2023年8月16日 (水曜日)

軽快で聴き易いオルガン・ジャズ

4100番台はもう15年程前に「聴く」ことについて、つまりアルバムの蒐集についてはコンプリートしているのだが、当ブログでの「感想記事」についてはコンプリートしていない。現在、せっせと「記事」の落ち穂拾いをしているのだが、ブルーノートの4100番台の「記事」の落ち穂拾いも「あと8枚」。あと8枚で、当ブログの「記事化」のコンプリートである。

Big John Patton『Oh Baby!』(写真左)。1965年3月8日の録音。ブルーノートの4192番。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Blue Mitchell (tp), Harold Vick (ts), Grant Green (g), Ben Dixon (ds)。オルガンのジョン・パットンがリーダー、ミッチェルのトランペット、ヴィックのテナーがフロント2管、グリーンのギター、そして、ディクソンのドラム。パットンがオルガンでベースの役割も兼ねるので、ベースレスのクインテット編成。

ビッグ・ジョン・パットンの4枚目のリーダー作になる。ジョン・パットンはデビュー盤以来、1960年代はブルーノートのハウス・オルガニストの位置づけ。リーダー作は全てブルーノートから、サイドマンとしては、アルト・サックスのルー・ドナルドソン、ギターのグラント・グリーンに絞って参加している。
 

Big-john-pattonoh-baby

 
ジョン・パットンのオルガンは、従来のファンクネスだだ漏れのネチっこいオルガンでは無く、軽快でテクニカル。この盤では、パットン・グリーン・ディクソンのオルガン・リズム隊が、軽快なファンクネスとソウルフルが疾走するかの如く、
ライトで乾いたグルーヴ感を醸し出していて、このジャズの多様化の時代、聴き易いソウルフルなオルガン・ジャズのお手本の様な内容。いわゆる「ながら」の如く、気楽に聴かせるオルガン・ジャズなのだ。

そこに、演奏の旋律をハッキリくっきりする様、ブルージー&ファンキーなトランペットのミッチェルと、ジャズとR&Bを股にかけるソウルフルなテナーのヴィックが効果的に吹きまくる。アドリブ展開もこのフロント2管が良いアクセントとなって、全編通して、オルガン・ジャズとしてマンネリに陥ることは無い。あっという間に聴き切ってしまう。

グリーンのギターのバッキングは絶妙。ディクソンのドラミングは軽快でファンキー。ちなみに、パットンのオルガンに派手な仰々しさが無いのは、レスリー・スピーカーを使用していないからだろう。このライトで乾いたグルーヴ感満載のオルガンがパットンの身上。オルガン特有の「コッテコテ」な雰囲気は皆無。ジャズロック志向でまとめられた好盤です。
 
 

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2023年7月 6日 (木曜日)

懐かしいアルバムに出会った。

ブルーノート・レーベルの「85100 シリーズ」のアルバムを、カタログ順に整理している。「85100 シリーズ」は、ブルーノートが1979年に活動を停止した後、1984年、EMI傘下でジャズ・レーベルとして復活、復活後の最初の録音シリーズである。カタログ番号は、BT 85101〜BT 85141まで、途中空き番が1つあるので、全40枚の小規模な録音シリーズになる。

このシリーズは、ブルーノート復活後、ジャズ界では「純ジャズ復古」の時代に入っての録音シリーズなので、当時のメインストリーム志向の純ジャズの録音がズラリと並んでいる。中には、過去の音源の復刻もあったりするが、聴くべきは、この「純ジャズ復古」が始まった時点での純ジャズの音源である。中には、実に懐かしい盤もあって、全40枚、聴き直していて飽きることは無い。

『Other Side Of Round Midnight featuring Dexter Gordon』(写真左)。1985年7月1–12日、8月20–23日の録音。ブルーノートのBT 85135番。ちなみにパーソネルは、Dexter Gordon, Wayne Shorter (ts, ss), Freddie Hubbard, Palle Mikkelborg (tp), Herbie Hancock, Cedar Walton (p), Ron Carter, Pierre Michelot, Mads Vinding (b), Billy Higgins, Tony Williams (ds), Bobby McFerrin (vo), John McLaughlin (g), Bobby Hutcherson (vib) 等。

いやはや、懐かしい盤である。結構、御無沙汰していた。今回、ブルーノートの「85100 シリーズ」のアルバムを整理していて、この盤の存在を思い出した。20数年振りに聴いたことになる。いやはや、懐かしいことこの上無しである。この盤は、映画『ラウンド・ミッドナイト』のためのセッション中に録音された演奏から、アウトテイクや採用されなかった曲中心に編集したブルーノート盤。プロデュースはハービー・ハンコックとマイケル・カスクーナ。

実は、先行して、コロンビア・レコードから、Dexter Gordon『Round Midnight(Original Motion Picture Soundtrack)』(写真右)がリリースされている。同傾向、同内容のサウンドトラック盤である。

こちらの方は、サブタイトルにもある様に、映画で採用した演奏で固めたサウンドトラック盤。映画の映像のバックに流れるBGM的な演奏なので、ジャズの個性である即興演奏の自由度や展開の柔軟度が制限されている雰囲気が見え隠れする。どこか、窮屈な、躍動感が削がれた演奏がメインになっている様に感じていて、僕はあまり好きじゃ無い。
 

Other-side-of-round-midnight-featuring-d

 
逆に、ブルーノートからの『Other Side Of Round Midnight featuring Dexter Gordon』(写真左)は、収録された演奏について、かなり水準の高い演奏で固められている印象で、この盤まるごと、純ジャズ復古後の、当時の先端を行くハードバップ盤として聴いても、十分に鑑賞に耐える内容。

映画の主役を務めたデクスター・ゴードン(愛称・デックス)に敬意を表して、デクスター・ゴードン名義のアルバムになっているみたいだが、中身はそれぞれの曲でそれぞれのジャズマンが演奏を担当している「オムニバス形式」の内容。アルバムのタイトルを良く見たら「featuring Dexter Gordon」とある。デックスは4曲のみに参加。デックスのリーダー作として聴くのには無理がある。

演奏の基本はモード・ジャズ。1960年代前半のモード・ジャズをベースに、1980年半ばならではの「新しい響き」をしっかりと宿していて、どの曲も、1980年代のハードバップな演奏として、高水準のレベルを維持している。デックスもモーダルな雰囲気の演奏の中で、ゆったりとした吹きっぷりで、しっかりモードに対応しているのだから立派としか言い様がない。4曲しか参加は無いが、デックスのテナーは、どの曲でも素晴らしいパフォーマンスを披露している。

そして、ラストのハービー・ハンコックのピアノ・ソロ「Round Midnight」は絶品。ハービーのソロ・ピアノはなかなか聴くことは出来ないが、こんなパッション溢れるハービーのソロは聴いたことが無い。1980年代仕様のハービーの純ジャズなモーダル・ピアノ。思わず聴き入ってしまう。

サウンドトラックの『Round Midnight』を最初に手に入れて聴いて、う〜ん、なんだかなあ、という印象を持ったのが正直なところ。その後、この『Other Side Of Round Midnight featuring Dexter Gordon』を手に入れて聴いて、合点がいった次第。やはり、純ジャズの演奏には、即興演奏としての「自由度と柔軟度」は必須ですね。

映画の方は、ジャズ者にとっては、なかなか良い感じの、判り易い映画かと。デックスが主演で良い味出してます。僕は以前、レーザーディスクで所有していました。今ではBSでやっていたものをハードディスクに残して楽しんでいます。
 
 

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2023年6月16日 (金曜日)

ポップなタレンタインのテナー

ブルーノートの4100番台は、ジャズの「多様化」の時代にアルバムをリリースしている訳だが、聴き手のニーズに応じて、しっかりと「多様化」に対応している。このブルーノートの4100番台は、そんな「多様化」に対応した様々な演奏スタイルや演奏志向のアルバムがズラリとラインナップされている。

Stanley Turrentine『Hustlin'』(写真左)。1964年1月24日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Shirley Scott (org), Kenny Burrell (g). Bob Cranshaw (b), Otis Finch (ds)。シャーリー・スコットのオルガンはベースラインを弾かないので、この盤ではベーシストが存在する。リーダーのタレンタインのテナーとバレルのギターがフロントの変則クインテット編成。

タレンタインは、当時の細君、シャーリー・スコットのオルガンと共演を始めた頃から、演奏の志向を「ポップなファンキー・ジャズ」に舵を切っている。もともとは、ファンクネス濃厚でソウルフルな漆黒テナーでブイブイさせていたんだが、スコットと組んでからは、黒さが軽快さに変わり、明るいファンクネスを纏った、ポップでソウルフルなテナーに変化している。
 

Stanley-turrentinehustlin

 
タレンタインのテナーの個性がポップでコマーシャルなテナーに若干、変化しているのだが、硬派でソウルフルな雰囲気はしっかり残っているので、単なる「イージーリスニング・ジャズ」なテナーに陥っていない。しかし、黒さが軽快さに変わることで、タレンタインのテナーの重厚さが少し薄れて、何だか浮かれている様な感じがするのが、気になると言えば気になる(笑)。

もともとスコットのオルガンはライトでポップ。そして、もともと漆黒アーバンなバレルのギターは、タレンタインに合わせて軽快ファンキーなギターに早変わり。ポップで軽快なギターでバレンタインのテナーを引き立てている。それでも、アドリブ展開などはキッチリとメンスとリーム系の純ジャズっぽく、硬派でジャジーな展開になっているところはさすがと言えばさすがである。

ポップでキャッチャーな「ソウル・ジャズ」な盤として、キッチリまとまっていて、聴いていて心地が良い。手に汗握るスリリングな即興演奏は望めないが、この盤の持つ軽快さと明るいファンクネスは、聴き手にジャズの「楽しさ」を教えてくれているようだ。硬派なテンション高いハードバップでは無いが、聴いていて心地良く楽しい「ソウル・ジャズ」な盤として意外と聴き応えがある。
 
 

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2023年5月26日 (金曜日)

ブルーノートの4200番台始め

ブルーノートの4200番台は、1965年から1969年までのリリース。ハードバップを基本として、聴き手のニーズに合わせた「ジャズ多様化」の時代は去り、1964年2月にビートルズが米国に上陸して以降、ロックやポップスが聴き手の心を掴む反面、その反動で、聴き手の「ジャズ離れ」が始まりだした時代に、4200番台は録音され、リリースされている。

ジャズ界の中では、フリー・ジャズ、アヴァンギャルド・ジャズが台頭し、一般の聴き手を置き去りに、公民権運動などとリンクして、政治色も濃厚だった時代で、1967年7月には、ジャズ界を牽引してきた一人、ジョン・コルトレーンが逝去し、スイング時代から綿々と進化してきたジャズが1つの「潮目」を迎えた時代でもある。

Stanley Turrentine『Joyride』(写真左)。1965年4月14日の録音。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Herbie Hancock (p), Kenny Burrell (g), Bob Cranshaw (b), Grady Tate (ds)。バックに、オリヴァー・ネルソン率いるジャズ・オーケストラが付いている。ブルノートの4200番台の栄えある第一弾、4201番である。
 

Stanley-turrentinejoyride

 
ゴージャズなジャズ・オケ入りのムーディーな「ファンキー&ソウル・ジャズ」。アレンジは当時、一番モダンな、聴けば直ぐに判る、オリヴァー・ネルソン。ブルース感覚濃厚なジャズ・オケをバックに、これまた、こってこてブルージーでファンキーなタレンタインのテナーが、ちょっとライトにアーバンに吹き上げられる、ムード満点の「ファンキー&ソウル・ジャズ」。

面白いのは、ハービー・ハンコックのピアノが、当時お得意の「モーダルなピアノ」ではなく、デビュー当時に立ち返った様な「理知的なファンキー・ピアノ」をお洒落に弾いていること。タレンタインとバレルの「ファンクネス&ソウル」にしっかり合わせて、弾き分けている。ハービーのテクニックの豊かさ、引き出しの多さに、思わず感心する。

プロデューサーはまだ「アルフレッド・ライオン」。ブルーノートの総帥プロデューサー自ら、聴き手の心を掴むべく、ジャズ・オケがバックの、ややイージーリスニング・ジャズ志向のアルバムを指揮しているところに時代を感じる。しかし、そこはブルーノート、内容的にはとても良く出来たモ「ファンキー&ソウル・ジャズ」で、俗っぽいところ、手を抜いたところは全くありません。
 
 

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2023年5月25日 (木曜日)

ワシントン・ジュニアの『訪れ』

グローヴァー・ワシントンJr.(Grover Washington Jr.、以下「ワシントンJr.」と略)。スムース・ジャズの父、フュージョン・ジャズにおけるサックスの帝王。

そんなワシントンJr.が一番ポピュラーなアルバムをリリースしたのが「エレクトラ時代」。作品的には1979~1984年のリリース。「スムース・ジャズの父」と呼ばれるに相応しいアルバムを5作品リリースしているが、かの有名な『Winelight』もそんな中の一枚。

この『Winelight』だけが突出して扱われるので、ワシントンJr.は「一発屋」と誤解されることが多いが、どうして、エレクトラ時代の他の4枚も、スムース・ジャズの父」と呼ばれるに相応しいどれもが出来は上々。

Grover Washington Jr.『The Best Is Yet To Come』(写真)。邦題『訪れ』。1982年の作品。ちなみにパーソネルは、であるが、この作品、曲毎にパーソネルが異なるので、詳細は割愛する。主だったところをピックアップすると、Richard Tee (key), Eric Gale (g), Marcus Miller (b), Ralph MacDonald (perc) 等々、フュージョン畑の強者どもがしっかり参加している。

内容的には前々作の大ヒットアルバム『Winelight』の路線を踏襲している。ビル・ウィザースの名唱入りのヒット曲「Just the Two of Us(クリスタルの恋人たち)」に味を占めた訳では無いだろうが、このアルバム『訪れ』には、ボーカル入りの曲が3曲も入っている。
 

Grover-washington-jrthe-best-is-yet-to-c

 
メロウでグルーヴ、パティ・ラベルの名唱入りのタイトル曲「The Best Is Yet To Come」。ブラジリアン・スタイル、ボビー・マクファーリンの名唱入りの「Things Are Getting Better」。アーバンでソウルフルな雰囲気濃厚、セドリック・ナポレオンの名唱入りの「I'll Be With You」。

いずれのボーカル入り曲も、フュージョン・ジャズの「ツボ」を押さえていて、なかなかの出来。特に、バックの、フロント管、リズム・セクション含め、ソフト&メロウな「R&B志向」のパフォーマンスがとても心地良い。特にベース、ドラム、パーカッションがそこはかとなく効いている。

他のインスト曲は充実硬派なフュージョン・ジャズ。決して、イージーリスニングに流れない、ソフトにライトに、がっつりジャズ・ファンクしたパフォーマンスは見事。

ワシントンJr.は、相も変わらず、ソフィスティケイトされたサックス・ソロを聴かせる。トロピカル色豊かな、ソフト&メロウなフュージョン・チューン「More Than Meets The Eye」が特に良い感じ。

『Winelight』ばかりがクローズアップされるので、ちょっと地味な印象のアルバム『訪れ』であるが、ワシントンJr.をはじめ、フュージョン畑の名手達が腕によりをかけて、素晴らしいフュージョン・パフォーマンスを披露している。聴けば聴くほどに味わい深くなる好盤です。
 
 

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2023年5月17日 (水曜日)

聴いて楽しいソウル・ジャズ盤

ブルーノートの4100番台をカタログ番号順に聴き直しているのだが、この4100番台は演奏されるジャズについて、バリエーションが豊か。1962年から1965年までにリリースされたアルバム群なんだが、成熟したハードバップを起点にした「ジャズ多様化」の時代の傾向をもろに反映しているカタログには感心することしきり、である。しっかりと当時のジャズ演奏のトレンドを把握していて、それに見合った内容のアルバムをリリースする。さすがはブルーノート・レーベルである。

Stanley Turrentine『A Chip Off The Old Block』(写真左)。1963年10月14 & 21日の録音。ブルーノートの4150番。ちなみにパーソネルは、Stanley Turrentine (ts), Blue Mitchell (tp), Tom McIntosh (tb, tracks 6 & 7), Charles Davis (bs, tracks 6 & 7), Shirley Scott (org), Earl May (b), Al Harewood (ds, tracks 1–5), Ben Dixon (ds, tracks 6 & 7)。

タレンタインのテナー、ミッチェルのトランペット、シャーリー・スコットのオルガン、アール・メイのベースは2セッション共通。1963年10月14日の録音(tracks 6 & 7)では、トロンボーンとバリトン・サックスが追加されてフロント4管、ドラムがベン・ディクソンが担当したセプテット編成。1963年10月21日の録音(tracks 1-5)では、タレンタインのテナー、ミッチェルのフロント2管のまま、ドラムだけがアル・ヘアウッドが担当したクインテット編成。
 

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タレンタインは、ジャズ多様化の時代に「ポップスとしてのジャズ」を選択した様で、この盤では、ポップでライトなソウル・ジャズを気持ちよさそうに吹きまくっている。ライトでファンキーなスコットのオルガンも、そんな雰囲気にピッタリで、トランペットのミッチェルもそれの合わせて、ライトでファンキーな明るいトランペットで応じている。いわゆる「ライトで聴いて楽しいソウル・ジャズ」といった内容なのだ。

特に、タレンタインのテナー・サックスは、もともとは「こってこてのファンクネス滴る、思い切りジャジーで漆黒なテナー」だった。どこかオールド・スタイル風の「ディープなブルージーさ」も醸し出しながら、ブブブブ〜ッと重厚な漆黒テナーでブイブイ言わせていたんだが、この盤では「ライトでスッキリとした、ファンクネス香るソウルフルなテナー」に変化してきている。しかし、これが実に良い雰囲気なのだ。いわゆる「聴き手の立場に立った」聴いて楽しいソウル・ジャズで統一されている。

ファンキー・ジャズをポップにして、アーバンで明るいアレンジが施され、聴いて楽しいソウル・ジャズ。特にブルース・ナンバーとバラード・ナンバーの出来が良く、リーダーのタレンタインのテナーを筆頭に、参加メンバー、皆、好調でとても良いパフォーマンスを発揮している。タレンタインのポップな一面をクローズ・アップした、気楽に楽しめる好盤です。
 
 

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2023年4月29日 (土曜日)

本多の『Easy Breathing』再び

和フュージョンの専門レーベルとして有名なのは「ERECTRIC BIRD(エレクトリック・バード)」。世界に通用するフュージョン・レーベルを目標に、1970年代後半にキングレコードが立ち上げた、フュージョン専門レーベルである。この専門レーベルが持つ和フュージョンの音源が続々とリイシューされている。これが、僕にとっては実に懐かしいリイシューとなっている。

Toshiyuki Honda(本多俊之)『Easy Breathing』(写真)。1979年9-10月の録音。1980年、ERECTRIC BIRDからのリリース。ちなみにパーソネルは、本多俊之 (sax), 和田アキラ (el-g), 大徳俊幸 (key), 渡辺健 (el-b), 奥平真吾 (ds)。Seawindの Jerry Hey (tp, Flh), Larry Hall (tp, Flh), Bill Reichenbach (tb), Larry Williams (ts, fl, ac-p), Kim Hutchcroft (ts, bs), いわゆる「シーウィンド・ホーン・セッション」と、Paulinho Da Costa (perc)がゲスト参加。

帯紙のコピーを見れば「耳を澄ましてごらん。L.A.のそよ風が歌ってる。俊之とシーウィンドの友情溢れる再会セッション」とある。前半の「耳を澄ましてごらん〜」は思わず歯が浮くような、気恥ずかしいキャッチコピーだが、後半の「シーウィンドの...再会セッション」には思わず目を見張る。そうか、バックのブラスの充実度が高いのは、シーウィンド・ホーン・セッションのメンバーがバックアップしているからか、と納得。
 

Toshiyuki-hondaeasy-breathing

 
帯紙のコピーは続く。「アドリブ誌選出「日本のクロスオーバー・ベスト・レコード」2年連続受賞に輝く、サックスの俊英、待望の第3作!」。そう、この盤は、本多俊之のリーダー作『Barning Wave』『Opa! Com Deus』に次ぐリーダー作第3弾であった。本多俊之が初めて自身のバンド、自身のアレンジでL.A.レコーディングに臨んでいる。

当時の和フュージョン盤らしい曲揃えで、「あるある」のブラジリアン・フュージョンの2曲目「Samba Street」、乾いたグルーヴ感が心地良く浮遊感漂う3曲目「Loving You Slowly」、和フュージョンぽくて格好良いタイトル曲の5曲目「Easy Breathing」、ジャズ・ファンクの6曲目「Living In The City」は、メロウでドープなフレーズが粋。和フュージョン盤の傑作として、なかなか魅力的な演奏が詰まっていて楽しい。

海外のクラブシーンでも評価の高い本多俊之だが、このリーダー第3作目の『Easy Breathing』も聴き直してみて、なかなかの傑作だと思う。どうも、以前より、我が国ではフュージョン・ジャズが未だに正統に評価されないところがあるのだが、最近の和フュージョンの名盤・好盤の相次ぐリイシューで、そろそろ再評価の機運が高まってくるのかもしれない。
 
 

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2023年4月28日 (金曜日)

MALTA『High Pressure』再び

ここ4〜5年の間、日本人によるフュージョン・ジャズ、いわゆる「和フュージョン」の名盤、好盤がリイシューされている。

それまでは、和フュージョン盤のリイシューについては、過去に圧倒的に人気があった盤のみがリイシューされていて、売れなかったが内容的に優れている盤とか、マニアックな人気を獲得していた盤などは、レコード会社の方で「再発しても採算が取れない」と判断したんだろう、今まで、廃盤のままでリイシューされることは無かった。

が、何故かはよく判らないが、そういった「不採算」な和フュージョン盤がリイシューされる様になった。僕は、フュージョン・ブームについては、学生時代、リアルタイムで体験しているので、そんな「不採算」な和フュージョン盤は、ジャケを見るだけで音が聴こえてくるくらい、当時、聴き込んだ懐かしい盤ばかりである。

MALTA『High Pressure』(写真左)。1987年の作品。ちなみにパーソネルは、MALTA (sax), Don Grusin (key), Dann Haff (el-g, ac-g), Nathan East (el-b), Vinni Colaiuta (ds), Paulinho Da Costa (perc)。日本のフュージョン系のサックス奏者、マルタの5枚目のリーダー作。

マルタは1949年生まれ。鳥取県出身。本名「丸田 良昭」。今年で74歳。1973、東京芸大を卒業後、バークリー音楽大学に留学。1978年、ミンガスの『Me, Myself An Eye』『Something Like A Bird』の録音に参加。1979年より、ライオネル・ハンプトン楽団のコンサート・マスターを務め、1983年にJVCと契約し、初リーダー作『MALTA』をリリース。フュージョンをメインに活動。演奏以外にも、芸大にて教鞭を執る傍ら、音楽発展に尽力、とある。
 

Maltahigh-pressure

 
MALTAって、ミンガスのアルバムに参加しているんですよね。聴いたことがありますが、硬派でメインストリームな活きの良いサックスでした。MALTAのサックスって、素姓の良い、基本がしっかりしたサックスで、とっても良い音で鳴り、テクニックも優秀。もっと注目されても良いサックス奏者だと思います。

さて、『High Pressure』は、1987年、我が国でのバブル期にリリースされ、これは「売れた」。路線としては、ディヴィッド・サンボーンあたりだと思うが、サンボーンよりも、サックスの音が柔軟で素直で流麗。ブリリアントで癖が無くテクニックは優秀。そんなMALTAのサックスをとことん聴いて楽しむ事が出来る好盤である。

今回、改めて聴いてみて(20年ぶりくらいでした)、MALTAのサックスがとても良い音で鳴っているのは勿論のこと、バックの演奏が結構エグい。キーボードからギターからベースからドラムまで、相当、凄い演奏を繰り広げているに気がついて、思わず、スピーカーの前でしっかり聴き込む。

キーボードのフレーズはセンス良く、ギターはスピード感溢れ切れ味良く、だが、エレベが相当エグい。誰だろう、とパーソネルを確認したら、若き日のネイザン・イーストでした。納得。そして、ドラムがそれ以上にエグい。ポリリズミックな高速ドラミングで、8ビートでスイングするような疾走感。こんなエグいメンバーをバックに、MALTAは悠然とサックスを吹き上げ、疾走する。

和フュージョンの名盤として、聴き応え満点の『High Pressure』。バブル期のお洒落なフュージョンとは一線を画した、ワールドワイドで勝負出来る、フュージョン・ジャズの名盤だと思います。もう一回、聴き直したくなった。
 
 

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2023年4月26日 (水曜日)

浅利史花のセカンド・アルバム

和ジャズにおいては、21世紀に入った途端に、ビッグバンでも起こったかのように、様々な新人が毎月の様に現れ出でるようになった。しかも、ボーカリストを除いては、どの楽器もかなりの確率でしっかり残って、今では、和ジャズの中堅として活躍しているジャズマンの沢山いるから立派だ。

Fumika Asari(浅利史花)『Thanks For Emily』(写真左)。2023年4月のリリース。ちなみにパーソネルは、浅利史花 (g), 壷阪健登 (p), 三嶋大輝 (b), 山崎隼 (ds), ゲストに、片山士駿 (fl), 曽我部泰紀 (ts) が入っている。邦題が「エミリー・レムラーに捧ぐ」。今回の彼女のセカンド盤は、浅利が尊敬する伝説の女性ジャズギタリスト、エミリー・レムラーにちなんだセットリストを録音、とのこと。

浅利史花は1993年生まれ。今年で30歳。2012年、大学進学に伴い上京。和ジャズのギタリスト岡安芳明、潮先郁男に師事。2015年には、ギブソン・ジャズギター・コンテスト決勝進出。2020年11月に初リーダー作『Introducin'』をリリースしている。

彼女の「Official Web Site」を覗いてみると、使用ギターに、1957年製 Gibson ES-17 フルアコ、1946年製 Gibson L-4 フルアコ、Zemaitice V22SH DBM セミアコとある。ロックやR&B、そして、現代のジャズ・ギター奏者があまり用いないフル・アコースティックのエレクトリック・ギターを2本チョイスしている。これって、本格的なメインストリームな純ジャズ・ギターを志向しているに他ならない。

アルバムを聴いてみると、それが良く判る。フュージョンっぽさ、スムースっぽさは皆無。スインギー&ジャジーで、明らかに、メインストリームな純ジャズ・ギターである。シンプルで流麗、ジャジーでアーバンな弾きっぷりは、ジム・ホール、もしくは、ケニー・バレルを想起する。良い音だ。
 

Fumika-asarithanks-for-emily

 
弾きっぷりは、とにかく、真摯で実直、素直で真面目なギターで、砕けたところや捻れた「癖」は無い。和ジャズらしく、乾いたファンクネスは薄ら漂うが、黒っぽさは無い。ジム・ホールやケニー・バレルっぽくもあるのだが、アーバン感やグルーヴ感は希薄で、とても健康的で明るいジャジーさが濃厚なジャズ・ギターである。

全9曲、オリジナルが5曲、スタンダードが4曲。特に、スタンダード曲の演奏を聴けば、浅利のギターの個性が良く判る、素直なギターで、決して、砕けたり飛んだり跳ねたりする「やんちゃ」なギターでは無い。

そういう個性は反面、イージーリスニング風になってしまったり、面白味に欠けてしまったりする危険性があるのだが、この盤ではそうはならないところが良い。バックのリズム隊の成せる技。むっちゃ硬派で純ジャズで今様のリズム&ビートを繰り出して、フロントの浅利を盛り上げる。

ちょっと緊張感が高まっているのか、と感じるところもあるんだが、概ね、スインギーでジャジー。テクニックも優秀で、最初から最後まで安全運転で確実に弾き回す。これが初々しさ、瑞々しさとするか、面白味に欠けるとするかで、評価は分かれるかと思うが、僕は良い意味での個性だと感じている。彼女のソロ・ライヴを聴いてみたい。恐らく、バリバリ弾きまくるのでないか、と推測している。

ジャズとしては、年齢的にはまだまだ若手なので、真面目実直なところも長所として捉えることが出来る。あとは、バリバリに弾き回したり、ちょっと砕けたり捻れたりできる楽曲に出会えるかどうか、やなあ。安全運転が前提の有名スタンダード曲は避けた方が良いだろう。彼女をプロデュースする「力」にかけてみたいところもある。

さらなる鍛錬の後、成熟度を増した次作を早く聴いてみたい。素姓確かな、メインストリームな純ジャズ・ギターであることは確かなのだ。
 
 

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2023年3月25日 (土曜日)

西海岸ジャズでホッと一息です

このところ、天気が良くない。加えて、今日などは「寒い」。先週から3月としては暖かすぎる陽気が続いていたが、今日の、ここ千葉県北西部地方の最高気温は「冬」。昨日の最高気温から10℃以上下がったのだからたまらない。外は雨が降り続いているし、こういう鬱陶しい天気の日には、カラッとクールなウエストコースト・ジャズが良い。

Tricky Lofton & Carmell Jones With The Arrangements of Gerald Wilson『Brass Bag』(写真)。1962年、Hollywoodでの録音。ちなみにパーソネルは、Carmell Jones (tp), Lawrence 'Tricky' Lofton, Bob Edmondson, Wayne Henderson, Frank Strong, Lou Blackburn (tb), Wilbur Brown (ts), Bobby Hutcherson (vib), Frank Strazzeri (p), Leroy Vinnegar (b), Ron Jefferson (ds), Gerald Wilson (arr)。

ということで、ウエストコースト・ジャズの「小粋なアルバム」を物色する。それも、ゆったり「ながら」で聴ける感じの盤が良い。そこで選盤したのがこの盤。西海岸ジャズのレジェンド中のレジェンド、名トランペッター&アレンジャーのジェラルド・ウィルソンがアレンジを手掛けた、ウエストコースト・ジャズらしい「聴かせるジャズ」。

5本のトロンボーン・アンサンブルが、この盤のアレンジの「ミソ」。ビッグバンド・ライクな厚みのあるユニゾン&ハーモニーを5本のトロンボーンで表現するという荒技。これぞ「アレンジの妙」。とっても良い「ジャジーな雰囲気」を醸し出している。
 

Tricky-lofton-carmell-jonesbrass-bag

 
この5トロンボーン・アンサンブルに、フランク・ストラゼリのピアノ、リロイ・ヴィネガーのベース、ロン・ジェファーソンのドラムの「西海岸らしい」リズム・セクションが絡んで、とってもジャズっぽく厚みのある、お洒落で小粋なバッキングが成立している。

この小粋なバッキングを背に、カーメル・ジョーンズのトランペット、ウィルバー・ブラウンのテナー・サックス、ボビー・ハッチャーソンのヴァイブがフロントを張って、流麗で小粋で歌心溢れるソロを披露する。これが実に良い。やっぱ、ウィルソンのアレンジが効いているんやろな。聴いていて「ジャズってええな〜」って、リラックスして気持ち良く、出てくる音に身を委ねることが出来る。

特に、カーメル・ジョーンズのトランペットが心地良い響き。「Canadian Sunset」では、思わずウットリと聴き惚れてしまうくらい。タイトル曲の「Brass Bag」での溌剌としたホットなブロウも良い。ブリリアントで滑らかでスッと音が伸びて、運指は流れる様に、フレーズは唄うが如く、カーメル・ジョーンズのトランペットは魅力的。ウィルソンのアレンジがメインの盤なんで、カーメル・ジョーンズの出番がちょっと少ないのが「玉に瑕」かな。

実にウエストコースト・ジャズらしい、優れたアレンジの下、名うての名手達がフロントを張って、印象的なソロを展開する。いわゆる「小粋で聴かせるジャズ」がこの盤にてんこ盛り。この盤を聴いていると、知らず知らずのうちにリラックス出来て、聴き終えた後、必ず「やっぱウエストコースト・ジャズもええなあ」と独り言を呟く。そんな好盤です。
 
 

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