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2018年1月15日 (月曜日)

モンクをシンセ・エレピで弾く

ジャズを好きになるか、ならないか。それを確かめるには「Thelonious Monk(セロニアス・モンク)」の諸作を聴けば良い。モンクのアルバムを聴いて「面白い」と感じて、聴き込む様になれば「ジャズを好きになる」。「なんじゃこれは」と敬遠すれば「ジャズは好きにならない」。モンクの楽曲が演奏が試金石になる、というのを、昔、雑誌で読んだことがある。

これって、意外と真実だと思っていて、確かに今を去ること35年ほど前。ジャズ者初心者駆け出しの頃、Thelonious Monk『Thelonious Himself』を聴いて、これは面白い、と感じて繰り返し聴き、『Thelonious Monk Trio』の「Blue Monk」を聴いて、このユーモラスな曲にゾッコン惚れ込み、そのフレーズを口ずさみながら、大学の構内を闊歩していたことを思い出した。

逆に、友人はモンクを聴いて「なんやこれ」と絶句したまま。そのうち、ジャズのアルバムには手を出さなくなった。確かに、モンクの楽曲や演奏は、楽譜通りに端正に演奏するクラシックとは対極の、即興性や自由度の高い、そして意外性のあるジャズならではの展開がてんこ盛り。そう言う意味では、モンクの楽曲や演奏が気に入る、ということは「ジャズを好んで聴く」素質がある、と言っても良いと思う。

そんなモンクの楽曲であるが、プロのジャズメンとしても、モンクの楽曲は無視出来ない存在みたいで、いつの時代でも「モンク・トリビュート」なアルバムがコンスタントに定期的にリリースされている。即興性や自由度の高い、そして意外性のあるジャズならではの展開がてんこ盛りなモンクの楽曲は、ジャズメンにとっても取り組み甲斐のある素材なのだろう。
 

Monk_studies

 
山中千尋『Monk Studies』(写真)。昨年のリリース。ちなみにパーソネルは、Chihiro Yamanaka (p, syn, el-p, org), Mark Kelley (b), Deantony Parks (ds)。ピアノ・トリオの編成。担当楽器を見れば判るが、山中千尋は、アコピ以外にシンセ・エレピ・オルガンを弾いている。モンクの楽曲をシンセ・エレピでやる、という発想が僕には無かったので、ちょっとビックリした。

で、アルバムを聴いてみてニンマリ。なるほど、これって「アリ」やね〜。モンクのピアノ奏法って、パーカッシブなところがあって、それだけでモンクっぽくなったりするんですが、シンセやエレピでモンクの楽曲をやると、パーカッシブな要素が抜けて、モンクの楽曲の持つ、モンクならではの個性的なフレーズだけが浮き出てくる。モンクの楽曲の持つ個性的なフレーズを心ゆくまで愛でることが出来るのだ。

アコピをできる限り排除することで、モンクらしく弾く、ということを全くせずに、モンクらしいフレーズを散りばめた、モンク・トリビュートなアルバムを成立させている。この「モンクの楽曲をシンセ・エレピで弾く」という、山中千尋のプロデューサー的発想は素晴らしい。アルバム全編を聴き通して心底感心した。

全曲アレンジは山中が担当。オーソドックスなピアノ・トリオでは無いし、アコピでモンクをやる訳ではないけれど、この「モンクの楽曲をシンセ・エレピで弾く」キーボード・トリオな演奏は、明らかに今の先端のジャズであることは間違いない。でも、硬派で真面目なピアノ・トリオの愛好家の方々からすると、拒絶反応が激しいかも。ちょっと聴く人を選ぶかなあ。でも、僕はこの盤は「アリ」です。

 
 

東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年1月 8日 (月曜日)

チックとボラーニのデュオ演奏

チック・コリアはデュオが得意。何故かは判らないけど、チックはデュオが得意。といって、誰彼も、という訳では無い。有名どころでは「ゲイリー・バートン」とのデュオは素晴らしい。最近、このブログでご紹介した「小曽根 真」とのデュオも絶品だ。そうそう、異種格闘技だけど、バンジョーのベラ・フレックとのデュオも良かった。

デュオ演奏なので、基本的に相手をしっかり選ぶ、というか、相性が大切ってことなんだろうが、今回、更にチックとの相性が良いデュオ相手が出現した。Stefano Bollani(ステファノ・ボラーニ)である。現在のイタリアを代表するジャズ・ピアニストの一人。ジャズ、ラテン、クラシックと幅広いジャンルを弾きこなすところは、チックと同じ。ちょっと個性が同じ過ぎるのでは、という懸念がが心をよぎる。

Chick Corea & Stefano Bollani『Orvieto』(写真左)。2010年12月の録音。2011年のリリース。いまから6年ほどの前のリリース。チックが25年以上の時を経てECMに吹き込み。ジャズ、ラテン、クラシックと幅広いジャンルを弾きこなす、イタリアの俊英ピアニスト、ステファノ・ボラーニとのデュオ盤である。
 

Chick_corea_stefano_bollani_orvieto

 
リリース当時は、あまり興味が湧かなかった。ピアノの同士のデュオは、お互いがお互いを慮って、なかなか丁々発止とした展開にはならない。特に同じタイプの場合、フレーズがぶつかる可能性が高い。チックとボラーニも同じ事が言えるのでは、と思い、実は、ほとんど聴かずにお蔵入りになった。しかし、今回、ふとこのデュオ盤のことを思い出し、聴き込んで「これは素晴らしい」と感じ入った次第。

「4本の手を持つ人間の一部になったような気分だ」とボラーニが語ったとか。同じタイプのピアニストが故に、しっかりと役割分担を確認し、それをしっかり守ったら、これほどまでに大胆で細心な、一人の人間が4本の手で弾きまくる様な、意思統一された展開が実現されるんやなあ、と、とにかく感心することしきり。

さすがECMレーベルからのリリース。ECMらしさが満載。音の響き、クラシックに影響を受けた、欧州的でメロディアスな展開。しかしながら、現代音楽風の聴き難さは全く無くて、そういう面ではECMとしては珍しい盤かもしれない。即興色が濃いので、ジャズ者初心者の方々にはちょっと辛いかも。ジャズ者中級者以上向けかな。

 
 

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2018年1月 5日 (金曜日)

アンドリュー・ヒルの個性

さて、ジャズのアルバムの中で、まだまだ聴き込んでいないジャズメンが何人かいる、と書きつつ、昨日は「ジョーヘン(Joe Henderson)」の初リーダー盤を聴いた。ということで、今日は「ジョーヘン」つながりで、アンドリュー・ヒルである。アンドリュー・ヒルの実質、初リーダー盤を聴く。

Andrew Hill『Black Fire』(写真左)。1963年11月の録音。ブルーノートの4151番。ちなみにパーソネルは、Andrew Hill (p), Joe Henderson (sax), Richard Davis (b), Roy Haynes (ds)。ジョーヘンをフロントに据えた、サックス・ワンホーン・カルテット。リチャード・デイヴィスのベース、ロイ・ヘインズの中堅どころのリズム隊が頼もしい。

改めて、アンドリュー・ヒルの実質、初リーダー作。この盤の前に1枚、リーダー作があるらしいが、1960年という3年も前に出した盤なので、このブルーノート盤が実質上の初リーダー作と捉えて良いだろう。さすがはブルーノート、この盤では、アンドリュー・ヒルのピアノの個性がしっかりと捉えられている。
 

Black_fire

 
かなり変な展開をするピアノである。セロニアス・モンクほどではないが、あらぬ方向へ飛んだり跳ねたりする、そして捻れる。しかし、モンクの様にゴツゴツしていない。「流麗に」あらぬ方向に飛んだり跳ねたりする、そして捻れる。これって、典型的な「即興音楽の妙」。アンドリュー・ヒルのピアノは面白い。そして、一期一会な即興の意味が即座に理解出来る。

ヒルの飛んだり跳ねたりするピアノの展開を目の当たりにしても、デイヴィスのベースとヘインズのベースはびくともしない。がっちりと受け止めて、自由度の高い、間を活かしたリズム&ビートの供給で、ヒルのピアノに更なる自由を与えている。そして、自らの初リーダー作から5ヶ月しか経っていないのに、ジョーヘンのサックスはリラックス・モードで、素敵に捻れている。ヒルのピアノに呼応する様に、余裕も持って「流麗に」捻れている。

アルバム・ジャケットのデザインも素敵。アンドリュー・ヒルのピアノの個性もてんこ盛り。典型的なモーダルなジャズで、限りなく自由度の高い純ジャズな演奏はとても魅力的。あらぬ方向へ飛んだり跳ねたりする、そして捻れるヒルのフレーズを聴いていると、ジャズは即興の音楽、という言葉を思い出す。聴いて楽しい好盤です。

 
 

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2018年1月 3日 (水曜日)

チックと小曽根のDuoコンピ盤

明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。当ブログも今日から再開です。しかし、寒いですね。大晦日から2日の午前中まではちょっと穏やかな、厳冬も一休みの感じの栃木路でしたが、千葉県北西部地方に帰り着き、今日は朝から寒い寒い。昼前から強風吹き荒れ、散歩も中止。のんびり、ジャズ本を読んでいます。

さて、年の初めのジャズ音盤鑑賞は、やっぱり一番お気に入りのジャズメンのアルバムから入るのが基本でしょう。ということで、今週は、チック・コリアのアルバムを聴き進めています。一番のお気に入りのジャズメンでありながら、当ブログのご紹介していないアルバムがまだまだあります。そんな中の一枚がこの盤。

Chick Corea & Makoto Ozone『Duets』(写真左)。小曽根の過去作の中から、チックとの共演曲を中心に収録したコンピレーション盤。これは実に有り難いコンピ盤で、もともと小曽根のピアノって、チックに影響されたところが見え隠れしていて、その辺を確かめつつ、小曽根のピアノを愛でるに、格好の音源になっています。
 

Chick_corea_makoto_ozone_duets

 
二人の歯切れが良く、高いテクニックと音楽性に裏打ちされた共演は実に心地良い。この歯切れの良い硬質のタッチ、スピード感溢れるアドリブ・フレーズの展開など、小曽根のピアノは、チックのスタイルとの類似性があるなあ、と感じます。ただ、チックほど尖っていなくて、チックの尖り具合からすると、適度にジェントルで、エッジが少しラウンドしていて、ちょっと暖かみのあるタッチが個性です。

チックと小曽根の共演については、チック者の我々にとっては、相当に聴き応えがあります。本作品は、小曽根の過去作『トレジャー』(2002)、『Live & Let Live - Love For Japan』(2011)のチックとの共演曲を収録、加えて、『トレジャー』録音時のセッションから、これまで未発表だったピアノ・デュオによる即興演奏トラック4曲を初収録しています。いずれのトラックも聴き応え十分。

幾枚かに分散している音源を一気に聴き通せるのですから、こういうコンピ盤は良い企画だと思います。小曽根からしても「自身の師と仰ぐ」ジャズ・ピアニストはチック・コリア、としているので、その類似性については「納得」です。とっても聴き心地の良いピアノ・デュオです。コンピ盤といって侮るなかれ。チックと小曽根の相性の良さが十分に感じられる好盤です。

 
 

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2017年12月29日 (金曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・67

年の瀬である。今日でやっと本業の方が終わった。今年のジャズのアルバム鑑賞も大詰め。今年のブログの最後のアルバムは何にしようか、を考える。フッと思いついた名前が「ミシェル・ペトルチアーニ/Michel Petrucciani (1962年12月28日 – 1999年1月6日)」。ミシェル・ペトルチアーニ=愛称「ペト」。今年の締めは「ペト」だな。

Michel Petrucciani『Trio in Tokyo』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Michel Petrucciani (p), Steve Gadd (ds), Anthony Jackson (b)。1997年11月に行われた「ブルーノート東京」でのライヴ演奏を収録した音源。ペトが亡くなる2年前の録音。良い音、良い雰囲気で収録されている。

生まれつきの骨形成不全症という障害を克服し、フランス最高のジャズ・ピアニストとなった「ペト」。障害のため、身長は成長期になっても1メートルほどにしか伸びず、しかも様々な病気にも悩まされ、同年代の普通の少年ができるようなことは一切できなかったため、彼の関心はもっぱら音楽、ジャズに向けられる。
 

Trio_in_tokyo  

 
ペトのピアノは素晴らしい。太く重く力強いタッチ、それでいて流麗かつメロディアス。フレーズの雰囲気はビル・エヴァンス直系だが、彼の奏でるフレーズは「唯一無二」。明らかにペトならではの個性が溢れている。暫く聴き進めると必ずペトと判る、唯一無二の個性。硬軟自在、千変万化、縦横無尽に、ペトはピアノを弾きまくる。

ガッドの縦ノリのダイナミックなドラミングに惚れ惚れする。ズトンズトトンと魅力的な縦ノリのビート。これがペトのフレーズを鼓舞しまくる。アンソニーの超弩級の野太いベースラインにも耳を奪われる。ペトのアドリブ・フレーズをポジティブに誘うグルービーなベースライン。躍動感溢れるリズム・セクションがこのライブ演奏のキモである。

CD1枚分、1時間ほどのパフォーマンスの記録しかないので、ちょっと物足りない。もっともっと聴いていたい。そんな気を強くさせる、とても優れたピアノ・トリオのライブ盤。オリジナル曲の中でただ一曲、とんでもなく異彩を放つ、マイルスの「So What」。硬派に捻れた「So What」。ペトの持つ才能の素晴らしさを僕達に教えてくれる。

 
 

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2017年12月24日 (日曜日)

クリスマス企画のジャズを流す

今年もクリスマス・イヴである。我が家では毎年、クリスマスについては、過度な反応はしない。せいぜい、小さなブッシュドノエルと出来の良いシュトレンを手に入れて、ちびちび食するくらいである。音楽もあまりクリスマスを意識はしない。それでも、クリスマスの1週間前からは、ちょっとだけ、クリスマス企画のジャズを流して楽しんだりする。

今年の選盤の中で、これは良いなあ、と感心したのがこのアルバム。『A Dave Brubeck Christmas』(写真左)。変則拍子の名曲「テイク・ファイブ」の作者として演者として有名なジャズピアニスト、デイヴ・ブルーベックが1996年、当時76才の時に発表したソロ・ピアノによるクリスマス曲集である。

我が国では長年、ブルーベックは「スイングしない凡なピアニスト」とされてきた。しかし、である。僕は学生時代、今を去ること30余年前から、デイブ・ブルーベックを聴いてきたが、スイングしないなんてとんでもない。ブルーベックは横にスイングしない。ブルーベックはスクエアにスイングする。それを感じることが出来ないと、ブルーベックのピアノを楽しむ事は出来ない。
 

A_dave_brubeck_christmas

 
このソロ・ピアノ集は、ブルーベックのピアノが、前へ前へ出ること無く、自己主張が希薄で厳かなプレイに終始しているので、強く感じることは無いが、やっぱりスクエアにスイングしている。ウトウトしながら聴いていても、明らかにブルーベックな雰囲気が漂ったピアノ・ソロである。

加えて、クリスマス・ソングに相応しい、落ち着いた荘厳さを底にしっかりと偲ばせた、ちょっと小粋なアレンジを施されていて、聴き心地が良く、飽きが来ない。ジングルベルをテーマにした1曲目「"Homecoming" Jingle Bells」とラス前の「"Farewell" Jingle Bells」では、クリスマス休暇で故郷へ帰る「ワクワクとした気持ち」と、休暇が終わって故郷を後にする時の「心寂しい気持ち」を表現しており、そんなアレンジのセンスも抜群である。

クラシック・ピアノの経験を持つブルーベックならではの、クラシック風のテーマ提示と、最大の個性であるスクエアなスイング感溢れる、厳かな雰囲気を湛えたアドリブ部の対比が素敵な演奏の数々。今年のクリスマス・シーズンは、このブルーベックのソロ・ピアノがヘビー・ローテーション。それでは皆さん、メリー・クリスマス (^_^)v。

 
 

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2017年12月23日 (土曜日)

チックとガッドの新プロジェクト

チック・コリアは、僕のお気に入りピアニストの筆頭。1941年生まれなので、今年で76歳。結構な高齢になってきたのだが、まだまだ現役。もはや「生きたレジェンド」状態なのだが、まだまだ時代の最先端をいく、コンテンポラリーな純ジャズを中心に活動している。そんなチックがドラムのスティーヴ・ガッドと組んで、新しいバンドを立ち上げた。

Chick Corea & Steve Gadd『Chinese Butterfly』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p, key), Steve Gadd (ds), Lionel Loueke (g), Steven Wilson (sax, fl), Carlitos Del Puerto (b), Luisito Quintero (per)。チック・コリアとスティーヴ・ガッドという巨匠二人による新プロジェクトのデビュー盤。日本で11月22日発売。世界に先駆けて日本大幅先行発売である(海外は来年の1月18日のリリース予定)。

もともとチックは、ガッドのドラムと相性が良い。たまにしか組まないのだが、組んだ時のパフォーマンスはどれもが素晴らしい出来。切れ味良く固いタッチのチックのピアノに、縦ノリの柔軟度の高いガッドのドラミングは、硬のチック、軟のガッドという対比で相性が良いのだと理解している。
 

Chinese_butterfly  

 
このチックとガッドの新しいコラボの成果である『Chinese Butterfly』においても、その相性は抜群で、演奏全体の雰囲気としては、アコに拘らずエレに偏らない、アコとエレが見事に融合したフレッシュなサウンドが良い。現代のコンテンポラリーな純ジャズとは「かくあるべし」と言う感じの示唆に富んだ展開の数々が魅力的。

ジョン・マクラフリン作が1曲目、ルエケとチック・コリア作が7曲目、他は全曲コリア作。どの演奏もチックとガッドの相性がとても良いことが良く判る。メロディアスでメリハリが効いていて、硬軟自在、変幻自在、まあ、チックとガッドが組んでのコンテンポラリーな純ジャズである。悪かろう筈が無い。

6曲目「Return To Forever」の再演では、アース・ウィンド・アンド・ファイアーのフィリップ・ベイリーがゲスト参加している。この辺が今回の新プロジェクトのキモなのかなあ、と睨んでいる。現在における成熟した「Return to Forever」を再現するつもりなのかなあ、とボンヤリと感じた次第。次作が楽しみである。

 
 

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2017年12月 6日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・114

ファンキー・ジャズにおいて、米国ルーツ・ミュージックの中で切っても切れない音楽要素が「ゴスペル」。米国の黒人教会で歌われている歌唱。誰か一人が歌い出し、皆が総立ちになり、手を叩いたりステップを踏んだりしながら、声を張り上げて全身全霊で歌う様は、生で聞けば圧巻。

この「ゴスペル」の歌唱の中で「コール・アンド・レスポンス」や「コーラスの独特な響き」「躍動するビート感覚」をジャズに織り込むと、不思議とあらまあ、ファンキー・ジャズになるのである。もともと「ゴスペル」の音世界は「ファンクネスがこってこて」なので、この「こってこてなファンクネス」の存在がファンキー・ジャズに不可欠な要素なのだ。

このゴスペルの要素を大々的に導入して、ジャズ・ピアノソロとして1枚のアルバムに仕立て上げた盤が、Cyrus Chestnut『Spirit』(写真左)。ピアノ・トリオでの演奏活動を中心に行なっているチェスナットが、珍しくソロ・ピアノを選択したアルバムです。タイトル通り、この盤ではスピリチュアル〜ゴスペル系の曲を集めたもの。
 

Cyrus_chestnut_spirit  

 
トリオ演奏の時の様に、豪快にスイングするプレイとは異なった、ゆったりしたテンポで、ゴスペル独特のファンクネス溢れる、黒く美しい旋律をシンプルに弾き進めるチェスナットは意外と魅力的です。恐らく、ゴスペルって、チェスナットのルーツ音楽の1つなんでしょうね。実にエモーショナルに、実に厳かに、ゴスペルちっくな曲をソロ・ピアノで弾き進めていきます。

ソロ・ピアノであるが故の静的な厳かな響きと旋律。静謐なスピリチュアル・ジャズ。9曲目のサイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」のカバーが目を惹きますが、他の曲はゴスペルや賛美歌のオーソドックスな名曲みたいで、ほんと、米国ルーツ・ミュージック好きの私にとっては、もう耳が惚れ惚れしてしまう、印象的なソロ・ピアノ集です。

トリオ演奏の時の様に、豪快にスイングするプレイが身上のチェスナットが、これだけ陰影豊か、硬軟自在、緩急自在にソロ・ピアノを弾き進めるとは思いませんでした。チェスナットのポテンシャル、恐るべしです。こってこてファンキーなゴスペルの要素がてんこ盛りのこの盤、ファンキー・ジャズの最右翼に位置する好盤だと思います。

 
 

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2017年11月14日 (火曜日)

ピアノ・トリオの代表的名盤・66

今週は、昔のジャズ盤紹介本を読み直して「これは最近聴いてないぞ」盤の聴き直し。ジャズ本を読み返していると、僅かではありますが、好盤ではありながら暫く聴いていない盤を発掘します。これを聴き直すのが意外と面白い。しかし、コレクションに無い盤になると、意外と探すのが大変だったりする。でも、それが楽しかったりするのだ。

今日の「これは最近聴いてないぞ」盤は、John Hicks『Inc.1』(写真左)。1985年4月の録音。ちなみにパーソネルは、John Hicks (p), Walter Booker (b), Idris Muhanmmad (ds)。日本のDIWレーベルからリリースされた一枚。DIWって、あれっ、と思わず思ってしまう位にユニークな盤をリリースしたりしているので要注意レーベルである。

ジョン・ヒックスのピアノは、一言で言うと「疾走する木訥さと精悍さ」。モンクの様な独特の幾何学的なフレーズとマッコイの様なドライブ感溢れる弾き回しを足して2で割った様な個性。但し、テクニックには危うさが付きまとう。それでも、「疾走する木訥さと精悍さ」は唯一無二の個性で、聴き込むに付け、どんどん癖になる。
 

John_hicks_inc1

 
ヒックスのピアノはポジティブ。ワクワク、ウキウキ、楽しいな、って感じのアドリブ・フレーズ。とにかく軽快なのだ。「快速(快い速さ)」と表現するのがピッタリ。この軽さに懸念を示すジャズ者の方もいるが、この軽快さをどう捉えるかで、ヒックスのピアノに対する評価は変わるのだろう。

このトリオ盤、ベースとドラムのプッシュがこれまた心地良い。特に、ムハマッドのドラムが良好。要所要所でビシッと決まるシンバルが心地良い。ブッカーのベースも重心が低くて堅実。このベースとドラムの存在が、ヒックスの軽快なピアノを支え惹き立たせている。実に良好なピアノ・トリオである。

ジョン・ヒックスのピアノは「ありそうでない」唯一の個性。もう少し、日本で人気が出ても良いのだが、コアなファンはいるのだが、一般ウケが悪い。でも、この『Inc.1』を聴いていただいたら判るのだが、ジャズ者初心者の方々にも十分に楽しめる判り易さがある。そういう意味で、もっと広く聴いて欲しい「隠れ好盤」である。

なお、ジョン・ヒックスは、残念ながら、2006年5月に65歳という若さで鬼籍に入った。合掌。

 
 

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2017年11月 9日 (木曜日)

こんなアルバムあったんや・91

1970年代のジャズは意外と面白い。ハードバップ期を生き抜いた一流ジャズメン達が「えっ、こんな演奏していたん」と感心してしまう様なアルバムが結構ある。1970年代のジャズ、電気楽器の活用が当たり前になった時代。電気楽器を活かして、クロスオーバーからフュージョン・ジャズが流行る。

しかし、面白いのはクロスオーバーやフュージョン・ジャズでは無い。1970年代のメインストリーム・ジャズが面白い。当時、ジャズと言えば、クロスオーバーからフュージョン・ジャズがメイン。それでも、メンストリーム・ジャズは生き残る。ハードバップ時代を生き抜いて来た、今ではレジェンドと呼ばれる一流ジャズメンの中で、メインストリーム・ジャズに留まったジャズメンの沢山いる。

例えば、トミー・フラナガン(Tommy Franagan)。燻し銀ピアニスト、名盤請負人、などと呼ばれた、レジェンド級のピアニストである。フラナガンは、クロスオーバーからフュージョン・ジャズの時代にも、頑なにメインストリーム・ジャズを貫き通した。そんなフラナガン、面白い内容の盤がある。
 

Something_borrowed_something_blue

 
Tommy Franagan『Something Borrowed, Something Blue』(写真左)。1978年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p, el-p), Keter Betts (b), Jimmie Smith (ds)。演奏フォーマットは「ピアノ・トリオ」。フラナガンの十八番。フラナガンがメインの場合は「ピアノ・トリオ」に限る。フラガナンのピアノが映える。フロント楽器があると駄目だ。フラナガンは極上の伴奏に回ってしまう。

この盤の面白いところは、フラガナンが電気ピアノを弾いているところ。フラガナンがローズを弾いている。これが意外と「イケる」。2曲目「Good Bait」を聴けば判る。フラガナンの「間」でエレピを弾く。フラナガンならでは、のエレピに仕上がっているのが面白い。一流と呼ばれるジャズメンは何を弾いても一流なんですね。

勿論、残りの曲はアコピのトリオ演奏なんですが、これがまた素晴らしい。もともとフラガナンはバリバリのバップ・ピアノなんですが、この盤でのアコピは完璧に「バップ・ピアノ」。確かなタッチでバンバン弾いてます。よって、この盤、フラナガンがエレピとアコピを弾きまくっている、意外と珍しい盤です。好盤です。

 
 

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