最近のトラックバック

2019年6月17日 (月曜日)

ジャズ喫茶で流したい・150

1960年代の終わり、マイルス・デイヴィスが創造したエレクトリック・ジャズ。今の耳で聴けば、旧来の純ジャズと新しいエレクトリック・ジャズとのバランスが絶妙。今の耳にも古さをあまり感じさせない所以である。最近のエレクトリック・ジャズは、全てが現在の新しい響きのみが満ちていて、旧来のジャズの要素の欠片もない。そういう意味では、旧来からの大ベテランのジャズ者の方々からすると馴染めないものかもしれない。
 
Gilad Hekselman『Further Chaos』(写真左)。今年5月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gilad Hekselman (g, b), Rick Rosato (b), Jonathan Pinson (ds) の「gHex Trio」と Gilad Hekselman (g, b), Aaron Parks (syn,rhodes, p), Kush Abadey (ds) の「ZuperOctave」の2セットの使い分け。リーダーの「ギラッド・ヘクセルマン」は、イスラエル生まれ、NYでの活動がメイン、現在、注目を集めるジャズ・ギタリストの一人である。
 
少しノイジーで芯のあるエレギの音が個性。テクニックは抜群、アドリブ・フレーズはちょっとエスニックで流麗。くすんだエレギの音が独特な、どこか「パット・メセニー」を感じさせる音世界。僕はこのヘクセルマンのエレギが大好きだ。この新盤は全編トータルで40分程度。いわゆるCDサイズの「EP」になる。が、元々、40年ほど前、LP全盛の時代、LPの全編トータルの所要時間は40〜45分程度だったので、このCD-EP盤のトータル40分程度って、馴染みがあって違和感は無い。
 
 
Futher-chaos-gilad-hekselman  
 
 
このアルバムは、リズム&ビートを重要視しているようで、リズム&ビートに新しい響きが充満している。ジャズの命のひとつである「リズム&ビート」。この{リズム&ビート」に相当なレベルの意識を集中していることが聴いていて良く判る。この最新の響きを宿した「リズム&ビート」に乗って、ヘクセルマンのギターが乱舞する。限りなく自由度の高い、整ったフリー・ジャズの様な自由なフレーズの連続。
 
明かな新しい現代の「エレクトリック・ジャズ」である。自作曲はどれも秀逸な内容。これだけ個性の強いギターでありバンドである。自作曲が一番その個性が活きる。個性が手に取るように判る自作曲は楽しい。しかし、この2曲の存在にはビックリした。Weather Reportでのジャコの名演で名高い「Teen Town」のカヴァーが秀逸。エレクトリック・ジャズの楽しさが伝わってくる。
 
そしてラストの「Body and Soul」。この有名なジャズ・スタンダード曲が「ギラッド・ヘクセルマン」の手にかかると、こんなにコンテンポラリーで先鋭的な響きを持つ、現代のエレジャズ曲に変身するとは。驚きである。僅か40分のEPであるが、その内容の濃さはフルサイズのCDアルバムを凌駕する。現代の最先端を行く「エレギがメインのエレクトリック・ジャズ」。いやはや、素晴らしい新盤が出たもんだ。
 
 
 
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年5月17日 (金曜日)

東欧~中東的旋律が更に濃厚

現代のNYのジャズのトレンドの1つに「イスラエル出身のジャズ・ミュージシャンの台頭」がある。イスラエル・ジャズは、老舗本国の米国、欧州について、新たなジャズの聖地になる位の勢いでメジャーな存在になってきている。もはや、イスラエル発のジャズは無視出来ない存在になってきている。
 
イスラエル・ジャズの特徴はと言えば、ネットを紐解くと「イスラエル、ジューイッシュ(ユダヤ)の哀愁を帯びたフレーズやメロディ、または近隣アラブ諸国〜北アフリカ地域の音楽的要素なども取り入れられており、結果生成された今までにないハイブリッドなジャズ・サウンドが特徴」とある。

Omer Avital『Qantar』(写真左)。昨年8月のリリース。ちなみにパーソネルは、Omer Avital (b), Eden Ladin (p, key), Ofri Nehemya (ds), Alexander Levin (ts), Asaf Yuria (ss, ts)。アヴィシャイ・コーエンと並びイスラエル出身2大ベーシストと称されるオメル・アヴィタルの最新作。同郷の盟友たちで結成された新ユニット「オメル・アヴィタル・カンター」のお披露目盤である。
 
 
Qantar-omer-avital  
 
 
2管フロントが映える、冒頭の「One Man’s Light Is Another Man’s Night」の疾走感。旋律の美しさが際立つ5曲目の「Beauty and the Beast」。アヴィタルの必殺ウォーキング・ベースが炸裂する、ラストの「Know What I Mean?!」。バンドメンバー、それぞれの演奏が抜群に上手い。その充実度合いは、聴き始めたら最後まで一気に聴き通してしまう位。
 
中でも、やはり、リーダーのアヴィタルのベースが素晴らしい。伝統を踏まえた、胴鳴りを伴った、鋼がしなるが如く響く弦の重低音。安定したビート。安定したピッチ。見事なジャズ・ベースである。このアヴィタルのベースが東欧~中東的旋律にグルーヴ感を与えている。エキゾチックなグルーヴ感。イスラエル・ジャズの面目躍如。
 
東欧~中東的旋律については更に濃厚になっている。全編、東欧~中東的旋律で埋められている、と言っても過言では無い内容。東欧から中東的旋律が好きなジャズ者にとっては堪らない内容になっている。いわゆる「中近東的エキゾチックな雰囲気」満載な好盤。イスラエル・ジャズ以外、他にありそうでない「東欧~中東的旋律が満載」のコンテンポラリーな純ジャズ。良いアルバムです。
 
 
 
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2019年3月23日 (土曜日)

ジャズ喫茶で流したい・143

久し振りに良い雰囲気のジャズ・ギターを聴いた気がする。Gilad Hekselman(ギラッド・ヘクセルマン)。ヘクセルマンはイスラエル出身のジャズギタリスト。今、NYで最も注目される若手ギタリストの一人。情緒豊かでネイチャー風、少し捻れていてエキゾチック。今までの米国のジャズ・ギターには無い個性である。
  
現代のNYのジャズのトレンドの1つに「イスラエル出身のジャズ・ミュージシャンの台頭」がある。アヴィシャイ・コーエン(Avishai Cohen)、オマー・アヴィタル(Omer Avital)、エリ・デジブリ(Eli Degibri)、オズ・ノイ(Oz Noy)、サム・ヤエル(Sam Yahel)等々、優れた新しい個性のジャズメンがどんどん出てきた。今回のギラッド・ヘクセルマンもそんな中の一人である。
  
Gilad Hekselman『Ask for Chaos』(写真左)。昨年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Gilad Hekselman (g)をメインに、Rick Rosato (b), Jonathan Pinson (ds) ="gHex Trio"と、Aaron Parks (p,keys), Kush Abadeyb (ds, pads)="ZuperOctave" の2つのユニットを曲によって使い分けている。
  
 
Ask-for-chaos-1

  
ヘクセルマンが自分のレーベルを立ち上げ、リリースした意欲作、3年振り、6作目のリーダー盤である。この最新盤は自らのレーベルからのリリースである。自分の表現したいジャズを存分に展開している様に感じる。彼のエレギの音を聴いての印象は「パット・メセニーとジョンスコを足して2で割った様な」個性に、端正なアドリブ・フレーズとほんのり明るく「くすんだ」トーン。
  
2つのユニットの使い分けが功を奏している。"gHex Trio"の演奏はシンプルで瑞々しく豊かな色彩感と情緒豊かでネイチャー風。心地良い透明感溢れる演奏は明らかに新しいイメージ。"ZuperOctave"での演奏は先鋭的な、現代ジャズの最先端な切れ味の良い演奏が展開される。ヘクセルマンは切れ味良く、少し捻れた浮遊感溢れるギターを弾きまくる。しかし、この2つの全く異なる個性的な演奏をヘクセルマンのギターがしっかりと統括する。 
 
2つのユニットの混在でありながら、アルバム全体に溢れる統一感。ECMレーベルの音世界に通じるものはあるが、欧州ジャズのウェット感は皆無で、乾いたクリスタルなトーンは新しい米国のコンテンポラリー・ジャズの音世界を感じる。ヘクセルマンのお陰で、久し振りに新しいジャズ・ギターに出会った気分。現在、僕がカート・ローゼンウィンケルと併せて、興味を持って聴いている、お気に入りのギタリストです。
 
 
 
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2016年7月 8日 (金曜日)

イスラエル・ジャズのベーシスト

最近、イスラエル・ジャズに遭遇する機会が多い。イスラエル・ジャズは、老舗本国の米国、欧州について、新たなジャズの聖地になる位の勢いでメジャーな存在になってきている。もはや、イスラエル発のジャズは無視出来ない存在になってきている。

イスラエル・ジャズの特徴はと言えば、ネットを紐解くと「イスラエル、ジューイッシュ(ユダヤ)の哀愁を帯びたフレーズやメロディ、または近隣アラブ諸国〜北アフリカ地域の音楽的要素なども取り入れられており、結果生成された今までにないハイブリッドなジャズ・サウンドが特徴」とある。

今回、出会ったイスラエル・ジャズのアルバムがこれ。Omer Avital『Abutbul Music』(写真左)。現代ジャズ・ベース界においてカリスマ的存在とも言えるOmer Avital(オメル・アヴィタル)の今年の最新アルバム。ちなみにパーソネルは、Omer Avital (b), Yonathan Avishai (p), Asaf Yuria (ts,ss), Alexander Levin (ts), Ofri Nehemya (ds)。イスラエル・ジャズの精鋭が中心。

ピアノの盟友Yonathan Avishai(ヨナタン・アヴィシャイ)をはじめ、テナーのアレキサンダー・レヴィン、アサフ・ユリア(ts,ss)、そして、ドラムのオフリ・ネヘミヤという、オメルの顔なじみのメンバーによるセッション。リラックスして良くこなれた演奏がこのアルバムに詰まっている。
 

Abutbul_music1

 
しかしながら、レコーディングという観点では、ヨナタン・アヴィシャイ以外とは初の機会となる。ちなみに、年下の若きレヴィン、オフリの2人を参入させるところなどは、オメルの次世代を育てる義務の様な「矜持」を感じる。こういう「矜持」がイスラエル・ジャズの底辺を支え、隆盛への大きな推進力となるんだろう。

アルバム全編に渡って躍動するリズム&ビートはファンクネスとは全く皆無。イスラエル・ジャズ独特の乾いてテクニカルなリズム&ビートなのが顕著な個性。アドリブ・フレーズは、欧州のストイックなバップ・フレーズを想起させるが、そんなストイックな旋律の中に、そこはかとない中近東の哀愁感を帯びたトーンが見え隠れするところが実に個性的である。

アラブ・フォーク、イエメン・ブルース、マグレブ、さらにはゴスペル、ソウル、ファンクなど様々なエッセンスを散りばめた音世界の多彩さがこのアルバムの特徴である。次世代のジャズの音世界のプロトタイプがこのアルバムに詰まっている、そんな感覚が良い。聴いていて、とてもワクワクする。

イスラエル・ジャズを体感するのに「うってつけ」のアルバムです。ジャズ・ベースの教則本としても成立する、ジャズ・ベースとしてのテクニックもかなり高度。聴き応え満載の好盤です。

 
 

震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2016年6月16日 (木曜日)

期待の女性マルチ・リード奏者

僕はこの盤を聴いて、この人のクラリネットのプレイに魅せられた。コーエン3兄弟(クラリネット・テナーサックス奏者の妹アナットとソプラノ・サックス奏者の弟ユヴァル)の長女。テナーも良い。こんな女性サックス&クラリネット奏者がいたんや、とびっくりポン。

そんな彼女の新作。Anat Cohen『Luminosa』(写真左)。邦題「プレイズ・ブラジル」。判り易くて良い。ズバリ、アナット・コーエンの最新作のテーマは「ブラジル」。加えて、マルチ・リード奏者としての才能全開。

オープニングの「Lilia」はウエイン・ショーターの『ネイティヴ・ダンサー』でも共演したミルトン・ナシメントの傑作。アナット・コーエンは、ミルトン・ナシメントのヴォイスに魅了され崇敬しているという。冒頭にこの「Lilia」を持ってくるなんて、なんて素晴らしい選曲なんだろう。

加えて、リオ・デ・ジャネイロ出身のベテラン・ギタリスト、ホメロ・ルバンボをフィーチャーしている。このルバンボのギターとアナットのクラリネットの絡みが絶妙で、聴いていてとても心地良い。「ああ、ブラジルやなあ」と感じます。良い雰囲気です。
 

Luminosa1

 
しっかりとメインストリーム・ジャズの本質を押さえつつ、ワールド・ミュージックやコンテンポラリーな音楽との融合にもチャレンジする、アナット・コーエンのチャレンジ精神は、このアルバムでは良い方向に作用しています。

アナット・コーエンはイスラエル出身。テルアビブの音楽一家に育ち、1990年代に米国に移住したことをきっかけとして、優れたマルチ・リード奏者がまた一人、現れ出でた。イスラエルには、本当にたくさんの才能があるんやなあ、と改めて感心しました。

このアルバム・ジャケットを初めて見た時は、新人女性ジャズ・ミュージシャンのスムース・ジャズの類かと、ちょっと敬遠しました。このポップで淡いパステルチックなイラストやもんな〜。このジャケットは誤解され易いですね。でも、中に詰まっている音世界を上手く表現しています。

しっかりとこの盤に詰まっている音に耳を傾ければ、本場ニューヨークのジャズファンから「現代最高のクラシカル・ジャズ伝道者」と称賛されているのにも納得がいく。もっと彼女のアルバムを聴かなければ、そう思わせてくれる好盤です。

 
 

震災から5年3ヶ月。決して忘れない。まだ5年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2016年6月 5日 (日曜日)

以色列の新進気鋭のギタリスト

最近、イスラエル(以色列)・ジャズに遭遇する機会が増えてきた。なんでも、新たなジャズの聖地になるのでは、くらいの勢いでメジャーな存在になってきていて、今、イスラエル初のジャズは無視出来ない存在になってきた。

特徴はと言えば、ネットを紐解くと「イスラエル、ジューイッシュ(ユダヤ)の哀愁を帯びたフレーズやメロディ、または近隣アラブ諸国〜北アフリカ地域の音楽的要素なども取り入れられており、結果生成された今までにないハイブリッドなジャズ・サウンドが特徴」とある。

僕が一番始めに出会ったイスラエル出身のジャズメンは、ベーシストのアヴィシャイ・コーエン。1997年から2003年までチック・コリア&オリジンのベーシストとして活躍、一躍メジャーな存在となりました。それからちょっと時間が空いて、ギタリストのオズ・ノイかな。ピアニストのヤロン・ヘルマンは、僕にとっての最近の注目株です。
 

Jonathan_levy_yonatan

 
そして、今回、遭遇したのが、ギタリストの「ジョナサン・レヴィー」。Apple Musicの新着ミュージックを眺めていて、おっこれは、ということで聴き始めました。今回、聴いたアルバムが、Jonathan Levy『YONATAN』(写真左)。2016年4月のリリース。Shai Mastro (p), Jordan Perlson (ds) との新進気鋭のトリオ。

どこまでも限りなく、幻想的なサウンドスケープが広がる風景画の様な音世界。リリカルに印象的にアコギの音が響きます。ビル・フリゼールのカントリー調のギターの響きに一種通じる様な雰囲気もあって、なかなか聴かせてくれます。僕が勝手に名付けている「ネイチャー・ジャズ」な雰囲気、米国の山岳地域や穀倉地帯に広がる米国の原風景的なフォーキーな音世界。 

ストレス・フリーで心穏やかにさせてくれる、リリカルでフォーキーな音世界は、純ジャズというよりはスムース・ジャズに近い。緩やかでポップ、そして印象的な旋律の展開はイスラエル・ジャズ独特の音世界でしょう。好盤。今年の注目盤の一枚です。

 
 

震災から5年2ヶ月。決して忘れない。まだ5年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2016年4月10日 (日曜日)

アヴィシャイの表現形式の原点

こういうアルバムがポロっと出てくるのだから、ジャズって隅に置けない。典型的なコンテンポラリーな純ジャズである。全くもってシンプルな、ピアノ・トリオな編成。この最小ユニットで奏でるジャズが、これまた豊かな内容を届けてくれるのだから、ジャズって面白い。

そのアルバムとは、Avishai Cohen『From Darkness』(写真左)。2014年5月〜6月の録音。リリースは2015年1月。ちなみにパーソネルは、Avishai Cohen (b), Nitai Hershkovits (p), Daniel Dor (ds)。現在のジャズ・シーンの中、イスラエル出身のベースのキーマンの一人、アヴィシャイ・コーエンの新盤である。

この『From Darkness』で、アヴィシャイは自身の音楽的表現形式と活動の原点に還ったという。アヴィシャイはこう語る。「新しく、また新鮮で、信じられないほどしっかりとした形をトリオで成し遂げられる感触があった」。そしてトリオ間でのケミストリーについて「こうして、3人が1つになった」と表現している。
 
つまりは、この最新のピアノ・トリオ盤は、アヴィシャイ・コーエンにとっての「表現形式の原点」を確認する盤であり、アヴィシャイが考える「ジャズにおける演奏活動の基本となるユニット」での演奏ということになる。
 

From_darkness

 
このアルバムを聴いて、なるほどなあ、と納得する。シンプルなトリオ編成で奏でるジャズ演奏に音楽的表現形式の原点がある、とは良い表現やなあ、と感心する。豊かで密なサウンド、そして新たなアイディアを織り交ぜ、とても充実したピアノ・トリオ演奏が展開される。

アヴィシャイのベースがその創造性をコントロールしていることは言うまでも無い。ベースのリーダーがアルバムの演奏全体の展開と雰囲気を整え、コントロールする。ベースがリーダーのアルバムの醍醐味のひとつである。

ユニゾン&ハーモニー、リズム&ビート、それぞれの明暗、伸張、緩急、難易を演奏展開のそれぞれの場面で、適切に判断し、適切に適応する。アヴィシャイのコマーシャルな面である「イスラエル感、中東感」が希薄なので、それを期待するジャズ者の方々には全く持って、不完全燃焼なアルバムかもしれませんね。

しかしながら、アヴィシャイの考える「典型的なコンテンポラリーな純ジャズ」がギッシリと詰まったアルバムだと解釈すると、十分に「近頃のアヴィシャイ」を感じ取れる好盤だと思います。 

 

震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2012年7月19日 (木曜日)

ジャズとイスラエルの旋律の融合

ベーシストのリーダー作。ベーシストのリーダー作として、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立した、素晴らしい成果が結集したアルバムが一番。

さて、最近のベーシストのリーダー作で優れものはあるのか。もともとジャズ・ベーシストの数は少ない。そんな数少ないベーシストの中で、優れたリーダー作を輩出する、ベーシストのリーダー作として、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立した、素晴らしい成果が結集した成果をコンスタントにリリースするベーシストはいるのか。

アビシャイ・コーエン(Avishai Cohen)というベーシストがいる。僕は、チック・コリア&オリジンのベーシストとしてその名を知った。超絶技巧なテクニックと歌心溢れるフレーズ。そして野太く軽快に震えるベース。1970年4月イスラエル生まれ。1992年、再渡米し、ニューヨークで音楽活動を開始、ウィントン・マルサリスなどと共演。その名を有名にしたのは、先に述べた、チック・コリア&オリジンのベーシストとしてである。

そんなアビシャイ・コーエンの最近のリーダー作として秀逸な出来の盤が『Continuo』(写真左)。このアルバムの音世界は、アビシャイの特徴であるジャズとイスラエルの旋律の融合。ジャズらしからぬ、摩訶不思議な浮遊感のあるフレーズ。それがイスラエルの旋律と理解出来るまでに暫く時間がかかった。イスラエルの旋律に関しては不勉強だった。
 

Avishai_continuo

 
ダイレクトのその良さが伝わる、人間味のある暖かなベースのフレーズが全編に渡って堪能できる。アビシャイのベーシストとしてのテクニックは凄い。しかし、そんな超絶技巧なテクニックを凌駕する、アビシャイのベースの歌心。リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくアビシャイの才能を十二分に感じる。

ちなみにパーソネルは、Avishai Cohen (b,el-b), Sam Barsh (p), Mark Guiliana (ds,perc), Amos Hoffman (oud)。2005年12月の録音。パーソネルを見渡しても、アビシャイ・コーエン以外、知っているミュージシャンはいない。不明を恥じるばかり。加えて、ウード(oud)という楽器が珍しい。ウードは、リュート属に分類される撥弦楽器。プレクトラムを用いて演奏する。中東から(アラビア、イラクなど)北アフリカのモロッコにかけてのアラブ音楽文化圏で使われる(Wikipediaより抜粋)。

全編に渡って、アビシャイのベース・テクニックが堪能出来る。そして、オードの存在が効いた、中東な響き、そしてイスラエルな旋律。現役の中堅ベーシストとして、このアビシャイ・コーエンのリーダー作としての成果は、もっと評価されて然るべきだろう。

ジャズ・ベーシストのリーダー作としては、やはり、リーダーとして自分の音世界をプロデューサーの様に創造していくケースと、ベーシストとしてその超絶技巧なテクニックを全面的に押し出すケース、その両方が両立したものが一番。そういう意味で、このアビシャイ・コーエンの『Continuo』はポイントがかなり高い。良いアルバムです。 

 
 

大震災から1年が過ぎた。決して忘れない。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力しよう。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

その他のカテゴリー

AOR CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pops R&B rock SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio Yellow Magic Orchestra こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・ブレイキー アート・ペッパー イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディド・レーベル キング・クリムゾン キース・ジャレット ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスマスにピッタリの盤 クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サザンロック サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・レノン ジョージ・ハリソン ジョー・ヘンダーソン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スピリチュアル・ジャズ セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チック・コリア チャールズ・ミンガス チューリップ テテ・モントリュー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ハンク・ジョーンズ ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バリトン・サックス パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビル・エバンス ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルーノート ブレッカー・ブラザース プレスティッジ・レーベル プログレッシブ・ロックの名盤 ベニー・ゴルソン ベーシストのリーダー作 ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット モード・ジャズ ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リトル・フィート リバーサイド・レーベル リンダ・ロンシュタット リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ヴィーナス・レコード 上原ひろみ 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 夜の静寂にクールなジャズ 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 尾崎亜美 山下達郎 山中千尋 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 欧州ジャズ 歌謡ロック 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ