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2016年3月22日 (火曜日)

マルサリス兄ちゃんの個性

1980年代、純ジャズ復古の中心となった「マルサリス一族」。お父ちゃんが「エリス・マルサリス」。兄ちゃんが「ブランフォード」、二番目の弟が「ウィントン」、三番目の弟が「デルフィーヨ」、末の弟が「ジェイソン」。皆、ジャズメンである。

このウィントン一族のメンバーそれぞれが奏でるジャズを聴いてきたが、真ん中の弟ウィントンが一番生真面目で遊び心が少ない様に感じる。この10年は四角四面に純ジャズを追求するあまり、ジャズの発祥と言われるニューオリンズの「デキシーランド・ジャズ」にまで遡ったりしたりで、それはそれは聴く方も大変である。

その真ん中の弟に対して、長男、兄ちゃんのブランフォード・マルサリスは「天才肌」のジャズメンである。テクニックは優秀、兄ちゃんのテナーの音、フレーズは印象的。その吹きっぷりは理詰め、理屈の類では無く、本能のおもむくままに吹きたい様に吹くと入った塩梅だ。

この世代のテナー奏者は皆こぞって「コルトレーンのフォロワー」たらんとするのだが、マルサリス兄ちゃんは違う。どちらかと言えば、ソニー・ロリンズの雰囲気が、マルサリス兄ちゃんのテナーのフレーズに漂っている。やりたいフレーズを吹き、純ジャズには過度に拘らない。今の耳にも実にユニークなテナーマンである。

そんなマルサリス兄ちゃん、ブランフォード・マルサリスの個性を感じるには、デビュー盤辺りが一番良い。ということで、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ブランフォードの個性を感じるための盤として、この2枚をいつも紹介している。Branford Marsalis『Scenes In the City』(写真左)と『Royal Garden Blues』(写真右)の2枚である。
 

Scenes_in_the_cityroyal_garden_blue

 
デビュー盤の『Scenes In the City』では、ブランフォードの考える「コンテンポラリーな純ジャズ」の枠組みを感じることが出来る。冒頭の「No Backstage Pass」のテナーとベースとドラムというピアノレスのトリオでの即興のブルース。骨太なテナー、そして、閃き一発勝負なアドリブ。ロリンズをストイックにした様なテナーに思わず耳をそばだてる。

二曲目のタイトル曲がその「枠組み」を物語る。それは、通りを歩く男の靴音から始まり、ジャズクラブのドアを開けるところから始まる。主にナレーションとバックに流れる演奏で作られた「寸劇」の様なジャズ。ブランフォードにとっては、これもジャズなのだ。融合の音楽であるジャズ。ブランフォードはジャズに演劇をも融合する。

そして、ブランフォードのテナーの個性を思いっきり体験するには、セカンド盤の『Royal Garden Blues』が最適だろう。この盤ではとにかくブランフォードはテナーを心ゆくまで吹きまくる。ベースは3人、ドラムは4人、ピアノは4人、取っ替え引っ替え入れ替えて、曲毎の印象は目まぐるしく変わるが、ブランフォードのテナーの個性は意外と「ぶれない」。

朗々と閃き一発勝負なアドリブを吹きまくるブランフォードは、セカンド盤で既に一流のテナーマンとして、その個性を確立している。ブランフォードは、素性は確か、比類無き才能を持った、類い希なるテナーマンであった。このセカンド盤を聴けば良く判る。ワンホーンで豪快に吹きまくるブランフォードは実に魅力的だ。

今までの言動や跳んだり跳ねたりする作風で、どうも日本ではその人気はイマイチなのだが、僕はそんなブランフォードが意外と気に入っている。改めて、ブランフォードのリーダー作の聴き直しを進める所存である。

 
 

震災から5年。決して忘れない。まだ5年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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