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2018年7月22日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・33

ジャズのアルバムについては、毎月、コンスタントに新盤がリリースされている。そんな中で、ジャズ・スタンダード曲だけを演奏する企画盤は、基本的に「志が低い」とされる。特に、有名な「どスタンダード」と言われる曲ばかりを演奏するジャズメンのアルバムは、ジャズ者中堅〜ベテラン筋から、基本的に敬遠される傾向にある。

余りに皆が知っている「どスタンダード曲」で固めた曲は、いかにもジャズ者初心者若しくは、ジャズについては全く素人向けのアルバムに感じてしまい、ジャズをある程度聴き込んで来た、ジャズ者中堅〜ベテランの方々については「今更、こんな初心者向けのアルバムなんて聴けるかい」ってな感じで、聴かず嫌い風に敬遠してしまうのだ。

New York Standards Quartet『Sleight of Hand』(写真左)。2017年5月のリリース。New York Standards Quartet(以降、略して「NYSQ」)のサード盤。ちなみにパーソネルは、Tim Armacost (ts, ss), David Berkman (p), Daiki Yasukagawa (b), Gene Jackson (ds)。サックスがフロントのオーソドックスなカルテット構成。
 

Nysq_sleight_of_hand  

 
NYJQはグループ名の通り、ジャズ・スタンダード曲を演奏する「企画型のカルテット」。このカルテットがガンガンにジャズ・スタンダード曲を次々と演奏しまくるのだから、聴く前から思わず敬遠気味になってしまう。しかし、ジャズ・スタンダード曲ばかりを弾きまくる企画型グループの先駆としては、キース・ジャレットの「スタンダーズ・トリオ」があって、これが我が国でも絶賛され続けているのだから、NYJQを無視する訳にはいかないなあ、と思うのだ。

端正なアレンジと演奏が良い感じ。昔の企画型スタンダード演奏グループは幾つかに聴かれた「カクテル風ジャズ」に陥らず、しっかりとメインストリーム・ジャズしつつ、ジャズ・スタンダード曲の原曲を、キースの様に思い切りデフォルメすること無く、原曲のイメージをしっかりと残しながら、今のジャズのネオ・ハードバップ風のアプローチや響きを織り込む展開は意外と聴き応えがある。

日本人ベーシスト、安ヵ川大樹も良い音だしている。メンバーそれぞれ、良い音を出していて、この盤、メインストリームな純ジャズとして、ネオ・ハードバップな好盤として、十分に鑑賞に耐える。どこかで聴いたことのあるフレーズ満載の「どスタンダード曲」がメインなので、「ながら聴き」に最適。今年の酷暑に、エアコンの効いた部屋の中での「ながら聴き」が、意外と涼を呼んで良い感じである。

 
 
 
 

東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年4月21日 (土曜日)

ながら聴きのジャズも良い・32

このところ、なんとなく朝夕、ヒンヤリとするなあ、と思っていたら、いきなり25度超えの夏日である。まだ4月の半ば過ぎだというのに夏日とは何事か。それでも、朝はまとまった風が吹いて、ウィンドブレーカーは必要だったので、昼前からの温度の上昇は体にこたえる。案の定、午後からダウン。しばらく伏せっていた。

これだけ、いきなり気温が上がると、音楽鑑賞どころでは無くなる。とにかく、この不意打ち的な気温の上昇で気が散って仕方が無い。難解な純ジャズはどうにもいけない。こういう時は、爽快で明快なフュージョン・ジャズが良い。単純に、難しいことを考えずに、音の躍動感、音の流麗さ、音のメリハリを気軽に楽しむ。フュージョン・ジャズはそういう切り口に良く合う。

Yellowjackets『The Spin』(写真)。1989年のリリース。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Jimmy Haslip (b), Marc Russo (sax), Will Kennedy (ds, perc)。あれ、ギターがいない。もともと、ロベン・フォードのギターとラッセル・フェランテのキーボードの2フロントがウリのバンドだったはずなんだが。
 

The_spin

 
この時代のイエロージャケッツは、キーボードが中心のバンドに変身している。しかも、このアルバムでは、ドラマーが交代したことによって、バンドの音がしなやか、かつジャジーになり、良好なフュージョン・サウンドに立ち返っているのだ。加えて、バンドの音がしなやかになることによって、打ち込みのリズム&ビートも耳につかなくなったのだがら面白い。

ジャジーになったとは言え、サウンドはメインストリームなエレ・ジャズなサウンド。ラッセル・フェランテのキーボードが後ろにドッカリと控えてつつ、マーク・ルッソのサックスやジミー・ハスリップのベースが目だっているところは、ウェザー・リポート後期のサウンドを彷彿とさせる。疾走感溢れ、爽快で明快なフュージョン・サウンドである。

他のバンド共々、1980年代のデジタルの波に翻弄されたイエロージャケッツではあったが、ジャジーなドラマーを据えることで、良い方向でデジタル録音、デジタル楽器の「難点」をクリアした。その最初の成果がこの『The Spin』である。爽快で明快、かつ流麗なフュージョン・ジャズな大人ので、ながら聴きに最適です。実際、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、お勧めの「ながら聴き」盤の一枚です。

 
 

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2018年4月 3日 (火曜日)

ネオ・ハードバップの良い一例

ハードバップが流行したのは1950年代。1960年代前半には、ハードバップが分岐して、アーティスティックなモード奏法や、ポップなファンキー・ジャズやソウル・ジャズに発展。その後、一旦は、クロスオーバー&フュージョン・ジャズに席巻されたが、1980年代後半、純ジャズ復古の大号令と共に、ハードバップが復権。

1980年代後半、マイルスは、若手ミュージシャンの一部が「ハードバップ」の焼き直しに熱中する様を見て、「昔、自分たちがやり尽くしたハードバップを焼き直して何が面白いのか」とその保守性を揶揄した。確かに純ジャズ復古の初期の頃は、ハードバップのコピー、焼き直しな演奏が多く、今の耳で聴けば、確かに保守的やなあ、と感じるものが多かった。

しかし、21世紀に入って、純ジャズ復古でハードバップを知った世代が、若手ジャズメンとして活躍する環境になって、その「ハードバップ」は深化する様になった。アプローチや展開、アレンジ、奏法などに工夫を施し、ハードバップではあるが、新しい「何か」を宿した「ネオ・ハードバップ」な演奏がコンスタントにリリースされる様になった。
 

Walk_the_walk  

 
Eric Siereveld's Organic Quintet『Walk the Walk』(写真左)。2018年2月のリリース。ちなみにパーソネルは、Eric Siereveld (tp), Tony Barba (ts), Jonathan Kreisberg (g), Steve Snyder (hammond b3 organ), Mitch Shiner (ds)。 アルバム・タイトルを見ると、ギターのJonathan Kreisbergをフィーチャーしている。冒頭の「The Last Innovator」から、立派な内容のハードバップな演奏である。

リーダーのトランペッター Eric Siereveldは端正で明朗なブロウで魅了する。本当に素敵に鳴るトランペットだ。演奏のスタイルは明らかに「ハードバップ」。しかし、1950年代のハードバップでは無い。明らかに深化した「ハードバップ」な響きに耳を奪われる。効果的に織り込まれる Jonathan KreisbergのギターとSteve Snyder のオルガン。

ギターとオルガンが織り込まれたからといって、演奏の雰囲気は決して「ファンキー・ジャズ」にならないところが、この盤の演奏の理知的なところ。そんな理知的なハードバップは、21世紀の新しいジャズの響きに満ちている。対峙して聴き込むも良し、何かしながらの「ながら聴き」にも良し。この盤の演奏こそが「ネオ・ハードバップ」の良い一例だろう。

 
 

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2018年3月28日 (水曜日)

山崎千裕のソロ・セカンド盤

ここ2〜3年の、最近の日本のジャズを聴いている。ジャズって、マイナーな音楽ジャンルだと思っているので、毎月毎月、日本のジャズの世界で、新人が出てくるのにはちょっと当惑する。その新人ジャズメンが食べていけるだけの需要が、今の日本にあるのか、と思わず心配になる。CDの売上やライブの売上、そんなにあるのかなあ。

加えて、このマイナーな音楽ジャンルで、かつ、ほとんどが男性で占められるマニアな音楽ジャンルなのに、数年に一人は「かわい子ちゃん」なミュージシャンがデビューする。これがとっても不思議で、男性で占められるマニアな世界だから、アイドルっぽい女性ジャズ・ミュージシャンはウケる、とレコード会社は考えているのだろうか。

山崎千裕『Sweet thing』(写真左)。2017年の作品になる。アルバム・ジャケットを見てみるとお判りの様に、ピンク地の背景をバックに、これは完全にアイドル路線まっしぐら、である(笑)。これは硬派なジャズ者に方々、特に年配の方々がCDショップで直接購入するにはハードルが高い。僕もそうで、ダウンロードサイトがあって良かったなあ、とつくづく思ったものである(笑)。
 

Sweet_thing  

 
この盤は、山崎千裕のソロセカンドアルバムになる。山崎千裕はトランペッター。東京芸大卒。2010年、自身のバンド山崎千裕+ROUTE14bandを立ち上げ、本格デビュー。女性トランペッターではあるが、音はしっかりしている。当然、音の大きさについては割り引いても、無理をしない演奏テクニックとふらつきの無いブロウは聴き易く、好感が持てる。ん〜、なかなかやるやん、って感じかな。

スタンダード曲を持って来て、従来のモードやコードの純ジャズをやって、ハードバップって良いですね、なんて演奏をせず、自作曲を中心に、演奏全体のアレンジも、ありきたりのハードバップ基調ではない、どちらかといえば、パット・メセニーなどの、ファンクネス皆無のフォーキーでネーチャーな、米国ルーツ・ミュージック的な雰囲気。これが今までにありそうで無い、なかなかユニークなもの。

演奏全体のアレンジと雰囲気が今までに無い、個性豊かなもので、それが故に、インストものが実に聴きやすく印象的に響く。爽快感と暖かみのある音作りは聴き心地が良く、意外と飽きずに全編を聴き通してしまう。春のジャズ喫茶の昼下がりにさりげなく流す、なんてシチュエーションが思い浮かぶ様な、ながら聴きに好適な盤である。

 
 

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2018年3月27日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・31

最近の日本ジャズのトレンドのひとつが「クラブ・ジャズ」。いわゆる「クールに踊れるジャズ」、クールに踊れることを前提に創作されたジャズである。ネットで上げられていた「クラブ・ジャズ」の解釈が秀逸なので、ここで引用させていただくと、踊らせること、クラブでDJによってプレイされることを目的として作られた「ダンスミュージック」とある。とても判り易い解釈だ。

H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』(写真左)。今年の3月のリリース。リリースしたてのホヤホヤ、H ZETTORIOの通算4枚目のオリジナル・アルバムである。H ZETTRIO=エイチゼットリオ、と読む。純日本のジャズ・ピアノ・トリオ。メンバー3名は、鼻を青・赤・銀に着色。ちなみにパーソネルは、H ZETT M (p), H ZETT NIRE (b), H ZETT KOU (ds)。リアルな姓名は伏せられている。

H ZETTRIOは「大人も子どもも“笑って踊れる”」をテーマに掲げるピアノトリオ・バンドである。この最新盤でもそのポリシーが踏襲されている。とにかくトリオのメンバーそれぞれのテクニックが秀逸。「笑って踊れる」部分をファンキーなリズム&ビートに頼ったりはしない。H ZETTRIOの演奏は「笑って踊れる」をテーマにしながら、ファンクネスは全く皆無。疾走感溢れる、パルシヴなオフビートがダンサフルを引き出す。
 

Mysterious_superheroe  

 
演奏の雰囲気はポップでジャジー。ダンサフルで明朗なサウンド・トーン。シンプルで判り易い。リズム&ビートも判り易いし、メロディー・ラインも判り易い。判り易いということは「ノリ易い」。さらに、メロディー・ラインはポジティヴ。ポジティヴだからこそ「笑って踊れる」。とても良く練られた演奏コンセプトである。

アルバムに収録されている楽曲は、それぞれ、ちょっと「ミステリアス」な雰囲気が加味されていることが、この盤の「ミソ」。一曲一曲、対峙して聴き込むのでは無く、そのシンプルでノリの良い、ハイテクニックでポジティヴな演奏は「ながら聴き」に最適。「大人も子どもも“笑って踊れる”」演奏は「ながら聴き」にも向く。

先週の週末から、いきなり暖かくなった。すっかり春である。春の暖かな晴れた午後。ゆったりホッコリのんびり。こういう時間は聴き流しのジャズが良い。あまり、ガッチガチに相対する様な、聴き込む様なジャズは疲れる。ゆったりと気持ちを休ませるには「聴き流し」のジャズが良い。今の僕にとっては、H ZETTRIO『Mysterious Superheroes』は、ゆったり「聴き流しのジャズ」。

 
 

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2018年2月27日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・30

元来、勉強したり、仕事をしたりする時、音楽が無いと駄目なタイプである。いわゆる「ながら族」である。中学時代から、勉強に音楽とラジオ放送は欠かせない。夜、晩ご飯を食べたら、カセットテレコで音楽を聴きながら勉強。夜11時からは深夜放送タイムに突入。ず〜っと「ながら勉強」。これは大学卒業まで続く。筋金入りの「ながら族」である。

さすがに社会人になって、会社で仕事をする時は音楽は「御法度」。しかし、頭の中では音楽が流れており、ノってくると鼻歌を歌いながら仕事をして、よく上司から怒られた(笑)。で、「ながら聴き」にはジャズが良い。それも端正な純ジャズか、端正なフュージョンが良い。途中、ブレイクしたりフリーに走ったりするやつは駄目だ。気が散る。かっちり端正なやつが良い。

Jim Rotondi『The Move』(写真左)。2009年11月10日の録音。パーソネルは、Jim Rotondi (tp, flh), Ralph Bowen (ts), Mike DeRubbo (as), David Hazeltine (p), John Webber (b), Joe Farnsworth (ds)。なんだか「One For All」に似てるなあ、と思ったら、パーソネルを見たら、Jim Rotondi, David Hazeltine, Joe Farnsworth の3人が「One For All」出身でした。
 

The_move_1

 
実に清々しいほどに端正な純ジャズである。兎にも角にも破綻が全く無い。楽器も素敵に良く鳴っている。特に、リーダーのジム・ロトンディのトランペットが凄く良い音で鳴っている。芳しきブラスの響き。スッと伸びたハイトーン。聴いていて凄く気持ちが良くなる、端正で堅実で素直な伸びのあるハードバップである。リズム・セクションもクールで躍動感溢れる極上なもの。

9曲中5曲がメンバーのオリジナルもなかなか良い出来だが、残り4曲のスタンダード曲及びジャズメン・オリジナル曲の出来が更に良い。アレンジも洗練されていて、淀みの無い流麗なハードバップ。しかし、1950年代のハードバップでは無い。洗練され深化した現代のハードバップである。ビートもしっかりと効いていて、聴いていて、とてもとても心地良い。

午前中から午後、日の高い間の「ながら聴き」のジャズはトランペットがメインのハードバップが良い。サックスであればアルト・サックスだ。夕暮れ時から夜にかけては、やっぱりムーディーなテナー・サックスがメインのハードバップが良い。「ながら聴き」にはジャズが良い。それも端正なハードバップが良い。ジム・ロトンディの『ザ・ムーヴ』。ながら聴きに最適な好盤である。

 
 

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2018年2月21日 (水曜日)

ながら聴きのジャズも良い・29

Impulse!レーベルって、結構、当時の一流ジャズメンのリーダー作をワンショットで作っている。カタログを見渡してみると、複数枚をリリースする一流ジャズメンは少数派。それでも、なかなか魅力的な一流ジャズメンのリーダー作がワンショットでカタログに載っているので、一度は聴いてみたくなる。

『The Incredible Kai Winding Trombones』(写真左)。1960年11月17日、21日、23日&12月13日の録音。リーダーのカイ・ウィンディングは、1950年代のハードバップの時代、J・J・ジョンソンと組んで(通称J&K)、トロンボーン二重奏による一連の録音で一躍、メジャーな存在となったトロンボーン奏者。

この盤ではパーソネルを見渡せば判るが、カイのトロンボーンをベースに、もう一本トロンボーン、そして、バス・トロンボーンを足して、計トロンボーン3本にて、実に粋で洒落たトロンボーン・アンサンブルを聴かせてくれる。プロデューサーは、後のフュージョン・ジャズの仕掛け人として有名になった「クリード・テイラー」。さすが、聴き心地満点のトロンボーン・ジャズである。
 

The_incredible_kai_winding_trombone

 
収録曲も良い選曲で、「Speak Low」「Lil Darlin」「Love Walked In」「Black Coffee」「Bye Bye Blackbird」など、渋めのスタンダード曲を中心に収録されていて、トロンボーン・アンサンブルを前提としたアレンジも良く、1960年にして、極上の「イージーリスニング・ジャズ」の片鱗を聴かせてくれている。

それにしても、この盤でのカイ・ウィンディングのトロンボーンは実に魅力的な音色をしている。ホンワカ丸くて、包み込む様な優しさに溢れた、それでいて、音の芯はしっかりしていて、聴き心地良く聴き応えの良い「癒し」のトロンボーンな音色である。決して、荒れること無く、耳に優しいトロンボーン。カイのトロンボーンの個性である。

ジャケットもImpulse!レーベルらしい雰囲気が漂っていて良好。アンニュイな雰囲気漂うスローな曲、ブルースフィーリング溢れる曲、ダンサフルなマンボのリズムが楽しい曲。ハードバップのマナーに則ったジャズをベースとした極上のイージーリスニング音楽とも取れる内容。つまり「ながら聴き」に最適。一度聴くと、また最初から聴きたくなる。好盤でである。

 
 

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2017年10月15日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・28

昨日は土曜日にもかかわらず、午前中は買い出し〜通院。午後は、先週から引き摺っていた、ネットの音楽再生環境の重大な不具合の対応に忙殺されて、ブログを更新する暇がありませんでした。天気は悪いし、ネットの音楽再生環境を再構築することになって、てんやわんやの一日でした。やれやれ。

しかし、今朝、やっとリカバリー完了。再び、安定した音楽再生環境が整うこととなり、ほっと一息。しかし、今日は朝から雨。それもまとまった雨で外出するのも憚られる。今日は終日、新しい再生環境の整備に勤しむこととなりました。そうなれば、BGMが欲しくなる。それも、作業の邪魔にならない、ながら聴きに最適な音。

流麗で耽美的なソロ・ピアノ盤を選択する。Fred Hersch『Open Book』。今年の9月、つい先月のリリース。今年で62歳。ブラッド・メルドーなど数々の後進からもリスペクトを受ける、最近やっと人気が出てきた耽美派、フレッド・ハーシュのソロピアノ盤。ジャケットだけを見れば、ECM盤か、と思うんですが違います(笑)。
 

Open_book

 
とても耽美的なソロ・ピアノである。しかし、クラシック系の流れる様な流麗さとはちょっと違う。そこはかとなく、しっかりとビートが効いていて、ジャジーな旋律が豊かな、明らかにジャズだ、と確信出来る「流麗なソロ・ピアノ」。テクニックは優秀。陰影抑揚もしっかり効いていて、聴き流していても飽きることが無い。

ソロ・ピアノとは言え、心の趣くままに弾きまくる訳では無い。良く考えられ、良くアレンジされている。例えば、2曲目の「Whisper Not」を聴けばそれが良く判る。これだけ攻めのアレンジを施された「Whisper Not」を僕は他に知らない。耽美的ではあるが、アドリブのフレーズは「攻めのフレーズ」。流麗さに甘えることは無い。硬派な滑らかさ。

耽美的なソロ・ピアノではあるが、陰影抑揚がしっかり効いている。どの曲も良く考えられたアレンジが施されていて、ながら聴きをしながらも、しっかりと音の印象が耳に残って、決して飽きることは無い。耽美的なフレーズの中に、しっかりと底にビートが流れているので、音に流されることも無い。意外とながら聴きしながらの仕事がはかどる、理想的な「ながら聴き」盤である(笑)。いや〜、ちょっと驚きの好盤である。

 
 

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2017年10月10日 (火曜日)

ながら聴きのジャズも良い・27

さあ、今日から、我がバーチャル音楽喫茶『松和』復活です。音楽の再生環境に重大な問題が起きて、そのリカバリー対応に忙殺され、ブログが全く更新出来ませんでした。のべ3日間、再現テスト、リカバリー処理と電話で付きっきり対応。始めはこちらのハードかソフトの問題とされましたが、状況証拠を総合して、やっと先方のサーバー側の問題が濃厚となり、米国にエスカレーションされました。あとは朗報待ちです。

さて、ジャズのアルバムの聴き込みはCD中心にならざるを得ず、日頃なかなか聴き込めなかったアルバムを選択。ちょうど、1980年代前半、フュージョン系メインストリーム・ジャズなる志向を追求した「Electric Bird」レーベルのアルバムを大量に買い込んでいたので、これを順番に一気聴き中。

Jim Hall And David Matthews Orchestra『Concierto De Aranjuez』(写真)。1981年の作品。邦題は『新アランフエス協奏曲』。リーダーのギタリスト、ジム・ホールがCTIレーベルから、1975年にリリースした『CONCIERTO』(邦題・アランフェス協奏曲)の再現盤。再現盤のアレンジ担当は、当時、日本のフュージョン・レーベル御用達の「デヴィッド・マシューズ」。
 

Concierto_de_aranjuez

 
演奏の雰囲気は、フュージョン・ジャズっぽいだが、演奏の基本は「メインストリーム・ジャズ」。ソフト&メロウなフュージョンに走らず、ちょっと純ジャズっぽい雰囲気を宿した、フュージョン系メインストリーム・ジャズな音作り。フュージョン・ジャズの成果を上手く取り入れつつ、ライトな純ジャズっぽい雰囲気も漂わせて、なかなかお洒落な内容がグッド。アレンジが優秀で、ながら聴きに最適な「聴き心地」の良さ。

曲目を見ると「Red Dragon Fly(赤とんぼ)」や「El Condor Pasa(コンドルは飛んでいく)」が入っていて、アルバムのリリース当時は、この辺の曲が気恥ずかしくて、この盤を実は敬遠していた時期がある。今の耳で聴くと、アレンジがそこそこ優秀なので、ながら聴きにはあまり気にならない。といって、繰り返し聴くと、やっぱりちょっと「気恥ずかしい」感じがするのだが(笑)。

タイトルの「アランフェス協奏曲」の再現もなかなかの出来。ジム・ホールのプログレッシブな純ジャズ・ギターが実に良い雰囲気を醸し出している。真剣に聴き込むタイプのアルバムでは無いが、朝の早い時期とか夕暮れ時に、ジャズ喫茶でながら聴き風に流しておくのに良い感じのアルバムである。ながら聴きに最適ということで、これはこれでありかな、と思います。

 
 

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2017年9月13日 (水曜日)

ながら聴きのジャズも良い・26

真夏のあの「思い切り蒸し暑い」日はもう無い。今日も日中は30度くらいにはなったのだろうが、夕方、本業を終えて、本社ビルを出る頃には、東京は新宿も涼しい風が吹き抜けている。夜、家に帰り着いても、エアコンが恋しく無くなった。自然の風が吹き抜ける部屋で夕飯をいただく、このささやかな幸福感。9月の良い季節。

こういう涼しい宵には、軽快なフュージョン・ジャズで、ながら聴きしながら、本を読んだり、パソコンしたりが良い。耳当たりの良い、あんまり耽美的では無い、リズミカルで軽快、印象的な聴き心地の良いフレーズを伴ったフュージョン盤が良い。これがまあ、意外と沢山あるから、フュージョン・ジャズはやめられない(笑)。

Chet Atkins『Stay Tuned』(写真左)。1985年のリリース。ちょっと変わり種のフュージョン・ギター盤。そもそも、リーダーのChet Atkins=チェット・アトキンス自体がフュージョン・ジャズに似合わない。1924年生まれだから、存命していれば93歳。相当に昔の大レジェンドである。惜しくも2001年、77歳で鬼籍に入っている。

基本はカントリー・ギター。エルヴィス・プレスリーのバックでリズム・ギターを務めたりで、ロックンロールにも手を染め、ビートルズのジョージ・ハリソンのアイドル・ギタリストとしても知られる。各界のギタリストの共通のアイドルであり、ギターの神様的存在。あの現在、ギターの神様と呼ばれるジェフ・ベックが憧れたギタリストの一人なのだ。
 

Stay_tuned

 
ジャズ畑のギタリストでは無いんですよね。しかし、カントリーからロックンロールと適応力に優れたアトキンスが、フュージョン・ジャズに手を染めてリリースした名盤がこの『Stay Tuned』なんです。僕はこの盤をジャズ喫茶で聴かされた時、このカントリー・フレイバー満載の、爽快にスイングし、唄う様にアドリブを展開するギタリストが誰かさっぱり判りませんでした。

チェット・アトキンスですよ、とギタリストの名を明かされた時、にわかに信じられませんでした。チェット・アトキンスがフュージョンをやってたの? 驚きでした。でも、この盤、素晴らしく爽快。カントリー調、フォーク調と米国ルーツな音楽ジャンルの音がメイン、時に当時流行だったカリビアンなフレーズが滑り込んできたりする。

当時はフュージョン・ジャズのブーム末期。この盤、明らかにフュージョン・ジャズ盤です。楽曲毎にチェットとゲスト・ミュージシャンと共演といった企画盤で、ゲストの名前を並べてみたら、出てくる出てくる有名どころ。ベンソン、カールトン、クルー、ノップラー、ルカサーなどなど。ドラムには、ポーカロなんかも叩いていて、さしずめフュージョン・ジャズ・オールスターズといった風情。

そんな中、アトキンス御大は、全くひるむことなく弾きまくる弾きまくる。もう徹頭徹尾、爽快感満載です。初めて聴いた時、誰かに似ている、誰かに似ている、と思ってイライラしましたが、それもそのはず、今のレジェンド級のギタリスト、今の中堅ギタリストのお手本の様なギターなんですよね。似ているのでは無く、このアトキンスがギターが「元祖」でした。脱帽です。

 
 

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