2015年7月30日 (木曜日)

歳を重ねて感じ方も変わる。

最近、こんなシンプルで味わいのあるアルバムを聴くと思わずニンマリする。過度なアレンジなど無縁、シンプルなトリオ演奏とカルテットの演奏のハイブリッド。

若い頃はとにかく物足りなさを強く感じたアルバムだった。トリオ演奏はもっと聴きたいなあ、と不満たらたらだったし、カルテットの演奏については、もっとアレンジしてもっと捻ってくれれば良いのに、と不満たらたらだった。

しかし、時が経って歳を重ね、40歳を過ぎるころから、このアルバムを聴くのが楽しくなった。トリオ演奏もほどほどで腹八分目、もっと聴きたければ、また聴けば良いし、カルテットのアレンジはシンプルで楽器の個性が良く判って良い、と思うようになった。

歳を重ねれば重ねただけ、聴き方も変わるし感じ方も変わる。歳を重ねるということは、聴き方も感じ方も余裕のある、良い方向に変わっていく。当然、このリーダーのピアニストの「哀愁」をジックリと味わえる様になる。

そのアルバムとは、Duke Jorran『Trio and Quintet』(写真左)。僕が愛して止まない「哀愁のピアニスト」の代表的存在、デューク・ジョーダンの佳作である。1955年10月と11月の録音。ハードバップが台頭してきた時代、ニューヨークでの録音である。

ちなみにパーソネルは、Duke Jordan (p), Eddie Bert (tb), Cecil Payne (bs), Percy Heath (b), Art Blakey (ds)。LP時代の編成は、A面がアート・ブレイキー、パーシー・ヒースのトリオ演奏、B面がトロンボーンにバリトン・サックスを加えたクインテット演奏となっている。
 

Duke_jordan_trio_quintet

 
とにかくシンプルな演奏が魅力の盤である。米国東海岸では商業的に全く振るわなかったジョーダンが、シグナルというマイナー・レーベルに吹き込んだもの。1955年だからまだモノラル録音である。

実はこのモノラル録音の音が味わい深い。ジャズの響きを、ハードバップの響きを強く感じさせてくれる、なかなかの録音。そんな録音に、シンプルな演奏でジャズ・スタンダードが、ピアノ・トリオで演奏される。実に味わい深い。シンプルな演奏だけに、ジョーダンの「哀愁のピアノ」が明快に判る。

昔から不思議なのだが、ジョーダンのピアノは明らかに「哀愁」が漂う。ジャズってマイナーキーが多用されるのだから、誰が弾いたって「哀愁」が漂うでしょうが、と思われるでしょうが、これが違う。

ジョーダンのピアノだけが突出して「哀愁」が漂うのだ。メジャー調の曲だって、ちょっとアップテンポの曲だって、なぜかそこはかとなく「哀愁」が漂うのだ。これが不思議。でも、このアルバムでも全編に渡って、ジョーダンのピアノには「哀愁」がしっとりと漂っている。

クインテットの演奏では、ジョーダンの書いた自作曲が良い。ジョーダンの作曲の才能を十分に担当できる。バリトン・サックスとトロンボーンを加えてクインテットを構成するプロデュースのセンスとアレンジの才に、これまた感じ入ってしまう。 

良いアルバムです。若い時は「地味だ」と敬遠していたアルバムなんですが、今の耳で聴くと、シンプルでクールな演奏がたまらない。歳を重ねれば重ねただけ、聴き方も変わるし感じ方も変わる。そんなことを改めて感じさせてくれる好盤です。
 
 
 

震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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