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2017年9月20日 (水曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・59

Gary Burton=ゲイリー・バートンは、ヴィブラフォン奏者。1960年代後半、若かりし頃は、ヴァイブ引っさげ、尖ったジャズロックをガンガンやって、時々、アバンギャルドな雰囲気の硬派なジャズをやったり、とにかく尖ったヴァイブ奏者だった。1970年代は、ピアノのチック・コリアと組んで、ピアノとヴァイブのデュオ演奏で一世を風靡した。

が、バークリー音楽院で教鞭を執る立場にあったこと、かつ、1980年代になって、人間的に充実した落ち着きを身につけたのか、リーダーとしてバンド全体を上手くまとめながら、純ジャズ復古の波にも上手く乗りつつ、内容充実のメインストリームな純ジャズ盤をコンスタントにリリースするようになる。

僕はこのバートンのジャズメンとしての変遷をリアルタイムで体験してきて、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、バンドを通じて有望な若手を発掘するバンドリーダーとして活躍するバートンを頼もしく思ってきた。若い才能の発掘者として、コンテンポラリーな純ジャズの担い手として、もっとバートンは評価されて然るべきだと思っている。
 

Gary_burton_depature

 
Gary Burton & Friends『Departure』(写真左)。1996年9月の録音。ちなみにパーソネルは、Gary Burton (vib), John Scofield (g), John Patitucci (b), Fred Hersch (p), Peter Erskine (ds)。フレッド・ハーシュのピアノ・トリオをリズムセクションに、バートンのヴァイブとジョンスコのギターがフロントを張るクインテット構成。

とっても魅力的な、リラックスしたセッションが繰り広げられる。そんな中で、ジョンスコのギターが冴えまくっている。彼は特に、こういうスタンダードで純ジャズなセッションで、その実力を遺憾なく発揮するタイプなのだが、このバートンのリーダー作でも、そんなジョンスコがガンガンに弾きまくっている。

パティトゥッチのベースとアースキンのドラムが供給するリズム&ビートは安定の極み。ハーシュのピアノはリリカルで耽美的なフレーズを醸し出す。意外とこのリズム・セクションの今までに無い独特の個性が、このスタンダードなアルバムを惹き立てている様です。これもバートンのリーダーシップの成せる技。素敵なジャケット共々、お勧めの好盤です。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年8月24日 (木曜日)

現在のジャズの「深化」を感じる

ジャズって確実に「深化」しているなあ、って感じることが多い。1950年代から1960年代、ハードバップからモード・ジャズとメインストリーム・ジャズは変遷していったが、このハードバップにしても、モード・ジャズにしても、21世紀の現在でも演奏されるジャズ・フォーマットである。

といって、1950年代から1960年代の演奏をそのまま「なぞっている」のでは無い。演奏のレベルは高くなっているし、演奏の展開にも様々な工夫が聴かれる。演奏の響きも明らかに純度が高くなっているし、アレンジの工夫も難度が高いが、とても考えられた音作りがなされている。つまり、ジャズは「深化」しているのだ。

Jack DeJohnette, Larry Grenadier, John Medeski & John Scofield『Hudson』(写真左)。今月の新盤なのだが、僕はこの新盤を聴いて、その「ジャズの深化」を強く感じた。参加メンバーが並列の関係で構成されたテンポラリー・バンドなので、パーソネルに連なる4人の名前がズラリと並ぶ。改めて、パーソネルは、Jack DeJohnette (ds), Larry Grenadier (b), John Medeski (key), John Scofield (g)。
 

Hudson

 
デジョネットは1942年生まれなので、今年で75歳。ジョンスコは1951年生まれなので、今年で66歳。グレナディアは1966年生まれなので、今年で51歳。メデスキは1965年生まれなので、今年で52歳。大レジェンドのデジョネット、中レジェンドのジョンスコ、そして、中堅ベテランの2人がガッチリ組んだ、明らかに硬派な「コンテンポラリーな純ジャズ」である。

とりわけ、ジョンスコが凄い。弾きまくっている。デジョネットが心なしか、大人しいというか落ち着いたドラミングで終始している分、ジョンスコの弾け方が印象深い。メデスキのプログレッシブなオルガンも効いている。グレナディアが全体のビートをガッチリと押さえている。聴き始めると知らない間に一気に聴き切ってしまうほどの充実度。

Bob Dylan「Lay Lady Lay」「A Hard Rain's A-Gonna Fall」、The Band「Up on Cripple Creek」、Jimi Hendrix「Wait Until Tomorrow」、Joni Mitchell「Woodstock」のカバーが目を惹く。70年代ロック者からすると感動のカバー。出来も良い。他のメンバーの自作曲もなかなか。現在のジャズの「深化」がガッツリと感じられる好盤である。

 
 

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2017年3月 5日 (日曜日)

ジョンスコ流のニューオリンズ盤

米国って、なんやかんや言って、自分達のルーツ・ミュージックが好きなんだよな〜、と時々思う。英国だってそうだ。なんやかんや言って、自分達のルーツ・ミュージックが好きだ。ロックだってジャズだって、この「ルーツ・ミュージック」の適切な要素を織り込むと、そのアルバムって大体がヒットする。

このアルバムだって、あからさまに米国のルーツ・ミュージックの要素をふんだんに織り込んで、ヴォーカルを入れてのニューオリンズ/R&B寄りサウンドで、米国ジャズ・シーンでは結構売れたらしい。米国では、ゴスペル、R&B、カントリー&ウエスタン、トラッド・フォークの要素を盛り込んだジャズは鉄板らしい。

John Scofield『Piety Street』(写真左)。2009年のリリース。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Jon Cleary (vo, org, p), George Porter, Jr. (b), Ricky Fataar (ds), Shannon Powell (ds, per), John Boutte (vo)。このアルバムは、そんな米国ルーツ・ミュージックの中の「ゴスペル、R&B」の要素をふんだんに盛り込んだもの。
 

Piety_street

 
一言で言うと「ジョン・スコフィールド(ジョンスコ)流ニューオリンズ・アルバム」である。この盤でのジョンスコのエレギは、相変わらず捻れてはいるが、ソウルフルかつブルージーな正統派なエレギである。捻れを押さえて「ゴスペル、R&B」の要素がそこはかとなく浮き出る様に弾き回している。とにかく上手い。

基本的にジャズの演奏って、オルガンの音色とブルージーなちょっとハスキーな声のボーカルが入ると、演奏の雰囲気がグッと「ゴスペル、若しくはR&B」風な音世界にガラッと変わる。いわゆる「こってこてファンキー」な演奏になるのだ。実は僕はこの「こってこてファンキー」な演奏に「からきし弱い」。

アルバム・ジャケットもゴスペル風で、ジャケットだけ見れば、ジャズのアルバムだとは思わないですよね。ジョンスコのキャリアの中では異色のアルバムの位置づけではありますが、内容は充実しています。コンテンポラリーなフュージョン・ジャズの好盤として、特に、米国ルーツ・ミュージック好きのジャズ者の皆さんにお勧めです。

 
 

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2017年2月 4日 (土曜日)

音楽喫茶『松和』の昼下がり・48

冬にジャズ・ギターが良く似合う。気温が上がらない寒い寒い昼下がり。空は鉛色、北風が吹き付ける昼下がり。そういう季節は、暖かい部屋の中で珈琲をすすりながら、ジャズを聴くのが一番。それもギター、それもアコースティック・ギター(略してアコギ)。

一昨日、そんなフレーズを書いた。アコギの音色はストイックで透明度が高い。冬の「身が切られるような寒さ」に通じる音の切れ味の良さ。冬にジャズ・アコギは良く似合う。ということで、冬にピッタリのジャズ・アコギの好盤をもう一枚。

John Scofield『Quiet』(写真左)。1996年のリリース。捻れエレギのジョン・スコフィールド(略してジョンスコ)。素敵に捻れたエレギを弾く、現代ジャズ・ギターの代表格の一人。1951年生まれなので65歳になる。もう大ベテランの域に達している。そんなジョンスコが45歳の時に録音した、ジョンスコがアコギを弾いたアルバムである。

ジョンスコのエレギは「捻れ」のフレーズが個性。マイルス・デイヴィスのバンドにも招聘された、とっても素敵に「捻れた」エレギの使い手である。そんなジョンスコである。さぞかし「捻れたアコギ」のプレイを聴かせてくれるのだろう、と期待するのだが、そもそも「捻れたアコギ」ってどんな音なんだ(笑)。
 

Quiet_john_scofield

 
最初の一曲目「After The Fact」のジョンスコのアコギを聴けば、そんな期待は良い意味で裏切られる。ジョンスコのアコギは、徹頭徹尾、真っ当な正統派、オーソドックスなジャズ・アコギのプレイである。しかも上手い。

「エレギとアコギは違う」とギタリスト達は口を揃えて言う。僕もちょっとだけギターを弾けるので、ギタリストらの意見は理解出来る。エレギの使い手は必ずしもアコギの使い手にはあらず、ということなんだろうが、一昨日ご紹介したディ・メオラや、今日のジョンスコはその法則には当てはまらない。

アドリブ・フレーズは流麗ではあるが悠然。コマーシャルな雰囲気は一切無い。ここまで凜としてストイックなアコギのプレイは、実にアーティスティック。使っているアコギはナイロン弦。このナイロン弦のアコギはジャズ・ギターとしてのもの。決して、クラシックギターのそれでは無い。このアルバムを聴く限り、ジャズとしてジョンスコのアコギは、なかなかに健闘していると感じる。

フレンチホルン、バス・クラリネットなどを加えた異色なホーン編成のバッキングを聴いていると、思わず「ギル・エバンス楽団」を思い出してしまいます。よい雰囲気のバッキングを得て、ジョンスコのアコギは誠実に内省的に、リリカルで印象的なフレーズを紡ぎ上げていきます。

 
 

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2016年11月20日 (日曜日)

ジョンスコの「C&Wのジャズ化」

ジャズ化の対象というものは、現代では「何でもあり」である。1950年代、ハードバップの時代は、ミュージカルや映画の主題歌や挿入歌をジャズの「スタンダード曲」としてジャズ化した。これは現代でも継続されている。が、最近ではワールドミュージック系の曲やR&Bの名曲まで、なんでもジャズ化する。

ジャズは懐が深いのお〜、と感心しているところへ、このアルバムがリリースされた。John Scofield『Country for Old Men』(写真左)。ジャズ界の「捻れエレギの達人」ジョン・スコフィールド(長いので以下「ジョンスコ」と略)が、カントリー・ミュージックのジャズ化を目論んだアルバムである。

カントリー&ウエスタン(C&W)と言えば、米国ルーツ・ミュージックのメイン・ジャンルの一つ。僕達の子供の頃は、カントリー&ウエスタンと言えば「米国」。カントリー&ウエスタンの音楽がラジオから流れて来たら、遠く見たことも無い憧れの地「米国」を感じたもんだ。

そんなカントリー&ウエスタンをジャズ・アレンジするというこのアルバム、しかも、メインの楽器がエレギである。加えて弾き手が「捻れエレギの達人」ジョンスコ。どうなるんだ、このアルバム。

冒頭の「Mr Fool」を聴く。ジャズのアレンジはされているもののカントリー・ミュージックの雰囲気は色濃く残っている。やっぱり、カントリー・ミュージックのジャズ化は難しいのか、とも思うが、どうして、ジャズはもともと懐が深い。そもそもジャズ化されない音楽ジャンルは無い、と僕は思うのだ。
 

Country_for_old_men

 
2曲目の「I'm So Lonesome I Could Cry」で、アップテンポの4ビートなアレンジで「おお、これはジャズであるな」と感心する。カントリー・ミュージックの持つ郷愁を誘う旋律に、上手くアップテンポのジャジーなアレンジを施して、しっかりジャズ化している。これぞ、アレンジの才の成せる技である。

このアルバム、聴き進めて行くと判るのだが、ジャズのアレンジはされているもののカントリー・ミュージックの雰囲気は色濃く残っているものと、しっかりと4ビートのアレンジを施して明確にジャズ化しているものと上手く組み合わせて収録している。カントリー・ミュージックの雰囲気もしっかり楽しめるし、ジャズの雰囲気も楽しめる。これはプロデュース力の成せる技かな。

意外とジャズの世界で、ジャズ化の対象にカントリー・ミュージックを採り上げることはあまり無いのだが、このジョンスコの新盤には感心した。アレンジの才の成せる技。最後にパーソネルは、John Scofield (g), Larry Goldings (p, org), Steve Swallow (b), Bill Stewart (ds)。2016年4月の録音である。

米国ルーツ・ミュージックが大好きな僕にとっては「即ヘビロテ」。コッテコテのカントリー&ウエスタンはちょっと「ひく」が、このジャズ化は良い。

 
 

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2016年2月16日 (火曜日)

ジョンスコ・孤高の変態ジャズ

John Scofield(ジョン・スコフィールド)。愛称、略して「ジョンスコ」。現代ジャズ・ギターのスタイリストの一人と目しているギタリスト。エレギがメインで、その捻れた音色&フレーズは一度聴いたら忘れられないほど個性的なもの。どこかで流れていても、これはジョンスコや、と直ぐに判るほどの個性である。

エレギをメインに捻れに捻れたフレーズを連発する訳だが、意外とその底にファンクネスが漂っているから堪らない。音色は「くすんでいる」。ほどよく「くすんだ」明快な音色は如何なる楽曲でもポジティブに響く。ジョンスコのギターはポジティブ。とても前向きである。

捻れたフレーズを個性に、思いっきりぶっ飛んだコンテンポラリーなジャズから、捻れを適度に押さえて、伝統のオクターブ奏法を織り込みながらのメインストリームなジャズまで、尖った現代的なジャズから伝統的な純ジャズまで、適用力の広さもジョンスコの個性である。

僕は思いっきりぶっ飛んだコンテンポラリーなジャズのジョンスコがお気に入りである。尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れたジャズ・ギター。決して他に追従を許さない、孤高の「変態ジャズ」。そんなジョンスコが大好きだ。

そんな捻れに捻れた「変態ジャズ」のジョンスコは、リーダー作のジャケット・デザインを見れば直ぐに判る。ジョンスコのアルバムは、その内容についてはジャケット・デザインを見れば容易に想像出来る。恐らく、意識しているのだろう。

例えば、このアルバムなどがその良い例だろう。John Scofield『Überjam』(写真左)。2002年のリリース。まず、この盤のジャケット・デザインを見て欲しい。このジャケットは尋常では無い。
 

Uberjam

 
普通、こういう捻れた「変態デザイン」なジャケットを採用しないだろう。これはジョンスコの、我々聴き手に対するメッセージである。この盤は、尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れた「変態ジャズ」だよ、と。

で、聴いてみると、なるほど、尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れた「変態ジャズ」である(笑)。ディストーションした太いエレギの音色が捻れに捻れまくる。ジャケットのイメージ通り、ジャジーで曼荼羅な音世界が展開する。インド音楽とジャズの邂逅。エレギで奏でる東洋音楽と西洋音楽の融合。これも「フュージョン」である。

打ち込みでないベースやドラムが心地良く響き、適度なノリの良さが特徴の「ジャム・バンド系」の音世界。John Medeskiのオルガンのレガシーな響きが効いている。途中4曲目「I Brake 4 Monster Booty」ではラップが出てきたり、で、ほんと、良い意味でアウトに外れて、適度にぶっ飛んでいます。

この盤の音世界って、ジャズ者の皆さんのどれだけが、心から楽しむことが出来るのでしょうか。そんなふとした不安を思いっきり感じる「変態ジャズ」盤です。でもなあ、この尖って硬派にぶっ飛んで捻れに捻れた「変態ジャズ」な風情が良いんだよな〜(笑)。

食べ物に喩えると、くさやの干物、リヴァロ(ウォッシュタイプのチーズ)、シュールストレミング(塩漬けして発酵させたニシンを缶詰にしたもの)などと同じ感じのコンテンポラリー・ジャズですね。捻れに捻れてアウトに外れたフレーズですが、聴けば聴くほどに、その底に潜む、知る人ぞ知る魅力に填まっていく。

マイルス御大が生きていたら、恐らく絶対に要求しそうな、そんなリズム&ビート、そしてアウトなフレーズが満載です。現代ジャズの最前線な音世界でもあります。でもなあ、このアルバム・ジャケットですから、手にとって聴くのに「ちょっと勇気の要る」好盤ですね(笑)。

 
 

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2015年12月29日 (火曜日)

来年はジャズ・オルガンを攻める

今晩は今年のジャズの聴き納め。最近では、来年のジャズ盤聴きの志向を明確にするアルバムを聴き納めに聴く様にしている。来年はジャズ・オルガンと極めたい、と思って、このアルバムを選んだ。

John Scofield『A Go Go』(写真)。1998年のリリース。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), John Medeski (org, p), Chris Wood (b), Billy Martin (ds)。ジョン・メデスキのオルガン参入が目を惹く。いやいや、ドラムがマーチン、ベースがウッド。あれれ、メデスキ、マーティン&ウッド(Medeski, Martin & Wood)の皆さんとの競演ですか。

もともと、ジョン・スコフィールド、こと「ジョンスコ」のギターは大好き。そんなジョンスコのギターに大好きなジャズ・オルガンの音が絡むのだから、これは堪らない。ファンクネス満点なジョンスコのエレギが素敵である。

ジョンスコのエレギは、それはそれは素敵に「捻れる」のだが、その捻れにメデスキのオルガンが絶妙に絡む。そこに、ビリー・マーチンのドラムがドコドコ煽り、クリス・ウッドのベースがうねりにうねる。そこはもう「大ファンキー・ジャズ・ギター大会」である(笑)。
 

A_go_go

 
メデスキのオルガンがポイント。マーチンのドラムとウッドのベースを伴って、メデスキのハモンド・オルガンはハモンドらしからぬ、ストレートでコキコキなフレーズで、鋭角に攻めてくる。

そこに捻りに捻れたジョンスコのエレギがグニョンと絡む。そして、そこにファンクネスがブワーッと拡がる。すっきりスリムなファンクネス。グルーブ感も半端ない。

ジョンスコのファンク路線の作品。その「こってこてのファンクネス」を増幅するメデスキのハモンド・オルガン。いやいや、ジャズ・オルガンって良いですね。やっとこのところ、ジャズ・オルガンを極める為のアルバム蒐集が進んで、いよいよ来年はジャズ・オルガンを攻めます。

いや〜やっぱりジャズって良いですね〜。それでは良いお年をお迎え下さい。

 
 

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2015年10月18日 (日曜日)

ジョンスコとパットの邂逅です。

新作ではないんですが、このアルバムも初めて入手した類。リーダーのジャズメンはお気に入りなのに、なかなか縁がないのか、入手に至らない盤ってたまにある。特にこのアルバムは双頭リーダーの二人とも大のお気に入りギタリスト。今まで手にしなかったのが不思議。

そのアルバムとは、John Scofield & Pat Metheny『I Can See Your House From Here』(写真左)。1993年12月ニューヨーク、パワーステーションで録音。ちなみにパーソネルは、John Scofield & Pat Metheny (g), Steve Swallow (b), Bill Stewart (ds)。メンバー的には、ジョンスコのトリオにパットが参加したような感じ。

バックのベースの大御所スティーブ・スワロー、ドラムのビル・スチュワート共にかなりの優れもので、フロントで主役の2人のギタリストのパフォーマンスをガッチリ受け止め、がっちりサポートしている様は、実に安定感があり、実に説得力がある。

フロントの二人、主役の二人、ジョンスコとパットであるが、これがまあ、素晴らしいコラボレーションを聴かせてくれている。ぶつかったり、エゴを出し合ったりすることは皆無。お互いの音を聴きながら、しっかりと相手と対話し、しっかりと自らの個性を発揮し、しっかりとユニゾン&ハーモニーする。実に大人のコラボである。
 

John_scofield_pat_metheny

 
サウンド的には、ジョンのAS-200とパットのES175がぶつかり、ユニゾン&ハーモニーするんだが、サウンド的にもお互いの邪魔はしない。どころか、異なるギターの音色がとっても上手く重なり合って、聴いていて、実に心地良いユニゾン&ハーモニーを醸し出す。これは目から鱗。ジョンスコとパットのギターがこんなに相性が良いなんて思ってもみなかった。

曲のよって、ジョンスコとパット、同じ雰囲気の音を出し合って、双子の兄弟の様な、音色の傾向が同じなユニゾン&ハーモニーを醸し出す曲もあれば、ジョンスコとパット、それぞれの個性を前面に押し出して、ジョンスコ色とメセニー色に真っ二つに分かれる曲もある。バリエーション豊かで決して飽きない、優れた内容である。

タイトルは聖書の中の言葉で『わざわざその地に行かずとも私にはそなたの家の様子が手に取るようにわかる』の意。なるほど、ジョンスコとパット、お互いの音を頭で理解すること無く、感覚で解り合えるということか。確かにこのアルバムを聴くとそれがなんとなく納得出来る。それほど、ジョンスコとパットのコラボは息が合っている。

決して、伝統的なジャズ・ギターでは無いが、コンテンポラリーなジャズ・ギターとして、必聴のアイテムでしょう。演奏されるフレーズが親しみ易いものが多いので、ジャズ者初心者の方々にもお勧めです。ちょっと変ちくりんなジャケットに怯まず、手にしても良い佳作です。

 
 

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2015年10月17日 (土曜日)

ジョンスコの「基本と指針」

20世紀の時代から「ジャズは死んだ」とか、21世紀のジャズは「過去の音楽」だとか、評論家筋からは、なんだかジャズについてはあまり良い評判は聞こえてこない。が、ジャズの新譜はどんどん出る。魅力的なアルバムがどんどん出る。

確かに、ジャズはクラシック同様、マニアックな音楽ジャンルではある。当然、ジャズを好んで聴く人間も数が少ない。僕の周り、仕事場の周りでもジャズを好んで聴く人間はいない。そんなマニアックなジャンルなのに、毎月結構な数な新譜が出る。ジャズメンってどうやって生計を立てているのか、本当に心配になる。

さて、最近のジャズの新譜から。John Scofield『Past Present』(写真左)。捻れジャズ・ギターの誉れ高いジョン・スコフィールド(愛称ジョンスコ)の新譜である。ソロ名義のスタジオ・アルバムとしては2013年の『Uberjam Deux』以来。

ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Bill Stewart (ds), Joe Lovano (ts), Larry Grenadier (b)。いや〜、こってこての硬派なメンバー。これは、と思って思い浮かぶのは、こってこて硬派な「メインストリーム・ジャズ」なジョンスコ。ホーンとのカルテット構成なので、ジョンスコの捻れギターも更に映える。
 

John_scofield_past_present

 
内容的にはやはり、こってこて硬派な「メインストリーム・ジャズ」。ジョンスコはメインストリーム・ジャズからファンク、フュージョンと様々なジャンルのジャズに適用する多様性があるギタリストですが、基本はやはり「メインストリーム・ジャズ」。そんなジョンスコの純ジャズな矜持を強く感じる内容になっています。

もちろんジョンスコの大好きなR&Bやニューオリンズ貴重な雰囲気やカントリーな要素も織り込まれてはいるのですが、基本はメンストリーム・ジャズ。キーボードレスなカルテット構成なので、音の雰囲気は実に「ストイック」。特に、オリジナル曲では刺激的な演奏を展開していて、聴いていて「スカッ」とします。

このアルバムでは、ジョンスコのジャズの「基本と指針」が聴ける。改めて、今のジョンスコが考える「メインストリーム・ジャズ」を感じることが出来て、うっかり聴き流すことのできない、適度な緊張感が心地良い、硬派なジャズ・ギターが展開されています。

ストイックなメインストリーム・ジャズなので、ライトなジャズ、スムースなジャズを好むジャズ者の方々には、ちょっと合わないのでは。1960年代の新主流派辺りの、ストイックで硬派なモーダルなジャズを聴きこなすジャズ者の方々には「ええなあこれ」という盤では無いかと思います。

 
 

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2015年9月25日 (金曜日)

もの凄いジャズ・エレギである

僕にとって、37年のジャズ盤鑑賞の歴史の中で最後の楽器が「ギター」。最近、ジャズ・ギターのアルバムに重点を置いて、ジャズ盤コレクションを進めている。故に、ジャズ・ギターのアルバムについては、聴き直しというよりは初モノがまだまだ多い。

ギター担当のジャズメンも他の楽器に負けずに多くいる訳だが、ジョン・スコフィールド(John Scofield)はお気に入りギタリストの一人。ワン・アンド・オンリーな個性を持った、実に癖のあるギタリストである。

伝統的なジャズ・ギターの奏法をベースにしながらも、ちょっとアバンギャルドに「捻れて」、音を不協和音っぽく響かせながら、モーダルに唄い上げていくところが実にユニーク。一聴するだけで「ジョンスコや〜」って判るくらい、独特の個性ある音の持ち主である。僕は「捻れギターのジョンスコ」と呼んでいる。

さて、そんなジョンスコの胸が空くような、クールでハードでタイトでダイナミックなライブ盤が最近のお気に入りの一枚。そのライブ盤とは、John Scofield『Pick Hits Live』(写真)。1987年10月7日、日本は東京でのライブ音源(昭和女子大学人見記念講堂とのこと)。ちなみにパーソネルは、John Scofield (g), Robert Aries (key), Gary Grainger (b), Dennis Chambers (ds)。

ジョンスコはエレギ専門と言ってよいギタリストではあるが、決して、フュージョン畑では無い。捻れに捻れたエレギではあるが、演奏されるスタイルは、基本的に「コンテンポラリーな純ジャズ」である。エレギの音の個性は聴けば直ぐ判る程の「個性的な捻れ音」と「くぐもった拡がりと伸びのある音」。
 

Pick_hits_live

 
むっちゃ硬派なライブ演奏である。聴き手に媚びること無く、迎合すること無く、一心不乱に自らの信じる「コンテンポラリーな純ジャズ」をガンガンに弾きまくる。このライブ盤でのジョンスコのエレギは何時になく「シャープ」。素晴らしい切れ味のアドリブ・フレーズに思わず仰け反る。

そして、このライブ盤で白眉なのは、デニス・チェンバース、愛称デニチェンのドラミング。バッシバッシと叩きまくるが、彼の叩き出すリズム&ビートは「コンテンポラリーな純ジャズ」。ジョンスコとの掛け合いも素晴らしく、ジョンスコを鼓舞する様はまさに「鬼神」である。とにかく、このライブ盤でのデニチェンのドラミングは破壊力満点である。

リズム隊がハードにタイトに尖って、バシバシしばくようにリズム&ビートを叩き出すが、決して耳につかない。録音が良いんですね。ジョンスコのエレギとのバランスも良好で、実に躍動感溢れ、適度なテンションが心地良い、内容が高度で濃密な傑作ライブ盤に仕上がっています。

ジョンスコのエレギの捻れ具合も良好、通常盤もコンプリート盤もどちらも良好。ジョンスコを初めて体験するには、ちょっとハードな内容かなとも思います。ジョンスコを聴き始めて、ジョンスコがお気に入りになった時が、このライブ盤の「聴き頃」かと思います。もの凄い「ジャズ・エレギ」のライブ盤です。

 
 

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