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2017年2月12日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・17

あっけらんかんとしたスムース・ジャズ。それでいて、基本的なテクニックはしっかり押さえていて、明らかに「イージーリスニング」とは一線を画する。しかし、その端麗な容姿から「際物」扱いされることもしばしば。

でも、それは失礼だろう。自ら楽器を演奏する経験があるのなら、そういう的外れな「揶揄」は出来ない。そう、彼女のサックスのテクニックは確かなものであり、演奏される内容はしっかりとした「スムース・ジャズ」である。端麗な容姿とは切り離して楽しみたい。

小林香織『MELODY』(写真左)。2016年の作品。デビュー盤から一貫して、あっけらかんとしたスムース・ジャズである。テクニック的にも速いパッセージを吹きまくることは無い。いわゆるハード・バッパーな吹き回しは全く無い。その曲が持つメロディを判り易く吹き、判り易くアドリブ展開する。

収録された曲を見渡せば、この盤が「洋楽カヴァー・アルバム」であることに気付く。どういう基準で選曲したのかは不明だけれど、なかなか粋な選曲に思わずニンマリする。
 

Kaori_kobayashi_melody

 
エリック・クラプトンの「Tears In Heaven」、ボズ・スギャッグスの「We’re All Alone」、シカゴの「Saturday In The Park」など、70年代ロックのマニアの我々の心を擽る選曲から、テイラー・スイフトのヒット曲「Shake It Off」、ホール&オーツ「I Can’t Go For That」など、ちょっと小粋な選曲に目を惹かれる。

小林香織のサックスは「音が良い」。ブラスが良く鳴っていると形容したら良いのか、とにかく、サックスが良い音で鳴っている。この盤はサックスの音がとても良く録れている。バックの演奏も解像度良く、躍動感良く録れている。難しいことは全くやっていないが、演奏される音世界が耳に心地良い。

クレジットを見れば、あの「さかなクン」がバリサクで参加している。1曲目の「Shake It Off」なんだけど、これがまずまず良い雰囲気。小林との掛け合いでソロがなかなか良い。これは話題の1曲ですね。

難しいこと言わずに、雰囲気で聴く「スムース・ジャズ」盤です。カヴァーされた洋楽曲の旋律がキャッチャーなものばかりなので、聴き心地が良い。ながら聴きに良い雰囲気のアルバムです。

 
 

震災から5年11ヶ月。決して忘れない。まだ5年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年2月 3日 (金曜日)

ながら聴きのジャズも良い・16

ジャズ・トラペッターって、何故か「ラテン・ジャズ」をやりたがる。常にではないのだが、ジャズ・トランペッターとして、第一線で活躍している間、どこかで必ず「ラテン・ジャズ」をやる。トランペットという楽器が「ラテン音楽」にフィットする、という感覚があるんだろう。

ジャズ・トランペッターで「ラテン・ジャズ」をやりたがる代表格が「ディジー・ガレスピー」。お祭り男と呼ばれるほど、ライブでその真価を発揮する。そして、ライブでよくやる演奏が「ラテン・ジャズ」。ハイノートをバッチリ決めながら、ラテンのリズムに乗って、バリバリに吹きまくる。ラテン・ジャズはダンサフル。

逆に僕はこのトランペッターがラテン・ジャズに手を染めるとは思わなかった。そのトランペッターとは「Brian Lynch(ブライアン・リンチ)」。1956年イリノイ州生まれ。今年で61歳になる。現在ニューヨークで活躍するジャズ・トランペット奏者。端正で流麗でメロディックなアドリブ・ソロが個性。音はふくよかで切れ味が良い。非常にアーティスティックなトランペットを吹く。

Brian Lynch『Madera Latino : A Latin Jazz Interpretation on the Music of Woody Shaw』(写真左)。そんなリンチが「ラテン・ジャズ」に手を染める。昨年のリリースになる。ウディ・ショウの音楽のラテン・ジャズ的解釈、とでも訳せば良いか。リズムと旋律は「ラテン音楽」。演奏スタイルは正統派、メインストリーム路線のモーダルな演奏。
 

Madera_latino

 
とってもアーティスティックな香りのする「ラテン・ジャズ」。ラテン・ジャズと聞くと、思わず「俗っぽい」コッテコテなラテンチックなリズムと旋律を思い浮かべる。聴いていて、ちょっと気恥ずかしくなる、あからさまにラテンチックな旋律とリズム。しかし、このブライアン・リンチのラテン・ジャズは違う。とってもアーティスティックな、とってもメインストリーム・ジャズな響きと旋律が特徴。

全11曲、トータル1時間50分と、結構なボリュームのアルバムなんだが、聴いていて意外と疲れないし飽きない。このアーティスティックな雰囲気を宿した、ということろが、聴き疲れと聴き飽きを防止している。しかし、これだけ生真面目にアーティスティックな側面を追求したラテン・ジャズを僕は他に知らない。

基本はラテン・ジャズなので、演奏される旋律は「馴染みやすく躍動感のある明るい雰囲気」。聴いていてしっかりとメロディ・ラインは追えるし、リズミカルなリズム&ビートは、しっかりと心にポジティブに響く。

意外と「ながら聴き」に適した「ラテン・ジャズ」である。しかし、結構、難しい高度なこと、やってるんですけどね。そう思わせないところが、リンチのトランペットの優れたところである。「ながら聴き」のヘビロテ盤。異色と言えば異色の盤ではあるが、意外とメインストリームな演奏がこれまた「好感触」。好盤です。

 
 

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2017年1月23日 (月曜日)

ながら聴きのジャズも良い・15

植田典子とは誰か。ネットのレビューからの転載になるが「1997年バークリー音楽大学卒業、1998年よりニューヨークを拠点に活動するジャズ・ベーシスト。現代のNYのファースト・コール・ベーシストの一人」とある。ふ〜ん、知らなかった。

しかし、この盤の音を聴くと合点がいく。むっちゃ魅力的な音が鳴り響くアコベである。ブンブンブンと胴と弦が唸りを上げる。それも、実に上品なベース音である。ネットのレビューには「哀愁とガッツ」とある。なるほど、女性ベーシストならではの音の響きが実に「典雅」。

植田典子トリオ『Debut』(写真左)。2015年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、植田典子 (b), テッド・ローゼンタール(p), クインシー・デイヴィス (ds)。正統なピアノ・トリオである。ジャケットもなかなか良い感じのデザインで、これまた正統なジャズ盤のイメージである。
 

Debut

 
これだけベースが正統な純ジャズ基調なのである。当然、ローゼンタールのピアノも、クインシー・デイヴィスのドラムも正統な純ジャズ路線ど真ん中である。現代のネオ・ハードバップな音世界を踏襲しながら、モードありコードあり、メインの旋律はあくまで「哀愁感溢れるマイナーな響き」。

このトリオの音は圧倒的に「絵に描いた様な純ジャズなピアノ・トリオ」。はたまた、このアルバムは「現代の純ジャズの教科書」の様なアルバムである。ピアノ・トリオの美味しいところが、アルバム一杯にガッツリと盛り込まれている。現代のジャズ・ピアノ・トリオとはこれ、と差し出したくなるような演奏内容である。

良いアルバムです。これだけ「現代の純ジャズの教科書」な内容だと、スピーカーに対峙して聴き込むというよりは、静かな部屋の中で、本でも読みながらの「ながら聴き」に最適なアルバムだと思います。ピアノ・トリオの音の響きがとっても素敵なアルバムです。

 
 

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2017年1月15日 (日曜日)

異色のウィズ・ストリングス盤

Ahmad Jamal『Jamal At the Penthouse』(写真左)。1959年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal(p), Israel Crosby(b), Vernell Fournier(ds), Joe Kennedy(cond,arr)。タイトルを見るとライブ盤と思ってしまうが、実は、Nola Penthouse Studiosでのスタジオ録音。

しかも、ジョー・ケネディー率いる15人のストリングスとの共演盤。いわゆる「アーマッド・ジャマル・ウィズ・ストリングス」という風情の企画盤。こういう「ウィズ・ストリングス盤」って、ストリングスのアレンジが陳腐だったり、時代を感じさせるものだったりすると、全く聴くに堪えないものになってしまうのですが、この盤はそういうことも無く、アーマッド・ジャマルのシンプルでスインギーなピアノもしっかりと捉えられています。

パーソネルを見渡すと、かの名盤『At the Pershing: But Not for Me』と同じベーシスト&ドラマー。この名盤がシカゴで録音された後、1年後のNY録音なので息もピッタリ。この名盤『But Not for Me』での、マイルス・デイヴィスも惚れ込んだ、「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選し、シンプルな右手のフレーズと合いの手の様に入る左手のブロックコードが特徴のジャマルのピアノは継続され、それを的確にサポートするトリオ・サウンドは健在です。
 

Jamal_at_the_penthouse1

 
但し、先にも書いた様に、この盤は「ウィズ・ストリングス盤」なので、内容的にはムーディーで、良質なジャズのBGM、もしくは良質なラウンジ・ミュージック的な雰囲気が色濃く、ジャズ喫茶や自室のステレオで、盤に対峙してピアノ・トリオのサウンドをじっくりと聴き込むような盤ではありません。僕は「ながら聴き」に最適なジャズ企画盤として重宝しています。

「間」を活かし、弾く音を限りなく厳選したアーマッド・ジャマルの右手のフレーズ。その「間」を埋めるようにアレンジされたストリングス。この良くアレンジされたストリングスの存在が、この盤を「ながら聴き」に最適な「ウィズ・ストリングス盤」に仕立て上げています。この盤の録音された後、10年ほどの後の、ヴァーヴ時代のクリード・テイラーの「イージーリスニング・ジャズ」の繋がる音世界にホンワカ和みます。

盤に対峙してピアノ・トリオのサウンドをじっくりと聴き込むようなメインストリームな純ジャズも良いですが、日曜日の昼下がり、本を片手にちょっと微睡みながら「ながら聴き」する、こんな「ウィズ・ストリングス盤」も良い感じです。これもジャズ。僕は意外と愛聴しています。

 
 

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2016年12月23日 (金曜日)

ながら聴きのジャズも良い・14

暮れも押し詰まって、今日から3連休。3連休初日、ゆったりホッコリのんびり。こういう日は聴き流しのジャズが良い。あまり、ガッチガチに相対する様な、聴き込む様なジャズは疲れる。ゆったり休みたい日には「聴き流し」のジャズが良い。ゆったりノンビリ

最近の「聴き流し」ジャズのアルバムは、H ZETTRIO『PIANO CRAZE』(写真左)。今年のリリース。CRAZE=熱狂、夢中。タイトルは「ピアノ・熱狂」。ふむふむ。ジャケット・デザインもなかなか良い。お洒落なジャズ盤である。

H ZETTRIO=エイチゼットリオ、と読む。純日本のジャズ・ピアノ・トリオ。「大人も子どもも“笑って踊れる”」をテーマに掲げるピアノトリオ・バンドである。メンバー3名は、鼻を青・赤・銀に着色。ちなみにパーソネルは、H ZETT M (p), H ZETT NIRE (b), H ZETT KOU (ds)。リアルな姓名は伏せられている。
 

Piano_craze1

 
メロディー・ラインがキャッチャーで流麗。演奏の雰囲気はポップでジャジー。ダンサフルで明朗なサウンド・トーン。とにかく聴き易い。曲のタイトルを見ていて、なんとなく感じるのだが、それぞれの曲は明確なコンセプトがあって印象的。流れる様に、時にパッションに、気持ち良い、ポジティブな演奏が続く。

加えて、このピアノ・トリオ、演奏のポテンシャルが高い。テクニックのレベルが高い。聴いていて、アドリブ・フレーズなど「流麗」の一言。ではあるが、演奏のテンションは高い。アグレッシブである。ポップでジャジーではあるが「攻めるピアノ・トリオ」である。

今までのジャズの演奏トレンドや演奏スタイルとは全く無縁の、新しいジャズの演奏スタイル・演奏の雰囲気である。スムース・ジャズな要素も色濃く漂う。メリハリも効いてきて「聴き流し」のジャズに最適な内容である。こういうピアノ・トリオなサウンドが純日本のメンバーで創造される。素晴らしい成果である。

 
 

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2016年12月17日 (土曜日)

ながら聴きのジャズも良い・13

若い頃、このアルバムの情報を見た時、節奏の無い、売らんが為に大衆に迎合したヒット曲のカヴァー集と思い込み、ジャズとして聴く価値無し、とバッサリと切り捨ててしまいました。全く、見識の浅いことです。しかし、40歳半ばを過ぎて、このアルバムを初めて聴いた時、若い頃の浅はかな判断を恥じました。

Nina Simone『Here Comes The Sun』(写真左)。1971年のリリース。1960年代後半から1970年代初頭の楽曲のカヴァーが中心のポップなジャズ・ボーカル盤である。アレンジが優れていて、今の耳で聴いてもあまり古さを感じない。ニーナ・シモンの歌唱も正統なジャズ・ボーカルというよりは、さらりとしたポップなボーカルで聴き易い。

当時のヒット曲のカヴァー集ってよくよく考えると、そもそもジャズ・スタンダード曲って、当時のミュージカルや映画のテーマ曲のカヴァーがメインで、昔から、ジャズって、その時代その時代のヒット曲や流行曲をカヴァーし、スタンダード化しているんですね。それを思うと、このニーナ・シモンのカヴァー集って「アリ」ですよね。

収録曲を見渡せば、純粋な「ビートルズのカヴァー盤」では無いことが判る。しかし、冒頭のジョージ・ハリソンの名曲「Here Comes The Sun」の素晴らしい歌唱を、素晴らしいアレンジがとっても印象的で、それが故、この盤は「ビートルズのカヴァー盤」の一枚として挙げられることが多い。
 

Nina_simone_here_coms_the_sun

 
確かに、この冒頭「Here Comes The Sun」のニーナの歌唱は落ち着いてはいるが、しっかりと気持ちが入っていて、この楽曲の持つ魅力を最大限に引き出している。シンプルではあるが、純粋な「信じることへの喜び」「活かされていることへの穏やかな歓喜」が滲み出てくる。ジョージの「信仰」へのシンプルな想いが、ニーナの歌唱を通じて再認識する。「回向」という言葉がピッタリな歌唱。

2曲目以降は、今をときめくボブ・ディランの名曲「Just Like A Woman」、J.J.ウォーカーの「Mr. Bojangles」、ジェームス・テイラーの「Angel Of The Morning」、8. フランク・シナトラの大ヒット曲「My Way」など、当時のロックやポップスの名曲の数々をカヴァーしています。

このボーカル盤、さらりと聴き流すのに最適な内容で、そのアレンジ力、歌唱力には感心します。音楽というもの、まずは聴き易く判り易いのが大切な要素。そういう意味では、このニーナの当時のヒット曲のカヴァー集、良い感じだと思います。とにかく聴き易い。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では「ながら聴き」のボーカル盤として重宝させていただいています。

 
 

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2016年11月26日 (土曜日)

ながら聴きのジャズも良い・12

子供の頃から「ながら聴き」が好きだった。特に、中学時代にカセットテレコを買って貰って以来、家で勉強するにも読書をするにも、必ずBGMで音楽が流れていた。今でも「ながら聴き」が好きで、特にフュージョン・ジャズや70年代ロックが良い。

そんな「ながら聴き」、今週は久し振りにこんなアルバムを引きずり出した。Paul Desmond『Summertime』(写真左)。1969年のリリース。フュージョン・ジャズの先駆け、クロスオーバー・ジャズの老舗A&M/CTIレーベルからのリリースである。

もちろん、プロデューサーはCreed Taylor。バックを支えるミュージシャンの中には、若き日のハービー・ハンコックやヴァイブにマイク・マイニエリ、アレンジにドン・セベスキーが名を連ねている。

クリード・テイラー監修のクロスオーバー・ジャズものは「ながら聴き」によく合うものが多い。ジャズをベースに「イージーリスニング」風のアレンジを施した演奏は「聴き易さ」を優先したもの。演奏に対峙して聴き込むにはちょっと物足りない感じだが、演奏自体の内容は濃い。ジャズメンとして一流どころが演奏を担当しているので、基本的にテクニックが高く歌心もある。

そこが良い。そこが「ながら聴き」最適なのだ。チープな演奏だと「ながら」の傍ら、耳がイライラしてきて「ながら」どころでは無くなる。「ながら聴き」に必須の要素は、テクニックと歌心に裏打ちされた「高度な演奏」と「聴き易さ」なのだ。
 

Paul_desmond_summertime

 
そういう観点から聴くと、このPaul Desmond『Summertime』は「合格点」。リーダーのアルト・サックス奏者のポール・デスモンドのテクニックは高い。しかも、柔らかであるが芯に力強さを秘めた流麗なアルト・サックス。奏でる演奏内容は「イージーリスニング」風のアレンジを施したクロスオーバー・ジャズ。「聴き易さ」満点である。

さて、このアルバム、サンバあり、ビートルズのカバーあり、バリバリのジャズ・スタンダード曲あり、と収録された楽曲はごった煮なんだが、不思議な統一感で満たされてる。なんでやろ、と考えたら、ポール・デスモンドのアルトの音にあると感じた。ごった煮のそれぞれの曲の中で、デスモンドのアルト・サックスだけが一本筋が通っている。

そもそも、テクニック満点、歌心も満点、柔らかであるが芯に力強さを秘めた流麗なアルト・サックスである。このデスモンドのアルト・サックスをふんだんに愛でることがアルバムである。さすがはデスモンド、純ジャズだろうが、クロスオーバー・ジャズだろうが、イージーリスニング風のアレンジだろうが、そんなことでは「ぶれ」はしない。

そんなデスモンドのアルト・サックスの統一感が聴きもののこのアルバム。そういう意味で「ながら聴き」にも最適です。内容的にも、実に「A&M/CTIレーベル」らしい内容で、クロスオーバー・ジャズの好盤の一枚としてもお勧めです。

 
 

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2016年11月25日 (金曜日)

ながら聴きのクロスオーバー

高中正義。日本が誇るエレギ奏者。特にそのインスト・エレギは唯一無二。思いっきり、高中ならではの個性で固められている。1曲聴けば、直ぐに高中と判るほどの個性。しかし、その個性的な音は「ジャンルレス」。ロックとも言えず、ジャズとも言えず。一言で言えば「高中」。

僕はそんな高中のインスト・エレギを「クロスオーバー」と位置づけている。ロックとフュージョン、そしてラテンなどなど、色々なジャンルの音楽の美味しいところを混ぜこぜにしている。リズムの基本はロック、混ぜこぜのところはクロスオーバー・ジャズ。スッキリ整った、エネルギッシュな「クロスオーバー」。

そんな「クロスオーバー」なインスト・エレギを堪能出来るアルバムの一枚がこれ。高中正義『Ocean Breeze』(写真左)。高中正義の2枚目のライブ盤。1982年のリリース。1980年代初頭、高中正義がノリに乗っている頃に敢行された「Power Play」と銘打ったライヴ・ツアーの模様が収録されたもの。
 

Oecean_breeze

 
このライブ盤、初期の頃からの「高中者」からすると、充実な内容なのだ。冒頭の「メドレー」を聴けば、高中がソロとして活躍するようになった初期の代表曲が、メドレー形式で演奏されているもの。どっかで聴いたことのある「高中フレーズ、高中節」がどんどん出てくる。しかも、メドレーとは言え、しっかりアレンジされていて、聴き心地満点。

2曲目の「Plastic Tears」以降、高中の往年の名曲、名演がズラリと並ぶ。ゆったりしたバラードあり、爽快なアップテンポの曲あり、様々なフォーマット、様々なリズム&ビートに乗って、高中がエレギを弾きまくる。弾きまくってはいるが、さすがは高中。徹頭徹尾「メロディアス」。流麗なアドリブ・フレーズが止めども無く沸き出でる。

このライブ盤、実は聴き流しに最適。僕はこのライブ盤には、社会人になって独身寮の休みの朝、必ずこのライブ盤を聴いていた時期がある。この盤の持つ爽快感が良い。メロディアスでテクニカルなエレギの音が良い。朝の起き抜けに心がポジティブになる様な、アグレッシブに一日を過ごせるように背中を押してくれるような「高中サウンド」が実に見事だった。

 
 

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2016年11月21日 (月曜日)

ながら聴きにビートル・ジャズ

ビートルズのアルバムがCDで正式にリイシューされたのが1986年。それでもジャズではビートルズのカバーはなかなか再来しなかった。1960年代から1970年代前半にかけて、その世界的ブームに乗って、ジャズ界ではビートルズの楽曲のカバーが乱造された。玉石混交としたカバーの出来に一喜一憂したもんだが、1980年代以降、とんと御無沙汰であった。

それから、30年余りが経って、再び、ジャズ界でビートルズの楽曲がカバーされ出した切っ掛けは、このアルバムでは無かったかと思う。Beatlejazz『Another Bite of the Apple』(写真左)。1998年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Dave Kikoski (p), Charles Fambrough (b), Brian Melvin (ds)。聴けば判るのだが、正統派のジャズ・ピアノ・トリオである。「捻り」は全く無い。

Beatlejazzは、ビートルズのカバーアルバムを何枚かシリーズでリリースしている(3枚だったかな)。その中で、僕はこの『Another Bite of the Apple』が一番のお気に入り。選曲が適度に良く、アレンジもバッチリ決まっている。しかも、シンプルにビートルズの楽曲の持つ旋律の良さを感じることが出来るピアノ・トリオのフォーマット。この盤が一番聴いていて落ち着く。
 

Another_bite_of_the_apple

 
アレンジが優れている。ビートルズの楽曲と直ぐ判るように原曲の旋律をしっかりと踏襲しているのだが、アドリブに入ると、ビートルズの楽曲の持つユニークなコード進行を借りつつ、ジャズとしてなかなかの内容のアドリブ・フレーズを展開する。ジャズ者初心者でもビートルズの楽曲のカバーと判り、アドリブ部ではジャズ者ベテランがその展開に耳をそばだてる。そんな初心者の耳にも、ベテランの耳にもしっかりと応える内容が良い。

アレンジの勝利である。「Let It Be」のアレンジが格好良い。この「Let It Be」は様々なジャズメンがカバーしているが、このBeatlejazzのアレンジがかなり格好良い。もしかしたら、一番、格好良いかも。「Magical Mystery Tour」のアレンジがこれまたユニークで良い。この楽曲がジャズにアレンジ出来るとは思わなかった。しかも実にクールにアレンジされている。

Beatlejazz『Another Bite of the Apple』。2001年、このカヴァー盤が出た時はその内容に思わず唸った。あれから15年。ビートルズのピアノ・トリオ・カヴァー盤として定盤化。今でも時々、ひきずり出して来ては「ながら聴き」してます。とにかくアレンジが秀逸。参考になります。

 
 

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2016年10月31日 (月曜日)

秋深まる季節にボサノバ・ジャズ

この秋深まる季節に「ボサノバ・ジャズは合わないよな」と思うのは性急ではある。確かに、この秋真っ只中の季節、朝と夜はちょっと寒い。寒い中で聴くボサノバ・ジャズは「殺風景」である。軽妙洒脱のリズム&ビートが寒々と感じる。

しかし、である。この秋深まる季節、ちょっと暖かな「小春日和」な昼下がり、ホンワカ暖かい部屋の中で、ブラック珈琲を傾けながら聴くボサノバ・ジャズは、意外に「オツなもの」である。昼ご飯をお腹いっぱい食べた後、ちょっと眠くなってきて微睡みながら聴くボサノバ・ジャズは、一時の「至福の時」である(笑)。

微睡みながら聴くボサノバ・ジャズは、微睡みの「至福の時」を妨げる様な、難しい演奏はいけない、複雑な演奏もいけない。イージーリスニング一歩手前の、ほとんどイージーリスニングでも良い、聴いていて心地良い、難しいことを考えず、聴く耳をそばだてることも無い、聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズが良い。

そんな聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズ盤を選盤する。Laurindo Almeida『Guitar From Ipanema』(写真左)。1964年の作品。ローリンド・アルメイダは、1917年生まれのブラジルのギタリスト。惜しくも1995年7月逝去しました。アルメイダは、生粋のボサノバ系ギタリストというよりは、ボサノバ・ジャズ系のギタリストという印象が強い。テクニックはかなり高く、聴いていて爽快かつ深みのあるギター。
 

Guitar_from_ipanema

 
ジャック・マーシャルの口笛をフィーチャーしているのが面白い。口笛をフィーチャーすれば、もはやこれは純ジャズでは無いだろう。しかし、このジャック・マーシャルの口笛が心地良い。「The Girl From Ipanema」の口笛の気持ちよさ、「 Old Guitaron」のボーカルの愛らしさ。

とにかく全編に渡ってユルユルの緩さ。この緩さが堪らなく心地良い。ボサノバのリズム&ビートは純正で、ボサノバ・ジャズ独特のライトさと心地良さ満点。メインストリーム・ジャズとは対極の「ユルユル」イージーリスニングなジャズである。
 
硬派なジャズ者の方々からすると「けしからん」ボサノバ・ジャズ盤でしょう。でも、そういう時は、この盤はイージーリスニング盤と解釈して耳を傾けていただければ、と思います。

ジャケットも全くジャズらしからぬ「ユルユルさ」。でも、この緩さが堪らない。この秋深まる季節、ちょっと暖かな「小春日和」な昼下がり、ホンワカ暖かい部屋の中で、ブラック珈琲を傾けながら聴くボサノバ・ジャズは、意外に「オツなもの」。固いこと抜きで、この盤に詰まっている、聴き心地がライトでシンプルなボサノバ・ジャズを楽しみましょう。

 
 

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