al Di Meola『Across the Universe』(写真左)。今月リリースほやほや。超絶技巧ギタリスト、アル・ディ・メオラ(略して「ディメオラ」)がリーダーの、2013年リリースの『All Your Life』に続く、ビートルズ・カヴァー集の第2弾である。第一弾のカヴァー集でも、ビートルズのカヴァー集とは言え、あまりカヴァーされない曲を一ひねりも二捻りも加えたアレンジで取り上げていたが、この第2弾でも、おおよそ今まで、ジャズでカヴァーされたことの無いビートルズ曲を、これまた素晴らしいアレンジを施して披露している。
 
  
Across-the-universe-1   
 
 
1. Here Comes The Sun
2. Golden Slumbers Medley
3. Dear Prudence
4. Norwegian Wood
5. Mother Nature’s Son
6. Strawberry Fields Forever
7. Yesterday
8. Your Mother Should Know
9. Hey Jude
10. I’ll Follow The Sun
11. Julia
12. Till There Was You
13. Here, There And Everywhere
14. Octopus’s Garden
 
 
以上が収録曲なんだが「Dear Prudence」「Mother Nature’s Son」「Your Mother Should Know」「I’ll Follow The Sun」「Julia」「Till There Was You」など、ジャズでカヴァーされた前例を僕は知らない。「私がギターを弾く理由はビートルズがいたからです」と語るディメオラ。そう、ディメオラはビートルズが大好きなんだ。このカヴァーされない、カヴァーし難い楽曲を、超絶技巧なギターテクニックを駆使した、難度の高いアレンジで、クールにユニークにカヴァーしている。

意外と簡単そうに聴こえるが、かなり難しいことを難なくやっている。超絶技巧ギタリストのディメオラの面目躍如である。現代ジャズ・ギターの最先端のテクニックを聴くにも、今までカヴァーされたことのないビートルズ曲を楽しむにも、絶好のカヴァーアルバムです。ちなみに、この盤のアルバム・ジャケットはジョン・レノンのアルバム『Rock 'n' Roll』を再現しています。小粋でお洒落ですね。
 
 
 

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【更新しました】2020.03.02
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  ★ 青春のかけら達 ・・・・ チューリップ『魔法の黄色い靴』
 

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2017年7月20日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・84

ジャズはビートルズをカヴァーするのが好きである。ジャズの世界では、ビートルズの楽曲のカヴァー盤が大量に存在する。ビートルズの楽曲をカヴァーするだけで「売れる」と思ったんだろうなあ。実に安直なアプローチ(笑)。結局、今の耳で振り返って、アレンジと演奏のレベルが高かったものだけが残った。まあ、カヴァー盤なんてそんなもんである。

Bill Frisell『All We Are Saying...』(写真左)。2011年6〜7月の録音。捻れギタリストの最右翼、ジャズというジャンルを超えた、聴いたことも無い不思議な怪しげな捻れフレーズを連発する「変体ギタリスト」、ビル・フリゼールのアルバムである。ちなみにパーソネルは、Bill Frisell (g), Greg Leisz (g), Jenny Scheinman (vln), Tony Scherr (b), Kenny Wollesen (ds)。フリーゼル以外、知らない人ばかり(笑)。

ジャケットを見れば「おやっ」と思う。このイラストって「ジョン・レノン」じゃないのか。で、収録された曲名を見渡すと、おお、なんと、このアルバム、ジョン・レノンの楽曲のカヴァー盤ではないか。ジャズの世界では、ビートルズのカヴァー盤って山ほどアルのだが、アフター・ビートルズ、いわゆるビートルズ・メンバーのソロ時代の楽曲のカヴァー盤ってあまり無い。
 

All_we_are_saying

 

ジョンの楽曲の特徴と個性を良く理解した、とっても良い選曲ですよね。「You've Got Hide Your Love Away」「Hold On」「Julia」「Mother」は、ジャズでカヴァーがあまりされていない曲だと思うんだが、これがまあ、優れたアレンジで、きっちり、コンテンポラリーなジャズの演奏に仕上がっている。やっぱり、カヴァー盤って、アレンジが大事だよね。

こうやって、ジョンの楽曲のジャズ・カヴァーの演奏を聴いていると、ジョンの楽曲の旋律って、ジャズに向いているなあ、と思う。ジャズをやる方として、アドリブへの展開が面白くなるようなコード進行をしている、ということ。フリゼール、目の付けどころが違う。そう言えば、ジョンと並んで、ジョージの楽曲もジャズでカヴァーされることがある。やっぱり、ジョージの楽曲の旋律もジャズに向いているんだよね。

フリゼールのギター、思い切り捻れた「変体ギター」なので、ジョンの楽曲をどれだけ捻ってくるのか、と最初は構えて聴き始めるのだが、以外と素直なトーンで弾き進めているところが印象的。米国ルーツ・ジャズな雰囲気がとっても素朴で良い。楽曲も持つ特徴的なフレーズはしっかりシンプルに弾き進め、アドリブで捻れに捻る。メリハリの効いた展開で、ジョンの楽曲のカヴァー盤としては秀逸な出来です。
 
 
 
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2016年11月27日 (日曜日)

ビートルズのカヴァー集・3

1962年10月のデビューから、一気に世界最高のロックバンドにまでのし上がったビートルズ。その人気は凄まじく、ジャズの世界でも、ボサノバ・ジャズの流行の後、1960年代半ばからビートルズの解散する1970年くらいまで、猫も杓子もビートルズのカヴァー曲を、という時代があった。

例えば、ジャズ・ビッグバンドの老舗中の老舗のこのバンドですら、ビートルズ曲のカヴァーに手を染め、ビートルズ曲のカヴァー盤までリリースしている。Count Basie『Basie's Beatle Bag』(写真左)。1966年のリリース。1964年がビートルズの初の北米上陸だったから、全米では人気絶頂の時期でのリリースになる。

いやはや、あのジャズ・ビッグバンドの老舗カウント・ベイシー楽団である。あのカウント・ベイシー楽団までもが、ビートルズのカヴァー集を出すのか、とこのアルバムの存在を知った時には、改めて、当時のビートルズの人気の凄さを再認識したものだ。

ただ、このアルバムを聴いていて、ジャズ・ビッグバンドの老舗カウント・ベイシー楽団としての矜持をほのかに感じるのは、このカヴァー集のアレンジは、そんなに趣向を凝らした、優れたものでは無いということ。恐らく、このアルバム、レコード会社からの強い要請があって、あんまり乗り気のしないまま、制作されたのでは無いか、と想像している。
 

Basies_beatle_bag

 
選曲も、とにかくビートルズのヒット曲ばかりがズラリと並ぶ。ビートルズの楽曲はコードのチョイス〜進行がかなりユニークなものが多く、ジャズとしてアレンジして良い曲と、ジャズとしてアレンジすると魅力が半減する曲とが混交している。ヒット曲だからといって、全てがジャズ化に向いているか、というとそうでは無い。

そういう意味でカヴァーする楽曲の選定からアレンジまで、あんまり「力」が入っていないように感じるカヴァー盤ではある。がしかし、じゃあ、これが全くの平凡盤かというとそうでないところに、これまた、老舗カウント・ベイシー楽団としての矜持をほのかに感じるのだ。

アレンジは平凡なんだが、それぞれの楽曲でのアドリブ・ソロはなかなか気合いが入っている。先にも書いたが、ビートルズの楽曲はコードのチョイス〜進行がかなりユニークで、このジャズには全く無いであろう、ユニークなコード進行をベースにアドリブ・ソロに突入すると、結構、テクニックと経験がものを言う。そこが恐らくジャズメンのプロ意識とプライドを擽るのではないだろうか。

アルバム・ジャケットもジャズ・ビッグバンドらしからぬもの。楽団の総帥、カウント・ベイシー翁を囲む子供たち。このデザインがなぜ、ビートルズの楽曲のカヴァー集のデザインなのか、甚だ疑問である。何か当時の狼狽・困惑を良く表していると思って、思わず苦笑してしまう(笑)。

 
 

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2016年11月21日 (月曜日)

ながら聴きにビートル・ジャズ

ビートルズのアルバムがCDで正式にリイシューされたのが1986年。それでもジャズではビートルズのカバーはなかなか再来しなかった。1960年代から1970年代前半にかけて、その世界的ブームに乗って、ジャズ界ではビートルズの楽曲のカバーが乱造された。玉石混交としたカバーの出来に一喜一憂したもんだが、1980年代以降、とんと御無沙汰であった。

それから、30年余りが経って、再び、ジャズ界でビートルズの楽曲がカバーされ出した切っ掛けは、このアルバムでは無かったかと思う。Beatlejazz『Another Bite of the Apple』(写真左)。1998年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Kikoski (p), Charles Fambrough (b), Brian Melvin (ds)。聴けば判るのだが、正統派のジャズ・ピアノ・トリオである。「捻り」は全く無い。

Beatlejazzは、ビートルズのカバーアルバムを何枚かシリーズでリリースしている(3枚だったかな)。その中で、僕はこの『Another Bite of the Apple』が一番のお気に入り。選曲が適度に良く、アレンジもバッチリ決まっている。しかも、シンプルにビートルズの楽曲の持つ旋律の良さを感じることが出来るピアノ・トリオのフォーマット。この盤が一番聴いていて落ち着く。
 

Another_bite_of_the_apple

 
アレンジが優れている。ビートルズの楽曲と直ぐ判るように原曲の旋律をしっかりと踏襲しているのだが、アドリブに入ると、ビートルズの楽曲の持つユニークなコード進行を借りつつ、ジャズとしてなかなかの内容のアドリブ・フレーズを展開する。ジャズ者初心者でもビートルズの楽曲のカバーと判り、アドリブ部ではジャズ者ベテランがその展開に耳をそばだてる。そんな初心者の耳にも、ベテランの耳にもしっかりと応える内容が良い。

アレンジの勝利である。「Let It Be」のアレンジが格好良い。この「Let It Be」は様々なジャズメンがカバーしているが、このBeatlejazzのアレンジがかなり格好良い。もしかしたら、一番、格好良いかも。「Magical Mystery Tour」のアレンジがこれまたユニークで良い。この楽曲がジャズにアレンジ出来るとは思わなかった。しかも実にクールにアレンジされている。

Beatlejazz『Another Bite of the Apple』。2001年、このカヴァー盤が出た時はその内容に思わず唸った。あれから15年。ビートルズのピアノ・トリオ・カヴァー盤として定盤化。今でも時々、ひきずり出して来ては「ながら聴き」してます。とにかくアレンジが秀逸。参考になります。

 
 

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2016年9月 5日 (月曜日)

ビートルズのカヴァー集・2

ジャズにおける、ビートルズの楽曲のカヴァーには、どうも「コツ」みたいなものがあるように感じる。ビートルズの楽曲のカヴァーについては、やはり「アレンジ」が大切。どんなジャズのスタイルのアレンジに合わせるか、によって、楽曲のチョイスが変わる。

そう、アレンジの傾向に合わせた、ジャズの演奏トレンドの傾向に合わせた「ビートルズの楽曲の選択」が大切なように感じる。「ビートルズの楽曲」の中でカヴァーしたい曲について、単に自分の好みの曲を選ぶと、意外とジャズにアレンジし難かったりする。

特に、ビートルズの楽曲はその傾向が強い。ジャズにアレンジし易い曲と全くし難い曲と大きく二分される様な気がしている。もともとビートルズの楽曲はコード進行とリズム&ビートに強烈な個性があるので、ジャズに合う合わないの傾向が極端なのも何となく納得出来る。

さて、このアルバムを聴くと、そういう傾向が何と無く判る様な気がする。Tok Tok Tok『Revolution 69』(写真左)。2010年のリリース。「Tok Tok Tok」とは、1998 年にヴォーカリストのTokunbo Akinro を中心に結成されたドイツのアコースティック・ソウル・ジャズ・ユニット。
 

Toktoktok_revolution_69

 
現代のジャズの最新トレンドを踏襲した、新しい感覚のジャズ・バンドである。フロントはボーカルがメイン。バックのジャズの感覚は、ユーロビートやハウス・ミュージック、ヒップ・ホップのリズム&ビートを取り込んだ、コンテンポラリーな感覚のエレクトリック・ジャズ。

そういう傾向のジャズのスタイル、トレンドを踏襲したアレンジに合う「ビートルズの楽曲」は何か。このアルバムに収録された「ビートルズの楽曲」を見渡せば、そんな問いにバッチリと答えた楽曲の選択に思わず「納得」である。

ユーロビートやハウス・ミュージック、ヒップ・ホップのリズム&ビートを取り込んだ、コンテンポラリーな感覚のエレクトリック・ジャズに乗って、魅力的なボーカルで唄い上げられていくビートルズの楽曲の数々。新しい感覚の、現代の感覚のジャズに乗って、アンニュイで脱力系、ほどよく緊張感が漂うユルユルでスッと筋が通った、ほんのりと「スピリチュアル」な演奏、そしてボーカル。

なかなか良い感じのビートルズのカヴァー盤です。現在、CDとしては入手が難しい様ですが、Apple Musicなどダウンロードサイトからは入手可能なので、特に、若いジャズ者の方々に是非とも聴いて欲しい、新しい感覚の「ビートルズの楽曲のカヴァー集」です。

 
 

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