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2017年9月15日 (金曜日)

たった2つの楽器で奏でる音世界

涼しい。しかも湿度が低くなって、実に過ごしやすい夜である。これだけ、湿度が落ち着いて涼しくなると、ステレオから出てくる音も澄んでくる様に聴こえるのだから不思議だ。細かいニュアンスが判り易くなる様な気がして、この秋の気候になってくると、少人数のジャズに触手が伸びる様になる。

Joe Bonner『Suburban Fantasies』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Joe Bonner (p), Johnny Dyani (b)。1983年2月18日の録音。ジャケットのデザインも良い。スティープルチェイスからのリリース。アメリカ人ピアニストJoe Bonnerと南アフリカ人ベーシストJohnny Dyaniのデュオ盤。

Joe Bonner=ジョー・ボナー。あまりその名を聞くことが少ないピアニスト。このデュオ盤を聴けば、そのピアニストとしての個性が良く判る。剛直さとロマンチシズムを併せ持ち、ダイナミズムと繊細さが共存する、意外と他にありそうでないピアノ。
 

Suburban_fantasies

 
デュオの相方、ダラー・ブランドと活動していたベースのJohnny Dyani=ジョニー・ダイアニ。フォーキーでアーシーなピアニストの相棒だったダイアニ。腰の据わった重心の低いベースで、ボナーのピアノを支える。どっしりとしたアーシーなベース。ブンブンと重低音を振り撒きながら、リズム&ビートを供給していく。

ボナーのアドリブ・フレーズの基本は「ブルース」。しかし、くすんではいないし、粘ってもいない。フレーズの冴えと美しさ、そして切れ味は独特の個性。音もクッキリ、タッチも硬質。それでいてメロディアスな展開。スティープルチェイス的な音。欧州ジャズの音世界。

流麗なピアノの音色と重厚なベース。このたった2つの楽器で奏でる音世界が実に豊か。流麗な音の詰まったインプロビゼーション、そして、しっかりと「間」を活かした魅力的な「タメ」。硬軟自在、柔軟性溢れるデュオ演奏に思わず聴き惚れる。こんな、ほとんど無名のデュオ盤が転がっているのだから、ジャズは隅に置けない。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年9月14日 (木曜日)

セルビアはベオグラードのジャズ

欧州を旅して思うのだが、訪れたどの国にもジャズがある。地元のエンタメ系の雑誌やお店の案内カードを見ていると、必ず、ジャズのライブ・ハウスの紹介がある。ということで、その国を訪れたら、必ず、その国のジャズを探し、その国のジャズを聴く。すると、それぞれ、国によってジャズの音が違うのだ。国毎の個性とでも言うのだろうか。これって、意外と面白い。

アップル・ミュージックなど、ダウンロード・サイトが充実してきたお陰で、様々な国のジャズを聴ける様になった。ネットの中でも、様々な国のジャズに関する情報が充実してきており、知識レベルの情報の入手も楽になった。良い時代になった。昔は、米国ジャズでも情報不足の感があって、情報を得るのに雑誌を読んだり、本を読んだり。大変でした。

Bojan Zulfikarpasic『Solobsession』(写真左)。今日聴いた欧州ジャズ。ピアニストである。2008年の作品。まず、リーダーの名前を何て呼んだら良いか、判らない(笑)。「Bojan Zulfikarpasic=ボヤン・ズルフィカルパシチ」と読むそうだ。ボヤンは判る。でも、セカンド・ネームが判らない。この名前からすると「北欧系」か、と思うが、冒頭の演奏を聴くと「違う」。

北欧系独特の響きの拡がりとクリスタル感が希薄。加えて、ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。そうすると、英国系若しくは仏蘭西系は無い。ましてや独系でも無い。ん〜、どこのジャズなん?
  

Bojan_zulfikarpasicsolobsession

 
実は、旧ユーゴスラビア、ベオグラード出身でフランスを舞台に活躍するジャズ・ピアニストとのこと。名前が長いので、通称「Bojan Z」で通しているらしい。なるほど、ベオグラードだから、今の国名で言うと「セルビア」。この盤に詰まっていろ音は「セルビア」のジャズ、東欧のジャズである。

この『Solobsession』は、ボヤンのソロ・ピアノ盤である。よって、ボヤンのピアノの個性が露わになる。ファンクネスは皆無。タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易く、ピアノの響きを美しい。テクニックも優秀。緩急自在なインプロビゼーションで、アルバム全編を一気に聴き切ってしまう。

ピアノの特殊奏法を駆使した演奏、プログレの様な変拍子の演奏、フリーキーな展開をところどころ「チラ見せ」しつつ、どこかポップな響きのインプロビゼーションは今風のスピリチュアルな響き。今までにありそうで無かったピアノ・ソロで、一度填まると、暫く、病みつきになるほどの個性。

しかし、アルバム・ジャケットの雰囲気と「Bojan Zulfikarpasic」という姓名の文字の雰囲気から、これ「北欧ジャズ」系ね、と思ってしまうんだが、これがまあ、全く違うんですね。でも、タッチは骨太でそれでいて品の良い力強さ。流麗ではあるが無骨。アドリブ・フレーズはどこかポップな雰囲気が親しみ易い。と良い方に転んで、この盤の魅力にドップリと填まってしまいます。

 
 

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2017年9月 7日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・113

ジャズを聴き始めてから、かれこれ40年になる。もうそんなになるのか。所有するCDも相当数に登り、もうデータベースにしておかないと所有しているのかいないのか、聴いたことがあるのか無いのか、判らなくなっている。それでも、ジャズは飽きない。飽きないどころか、どんどん深みにはまっていっている。

そんなジャズ大好き人間の僕が、この盤は聴いたことも見たことも無かった。つい先日、ネットを徘徊していて、誰かのブログにぶち当たって、見慣れないジャケット写真が目に入って、その紹介文を読んでみたら「え〜、この盤、知らんなあ」。しかし、である。この盤のジャケットの写真、これが凄く魅力的。「良い音出してるよ〜」って語りかけてくる様なジャケット。「ジャズ喫茶で流したい」ネタな盤である。

Count Basie and Dizzy Gillespie『The Gifted Ones』(写真)。1977年の録音。ちなみにパーソネルは、Count Basie (p), Dizzy Gillespie (tp), Joe Pass (g), Ray Brown (b), Mickey Roker (ds)。ガレスピーのトランペットのフロント1管。ギター+ピアノ、そしてベース+ドラムのリズム・セクション。
 

The_gifted_ones

 
いや〜、むっちゃ趣味の良いハードバップ。まず、カウント・ベイシーのピアノが絶品。音数少なく、ポロンポロンと絶妙の間とテンポの無茶苦茶に個性的なピアノ。シンプルそして侘び寂び。そんなむっちゃ粋な静かなピアノ。そこにガレスピーのバップなトランペットが鳴り響く。トランペットの音にベイシーのピアノはかき消されるのか、と思いきや、その存在感たるや驚きの「静謐なピアノ」である。

ガレスピーのトランペットも凄く良い。エモーショナルなブロウもあれば、流麗で語りかける様な優しいブロウもある。あのビ・バップなトランペット一辺倒のガレスピーが、これだけ変幻自在、硬軟自在なブログを繰り広げるとは思わなかった。メリハリ効いたガレスピーのトランペットと音数少なく、ポロンポロンと絶妙の間とテンポのベイシーのピアノ。素晴らしい対比。

パスのギター、ブラウンのベース、ロッカーのドラム、職人気質のリズム・セクションが、そんな主役の二人、ガレスピーとベイシーをしっかりとサポートする。いや〜、これぞジャズって感じの演奏に思わず聴き惚れる。しかし、こんな盤があったなんて。パブロ・レーベルからのリリースなのでメジャーな盤の類。日本で何故ジャズ雑誌なので、絶賛&紹介されなかったのか、が不思議な、思い切り充実の内容。好盤です。
 
 
 

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2017年9月 4日 (月曜日)

エバンス者のマストアイテム盤

ビル・エバンスの未発表音源って、エバンス逝去後37年が経っているのに、まだまだ出てくる、出てくる。昨年『Some Other Time : The Lost Session From The Black Forest』が出た。1968年6月15日にライヴ録音された名盤『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』の5日後、1968年6月20日、ドイツでのスタジオ録音だった。

そして、である。今年は、Bill Evans『Another Time : The Hilversum Concert』(写真左)が出た。これは『モントルー・ジャズ・フェスティヴァルのビル・エヴァンス』のちょうど一週間後、先の『Some Other Time』の僅か2日後の6月22日、オランダのヒルフェルスムで行われたコンサートの音源とのこと。ラジオ局のスタジオでのライブ音源。

ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Jack DeJohnette (ds)。つまり、歴代のエヴァンス・トリオの中で、一番、残された音源が少ない、とされた「伝説のトリオ」。このエバンス、ゴメス、ディジョネットによるトリオは活動期間がわずか6カ月だった。だから残された音源はほとんど無いとされた。が、昨年から未発表音源として、出てくる、出てくる(笑)。
 

Another_time_bill_evans

 
しかも、約50年の年月を経て発掘された音源なんだが音が良い。特に、デジョネットのドラムの音が実に生々しい。これほど、デジョネットのドラミングのニュアンスやテクニックが生々しく聴けるアルバムはなかなか無いのではないか。ゴメスのベースが目立つアルバムは多いが、このライブ盤ではゴメスのベースよりもデジョネットのドラムである。

演奏内容については、どれもが充実している。ダレたところや抜けたところが全く無い。適度なテンション、漲る集中力。エバンス・トリオ十八番の、トリオの3者対等のインプロビゼーション。エバンスのバップなピアノが切れ味良く響き渡る。エバンスのピアノは、決して「耽美的」では無い。どちらかと言えば、ハード・バッパーなピアノ。その音の重ね方とアドリブの展開が思いっきり個性的でエバンスは数々のフォロワーを生んだ。

しかし、こういう未発表音源がいきなり発掘されるなんて、どうなってんでしょ(笑)。『Montreux』『Some Other Time』『Another Time』、この3枚のアルバムはビル・エバンス者にとってはマストアイテム。どれもが、このエバンス、ゴメス、ディジョネットによるトリオの特徴をしっかりと聴かせてくれます。恐らく、歴代のトリオの中で、一番「ハードで硬派」。良いライブ盤が出てきました。嬉しい限りです。

 
 

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2017年8月29日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・62

ジャズ者初心者の頃、このアルバムを初めて聴いた時は、そんなに凄いアルバムとは思わなかった。ピアノ・トリオなんだけど、何だかベースの音が多い。なんだかベースの音が多いなあ、というのが最初の印象(笑)。それでも、かのピアノ・トリオの雄、ビル・エバンス・トリオのライブ盤なので、有り難がって聴いていた。

なぜベースの音が多いのか。この盤が、ベースのスコット・ラファロの追悼盤の位置づけだということをその後、知った。なるほど、だからベースの音が多いのか。しかし、よくよくこのライブ盤を聴いていると、ピアノの音とベースの音とドラムの音が同じ割合を占めているのに気がついた。

このライブ盤とは、Bill Evans『Sunday at the Village Vanguard』(写真左)。1961年6月25日、NYのライブハウス、ビレッジ・バンガードでの伝説のライブ録音。改めて、ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Scott LaFaro (b), Paul Motian (ds)。かの伝説のピアノ・トリオである。

かのビル・エバンスの名ライブ盤『Waltz for Debby』と対をなすライブ盤である。今では、この1961年6月25日のビレバガでのライブ音源は、演奏順を忠実に守ったコンプリート・ボックス盤も出ているのだが、演奏の音の「密度」という点では、やはりこの『Sunday at the Village Vanguard』と『Waltz for Debby』の二枚構成が優れている。
 

Sunday_at_the_village_vanguard

 
この伝説のピアノ・トリオは、何が伝説かというと、それまではピアノ・トリオの場合、ピアノがメイン、ドラムとベースはバックでリズム&ビートを刻むというバランスが基本だった時代に、ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する、という今では当たり前のことを初めて実現し、レコーディングに残した、というのが伝説と呼ばれる所以である。

しかし、面白いのは、他の伝説のビル・エバンス・トリオのアルバムでは、なかなかこの「ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する」が判り難い。逆に、このラファロの追悼盤の位置付けの『Sunday at the Village Vanguard』では、その「ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する」がとっても判り易い。

ベースの音が他のアルバムと比べて多いからだろう。ベースの音は地味なので、ピアノの音やドラムの音と比べて、同じバランスに聴こえるには、このライブ盤くらい「なんだかベースの音が多いなあ」と感じる位のバランスが丁度良いのかもしれない。

そういう意味で、この『Sunday at the Village Vanguard』は、ピアノとベースとドラムが対等な立場でインプロビゼーションを展開する」を体感出来る格好のアルバムだと言える。

 
 

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2017年8月22日 (火曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・58

ジャズの世界は、何もビッグネームなレジェンド級のジャズメンだけが優れている訳では無い。たまたま、ビッグネームになる機会に恵まれなかった「玄人好み」のジャズメンも沢山いる。演奏するジャズは、レジェンド級にひけを取らない「優れもの」。そんな「玄人好み」のジャズ盤との出会いは格別なものがある。

Stanley Cowell『No Illusions』(写真左)。今年の新盤。最近の「玄人好み」のジャズ盤との出会いはこの盤である。録音は2015年12月。ちなみにパーソネルは、Stanley Cowell (p), Bruce Williams (as, fl), Jay Anderson (b), Billy Drummond (ds)。純ジャズの老舗レーベルであるSteepleChaseからのリリース。ジャケットも洒落ていて、内容に期待が持てる。

リーダーのピアニスト、スタンリー・カウエルのSteepleChaseでの15枚目のリーダー作となるとのこと。もうカウエルって、SteepleChaseのハウス・ピアニスト的存在やね。さて、この盤、コンテンポラリーな純ジャズな演奏がギッシリ詰まった、実に「硬派な」カルテット盤である。

ブルース・ウィリアムスのアルト・サックスとフルートが良い。スピリチュアルな雰囲気をガッツリと醸し出す優れたブロウ。カウエルの端正かつ「ちょっと危ない」ピアノと、このウィリアムスのアルトが聴きものである。
 

Stanley_cowell_no_illusions

 
スタンリー・カウエルは1941年生まれ。今年で76歳になる。クラシックばりの端正でカッチリしたピアノではあるが、ちょっとアヴァンギャルドな危険な香りのする、ちょっと「危ない」ピアニストである。1999年には、ヴィーナス・レコードの『恋のダンサー』で、魂を売ってしまったような、イージーな企画に寄り道したりもしたが、この新盤では、しっかりと硬派な純ジャズに返り咲いている。

この盤では、硬派でモーダルな純ジャズをベースにはしているが、そこかしこに、スピリチュアルな要素や、米国ルーツ・ミュージックな要素、ネイティヴ・アフリカンな要素などを織り込んでいて、昔のモーダルな純ジャズとはちょっと異なった響き、現代ジャズの先端のトレンディーな響きが芳しい。現在のジャズの「ええ感じ」な響きが良い。

決してポップでは無いし、決してコマーシャルでは無い。ジャズ界のビッグネームでも無ければ、レジェンドでも無い。それでも、この盤には「玄人好み」の心地良い、コンテンポラリーな純ジャズな演奏がギッシリ詰まっている。現在のジャズの「ええところ」を聴かせてくれる好盤である。

こういう「玄人好み」のジャズ盤は、昼下がりのジャズ喫茶の、人が引けた、閑散とした感じの静かな室内で、誰に聴かすでも無く、ゆったりと流しているのが良い。ちょっともの淋しい雰囲気を醸し出しながら、現在のジャズの「ええ感じ」な響き。好盤です。

 
 

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2017年8月20日 (日曜日)

ながら聴きのジャズも良い・24

今年の新作の中にアーマッド・ジャマル(Ahmad Jamal)の名前を見つけた。アーマッド・ジャマルと言えば、ハードバップ時代、あの帝王マイルスがメンバーに欲しがった伝説のピアニストである。幾つになるんだ。1930年7月生まれだから、今年で87歳になる。大ベテランというか、生きる「レジェンド」である。

そんな生きる「レジェンド」のジャマルであるが、21世紀になってからも(70歳を過ぎてからも)、リーダー作を2〜3年に1作はリリースしていて、その内容は十分に水準以上の内容を維持しているのだから凄い。ピアノのタッチは、マイルスの言う「間(スペース)のコンセプト、タッチの軽さ、控えめな表現、そして独特のリズム感」は全く1950年代から変わっていない。これも凄いこと。

Ahmad Jamal『Marseille』(写真左)。今年の新作である。本作は南仏の魅惑的な都市「マルセイユ」に捧げた一作。ちなみにパーソネルは、Ahmad Jamal (p), James Cammack (b), Herlin Riley (ds), Manolo Badrena (perc), Abd Al Malik, Mina Agossi (vo)。基本はピアノ・トリオ。リズムのアクセント付けにパーカッションを入れている。
 

Ahmad_jamal_marseille

 
このアルバムの特色はボーカルの存在だろう。このボーカルの存在で、現在のジャズのトレンドのひとつである「スピリチュアル」な表現を獲得している。ボーカルとは言え、朗々と唄うのでは無い、語りかける様な「ラップ」的表現であり、ゴスペル的な雰囲気も漂わせつつ、 このアルバムでも良いアクセントになっている。

主役のアーマッド・ジャマル・トリオの演奏は相変わらずのもので、特にジャマルのピアノについては、彼独特の「間(スペース)のコンセプト、タッチの軽さ、控えめな表現、そして独特のリズム感」は全く変わっていない。ジャマル独特の充実のピアノ・トリオのパフォーマンスが楽しめる。これで今年87歳なんだから、ジャマルって凄いなあ。

爽快感溢れる演奏がメイン、とりわけジャマルのピアノの、間を活かしたアドリブ展開が仄かに影を落としつつ、陰影のある墨絵の様な表現に思わず耳を奪われる。ベースとドラムのリズム・セクションもジャマルのピアノの特性に追従していて、軽快かつ控えめではあるが堅実なリズム&ビートを供給していて、これも聴き心地が実に良い。久々にながら聴きに最適なピアノ・トリオ盤。好盤です。

 
 

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2017年8月 8日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・110

欧州の国々を旅行すると良く判るんだが、どの国にもジャズがある。その国独特のジャズが存在していて、ジャズのライブ・スポットもあるし、レストランなんかで、BGMでジャズが流れていたりする。もともと米国発祥のジャズが、この大西洋を渡った欧州で脈々とその歴史を継いでいるのだ。

今日は「フレンチ・ジャズ」。芸術の都「パリ」が控えるフランス。新しいアートについては、敏感に反応し、良いものについては、臆すること無く、積極的に取り込む。諸手を挙げて評価する。そんなフランスである。1940年代のビ・バップから1950年代のハードバップに敏感に反応し、米国から渡り住んできた、多くのジャズメンを暖かく迎えた。そんなフランスのジャズである。

Georges Arvanitas『Bird of Paradise』(写真左)。1988年7月の録音。ちなみにパーソネルは、Georges Arvanitas (p), Jacky Samson (b), Charles Saundrais (ds)。ピアノ・トリオである。トリオのメンバーはオール・フランス。出てくる音は確かに「フランスやな〜」って感じの音だから、ジャズって面白い。
 

Georges_arvanitas_bird_of_paradise

 
感性のピアノ・トリオである。決して、理詰めでは無い。感覚最優先の力強いネオ・ハードバップな音作り。アレンジは最低限に留め、三者対等のインプロビゼーションを感性のおもむくまま、ちょっとラフなアンサンブルとアドリブ展開。ゆるゆるだけど決めるところはバシッと決める。品良く跳ねるようなオフビートを感じて、僕はこのトリオ演奏を「シャンパン・トリオ」と呼ぶ(笑)。

全16曲が収録されているが、6曲がアルヴァニタスのピアノ・ソロ。このソロがこれまた味わい深い。米国でもなければ、欧州の他の国のジャズ・ピアノの雰囲気とも全く違う雰囲気の、このフランス独特の(と言って良いだろう)ジャズ・ピアノの響きとフレーズ。力強いがどこかラフな雰囲気が漂いつつ、感性のおもむくまま、決めるところは決める。

ジョルジュ・アルヴァニタス (Georges Arvanitas)は、1931年6月生まれ。惜しくも2005年9月に逝去。享年74歳。フランスはマルセイユ生まれのジャズ・ピアノ奏者である。当初はクラシックのピアニストとして訓練を受けただけある、確かなテクニックに裏打ちされたバップなピアノは実に魅力的。もっともっと彼のピアノが聴きたい。そんな気持ちで一杯になりました。

 
 

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2017年8月 3日 (木曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・57

北欧ジャズは、昼下がりのジャズ喫茶に良く似合う。それも、昼ご飯時の喧噪が潮のように引いた、客も疎らになった静かな店内。そんな静かな店内に流れる北欧ジャズ。透明感のある音と独特な深いエコー。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。昼下がりもこの真夏の昼下がりが良い。エアコンの効いた客も疎らなジャズ喫茶の寂しさ漂う空間が良い。

Nikolaj Hess『Trio』(写真左)。2012年の作品。ちなみにパーソネルは、Nikolaj Hess (p), Tony Sherr (b), Kenny Wollensen (ds)。Nikolaj Hess=ニコライ・ヘスは、透明感のあるトーンとリリカルなフレーズが個性の北欧はデンマークのピアニスト。ロックやポップスの楽曲を積極的にカヴァーするのも特徴で、この盤でも、4曲目の「Masters At War」はボブ・ディランの作。

冒頭の「Make You Feel My Love」を聴くだけで、あ〜これは北欧ジャズやなあ、と判る。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。す〜っと余韻の伸びるピアノの音。切れ味の良い純度の高いシンバルの響き。リリカルでしっかりとビートの効いたドラム。3者対等なピアノ・トリオのインプロビゼーション。明らかにこの盤は「北欧ジャズ」。
 

Nikolaj_hess_trio

 
2曲目「Film」は打って変わって躍動感溢れるトリオ・インプロビゼーション。ダイナミックな展開ではあるが、それぞれの音は透明度の高い、切れ味の良い音。結構、自由度の高いアドリブ展開を繰り広げるが、決して破綻することは無い。ふらつくことも無い。整然と北欧ジャズらしい、スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。

自由度の高い、モーダルなインプロビゼーションではあるが、全編に渡ってリズム&ビートが整っているが故、非常に聴き易く、飽きが来ない。モーダルなアドリブフレーズを耳で追っているうちに、一気に聴き切ってしまう。テクニック確かな、端正なトリオ演奏。メリハリと抑揚、緩急が効いたバリエーション豊かな展開。

北欧ジャズは、エアコンの効いた客も疎らな、独特の寂しさ漂う「昼下がりのジャズ喫茶」に良く似合う。透明感のある音と独特な深いエコー。静謐感溢れる透明度の高い、エコーの効いた音世界。思わず「微睡み」を誘われ、ついつい至福の時に身を委ねる。そんな北欧ジャズが朗々と流れる、そんなジャズ喫茶の昼下がりが僕は大好きだ。

 
 

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2017年8月 1日 (火曜日)

エアコンに「北欧ジャズ」である

午後から雨が降って、湿度は高いがちょっと涼しくなった我が千葉県北西部地方。ちょっと涼しくなったが、湿度の高さは相変わらずで、仕事帰りの疲れた体に良くないので、結局、部屋にはエアコンである。エアコンをかけると、当然、窓を閉めるので、室内は静かになる。エアコンで湿度が和らいで静かな室内。

そんな部屋には「北欧ジャズ」である(笑)。いや、冗談無しにエアコンで湿度が和らいだ部屋には「北欧ジャズ」が良く似合う。北欧の純ジャズは一定の傾向がある。透明感のある音とエコー。ファンクネス皆無。クラシック音楽に根ざした正統なフレーズ回し。スピリチュアル&エモーショナルのバランス取れた情感表現。決して熱くならない、冷徹に盛り上がるクリスタルな表現。思わず「北欧やな〜」と唸ってしまう(笑)。

今日選んだ「北欧ジャズ」盤は、Hans Ulrik & Lars Jansson『EQUILIBRIUM+』(写真左)。デンマークの人気サックス奏者ハンス・ウルリク(写真右)をフロントに迎えた、スウェーデンの抒情派ピアノ名手ラーシュ・ヤンソン率いるトリオの作品である。
 

Equilibrium

 
タイトルに「+」が付いているのは何故か。この盤は、収録曲をよくよく見ると判るのだが、2012年録音の新作『Equilibrium』全11曲から9曲をセレクト、更に、同じくウルリクとヤンソンの共演による1994年録音のウルリク名義の『Strange World』全12曲からの5曲をプラスした日本独自編集盤である。だから「+」が付くのか。なるほど。

冒頭の「Downward Dog」から、完璧な「北欧ジャズ」である。ところどころ、4ビートのゴスペルチックなフレーズが出てくるんだが、これが実に良い雰囲気。僕はこの展開が大好きだ。でも、決して「黒くならない」。ファンクネスも漂わない。それでも、思いっきりジャジーなビートが実にスインギー。フォーキーで牧歌的な寛ぎのフレーズが心地良い。

ウルリクの開放感溢れる、ストレートに伸びた大らかなサックスと、ほど良く抑制された躍動感&透明感溢れるヤンソンのピアノ。ウルリクとヤンソンの持つ「北欧ジャズ」特有のリリカルな美しさがこの盤に満載である。いや〜「北欧ジャズ」は素晴らしい。

 
 

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