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2018年6月17日 (日曜日)

サザンロック系のAORなエレギ

「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」という単行本を読みつつ、ポーカロのお仕事を追体験している。ジェフ・ポーカロは、ロックバンド、TOTOの元ドラマー。セッション・ミュージシャンとしても数多くのレコーディングに参加しており、AORからフュージョン・ロックまで、幅広いジャンルで活躍した。プロとしてのキャリアは20年余りにも拘らず参加作品は200作を超えているが、1992年8月5日、38歳の若さで早逝している。

そんなポーカロのお仕事を追うと、こんなアルバムあったんや、とか、ああ懐かしいアルバムやなあ、とか、とても興味深いアルバムに沢山出会う。ポーカルって、AORやフュージョン・ロックにおいて、重要なアルバムやヒットアルバムに結構、名を連ねている。このアルバムもポーカルのドラムなんや、と改めてビックリするアルバムの何と多いことか。

『Les Dudek』(写真左)。1976年のリリース。当時の日本盤のキャッチコピーは「デュアン・オールマンの生まれ変わり」。確かに、サザンロック風のエレギで、デュアンより、スッキリ明るい音色で、ブルース・ギターの香りは残ってはいるが、アーバンで端正なAOR系のエレギという雰囲気。伸びやかで良く唄うギターで、フュージョン・ジャズの耳にしっかりとフィットします。
 

Les_dudek

 
Les Dudek=レス・デューデックとは、米国の東海岸ロード・アイランド出身のギタリスト。オールマンズのアルバム『Brothers & Sisters』に参加、「Ramblin' Man」ではディッキー・ベッツと共にギターを弾き、「Jessica」ではアコギを担当。ああ、あのアコギ、デューデックだったのね、とビックリ。その後、ボズ・スキャッグスのバックバンドやスティーヴ・ミラー・バンドでギターを担当、僕は、ボズの『Silk Degrees』のパーソネルでその名を知りました。

さて、アルバム『Les Dudek』に戻ると、スライド・ギターも心地良く、ライトなサザン・ロック風のテイストがなんとも粋である。1970年代のサザン・ロック者からすると、このギターは「アリ」ですね。ドラムのポーカロも得意のシャッフル・ビートを叩きつつ、サザン・ロック風のリズミカルで躍動感のあるパーカッシヴなドラミングも織り交ぜて、かなり高度なお仕事をこなしていて素晴らしいです。

このアルバムの存在、「ジェフ・ポーカロの(ほぼ)全仕事」という単行本で再発見するまで、すっかり忘れていました。聴き直してみて、ああ懐かしい、1970年代後半のサザン・ロック系のAORな雰囲気がとても芳しい。そして、思い出した。ジャケットのゴールドのレスポールのネックの先にとまるオウムの存在を(笑)。不思議なジャケットですが、AORからフュージョン・ロックの好盤です。ジャズの合間の耳休めにピッタリ。

 
 

東日本大震災から7年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

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2018年6月 9日 (土曜日)

ブルースとジャズの融合の好盤

ジャズのアルバムを続けざまに聴いていると、ちょっと「耳休め」に他のジャンルの音楽を聴きたくなる瞬間がある。もともと50年ほど前にはクラシック音楽に親しみ、45年ほど前にはロック小僧だった訳で、特に最近、歳をとったのであろう、70年代ロックやソウル、ブルースが無性に聴きたくなる時がある。

そういう時は無理せず「ジャズの合間の耳休め」盤として、そちらの好盤に耳を傾ける様にしている。ただし、ジャズの合間の耳休めなので、あまりジャズからかけ離れた音楽を聴くのは、ちょっと憚られる。この4〜5年、ジャズの合間の耳休めに聴く盤としては、米国ルーツ・ミュージック系のアルバムをチョイスするようにしている。

T-Bone Walker『Very Rare』(写真左)。モダン・ブルース・ギターの父と呼ばれる T-ボーン・ウォーカー。 彼が亡くなる直前(1975年3月没)が亡くなる前、1974年にリリースした好盤である。ちなみにパーソネルを見渡すと、Larry Carlton, David T. Walker, Dizzy Gillespie, Gerry Mulligan, Herbie Mann, Zoot Sims, Joe Farrell, Al Cohn, Wilton Felderなど、ジャズ界の一流どころを目一杯起用。
 

Very_rare_1  

 
前述のパーソネルから、この盤は「ジャジーでソウルフルなブルースの好盤」に仕上がっている。特に、この盤は、T-ボーン・ウォーカーのボーカルをフィーチャーしており、聴けばお判り頂けるかと思うが、ライトでフュージョンなジャズ・ボーカルの秀作としても聴くことが出来る内容なのだ。渋くてブルージーなT-ボーン・ウォーカーのボーカルとジャジーなバック演奏とが、とても相性が良いようだ。

あのジャズ・ギタリストの祖、チャーリー・クリスチャンがジャズに採用したよりも早く、エレギをブルースの採用したと言われる、モダン・ブルース・ギターの父、T-ボーン・ウォーカーの弾くエレギはあまり出てこないのですが、ところどころに出てくる「一発芸」的なアドリブ・フレーズはやはり、相当にブルージー。流れればハッとし、聴き惚れて「ええ雰囲気やな〜」と、思わず感嘆の声が出てしまう。

ブルース、ジャズ、ソウル、R&Bなどが融合した、フュージョン・ミュージックな内容に惚れ惚れする。参加ミュージシャンの顔ぶれはブルース・アルバムとしては異色の面々ではあるが、こってこてファンキーなブルース・フィーリングは、このバック・ミュージシャンの面々がしっかりと担っています。ジャズの合間の耳休みとして、好適な盤だと思います。

 
 

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2018年6月 3日 (日曜日)

正統ブルース・ロックがてんこ盛り

ジャズの合間の耳休めのアルバムには色々あるが、やはり、ジャズに近い「米国ルーツ・ミュージック」を踏襲したものが一番フィットする。ロックであれば、米国ルーツ・ロック。ブルースやゴスペル、カントリー、ソウル・ミュージックをベースにしたロックが、ジャズの合間の耳休め盤に一番適している。

ロックであれば、ブルースを基調としたものが良い。ブルースを基調としたロックといえば、1960年代後半、英国で流行始めてから、現在に至るまで、綿々とコンスタントに好盤をリリースしている。レジェンドの域に達した大ベテランについては、エレック・クラプトンの名が「いの一番」に挙げられる。

それでも、1980年代のクラプトンについては、まずは売れることが求められ、それに応えようとした時代の流行の音に迎合したアルバムが多く、あまり触手の伸びるアルバムをリリースすることは無かった。しかし、1992年にリリースされたライブ盤『Unplugged』により、渋いブルースを歌うクラプトンが評価され、人気の裾野が広がり、セールスが伸びた。渋いブルースをクールにロックして歌うスタイルが受ける。クラプトンは確信した。
 

From_the_cradle_1  

 
その確信をもとにレコーディングされたアルバムが、Eric Clapton『From the Cradle』(写真左)である。1994年のリリース。コッテコテのブルース集である。オリジナルを忠実に再現しながら、あくまでもコピーではない個性と拘りで、クラプトン・オリジナルなブルース・ロックがてんこ盛り。クラプトン流の「ホワイト・ブルース」を堪能出来る。

加えて、この盤、録音が良い。ブルース演奏らしく、シンプルで躍動感のあるもの。それもそのはず。ほぼ全曲とも一発録り。何らかのオーバーダブがなされているのは「ハウ・ロング・ブルース」と「マザーレス・チャイルド」の2曲のみらしい。躍動感溢れる、程良い緊張感を伴ったブルース・ロックは聴き応え十分。クラプトンの「原点回帰」というか、ロックに求められる「革新性」に別れを告げた「潔さ」が感じられる秀作である。

専門家からの評価も高く、グラミー賞のベスト・トラディショナル・ブルース・アルバム部門を受賞している。音の太さ、迫力と共に、ブルース・ロックの最高峰の演奏がこの盤に詰まっている。コマーシャルに流されない、純粋な音楽家としてのクラプトンが実に潔い。ちなみに、この盤、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズの合間の耳休め盤に良く選盤されています。

 
 

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2018年5月20日 (日曜日)

カントリー・ロックの雄です。

米国ルーツ・ロックの話題は続く。1970年代前半、米国ルーツ・ロックのトレンドは「フォーク・ロック」もしくは「カントリー・ロック」。カントリー&フォークのテイストをロック・ビートに乗せる。1960年代の終わり、ウッドストック以降、ロックが音楽ビジネスとして取り上げられ始めた頃、米国ルーツ・ロックの初めとして、「フォーク・ロック」もしくは「カントリー・ロック」は流行した。

フォーク&カントリー・ロックの代表と言えば「Eagles(イーグルス)」。1971年、リンダ・ロンシュタットのバックバンド(Linda Ronstadt & Her Band)の編成のために、名うてのミュージシャンが集められた後、このバックバンドが独立しデビュー、米国西海岸ロックの雄でありながら、世界的レベルの成功を収めた伝説のロックバンドである。

彼らの当初の個性は、ファースト盤を聴けば良く判る。そのファースト盤とは『Eagles』(写真)。邦題『イーグルス・ファースト』。1972年6月のリリース。ちなみにパーソネルは、Glenn Frey (vo, g), ,Don Henley (vo, ds), Bernie Leadon (vo, g, banjo), Randy Meisner (vo, b)。今から振り返れば、米国西海岸ロックの伝説のメンバーである。
 

Eagles_first  

 
冒頭の「Take It Easy」は、ジャクソン・ブラウンとグレン・フライの共作。バーニー・レドンの奏でるバンジョーとスティール・ギターが絶妙なカントリー・テイストを醸し出し、この楽曲をカントリー・ロックの名曲たらしめている。この曲、実は前奏からカントリー・フレーバー満載で、ロックビートとの絶妙なバランスが素晴らしい。

が、2曲目の「Witchy Woman」から、ハードロックなテイストが入り込んでくる。3曲目の「Chug All Night」などは、ライトなハードロックという印象。イーグルスというバンド、活動初期から中盤までのヒット曲は「フォーク&カントリー・ロック」のテイストを前面に押し出しているが、実は結構「ハードロック」な要素を好みとしている。僕達は当時「カントリー・ハード・ロック」と呼んでいた位だ。

この「ハードロック」な要素を前面に押し出した名作が『Hotel California』。この盤に至っては「フォーク&カントリー・ロック」な要素は完全に後退している。が、このファースト盤では「フォーク&カントリー・ロック」のテイスト満載、西海岸ロックの代表的バンドの当初の姿をしっかりと留めている。米国ルーツ・ロックの好盤の一枚。

 
 

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2018年5月19日 (土曜日)

米国ルーツ・ロックのデッド

ジャズの合間の耳休めには「米国ルーツ・ロック」が良い。1960年代終盤から1970年代、様々な米国ルーツ・ロックの好盤がリリースされた。米国ルーツ・ロックは、その名の通り、米国ルーツ・ミュージックの要素を取り込んだロックのこと。もちろん、ジャズも「米国ルーツ・ミュージック」のひとつ。

そういう面から、米国ルーツ・ミュージックは、ジャズの合間の耳休めにピッタリなのだ。このアルバムは、今を去ること約40年前、大学時代に聴いて「これは」と感心した、米国ルーツ・ロックなアルバムである。Grateful Dead『American Beauty』(写真左)。1970年のリリースになる。

タイトルが言い得て妙で、米国ルーツ・ミュージックの要素をふんだんに取り入れた「米国ルーツ・ロック」の好盤である。もともと「米国ルーツ・ロック」は大好きな私である。この盤に出会った時は、これはもう心はウキウキ、これは楽しい「米国ルーツ・ロック」の好盤。フォーク、カントリー、ブルース、そしてジャズ。米国ルーツ・ミュージックのおおよそがこの盤に詰め込まれている。
 

American_beauty

 
加えて、とってもリラックスしたロックである。後の「レイドバック」を先取りした様な、良い具合にリラックスしたロックである。決してダラダラはしていない。適度なテンションを張りつつも、どこか余裕のある演奏がとても素敵である。米国ルーツ・ミュージックの要素を大々的に取り入れたロックなので、これまでのデッドの音の個性であった「サイケ色」はほぼ前面的に払拭されている。

デッドのドラマー、ミッキー・ハート曰く「宇宙旅行から地上に帰って来て、土を耕して自分たちの足で踏ん張ったんだ」。言い得て妙ですね。この盤の底に漂っている「アーシー」な雰囲気を的確に言い当てています。そう、この盤のリズム&ビートはそこはかとなくアーシー。これが実に良い。聴いている耳に、このアーシーさが心地良く響く。

我が国では全くと言って良いほど、人気の無いグレイトフル・デッドですが、この『American Beauty』をメインとする「米国ルーツ・ロック」志向のアルバムは、聴きどころ満載、聴き応え満点の好盤揃いです。そうそう、「米国ルーツ・ロック」の好盤ですが、この盤ではアコースティック楽器の音がとても良いところが、隠れた「聴きどころ」です。お楽しみあれ。

 
 

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2018年5月13日 (日曜日)

ジャズの合間にゴスペル・ロック

ジャズの合間の耳休めには、米国ルーツ・ミュージックを融合したロックやR&Bが良い。というのは、私、松和のマスターの主観。実際、ハードな純ジャズやフリー・ジャズを聴き続けて、ちょっとジャズに耳がもたれた時、米国ルーツ・ミュージックを融合したロックやR&Bが耳に優しい。

ジャズと違和感の無い米国ルーツ・ミュージックのジャンルに「ゴスペル」がある。ゴスペルとは簡単に言うと、米国の黒人教会文化が生んだ「魂の歌」。神のことばや神から受けた恵みを感謝したり、伝えたいという思いが歌となったものが「ゴスペル」。ジャズでは、このゴスペルの特徴である「コール・アンド・レスポンス」や音の重ね方について、特にファンキー・ジャズのジャンルで取り込んで活用している。

ロックの世界でも、ゴスペルの要素はよく取り込まれている。特に、1960年代末から1970年代前半のトレンドでもあった「スワンプ・ロック」にとりわけ活用され、同時期に流行ったソウル・ミュージックにも、しっかりと取り込まれている。いわゆる、アフリカン・アメリカンの「魂のフレーズ」なのだ。
 

Right_on_be_free  

 
The Voices of East Harlem『Right On Be Free』(写真)。1970年の作品。ロックをベースにしたゴスペル・ミュージックである。イーストハーレムのゴスペル・グループが、1970年にリリースした1st.アルバムになる。リロイ・ハットソン、カーティス・メイフィールドが絡む前のストレートでパワフルな「ゴスペル・ロック」。ゴスペルの良いところをロックで強調した様な音世界。

ゴスペルのパワフルな歌唱をそのままに、ロックのビートに乗って、さらにその高揚感が高まっている。ロックの伴奏自体が切れ味が良く、曲の要所要所で「決め」の部分がバッチリと決まっていて、爽快感すら漂ってくる。重厚なコーラスが音の厚みに貢献し、しっかりと聴き応えのある音に仕上がっている。

すっきりとしたファンクネスが良い感じ。レアグルーヴ的な要素も随所に聴かれ、1970年の作品とは言え、音の古さをあまり感じ無い。レアグルーヴ〜ニュー・ソウル好きには必聴の好盤。ジャズの合間の耳休めにもピッタリのゴスペル・ロック盤です。聴いていて、思わず体が動き始め、クラップ・ハンドしてしまう。ゴスペルの魅力満載ですね。

 
 

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2018年5月12日 (土曜日)

ハサウェイの傑作ライブ盤

1970年代、ジャズは多様化が進む。純粋なジャズだけの音もあるにはあるが、ロックの要素を取り入れたクロスオーバー・ジャズが幅を利かせ、その後、大ブームとなったフュージョン・ジャズが席巻する。ジャズの音の要素は他のジャンルにも広がっていく。ソウル・ミュージック、その後のR&Bにジャズのテイストは浸透していった。

ジャズを聴いていて、耳が少々、ジャズに疲れた時は「ジャズの合間の耳休め」の盤を選盤して耳を傾ける。しかし、それがあまりにジャズからかけ離れていては駄目だ。ジャズ周辺のフュージョン周辺の音が良い。その演奏のテイスト、その演奏の雰囲気。ジャズに通じるノリと演奏テクニック。芳しきファンクネス、そして、ソウル。

Donny Hathaway『Live』(写真左)。1972年の作品。全米18位。早逝したR&Bの天才歌手、ダニー・ハサウェイの傑作ライブ盤である。ちなみにパーソネルは、Phil Upchurch, Cornell Dupree, Mike Howard (g), Willie Weeks (b), Fred White (ds), Earl DeRouen (conga, ds)。フィル・アップチャーチ、コーネル・デュプリーなど、後のフュージョンの名うてミュージシャンが参加している。
 

Donny_hathaway_live  

 
アルバムの前半(1〜4曲目)には、1971年8月にハリウッドのトルバドールで行われた公演からの抜粋が収録され、後半(5〜8曲目)には10月にニューヨークのビター・エンドで行われた公演から抜粋されている。これが、とっても良い雰囲気のライブ・パフォーマンスなのだ。バックのシンプルな演奏もさることながら、聴衆のレスポンス、パフォーマンスが見事。

ファンクネス溢れ、米国ルーツ・ミュージック、とりわけ、ブルース、ソウル・ミュージック、ゴスペルの要素を取り入れつつ、ジャズをベースとした演奏をバックに、ハサウェイはソウルフルにそれぞれの曲を唄い上げていく。従来のジャズ・ボーカルよりも、ポップでソウルフルでスピリチュアルな歌唱。

特にカバー曲が秀逸。冒頭の「What's Going On」、4曲目の「You've Got a Friend」、7曲目の「Jealous Guy」など、思わず惚れ惚れして聴き込むほどの出来の良さ。一分の遅れも隙もなくプレーヤーと一体化した観客、一緒になって大声で歌う瞬間。このライブ盤は、その場で自分も聴いていると錯覚させてくれるほどの「ライブ感」に満ちあふれている。

 
 

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2018年3月19日 (月曜日)

クラプトンの武道館ライヴ盤

ジャズの合間の耳休め・・・。クラプトンのギターを愛でるにはライヴ音源が良い。スタジオ録音では、これはこれで良いんだが、スタジオ録音という環境上、確実・堅実なプレイが優先されて迫力に欠ける。ライヴ音源は、大観衆を相手に、そのライヴ・パフォーマンスの流れの中でアドリブを展開するので、荒々しさはあるが迫力がある。

70年代クラプトンのエレギの魅力は「ブラッキー」。複数本のストラトをばらして、良い部品だけをピックアップして再作成された手作り特性ストラト。その漆黒のボディーから「ブラッキー」と呼ばれる。この「ブラッキー」の音が最大の魅力。この魅力的な音を心ゆくまで堪能するにはやはりライヴ音源が良い。

そういうライヴ盤と言えば、イチ押しは、Eric Clapton『Crossroads 2: Live In The Seventies』(紹介記事はここをクリック)。70年代の未発表ライヴ音源を中心とした4枚組CDボックス盤である。これがまあ、絶品のライブアルバムなのだ。70年代クラプトンが好きな方は必聴。あの名盤ライブ盤『E.C. Was Here』と収録曲がほぼ被っているので、他の演奏を含めて、この4枚組盤がベストチョイスだ。
 

Just_one_night

 
しかし、CD4枚組はいかにも「トゥーマッチ」である、という向きもあろう。この4枚組は選曲的には渋くて、クラプトンのヒット曲や人気曲を選曲している訳では無い。クラプトンのライヴなら「ベスト盤」的な選曲を望む向きもあろう。そういう向きには、このライヴ盤が良い。Eric Clapton『Just One Night』(写真左)。1979年12月3日、東京の日本武道館でのライヴ音源。1980年のリリース当時はLP2枚組。ちなみにCDも2枚組。

まず音が良い。ブラッキーの音が生々しく聴こえる。クラプトンのボーカルも生々しい。バックの音の分離も良い。もともと武道館は音があまり良く無いという印象なんだが、このライヴ盤はとても音が良い。選曲も「ベスト盤」的な選曲で、人気曲「Wonderful Tonight」や「Blues Power」「Cocaine」なども収録され、クラプトン者で無くても楽しめる。

70年代クラプトンを心ゆくまで愛でることの出来るライヴ盤は、まずは絶対に『Crossroads 2: Live In The Seventies』、そして、一歩譲って、この武道館ライヴ音源の『Just One Night』。それでも「トゥーマッチ」な場合は『E.C. Was Here』。この3つのライヴ盤を聴くことで、70年代クラプトンの本質をしっかりと感じることができるのだ。

 
 

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2018年3月18日 (日曜日)

米国ルーツ・ロックなクラプトン

高校時代から、エリック・クラプトン(Eric Clapton)が好きである。もうかれこれ、40年以上、付かず離れず、彼のアルバムを聴き続けていることになる。で、10年位前から、クラプトンのアルバムを聴き直しては、このブログにその紹介記事をアップしている。で、そろそろ70年代クラプトンを抜けて、80年代クラプトンに行かないと、こちらの寿命が問題になってくる(笑)。

ということで、70年代クラプトンの聴き直し、ラストスパートである。毎年、この季節になると、必ず聴きたくなるアルバムがある。Eric Clapton『Another Ticket』(写真)。1981年2月のリリース。大学最終年度を迎えんとする、大学時代で、一番、充実していた時期。このアルバムについては、リリース即ゲットで、かなり聴きまくった思い出がある。

70年代のクラプトンは「米国ルーツ・ロック」のクラプトン。この盤は、1981年のリリースではあるが、米国ルーツ・ロックがメインの、成熟したクラプトンのプレイがふんだんに聴ける。冒頭の「Something Special」などは、ザ・バンド丸出しのクラプトンの自作曲。アルバム全体の雰囲気は、70年代クラプトンの代名詞のひとつである「レイドバック」。
 

Another_ticket

 
この盤は、久し振りにトム・ダウドがプロデュースを担当しているので、演奏はレイドバックしているが、タイトでメリハリの効いた演奏に仕上がっていて、純粋にロック盤として楽しめる。タイトル曲などは「70年代クラプトン」の癒やしの名演である。メインのエレギも、ここぞ、という時の「決めの一発フレーズ」が素晴らしい。

ボーカルも成熟の極み。70年代初頭はクラプトン自身、全く自信の無かったボーカルであるが、この『Another Ticket』に至っては、成熟の極み。当時、重度のアルコール中毒だったというが、そんなことは微塵も感じさせない、渋く味のあるブルージーなボーカル。70年代のクラプトンを聴き進めてきて、クラプトンのボーカルは、この盤にて完成した様な感じがする。

この『Another Ticket』、ジャケットが地味だと揶揄されることもあるが、僕は好きですね。クラプトンの歴史を語る上で、なかなかその名前が挙がらない盤ですが、僕はこの盤はクラプトンの「隠れ好盤」である、と思います。また、この盤、70年代の作品をリリースしてきたポリドールからのスタジオ作としては最後の作品となった。70年代クラプトンは、やはり「ポリドール」ですね。

 
 

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2017年12月 9日 (土曜日)

マクドナルド・ドゥービーの始め

ドゥービー・ブラザース。訳して「大麻兄弟」。振り返ってみれば、凄いネーミングのバンドである。1960年代後半から1970年代まで、ウェストコースト・ロックを代表するバンドのひとつ。1982年に一旦、解散したが、1989年、正式に再結成し、今日に至る。

バンド当初の野性味あふれる快活なギター・ロック("オリジナル・ドゥービー"と僕は呼ぶ)から、途中、マイケル・マクドナルドの加入により、R&Bの影響を受け、洗練されたAOR色の強いものへと変化("マクドナルド・ドゥービー"と僕は呼ぶ)。硬軟併せ持った、二つの顔を持つ、ウェストコースト・ロックの代表格。

オリジナル・ドゥービー時代からのファンの方々からすると、どうもこの後半のマクドナルド・ドゥービーは許せない変化らしい。が、僕は、オリジナル・ドゥービーも好きだが、マクドナルド・ドゥービーはもっと好きだ。で、マクドナルド・ドゥービーは、どのアルバムから出現したのか。

The Doobie Brothers『Takin' It To the Streets』(写真左)。邦題『ドゥービー・ストリート』。1976年3月のリリース。前作の『Stampede』より、元スティーリー・ダンのジェフ・バクスターとマイケル・マクドナルドが参加したことにより、ドゥービーのサウンドは大きく変化する。明らかにR&Bの影響を受け、洗練されたAOR色の強いものへと変化。ギターバンドから、キーボードが効果的に活躍するAORバンドに変身している。
 

Takin_it_to_the_streets_1

 
冒頭の「Wheels of Fortune(運命の轍)」、2曲目の「Takin' It to the Streets(ドゥービー・ストリート)」を聴けば、その変身度合いが良く判る。これだけ聴けば、これ誰がやってんの、となる。実は、この『ドゥービー・ストリート』のリリース当時、このアルバムをレコード屋でかかっているのを聴いた時、始めはドゥービーの音とは思わなかった。

曲が進むにつれ、オリジナル・ドゥービーの曲想の曲が流れてきたりするが、マクドナルドのキーボードが絡むと(特にフェンダー・ローズが絡むと)、途端にマクドナルド・ドゥービー色に染まる。これが当時は不思議で堪らなかった。どうして、マクドナルドのキーボードが絡むだけで、音がR&B基調のAOR色の色濃いものになるのか。

もともと、オリジナル・ドゥービー時代から、曲毎にファンキーな要素が織り込まれていて、マクドナルドのキーボードの絡みで、そのファンキー色が増幅されて「R&Bの影響を受け、洗練されたAOR色の強いもの」へと変化する、ということが何と無く判ったのは、この盤のリリース後、3〜4年後、大学に入って、ジャズを聴き初めてからである。

マクドナルド・ドゥービーへの転換点のアルバムはこの『ドゥービー・ストリート』。特にタイトル曲の「Takin' It To the Streets」の切れ味の良いファンキーなリズム&ビートとゴスペルチックなコーラス、疾走する爽快感。これがマクドナルド・ドゥービーの真骨頂。今の耳にも、このアルバムは色褪せない。マクドナルド・ドゥービーも無茶苦茶、格好良いのだ。

 
 

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