2022年11月24日 (木曜日)

Return to Foreverのラジオ音源

Return to Forever(リターン・フォー・エヴァー・以下RTFと略)のブート音源はあまり見かけ無いのですが、今回、音源のサブスク・サイトにアップされてきた音源を見つけた。エレクトリック化したRTFの、ギターが、ビル・サマーズからアル・ディ・メオラに変わったばかり、『Where Have I Known You Before(邦題 : 銀河の輝映)』を録音したばかりの時期のライヴ音源である。

Return to Forever『Alive In America』(写真左)。1974年8月8日のライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (key), Stanley Clarke (b), Al Di Meola (g), Lenny White (ds)。コロラド州デンバーのエベッツ・フィールドのラジオ放送の音源とのこと。ラジオ音源なので、意外と音が良い。

冒頭「Beyond The Seventh Galaxy」から「Vulcan Worlds」〜「The Shadow Of Lo」〜「Where Have I Known You Before」と、『Where Have I Known You Before(邦題 : 銀河の輝映)』に収録されている楽曲が迫力あるパフォーマンスで展開される。たった4人の演奏とは思えない、ど迫力の分厚い演奏にちょっとビックリする。メンバーそれぞれの演奏能力の高さが窺い知れる。
 

Return-to-foreveralive-in-america

 
特に、さすがはチック、キーボードの演奏力はずば抜けている。当時、エレキの演奏といえば、プログレッシブ・ロックだが、プログレのキーボード演奏などとは比べものにならない、切れ味の良い高度なテクニック、迫力ある分厚い音、官能的に歪んだ音、疾走感溢れる弾き回し。とにかく、キーボードのテクニックが凄い。なるほど、当時、エレ・マイルスが愛したキーボーダーである。

このライヴ音源には、メンバー各人のロング・ソロが入っている。その中でも、スタンリー・クラークのエレベのソロ・パフォーマンスが「ど迫力」。レニー・ホワイトのドラム・ソロも意外と聴き応えがある。チックのソロは曲目のタイトルに無いが、ラストの「Song to the Pharoah Kings」で、チックのキーボードがふんだんにフィーチャーされている。ディメオラのソロはとにかく超絶技巧。あまりに超絶技巧で聴いていて飽きてくる(笑)。

ただし、このメンバー各人のソロは、それぞれの楽器のパフォーマンスに興味のある向きには聴き甲斐があるが、一般のジャズ者の方々には、ちょっと冗長かもしれない。それを考えると、このライヴ音源って、ちょっと趣味性が高い。そこを勘案して、このライヴ音源を鑑賞していただきたい。当時のRTFの演奏力のずば抜けた高さをダイレクトに実感出来る内容で、聴き応えは十分です。
 
 

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2022年11月18日 (金曜日)

エヴァンスの「多重録音」第3弾

ビル・エヴァンスのワーナー時代、最晩年のリーダー作を再度、聴き直している訳だが、実は6枚しかない。1977年8月、ワーナーに移籍して録音を始めたら、なんと1980年9月15日には鬼籍に入ってしまったのだから、ワーナー時代は実質3年ほどしかない。リーダー作が少ないのは仕方が無い。

Bill Evans『New Conversations』(写真)。1978年1月26~28日30日、2月13~16日録音。パーソネルは、Bill Evans (ac-p,el-p)のみ。ビル・エヴァンスのソロ盤ですが、作りは「多重録音」。アコピとフェンダー・ローズをオーバーダビングするという手法を駆使して録音した作品。邦題は『未知との対話ー独白 対話 そして鼎談』。なんと仰々しい邦題であることか(笑)。

ワーナーに移籍して最初に録音したのが『You Must Believe in Spring』だったのだが、何故かお蔵入りになって(1981年、エヴァンスの没後にリリース)、この多重録音の『New Conversations』がワーナー移籍後の初リーダー作になる。

エヴァンスは多重録音によるソロ・パフォーマンスが好みな様で、ヴァーヴ時代に『Conversations with Myself』(1963年)、『Further Conversations with Myself』(1967年)と2枚の「多重録音」盤を出している。そして、今回ご紹介する『New Conversations』は、この「対話シリーズ」の第三弾になる。
 

Bill-evansnew-conversations

 
第3弾となって、やっとこの「多重録音」での個性の表出が上手く出来る様になった感がある。前の2作にあった違和感、喧噪感が無い。多重録音による「良い効果」を自己表現出来る様になった。この多重録音による「良い効果」によって、ビル・エヴァンスのアコピとエレピの個性というものがハッキリ感じ取れる。

アコピにせよ、エレピにせよ、出てくるフレーズは「エヴァンス・オリジナル」なもので、全く異論は無い。特にこの時期のエヴァンスのアコピの特徴である、タッチは明快でフレーズは切れ味良く耽美的、エヴァンス独特の音の響きを伴った「流麗なバップ・ピアノ」な弾き回しが良く判る。

また、この盤を聴いて、改めて感心したんだが、エヴァンスはエレピが上手い。特に、フェンダー・ローズの扱いが上手い。軽く聴いていたら、どこかチック・コリアに似た、ローズの特性を十分に把握した、とてもリリカルでエモーショナルな弾き回しは見事。エヴァンスのエレピについては十分に評価するべきだろう。当時としても、このエレピの弾き回しは秀逸。

ワーナーに移籍して最初のリーダー作に「ソロ・パフォーマンスの多重録音」盤を持って来た理由は図りかねるが、録音当時のエヴァンスのピアニストとしての特徴が良く判る内容になっている。「ソロ・パフォーマンスの多重録音」はどこか際物の匂いがするが、気にすることは無い。エヴァンスのソロ・パフォーマンスを愛でるに十分なアルバムである。
 
 

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2022年11月17日 (木曜日)

『Affinity』はエヴァンス好盤

ビル・エヴァンスのワーナー時代、最晩年のリーダー作を再度、聴き直している。というか、このワーナー時代は、僕がジャズを聴き始めて間もない頃で、ほぼリアルタイムでエヴァンスのリーダー作に触れている。エヴァンスのリーダー作の中でも、とりわけ特別な懐かしさを感じるのが、このワーナー時代。

ワーナー時代は、レーベルとしては「Warner Bros.」「Elektra Musician」「Nonesuch」と変わるが、どれもが同系列。いずれのリーダー作も、ジャズを聴きはじめた頃に、FMラジオの番組で聴いては、そのエヴァンスのピアノに魅せられて、バイト代を叩いて、即、ゲットしていたなあ。

Bill Evans『Affinity』(写真)。1978年10月30日〜11月2日の録音。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p, key), Marc Johnson (b), Eliot Zigmund (ds), Larry Schneider (fl, ts, ss), Toots Thielemans (harmonica)。「エバンス・トリオと伝説のハーモニカ奏者 トゥーツ・シールマンスとの共演」との触れ込みだが、全曲で共演している訳では無い。

この盤、リリース当時は、プロ、アマ評論家の皆さんはこぞって、エヴァンスが、エレピは弾くわ、かつシールマンスのハーモニカと唐突なコラボはするわ、で概ね不評の大合唱(笑)。とにかく、エヴァンスについては、ストイックで耽美的なピアノ・トリオしか認めない、と言わんばかりで、この盤については「ケチョンケチョン」だった思い出がある。
 

Bill-evansaffinity

 
でも、ですね。当時もそう思ったし、今の耳で聴いてもそう思うんだが、この盤、なかなか良い内容だと思いますよ。エヴァンスのピアノは、ばりばりバップなピアノを弾きまくっていた時代を通り過ぎて、タッチは明快、フレーズは切れ味良く耽美的。流麗でバップな、エヴァンス独特の音の響きを伴った弾き回し。好パフォーマンスだと思います。

シールスマンとのコラボは数曲あるんですが、どれもが良い出来。さすがは伴奏上手なエヴァンス。シールスマンとの息の合ったデュオ・パフォーマンスは見事。ハーモニカはベースラインを押さえるのに不得手な楽器なので、マーク・ジョンソンのベースがサポートに入っていて、これが良いアクセントになっている。曲のベースラインがクッキリ浮き出て良し。

ラリー・シュナイダーのテナーは可も無く不可も無くではあるが、やはり、エヴァンスは「トリオ演奏」が良い感じ。数曲、トリオ演奏が入っているが、ファンタジー時代の「流麗ではあるが、ばりばりバップなピアノ」から、ほど良く力が抜けたタッチが実に良い。1978年、逝去の2年前にして、新しい響きのエヴァンスのピアノをこの盤で提示している。さすがである。

「聴かせるジャズ・ピアノ」「心地良く鑑賞出来るジャズ・ピアノ」として、この盤の内容は「アリ」だろう。昔のプロ、アマ評論家の皆さんが言うような「エヴァンスとしてあってはならない凡作」では無い。この盤でも、エヴァンスはしっかり「存在している」。しかも、新しい響きのエヴァンスが「いる」。エヴァンスとしての好盤です。
 
 

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2022年11月11日 (金曜日)

チック流のエレ・マイルス

Chick Corea『Is』は、1969年5月11–13日の録音。録音した時期は、チックがマイルス・バンドに参加していて、アグレッシヴでエモーショナルなローズをブイブイ弾き回していた頃。この盤は「チックの考えるエレ・マイルス」だと評価した訳だが、まだ、このセッションでの未収録曲があった。

Chick Corea『Sundance』(写真)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Hubert Laws (fl, piccolo-fl), Bennie Maupin (ts), Woody Shaw (tp), Dave Holland (b), Jack De Johnette (ds), Horace Arnold (ds)。 『Is』と同一セッションなので、当然、パーソネルも『Is』と同じ。リリースはさすがに『Is』から、2年8ヶ月後、1972年2月のリリースである。

『Is』でもそうだったが、ウディ・ショウ~ベニー・モウピン~ヒューバート・ロウズ、トランペット〜サックス〜フルートというフロントがチックらしい選択だろう。特に、ロウズのフルートを持って来たところに、後の「ユートピア・サウンド」へのアプローチを感じる。この辺りが、エレ・マイルスの「ファンク志向」とは異なるところ。

ホランドのベースとデジョネットのドラムが効いている。リズム&ビートは「ロスト・セッション」の頃のエレ・マイルスのリズム&ビート。そのビートをコリア流にアレンジして活用しているのが、この『Sundance』の音志向。そこに、エレ・マイルスの下でのエレピでは無く、アコピでチック流のエレ・マイルスを展開し尽くした。そんな音世界がこの盤に渦巻いている。
 

Chick-coreasundance

 
エレ・マイルスの「ファンク志向」を避けているところがチックの良い深慮遠謀。冒頭「The Brain」は限りなく自由度の高いビ・バップの様であり、2曲目「Song of Wind」は、限りなく自由度の高い新主流派の様であり、ラストのタイトル曲「Sundance」こそは、実にチックらしい、モーダルでキャッチャーな曲想で、後の「Return to Forever」を彷彿とさせる。

3曲目の「Converge」は完全なフリー・ジャズ。マイルスが絶対に手を出さなかったフリー・ジャズなんだが、ここでは、チックの考える「エレ・マイルスによるフリー・ジャズ」が感じられる。リズム&ビートによる約束事をベースに、集団即興演奏を展開する。

マイルスの嫌う、無手勝流の勝手気ままなフリー・ジャズでは無い。どこか、ビートによる規律が感じられるフリー・ジャズ。エレ・マイルスの手法をフリー・ジャズに応用して、チック流のフリー・ジャズを展開している様に聴こえる。

「エレ・チック」の根っこには、しっかりと「エレ・マイルス」がいるんやなあ、と妙に感心してしまう。しかも、この盤は「チック流のエレ・マイルス」。チックの音志向をエレ・マイルスの手法に落とし込み、チックの音志向を前面に押し出した「チック流のエレ・マイルス」。

そして、チック流のフリー・ジャズの基本的考え方がこの盤の「Converge」で取り纏められている。そして、この「基本的考え方」が、次のチックの展開である「サークル」で花開くのである。
 
 

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2022年11月 4日 (金曜日)

ソロライヴ「ボルドーのキース」

2017年2月15日の米「カーネギーホール」でのコンサート以降、一切公演を行っていないキース・ジャレット。その後、2018年2月と5月、2度の脳卒中を起こし、左半身が麻痺。1年掛けてかなりリハビリしたものの、片手でしか演奏できず、キースいわく「両手演奏のピアノ曲を聴くと、非常にもどかしく感じる」。それから、3年が経過している。キースの状態はどうなんだろう。

最近、キースはNPRからのインタヴューを受けたらしく、現在はニュージャージー州北西部の自宅で静かにリハビリを続けていて、ピアノの前に座り、インプロヴィゼーション、スタンダード、ビバップを右手で弾いていると明かしているそうだ。復帰する、しないに関わらず、回復して欲しいと切に思う。

Keith Jarrett『Bordeaux Concert』(写真左)。2016年7月6日、フランスのボルドーでのライヴ録音。キース・ジャレットのソロ・パフォーマンスの記録。

キースの最後の欧州ツアーの最初に録音された『ブダペスト・コンサート』、その欧州ツアーの最後に録音された『ミュンヘン2016』は既にリリースされている。今回リリースされた『ボルドー・コンサート』は、同じ最後の欧州ツアーにおけるブダペストのコンサートから3日後、ミュンヘンのコンサートの10日前に録音された作品。

ブタペストでは、前半は「バルトークへの生涯の愛着にインスパイアされたソロ・パフォーマンス」、後半は「耽美的でメロディアスで躍動的でジャジーなパフォーマンス」で構成されていた。
 

Keith-jarrettbordeaux-concert

 
ミュンヘンでは、前衛音楽の様なフリーキーな即興演奏から、アーシーなリズム&ビートを伴ったアメリカン・フォーキーな演奏、モーダルで限りなく自由なスタンダード演奏まで、なかなかバリエーションに富んだ内容だった。
 
このボルドーでは、ブダペストやミュンヘンと同じく、往年の「長尺の演奏で、起伏のある抒情的なメロディアスな曲」とは異なる、短尺の曲が志向を変えて入れ替わり立ち替わり展開されるという構成は変わらない。

オープニングは抑えめな曲調で、現代音楽風の無調なインプロから始まるが、後半になるに従って、ブタペストの様な「耽美的でメロディアスで躍動的でジャジーなパフォーマンス」になって、特に「美しい曲想」のパフォーマンスが多い。前半は「現代音楽〜現代クラシック」の志向が強く、後半は「極上の耽美的で躍動的なジャズ」の志向が強くなる。

キースのソロ・パフォーマンスのショーケースの様な内容で、適度なテンションの中、切れ味の良い、ダイナミックかつ繊細な、極上なピアノ・ソロの連続に、これはこれで良いよな、と一気に13の即興演奏を聴き通してしまう。

最近のインタヴューで、同じツアーで既に発売されている2作(ブタペスト、ミュンヘン)と本作以外に、他に訪れてライヴ演奏をした、ウィーンとローマも発表したいとのこと。そちらのリリースも大いに期待したい。
 
 
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2022年10月30日 (日曜日)

イエロージャケッツの最新作です

思えば、このフュージョン・バンド、イエロー・ジャケッツとても息が長い。1977年、ラッセル・フェランテを中心に結成され、1981年のフュージョン・ブームの最盛期にメジャー・デビュー、昨年メジャー・デビュー40周年を迎えている。レコード会社も幾つか変わり、メンバーも、リーダーのラッセル・フェランテ以外は全て入れ替わっているが、このフュージョン・バンドの音志向は40年以上、大きな変化は無い。

Yellowjackets『Parallel Motion』(写真)。2021年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Russell Ferrante (key), Bob Mintzer (sax), Dane Alderson (el-b, MIDI sequencing), Will Kennedy (ds), guest: Jean Baylor (Vo) track 8。1ヶ月に及ぶ久々の欧州ツアーの終了後、スタジオに入り、録音されたもの。前作より、ベースがデイン・アルダーソンにチェンジしている。

まことに上質のフュージョン・ジャズである。演奏テクニックは高く、フレーズを奏でる「歌心」も十分。アーバンでポップな曲作りは健在。スムース・ジャズの様な、耳当たりの良いイージーリスニング風の音作りでは無い、しっかりとリズム&ビートが効いて、フレーズの展開についても、テクニック的に随所に工夫が見られ、聴いていて飽きることは無い。
 

Yellowjacketsparallel-motion

 
ユッタリ目の曲が全編に渡って続くが、これが、イエロージャケッツの音志向なので戸惑うことも無い。各曲共に、メンバーそれぞれの持ち味が発揮され、フレーズの展開もバリエーション豊かで、マンネリに陥ることは無い。8曲目「If You Believe」でのジーン・ベイラーのヴォーカルもいいアクセント。ボーカル曲がこの1曲に留めていて、演奏のバリエーション不足をボーカルで誤魔化すことの無いところに、イエロージャケッツの矜持を感じる。

パフォーマンスについては、バンドメンバー各人、それぞれの個性を発揮していて高いレベルを維持しているが、特に、リーダーのラッセル・フェンテのキーボードが好調。これまた好調のミンツァーのサックスと併せて、キャッチャーで耽美的で躍動感のあるソロを聴かせてくれる。そして、アルダーソンのベースも魅力的なラインを供給していて良い感じ。このアルダーソンのベースラインが演奏全体を引き締め、演奏自体を印象的なものにしている。

イエロージャケッツのフュージョン・ジャズの良いところは、演奏自体が人間っぽくて血が通った音だ、というところ。現代のフュージョン・ジャズだからといって、打ち込みに頼ること無く、メンバーそれぞれの血の通った演奏で展開されているという、1970年代後半のフュージョン全盛期のフュージョン・ジャズの良いところをしっかりと継承しているところが実に良い。この新作も暫く、ヘビロテになりそうだ。
 
 

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2022年10月26日 (水曜日)

80年代のモード・ジャズの創造

ジャズ・ドラマーがリーダーのアルバムを色々聴き直しているのだが、今回はエルヴィン・ジョーンズに戻る。

エルヴィンは1960年代、ジョン・コルトレーンの伝説のカルテットに在籍したこともあって、エルヴィン単独になっても「コルトレーン・ミュージックの継承者」とか、「コルトレーン・ジャズのスピリッツの伝承者」とか、特に我が国のジャズ評論家の方たちが、こぞって、そんな「レッテル」を張るので、エルヴィン独自のソロ・リーダー作はかなり誤解されながら、その評価が世の中のジャズ者の方々に伝わっていたのだと思う。

Elvin Jones-McCoy Tyner Quintet『Love And Peace』(写真左)。1982年4月13&14日、Rudy Van Gelder Studioでの録音。Trioレコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), McCoy Tyner (p), Richard Davis (b), Pharoah Sanders (ts), Jean-Paul Bourelly (g)。ファラオ・サンダースのテナーとジャン=ポール・ブレリーのギターがフロントのクインテット編成。
 
リーダーのエルヴィンがドラム、マッコイ・タイナーがピアノ、サックスにファラオ・サンダース、そして、タイトルに「Love」が入っていて、これが「A Love Supreme(至上の愛)」を想起するらしく、この盤「すわ、コルトレーン・ミュージックの再現」と思われる傾向がとても強い。

当時のLP評やCDリイシュー時の評を見ると「コルトレーン・ジャズのスピリットを80年代によみがえらせた」とか「コルトレーンのスピリッツを踏襲した傑作」とか、安直にコルトレーンと結びつけて終わり、という、少しイージーな評価ばかりである。
 

Elvin-jonesmccoy-tyner-quintetlove-and-p

 
しかし、この盤をよくよく聴いてみると、コルトレーン・ミュージックとの共通点は「モード・ジャズである」ということだけだと思う。フレーズの組立てとか、ユニゾン&ハーモニーとか、リズム&ビートとか、コルトレーンの時代とは異なる、より深化したモード・ジャズが展開されていて、コルトレーン・ジャズを踏襲しているところは殆ど見当たらない。

ウィントン・マルサリス一派が標榜した様な「1960年代のモード・ジャズの難度を飛躍的に上げて再現する」様なアプローチでは無く、あくまで、1960〜70年代のモード・ジャズをより深化させた、1980年代のモード・ジャズを具現化するアプローチを志向していると僕は思う。

サンダースのサックスだって、音がストレートなところが共通点だけで、コルトレーンとは似ても似つかぬブロウに終始していると思う。リーダーのエルヴィンだって、ピアノのタイナーだって、ベースのデイヴィスだって、1960年代のコルトレーンの伝説カルテットのリズム・セクションとは異なる、より深化した、モーダルなリズム&ビートを供給している。

この盤、日本のレーベルである「トリオ・レコード」の制作なのが余計に誤解を生むのだろうが、トリオ・レコードの名誉の為に言うと、この盤、決して、コルトレーン・ミュージックの焼き直しでも無ければ、コルトレーン・ジャズの再現でも無い。

トリオ・レコードは、エルヴィン以下のクインテットのメンバーに、1980年代のモード・ジャズの創造を要求している様に感じる。そして、クインテットはそれにしっかり応えている。ちゃんと聴けば、この盤、1980年代のモード・ジャズの傑作の1枚だと思う。
 
 

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2022年10月18日 (火曜日)

チックの考えるエレ・マイルス

チック・コリアのリーダー作の振り返り。リーダー作の第3弾。前リーダー作『Now He Sings, Now He Sobs』で、録音当時、ピアノ・トリオの最先端を行くパフォーマンスを披露したチック・コリア。次作では、いきなり「フリー・ジャズ」に接近する。

Chick Corea『Is』(写真左)。1969年5月11–13日の録音。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (ac-p, el-p), Woody Shaw (tp), Bennie Maupin (ts), Hubert Laws (fl, piccolo-fl), Dave Holland (b), Jack DeJohnette, Horace Arnold (ds)。

チック・コリアがリーダー。ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルートがフロント3管。チックのキーボードに、ホランドのベース、そして、デジョネットとアーノルドのダブル・ドラム。

今の目で見ると、明らかに当時のマイルス・デイヴィスのバンドの編成を意識していることが判る。このパーソネルに上がったメンバーが全員で集って演奏することは無い。曲によって、メンバーを選別している。これもマイルス流のプロデュースのやり方を踏襲していることが判る。

それもそのはずで、チックが録音した時期は、チックがマイルス・バンドに参加していて、アグレッシヴでエモーショナルなローズをブイブイ弾き回していた頃。それでやっと合点がいった。この盤は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」である。それで、この盤の内容がやっと理解出来る様になった。

以前は、この盤を聴いて「チックがフリー・ジャズに走った」と思って、しばらく敬遠していたのだが、改めて聴いてみて、そもそも、これって、フリー・ジャズでは無い。
 

Chick-corea-is
 

インプロビゼーションの進め方を統制する「リズム&ビート」が、演奏の底に流れていて、その「リズム&ビート」を決して外すこと無く、限りなく自由度の高い、アグレッシヴでクリエイディヴなモード・ジャズをやっている。

当時のマイルス・バンドとの違いは「ファンクネスの濃度」。「ジャズの即興性への飽くなき追求」と「クールでヒップなフレーズとビートの創造」については、マイルス・バンドと志向は同じ。

コリアのキーボード、ショウのトランペット、モウピンのテナー、ロウズのフルート。フロント楽器はいずれもハイテクニックでフレーズが尖りに尖っている。それでいて、フレーズのトーンはクールで革新的。切れ味良く、ダレたところは全く無い。

そして、要の「リズム&ビート」を担うのは、ホランドのベースと、デジョネット&アーノルドのドラム。ホランドのベースは、限りなく自由度の高いフロントのパフォーマンスの底を、負けずに自由度の高い、クリエイティヴなベースラインでガッチリ支える。デジョネット&アーノルドは、これまた自由度の高い、ポリリズミックなドラミングでフロントと対峙する。

やっとこの『Is』という盤の凄さが理解出来た気がする。現在では、このアルバム『Is』の演奏は『The Complete "Is" Sessions』で聴くことが出来るが、やはり、このオリジナル・アルバムの曲数と曲順、「Is」「Jamala」「This」「It」の順で聴くのが一番。オリジナル・アルバムの意図と志向が良く判るのでお勧め。

この『Is』の音志向は、チックの考える「当時のエレ・マイルス」。やっとこの『Is』について決着が付いた気分である。
 
 

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2022年10月15日 (土曜日)

ピエラヌンツィのクインテット盤

最近、やたら、エンリコ・ピエラヌンツィ(Enrico Pieranunzi)のリーダー作が目に付く。コロナ禍にも負けず、ピエラヌンツィの活動は充実しているのだろう。加えて、ピエラヌンツィは現代ジャズ・ピアノ、特に欧州ジャズ、伊ジャズにおけるピアニストの第一人者の1人として、その実力がジャズ界で認められているからだろう、と思っている。

Enrico Pieranunzi Quintet『The Extra Something』(写真左)。2016年1月13, 14日、NYの「The Village Vanguard」でのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Enrico Pieranunzi (p), Diego Urcola (tp, tb), Seamus Blake (ts), Ben Street (b), Adam Cruz (ds)。トランペット or トロンボーンとテナー・サックスのフロント2管のクインテット編成。

ピエラヌンツィは、フロント楽器としてのピアノのテクニックも素晴らしいが、カルテットやクインテット編成の中で、リズム・セクションに回った時の伴奏楽器としてのピアノのテクニックも卓越したものがある。このライヴでは、現代のネオ・モードな演奏がメインで、限りなく自由度を追求した、柔軟で硬派なモード・ジャズが展開されている。
 

Enrico-pieranunzi-quintetthe-extra-somet

 
モードをやらせてもピエラヌンツィのピアノは素晴らしいのだが、このライヴ盤では、バリバリにアグレッシヴに弾きまくっていて、とにかく爽快である。弾きまくるのだが、フロントを差し置いて、独りよがりにバリバリ弾くのでは無い、フロント楽器のフレーズを引き立て鼓舞する、実に小粋な弾き回しをしているのには感心する。とにかく、モーダルなピアノを弾かせたら上手い。

ピエラヌンツィ以外の4人のメンバーも、NYジャズの精鋭達で、ピエラヌンツィのピアノに鼓舞されて、新鮮なネオ・,モードなフレーズをバンバン吹きまくる。しっかりとパフォーマンスの必要最低限の規律を守りつつ、限りなく自由にクリエイティヴにアドリブ展開する様は迫力満点。即興演奏を旨とするジャズの良いところが、このライヴ盤に満載。

そして、このライヴ盤、音が良い。とっても良いライヴ録音で、まるで、ヴィレッジ・ヴァンガードの最前列に陣取って、聴いているような、目の前で楽器が鳴っている様な、生々しい音が魅力的。ピエラヌンツィのクインテット盤、トリオ盤とはまた違ったピエラヌンツィのピアノの魅力が満載で、聴いていて飽きることが無い。
 
 

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2022年10月10日 (月曜日)

Roland Hanna Trio『Glove』

ローランド・ハナ(Roland Hanna)のピアノは、端正でタッチが堅実、そして、典雅なフレーズ、典雅なアドリブが個性のピアニストである。リーダー作は常に平均点以上の出来をキープし、破綻が無い。逆に、個性的な手癖や弾き回しがある訳では無い。いわゆる「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの1人。

ハナは米国デトロイト出身。1932年生まれ、2002年11月に70歳で鬼籍に入っている。ハードバップ期に若手ジャズ・ピアニストとして活躍したはずなのだが、リーダー作は2作しかない。リーダー作を量産し始めたのは、1970年代に入ってから。ジャズはマニアックな音楽ジャンルに追いやられ、ジャズとしては辛い時代だったのだが、ハナはいきなりリーダー作を量産し始める。

Roland Hanna Trio『Glove』(写真左)。1977年10月15日、日本(東京・青山ビクタースタジオ)での録音。トリオ・レコードからのリリース。ちなみにパーソネルは、Roland Hanna (p), George Mraz (b), Motohiko Hino (ds)。ベースに名手ムラーツ、ドラムに我が国の日野元彦を配したトリオ編成。ハナの1970年代量産リーダー作の1枚である。
 

Roland-hanna-trioglove

 
我が国のトリオ・レコードの制作。良好なプロデュースの下、ハナのピアノの個性をしっかりと捉えた好盤である。ハナは「総合力で勝負するタイプ」のジャズ・ピアニストの中でも、タッチが力強く、ダイナミックでドライブ感が豊か。スタンダード曲を、ハイ・テクニックのアレンジに乗って、破綻の無い、典雅で硬質なタッチで、事も無げに弾き進めていく。

ベースのムラーツが良い。ハナのハイ・テクニックな弾き回しを骨太なブンブン・ベースでガッチリとサポートする。そして、日野元彦のドラミングがこれまた良い。ムラーツのベースラインに寄り添うように、柔軟で堅実なリズム&ビートを供給する。このリズム隊があってのハナのパフォーマンスであることが、この盤を聴いていて良く判る。

良きリズム隊を得て、ハナのピアノが心地良く乱舞する。確か、この盤は当時流行の「ダイレクト・カッティング録音」の盤だったと記憶する。ピアノの音、アコベの音、ドラムの音、どれもが生々しく活き活きとした鮮やかな音で捉えられていて、聴いていてとても気持ちが良い。演奏良し、録音良し。ハナの1970年代リーダー作の代表的な1枚である。
 
 

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