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2017年4月17日 (月曜日)

米国ルーツ・ロックの実力派

1975年の晩秋のことである。当時、僕は高校2年生。エリック・クラプトン率いる、デレク・アンド・ドミノスの『レイラ』に出会って、スワンプ・ロックを知った。ほどなく、オールマンズを知り、サザン・ロックを知った。それ以来である。当時、プログレ小僧だった僕は、180度方向転換して、米国ルーツ・ロックに走ることになった。

米国ルーツ・ロックの中でも、ブルースが基調の泥臭くワイルドなサザン・ロック、米国南西部の雰囲気が色濃いカントリー・ロックが大好きで、そんな中、ゴスペルなど教会音楽の要素を織り込んだものも良い。当然、ジャズの要素やフュージョンの要素を取り込んだお洒落なルーツ・ロックも良い。

The Marshall Tucker Band(マーシャル・タッカー・バンド、略してMTB)というバンドがある。彼らはアメリカ南部のサウスカロライナで1971年にバンドを結成、彼らが練習に使っていた部屋のオーナーの名前をとって、マーシャル・タッカー・バンドと名付けた。

このバンドの音楽性は非常に多様で、カントリー・ロックをはじめとして、野太いギターのロック・サウンドを下地にしたブルースものもいける、ファンク、ソウル風味の取り込みも巧みで、シャレた味わいのソウル、ジャズのフレーズを用いた即興演奏をやったり、米国ルーツ・ロックのデパートの様なバンドです。そんなMTBをストレートに味わえるのがこのLP2枚組だろう。
 

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The Marshall Tucker Band『Where We All Belong』(写真)。邦題「アメリカン・ロックの鼓動」。この邦題の意味するところは理解に苦しむ。1974年のMTBのサード・アルバム。スタジオ録音とライブ録音の構成で当時はLP2枚組。

スタジオ録音では、ブルーグラスの父チャーリー・ダニエルズを迎え、カントリー・ロックをメインに、ジャジーなインスト中心の演奏があったり、爽やかで軽やかな米国ルーツ・ロックが展開されます。1曲目「This Ol' Cowboy」から「.Low Down Ways」そして「In My Own Way」の流れが魅力。最高のカントリー・ロックです。

加えて、スタジオ録音だけでも聴きものなんですが、ライブ録音がこれまた素晴らしい。とりわけ「24 Hours At A Time」の14分に及ぶ熱演が素晴らしい。このインスト中心の演奏、そこはかとなく、ジャズ・フュージョンの香りもして、実に充実した演奏です。米国ルーツ・ロックの、米国南部のサザン・ロックの面目躍如ですね。

僕はオールマンズと併せて、このMTBも大好きで、高校時代から大学時代、はたまた今に至るまで、ジャズの合間の耳休めに時々、思い出した様に聴きます。MTBの持つバラエティー溢れる米国ルーツ・ロックが、ジャズの合間の耳休めにピッタリ。ジャズも米国ルーツ・ミュージックのひとつ。米国ルーツ・ロックとジャズとの相性はバッチリです。

 
 

震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月13日 (木曜日)

R&Bのボーカルものは大好き

昔から正統派なジャズ・ボーカルが苦手である。というか、好んで聴くことは全く少ない。なんでかなあ、と思い返してみる。ジャズ・ボーカルの中でも、レジェンドと呼ばれる女性ジャズ・ボーカルが苦手。1940年代から1950年代に活躍した女性ボーカリストって、皆、こぶしを回したり、唸ったりで、これがどうにも「苦手」。

じゃあ、ボーカルものって聴かないのか、と問われれば、いやいや、今を遡ること45年ほど前、中学時代から、R&B系のボーカル、当時は「ソウル・ミュージック」というジャンル名だったが、このR&B系のボーカルは妙に自分の感性にフィットするみたいで、ジャズの合間の耳休めに聴くことが多い。

例えば、『Roberta Flack & Donny Hathaway』(写真)。ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが1972年に連名で発表したスタジオ・アルバム。これを初めて聴いたのは1979年。例の大学の近くの「秘密の喫茶店」で聴かせて貰った。静かなバラード系の曲が多く選曲されていて、とっても落ち着いた、大人のソウル・ミュージックである。
 

Roberta_flack_donny_hathaway

 
両人ともスッと伸びるシュッとした声質、こぶしを回すことも唸ることもなく、シンプルに唄い上げていく。それでいて、さすがに黒人系のR&Bらしく、そこはかとなく漂うファンクネスと仄かな粘り。こういうボーカルであれば全くOKである。というか、聴き心地満点で思わずウットリである。加えて、両人とも歌がとてつもなく上手い。

2曲目のキャロル・キングの「You've got a friend」は絶品だ。バックのエレクトリックな明らかにR&Bな伴奏にのって、ロバータ・フラックとダニー・ハサウェイが、ユニゾン、ハーモニー織り交ぜながら、感情豊かにシンプルに唄い上げていく。他にも、ジャズ・スタンダードな「For all we know」もシンプルで良い。他の曲も...皆...良い。

レジェンドなジャズ・ボーカルは苦手だけど、黒人が主役のR&Bのボーカルものは大好き。この辺が、私こと松和のマスターの複雑なところで、バーチャル音楽喫茶『松和』では、お昼ご飯が済んだ昼下がりに「R&Bのボーカルもの」をよく選盤する。これがまあ微睡むような心地良さで、これがもう「たまらない」。

 
 

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2017年4月12日 (水曜日)

米国西海岸ロックの一つの頂点

ジャズを聴き続けると、ちょっと耳が疲れてしまう時がある。特にハードなジャズ、例えばフリージャズや自由度の限り無く高いモーダルなジャズなどを5〜6枚聴き続けると、ちょっと耳を休めたくなる時がある。そんな時には「ジャズの合間の耳休め盤」と称して、大概、70年代ロックを聴くことにしている。

選盤は大体、ジャズのアルバムを聴く合間の「ジャズの合間の耳休め盤」なので、ジャズの雰囲気をそこはかとなく宿したフュージョンっぽい盤であるとか、インスト中心のプログレッシブ・ロック盤になる。あと、米国ルーツ・ロックもよく選ぶ。米国西海岸ロックなんかも、この米国ルーツ・ロックの一種として選盤する。

今日の「ジャズの合間の耳休め盤」は、Eagles『On the Border』(写真左)。イーグルスが1974年に発表した3枚目のオリジナル盤である。僕がこの盤に出会ったのは1976年。高校の中で、米国西海岸ロックを聴く人間ってまだまだ少ない時代で、通な連中と一目置かれたり、変な奴らとして距離を置かれたり(笑)。
 

On_the_border_4

 
さて、この『On the Border』、イーグルスの音楽性の全てがバランス良く詰まった好盤である。もともと、イーグルスは、カントリー&フォーク・ロックを軸としたサウンドが「売り」。しかしながら、カントリー&フォーク・ロックに傾いたバンド・サウンドについて、もう少しハードな楽曲を織り交ぜて、音楽性の全体バランスを「ほど良く」取ろうとした。その成果がこのアルバムである。

米国西海岸ロックの一つの頂点の様なアルバム内容で、イーグルスのアルバムの中では、僕はこの『On the Border』と次作『One of These Nights』をよく聴く。ライトで爽やか感のあるカントリー・ロックから、ちょっと重厚でヘビーなハード・ロックまで、実にバランスの良い楽曲が並んでいる。これが実に良い。これが実に聴き応えがある。

ハードな楽曲とフォーキーな楽曲が相まって、ジャズの合間の耳休めに程良い塩梅。そして、ラストはかの名曲「Best of My Love(我が愛の至上)」。イーグルス・サウンドの軸となっていたカントリー&フォーク・ロックをベースとした名バラード。これは絶品で、思わずウットリしながら、この盤を聴き終えて「ジャズの合間の耳休め」は完了するのだ。

 
 

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2017年4月 9日 (日曜日)

「グラムの伊達男」の面目躍如

風邪がなかなか治まらない。困ったことに歳を取ると、風邪が治るまでに時間がかかるようになった。加えて、今日は朝から強い雨の千葉県北西部地方。体調は優れず天気は優れず、非常に鬱陶しい日曜日と相成った。

さて、ジャズばかりを聴いていると、時々、耳が疲れる時がある。特にハードなジャズ、フリージャズや自由度の高いモード・ジャズを続けざまに聴くとさすがに耳が疲れてくる。そういう時は無理はしない。副業の70年代ロックに走って「ジャズの合間の耳休め」盤を聴いて和むのが通例。これが意外に良い気分転換になる。

70年代ロックといっても、ジャズとあんまりかけ離れるのもなあ、と思う。70年代にリアタイで聴いた「鉄板盤」はジャズとは関係無く聴くが、我がバーチャル音楽喫茶『松和』としては、なるだけ、ジャズやフュージョンに近い「70年代ロック」が良いなあ、と思いながら、常々選盤している。

今日の「ジャズの合間の耳休め」の選盤は、Bryan Ferry『Another Time, Another Place』(写真)。1974年の作品。ブライアン・フェリー(Bryan Ferry)は、英国のロック・ミュージシャン、シンガー。ロキシー・ミュージックのボーカリストとして知られる。1945年生まれなので、今年で72歳になる。
 

Bryan_ferry_another_time_another_pl

 
この『Another Time, Another Place』は、フェリーのソロ第2弾。邦題は「いつか、どこかで」とムーディー。なんじゃこれ、と思いつつ、収録されたカバー曲を見ていると、ジャズ・スタンダードな曲が何曲か選曲されている。いやいや、この盤ってなかなか渋いのではと思い直す。ジャケット写真の様に、颯爽とタキシードを身に纏い、髪も短い目にきめて、渋いスタンダード曲を歌うフェリーは実に格好良い。

冒頭の「The 'In' Crowd」はBilly Page作で、ジャズの世界では、ラムゼイ・ルイスがカバーしたアルバムが有名。2曲目は「Smoke Gets In Your Eyes(煙が目にしみる)」は、ジャズにおける古典的なスタンダード曲として有名。5曲目「You Are My Sunshine」や6曲目の「(What a) Wonderful World」についても、ジャズの世界ではボーカル曲として多くカバーされている。

アレンジは控えめではあるが、グラム・ロック独特の厚めのユニゾン&ハーモニーと切れ味の良い重心の低いリズムが効いていて個性的。「グラム・ロック」をベースにしたスタンダード曲のカバー盤。実に小粋であり、長くフュージョンの時代を経たジャズ者の耳には全く違和感無く響く。

いや〜、グラム・ロックの伊達男の面目躍如ですね。1974年という時代に、こういうフュージョン・ジャズの先駆けの様な好盤がリリースされていたとは、英国のロック・シーン、ジャズ・シーンの先進性、恐るべしです。

 
 

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2017年3月26日 (日曜日)

米国プログレの代表格な一枚

米国のプログレッシヴ・ロック・グループ「Happy The Man(ハッピー・ザ・マン)」。略して「ハピマン」。1974年結成、1979年解散。僕はこのグループについては後に知った。1995年辺り、もう一度、1970年代のプログレッシブ・ロックの好盤をコレクションしよう、と思い立ってからである。

もともと、米国にはプログレッシブ・ロックは流行らない、と言われてきた。ピンク・フロイドの『狂気』など、判り易いプログレ盤は売れに売れたが、キング・クリムゾンや初期のジェネシスなど、小難しいプログレは大々的には受けなかった。そういう環境の中で、ハピマンは1977年、世界的にプログレ・ブームが去った頃、いきなりデビューした。

そのデビュー盤がバンド名をそのまま冠した『Happy The Man』(写真左)。1977年の作品。米音楽誌Rolling Stoneのプログレ・アルバムTOP50の50位にランクされた好盤である。いや〜1977年当時はその存在すら知りませんでした。そもそも、米国にプログレ・バンドがあるなんて思ってもみなかったからなあ(笑)。
 

Happy_the_man1

 
改めて聴いてみると、1970年代プログレ特有のシンフォニックな要素をふんだんに取り入れつつ、当時、流行のピークだったフュージョン・ジャズの要素を合わせたテクニカルなプログレ・ロックに仕上がっていて、非常に聴き応えがある。プログレ御用達楽器のシンセサイザーも上手く取り入れられていて、全体の印象はアーティスティック。

米国のプログレだからといって、ポップでコーニーな部分は全く無く、正統派のプログレッシブ・ロックとして、歴史に残る好盤である。英国・欧州中心のプログレッシブ・ロックの旬が1976年辺りまで。その翌年、米国に突如として、プログレッシブ・ロックの好盤が生まれ出でた。歴史の不思議な「符号」を感じずにはいられない。

米国プログレの代表格。都会的で爽やか、知的・繊細・緻密な中に、ちょっとしたユーモアを滲ます、そして、限りなくテクニカル。当時のフュージョン・ジャズに通じる、米国プログレ独特の個性がこの盤に詰まっている。ジャズとしても、ジャズ・ロックもしくはロック寄りのテクニカルなフュージョンとして十分に聴ける。好盤です。

 
 

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2017年3月25日 (土曜日)

懐かしの『フィルモアの奇蹟』

私こと松和のマスター、もともとアルバムのコレクターであるが、基本的に「ジャズ」が中心。当然、聴くアルバムもジャズが中心なんだけど、さすがにずっとジャズを聴き続けると「耳にもたれる」ことがある。そんな時は、70年代ロックやJポップのアルバムに走る。所謂「ジャズの合間の耳休め」盤である。

70年代ロックの「ジャズの合間の耳休め」盤については、ジャンル的にはプログレッシブ・ロック、そして、米国ルーツ・ミュージック系ロックが多い。ソフト&メロウに傾く時にはAOR系、R&B系を選択することもしばしば。そういうことから、実は70年代ロックのアルバムについてもかなりの数、コレクションが進んでいる。

今日の「ジャズの合間の耳休め」盤はこれ。『The Live Adventures of Mike Bloomfield and Al Kooper』(写真)。邦題『フィルモアの奇蹟』。1968年9月にフィルモア・ウェストでのライブ音源。1969年に連名でリリースしている。ボリュームはLP2枚組。このライブ盤は、ブルーズナンバー中心であるが、サイモンとガーファンクルやトラフィック、ザ・バンドなどのカバーも織り込みつつ、基本的に米国ルーツ・ミュージック系ロックである。

これが「いい」。ライブ・セッションの楽しさ、素晴らしさがギッシリと詰まったアルバムで、特に、当時、白人NO.1ブルース・ギタリストと謳われたマイク・ブルームフィールドのプレイが尋常では無い。インスピレーションをトリガーに、ブルージーでエモーショナルなエレギが炸裂しまくりである。
 

The_live_adventures_of_mike_bloomfi

 
選曲も米国ルーツ・ミュージックと呼ばれるものが目白押しで、レイ・チャールズの「アイ・ワンダー・フー」及び「メリー・アン」、エルヴィス・プレスリーの歌唱で知られる「ザッツ・オール・ライト」、アルバート・キングの「激しい恋はもうたくさん」、加えて、サイモン&ガーファンクルの「59番街橋の歌 (フィーリン・グルーヴィー)」、トラフィックの「ディア・ミスター・ファンタジー 」、そして、ザ・バンドの「ザ・ウエイト」などなど。聴いて惚れ惚れする楽曲ばかり。

ライブ・セッションなので、どこかで「ダレる」ところがあってもよさそうなものだが、これが「無い」。上手く編集しているのかもしれないが、音源に残された演奏を聴いていても「ダレる」要素や前触れが全く見えない。テンションもほどよく、聴き始めたら、一気に聴き切ってしまう位の充実度。

このライブ盤、これだけ優れた内容を誇りながら、僕がこのライブ盤を聴いた1976年当時、カバーがほとんどでオリジナル曲が少ないということで、我が国では意外と評価が低かった記憶がある。ロックにおける「オリジナル至上主義」も大概にせんとなあ、とこのライブ盤を聴いて感じた当時の記憶が甦って来た。

しかし、今の耳で聴けば判るが、決してそんな事は無い。当時の米国西海岸ロック・シーンの熱気も十分感じられる、「米国ルーツ・ミュージック」系ロックの好盤でしょう。とにかくマイク・ブルームフィールドのエレギに尽きる。

 
 

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2017年1月27日 (金曜日)

そんな小粋なAOR盤の一枚です

1970年代後半から1980年代前半は「AOR」の時代。日本では「AOR=Adult-oriented Rock」として「大人向きのロック」と解釈された。米国では「Adult Contemporary(AC)」と呼ばれるこのジャンル音楽、クロスオーバー的なサウンドと大人向けの落ち着いたヴォーカルが特徴で、とにかく聴き応え満点。

僕の大学時代が、この「AOR」の時代で、この日本のAORブームをリアルタイムで体験している。当時、ジャズを聴き始めていた「ジャズ者初心者」ではあったが、ジャズの合間の耳休めとして、このAOR系のアルバムは結構聴いている。そう、僕のあの「秘密の喫茶店」のママさんも、小粋なAOR盤をジャズの合間によくかけてくれた。

そんな小粋なAOR盤の一枚が、Crackin'『Special Touch』(写真左)。1978年の作品。黒人白人混合のアーバンソウル・バンドである「クラッキン」。その代表盤がこの『Special Touch』。シンプルではあるが、抒情性溢れる星座をあしらった濃い青色のジャケットはとっても印象的で、このジャケットだけで、このアルバムの内容は保証されたも同然。
 

Special_touch1

 
ファンクネスを強調、かつ流麗でメロウなサウンド。R&B志向のフュージョンAORである。ボーカルを交えたこのクラッキンのパフォーマンスは「ライトでポップなスティーヴィー・ワンダー」といった感じの雰囲気。決して、コッテコテでは無い、適度で爽やかなファンクネスを色濃く漂わせながら、シンプルでポップな演奏がむっちゃ心地良い。

ほんまええ雰囲気やな〜、と思ってプロデュースを見たら、後にクリストファー・クロスを手掛けて名を挙げるマイケル・オマーティアンが担当しているんですね。なるほど趣味が良い訳だ。ほんと、むっちゃ丁寧に作り込まれたフュージョンAORである。ジャジーな雰囲気とR&Bな雰囲気とポップロックな雰囲気をない交ぜにした極上のAOR。

ファンキー、ソフト&メロウ、ジャジー、そしてポップロックがフュージョンしたAORの好盤です。アルバムの宣伝コピーが「LAの風に吹かれて、ソフィスティケイトなサウンドに抱かれたい」。歯が浮くようなコピーですが、その雰囲気、何と無く判ります(笑)。アーバンポップな雰囲気がむっちゃお洒落です。

 
 

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2016年12月15日 (木曜日)

AORの先駆的な音が眩しい。

AORは1970年代前半からその萌芽が見られる。バックの演奏が、明らかに後のフュージョン・ジャズっぽかったり、ロックだけで無く、ジャジーな雰囲気やビートが漂っていたり、テクニカルでポップだったり、レゲエやジャマイカンな雰囲気が印象的だったり、明らかに後の1970年代後半から1980年前半のAORの先駆だった盤が幾枚かある。

このアルバムはとても懐かしい。日本で発売されたのは、1974年の春から夏だったかと思う。米国西海岸ロックの人気バンドだったロギンス&メッシーナが1973年秋に出した人気盤、Loggins & Messina『Lahaina』(写真左)。ジャケットは思いっきり夏の雰囲気。ハワイ、って感じのジャケットが明らかにロックっぽくない。

アルバムを聴くと、確かにロックのアルバムではあるんだが、ハードロックやプログレッシブ・ロックの様に、明らかにロック一辺倒のものとは異なる、アーバンでポップ、レゲエやジャマイカンなワールド・ミュージック的要素や、後のフュージョン・ジャズっぽい、テクニカルでアダルトな雰囲気。正に「Adult Oriented Rock」。大人のロックな雰囲気満載である。

しかし、このアルバムは1973年秋に米国でリリースされている。このAORな音が詰まったお洒落なアルバムが、1973年の理リリースとは恐れ入った。ちなみにパーソネルは、ケニー・ロギンス(vo,g)、ジム・メッシーナ(vo,g)、アル・ガース(sax,cl,vln)、ジョン・クラーク(sax,cl,fl,etc)、ラリー・シムズ(b,vo)、マール・ブリガンテ(ds,per) 。
 

Lahaina_2

 
音的には、米国西海岸ロックの音の雰囲気を色濃く出している。しかし、そこにフュージョン・ジャズっぽい音作りがあって、この盤は「AORの先駆」として捉えることが可能である。明らかにロック一辺倒の盤とは違う、バラエティに富んだ曲想、強調の数々。その拡がりとバリエーションは、聴いていてとても楽しい。

この盤に収録されている曲の中で、一番馴染みのある、懐かしさがこみ上げてくる曲が、3曲目の「My Music」。この単純な原題が、邦題になると「放課後のロックンロールパーティー」となる。逆に、僕なんかは「My Music」と言われると「?」だけど、「放課後のロックンロールパーティー」と言われると「おお、懐かしい」となる。

あっけらかんとしたロックンロールっぽいんだが、それでいて意外とアーバンでフュージョンチックな演奏が独特の個性。アレンジもお洒落で、この楽曲の持つポテンシャルの高さを感じ取ることが出来る。いや〜本当に懐かしい。

米国ルーツ・ミュージックの要素をそこかしこに散りばめつつ、唄う歌はシンプルなAORの先駆。実にユニークな盤だと思います。うっかりすると、この盤、明らかにAORど真ん中なアルバムと勘違いしてしまうくらい、AORの先駆的要素が散りばめられている好盤です。

 
 

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2016年9月12日 (月曜日)

レイ・パーカーって知ってる?

最近、フュージョン・ジャズの「知る人ぞ知る」好盤を捜索している。1970年代後半から1980年代半ばにかけての「フュージョン・ジャズ」の時代。有名盤はほぼ制圧したので、ちょっとマニアックな好盤、自分にとって懐かしい好盤を探しまくっている。

そんな中、このアルバムに再会した。Ray Parker, Jr. & Raydio『A Woman Needs Love』(写真左)。1981年のリリース。懐かしいなあ。大学最終年度、音楽を聴くにも、メインストリームなジャズの傍らで、ちょっと大人になって、AORやフュージョン・ジャズを好んで聴いていた。このレイ・パーカーの『A Woman Needs Love』は、そんな中の一枚。

Ray Parker Jr.(レイ・パーカー・ジュニア)は、AORフュージョン系のギタリスト兼ボーカリスト。他のピアノを弾いたり、ドラムを叩いたり、マルチ奏者としての活躍も多々ある。とにかく器用な人である。このアルバムがリリースされた当時は、エレギ奏者として人気が高く、彼独自のピッキングスタイルによるカッティングについては、当時のフュージョン・ギター小僧は、こぞってコピーしていた。

やはり冒頭の「A Woman Needs Love (Just Like You Do)」にとどめを刺すだろう。メロディからしてレイ・パーカー、エレギのカッティングもモロにレイ・パーカー、そして、ソフト&メロウなボーカルについても当然レイ・パーカーしていて、とにかく、この曲、彼の代表作としても良いだろう。この曲はR&Bチャート1位、全米4位のヒットを記録しており、当時、よくかかってましたね〜。
 

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2曲目の「It's Your Night(邦題:今夜は君のために)」の強烈なファンクネスも心地良く、3曲目「That Old Song(邦題:プリーズMr.DJ)」については、ストリングスの使い方が「クサいなあ」という感じがするんですが、コーラスワークや全体のアレンジがなかなかで、AOR+ブラコンなフュージョン・ナンバーとして、聴き込むうちに知らず知らずのうちに填まってしまう、そんな「味わいのある」楽曲です。

以降、このアルバムに収録されている曲全てが「AOR+ブラコンなフュージョン」で、そのポップ色豊かなアルバムの雰囲気は、フュージョン・ジャズの「成熟した成果のひとつ」として捉えて良いかと思います。AORでソフト&メロウでブラコンの先駆け。フュージョン・ジャズというよりは、ブラコンの先駆け的成果とした方が座りが良いかもしれません。

このレイ・パーカー・ジュニアって、1984年に映画『ゴーストバスターズ』の同名主題歌のヒットで、一躍メジャーになった。そして「ゴーストバスターズ〜」と歌っている間に、どこかへ行ってしまった感があったが、どうも、いろいろゴタゴタに巻き込まれていたらしい。

2006年には久方ぶりに、ソロアルバム『I'm Free』をリリース、2011年には、JOE SAMPLE&THE CREOLE JOE BANDの一員として来日、昨年暮れもビルボードでのライブで健在ぶりを示してくれた。まだまだ現役なレイ・パーカー・ジュニアである。

  
 

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2016年9月11日 (日曜日)

チャカ・カーンはR&Bの女王

今から約40年前、ジャズを聴き始めた頃、ジャズの合間の耳休めに「R&B系」のアルバムをよく聴いた。1970年代後半は、R&BとAORとディスコ・ミュージックの時代。どのジャンルも「ジャズの合間の耳休め」に最適だった。AORもよく聴いたが、ジャズの合間というと、やはり「R&B系」の方が違和感が無い。

あの頃は、モータウンからソウル・ミュージックから派生したR&Bのアルバムが「御用達」だった。あの頃のR&B系のアルバムは、AORの影響をほどよく受けて、旋律がメロディアスで聴き易い、ちょっとファンクネスを押さえて、ポップさを前面に押し出したアルバムが多く出た。そんな中、女性ボーカルの世界では、僕は「Chaka Khan(チャカ・カーン)」を良く聴いた。

チャカ・カーンは「R&Bの女王」。1973年、ファンクバンド・ルーファス(Rufus)のボーカルとしてデビュー。翌年のヒット曲「Tell Me Something Good」で、僕は既にチャカ・カーンの歌声に親しんでいた。その驚異的な歌唱力が凄い。ラジオを通してでも、そのチャカの歌唱力の凄さはビンビンに伝わってきた。

それから4年後、ジャズを聴き始めた1978年、チャカ・カーンのソロ・デビュー盤『Chaka』(写真左)と出会う。Rufusの活動と平行して制作された1st.盤であるが、その内容は、当時のコンテンポラリーなR&Bとして優れたものとなっていて、当時、大流行していたAOR的な雰囲気を織り込みながら、パンチのある従来のR&Bを展開している。
 

Chaka_khan

 
後にホイットニー・ヒューストンがカヴァーする「I'm Every Woman」。チャカのオリジナルに軍配が上がる。とにかく上手い。7曲目の「Some Love」も絶品。Steve Ferroneのドラミングが素晴らしく、彼のうねり粘る、R&B独特のグルーブ感に煽られて、思い切り盛り上がる。R&Bとは「かくあるべし」的な名演の数々。

そして、ジャズを聴きつつ、1981年、ソロ3作目の『What Cha' Gonna Do for Me(恋のハプニング)』(写真左)に出会う。これが当時、大のお気に入り盤で、ジャズの合間のみならず、行きつけの喫茶店で、はたまた麻雀しながら、よく聴いた。

ジャズ・スタンダード「Night In Tunisia」をモダンに再解釈した「And The Melody Still Lingers On」も小粋、冒頭のビートルズのカヴァー「We Can Work It Out」、軽くディスコ・ミュージックがかった、ファンクネス溢れる、パンチ溢れるダンス・ミュージック。収録されたどの曲も、ポジティブで明るく、弾けんばかりのチャカの歌唱が絶品である。 

チャカって1953年生まれなので、ソロ・ファースト盤の『Chaka』の時が弱冠25歳、ソロ・サード盤の『What Cha' Gonna Do for Me(恋のハプニング)』の時が27歳。バリバリのはち切れんばかりの若さで、バンバンに唄いまくるチャカが爽快です。チャカ・カーン入門盤として、この2枚はお勧めです。ジャズの合間の耳休めにどうぞ。

 
 

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