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2019年3月18日 (月曜日)

現代のエレ・ジャズの先端を聴く

マイルス・デイヴィスが「エレクトリック・ジャズ」を世の中に提示して、もう50年になる。1970年代には、チック・コリアのハービー・ハンコックが牽引し、1980年代にはジャズの1つのスタイルとして定着した。今では「エレクトリック・ジャズはジャズでは無い」というジャズ者はいないだろう。

昨年の注目のジャズ盤という記事を見ていて、このアルバムが気になった。BIGYUKI『Reaching For Chiron』(写真左)。聴けば判るが、徹頭徹尾「エレクトリック・ジャズ」の音世界。シンセサイザーの音も時代の最先端をいく音。適度なテンションと包み込まれる様な浮遊感。幽玄な墨絵の様な音世界。なんだか、日本を感じるエレクトリック・ジャズやなあ、と思ったら、リーダーの「BIGYUKI」って日本人でした。

BIGYUKI(ビッグユキ)、本名は平野雅之。バークリー音楽大学の出身で、卒業後、以降ボストンのセッション・プレイヤーとして活動。 その後ニューヨークに活動の場を移す。2015年にアメリカのJAZZ TIMES誌が行った読者投票のベスト・シンセサイザー奏者部門では、ハービー・ハンコック、チック・コリア、ロバート・グラスパーに次いで4位を獲得。錚々たる実績ではないか。
 

Reaching_for_chiron

 
「さらにぶっ飛んだものを作りたい」という思いを胸に、当アルバムはリリースされた。現代の最先端のシンセサイザーの音。テクノ、ユーロビート、ヒップホップ、ハウス、エレクトロニカ等々、電子音楽のジャンルの全てを融合して、独特の音世界を創造している。密度の濃い、創造力豊かなシンセサイザーのインプロビゼーション。今までに聴いたことのない音世界。確かに「ぶっ飛んで」いる。

テイラー・マクファーリンやビラルといった気鋭のミュージシャンも参加していて、BIGYUKIの音世界に更なる彩りを添える。これはドラマチックだけど淡々とした面も織り交ぜた、自由度の高い「ジャズ」である。この盤を聴いたジャズ者の方の中には「これがジャズなのか」と疑問感じる方もいるだろう。しかし、リズム&ビートは効いている。シンセサイザーをメインとしたキーボードの演奏は明らかに創造性豊かなインプロビゼーション。

この音世界は繰り返しの音楽でも無く、定型の音楽でも無い。であれば、これは「ジャズ」だろう。いや「ジャズ」で無くても良い。この音楽は確かに「良い音楽」だ。この盤を聴いて、エレクトリック・ジャズの最先端を聴いた感じがした。これは良いものを聴いた。BIGYUKIのデビュー盤。もう次作が楽しみだ。

 
 
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2017年1月 9日 (月曜日)

マイルスが愛した「スライ」

我が千葉県北西部地方は、午前中は昨日の雨が残り、台風の様な西風が吹き付け、午後から天気は回復したが、相当に寒い成人の日であった。こんな日は外へ出ることは無い。一日、家に籠もって、ジャズの合間の耳休め。日頃聴けないロック盤を中心に聴き直しを進める。

今日、印象に残った盤がこれ。Sly & The Family Stone『There's a Riot Goin' On』(写真左)。1960年代後半から1970年代前半に流行した「ファンク・ロック」の代表的バンドの好盤である。1971年のリリース。邦題は「暴動」。

Sly & The Family Stone(スライ&ザ・ファミリー・ストーン)は、特に1967年から1975年にかけてサンフランシスコを本拠地として活動した、アメリカの人種・性別混合ファンクロックバンドである。ロックを聴き始めた頃は、その存在は知ってはいたが、全く気にかけてはいなかった。が、マイルスがエレ・マイルスを推進する上で、リズム&ビートのノリの参考にしたということをマイルス本で読んで、聴くようになった。

この「スライ」は、米国では影響力のあるバンドであった。このアルバムも、1970年代に入って、多くの米国人の夢や希望の喪失感を反映した内容になっており、そのメッセージ力は相当なものがあったと聞く。しかしながら、マイルスは、ジェームズブラウンや、このスライ&ザ・ファミリーストーンの音楽をよく聴き、自分の音楽に取り入れていた。
 
Theres_a_riot_goin_on
  
ここに有るのは、暗く不吉なサウンドであり、ネアカでは無い、シリアスなファンク・ロックである。コカインをやりまくった影響から生まれ出でた、唯一無二な、この時代独特の、スライ独特のファンク・ロックである。暗く不吉なサウンドではあるが、決して後ろ向きでは無い。

バックのリズム&ビートをスライ・ストーンがリズム・ボックスを駆使して、一人で録っている。ヒスノイズ等が乗って、チープでシンプルな音ではあるが、うねるような独特なリズム&ビートを生み出しており、マイルスが耳を傾け、エレ・マイルスに積極的に取り込んでいたのも理解出来る。最終的にマイルスの名盤「On The Corner」でその成果が花開くこととなる。

ファンク・ロック、R&Bなど、黒人音楽の独特のリズム&ビートがとっても魅力的である。この盤がリリースされて、既に45年、約半世紀が経過した訳であるが、この盤に詰まっている、スライ独特の「リズム&ビート」は永遠である。日本ではあまり評価が高くないようだが、適正に再評価されるべきアルバムである。

特に、エレ・マイルス好きのジャズ者の方々は一度は耳にしておくべきロック盤の一枚でしょう。
 
 
 

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2015年9月17日 (木曜日)

マイルスと「ジミヘン」

エレクトリック・マイルスを楽しむ上で、ジャズ以外のミュージシャンとの連携、交流の変遷を知ることは必須のアイテムである。マイルスは、ロックやソウルやR&Bの優れたミュージシャンとの交流によって、エレ・マイルスの音世界を充実させていったのだ。

そんなジャズ以外のミュージシャンとの連携の中で、今回は「ジミ・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)」を採り上げる。

ジミ・ヘンドリックスは、米国出身のギタリスト。ロックミュージックのパイオニアの一人。1966年に渡英。米国のルーツ・ミュージックのひとつであるブルースをベースにした、斬新なギター・サウンド、超絶技巧な演奏技術、圧倒的なインプロヴィゼーションにより、一般の音楽ファンはもちろんプロのミュージシャン達にも大きな衝撃を与えた。

マイルスは、この「ジミヘン」の音楽性に着目。もう少しで共演するところまで行ったらしい。しかし、共演するその日を待つ間に、ジミヘンは謎の死を遂げる。オーバードーズによる窒息死により、マイルスとの共演は幻に終わる。

しかし、マイルスは自らのバンドのギタリストに「ジミの様に弾け」とよく指示したらしい。確かに、ジャズのサイドからすると、8ビートのジャジーでスインギーなリズム&ビートをひねり出すのは意外と難しく、ロックのリズム&ビートを参考にした方がその展開は早い。

しかも、ロックのエレクトリック楽器が持つ「暴力性・扇動性・強靱性」はジャズの音世界には無いもの。マイルスはこのロックのエレクトリック楽器の持つ「暴力性・扇動性・強靱性」が欲しかったのだろう。
 

Jimi_hendrix_axis_bold_as_love

 
ジャズがロックに相対するには「音によるメッセージ力」を得ることが必要である。マイルスは、このロックの持つ「音によるメッセージ力」が欲しかったのだろう。ジャズに無くて、大衆を惹き込むロックにあるもの。

Jimi Hendrix『Axis : Bold As Love』(写真左)を聴く。ザ・ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスが1967年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。メロディアスな楽曲がズラリ並び、聴いていて楽しいジミヘンの音世界である。

聴いて改めて感じるのだが、やはり、斬新なギター・サウンド、超絶技巧な演奏技術、圧倒的なインプロヴィゼーションは卓越している。今の耳で聴いても、これだけアグレッシブでプログレッシブなエレギ・サウンドは、なかなか耳に出来ない。この斬新なギター・サウンドが、1967年、今から50年位前に創造された音とはとても思えない。

このアルバムの収録曲の中で、2曲目の「空より高く - Up from the Skies」、6曲目の「リトル・ウィング - Little Wing」などは、マイルスの盟友、レジェンドなアレンジャー&キーボード奏者、ギル・エバンスが採用し、エレクトリック・ビッグ・バンドの定番曲として好んで演奏している。もともとジミヘンの曲はブルースを基調とした曲が多く、確かにジャズにアレンジし易い。成る程なあ、と感じ入る。

アラウンド・マイルス、マイルスの周辺。ジミ・ヘンドリックスのギターと、そのギターが紡ぎ出すリズム&ビートと「暴力性・扇動性・強調性」はマイルスに多大な影響を与え、マイルスはそんなジミヘンの音の要素を自家薬籠中のものとして、エレ・マイルスとして昇華させた。マイルスの音の「懐の深さ」を垣間見る様なエピソードである。

 
 

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