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2019年4月 8日 (月曜日)

幾つかの頂点の1つを捉えた好盤

1983年リリースの『Jive Jive』から、米国マーケット狙いに舵を切ったカシオペア。「日本人の、日本人による、日本人の為の」フュージョン・バンドだったカシオペアである。その音の傾向の変化に少し戸惑いながらも、何とか付いていっていた。個人的には、社会人になって、LPを買う資金はあって、LPは買うのだが、中々聴く時間がとれなくて、イライラしていた時期である。
 
Casiopea『HALLE』(写真左)。1985年9月のリリース。「HALLE」とは、当時話題となったハレー彗星に因んだタイトルだそうだ。といって、なにかハレー彗星に因んだ曲が散りばめられているのか、と言えば、そうじゃないので、今となっては良く判らないタイトルである。
 
2作ほど前から、米国マーケット狙いに音の路線を定めたカシオペアであるが、この『HALLE』でほぼその路線について成熟した感がある。ファンキー・ビートをメインとして、秀逸なテクニック最優先の演奏。凄まじい緊張感の中でのバカテクを前面の押しだした、超絶技巧なアドリブ・パフォーマンス。これがカシオペアの音だ、と信じている「カシオペア者」には圧倒的に受ける音世界である。
 
 
Halle-casiopea
 
  
確かに、テクニックをメインに聴くならば、これほどまでにバカテクのフュージョン・バンドは世界にそうそう無い。エレギもアタッチメントなどを含めて最新鋭のものだし、キーボードも特にシンセについては、当時の最先端の機材を駆使している。テクニック命のフュージョン小僧からすると、この胸の空くようなバカテク・バンドの音は憧れの的だっただろう。
 
ただ、1983年リリースの『Jive Jive』から数えて3作目の「米国マーケット狙い」路線の音世界については、ちょっと手練感が漂いだしたのも事実。この時点で米国マーケットへは切り込むことは出来ていなかった。しかし、カシオペアの演奏力という面から聴くと、この『HALLE』については、ほぼ頂点に達したように感じた。今もその感覚は変わらない。
 

 
この『HALLE』だけ「米国マーケット狙い」路線のアルバムの中で、ジャケット・デザインがふるっている。このジャケットは、白い大きな布が爽やかな風に乗って、心地良くたなびいているイメージ。そんなイメージが、このアルバムの中のカシオペアの音に重なる。バカテクだけど爽やかで明るい切れ味の良いフュージョン・ジャズ。カシオペアの幾つかの頂点の1つを捉えた好盤だと思う。
 
 
 
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
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2019年4月 7日 (日曜日)

カシオペアの米国マーケット狙い

カシオペアは日本発のフュージョン・バンドとして、1970年代後半にデビューし、主に日本でブレイクした。1980年に入った頃が最初の人気のピークで、その人気は凄まじいものだった。フュージョン・ジャズのバンドが、こんなにも日本の中で人気を獲得するとは夢にも思わなかった。
 
今から思えば、日本人の、日本人による、日本人の為のフュージョン・バンドだった訳で、我が国の中で人気を獲得するのは、基本的には当たり前のことであった。が、である。1980年代に入って、国内での人気絶頂の頃に、カシオペアは米国マーケットへの参入を目指すようになる。いわゆる「日本人ならでは」のフュージョン・バンドが米国マーケットへ切り込むのである。
 
当然、当時のバンドの音楽性を変化せざるを得なくなる。当時の米国はフュージョン・ブーム末期。今から思えば、その参入のタイミングは遅かったのではなかったか。R&Bの要素をふんだんに取り入れた、ボーカル入りのフュージョンが横行し、ファンクネスを司るビートは「録音におけるデジタル化」により、ペラペラになっていた。
 
 
Down-upbeat  
 
 
Casiopea『Down Upbeat』(写真左)。1984年10月のリリース。カシオペアの12枚目のアルバム。ニューヨークのシークレットサウンドスタジオにおいて、わずか10日間のうちに録られたもので、この作品は「一発録り」で当時話題になった。飛び出してくるのはなんだか日本人離れしたファンキー・ビート。良くも悪くも米国マーケット狙いの音作りになっていた。
 
ファンキー・ビートをメインとして、秀逸なテクニック最優先の演奏。神業的でアクロバティックな演奏がてんこ盛りで、アルバム全てを聴き通した後はちょっと疲れる。この米国マーケット狙いの音世界は、当時のカシオペア人気の後押しの中で基本的に支持された。しかし、当時、僕としては、この路線はちょっと時機を逸しているのでは、という思いが強かったことを今でも覚えている。
 
米国マーケットのトレンドである、適度なファンクネスを包まれた、ソフト&メロウなフュージョン・ミュージックに対して、凄まじい緊張感の中でのバカテクを前面の押しだした、超絶技巧なアドリブ・パフォーマンス。マニアの方々には受けるんだが、一般人に対してはどうなんだろう。この後、このカシオペアの「米国マーケット狙い路線」については、バンドに対して様々な波紋を投げかけることになる。
 
 
 
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2019年1月19日 (土曜日)

カシオペア流ジャズ・ファンク

前作『Photographs』は従来のカシオペアの音の最初の「集大成」的な音作り。爽快感と疾走感溢れるバカテク・フュージョン集団という従来のカシオペアの音をしっかりと踏襲している。従来のカシオペアの音の最初の「集大成」的な音作りが堪らない。このアルバムのリリースから、我が国における「カシオペア人気」が高まっていった。

この『Photographs』というアルバムで、バンド結成から培ってきた音の集大成を実現した後、テクニック指向と言われる部分を抑えて、よりポップさを前面に出す方向を目指し始めた。今から振り返ってみると、このアルバム辺りから、米国マーケット狙いの音作りへ舵を切った様に感じる。いわゆる、バンドの音の志向がメンバーそれぞれの中で変わり始めた兆しが、このアルバムに散りばめられている。

Casiopea『Jive Jive』(写真)。カシオペアの10枚目のアルバム。1983年11月のリリース。ロンドンでのスタジオ録音。前作の『Photographs』とは音の傾向が変わっている。当時のロンドンは、シャカタクやメゾフォルテ等のブリティッシュ・ジャズファンクが盛り上がっており、どうもその「ロンドン録音」の影響がモロ出たと思われる。
 

Jive_jive  

 
このアルバムは「ジャズ・ファンク」なカシオペアの音が楽しめる。ホーンセクションの入った曲や女性ボーカル入りナンバーも数曲あり、このアルバムからカシオペアは「ジャズ・ファンク」な要素をバンド・サウンドに織り込み始めている。MIDI、ギターシンセ、シンセ・ドラムなどのエレクトロニカの導入もこのアルバムの特色である。

このアルバムでの骨太で重量感が加わった疾走感溢れる演奏は特筆もの。これまでになかったタイトで甘さを殺した演奏が、従来のカシオペアの音に新しい音の世界を導き入れています。メンバーそれぞれが、明らかに従来の演奏スタイルを変えて、新しいカシオペアの音世界、つまり「ジャズ・ファンク」への接近を試みている様に感じます。

今の耳で振り返ってみると、良くも悪くも、カシオペアとして新機軸を打ち出した感のあるアルバムです。最初のカシオペアの音で最初の全米進出を試み、この『Jive Jive』から試みた「ジャズ・ファンク」な音で再度、全米進出を試みる。そして、その後のメンバーの入れ替わりやサウンド面での変化を考えると、彼らにとって色んな意味でのターニングポイント的なアルバムだと思います。

 
 
東日本大震災から7年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年12月16日 (日曜日)

バカテク・ポップ路線の集大成

日本発のフュージョン・バンド「Casiopea(カシオペア)」。1980年代前半から中盤にかけてが、商業的に一番成功した時期である。メンバーは、野呂一生 (g), 櫻井哲夫 (b), 向谷実 (key), 神保彰 (ds)。音楽誌『ADLiB』での上々の評価、連載企画「ブラインド・フォールド・テスト」での海外有名フュージョン・プレイヤーの高い評価もあって、人気は不動のものとなっていく。

Casiopea『Photographs』(写真左)。1983年のリリース。このアルバムのリリースから、我が国における「カシオペア人気」が高まっていく。野呂がインド、向谷がヨーロッパ、桜井が南米、神保がアメリカへと武者修行の一人旅に出た後に制作されたアルバムで、その成果が反映された音作りがなされている、という評価もあるが、それは違うと思う。

しっかり聴いてみると判るが、あまりそれぞれの旅先の特色ある音が反映されている内容では無い。どちらかと言えばファンク色をやや強めながらも、爽快感と疾走感溢れるバカテク・フュージョン集団という従来のカシオペアの音をしっかりと踏襲している。従来のカシオペアの音の最初の「集大成」的な音作りが堪らない。
 

Photographs_casiopea  

 
強力なアドリブ・フレーズのフロント隊とタイトで堅実なリズム隊が上手くフィットして、メンバー全員のハイ・テクニックと相まって、カシオペア独特の音世界を創出している。野呂のスキャットや櫻井+野呂によるデュエットなど、従来のカシオペアからすると意外な遊び心もあり、メンバー全員の音作りに対する余裕を感じる。そんな余裕が良い方向に作用した好盤だろう。

特にこのアルバムに収録された曲を聴いていて感じるのは「アレンジの素晴らしさ」。この盤、どの曲もアレンジが優れている。アレンジのアイデアもなかなかのもので、聴いていてメリハリが効いていて飽きが来ることが無い。4人のメンバーが4者4様、それぞれの個性を発揮しつつ、台頭の立場で競い合っている、そんな感じの適度なテンションが心地良い。

いわゆるカシオペアの最大の個性である「バカテク・ポップ路線」の集大成。この後、カシオペアはファンク度を高め、米国マーケットを狙う様な音作りに変化していく。日本人の日本人による日本人の為のフュージョン・バンドのピークを捉えたアルバムとして評価出来る秀作です。

 
 
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2018年9月19日 (水曜日)

カシオペアの「最高の演奏」盤

Casiopea(カシオペア)は、日本発のフュージョン・バンド。1979年11月、セカンド盤の『Super FlightL』で出会って以来、ずっとリアルタイムで聴き続けている。爽快感溢れる、高テクニックで流麗なフレーズ、タイトでシャープなリズム&ビート。疾走感溢れる、カッ飛ぶバンド・サウンド。今でも大好きなフュージョン・ジャズ・バンドである。

Casiopea『Mint Jams』(写真)。1982年5月のリリース。カシオペアの7枚目のアルバム。ちなみにパーソネルは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)。この盤はライブ盤である。が、聴けば判るが、観客のノイズ(拍手や掛け声)がほとんど無い。非常に人工的なライブ盤である。しかしながら、この作りで聴くカシオペア・サウンドがいかにも「カシオペアらしい」。

「ライブの迫力とスタジオ録音の緻密さが一緒になった盤」がコンセプトで、アルバム制作のマテリアルとして、築地会館における2日間の単独ライブ音源が使用され、入念なリミックスが施されている。スタジオで一部、トリートメント処理はなされているが、オーバー・ダビングは一切無いとのこと。そして、観客のノイズを「Domino Line」と「Swear」の一部を除きカット。
 

Mint_jams  

 
以上の様な経緯を経て、スタジオ録音の様な緻密さとライブ録音の様な演奏の迫力が両立した、素晴らしい内容のアルバムに仕上がっている。選曲もふるっていて、当時のベスト盤的な選曲で、特にライブ映えする楽曲がズラリと並んでいる。「Take Me」「Asayake」「Time Limit」「Domino Line」など、爽快感抜群。何から何まで「カシオペア・サウンド」である。

このライブ盤、音がとても良い。ライブ音源をベースにしているが、楽器の分離も良い。ギターの音は切れ味良く、キーボードの音は疾走感溢れ、ドラムの音はスピード感抜群。これだけ、楽器の音の分離が良い分、演奏全体のダイナミズムは半端ない。聴き始めたらあっと言う間の37分。収録された秀逸な楽曲と相まって、この盤、今でもお気に入りです。

アルバム・タイトルの『Mint Jams』、mint-condition (作りたての、真新しいの意) の「mint」と jam-session(ジャム・セッション)の「jam」を合わせた造語で「最高の演奏」を意味するとのこと。なるほど、この盤に詰まっている音を聴けば、その「最高の演奏」の意味するところが良く判る。カシオペアのベスト盤の位置づけとして、今でもお気に入り盤の一枚です。

 
 

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2018年9月12日 (水曜日)

カシオペアの高いポテンシャル

日本発のフュージョン・バンド、カシオペア(CASIOPEA)。カシオペアは、僕がジャズを聴き始めた頃、1979年にデビュー盤をリリース。それを聴いて一発で好きになって、リアルタイムでずっと聴き続けて来た。昨年辺りから、またまたカシオペアが聴きたくなって、順番にオリジナル盤を聴き直している。今は1980年代に入って1982年である。

CASIOPEA『4×4 FOUR BY FOUR』(写真)。1982年10月12日の録音。アルファ・レコード時代のカシオペア作品集の第2弾。カシオペアが、来日公演を行う直前だったリー・リトナーのグループと共演した、珍しい内容のアルバムである。カシオペアのメンバー4人とリトナー・グループのメンバー4人でのセッションだったので「4×4」というアルバム・タイトルになった。

ちなみにカシオペアのメンバーは、野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b, per), 神保彰 (ds)、リトナー・グループのメンバーは、 Lee Ritenour (g), Don Grusin (key), Nathan East (b), Harvey Mason (ds)。いやはや、リトナー・グループのメンバーは凄腕揃い。セッションするに相手に不足は無い、どころか、相手が凄すぎるのではないか、という不安がよぎるくらいの凄腕揃い。
 

Casiopea_44  

 
冒頭の「Mid-Manhattan」は聴けば、思わず「おおっ」と思う。凄腕揃いのリトナー・グループを向こうに回して、カシオペアのメンバーは全くひけを取らない演奏を繰り広げている。1982年当時、僕はこのアルバムを聴いて、この日本発のフュージョン・バンドは政界的に十分に通用するレベルなんだ、と確信した。それにしても「Mid-Manhattan」って良い曲ですよね。

2曲目の「亡き王女のためのパヴァーヌ」(Pavane -Pour Une Infante Dẻfunte-)が素晴らしい。2つの優秀なフュージョン・バンドを一体となって融合した演奏は官能的でかつ、実に印象的。リトナーと野呂の泣きのギターの共演は今の耳で聴いても惚れ惚れする。そうそう、メイソンと神保のダブル・ドラムを素晴らしい。弾け飛ぶようなビートはまさに爽快。

このレコーディング・セッションは「リハーサル無し、僅か9時間で演奏を終了」と当時、雑誌で読んだかと思う。当時、リハーサル無しにはビックリした。リハーサル無しでこれだけのクオリティーの演奏を叩き出せるとは、カシオペアというバンドの高いポテンシャルを再認識したアルバムであった。もう迷うことは無い、カシオペアについては解散するまでついていこう、この盤を聴いて、そう思った。

 
 

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2016年8月11日 (木曜日)

CASIOPEA 3rd『I・BU・KI』

CASIOPEA(カシオペア)は、1979年にデビューして以来、僕のお気に入りのフュージョン・バンドである。ちょうど、僕がジャズを本格的に聴き始めてほどない頃、このCASIOPEAに出会った。

エレクトリック、バカテク、ダイナミックな展開。そして、なによりフレーズが印象的。バカテクのプログレ集団の様でもあり、フュージョン・ジャズの中でソフト&メロウな雰囲気へ容易に走らない、エレクトリック・フュージョンにおける硬派で骨太な存在として、僕のお気に入りのフュージョン・バンドとなった。

あれから幾年幾星霜。2006年にすべての活動を一旦休止。2012年にCASIOPEA 3rd(カシオペア・サード)として活動を再開。活動再開と同時に長年のオリジナル・メンバーであった、キーボード担当の向谷の脱退を受け、その後任として、大高清美の加入により現在の形態になる。ギターが野呂一生、ベースが鳴瀬喜博、キーボード大高清美、そしてドラムが神保彰(サポート)の4人編成。

このCASIOPEA 3rdが好調である。そして、今年も早々と新作が届けられた。CASIOPEA 3rd『I・BU・KI』(写真左)。7月27日発売のCASIOPEA 3rd、3作目にあたるアルバムになる。
 

Casiopea_3rd_ibuki

 
冒頭の「ME・ZA・ME」を聴けば、このCASIOPEA 3rdの音の個性が、3作目のアルバムにして確立された感がある。大高清美のキーボードが全面的にフィーチャーされて、野呂一生のギターと対等にフロントを張る。大高清美のキーボードが大活躍。そこに野呂一生のエレギがガッチリと絡む。

大高清美のキーボードが全面に押し出されて、重心の低い、分厚くてドッシリ安定感のある、新しい「カシオペア・サウンド」が確立されている。加えて、4人のメンバーのテクニックが優秀が故に、演奏全体の切れ味が抜群で、ダレたところが全く無い。まあ、これは、もともとの「CASIOPEAの伝統の音」ではある。

そして、この新作で特筆すべきことであるが、楽曲自体の出来とアレンジが秀逸なので、耳が疲れることは無い。分厚くてドッシリ安定感のある、流麗で聴き易さのある楽曲が素晴らしい。特に、大高清美の提供曲は出来が良い。コンポーザーとしての能力も高い。野呂一生の曲の出来の良さは「言わずもがな」で、大高の提供曲によって、バンド全体の音の幅がダイナミックに広がっている。

疾走感と爽快感が素晴らしく、このCASIOPEA 3rdの様なフュージョン・ジャズのサウンドは他の国では聴くことが出来ない。日本発オリジナルなCASIOPEA 3rdの音である。

 
 

震災から5年5ヶ月。決して忘れない。まだ5年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2016年8月 5日 (金曜日)

カシオペアの傑作フュージョン

CASIOPEA『Eyes of The Mind』で、明確に音が変化したカシオペア。腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズ。ハーヴィー・メイソンのプロデュースの賜であった。 これだけ音の変化したカシオペア。次作はどうなるのか。当時、興味津々であった。

その次作が、CASIOPEA『Cross Point』(写真左)。1981年10月のリリース。この盤は、ハーヴィー・メイソンを日本に呼んで、リズム・トラックのプロデュースを依頼した作品。前作『Eyes of The Mind』で得た「それまでと違うビート感」を日本のレコーディングでも出したい、というのが動機らしい。

で、リリース当時、聴いてみたら、ちょっと違うんですよね。リズム&ビートの部分の雰囲気が。なんか違う。当時、確か、そんな記事を「ADLIB」誌で読んで聴き比べましたね〜。具体的にどう違うんだ、と。そして、聴いたら明らかに音の乾き方というか、抜け方というか、『Eyes of The Mind』がドライで、『Cross Point』がウェットな雰囲気に感じるんですよね。面白いなあ、と単純に思いました。

そういう音のニュアンスの違いはあったんですが、『Cross Point』単体で聴けば、カシオペアとして、実にバランスの取れた演奏が印象的です。さを前面に押し出した「イケイケ」のカシオペアと腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズのカシオペアの割合が「3対7」くらい。
 

Cross_point

 
つまり、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くす「イケイケ」のカシオペアとくて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョンのカシオペアのミックス度合いが絶妙なんですね。野呂・向谷・神保・桜井の4人の演奏のバランスも絶妙で、バンドとしての音がガッチリと固定されたアルバムだと僕は感じています。

以前のブログ記事で「カシオペア者(カシオペア・ファン)に大歓迎された、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くされたアルバム『Make Up City』。そして、今回の『Eyes of The Mind』は『Make Up City』とは、全く対極にある音。この二極性がカシオペアの音作りの個性として定着していく。」と書きましたが、この『Eyes of The Mind』の音の完成形が『Cross Point』だと思います。

改めて聴き直してみても、良い音だしてますよね。日本を代表するフュージョン・バンドとしても全く異論の無い音が、このアルバムに充満しています。カシオペア者の皆さんからも評価の高いアルバムなのも頷けます。日本フュージョン・ジャズの代表的アルバムの一枚です。

 
 

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2016年7月26日 (火曜日)

明確に音が変化したカシオペア

カシオペアは、僕がジャズを聴き初めて程なくデビューしたので、今までずっと親近感を覚えてきたバンドである。特に、純日本というところが更に良い。デビューアルバムからずっと聴き続けて来たバンドである。

このアルバムは、僕にとってカシオペアが「永遠のお気に入り」のバンドに昇格した記念すべきアルバムである。そのアルバムとは、CASIOPEA『Eyes of The Mind』(写真左)。1981年4月のリリースになる。改めて、カシオペアのメンバーは、野呂一生 (el-g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds)。

このアルバムを初めて聴いた時、明らかに音が変わったと思った。ベースラインが太くなったというか、リズム&ビートが太くなったというか、とにかく演奏のベースが「太く逞しく」なった。そこにバカテクの野呂のギターと向谷のキーボードが躍動する。

しかし、バカテク優先の「かっ飛び」フレーズでは無い。太く逞しいビートに乗って、余裕あるスケールの大きいフレーズが展開されるのだ。しかも、録音が良いので直ぐに気がつくのだが、音が「乾いていてシンプル」。あれ〜なんでかな〜、なんて思いつつライナーノーツを読んで、ようやく合点がいった。

このアルバム、ロスの録音で、しかも、プロデュースがハーヴィー・メイソン。ハーヴィー・メイソンと言えば、フュージョン・ジャズのファースト・コール・ドラマー。このドラマーのプロデュースが、それまでのカシオペアの演奏を更なる高みに引き上げた。その最初の成果がこのアルバムである。
 

Eyes_of_the_mind

 
腰のしっかりと座った演奏が素晴らしい。上質のフュージョン・ジャズ、とりわけ、AOR系のフュージョン・ジャズと形容して良いであろう、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるバカテクな展開が素晴らしい。

聴いていて面白いのは、このカシオペアのフュージョン・ジャズって、その演奏レベルは、本場米国のフュージョン・ジャズの演奏レベルと比肩出来る、内容のあるテクニックに優れた内容なので、もしかしたら米国の有名なフュージョン・バンドの演奏か、と間違いそうなんだが、実は絶対に間違わない。どこか日本人的な雰囲気が漂う演奏なのだ。

とにかく、米国フュージョン・ジャズとは一線を画する個性的な演奏の数々。若さを前面に押し出した「イケイケ」のカシオペアも魅力的だが、この腰のしっかりと座った、太くて逞しいリズム&ビートに乗った、余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズの展開がとっても素敵である。

そういう意味で、このアルバムは、カシオペア者(カシオペア・ファン)のなかで評価が分かれる作品であろうかと思う。しかし、どっちの顔もカシオペアだと思う。この余裕あるAOR系のフュージョン・ジャズの展開を自家薬籠中のものとしたことで、カシオペアのバンドとしてのスケールはグッと一段も二段も広がった。

カシオペア者(カシオペア・ファン)に大歓迎された、エフェクターやシンセの大量導入で彩りある音で埋め尽くされたアルバム『Make Up City』。そして、今回の『Eyes of The Mind』は『Make Up City』とは、全く対極にある音。この二極性がカシオペアの音作りの個性として定着していく。

 
 

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2016年3月 1日 (火曜日)

カシオペア・サウンドの基準

1980年4月にリリースされた驚愕ライブ盤『Thunder Live』で、メジャーな存在となったCASIOPEA。野呂一生 (g), 向谷実 (key), 櫻井哲夫 (b), 神保彰 (ds) の最強の4人で、1980年11月にスタジオ録音盤をリリースする。日本フュージョンの名盤の一枚に数えられるほどの、これがまあ、素晴らしい出来のアルバムとなった。

CASIOPEA『Make Up City』(写真左)。カシオペアの通算4枚目のアルバムである。日本フュージョン・ジャズの到達点の一枚。冒頭の「Gypsy Wind」からラストの「Twinkle Wing」まで、とてもバランスのとれた優れた楽曲がズラリと並ぶ。そう、このアルバム、収録曲が粒ぞろい。

演奏のレベルはそれはもう最高のもの。野呂・向井・櫻井・神保の伝説の4人の演奏である。しかし、前作の『Thunder Live』までのテクニック第一の圧倒的演奏力でグイグイ押していく様な演奏では無い。テクニックを出しつつも適度に余裕を持った演奏が実に頼もしい。この余裕を持った演奏がこのアルバムの1番の聴きもの。

そして、このアルバムの音の特色は「シンセ・サウンド」と「デジタル・サウンド」。シンセ・サウンドの方は、シンセサイザーのマニピュレーターとして松武秀樹が全面参加して、その実力をいかんなく発揮している。デジタル・サウンドの方は、当時開発されたばかりの3M社の32トラックのデジタルテープレコーダーが使用されている。
 

Make_up_city1

 
当時の触れ込みは「日本初のデジタルレコーディングのアルバム」。但し、デジタル録音の欠点を補うためのアナログ処理は施されている。それでも、音のクリアさは特筆ものだった。自分のチープなステレオ・セットが1グレードアップした様な感じだったなあ。 

この『Make Up City』は、カシオペアの最初の基準となるアルバムです。デビュー盤から、メンバー・チェンジを経つつ、突き詰めてきたカシオペア・サウンドの最初の基準です。以降、アルバムをリリースする都度、このアルバムは『Make Up City』と比べて云々、などと評価される様になります。これって、カシオペア者として良く判るなあ(笑)。

日本のフュージョンもここまでやるんだ、とリリース当時、嬉しくなりました。近未来都市を連想させるイラストが素敵なジャケットも良好で、当時ヘビロテの一枚でした。今でも、ハードな純ジャズの合間の耳休めに、たまに聴いてはうっとりしています。良いフュージョン盤です。

そうそう、このアルバムのタイトル『Make Up City』って、ちょっと違和感を感じますよね。意訳すると「街を掃除しろ」。変なタイトルやなあ、と思っていたら、とある雑誌のインタビューで、カシオペアのメンバーいわく、「街を創りだす」という意味をこめてつけたとのこと。ちょっとそれちゃうやん、と思わず雑誌の記事に向かって突っ込みを入れたことを昨日のことの様に覚えています(笑)。

 
 

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