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2017年4月16日 (日曜日)

こんなアルバムあったんや・79

あまたあるジャズ・レーベル、それぞれのレーベルによって個性があって面白い。例えば、ジャズ・レーベルの中でも「やっつけ仕事」で有名なPrestigeレーベル。ジャズメンに手当たり次第に声をかけ、全てをジャズメンに任せての「一発録り」。そうやって録音した音源を適当に集めてアルバムにして発売する。

よって、アルバムによっては、録音日が異なったり、パーソネルが異なったりで、演奏内容や録音音質にバラツキがあったりで何かと評判が悪い。演奏は全てジャズメン任せになっているので、録音内容についてレーベルとしての統一感は殆ど無い。

それでも、手当たり次第に録音をしてアルバム化していったので、音源の数としては莫大なものになり、ジャズ演奏の記録として貴重なものになっている。今では、Bluenoteレーベル、Riversideレーベルと並んで「モダン・ジャズの3大レーベル」と呼ばれているくらいである。

そんな玉石混交としたPrestigeレーベルのアルバムの中には、これは、と目を見張る様な、いや「耳」を見張る様な内容のアルバムに出くわすことがある。そんなところが、このPrestigeレーベルの面白いところで、このレーベルのアルバムはカタログの順番に聴き進めていくのが面白い。
 

Jug_dodo1
 

このアルバムなんか、たまたまダウンロード・サイトを徘徊していて、見つけたアルバムで、レーベルを見れば、あれまあPrestigeレーベルのアルバムではないか。それでは、と聴いてみて「目から鱗」。とっても良い内容のハードバップ盤なのだ。正に典型的なハードバップな演奏が繰り広げられている。実に魅力的な盤である。

Dodo Marmarosa & Gene Ammons『Jug & Dodo』(写真)。May 4, 1962年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Dodo Marmarosa (p), Sam Jones (b), Marshall Thompson (ds)。オールド・スタイルのテナーマン、ジーン・アモンズと伝説のバップ・ピアニスト、ドド・マーマローサの出会いの記録が貴重である。

バップなマーマローサの端正なピアノに、オールド・スタイルで唄う様なジーン・アモンズの豪快なテナーの共演が実に良い塩梅である。テクニックとか奏法とか、小難しいことは全く関係無し、それぞれの素材になる曲をベースに魅力的なアドリブを展開していく。ただそれだけなんだけど、この盤には聴いて楽しいハードバップな演奏がギッシリ詰まっている。

こんな盤が膨大なカタログの中に隠れているのだから、Prestigeレーベルは隅に置けない。ちなみにタイトルの「Jug」とは、ジーン・アモンズの愛称。LP時代のジャケット(写真左)を見ると「Jug(水差し)」と「Dodo(ドードー鳥)」のイラストがあしらわれている。これもPrestigeレーベルでは珍しい、小粋なジャケットである。

 
 

震災から6年1ヶ月。決して忘れない。まだ6年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっとずっと復興に協力し続ける。 

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2017年4月 8日 (土曜日)

典型的なハードバップな演奏

風邪をひいた。喉が腫れて咳が酷い。今日は一日「風邪の週末」。朝は内科へ整骨院へ。午後からはとにかく寝る。こうなってくると、なかなか薬も効かず、憂鬱な時間を過ごすことになる。

床に伏せりながらも、無音の状態は気分が塞ぐので、ジャズをBGMっぽく流しながらの寝床になる。こういう時は難しいジャズはいけない。判り易く聴き易い、典型的なハードバップな盤が良い。典型的なハードバップを耳に刺激を与えぬよう、心地良い音量で流すのだ。

今日の選盤は『Dizzy Atmosphere』(写真)。1957年2月の録音。パーソネルを見渡せば、このメンバー、親分のディジー・ガレスピー抜きの当時のガレスピー楽団。有名どころでは、Wynton Kelly (p), Lee Morgan (tp) らが参加している。演奏を聴けば判るが、ビッグバンドのアレンジを施した典型的なハードバップな演奏。
 

Dizzy_atmosphere_1

 
とりわけピアノのウィントン・ケリーが元気だ。コロコロと転がる様なフレーズを繰り出すハッピー・スインガーなんだが、そこはかとなく漂う哀愁感がたまらない、そんなケリーのピアノがこの盤には溢れている。

この盤ではホーン・セクションは皆元気である。そんな元気なホーン・セクションの中でも、とりわけリー・モーガンのトランペットが絶好調。バリバリに吹きまくる「鯔背なトランペッター」モーガン。ウィントン・ケリーの哀愁感漂うバッキングを受けて、とりわけブルージーに吹き上げるモーガンのトランペットは絶品。

この盤、僕がジャズを聴き始めた頃、LPで入手して、以来40年、聴き続けている好盤です。ビッグバンドのアレンジがメインの演奏なので、ハードバップでありながら、そこはかとなくスインギーな雰囲気や、ガレスピーが活躍したビ・バップなアドリブ展開があったりして、正統派なジャズの香りが漂う、それが魅力のエバーグリーンな好盤です。

 
 

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2017年4月 2日 (日曜日)

ガーランドの個性とスタイル

ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」のシンプル・ピアノが身上のレッド・ガーランド。彼は、その個性とスタイルを生涯変えることは無かった。しかも駄作の類が無い。よって、彼のリーダー作については、どのアルバムを選択しても、それなりに彼の個性とスタイルを愛でることが出来る。

ちなみに、この「どのリーダー作をを聴いても同じ」というのは、レッド・ガーランドに対して失礼でもあるし、最高の賛辞でもある。そんな「どれを聴いても同じく」彼の個性とスタイルを愛でることが出来るリーダー作の中でも「とりわけこれは」と感じて、長年愛聴している盤が何枚かある。

『Red Garland's Piano』(写真左)。1956年12月と1957年3月の録音。早くもプレスティッジ・レーベルお得意の音源寄せ集め商法が垣間見える(笑)。それでもパーソネルは変わらない。Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。鉄壁のトリオ編成。骨太で安定感抜群のチェンバースのベース、多彩で安心感抜群のテイラーのドラムは最適なパートナーである。
 

Red_garlands_piano

 
真っ赤が基調のジャケットが印象的で、この盤は見た目にも映える。この盤は全曲、小粋な知る人ぞ知るスタンダード曲揃い。ガーランドは、こういう小粋なスタンダード曲をやらせると実に上手い。曲の持つ美しい旋律を崩すこと無く、印象的な右手のシングルトーンで紡ぎ上げ、アドリブになると左手のブロックコードを推進エンジンにして、高テクニックで弾き回す。

ガーランド・トリオの演奏は、よく「リラックスしている」と形容されるが、ゆったりとしたテンポで弾き進める曲が多いので、そういう形容になりがちだが、決して、心からリラックスして流すように弾いている訳では無いだろう。アドリブ部でのソロの交換のタイミングやテーマ部への戻りのタイミングなどでは、フッと緊張感がしっかりと漂う。この瞬間が聴いていて心地良い。

この盤は、レッド・ガーランドの2枚目のリーダー作。ビートに乗った左手のブロック・コード、その上で軽やかにメロディーを奏でる右手のシングル・トーン。そんな味とコクのあるガーランドのピアノを愛でるには、昨日ご紹介した初リーダー作と併せて聴くことをお勧めする。この2枚をもって、ガーランドの個性とスタイルを十分に感じ取ることが出来る。

 
 

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2017年4月 1日 (土曜日)

ガーランドの初リーダー作です

ジャズはいろいろな楽器、いろいろな編成、いろいろな演奏スタイルがあって、それぞれ特徴と個性があって聴いていて楽しいのだが、僕の場合、最後に戻ってくるのは、やっぱり「ピアノ・トリオ」なのだ。

ピアノの表現バリエーションが多彩で幅広であること、シンプルな構成であるが故にベースとドラムのリズム・セクションの詳細が判り易いこと、ピアノが僅かながら自分でも弾けること、この3点から、ジャズを聴き始めた頃から「ピアノ・トリオ」が大好きである。かれこれ40年、ピアノ・トリオを聴き続けていることになる。

ピアノ・トリオと言えば「レッド・ガーランド(Red Garland)」である。1923年生まれ1984年没。ジャズ・ピアノのレジェンドである。判りやすいジャズ・ピアノは、と問われれば、僕は、まず、レッド・ガーランドの名前を挙げる。ビートに乗った左手のブロック・コード、その上で軽やかにメロディーを奏でる右手のシングル・トーン。そんなシンプルな技で味とコクのあるジャズ・ピアノを聴かせてくれる。

ガーランドは、いつの時代も「自分のシンプルな演奏スタイル」を変えることはなかった。シンプルで判り易いが故に「金太郎飴的カクテル・ピアノ」と揶揄されることもあるが、「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」は実に分かりやすく、実に聴きやすいのだ。
 

A_garland_of_red

 
そんなレッド・ガーランドの初リーダー作が『A Garland of Red』(写真左)。1956年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Paul Chambers (b), Art Taylor (ds)。鉄壁のトリオ編成。ガーランドのシンプルなジャズ・ピアノに、骨太で安定感抜群のチェンバースのベース、多彩で安心感抜群のテイラーのドラムは最適なパートナーである。

さて、この初リーダー作、まず選曲が抜群に良い。ラストの「Blue Red」以外、他はスタンダード曲が中心なのだが、ガーランドの「左手のブロック・コード+右手のシングル・トーン」のシンプル・ピアノが映える、小粋で判り易い旋律を持ったスタンダード曲が選曲されている。これが良い。ガーランドは自分のピアノの個性を良く理解している。

昔、判り易いことはジャズでは御法度とされた。判り易いジャズ・ピアノはカクテル・ピアノと揶揄された。しかし、このガーランドのピアノを聴いていると、決して安直でチープな演奏では無いことが判る。シンプルなピアノであるが故、いかにジャズとして聴かせるか。これにはとてもテクニックとイマージネーションが必要になる。

このガーランドの初リーダー作を聴いていると、これが「ジャズ・ピアノ・トリオ」の基本形のひとつだと確信する。ガーランドのプロフェッショナルな技を堪能することが出来る。これが初リーダー作だなんて、改めてビックリ。当時、ガーランドは33歳。遅いくらいの初リーダー作。落ち着き払ったガーランドのプレイには風格すら漂う。好盤です。

 
 

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2017年3月30日 (木曜日)

これも硬派なラテン・ジャズ

昨日、ラテン・ジャズの話題だったんだが、ラテン・ジャズのピアノは、と思いを巡らせたら「ミシェル・カミロ(Michel Camilo)」のことを思い出した。そうそう、カミロがいたやん。

ミシェル・カミロは、ドミニカ出身のジャズ・ピアニスト。ラテン・ジャズを基調とした演奏が基本で、その超絶技巧なピアノが個性。ベーシックなハードバップからモード・ジャズな展開もお手のもの。ラテン・ジャズが基調だからといって、俗っぽくならず、おオーバーファンクにもならず、しっかり硬派な切れ味の良い、純ジャズ・テイストのラテン・ジャズが素晴らしい。

そんなミシェル・カミロであるが、今日の選盤はこれ。Michel Camilo『Mano A Mano』(写真左)。2011年の作品。ちなみにパーソネルは、Michel Camilo (p)、Charles Florez (b)、Giovani Hidalgo (per)。ピアノ・トリオである。うんうん、カミロの超絶技巧なラテン・ジャズなピアノを愛でるには、トリオ編成が一番である。
 

Mano_a_mano

 
聴いてみると、この盤の良さが判る(当たり前か・笑)。冒頭の「YES」は、コッテコテのラテン・ジャズなんだけど、カミロのピアノがシャープなので、俗っぽい雰囲気は全く無い。代わりに、アーバンで洒脱なラテン・ジャズの雰囲気が色濃く漂って、やっぱ、カミロはこれやね〜、と思う。

しかし、聴き進めるにつれ、バックのリズム&ビートはラテンなんだが、カミロのピアノは、アーティスティックなモード奏法だったり、硬派でストイックなハードバップ調の弾き回しだったりして、かなりの面で「真面目・実直」なジャズ・ピアノなのが面白い。ラテンのリズム&ビートをバックに硬派な純ジャズ・ピアノ。このアンマッチ感がかえってアーティスティックである。

とにかく、カミロの弾きっぷりは凄い。切れ味抜群、指回り抜群、アドリブ・フレーズは印象的でキャッチャーなものばかりで、ラテン音楽の哀愁感をしっかりと滲み出しているところはさすがである。南米が生んだ神技ピアニスト=ミシェル・カミロ、なかなか良い。気が乗らない朝に純ジャズの雰囲気を宿したラテン・ジャズ。気持ちがグッと持ち直します。

 
 

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2017年3月24日 (金曜日)

キャンディドらしい音・5

キャンディド・レーベルには「よくぞ録音してくれた」的なマニア盤も存在する。何故かなかなか録音の機会に恵まれない優秀なジャズメンや、そもそも録音の機会が少ないユニークなジャズメンにスポットを当てて、しっかりと録音している。プロデューサーのナット・ヘントフの功績であろう。

例えばこのアルバム、『The Toshiko-Mariano Quartet』(写真左)。1960年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Toshiko Akiyoshi (p), Charlie Mariano (as), Eddie Marshall (ds), Gene Cherico (b)。我らが日本人ピアニスト穐吉敏子と、当時、夫婦の間柄であった、アルトサックス奏者チャーリー・マリアーノとの共同リーダー作である。

内容的には新しい響きを宿しているハードバップである。マリアーノのアルトは硬質でテクニカル。フレーズは幾何学的でクール。モードでは無いのだが、響き的にはモーダルな雰囲気が漂っている。これが意外に新しい。ユニーク。ジャズ・アルトと言えばパーカーが絶対だが、このマリアーノのアルトは、パーカーの影響下から少し距離を置いている。
 

Toshikomariano_quartet

 
穐吉敏子のピアノも新しい響きを宿していて聴き応えがある。もともと穐吉のピアノは、筋金入りのビ・バップなピアノ。明らかにパウエル派のバップ・ピアノなんだが、この盤での穐吉のピアノは、そんなバップ・ピアノな雰囲気に加えて、モーダルなフレーズが見え隠れする。加えて、テクニックが凄い。高速なアドリブ・フレーズが凄い。

5曲目の「Long Yellow Road」が特に素晴らしい。そこはかと漂う愁い。音の「間」とマイナーな余韻。激しさと静謐さが入り交じり、何処か狂おしさもある、何処か侘しさもある。演奏全体を覆う「侘び寂び」、アドリブ・フレーズに忍ぶ「いとおかし」の空気。これぞ「日本人の創るジャズ」の好例。

これだけ、内容的に優れた演奏を繰り広げる「Toshiko-Mariano Quartet」ではあるが、あまり録音の機会は多く無かった。そういう面では、このキャンディド・レーベルでの録音は貴重なものであることは疑いない。キャンディドらしく、録音も良好。もっともっと聴かれても良い好盤だと思います。

 
 

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2017年3月23日 (木曜日)

キャンディドらしい音・4

キャンディド・レーベル(Candid Label)の「お抱えジャズメン」的存在の一人が「セシル・テイラー(Cecil Taylor)」。フリー・ジャズ・ピアノの先駆者である。このセシル・テイラーの初期の頃の演奏が、キャンディド・レーベルで聴けるのだ。アルバム数は3枚。しかし、セシル・テイラー初期の録音である。この3枚を聴けば、彼の個性の生い立ちが何と無く理解出来るのだ。

Cecil Taylor『Jumpin' Punkins』(写真左)。1961年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Cecil Taylor (p), Archie Shepp (ts), Buell Neidlinger (b) は全曲に渡って固定。ドラムが全4曲中3曲は Denis Charles, 1曲のみ Billy Higgins。3曲目の「I Forgot」のみ、Clark Terry (tp), Roswell Rudd (tb), Steve Lacy (ss), Charles Davis (bs)が加わって、厚みのあるアンサンブルを聴かせてくれる。

冒頭のタイトル曲「Jumpin' Punkins」の最初の部分を聴くと、あれれ、と思う。録音の時は1961年。フリー・ジャズ・ピアノの先駆者セシル・テイラーも人の子、やっぱりこの頃は、堅実なハードバップ的な演奏に終始していたんやなあ、なんて思ったりする。まあ、フリー・ジャズの基本は「正統な純ジャズ」で、正統な純ジャズが出来ない者はフリー・ジャズは出来ない。
 

Jumpin_punkins

 
と感慨に耽っていると、いきなりフリーなインプロビゼーションに突入して思わずビックリする。正統な純ジャズ部分と正反対の、アートでアブストラクトなフリーなインプロビゼーション。明らかにセシル・テイラー独特のフレーズであり、唯一無二である。フリー・ジャズの黎明期、オーネットとはアプローチの全く異なるセシル・テイラーの個性がこの盤に詰まっている。

当時、セシル・テイラーは32歳。ジャズメンとしてはまだまだ若手だと思うんだが、この時点で、セシル・テイラーの個性は確立されている。これが確認出来ることが、キャンディド・レーベルの価値である。この時点でのセシル・テイラーを積極的に録音したレーベルの運営思想については頭が下がる。

ラストのエリントン・ナンバー「Things Ain't What They Used to Be(昔はよかったね)」のアレンジ、アドリブ展開部のフリーキーなアプローチは斬新で、キャンディド・レーベルの面目躍如。プロデューサーのナット・ヘントフの慧眼、恐るべしである。こんなフリー・ジャズの黎明期の録音を聴けば、フリー・ジャズは本来何をしたかったのかが、何となく理解出来る。

 
 

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2017年3月16日 (木曜日)

アフリカの音 + 崇高なジャズ

アブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)= ダラー・ブランド(Dollar Brand)。確か、僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半は「ダラー・ブランド」だったなあ。1980年代に入ってからやないかなあ、「アブドゥーラ・イブラヒム」っていう呼び名に変わったのは。

僕はこの「アブドゥーラ・イブラヒム」のピアノが、音楽性が大好きである。ジャズのフォーマットに、伝統的なアフリカのフォークソング、米国黒人のゴスペルの要素を思いっきりぶっ込んで、アーティステックなジャズをやる、という、唯一無二の個性が、彼の持ち味。

伝統的なアフリカのフォークソング、米国黒人のゴスペルの要素を部分的に取り込むことは、それが好みのジャズメンはたまにやるが、イブラヒムの様に、全面的に伝統的なアフリカのフォークソング、米国黒人のゴスペルの要素を大々的に取り入れて、その雰囲気のまま、バーンと最初から最後までやってしまうのは彼しかいない。
 

African_space_program1
 
そんなアブドゥーラ・イブラヒム(Abdullah Ibrahim)= ダラー・ブランド(Dollar Brand)の音楽的個性が手に取るように判るアルバムがある。Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)『African Space Program』(写真左)である。1973年11月の録音。enjaレーベルからのリリース。

ジャケット写真が実に良い雰囲気。アフリカの原野、その中に一本の道、一本の木。イブラヒム独特の個性が音が聴こえてきそうだ。冒頭の「Tintiyana, Pt. 1」。伝統的なアフリカのフォークソングの響き、アフリカ系ワールド・ミュージックのリズム&ビート。それが、フリー・ジャズのフォーマットの中で乱舞する。ふぇ〜、僕にとっては「とても心地良い音世界」。

このアルバムには、アブドゥーラ・イブラヒムの音の個性がギッシリ詰まっています。しかも、ジャズとして聴くと、とても硬派なフリー・ジャズな要素とモーダルな自由度の高いジャズとが相まみえた、かなり高度でコンテンポラリーなメインストリーム・ジャズであることに改めて驚く。現代の先進的なジャズとして十分に評価出来る、崇高で高邁な音世界です。

 
 

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2017年3月15日 (水曜日)

イタリアン・ジャズは魅力的だ

イタリアン・ジャズは実に魅力的だ。最近、イタリアン・ジャズの好盤を定期的に聴くように心がけているのだが、聴けば聴くほど、どんどんその魅力に惹き込まれていく。日本では最近まで情報が少なかっただけに、聴けば聴くほど、そのイタリアン・ジャズの深い森の中に、どんどん惹き込まれていくかのようだ。

このライブ盤だって、相当に魅力的だ。Enrico Intra & Franco Ambrosetti『Live In Milan 〜 Duo, Trio, Quartet』(写真左)。2009年3月の録音。ちなみにパーソネルは、Franco Ambrosetti (tp), Enrico Intra (p), Lucio Terzano (b), Tony Arco (ds)。う〜ん、ほとんど知らん顔ばかり。

さて、Enrico Intra(エンリーコ・イントラ)とは、ネットの情報を紐解くと「欧州の歴史ある音楽をベースに、米ジャズの語法に頼ることなく早くも50年代に独自の『イタリアン・モード』を確立した巨匠」とある。ピアニストである。明らかに欧州的なピアノを弾くが、確かに米国ジャズっぽくない、欧州的ではあるが、ある種、独特の響きとフレーズが個性。

かたや、Franco Ambrosetti(フランコ・アンブロゼッティ)とは、やはりネットの情報を読むと「スイス出身で欧州を代表するトランペットの巨匠」とある。マイルス・デイヴィスをしてその「黒さ」を認めさせた、とあるが、確かにこの人のトランペットは欧州らしからぬファンクネスを感じるから不思議な存在だ。
 

Live_in_milan_duotrioquartet

 
この二人が対等に「双頭リーダー」となって、イントラのレギュラー・トリオにアンブロゼッティが加わる形で、サブタイトルにもあるように「デュオ、トリオ、カルテット」の3種の演奏形態で、こってこてメインストリームなジャズを展開する。明かに米国ジャズとは異なる、欧州的なメインストリーム・ジャズ。

透明度の高い音の響き、流麗で印象的なアドリブ・フレーズ。決して俗っぽくは無い。どこかしっかりアートな側面を宿したアレンジ。バックのリズム・セクションにファンクネスはほとんど感じない。それでいて、先にも書いたが、アンブロゼッティのトランペットが意外と「黒い」。これが実に個性的で面白い。このトランペットのみにファンクネスが宿っている。

加えて、このライブ盤、音が良い。というか、響きが実に印象的。なぜかなあ、と思って解説を見ると、ミラノ市内の歴史的建造物である「la Sala Certificati del Comune di Milano」という、大理石が使われた優雅なホールにてのライヴ・レコーディングだそうだ。なるほど、だから独特な響きがするのか。思わず惹き込まれそうになる、透明度が高く、豊かで混じりけのない響き。

冒頭の、Enrico Intra & Franco Ambrosettiのデュオ演奏「Take The "A" Train」を聴けば、欧州的ではあるが、ある種、独特の響きとフレーズがいかに個性的なのかが判っていただけるかと思う。半世紀に渡って二人の巨匠が眺めてきた「欧州的ヴィジョン」。それをしっかり体感できる、とても内容のある好盤です。

 
 

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2017年3月10日 (金曜日)

エバンスの超驚愕の発掘音源

こういう充実した、ダイナミックかつ流麗な演奏を聴いていると、やっぱりビル・エバンスって良いなあ、と心から思う。やはり、この人のピアノは、ジャズ・ピアノの基本なのだろう。そのアドリブ・フレーズの展開、和音の重ね方、間の取り方、どれを取っても超一級のパフォーマンスである。

Bill Evans『Some Other Time : The Lost Session from the Black Forest』(写真)。昨年のリリース。ちなみにパーソネルは、 Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Jack DeJohnette (ds)。1968年6月20日の録音。

ネットの宣伝文句は「超驚愕の発掘音源!1968年、ビル・エバンス 幻のスタジオ録音」。確かに驚愕もので、あのビル・エヴァンスのライブ名盤『モントルー・ジャズ・フェスティバルのビル・エバンス』と同メンバーのトリオであり、そのライブ盤の録音から、たった5日後の「スタジオ録音」である。

このエバンス=ゴメス=デジョネットのトリオは、たった6ヶ月の活動で、今まで、正式な音源は、先の『モントルー・ジャズ・フェスティバルのビル・エバンス』のみ。この『モントルー』のエバンス=ゴメス=デジョネットのトリオのインタープレイが思いっきり「鳥肌モノ」だったので、このトリオのスタジオ録音の音源が発掘されたのである。期待するな、と言う方が無理な話。

しかも、録音されたスタジオが「西独の60年代MPSレーベルのスタジオ」である。音的にも期待大。MPSレーベルは、録音技術に定評のあるレーベルで、とりわけピアノの録音に優れた手腕を発揮。有名なところでは、オスカー・ピーターソン、ハンプトン・ホーズなどが挙げられる。そんなスタジオに、あのビル・エバンスである。期待するな、と言う方が無理な話。
 

Some_other_time

 
さて、その演奏内容はというと、そうですね〜、リラックスした平常心のビル・エバンスって感じでしょうか。気合い入れまくって、ダイナミックに弾き回すのでは無く、といって限りなく耽美的に印象派的な響きを増幅するのでも無く、平常心を保ちつつ、リラックスしつつ、ちょっとダイナミックで流麗な演奏を繰り広げている。

ところどころ、それまでのエバンスとしては目新しいアプローチを展開しており、新しい即興の展開を模索していたのかなあ、とも感じます。そんなチャレンジに、ゴメス=デジョネットは格好のパートナーだったんでしょうね。エバンスのピアノに関しては、新しい展開へのチャレンジもあり、普段着な演奏とは言いつつ、一聴の価値ありです。

逆に、録音バランスの問題なのか、リマスタリングの問題なのか、デジョネットのドラムがオフ気味であるのが惜しい。彼の独特なシンバルワークやポリリズミックなドラミングが目立たない。メインはエバンスのピアノとゴメスのベース、この二人の丁々発止のインタープレイに、デジョネットのドラムがちょこっと添えられている、そんな感じの録音。ちょっと残念な感じ。

それでも、このCD2枚組のスタジオ録音は一聴の価値がある。このエバンス=ゴメス=デジョネットのトリオは、インタープレイの柔軟度が半端無い。しかも、イマージネーションの拡がりが尋常で無い。相当高いレベルでの期待感が溢れんばかりで、このトリオの活動が6ヶ月足らずで終息してしまったのが実に惜しい。

CD2枚組のボリュームの演奏があっと言う間に過ぎていきます。ビル・エバンス者には必須のアイテム。一般のジャズ者の方々にも、優れたピアノ・トリオ盤のひとつとして一聴の価値ありです。

 
 

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