2022年11月 7日 (月曜日)

傑作ライヴ盤『8:30』を聴き直す

このライヴ盤は売れた。内容的にも充実している。ウェザー・リポートのメンバーが、やっと、テナー・サックスのワンホーンに、キーボード+ベース+ドラムのリズム・セクションの4人について、最適のメンバーが顔を揃え、最適なメンバーで固定された記念すべきライヴ盤である。

Weather Report『8:30』(写真)。1979年のリリース。ちなみにパーソネルは、Joe Zawinul (key), Wayne Shorter (ts,ss), Jaco Pastorius (el-b), Peter Erskine (ds)。 ほとんどの曲がザヴィヌル作であり、大ヒットアルバム『Heavy Weather』の人気曲をメインに、他のアルバムから、同傾向の音志向の人気曲が選曲されている。WRが一番、フュージョン・ジャズに接近したライヴ盤である。

このライヴ盤は売れた。選曲は『Heavy Weather』と他のアルバムの人気曲が選ばれており、ポップでキャッチャーな楽曲ばかりが並んでいる。そりゃ〜当時は売れただろうな、と思う。しかし、今の耳で聴き直せば、ジャズとしての即興演奏の妙は、ジャコのベース・ソロ曲と、ショーターのサックス・ソロ曲だけに留まっていて、他の楽曲は既定路線に乗った、金太郎飴の様な聴き馴れたアレンジで統一されている。

前作の『Mr,Gone』からの選曲は全く無く、如何に前作がセールス的に「問題作」だったかが窺い知れる。が、このライヴ盤で、このライヴ盤『8:30』をジャズの範疇に留めているのは、ジャコのベースとアースキンのドラムである。このライブ盤の全編に渡って、この二人のリズム&ビートは半端ない。それまでのWRの人気曲に躍動感を与え、ジャジーな自由度を拡げている。どの曲もオリジナルよりもテンポが速く、ベースラインもドラミングも複雑極まりない。
 

Wr-830

 
加えて、何時になく、ショーターがサックスを吹きまくっている。吹きまくり、とはこのこと。しかも、誰にも真似できない、ショーターならではの宇宙人的に捻れたフレーズが満載。どの収録曲もザヴィヌルの楽曲で、ショーターの音志向である「エスニック&ミステリアス」な音は希薄でありながら、である。恐らく、ジャコとアースキンのリズム隊の「賜物」だろうと思う。ジャコとアースキンが、ショーターの「ジャズ魂」に火を付けたのだ。

一方、ザヴィヌルのキーボードは安全運転、というか、聴き馴れたフレーズばかりで、可も無く不可も無く。まるでスタジオ録音の演奏を聴いているようだ。せっかくのライブ音源なのに、もっと自由度を拡げて、もっと魅力的なフレーズを弾きまくって欲しかった。

なお、LP時代のD面のスタジオ録音については、発売当時、1980年代のジャズを予言するものとして、持てはやされたものだが、今の耳で聴くと、完成度は「道半ば」、ブラッシュアップ中の未完な雰囲気が漂っていて、僕はあまり評価していない。これをLP時代のLP2枚目のD面に入れるのなら、他の曲のライヴ音源を追加して欲しかった。今となっては、このLP時代のD面の存在意義が良く判らなくなっている。

ショーターとジャコ、アースキン。この3人の卓越したテクニックの下、ジャジーで自由度の高い、変幻自在な演奏が、このライヴ盤を「ジャズ」の範疇に留め、未だ、エレ・ジャズの傑作ライヴ盤の1枚としての評価を維持しているのだ。
 
 

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2022年11月 3日 (木曜日)

スナーキー・パピーのライヴ盤

Snarky Puppy(スナーキー・パピー)。は、ベーシストのマイケル・リーグ率いる米国のインスト集団。音の志向は「ジャズ、ロック、ワールド ミュージック、ファンク」の音要素を融合したもの。ファンクネスはライトで薄め、ワールド・ミュージックの要素も変化を付ける為の小道具的扱いで、基本は、8ビートに乗った、ピアノ&キーボード、時々エレギをフロント・メインとしたインスト。高速8ビートのスムース・ジャズといった雰囲気。

Snarky Puppy『Live at GroundUP Music Festival』(写真左)。2022年3月のリリース。マイケル・リーグが主催しているレーベルの〈GroundUP Music〉が毎年マイアミで開催しているフェスでの音源をまとめたライブ盤。スナーキー・パピーとして、2番目の「ライブ&インコンサート」のアルバムになる。スタジオ録音では無い、ライヴ録音というところがこの盤の「キモ」の部分だろう。

とても高度なテクニックに裏打ちされた、揺るぎない、破綻の無い、流れる様な8ビートのインストで、ライトで薄めではあるが、ファンクネス漂い、明快で重量感のあるオフビートの演奏なので、このインスト演奏は「ジャズ、もしくはフュージョン、またはスムース」と解釈される。電気楽器を活用しているが、音質として生楽器に近いテイストをしているので、テクノ・ポップっぽい、無機質な音作りにならないところが良い。
 

Snarky-puppylive-at-groundup-music-festi

 
力感溢れる演奏ではあるが、実に流麗な演奏。ひとつ間違えば、高度なテクニックのエレクトリックなイージーリスニングに陥りそうなんだが、上手くファンクネスをビートに効かせ、時折、ワールド・ミュージックな音の要素を織り込んで、単調さ、マンネリを防止している。バックの低音を強調した8ビートな「リズム&ビート」が強力なので、躍動感が高まり、ダンス・ミュージックな雰囲気も漂うところが面白い。

キーボードがフロント・メインな演奏が多いので、どこかプログレッシヴ・ロックの様な雰囲気も漂うインストは、しっかりオフビートを効かせて、聴き手を「乗せる、煽る、躍らせる」音楽を切れ目無く供給する。お洒落でスムースなダンス・ミュージックと表現しても良いかもしれない。

スナーキー・パピーのインストは「ばらつき」が無い。どの演奏も、その演奏テクニックは高度、「ジャズ、ロック、ワールド ミュージック、ファンク」の要素を融合した音の志向、そして、明快で重量感のあるオフビート、という個性をしっかり守った、流麗でダンサフルなエレ・インストは聴いていて気持ちが良い。
 
 

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2022年10月30日 (日曜日)

イエロージャケッツの最新作です

思えば、このフュージョン・バンド、イエロー・ジャケッツとても息が長い。1977年、ラッセル・フェランテを中心に結成され、1981年のフュージョン・ブームの最盛期にメジャー・デビュー、昨年メジャー・デビュー40周年を迎えている。レコード会社も幾つか変わり、メンバーも、リーダーのラッセル・フェランテ以外は全て入れ替わっているが、このフュージョン・バンドの音志向は40年以上、大きな変化は無い。

Yellowjackets『Parallel Motion』(写真)。2021年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Bob Mintzer (sax), Dane Alderson (el-b, MIDI sequencing), Will Kennedy (ds), guest: Jean Baylor (Vo) track 8。1ヶ月に及ぶ久々の欧州ツアーの終了後、スタジオに入り、録音されたもの。前作より、ベースがデイン・アルダーソンにチェンジしている。

まことに上質のフュージョン・ジャズである。演奏テクニックは高く、フレーズを奏でる「歌心」も十分。アーバンでポップな曲作りは健在。スムース・ジャズの様な、耳当たりの良いイージーリスニング風の音作りでは無い、しっかりとリズム&ビートが効いて、フレーズの展開についても、テクニック的に随所に工夫が見られ、聴いていて飽きることは無い。
 

Yellowjacketsparallel-motion

 
ユッタリ目の曲が全編に渡って続くが、これが、イエロージャケッツの音志向なので戸惑うことも無い。各曲共に、メンバーそれぞれの持ち味が発揮され、フレーズの展開もバリエーション豊かで、マンネリに陥ることは無い。8曲目「If You Believe」でのジーン・ベイラーのヴォーカルもいいアクセント。ボーカル曲がこの1曲に留めていて、演奏のバリエーション不足をボーカルで誤魔化すことの無いところに、イエロージャケッツの矜持を感じる。

パフォーマンスについては、バンドメンバー各人、それぞれの個性を発揮していて高いレベルを維持しているが、特に、リーダーのラッセル・フェンテのキーボードが好調。これまた好調のミンツァーのサックスと併せて、キャッチャーで耽美的で躍動感のあるソロを聴かせてくれる。そして、アルダーソンのベースも魅力的なラインを供給していて良い感じ。このアルダーソンのベースラインが演奏全体を引き締め、演奏自体を印象的なものにしている。

イエロージャケッツのフュージョン・ジャズの良いところは、演奏自体が人間っぽくて血が通った音だ、というところ。現代のフュージョン・ジャズだからといって、打ち込みに頼ること無く、メンバーそれぞれの血の通った演奏で展開されているという、1970年代後半のフュージョン全盛期のフュージョン・ジャズの良いところをしっかりと継承しているところが実に良い。この新作も暫く、ヘビロテになりそうだ。
 
 

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2022年10月20日 (木曜日)

カナダのジャズ・バンドの異色盤

The Cookers Quintetは、カナダ出身のジャズ・バンド。演奏の基本は「ハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ」。21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・ハードバップ」とは異なる、どちらかと言えば、1950年代後半の古き良き時代の「ハードバップ」。

そして、もう1つの演奏の基本が「モード・ジャズ」。これも、21世紀に入ってからの演奏トレンド「ネオ・モード」とは違う、1980年代後半からの「新伝承派のモード・ジャズ」とも違う、1950年代後半から1960年代前半のマイルスやコルトレーンがやっていた「モード・ジャズ」。

The Cookers Quintetの演奏は、古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズであり、モード・ジャズである。だから聴いていて「あれっ」と思う。しかし、録音が新しいので、再び「あれっ」と思う。実に整った元祖ハードバップであり、元祖ファンキー・ジャズであり、実に良く練られた元祖モード・ジャズである。このジャズの化石のような演奏が、意外と聴いていて面白いのだから、ジャズって判らない(笑)。

The Cookers Quintet『The Path』(写真左)。2021年10月23義、カナダのバンクーバーでの録音。ちなみにパーソネルは、Ryan Oliver (ts), Tim Hamel (tp), Bernie Senensky (p), Alex Coleman (b), Joe Poole (ds)。ハード・バップ~モード・ジャズの魅力を今に伝えるカナダのジャズ・グループ、ザ・クッカーズ・クインテットの通算4作目。
 

The-cookers-quintetthe-path

 
収録曲は全て、バンドのオリジナル曲なんだが、フロント楽器の吹き上げるフレーズを聴いていると、どこか、コルトレーンを想起したり、ホレス・シルヴァーを想起したり、デクスター・ゴードンを想起したり、ウェイン・ショーターを想起したり。まだ、リズム隊のベースを聴いていると、レイ・ブラウンを想起したり、チェンバースを想起したり。

しかし、オリジナルの演奏に比べると、洗練さと繊細さが加味されているところが「ミソ」。21世紀に入ってからの演奏なので当然といえば当然なんだが、古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ、モード・ジャズが、現在において、洗練されて、新しいオリジナル曲となって、リニューアルされているところが、このバンド演奏の面白さ。

洗練さと繊細さが実に趣味良く、実に小粋に反映されているところが無ければ、単なる古き良き時代のジャズのコピー・バンドとして無視されるところである。すれすれのところで、この盤は、現代ジャズの好盤として評価できる。

古き良き時代のハードバップ、もしくはファンキー・ジャズ、モード・ジャズを、現代のジャズ・シーンに、雰囲気そのままに甦らせる。カナダ出身のジャズ・バンドだから出来る、良い意味での「暴挙」(笑)。
 
 

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2022年10月14日 (金曜日)

ズートをリラックスして堪能

ズート・シムスは我が国では、あまり人気の無いテナーマンだった。レコード会社にとって、コマーシャルなところが少なくて、売れない、と踏まれたのだろう。でも、ズートの名盤を聴いたジャズ者の多くが、ズートのテナーのファンになる。

歌心溢れ、スインギーで小粋。そんなズートのテナーって、東海岸ジャズ志向でも無く、西海岸ジャズ志向でも無い独特なテナーで、扱いに困るところがあるんだろうなあ。でも、良いものは良い。そんなズートのテナーである。

Zoot Sims『Cookin'!』(写真)。1961年11月13〜15日、ロンドンの「Ronnie Scott Club」でのライヴ録音。ちなみに、Zoot Sims (ts), Stan Tracy (p), Kenny Napper (b), Jackie Dougan (ds)。

UKフォンタナ・レーベルに残されたズート・シムズの傑作ライヴ盤。ラストの「Desperation」だけが、トランペットで客演した Jimmy Deuchar (tp) のオリジナルだが、他はジャズ・スタンダード曲で固められている。歌心溢れ、スインギーで小粋なズートのテナーには、ジャズ・スタンダード曲が良く似合う。
 

Zoot-simscookin

 
「Desperation」1曲だけズートのテナーとドーチャーのトランペットの2管フロントだが、他はズートのテナー1管フロントの「ワンホーン・カルテット」の演奏なので、ズートのテナーが心ゆくまで楽しめる。ズートのテナーはワンホーンが良い。

「Stompin' At The Savoy」「Love For Sale」「Somebody Loves Me」「Gone With The Wind」「Autumn Leaves」と超有名スタンダード曲のオンパレード。どの曲も流麗でキャッチャーなメロディーを持つ佳曲ばかりで、ズートのテナーの歌心とスイング感が映えに映える。

バックのリズム隊は、皆、英国出身の「地元ジャズマン」。ズートのスインギーなテナー・サックスを精一杯サポートしている雰囲気が素敵で破綻が無い。皆、精一杯、健闘している。

このライヴ盤が録音された1961年。ハードバップは成熟し、多様化の時代、ポップ化の時代に入った時期。そんな時期に、成熟したハードバップなリズム隊をバックに、歌心溢れ、スインギーで小粋なテナーを吹き上げるズート。気軽にリラックスして、ズートのテナーが心ゆくまで堪能出来る佳作である。
 
 

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2022年10月 5日 (水曜日)

ハンクの初リーダー作である。

Twitterで、Hank Jones(ハンク・ジョーンズ)の優秀盤について呟いていて、ハンク・ジョーンズのデビューの頃って、どんなんだったんだっけ、確か、デビューは1947年だから、ビ・バップなピアノだったかなあ、と思いながら、デビュー盤から10枚ほどを久々に聴き直している。

さすがに、デビュー盤から2〜3枚のリーダー作を聴くと、ハンク・ジョーンズのピアノの個性が明確に判る。ジャズマンとしてのデビューは1947年になるので、ハンクのピアノは、さぞやビ・バップしているかと思いきや、バップなピアノではあるが、典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗。

Hank Jones『Urbanity』(写真左)。1947年9〜10月(tracks 5-10)、1953年9月4日(tracks 1-4)の2つの録音に分かれる。ちなみにパーソネルは、Hank Jones (p), Johnny Smith (g, tracks 1-4 & 11-17), Ray Brown (b, tracks 1-4 & 11-17)。

整理すると、アルバム全17曲中、LPでの最初のリリース時の収録曲は前半の10曲。CDリイシュー盤の11曲目以降はボートラ。このボートラの存在が良く判らない無い様なので、この盤を聴くときは、11曲目以降は滅多に聴かない。
 

Hank-jonesurbanity

 
ハンク・ジョーンズのピアノの個性が良く判る初リーダー作。1947年9〜10月の初録音は、ハンク・ジョーンズのソロ・ピアノ。これが絶品。1947年という、ビ・バップ時代の後期、まだまだ、ジャズ・ピアニストはこぞって、ビ・バップな弾き回しをやっていた頃。そんな時期に、なんて典雅で流麗でブルージーなピアノなんだろう。

1950年代のハードバップ期のジャズ・ピアノを先取りした様な、テクニックに優れ、クールに聴かせるピアノ。そんな小粋なハンクのピアノの個性は、デビュー当時で既に確立されている。1953年録音のジョニー・スミスのギター入りのカルテットの演奏については、スミスのギターのバックに回った時の「伴奏上手」なハンクのピアノがこれまた絶品。

ハンク・ジョーンズは1918年生まれなので、デビュー時は29歳。決して早くないデビューだったと思うのだが、それだけに、初リーダー作のソロ・ピアノでは、成熟したハンクならではの個性的なピアノを聴かせてくれる。

ハンクは30歳を前にして、既にベテランの域に匹敵する「典雅でブルージーで、そこはかとなくファンクネス漂い、タッチが明快で流麗」なピアノの個性を手に入れていたことが、この初リーダー作を聴いていて、とても良く判る。
 
 

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2022年10月 4日 (火曜日)

ロベンとエヴァンスのコラボ

9月は僕の好きなジャズマンの新盤が結構出たみたいで、聴き通すのにとても忙しい毎日である。特に今年は夏が蒸し暑くて、ジャズを聴くのに辛い気候だったのだが、有り難いことに、僕の好きなジャズマンの新譜はほとんど無かった。が、ちょっと涼しくなってきて、一気にドッと出た感じで、嬉しいやら忙しいやら(笑)。

Robben Ford & Bill Evans『Common Ground』(写真左)。2022年9月のリリース。ちなみにパーソネルは、Robben Ford (g), Bill Evans (sax), Darryl Jones (b), Keith Carlock (ds)。ロックの様にジャズ・ギターを弾く男、ロベン・フォード、そして、ロック・ビートに乗った、切れ味の良いサックスを吹く男、ビル・エヴァンスが双頭リーダー。

ベースには、ローリング・ストーンズのサポート・メンバー、ダリル・ジョーンズ。そして、ドラムには、スティーリー・ダンなどで叩いていた、ロックな職人ドラマー、キース・カーロック。ロックの様なエレ・ジャズが出来る4人が集まった、現代のジャジーな「エレ・ファンク」な演奏がてんこ盛り。
 

Robben-ford-bill-evanscommon-ground

 
ロベン・フォードとビル・エヴァンスは、元マイルス・ディヴィスのバンドの経験者。ロベンは1986年、エヴァンスは1980~84年に在籍していた。双方、共演してはいないのだが、1981年にカムバックしたマイルス・デイヴィスのバンドは、一貫して、クールでヒップな「エレ・ファンク」志向。この盤の雰囲気も現代のジャジーな「エレ・ファンク」。

確かに、マイルス・バンドの「エレ・ファンク」の音世界を想起する音がする。マイルスのエレ・ファンクのビートを軽くして、フレーズをシンプルにした様な音がする。ロベンとエヴァンスはマイルス・スクールの門下生、ダリルのベースとカーロックのドラムはもともと筋金入りのロック畑。しかし、このロック畑の2人が、完璧な「エレ・ファンク」なリズム&ビートを叩きだしているので、聴いていてとても気持ちが良い。

タイトルが「Common Ground」=「共通点」。双頭リーダーのロベンとエヴァンスの共通点はと言えば「マイルスのエレ・ファンク」だろう。違うかなあ。でも、僕はこのロベンとエヴァンスは、忠実にマイルスの教えを守って、自分達なりの「エレ・ファンク」を展開しているように聴いた。そして、この現代のジャジーな「エレ・ファンク」はご機嫌で爽快でヒップである。
 
 

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2022年10月 1日 (土曜日)

硬派で正統派なオルガニスト

現代の現代ジャズ・オルガニストの代表的存在の1人、Joey Defrancesco(ジョーイ・デフランセスコ)が、今年の8月25日に急逝して以来、ちょくちょく、彼のリーダー作を聴き直している。

生涯、リーダー作は約40枚。確か、デフランセスコは51歳で亡くなっている。17歳でリーダー作を録音してるので、34年間の活動期間でリーダー作が40枚。1年に1枚のペースでリーダー作をリリースしていたことになる。米国では如何に人気のオルガニストであったかが窺い知れる。

なんせ、デビュー作がいきなりメジャーのColumbiaレコードからのリリースなんで、デビュー作=メジャー・デビューという、いわゆる「早熟の天才」レベルのオルガニストだった訳である。我が国での人気はイマイチだったけど。

Joey DeFrancesco『Reboppin'』(写真左)。1992年の作品。ちなみにパーソネルは、Joey DeFrancesco (org, tp, g), Paul Bollenback (g), Tony Malaby (ts), Jim Henry (tp), Byron Landham (ds), Paul Bollenback (Kalimba), Byron Landham (Wind Chimes)。リーダーのデフランセスコは、オルガンの他にトランペットも吹いているし、ギターも弾いている(ギタリストがいるのにね・笑)。

デフランセスコの4枚目のリーダー作になる。初リーダー作が1989年だから、毎年1枚のペースでリーダー作をリリースしていたことになる。これって、実力と人気が無いと出来ないこと。しかも、メジャーのColumbiaレコードからのリリースだから、なおのこと「凄い」。

で、この4枚目のリーダー作、収録曲を見渡すと面白い。デフランセスコや録音メンバーの自作曲に挟まれて、バリバリ、ファンキー・ジャズな名曲があれば、ジャズでよく取りあげられるディズニーの名曲あり、モード・ジャズの名曲あり、セロニアス・モンクの名曲あり、コルトレーンの名曲あり、ジャズ・スタンダード曲あり。
 

Joey-defrancescoreboppin

 
どうも、1950年代後半から1960年代中盤くらいまでの「ハードバップ時代」の様々なスタイルの曲をチョイスしているようなのだ。デフランセスコのオルガンも「バップ」な感じの弾き回しだしね。

しかし、オルガンでファンキー・ジャズの名曲、ホレス・シルヴァー作の「Sister Sadie」をジャズ・オルガンでやるのは良くあるパターンだけど、難曲であろう、マイルスのモード・ジャズの名曲「ESP」や、モンクの名曲「Evidence」、コルトレーンの「Naima」なんか、ジャズ・オルガンで弾くか、とビックリ。

しかし、そのマイルスなモード、モンク、コルトレーンの名曲が、アグレッシブ&プログレッシヴな弾き回しで、極上のオルガン・ジャズ演奏として成立しているから、デフランセスコのテクニックとセンスは素晴らしいものがある。

オルガン・ジャズだと、どうしても「イージーリスニング・ジャズ」志向のポップな演奏になりがちなんだが、デフランセスコはそうはならない。こういうところが、デフランセスコは「只者では無い」とつくづくおもうのだ。デフランセスコはかなり硬派なで正統派な、メインストリーム志向のジャズ・オルガニストだった。

しかし、ジャケットの若き日のデフランセスコの写真、イケメンでシュッとした「オルガンの貴公子」然としているんだが(写真右は1991年の頃のデフランセスコらしい)、後年の、丸々と太った「キャノンボール」なデフランセスコとは似ても似つかない。後年のイメージしか頭になかったので、この盤のジャケを見て、最初は同一人物とは思わなかった(笑)。
 
 

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2022年9月28日 (水曜日)

歌伴上手なシアリングである

やっと涼しくなってきた。日中、陽射しが強い日はまだまだ蒸し暑かったが、今日は強い北風が日中から吹いて、カラッとした秋らしい好天となった。涼しくなってくると、夜、ジャズ・ボーカルを聴く気になってくる。しかし、ベッタベタ、重厚で本格的なジャズ・ボーカルは苦手なので、健康的で明るいキュートな歌声を探すことになる。

The George Shearing Quintet with Nancy Wilson『Swingin's Mutual』(写真左)。1960年6ー7月、1961年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Nancy Wilson (vo), George Shearing (p), Dick Garcia (g), Warren Chiasson (vib), Ralph Peña (b), Vernel Fournier (ds), Armando Peraza (perc)。ナンシー・ウィルソンのボーカルとジョージ・シアリング・クインテットとの共演である。

小粋なジャズ盤を探索していて、ストックしておいた盤の中に、ボーカル盤は無いか、と探したら、この盤が最初に目に付いた。ナンシー・ウィルソンか。1960年、キャノンボール・アダレイの後押しでメジャー・デビュー。後に米国の国民的スターになったウィルソンの24歳の時、デビュー盤からの3作目。

ナンシーのボーカルは、パワフルで軽快、スイング感溢れ、情感豊かに可憐に歌い上げる、エレガントなボーカル。癖が無く、「こぶし」も回らず、ストレートな歌唱。これが良いのですね。癖を前面に出して、ビブラート豊かに「こぶし」を回して唄う、ジャズ・ボーカルはちょっと苦手です。
 

George-shearing-with-nancy-wilsonswingin

 
そして、バックに控えるのが、ジョージ・シアリング率いるクインテット。シアリングは1912年生まれ。クール・ジャズの第一人者として活躍した盲目のピアニスト。スイングから中間派、そして、ハードバップとジャズの数々のスタイルを弾きこなした職人的ピアニストである。

シアリングのピアノには「癖」がない。端正で流麗、緩急自在で揺らぎは無い。元祖「総合力勝負」のピアニストだと思うのだが、この歯切れの良いタッチでの端正さと流麗さが個性といえば個性。アドリブも端正で癖が無い。この元祖「総合力勝負」なピアニストは歌伴にも優れている。この盤でも「歌伴上手」なシアリングのピアノが、全編に渡って、とても印象的に響いている。

冒頭には、僕の大好きなスタンダード曲「On Green Dolphin Street」が入っているから、更に良い。この曲、演奏するにも唄うにも難曲の類だと思うんだが、ナンシーは全く揺らぐこと無く、しっかりビートに乗って、端正に流麗にメリハリをバッチリ効かせて唄い上げていく。この1曲だけでもこの盤は「買い」ですね(笑)。

ナンシーの魅力的でキュートな歌唱、スインギーで端正で流麗なシアリングの歌伴。聴きどころ満載で一気に聴き切ってしまう。スッキリとした味わい深いボーカル盤。シアリングのピアノを楽しむにも恰好の「小粋なジャズ盤」である。
 
 

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2022年9月25日 (日曜日)

見事なショパンの「ジャズ化」

ジャズは以前から、クラシックのジャズ化が意外と多い。1940〜50年代、例えば、ピアノの神様、アート・テイタムは「ユーモレスク」を独奏することが多かったし、モダン・ジャズ・カルテットは、クラシックの演奏手法をジャズに取り入れた。バッハは結構、ピアニストを中心にジャズ・アレンジされている。確か、バド・パウエルもバッハの名曲を好んでカヴァーしていた筈だ。

仏出身のピアニスト、ジャック・ルーシェが、J.S.バッハの作品をジャズ・トリオで演奏、その後多くのジャズ・ピアニストがクラシック音楽をジャズの題材にする切っ掛けを作っている。ルーマニア出身のピアニスト、オイゲン・キケロは、1965年のデビュー作『Rokoko Jazz』で、ロココ時代の古典音楽をスウィング・ジャズにアレンジした作品で、世界的に注目を浴びた。

僕がジャズを聴き始めた1970年代以降では、ヨーロピアン・ジャズ・トリオが、クラシックの名曲を洗練されたアレンジでカヴァーし、人気を博した。また、我が国では、最近になるが、ピアニストの山中千尋が『Utopia』で、サン=サーンスやスクリャービン、ブラームス、ドヴォルザーク、武満徹などの名曲を取り上げている。伊出身のマッシモ・ファラオもクラシック名曲をジャズにアレンジしている。

Kurt Rosenwinkel & Jean-Paul Brodbeck『The Chopin Project』(写真左)。2021年8月、スイスのチューリッヒでの録音。ちなみにパーソネルは、Kurt Rosenwinkel (g), Jean-Paul Brodbeck (p), Lukas Traxel (b), Jorge Rossy (ds)。現代ジャズの正統派ギタリストの中堅、カート・ローゼンウィンケルの新作である。これが、タイトルを見れば「只者では無い」。
 

The-chopin-project_1

 
スイス人ピアニスト、ジャン・ポール・ブロードベックがアレンジとプロデュースを手掛けたカルテット編成のフレデリック・ショパン曲集である。人気の高い「24の前奏曲」を中心に「練習曲作品10第6番」や「夜想曲7番27-1」などの有名曲を素晴らしいアレンジでカヴァーしている。

何が素晴らしいか、というと、原曲のメロディーはしっかりと残しつつ、リズム&ビートはしっかりジャズしていて、アドリブ部に入ると、原曲の持つキーの流れを着実に押さえて、コードで展開し、モードで展開する。このアドリブ部を聴いていると、流麗なフレーズが印象的な純ジャズのアドリブ・パフォーマンスとしか思えない。ジャズとして聴いて爽快感を感じるくらい、ショパンの名曲を完璧に「ジャズ化」しているのだ。

リーダーのローゼンウィンケルのギターも超絶技巧で歌心抜群。ショパンのピアノ曲って、フレーズの速さ、流れ、展開、どれもがダイナミックで高速で流麗。ピアノでも弾きこなすのに難度が高い曲を、ローゼンウィンケルはギターで弾き込んでいる。ショパンの流麗なフレーズを、自らの個性で、唯一無二な響きで弾き上げるローゼンウィンケルのフレーズは新鮮さに満ちている。

クラシックの、ショパンのジャズ化に留まらない、ショパンの楽曲を題材にした、カートウィンケルならではの「純ジャズ」なパフォーマンスに昇華された演奏の数々。聴き応え満点。ショパン曲の持つ流麗なメロディーをベースとしているが故、聴き味良く、既に、我がバーシャル音楽喫茶『松和』では、ヘビロテ盤になってます。
 
 

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