最近のトラックバック

2018年10月30日 (火曜日)

再掲『ジム・ホールの想い出 』

ベーシストのリーダー作は、なかなかに聴き応えがあるものが多い。ベースのテクニックをメインにした盤は当たり前なんだが、ベースという楽器のポジションを活かした「グループ・サウンド」をプロデュースしコントロールした盤が良い。リーダーであるベーシストの音楽性がとりわけ良く判る。特にライヴ盤では、リーダーのベーシストのテクニックと音楽性の両方が良く判る盤が多く、ベーシストのリーダー作はライヴ盤だったら、迷わず入手することにしています。

Ron Carter『In Memory of Jim』(写真左)。2014年1月20日、ブルーノート東京にてのライヴ録音。ちなみにパーソネルは、Ron Carter (b), Larry Coryell & Peter Bernstein (g)。なかなか良い音で録れております。リーダーがベーシストのロン、パートナーのギタリストがコリエルとバーンスタイン。名前を見ただけで思わず触手が伸びる。ジャケット・デザインもなかなかグッドで、中の音が期待出来ます。

ちなみに「Jim」とは「Jim Hall(ジム・ホール)」のこと。プログレッシヴなレジェンド・ギタリストで、2013年12月に急逝。この盤は追悼盤の位置づけになります。ちなみに邦題は『ジム・ホールの想い出 』。ジム・ホールとロン・カーターは何枚か、デュオでの共演盤があって、そのデュオ演奏を聴けば判るのですが、相性は良く、どのデュオ盤も良い内容です。
 

Ron_in_memory_of_jim  

 
このトリビュート盤では、ジム・ホールの代わりを、ラリー・コリエルとピーター・バーンスタインが務めています。代わる代わる弾くのでは無く、ロンのベースに2ギターでのトリオ編成の演奏になっていて、意外とユニークで聴き応えがあります。「アローン・トゥゲザー」「セント・トーマス」など、ジムとのデュエットのレパートリーだった有名スタンダードを中心に演奏されていて、聴いていてとても楽しい内容。

実はこの盤、しばらく聴くのを躊躇っていました。それというのも、この盤のロンのベースはピッチが合っているか、そして、アコベの音をアタッチメントで増幅していないか、その2点が心配で、なかなか聴く勇気が出ませんでした。が、それは杞憂に終わったようで、ロンのベースのピッチは意外と合っていて聴ける。そして、アコベの音は電気的に増幅されておらず、アコベの生々しい骨太な響きが心地良い。

このライヴ盤、ロンのベースは「当たり」です。ギタリストのコリエルとバースタインとの相性も良いようで、かなり内容の濃い、適度なテンションの中、丁々発止とインプロビゼーションが展開されます。ロンはデュオが得意。ロンのベースはギターに上手く絡みます。それでいて、リーダーとして、アコベ演奏の主張はしっかりと前面に押し出す。ロンのベースの良い面がしっかり出た好盤です。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年10月16日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・131

最近、ジャズの新盤を聴いていると、意外とソロやデュオという少人数編成の演奏が、以前より目立つようになったと感じている。ジャズの少人数編成って、結構、テクニックを要するフォーマットで、演奏する方は結構大変ではないのかなあ。特にデュオは組む相手との相性の問題もあったり、楽器同士がぶつかり合ったりで、これまた意外と難しい。

Houston person & Ron Carter『Remember Love』(写真左)。2018年3月27日の録音。ベテランのテナー・サックス奏者のヒューストン・パーソンと、ジャズ・ベースのレジェンド、ロン・カーターのデュオ盤。久し振りに「聴いてみてビックリ」。これがまあ、素晴らしい内容のデュオ盤なのだ。

ヒューストン・パーソンは1934年生まれ。今年で84歳。しかし、このデュオ盤のテナーの音を聴けば、84歳の音とは思えない、溌剌していて、しっかりと重心が低く力強いブロウは聴き応え満点。ロン・カーターは1937年生まれ。今年で81歳。実はこのロンのベースの音に一番驚いた。今までのロンのベース音とは全く違う。
 

Remember_love_1

 
まず、ベースのピッチが合っている。実はロンのベースって、ピッチが合っていないことが多く、聴いていて気持ち悪くなることもしばしば。最初は恐る恐る聴いたのだが、この新盤ではこれがバッチリ合っている。力強く、速いフレーズも容易く弾きこなす。切れ味良く、鋼のソリッド感がダイレクトに感じる素晴らしいベース。これがロンとは、最初はにわかに信じ難かった。

そこに、ヒューストンの大らかで緻密で歌心のあるブロウが乗っかるのだ。素晴らしく心地良いデュオ演奏。本作はおなじみのスタンダード曲にそれぞれのオリジナル曲が1曲づつ収録されている。が、やはりスタンダード曲が良い。この途方も無い、素晴らしい内容のデュオ演奏に乗って、スタンダード曲がとても魅力的に聴こえる。

加えて、この盤、音が抜群に良い。調べてみたら、この新盤は、ルディ・ヴァン・ゲルダーの傍らで長年アシスタント・エンジニアを努めていたモーリン・シックラーが担当しているそうだ。この生々しく自然な音の響きは明らかにヴァン・ゲルダー・スタジオの音。高い天井の自然なリバーブが、デュオ演奏というシンプルな少人数編成の音をさらに魅力的なものにしている。ジャズ喫茶で流したい「格好の好盤」。

 
 

東日本大震災から7年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年4月 1日 (日曜日)

エバンス=ゴメスのライブ好盤

ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイを可能にした、最初のピアノ・トリオが「ビル・エバンス・トリオ」。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、加えてリズムも十分供給出来る、という力量を持つベーシストが存在すること。これが、エバンス・トリオで「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を可能にするキーワードの1つ。

初代のベーシストは「スコット・ラファロ」。しかし、1961年7月6日、ニューヨーク州ジェニヴァ近郊のフリントで交通事故にて死去。その後、チャック・イスラエルが担当するが、「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を完璧に展開するには至らなかった。しかし、1966年から、エディ・ゴメスがベースを担当することになり、この「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を可能にするキーワードの1つ、を充足する。

エディ・ゴメスというベーシストを得ることにより、ビル・エバンス・トリオは、再び「ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイ」を完璧に展開することが可能になった。どころか、ゴメスの骨太で強靱な、それでいて多弁で流麗なベースによって、スコット・ラファロ時代よりも充実かつ高度なインタープレイを実現した。
 

Montreux

 
そして、そんなゴメスのベースは、ドラムの役割をも肩代わりすることが出来、エバンスとの充実のデュオをも可能にした。そんなエバンスとの充実のデュオの記録が、Bill Evans『Montreux III』(写真左)。1975年7月20日、モントルー・ジャズ・フェスでのライブ録音。改めてパーソネルは、Bill Evans (ac-p, el-p), Eddie Gomez (b)。エバンスとゴメスのデュオ。

ゴメスのベースが実に多弁。ドラムがいなくても、ビートの空間を埋める必要が無いくらいで、ゴメスのベース・ラインが独特のグルーヴを生んでいる。そんなゴメスの生み出すビートとグルーヴをバックに、とても気持ちよさそうに、エバンスはアコピとエレピを弾きまくっている。もともとエバンスは、特にライブで「バッパーなピアノ」を弾くのだが、エバンスが音符を沢山重ねても、ゴメスのベースは、そんなエバンスのピアノにピッタリと追従し、台頭に渡り合う。

ピアノとベースとのディオの濃密なインタープレイが見事である。二人のコール&レスポンスもバッチリ合って、ピアノ+ベースのデュオとしては優れた内容のライブ盤である。独特のグルーヴを生み出すゴメスのベース・ラインがどの曲にも効いていて、このライブ音源でのスイング感は半端ない。ジャズのデュオ好盤の一枚。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年3月31日 (土曜日)

エバンスの最適なベーシスト

ジャズ・ピアノのレジェンドの一人、ビル・エバンス。後のジャズ・ピアニストの演奏スタイルに大きな影響を与えた、ジャズ・ジャイアントの一人でもあって、エバンスの影響下にあるジャズ・ピアニストは「エバンス派」と呼ばれる。そんな偉大なジャズ・ピアニストであるエヴァンスは、生涯、ピアノ・トリオを中心に活動を続けたことでも知られる。

ピアノ・トリオと言えば、ピアノ=ベース=ドラムの構成が基本になる。1940年代後半から1950年代前半までのオールド・スタイルのピアノ・トリオは、ピアノ=ベース=ギターであるが、1950年代後半、ハードバップ全盛期以降、ピアノ・トリオといえば、前者の構成が基本となる。そうなれば、リーダーのピアニストとしては、パートナーであるベーシスト、そしてドラマーとの相性が鍵になる。

エバンスの生涯に渡っての「最適なベーシスト」は、エディ・ゴメス(Eddie Gomez)になるだろう。1966年から1977年の間、11年間、エバンス・トリオに在籍した。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、リズムも十分供給出来る、というベーシストの力量。これが、エバンスが、ピアノ・トリオ3者対等なインタープレイを可能にする「キーワード」。
 

Intuition

 
そういう点では、ゴメスはエバンスにとって申し分の無いベーシストであった。エバンスのアドリブを支える「強靱で躍動感溢れるビート」を供給し、エバンスのイメージを受けて、ベースで「唄う様な旋律」を展開する。ゴメスはベースラインで「リズム」も供給することが出来るベーシストで、このアルバムではエバンス=ゴメスのデュオだが、演奏の雰囲気はピアノ・トリオそのものと変わらない。

Bill Evans『Intuition』(写真左)。1974年11月の録音。Fantasyレーベルからのリリース。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (ac-p, el-p), Eddie Gomez (b)。マーサー・エリントン作の美しいバラード「Blue Serge」や、スティーヴ・スワロウ作の「Falling Grace」など、素晴らしいデュオの展開。そして、クラウス・オガーマン作の「A Face Without A Name」での、ゴメスのベースをバックに、エバンスの紡ぎ出す美旋律が素晴らしい。

エバンス=ゴメスの「二人の世界」にもはやドラマーは存在しない。ドラマーが存在しない分、リズムがシンプルに整理されて、エバンスの繊細なフレーズがよりクッキリと浮かび上がる。「ビート」は絶対、次に「旋律」が絶対、リズムも十分供給出来る、という「エバンスのベーシスト」としての条件を十分にクリアしたエディ・ゴメス。エバンスの生涯の中で「最適なベーシスト」である。

 
 

東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年2月10日 (土曜日)

ECMに冬の季節が良く似合う

僕がジャズを聴き始めた頃、1970年代後半になるが、純ジャズの世界では従来の老舗レーベルに加えて、欧州系の新興レーベルのアルバムが話題を集めつつあった。欧州系のレーベルとは、ECM、SteepleChase(スティープルチェイス)、Enja(エンヤ)などが代表的なところ。特に、ECMレーベルは日本でも人気のレーベルになっていた。

当時、ECMのLPは高価で、廉価盤などは皆無。雑誌などで採り上げられていないアルバムなどは情報不足で、聴いてみるまでその評価は不明という、新たに購入するには相当にリスキーなレーベルでもあった。しかも、通常のジャズ喫茶ではビ・バップでもハードバップでも無い、ニュー・ジャズと呼ばれるジャンルがメインのECMのアルバムは敬遠気味で、聴くことの出来る機会は少なかった。

そういう面では僕は恵まれていて、大学近くの例の「秘密の喫茶店」では、何故か、ニュー・ジャズと呼ばれる欧州系のレーベルのアルバムが結構キープされていた。ECMレーベルのアルバムは相当数、保有されていた記憶がある。これは有り難かった。特に、冬にはECMのアルバムが良く似合う。冬の季節、珈琲を飲みに行く度に、ECMのアルバムをよくリクエストさせて貰った。
 

Dis

 
ECMに冬の季節が良く似合う。そんなアルバムの一枚が、Jan Garbarek『Dis』(写真左)。1977年のリリース。アルバム・ジャケットを見るからに「冬の季節に合いそうな」面構えをしている。特に、ヤン・ガルバレクのテナーは、硬質で切れ味の良いもので、ECM独特の深いエコーに乗って、怜悧でエモーショナルなテナー。確かに冬の雰囲気によく合ったテナーの音である。

特に、このアルバムは、ガルバレクのテナーと12弦ギターのラルフ・タウナーのデュオが基本なので、ガルバレクの硬質で怜悧なテナーの個性が増幅されている。ファンクネスは皆無。欧州系独特のクリスタルで硬質な音は、ECM独特の音世界を実に良く表現している。ガルバレクのテナーは歌心もあって、聴いていてとても印象的なもの。印象に残る充実の内容。

北欧のコルトレーンと呼ばれるガルバレクではあるが、この盤ではフリーキーに傾くことも無く、アブストラクトに構えることも無い。メロディアスで印象的なフレーズを、硬質で怜悧な伸びのあるテナーで吹き上げていく。印象的なジャケットと相まって、確かに「冬の季節」にピッタリな雰囲気の音世界である。例の「秘密の喫茶店」では昼下がりによく聴いた思い出がある。

 
 

東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年1月 9日 (火曜日)

チックとクジャラのデュオ演奏

チックとボラーニのデュオ盤について語っていて、あれ〜、そう言えば、なんかもう一枚、一風変わったチックのデュオ盤があったぞ、と思い至った。何だっけ。引っ掛かる思い出は、ちょうど社会人駆け出しのバブル期の頃なんだが。ちょうど1980年代半ばくらいにリリースされた盤と狙いを定め、チックのディスコグラフィーを確認する。

で、やっと判った。この盤である。Chick Corea & Steve Kujala『Voyage』(写真左)。邦題『果てしない旅』。1984年、ECMレーベルからのリリース。ECMの1282番。ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Steve Kujala (fl)。チック・コリアとスティーブ・クジャラ、ピアノとフルートのデュオである。

スティーブ・クジャラって、何者やったっけ。あんまり聞かない名前である。調べてみたら、スティーブ・クジャラはチック・コリアによって見いだされたフルート奏者、とのこと。聴けば、クジャラのフルート、実に巧い。流麗かつ静的なエモーション。クラシックか、と問えば、その即興性溢れるプレイは、やはりジャズ寄り。
 

Chick_corea_steve_kujala_voyage

 
さて、このデュオ盤『Voyage』である。ジャズでもクラシックでも通りそうなこの内容は、サウンド面から感じるのは、アドリブもあるクラシック、というような趣き。チックの個性と相まって「クラシカル&ラテン」な雰囲気が濃厚。演奏の底にジャジーなビート感は希薄。ジャズとはかけ離れた「希薄なビート感」の中で、ジャズの真骨頂である「自由度の高いインタープレイ」が展開される。

この硬軟自在、緩急自在、変幻自在なジャズ的なインプロビゼーションでありながら、ジャズの様に温度感は高く無く、どちらかと言えば、温度感の低い展開が、このデュオ演奏の聴きどころであり、このデュオ演奏の個性である。このジャズ的な自由度の高いインプロビゼーションでありながら、アドリブもあるクラシック演奏という趣きは聴く人を選ぶだろう。

希薄なビート感、それでいて自由度の高いインタープレイ。明らかに欧州系ジャズの音世界。やはり、この音の内容って、ECMレーベルならではやなあ、と感心する。そして、相手をしっかりと選んで、相手の特質と特徴を十分に理解し、極上のデュオ演奏を繰り広げるチックって、やはりデュオ演奏の名手やなあ、と改めて思う。

 
 

東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年1月 8日 (月曜日)

チックとボラーニのデュオ演奏

チック・コリアはデュオが得意。何故かは判らないけど、チックはデュオが得意。といって、誰彼も、という訳では無い。有名どころでは「ゲイリー・バートン」とのデュオは素晴らしい。最近、このブログでご紹介した「小曽根 真」とのデュオも絶品だ。そうそう、異種格闘技だけど、バンジョーのベラ・フレックとのデュオも良かった。

デュオ演奏なので、基本的に相手をしっかり選ぶ、というか、相性が大切ってことなんだろうが、今回、更にチックとの相性が良いデュオ相手が出現した。Stefano Bollani(ステファノ・ボラーニ)である。現在のイタリアを代表するジャズ・ピアニストの一人。ジャズ、ラテン、クラシックと幅広いジャンルを弾きこなすところは、チックと同じ。ちょっと個性が同じ過ぎるのでは、という懸念がが心をよぎる。

Chick Corea & Stefano Bollani『Orvieto』(写真左)。2010年12月の録音。2011年のリリース。いまから6年ほどの前のリリース。チックが25年以上の時を経てECMに吹き込み。ジャズ、ラテン、クラシックと幅広いジャンルを弾きこなす、イタリアの俊英ピアニスト、ステファノ・ボラーニとのデュオ盤である。
 

Chick_corea_stefano_bollani_orvieto

 
リリース当時は、あまり興味が湧かなかった。ピアノの同士のデュオは、お互いがお互いを慮って、なかなか丁々発止とした展開にはならない。特に同じタイプの場合、フレーズがぶつかる可能性が高い。チックとボラーニも同じ事が言えるのでは、と思い、実は、ほとんど聴かずにお蔵入りになった。しかし、今回、ふとこのデュオ盤のことを思い出し、聴き込んで「これは素晴らしい」と感じ入った次第。

「4本の手を持つ人間の一部になったような気分だ」とボラーニが語ったとか。同じタイプのピアニストが故に、しっかりと役割分担を確認し、それをしっかり守ったら、これほどまでに大胆で細心な、一人の人間が4本の手で弾きまくる様な、意思統一された展開が実現されるんやなあ、と、とにかく感心することしきり。

さすがECMレーベルからのリリース。ECMらしさが満載。音の響き、クラシックに影響を受けた、欧州的でメロディアスな展開。しかしながら、現代音楽風の聴き難さは全く無くて、そういう面ではECMとしては珍しい盤かもしれない。即興色が濃いので、ジャズ者初心者の方々にはちょっと辛いかも。ジャズ者中級者以上向けかな。

 
 

東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2018年1月 3日 (水曜日)

チックと小曽根のDuoコンピ盤

明けましておめでとうございます。今年もバーチャル音楽喫茶『松和』をよろしくお願いします。当ブログも今日から再開です。しかし、寒いですね。大晦日から2日の午前中まではちょっと穏やかな、厳冬も一休みの感じの栃木路でしたが、千葉県北西部地方に帰り着き、今日は朝から寒い寒い。昼前から強風吹き荒れ、散歩も中止。のんびり、ジャズ本を読んでいます。

さて、年の初めのジャズ音盤鑑賞は、やっぱり一番お気に入りのジャズメンのアルバムから入るのが基本でしょう。ということで、今週は、チック・コリアのアルバムを聴き進めています。一番のお気に入りのジャズメンでありながら、当ブログのご紹介していないアルバムがまだまだあります。そんな中の一枚がこの盤。

Chick Corea & Makoto Ozone『Duets』(写真左)。小曽根の過去作の中から、チックとの共演曲を中心に収録したコンピレーション盤。これは実に有り難いコンピ盤で、もともと小曽根のピアノって、チックに影響されたところが見え隠れしていて、その辺を確かめつつ、小曽根のピアノを愛でるに、格好の音源になっています。
 

Chick_corea_makoto_ozone_duets

 
二人の歯切れが良く、高いテクニックと音楽性に裏打ちされた共演は実に心地良い。この歯切れの良い硬質のタッチ、スピード感溢れるアドリブ・フレーズの展開など、小曽根のピアノは、チックのスタイルとの類似性があるなあ、と感じます。ただ、チックほど尖っていなくて、チックの尖り具合からすると、適度にジェントルで、エッジが少しラウンドしていて、ちょっと暖かみのあるタッチが個性です。

チックと小曽根の共演については、チック者の我々にとっては、相当に聴き応えがあります。本作品は、小曽根の過去作『トレジャー』(2002)、『Live & Let Live - Love For Japan』(2011)のチックとの共演曲を収録、加えて、『トレジャー』録音時のセッションから、これまで未発表だったピアノ・デュオによる即興演奏トラック4曲を初収録しています。いずれのトラックも聴き応え十分。

幾枚かに分散している音源を一気に聴き通せるのですから、こういうコンピ盤は良い企画だと思います。小曽根からしても「自身の師と仰ぐ」ジャズ・ピアニストはチック・コリア、としているので、その類似性については「納得」です。とっても聴き心地の良いピアノ・デュオです。コンピ盤といって侮るなかれ。チックと小曽根の相性の良さが十分に感じられる好盤です。

 
 

東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

2017年9月15日 (金曜日)

たった2つの楽器で奏でる音世界

涼しい。しかも湿度が低くなって、実に過ごしやすい夜である。これだけ、湿度が落ち着いて涼しくなると、ステレオから出てくる音も澄んでくる様に聴こえるのだから不思議だ。細かいニュアンスが判り易くなる様な気がして、この秋の気候になってくると、少人数のジャズに触手が伸びる様になる。

Joe Bonner『Suburban Fantasies』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Joe Bonner (p), Johnny Dyani (b)。1983年2月18日の録音。ジャケットのデザインも良い。スティープルチェイスからのリリース。アメリカ人ピアニストJoe Bonnerと南アフリカ人ベーシストJohnny Dyaniのデュオ盤。

Joe Bonner=ジョー・ボナー。あまりその名を聞くことが少ないピアニスト。このデュオ盤を聴けば、そのピアニストとしての個性が良く判る。剛直さとロマンチシズムを併せ持ち、ダイナミズムと繊細さが共存する、意外と他にありそうでないピアノ。
 

Suburban_fantasies

 
デュオの相方、ダラー・ブランドと活動していたベースのJohnny Dyani=ジョニー・ダイアニ。フォーキーでアーシーなピアニストの相棒だったダイアニ。腰の据わった重心の低いベースで、ボナーのピアノを支える。どっしりとしたアーシーなベース。ブンブンと重低音を振り撒きながら、リズム&ビートを供給していく。

ボナーのアドリブ・フレーズの基本は「ブルース」。しかし、くすんではいないし、粘ってもいない。フレーズの冴えと美しさ、そして切れ味は独特の個性。音もクッキリ、タッチも硬質。それでいてメロディアスな展開。スティープルチェイス的な音。欧州ジャズの音世界。

流麗なピアノの音色と重厚なベース。このたった2つの楽器で奏でる音世界が実に豊か。流麗な音の詰まったインプロビゼーション、そして、しっかりと「間」を活かした魅力的な「タメ」。硬軟自在、柔軟性溢れるデュオ演奏に思わず聴き惚れる。こんな、ほとんど無名のデュオ盤が転がっているのだから、ジャズは隅に置けない。

 
 

東日本大震災から6年6ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

保存

2017年7月27日 (木曜日)

ジョアンの個性を思い出した。

ジャズ・ピアニストの個性はバリエーションに富んでいる。「〜派」などと呼ばれるスタイルや個性の系列はあるけども、まず同じ個性は無い。個性は個性なので、僕はこのピアニストのそれぞれの個性を取り上げて、優劣を論じるのは好きでは無い。

個性に優劣は無い。また、自分のお気に入りの系列のピアニストだけを良しとして、その他は駄目出しするような、偏った贔屓を押し出すのも好きでは無い。出来るだけ多くのジャズ・ピアニストを聴いて、その無限に拡がる個性を愛でたい、と思うばかりである。と思いながら、この人のリーダー作についてはあまり聴いたことが無いことに気がついた。

Joanne Brackeen(ジョアン・ブラッキーン)である。米国出身。「ジャズ・ピアノのピカソ」と呼ばれ、ビー・バップからラテン、アバンギャルドなど、あらゆるジャンルに適応した、バリエーション豊かなピアノが個性。一風、チック・コリアの通じるところがあると僕は睨んでいる。アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズの「唯一の女性メンバー」としても有名。

実はこのリーダー作を聴いて、彼女の名前を思い出したのだ。Joanne Brackeen & Clint Houston『New True Illusion』(写真左)。1976年7月の録音。Joanne Brackeen (p), Clint Houston (b) のデュオ・パフォーマンス。むっちゃ乱暴で地味なジャケットなので、これがブレーキになって触手が伸びなかった。
 

New_true_illusion

 
が、今回、冒頭のチック作の「Steps - What Was」に強く惹かれた。ということで思わずゲット。そして、このデュオ盤で、ジョアンのピアノの個性をはっきりと思い出した。男勝りの豪快で力強いタッチ。切れ味良く極めて豪快。理論より感性で紡ぎ出す、捻れたリズムとメロディー&コード。

テクニック確かで骨太のクリント・ヒューストンのベースと組んず解れつ、ガップリと組んで、スリリングな展開を聴かせてくれる。ゴンゴンいう左手と、右手から出てくる出てくるシーツ・オブ・サウンド。マッコイ・タイナーか、とも思うが、それでいて流麗でスケールの大きなメロディアスな弾き回し。これはチック・コリア風。

しかし、である。そこに前衛音楽風のフリーでアブストラクトなフレーズが出てきたり、クラシック・ピアノの様な端正な弾きっぷりが顔を出したり。やはり、この人のピアノも唯一無二の個性の塊であり、ジャズ・ピアニストとして「一国一城の主」である。

そう言えば、暫く、ジョアンのピアノを聴くことが無かった。とにかく、豪快で力強い。それでいて流麗。このデュオ盤を聴いて、ジョアンのピアノをもっともっと聴きたいと思った。 

 
 

東日本大震災から6年4ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

保存

その他のカテゴリー

AOR CTIレーベル ECMレーベル Enjaレーベル jazz Miles Reimaginedな好盤 Pops R&B rock SteepleChaseレーベル T-スクエア The Great Jazz Trio Yellow Magic Orchestra こんなアルバムあったんや ながら聴きのジャズも良い アキコ・グレース アダムス=ピューレン4 アブドゥーラ・イブラヒム アラウンド・マイルス アル・ディ・メオラ アンドリュー・ヒル アート・ブレイキー アート・ペッパー イエス イエロージャケッツ イスラエル・ジャズ イタリアン・ジャズ イタリアン・プログレ インパルス!レコード イーグルス ウィントン・ケリー ウィントン・マルサリス ウェイン・ショーター ウェザー・リポート ウェス・モンゴメリー ウエストコースト・ジャズ ウディ・ショウ ウラ名盤 エリック・クラプトン エリック・ドルフィー エルトン・ジョン エンリコ・ピエラヌンツィ オスカー・ピーターソン オーネット・コールマン カウント・ベイシー カシオペア カーティス・フラー カーラ・ブレイ キャノンボール・アダレイ キャンディド・レーベル キング・クリムゾン キース・ジャレット ギル・エバンス クインシー・ジョーンズ クイーン クリスマスにピッタリの盤 クロスオーバー・ジャズ グラント・グリーン グレイトフル・デッド グローバー・ワシントンJr ゲイリー・バートン コンテンポラリーな純ジャズ サイケデリック・ジャズ サザンロック サンタナ ザ・クルセイダーズ ザ・バンド ジャケ買い「海外女性編」 ジェフ・ベック ジミ・ヘンドリックス ジャキー・マクリーン ジャコ・パストリアス ジャズ ジャズの合間の耳休め ジャズロック ジャズ・アルト ジャズ・オルガン ジャズ・ギター ジャズ・テナー ジャズ・トランペット ジャズ・トロンボーン ジャズ・ドラム ジャズ・ピアノ ジャズ・ファンク ジャズ・フルート ジャズ・ボーカル ジャズ・レジェンド ジャズ・ヴァイオリン ジャズ・ヴァイブ ジャズ喫茶で流したい ジョシュア・レッドマン ジョニ・ミッチェル ジョン・コルトレーン ジョン・スコフィールド ジョン・レノン ジョージ・ハリソン ジョー・ヘンダーソン スタン・ゲッツ スティング スティング+ポリス スティービー・ワンダー スティーブ・カーン スピリチュアル・ジャズ セロニアス・モンク ソウル・ジャズ ソウル・ミュージック ソニー・クラーク ソニー・ロリンズ ソロ・ピアノ タンジェリン・ドリーム ダスコ・ゴイコヴィッチ チック・コリア チャールズ・ミンガス チューリップ テテ・モントリュー デイブ・ブルーベック デイヴィッド・サンボーン デクスター・ゴードン デュオ盤 デューク・ジョーダン デヴィッド・ボウイ トミー・フラナガン トランペットの隠れ名盤 ドゥービー・ブラザース ドナルド・バード ハンク・ジョーンズ ハンプトン・ホーズ ハービー・ハンコック バリトン・サックス パット・メセニー ビッグバンド・ジャズは楽し ビル・エバンス ビートルズ ビートルズのカヴァー集 ピアノ・トリオの代表的名盤 ファンキー・ジャズ フィニアス・ニューボーンJr フィル・ウッズ フェンダー・ローズを愛でる フュージョン・ジャズの優秀盤 フリー フリー・ジャズ フレディー・ハバード ブッカー・リトル ブラッド・メルドー ブランフォード・マルサリス ブルース・スプリングスティーン ブルーノート ブレッカー・ブラザース プレスティッジ・レーベル プログレッシブ・ロックの名盤 ベニー・ゴルソン ベーシストのリーダー作 ホレス・シルバー ホレス・パーラン ボサノバ・ジャズ ボビー・ハッチャーソン ボブ・ジェームス ポップス ポール・サイモン ポール・マッカートニー マイケル・ブレッカー マイルス・デイヴィス マッコイ・タイナー マル・ウォルドロン マンハッタン・ジャズ・クインテット マンハッタン・トランスファー ミシェル・ペトルチアーニ ミルト・ジャクソン モダン・ジャズ・カルテット ヤン・ハマー ユセフ・ラティーフ ラテン・ジャズ ラリー・カールトン リトル・フィート リバーサイド・レーベル リンダ・ロンシュタット リー・モーガン リー・リトナー ルー・ドナルドソン レア・グルーヴ レイ・ブライアント レジェンドなロック盤 レッド・ガーランド レッド・ツェッペリン ロック ロッド・スチュワート ローランド・カーク ヴィーナス・レコード 上原ひろみ 北欧ジャズ 吉田拓郎 和ジャズの優れもの 四人囃子 夜の静寂にクールなジャズ 天文 天文関連のジャズ盤ジャケ 太田裕美 寺井尚子 尾崎亜美 山下達郎 山中千尋 旅行・地域 日本のロック 日本男子もここまで弾く 日記・コラム・つぶやき 映画・テレビ 書籍・雑誌 欧州ジャズ 歌謡ロック 渡辺貞夫 渡辺香津美 米国ルーツ・ロック 荒井由実・松任谷由実 西海岸ロックの優れもの 趣味 青春のかけら達・アーカイブ 音楽 音楽喫茶『松和』の昼下がり 高中正義 70年代のロック 70年代のJポップ

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ